JP3931401B2 - ゲイン調整回路 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、アナログ回路における信号伝達系のゲインを調整するゲイン調整回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
アナログ回路においては、その内部の信号伝達系のゲインの調整が必要とされる場合がある。図4はこのような要請に応えるべく従来採用されていたゲイン調整回路の構成例を示すものである。
【0003】
この図4に示すゲイン調整回路は、入力信号VINを増幅し、信号VOUTとして出力するものであり、位相反転回路400と乗算回路410とにより構成されている。
【0004】
これらの構成要素のうち位相反転回路400は、オペアンプ401、抵抗402および403により構成されている。ここで、オペアンプ401の反転入力端(−)には抵抗402を介して入力信号VINが与えられ、オペアンプ401の非反転入力端(+)には電源電圧VDDの1/2に等しい基準レベルVREFが与えられている。そして、オペアンプ401の出力端と反転入力端(−)との間には帰還抵抗403が介挿されている。
【0005】
また、乗算回路410は、オペアンプ411、抵抗412〜414およびアナログスイッチ415により構成されている。ここで、オペアンプ411の反転入力端(−)には抵抗412および413を介して位相反転回路400の出力信号が与えられ、非反転入力端(+)にはオペアンプ401と同様に基準レベルVREFが与えられている。このオペアンプ411の出力信号は、帰還抵抗414を介して反転入力端(−)に帰還されるとともに、このゲイン調整回路の出力信号VOUTとして他の回路(図示略)へ供給される。
【0006】
また、抵抗413にはアナログスイッチ415が並列接続されている。このアナログスイッチ415は、図示しない制御手段からの切換信号によりオン/オフの切り換えが行われる。
【0007】
以上の構成において、抵抗402、403、412〜414がすべて同一の抵抗値を有しているものとすると、このゲイン調整回路の動作は次のようになる。まず、アナログスイッチ415が切換信号によってオフ状態にされると、位相反転回路400の出力信号は抵抗412および413を介してオペアンプ411の反転入力端(−)に入力される。従って、入力信号VINと出力信号VOUTとの間のゲインは−6dbとなる。これに対し、アナログスイッチ415が切換信号によってオン状態にされると、位相反転回路400の出力信号は抵抗412およびアナログスイッチ415を介してオペアンプ411の反転入力端(−)に入力される。従って、入力信号VINと出力信号VOUTとの間のゲインは0dbとなる。以上のようにこのゲイン調整回路の入力信号VINに対するゲインをアナログスイッチ415のオン/オフ切換により切り換えることができるのである。
【0008】
アナログスイッチ415は、図5に例示する構成のものが一般的である。同図に示すアナログスイッチ415は、入力端および出力端間に並列に介挿されたPチャネルMOSトランジスタ41およびNチャネルMOSトランジスタ42と、インバータ43とにより構成されている。そして、切換信号は、NチャネルMOSトランジスタ42のゲートに供給されるとともにインバータ43を介してPチャネルMOSトランジスタ41のゲートに供給される。
【0009】
従って、切換信号がハイレベルであるときはPチャネルMOSトランジスタ41およびNチャネルMOSトランジスタ42がいずれもオン状態となり、アナログスイッチ415の入力端および出力端間がオン状態となる。一方、切換信号がローレベルであるときはPチャネルMOSトランジスタ41およびNチャネルMOSトランジスタ42がいずれもオフ状態となり、アナログスイッチ415の入力端および出力端間がオフ状態となるのである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来のゲイン調整回路は、ゲイン調整される信号がアナログスイッチを流れるように構成されていることから、アナログスイッチを構成するMOSトランジスタのソースおよびドレインの電位が当該信号に応じて変化することとなる。このため、特に低い電源電圧にて使用する場合に、信号のレベルが電源電圧の1/2近辺になるとアナログスイッチのオン抵抗が非常に高くなり、これに起因してゲインが所期の値からずれたり、動作が不安定になるといった問題があった。
【0011】
この発明は以上説明した事情に鑑みてなされたものであり、電源電圧が低い場合においてもゲインの所期の値からのずれが少なく、安定した動作が得られるゲイン調整回路を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、入力信号が入力される入力端の電圧レベルを所定の基準レベルに保つように帰還制御を行いつつ、前記入力信号に比例した電流を複数の出力端から各々出力する電流出力型演算増幅器と、前記電流出力型演算増幅器の各出力電流を加算し、加算結果に対応した信号を出力する加算手段とを具備し、前記電流出力型演算増幅器は、前記複数の出力端に各々出力電流を供給する複数の電界効果トランジスタと、前記入力信号に比例した電流を前記複数の電界効果トランジスタに流すのに必要なゲート電圧を各電界効果トランジスタに供給するカレントミラー手段と、所定の切換信号が与えられた場合に、前記複数の電界効果トランジスタの少なくとも一部のものに対し、前記入力信号に比例した出力電流を流すのに必要なゲート電圧に代えて当該電界効果トランジスタをオフ状態とするゲート電圧を供給するスイッチング制御手段とを具備することを特徴とするゲイン調整回路を要旨とする。
また、請求項2に係る発明は、入力端に入力された入力信号に比例した電流を複数の出力端から各々出力する電流出力型演算増幅器と、前記電流出力型演算増幅器の各出力電流を加算し、加算結果に対応した信号を出力する加算手段とを具備し、前記電流出力型演算増幅器は、前記複数の出力端に各々出力電流を供給する複数の電界効果トランジスタと、ソースが接地された第1のトランジスタと、ソースが接地された第2のトランジスタとを備え、前記入力信号に比例した電流を前記複数の電界効果トランジスタに流すのに必要なゲート電圧を各電界効果トランジスタに供給するカレントミラー手段と、ゲートが抵抗を介して前記入力端に接続され、ドレインが前記第1のトランジスタのドレイン及びゲート並びに前記第2のトランジスタのゲートに接続された第3のトランジスタと、ドレインが前記第2のトランジスタのドレインに接続され、ゲート電圧が所定の基準レベルに固定され、ソースが前記第3のトランジスタのソースと共に第1の定電流源に接続された第4のトランジスタと、ドレインが第2の定電流源に接続されると共に前記第3のトランジスタのゲートに接続され、ゲートが前記第2のトランジスタのドレインに接続され、ソースが接地された第5のトランジスタと、所定の切換信号が与えられた場合に、前記複数の電界効果トランジスタの少なくとも一部のものに対し、前記入力信号に比例した出力電流を流すのに必要なゲート電圧に代えて当該電界効果トランジスタをオフ状態とするゲート電圧を供給するスイッチング制御手段とを具備することを特徴とするゲイン調整回路を要旨とする。
【0013】
請求項3に係る発明は、入力信号が入力される入力端の電圧レベルを所定の基準レベルに保つように帰還制御を行いつつ、前記入力信号に比例した電流を複数の出力端から各々出力する電流出力型演算増幅器と、前記電流出力型演算増幅器の各出力電流を加算し、加算結果に対応した信号を出力する加算手段とを具備し、前記電流出力型演算増幅器が、前記複数の出力端に各々出力電流を供給する複数の電界効果トランジスタと、前記入力信号に比例した電流を前記複数の電界効果トランジスタに流すのに必要なゲート電圧を各電界効果トランジスタに供給するカレントミラー手段と、前記複数の電界効果トランジスタの少なくとも一部のものに直列接続され、制御信号により選択的にオン/オフ切り換えが行われる1または複数のスイッチング素子とを具備することを特徴とするゲイン調整回路を要旨とする。
また、請求項4に係る発明は、入力端に入力された入力信号に比例した電流を複数の出力端から各々出力する電流出力型演算増幅器と、前記電流出力型演算増幅器の各出力電流を加算し、加算結果に対応した信号を出力する加算手段とを具備し、前記電流出力型演算増幅器が、前記複数の出力端に各々出力電流を供給する複数の電界効果トランジスタと、ソースが接地された第1のトランジスタと、ソースが接地された第2のトランジスタとを備え、前記入力信号に比例した電流を前記複数の電界効果トランジスタに流すのに必要なゲート電圧を各電界効果トランジスタに供給するカレントミラー手段と、ゲートが抵抗を介して前記入力端に接続され、ドレインが前記第1のトランジスタのドレイン及びゲート並びに前記第2のトランジスタのゲートに接続された第3のトランジスタと、ドレインが前記第2のトランジスタのドレインに接続され、ゲート電圧が所定の基準レベルに固定され、ソースが前記第3のトランジスタのソースと共に第1の定電流源に接続された第4のトランジスタと、ドレインが第2の定電流源に接続されると共に前記第3のトランジスタのゲートに接続され、ゲートが前記第2のトランジスタのドレインに接続され、ソースが接地された第5のトランジスタと、前記複数の電界効果トランジスタの少なくとも一部のものに直列接続され、制御信号により選択的にオン/オフ切り換えが行われる1または複数のスイッチング素子とを具備することを特徴とするゲイン調整回路を要旨とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に理解しやすくするため、実施の形態について説明する。
かかる実施の形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の範囲で任意に変更可能である。
【0015】
A.第1の実施形態
図1はこの発明の第1の実施形態であるゲイン調整回路の構成を示す回路図である。図1において、10は入力信号VINが与えられる入力端子、11は入力抵抗である。そして、12は入力抵抗11を介して与えられる電流Iを増幅する電流オペアンプである。この電流オペアンプ12は、その内部において入力端のレベルを基準レベルVREF=VDD/2に保つよう帰還制御が行われる。従って、入力抵抗11の抵抗値をRとすると、次式に示す電流Iが電流オペアンプ12に入力されることとなる。
I=(VIN−VREF)/R ……(1)
【0016】
電流オペアンプ12は、この入力電流Iの増幅を行う。そして、電流オペアンプ12は、図示しない制御手段により切換信号CONがハイレベルとされているときは、各々入力電流Iに比例した出力電流IOUT1=−k1IおよびIOUT2=−k2I(ただし、k1およびk2は比例定数である。)を出力し、切換信号CONがローレベルとされているときは出力電流IOUT1のみを出力する。なお、電流オペアンプ12の詳細については後述する。
【0017】
20は加算回路であり、オペアンプ21と抵抗22〜24とにより構成されている。ここで、オペアンプ21の非反転入力端(+)は基準レベルVREFに固定されている。また、オペアンプ21の反転入力端(−)には、同オペアンプ21の出力信号VOUTが帰還抵抗24を介して帰還されるとともに、上記電流オペアンプ12からの出力電流IOUT1およびIOUT2が各々抵抗22および23を介して供給される。この加算回路20は、上記電流オペアンプ12からの出力電流IOUT1およびIOUT2を加算し、この加算結果に対応した出力信号VOUTを出力する手段である。
【0018】
次に本実施形態に係るゲイン調整回路の動作について説明する。まず、図示しない制御手段により切換信号CONがハイレベルとされているときは、上述したように、入力電流Iに比例した出力電流IOUT1およびIOUT2が電流オペアンプ12から出力される。そして、加算回路20では、帰還抵抗24を介した負帰還動作によりオペアンプ21の反転入力端(−)のレベルが基準レベルVREFに固定され、かつ、上記電流オペアンプ12からの出力電流IOUT1およびIOUT2はそのまま帰還抵抗24に流れる。従って、帰還抵抗24が抵抗値Rを有するものとすると、次式に示す出力信号VOUTがオペアンプ21から出力される。
VOUT
=VREF−(IOUT1+IOUT2)R
=VREF+(k1+k2)I・R
=VREF+(k1+k2)(VIN−VREF) ……(2)
【0019】
従って、切換信号CONがハイレベルであるときのゲイン調整回路のゲインGは、
G
=20log((VOUT−VREF)/(VIN−VREF))
=20log(k1+k2) ……(3)
となる。
【0020】
一方、切換信号CONがローレベルとされているときは、出力電流IOUT1のみが電流オペアンプ12から出力される。従って、この場合のオペアンプ21の出力信号VOUTは、
VOUT
=VREF−IOUT1R
=VREF+k1IR
=VREF+k1(VIN−VREF) ……(4)
となり、ゲイン調整回路のゲインGは、
G
=20log(k1) ……(5)
となる。
以上が本実施形態に係るゲイン調整回路の全体としての構成および動作である。
【0021】
次に図2を参照し、本実施形態において重要な役割を果たす電流オペアンプ12の一構成例について説明する。図2において、PチャネルMOS(金属酸化膜半導体構造)トランジスタP10は、ソースが電源VDDに接続され、ゲートには一定電圧Vgが印加されており、定電流2I10を供給可能な定電流源として機能する。このPチャネルMOSトランジスタP10のドレインには、PチャネルMOSトランジスタP1およびP2の各ソースが共通接続されている。
【0022】
ここで、PチャネルMOSトランジスタP1のゲートは、入力抵抗11を介して入力端子10に接続されており、PチャネルMOSトランジスタP2のゲートは基準レベルVREFに固定されている。そして、PチャネルMOSトランジスタP1のドレインは、NチャネルMOSトランジスタN1のドレインおよびゲート並びにNチャネルMOSトランジスタN2のゲートに接続されており、NチャネルMOSトランジスタN1のソースは接地されている。一方、PチャネルMOSトランジスタP2のドレインは、NチャネルMOSトランジスタN2のドレインに接続されており、このNチャネルMOSトランジスタN2のソースは接地されている。
【0023】
以上説明した各要素からなる回路は、差動増幅器を構成している。ここで、この差動増幅器の動作について、理想的な場合を想定して説明する。まず、PチャネルMOSトランジスタP1のゲートレベルが基準レベルVREFと一致している場合には、PチャネルMOSトランジスタP1およびP2には同じ大きさのゲートバイアスが与えられる。また、このときNチャネルMOSトランジスタN1およびN2はカレントミラーとして動作する。このため、PチャネルMOSトランジスタP10のドレイン電流2I10は二分され、PチャネルMOSトランジスタP1側およびPチャネルMOSトランジスタP2側に各々同じ大きさの電流I10が流れることとなる。
【0024】
しかし、PチャネルMOSトランジスタP1のゲートレベルが基準レベルVREFより高くなると、PチャネルMOSトランジスタP1のゲートバイアスが減少するため、PチャネルMOSトランジスタP1側に流れる電流は例えばI10−ΔIとなり、PチャネルMOSトランジスタP2側に流れる電流はI10+ΔIとなる。この結果、NチャネルMOSトランジスタN2のドレインのレベルは正方向に変化し、逆にNチャネルMOSトランジスタN1のドレインのレベルは負方向に変化することとなる。
【0025】
また、PチャネルMOSトランジスタP1のゲートレベルが基準レベルVREFより低くなった場合には以上と全く逆の動作となり、NチャネルMOSトランジスタN2のドレインのレベルは負方向に、NチャネルMOSトランジスタN1のドレインのレベルは正方向に変化することとなるのである。
【0026】
NチャネルMOSトランジスタN2のドレインは、以上説明した差動増幅器の出力端子をなしており、NチャネルMOSトランジスタN20のゲートに接続されている。このNチャネルMOSトランジスタN20のソースは接地されており、ドレインはPチャネルMOSトランジスタP20を介して電源VDDに接続されている。このPチャネルMOSトランジスタP20は、一定電圧Vgがゲートに印加されており、定電流I20を供給可能な定電流源として機能する。そして、NチャネルMOSトランジスタN20のドレインは、上記差動増幅器におけるPチャネルMOSトランジスタP1のゲートに接続されている。すなわち、差動増幅器の出力信号がNチャネルMOSトランジスタN20を介して当該差動増幅器に負帰還される構成となっているのである。
【0027】
このような構成としたため、PチャネルMOSトランジスタP1のゲートは常に基準レベルVREFを維持することとなる。すなわち、仮にPチャネルMOSトランジスタP1のゲートレベルが基準レベルVREFより高くなろうとすると、NチャネルMOSトランジスタN2のドレインのレベルが正方向に変化し、これによりNチャネルMOSトランジスタN20のゲートバイアスが増加するため、NチャネルMOSトランジスタN20のコンダクタンスが増大し、PチャネルMOSトランジスタP1のゲートのレベルの上昇が妨げられる。
【0028】
逆にPチャネルMOSトランジスタP1のゲートレベルが基準レベルV REFより低くなろうとすると、NチャネルMOSトランジスタN2のドレインのレベルが負方向に変化し、これによりNチャネルMOSトランジスタN20のゲートバイアスが減少するため、NチャネルMOSトランジスタN20のコンダクタンスが減少し、PチャネルMOSトランジスタP1のゲートのレベルの低下が妨げられる。このようにPチャネルMOSトランジスタP1のゲートのレベルを基準レベルに一致させる動作が常に行われるのである。
【0029】
そして、PチャネルMOSトランジスタP1のゲートがこのように基準レベルVREFに固定されることから、入力端子10の入力電圧VINに応じた入力電流I=(VIN−VREF)/R(ただし、Rは入力抵抗11の抵抗値)が入力抵抗11に流れ、この電流IとPチャネルMOSトランジスタP20からの定電流I20とを加えた電流I20+IがNチャネルMOSトランジスタN20に流れる。
【0030】
このときNチャネルMOSトランジスタN20の動作点は飽和領域にあり、このNチャネルMOSトランジスタN20にドレイン電流I20+Iを流すのに必要なゲート電圧がNチャネルMOSトランジスタN2のドレインから出力される。すなわち、ドレイン電流I20+Iを流すのに必要なゲート電圧がNチャネルMOSトランジスタN20に与えられていないときには、NチャネルMOSトランジスタN20のドレインのレベルの上昇→PチャネルMOSトランジスタP1のゲートバイアスの減少→NチャネルMOSトランジスタN20のゲート電圧の増加→NチャネルMOSトランジスタN20のドレインのレベルの上昇防止、という動作が行われ、結局、ドレイン電流I20+Iを流すのに必要なゲート電圧がNチャネルMOSトランジスタN20に与えられることとなるのである。
【0031】
NチャネルMOSトランジスタN21は、ソースが接地されており、ドレインはPチャネルMOSトランジスタP21を介して電源VDDに接続されている。このPチャネルMOSトランジスタP21は、PチャネルMOSトランジスタP20のk1倍のサイズを有しており、一定電圧Vgがゲートに印加されている。従って、PチャネルMOSトランジスタP21は、定電流k1I20を供給可能な定電流源として機能する。
【0032】
NチャネルMOSトランジスタN21は、NチャネルMOSトランジスタN20のk1倍のサイズを有している。このNチャネルMOSトランジスタN21のゲートには、NチャネルMOSトランジスタN20と同じく、NチャネルMOSトランジスタN2のドレインからの出力電圧が与えられる。従って、NチャネルMOSトランジスタN20にドレイン電流I20+Iが流れる場合、このNチャネルMOSトランジスタN21にはドレイン電流k1I20+k1Iを流すことが可能である。そして、NチャネルMOSトランジスタN21にはPチャネルMOSトランジスタP21からの定電流k1I20が流れ込むから、結局、外部からNチャネルMOSトランジスタN21のドレインに向けて電流−k1I=−k1(VIN−VREF)/Rが流れ込む。これが電流オペアンプ12の出力電流IOUT1である。
【0033】
次に、電流オペアンプ12における他の出力電流IOUT2の出力回路について説明する。まず、NチャネルMOSトランジスタN22は、そのソースが接地されており、PチャネルMOSトランジスタP22は、そのソースが電源VDDに接続されている。これらのNチャネルMOSトランジスタN22およびPチャネルMOSトランジスタP22は、NチャネルMOSトランジスタN20およびPチャネルMOSトランジスタP20のk2倍のトランジスタサイズを各々有している。そして、これらのNチャネルMOSトランジスタN22およびPチャネルMOSトランジスタP22は各々のドレイン同士が接続されており、この接続点が出力電流IOUT2の出力端となっている。
【0034】
次にNチャネルMOSトランジスタN22のゲートは、NチャネルMOSトランジスタN32を介して接地されるとともにNチャネルMOSトランジスタ31を介してNチャネルMOSトランジスタN2のドレインに接続されている。ここで、NチャネルMOSトランジスタN31のゲートには切換信号CONが供給され、NチャネルMOSトランジスタN32のゲートには切換信号CONをインバータG2によって反転した信号が供給される。
【0035】
また、PチャネルMOSトランジスタP22のゲートはPチャネルMOSトランジスタP32を介して電源VDDに接続されるとともにPチャネルMOSトランジスタ31を介して所定の電圧Vgが供給されるようになっている。ここで、PチャネルMOSトランジスタP31のゲートには切換信号CONをインバータG1によって反転した信号が供給され、PチャネルMOSトランジスタP32のゲートには切換信号CONが供給される。
【0036】
このような構成において、切換信号CONがローレベルであるときは、NチャネルMOSトランジスタN31およびPチャネルMOSトランジスタP31がオフとなる一方、NチャネルMOSトランジスタN32およびPチャネルMOSトランジスタP32がオンとなる。このため、NチャネルMOSトランジスタN22のゲートにはNチャネルMOSトランジスタN32を介して接地レベルが供給され、PチャネルMOSトランジスタP22のゲートにはPチャネルMOSトランジスタP32を介して電源電圧VDDが供給される。従って、この場合にはNチャネルMOSトランジスタN22およびPチャネルMOSトランジスタP22はいずれもオフとなり、出力電流IOUT2の出力は行われない。
【0037】
一方、切換信号CONがハイレベルであるときは、NチャネルMOSトランジスタN32およびPチャネルMOSトランジスタP32がオフとなる一方、NチャネルMOSトランジスタN31およびPチャネルMOSトランジスタP31がオンとなる。このため、NチャネルMOSトランジスタN22のゲートにはNチャネルMOSトランジスタN31を介してNチャネルMOSトランジスタN2のドレインからの出力電圧が供給され、PチャネルMOSトランジスタP22のゲートにはPチャネルMOSトランジスタP31を介して電圧Vgが供給される。従って、NチャネルMOSトランジスタN22にはドレイン電流k2I20+k2Iが流れ、PチャネルMOSトランジスタP22にはドレイン電流k2I20が流れることとなり、結局、出力電流IOUT2=−k2IがNチャネルMOSトランジスタN22に引き込まれることとなるのである。
【0038】
以上が図2に示す電流オペアンプ12の詳細である。この電流オペアンプ12の場合、出力電流IOUT1およびIOUT2の出力を行う各MOSトランジスタはいずれもソースが接地レベルまたは電源VDDのレベルに固定されており、入力信号VINによっては変動しない。従って、電源VDDのレベルが低い状況下においてもこれらの各MOSトランジスタのオン抵抗が極端に高くなるという不具合は生じない。
【0039】
また、この電流オペアンプ12の場合、出力電流IOUT2の出力を行うNチャネルMOSトランジスタN22およびPチャネルMOSトランジスタP22には、NチャネルMOSトランジスタN31およびPチャネルMOSトランジスタP31を介してゲート電圧が各々供給される。
【0040】
これらの各ゲート電圧は、いずれも電源レベルVDDと接地レベルとの間の値を有しているため、NチャネルMOSトランジスタN31およびPチャネルMOSトランジスタP31に与えられる正味のゲートバイアスがVDDよりも低くなり、電源電圧VDDが低いときにはNチャネルMOSトランジスタN31およびPチャネルMOSトランジスタP31のオン抵抗がかなり高くなると考えられる。しかしながら、これらのNチャネルMOSトランジスタN31およびPチャネルMOSトランジスタP31の負荷は、NチャネルMOSトランジスタN22およびPチャネルMOSトランジスタP22の各ゲートであり、そのインピーダンスは極めて高い。従って、電源電圧の低下によりNチャネルMOSトランジスタN31およびPチャネルMOSトランジスタP31のオン抵抗が高くなったとしても、これらの各MOSトランジスタには無視し得る程度の電圧降下しか生じず、上述した通りの出力電流IOUT2が得られる。
【0041】
B.第2の実施形態
次にこの発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態では、電流オペアンプとして図3に示す構成のものを使用する。この電流オペアンプは、入力端11から入力抵抗11を介して入力される電流Iを増幅し、各々入力電流Iに比例した出力電流IOUT1=−k1I、IOUT2=−k2IおよびIOUT3=−k3Iを出力するものである。図3におけるNチャネルMOSトランジスタN211およびPチャネルMOSトランジスタP211は出力電流IOUT1を出力するためのトランジスタであり、NチャネルMOSトランジスタN221およびPチャネルMOSトランジスタP221は出力電流IOUT2を出力するためのトランジスタである。また、NチャネルMOSトランジスタN231およびPチャネルMOSトランジスタP231は出力電流IOUT3を出力するためのトランジスタである。なお、これらの各MOSトランジスタから所期の出力電流を得るためには適切なゲート電圧を各MOSトランジスタに与える必要があるが、そのための回路については後述する。
【0042】
この電流オペアンプの後段には、上記出力電流IOUT1、IOUT2およびIOUT3を加算して加算結果に比例した信号を出力する加算回路が接続され(図示略)、この加算回路と電流オペアンプとによりゲイン調整回路が構成されている。そして、図3に示す電流オペアンプには、切換信号CON1〜CON3によって出力電流IOUT1、IOUT2およびIOUT3の各々の出力を選択的に遮断するスイッチング素子が設けられており、本実施形態ではこのスイッチング素子のスイッチングによりゲイン調整回路のゲインの調整を行うことができる。
【0043】
さらに詳述すると、上述したNチャネルMOSトランジスタN211、N221およびN231の各々と接地線との間にはNチャネルMOSトランジスタN212、N222およびN232が各々介挿されており、PチャネルMOSトランジスタP211、P221およびP231の各々と電源VDDとの間には、PチャネルMOSトランジスタP212、P222およびP232が各々介挿されている。
【0044】
ここで、NチャネルMOSトランジスタN212、N222およびN232の各ゲートには切換信号CON1〜CON3が各々供給され、PチャネルMOSトランジスタP212、P222およびP232の各ゲートには、切換信号CON1〜CON3をインバータG201〜G203によって反転した各信号が各々供給される。
【0045】
従って、例えば切換信号CON1がローレベルである場合には、NチャネルMOSトランジスタN212およびPチャネルMOSトランジスタP212がオフとなるため、NチャネルMOSトランジスタN211およびPチャネルMOSトランジスタP211による出力電流IOUT1の出力は行われない。これに対し、切換信号CON1がハイレベルである場合には、NチャネルMOSトランジスタN212およびPチャネルMOSトランジスタP212がいずれもオンとなるため、NチャネルMOSトランジスタN211およびPチャネルMOSトランジスタP211による出力電流IOUT1の出力が行われる。同様に他の出力電流IOUT2およびIOUT3についても、各々切換信号CON2およびCON3により選択的に出力/遮断の切り換えが可能である。
【0046】
次にPチャネルMOSトランジスタP211、P221およびP231の各ゲートにゲート電圧を供給する回路について説明する。まず、PチャネルMOSトランジスタP111のドレインには定電流IREF=2I10を供給する定電流源CCが接続されている。また、PチャネルMOSトランジスタP111のドレインは、同トランジスタのゲートに接続されるとともにPチャネルMOSトランジスタP121およびP131の各ゲートに接続されている。これらのPチャネルMOSトランジスタP111、P121およびP131は、カレントミラーを構成しており、PチャネルMOSトランジスタP121にはドレイン電流IREF=2I10が流れ、PチャネルMOSトランジスタP131にはドレイン電流I20が流れるように各トランジスタのサイズが選定されている。
【0047】
そして、PチャネルMOSトランジスタP111のドレインからPチャネルMOSトランジスタP111、P121およびP131の各ゲートに与えられる電圧が、PチャネルMOSトランジスタP211、P221およびP231の各ゲートにゲート電圧として供給される。ここで、PチャネルMOSトランジスタP211、P221およびP231は、各々PチャネルMOSトランジスタP131のk1倍、k2倍およびk3倍のサイズを各々有している。従って、PチャネルMOSトランジスタP211、P221およびP231に流れる各ドレイン電流は、各々k1I20、k2I20およびk3I20となる。
【0048】
なお、PチャネルMOSトランジスタP111、P121およびP131の各ソースは、各々ゲートが接地されたPチャネルMOSトランジスタP112、P122およびP132を各々介して電源VDDに接続されている。これは、PチャネルMOSトランジスタP211、P221およびP231がPチャネルMOSトランジスタP212、P222およびP232を各々介して電源VDDに接続されていることから、これらのPチャネルMOSトランジスタP212、P222およびP232の電圧降下を補償して適正なゲート電圧をPチャネルMOSトランジスタP211、P221およびP231に供給すべく設けられたものである。
【0049】
次にNチャネルMOSトランジスタN211、N221およびN231の各ゲートにゲート電圧を供給する回路について説明する。図3において、PチャネルMOSトランジスタP101およびP102並びにNチャネルMOSトランジスタN101、N102およびN131からなる回路は、前掲図2におけるPチャネルMOSトランジスタP1およびP2並びにNチャネルMOSトランジスタN1、N2およびN20からなる回路と全く同じ構成の回路である。この回路において、入力抵抗11を介して電流Iが流れ込んでくる場合、NチャネルMOSトランジスタN131にはドレイン電流I20+Iが流れる。そして、このNチャネルMOSトランジスタN131には、ドレイン電流I20+Iを流すのに必要なゲート電圧がNチャネルMOSトランジスタ102のドレインから供給されるのである。この動作の詳細については、既に図2を参照して説明した通りであるので説明は省略する。
【0050】
図3に示す電流オペアンプでは、NチャネルMOSトランジスタN131に与えられるゲート電圧が、上記NチャネルMOSトランジスタN211、N221およびN231の各ゲートにも与えられる。ここで、NチャネルMOSトランジスタN211、N221およびN231は、各々NチャネルMOSトランジスタN131のk1倍、k2倍およびk3倍のサイズを各々有している。従って、NチャネルMOSトランジスタN211、N221およびN231に流れる各ドレイン電流は、各々k1I20+k1I、k2I20+k2Iおよびk3I20+k3Iとなる。従って、NチャネルMOSトランジスタN211、N221およびN231は、各々外部から出力電流IOUT1=−k1I、IOUT2=−k2IおよびIOUT3=−k3Iを引き込むこととなる。
【0051】
なお、NチャネルMOSトランジスタN101、N102およびN131の各ソースは、各々ゲートが電源VDDに接続されたNチャネルMOSトランジスタN103、N104およびN132を各々介して接地されている。これは、NチャネルMOSトランジスタN211、N221およびN231がNチャネルMOSトランジスタN212、N222およびN232を各々介して接地されていることから、これらのNチャネルMOSトランジスタN212、N222およびN232の電圧降下を補償して適正なゲート電圧をNチャネルMOSトランジスタN211、N221およびN231に供給すべく設けられたものである。
【0052】
以上が本実施形態の詳細である。本実施形態においても上記第1の実施形態の同様な効果が得られる。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明に係るゲイン調整回路によれば、電源電圧が低い場合においてもゲインの所期の値からのずれ等の不具合が生じず、安定した動作が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の第1の実施形態であるゲイン調整回路の構成を示す回路図である。
【図2】 同実施形態における電流オペアンプの構成例を示す回路図である。
【図3】 この発明の第2の実施形態であるゲイン調整回路に使用される電流オペアンプの構成を示す回路図である。
【図4】 従来のゲイン調整回路の構成例を示す回路図である。
【図5】 同ゲイン調整回路において使用されるアナログスイッチの構成例を示す回路図である。
【符号の説明】
10……入力端子、11……入力抵抗、12……電流オペアンプ(電流出力型演算増幅器)、20……加算回路。
Claims (4)
- 入力信号が入力される入力端の電圧レベルを所定の基準レベルに保つように帰還制御を行いつつ、前記入力信号に比例した電流を複数の出力端から各々出力する電流出力型演算増幅器と、
前記電流出力型演算増幅器の各出力電流を加算し、加算結果に対応した信号を出力する加算手段とを具備し、
前記電流出力型演算増幅器は、
前記複数の出力端に各々出力電流を供給する複数の電界効果トランジスタと、
前記入力信号に比例した電流を前記複数の電界効果トランジスタに流すのに必要なゲート電圧を各電界効果トランジスタに供給するカレントミラー手段と、
所定の切換信号が与えられた場合に、前記複数の電界効果トランジスタの少なくとも一部のものに対し、前記入力信号に比例した出力電流を流すのに必要なゲート電圧に代えて当該電界効果トランジスタをオフ状態とするゲート電圧を供給するスイッチング制御手段と
を具備することを特徴とするゲイン調整回路。 - 入力端に入力された入力信号に比例した電流を複数の出力端から各々出力する電流出力型演算増幅器と、
前記電流出力型演算増幅器の各出力電流を加算し、加算結果に対応した信号を出力する加算手段とを具備し、
前記電流出力型演算増幅器は、
前記複数の出力端に各々出力電流を供給する複数の電界効果トランジスタと、
ソースが接地された第1のトランジスタと、ソースが接地された第2のトランジスタとを備え、前記入力信号に比例した電流を前記複数の電界効果トランジスタに流すのに必要なゲート電圧を各電界効果トランジスタに供給するカレントミラー手段と、
ゲートが抵抗を介して前記入力端に接続され、ドレインが前記第1のトランジスタのドレイン及びゲート並びに前記第2のトランジスタのゲートに接続された第3のトランジスタと、
ドレインが前記第2のトランジスタのドレインに接続され、ゲート電圧が所定の基準レベルに固定され、ソースが前記第3のトランジスタのソースと共に第1の定電流源に接続された第4のトランジスタと、
ドレインが第2の定電流源に接続されると共に前記第3のトランジスタのゲートに接続され、ゲートが前記第2のトランジスタのドレインに接続され、ソースが接地された第5のトランジスタと、
所定の切換信号が与えられた場合に、前記複数の電界効果トランジスタの少なくとも一部のものに対し、前記入力信号に比例した出力電流を流すのに必要なゲート電圧に代えて当該電界効果トランジスタをオフ状態とするゲート電圧を供給するスイッチング制御手段と
を具備することを特徴とするゲイン調整回路。 - 入力端に入力された入力信号が入力される入力端の電圧レベルを所定の基準レベルに保つように帰還制御を行いつつ、前記入力信号に比例した電流を複数の出力端から各々出力する電流出力型演算増幅器と、
前記電流出力型演算増幅器の各出力電流を加算し、加算結果に対応した信号を出力する加算手段とを具備し、
前記電流出力型演算増幅器が、
前記複数の出力端に各々出力電流を供給する複数の電界効果トランジスタと、
前記入力信号に比例した電流を前記複数の電界効果トランジスタに流すのに必要なゲート電圧を各電界効果トランジスタに供給するカレントミラー手段と、
前記複数の電界効果トランジスタの少なくとも一部のものに直列接続され、制御信号により選択的にオン/オフ切り換えが行われる1または複数のスイッチング素子と
を具備することを特徴とするゲイン調整回路。 - 入力端に入力された入力信号に比例した電流を複数の出力端から各々出力する電流出力型演算増幅器と、
前記電流出力型演算増幅器の各出力電流を加算し、加算結果に対応した信号を出力する加算手段とを具備し、
前記電流出力型演算増幅器が、
前記複数の出力端に各々出力電流を供給する複数の電界効果トランジスタと、
ソースが接地された第1のトランジスタと、ソースが接地された第2のトランジスタとを備え、前記入力信号に比例した電流を前記複数の電界効果トランジスタに流すのに必要なゲート電圧を各電界効果トランジスタに供給するカレントミラー手段と、
ゲートが抵抗を介して前記入力端に接続され、ドレインが前記第1のトランジスタのドレイン及びゲート並びに前記第2のトランジスタのゲートに接続された第3のトランジスタと、
ドレインが前記第2のトランジスタのドレインに接続され、ゲート電圧が所定の基準レベルに固定され、ソースが前記第3のトランジスタのソースと共に第1の定電流源に接続されたた第4のトランジスタと、
ドレインが第2の定電流源に接続されると共に前記第3のトランジスタのゲートに接続され、ゲートが前記第2のトランジスタのドレインに接続され、ソースが接地された第5のトランジスタと、
前記複数の電界効果トランジスタの少なくとも一部のものに直列接続され、制御信号により選択的にオン/オフ切り換えが行われる1または複数のスイッチング素子と
を具備することを特徴とするゲイン調整回路。
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JP (1) | JP3931401B2 (ja) |
-
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- 1997-11-04 JP JP30218497A patent/JP3931401B2/ja not_active Expired - Fee Related
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