JP3931309B2 - コンデンサ用誘電体ポリエステルフィルムおよびプラスチックフィルムコンデンサ - Google Patents

コンデンサ用誘電体ポリエステルフィルムおよびプラスチックフィルムコンデンサ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はコンデンサ用誘電体ポリエステルフィルム及びこれを誘電体として用いたプラスチックフィルムコンデンサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ポリエステルフィルムにポリエステルからなる塗布層を設けたコンデンサ用誘電体フィルム及びそれを用いたコンデンサが、例えば特公平3−12447号公報で、知られている。また、特開昭63−140511にはコンデンサーの外装用フィルムとして、イソフタル酸を共重合したポリエステルを共押し出しにより積層したフィルムが知られている。
【0003】
アルミニウム蒸着フィルムとポリエステルコーティングフィルム(コンデンサ用誘電体フィルム)を交互にし巻き回したコンデンサにおいて、前記2種のフィルムを完全に密着させる必要がある。すなわち、アルミニウム蒸着フィルムとポリエステル系樹脂をコーティングしたフィルムとの密着力の向上は、巻回した後のたとえばエポキシ樹脂等の含浸剤のアルミニウム蒸着面への浸潤を防止し、最終製品の歩留まりとともに、コンデンサの寿命を向上させるものである。
【0004】
一般に密着力を向上させるためには、コーティングする塗料の軟化点温度をできるだけ低くし、100℃〜200℃で熱圧着させる方法がとられ、このために種々のジカルボン酸成分やグリコール成分を共重合したポリエルテル系塗料が使用されている。
【0005】
しかしながら従来技術では、熱圧着の際温度を高くしても充分な密着力を得ることができず、製品性能を低下させていた。また、塗料をコーティングした後、常温で長時間放置しておくとポリエステル樹脂コーティング層とポリエステルベースフィルム間で、あるいは、ベースフィルムの両面に塗布を行った場合ポリエステル樹脂コーティング層間で、ブロッキング現象をしばしば起こしトラブルの原因となっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の課題は、低温の熱圧着でアルミニウム蒸着フィルムと高い密着力を有し、ポリエステル樹脂コーティング層とポリエステルベースフィルム間で、あるいは、ベースフィルムの両面に塗布を行った場合ポリエステル樹脂コーティング層間で、ブロッキング現象を起こすことのないコンデンサ誘電体ポリエステルフィルムを提供せんとするものである。また、本発明の他の課題は、かかるコンデンサ用誘電体ポリエステルフィルムを用いてなるプラスチックフィルムコンデンサを提供せんとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決すべく検討した結果、本発明者らは、ポリエステル系塗料の主成分であるポリエステル樹脂の構造、組成を特定の範囲とすることにより、低温の熱圧着で高い密着力が得られることを見い出した。すなわち片面または両面に塗布されるポリエステル系塗料の主成分であるポリエステル樹脂のジカルボン酸成分のうち60モル%以上がベンゼン環を有する芳香族カルボン酸であり、かつ前記ポリエステル樹脂のジオール成分のうちエチレングリコールの比率が30〜90モル%であり、エチレングリコール以外のジオール成分が分子量200以下のポリアルキレングリコールまたは脂肪族2価アルコールを含むことにより、熱圧着時のポリエステル樹脂の結晶性が著しく低下するため、ポリエステル樹脂塗布膜とベースフィルムあるいはアルミニウム蒸着膜との密着力を強固なものとなることを見い出した。
【0008】
すなわち、前記した本発明の課題は、下記の構成を有する本発明によって工業的に有利に達成された。
【0009】
[1]ポリエステルフィルムの片面または両面に、有機溶剤に溶解したポリエステル系塗料をコーティングしたコンデンサ用誘電体ポリエステルフィルムであって、ポリエステル系塗料をコーティングしたフィルム中の有機溶剤の含有量を0.1ppm以上、3.0ppm以下とし、該ポリエステル系塗料を構成するポリエステル樹脂のジカルボン酸成分のうち60モル%以上がベンゼン環を有する芳香族カルボン酸であり、かつ前記ポリエステル樹脂のジオール成分のうちエチレングリコールの比率が30〜90モル%であり、エチレングリコール以外のジオール成分が分子量1000以下のポリアルキレングリコールまたは炭素数3以上12以下の脂肪族2価アルコールを含むことを特徴とするコンデンサ用誘電体ポリエステルフィルム。
【0010】
[2]前記ポリエステル樹脂を構成するジオール成分のうちエチレングリコールの比率が40〜70モル%であり、エチレングリコール以外のジオール成分が分子量1000以下のポリアルキレングリコールまたは炭素数3以上12以下の脂肪族2価アルコールであることを特徴とする前記[1]項に記載のコンデンサ用誘電体ポリエステルフィルム。
【0011】
[3]前記ポリエステル樹脂を構成するエチレングリコール以外のジオール成分がジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールより選ばれる少なくとも1種類の2価アルコールを全ジオール成分に対して5〜50モル%含むことを特徴とする前記[1]項または[2]項に記載のコンデンサ用誘電体ポリエステルフィルム。
【0012】
[4]前記ポリエステル樹脂を構成するエチレングリコール以外のジオール成分が炭素数3以上12以下の脂肪族2価アルコールを全ジオール成分に対して5〜50モル%含む含むことを特徴とする前記1項または3項に記載のコンデンサ用誘電体ポリエステルフィルム。
【0013】
[5]ポリエステルフィルムが厚さ2μm以上、20μm以下であって、テレフタル酸成分とエチレングリコールを主成分とするポリエステルのフィルムであることを特徴とする前記[1]〜[4]項のいずれかに記載のコンデンサ用誘電体ポリエステルフィルム。
【0014】
[6]前記ポリエステル系塗料により形成される塗膜のガラス転移点が0℃以上100℃以下であることを特徴とする前記[1]〜[5]項のいずれかに記載のコンデンサ用誘電体ポリエステルフィルム。
【0015】
[7]前記[1]〜[6]項のいずれかに記載のコンデンサ用誘電体ポリエステルフィルムを誘電体として用いたプラスチックフィルムコンデンサ。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0017】
本発明におけるポリエステルフィルムのポリエステルベースフィルムは、特に制限はないが、その構成単位の80モル%以上がエチレンテレフタレートであるポリエチレンテレフタレート、その構成単位の80モル%以上がエチレンナフタレートであるポリエチレンナフタレート、あるいはその構成単位の80モル%が1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレートであるポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレートであるのが好ましく、特に好ましいのはポリエチレンテレフタレートである。上記の優位構成成分以外の共重合成分としては、例えば、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのジオール成分、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ソジウムスルホイソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸及びそのエステル形成性誘導体などのジカルボン酸成分、オキシ安息香及びそのエステル形成性誘導体などのオキシモノカルボン酸などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、ポリエステルフィルムには、酸化チタン、カーボンなどの配合、フィルムの表面を粗面化するための酸化ケイ素、炭酸カルシウムなどが配合されていても良い。ポリエステルベースフィルムの融点は255℃よりも高いことが望ましい。
【0018】
本発明で使用するベースフィルム、すなわち、ポリエステル系塗料をコートするポリエステルフィルムの厚さは、2μm以上、20μm以下であることが好ましい。2μm以下では、十分なコンデンサ容量が得られにくく、20μm以上ではコンデンサが大きくなりすぎるという不都合がある。
【0019】
本発明におけるポリエステル系塗料とは、有機溶剤に溶解したポリエステル系樹脂からなる塗料であり、ポリエステル系樹脂を構成するポリエステル樹脂のジカルボン酸成分のうち60モル%以上がベンゼン環を有する芳香族カルボン酸であることが必要である。ベンゼン環を有する芳香族カルボン酸の比率が60モル%未満であるとポリエステル樹脂塗膜とベースフィルムとの接着性が低下する。ベンゼン環を有する芳香族カルボン酸のさらに好ましい比率は65モル%以上でありさらに好ましくは70モル%以上である。また、本発明においては前記ポリエステル樹脂のジオール成分のうちエチレングリコールの比率が30〜90モル%であり、エチレングリコール以外のジオール成分が分子量200以下のポリアルキレングリコールまたは脂肪族2価アルコールを含むことが必要であり、エチレングリコールの比率は好ましくは40〜85モル%、さらに好ましくは45〜75モル%である。エチレングリコールの比率が30%より低いと樹脂を塗布したあとフィルムを巻き取り長時間保存した場合にブロッキング現象を起こしやすく好ましくない。また、エチレングリコールの比率が90モル%を越えるとポリエステル樹脂の結晶性が高くなるために高温時の金属蒸着フィルムあるいは金属箔との密着性が低下する。エチレングリコール以外に必要なジオール成分としてはエチレングリコール以外のジオール成分が分子量1000以下のポリアルキレングリコールまたは脂肪族2価アルコールを含むことが必要であり、これらの成分は、熱圧着時のポリエステル樹脂の結晶性を低下させてアルミニウム蒸着膜との密着性を高める働きをする。上記ジオール成分の分子量が1000を越えるとポリエステル分子全体の運動性が上がるため、かえって結晶性が高くなり、好ましくない。また、上記グリコール成分以外の構成要素を必要に応じて共重合あるいはブレンドしても構わないが、本発明の逸脱しない共重合、ブレンド量の範囲は乾燥塗膜全重量に対して5%が上限である。
【0020】
また、本発明においては、常温で長期保存する際にフィルムロールがブロッキング現象を起こさないように、ベースフィルム上に塗布されるポリエステル系樹脂層のガラス転移点(Tg)は0℃以上であることが望ましい。また、このガラス転移点が100℃を越えると、前記ポリエステル樹脂層が剛直になりすぎて熱圧着時の密着性が低下する傾向があり好ましくない。ポリエステル樹脂のTgのさらに好ましい範囲は0℃以上50℃以下である。
【0021】
本発明におけるポリエステル系樹脂を構成する多価カルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、フタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2−カリウムスルホテレフタル酸、5−ソジウムスルホイソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、グルタル酸、コハク酸、トリメリット酸、トリメシン酸、無水トリメリット酸、無水フタル酸、p−ヒドロキシ安息香酸、トリメリット酸モノカリウム塩及びそれらのエステル形成性誘導体などを用いることができ、多価ヒドロキシ化合物としては、エチレングリコール以外に、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,5−ペンタジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、p−キシレングリコ−ル、ビスフェノールA−エチレングリコール付加物、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリテトラメチレンオキシドグリコール、ジメチロールプロピオン酸、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジメチロールエスルスルホン酸ナトリウム、ジメチロールプロピオン酸カリウムなどをもちいることができる。これらの化合物の中から、それぞれ適宜1つ以上選択して、ポリエステル系樹脂を常法の重合反応によって合成することができるが、本発明においては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸を全多価カルボン酸の60モル%以上用いられることが必要である。芳香族カルボン酸の比率が60モル%未満であるとポリエステルベースフィルムとの密着性が低下する。また、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、グルタル酸、コハク酸などの脂肪族カルボン酸も好適に用いられるがポリエステル樹脂のTgが0℃以上になる範囲に限られるため、実質的には40モル%未満の共重合量が限度である。本発明においては、これらのポリエステル樹脂を必要に応じてブレンドして用いても良い。また、耐ブロッキング性を特に必要とする場合、Tgが100℃を越えるポリマーを本発明の範囲を越えない程度にブレンドする場合もあるが、実質的には、乾燥塗膜の全重量にたいして10%が上限である。
【0022】
さらに、本発明においては多価ヒドロキシ化合物としてエチレングリコール以外に、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,5−ペンタジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどの炭素数3以上12以下の脂肪族2価アルコールまたはジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどの分子量1000以下のポリアルキレングリコールが共重合されているあるいは共重合されたポリエステルがブレンドされていることが必要である。炭素数13以上の脂肪族2価アルコールや分子量が1000を越えるポリアルキレングリコールでは、分子鎖のモビリティーが上がるためポリエステル樹脂の結晶性があがり、結果として、密着性が低下する。
【0023】
コートする塗料は、平均粒径が1μm以下の炭酸カルシウム、酸化ケイ素及び酸化アルミニウム等を、ポリエステル系樹脂に対して1重量%以上、20重量%以下配合することが好ましく、2重量%以上、15重量%以下がさらに好ましい。これらの添加剤を配合する目的は、ブッロキング防止効果の向上であり、配合することにより、より低い軟化点温度のポリエステル系樹脂を使用することができる。配合量が1重量%以下では、ブッロキング防止効果が不十分であり、20重量%を越えると、2次凝集粒子が増加し、コート面が粗面化し密着性能が低下する。
【0024】
本発明のポリエステル系塗料をコーティングしたポリエステルフィルムはアルミニウム蒸着フィルムとの密着が低温熱圧着で得られ、ブロッキングなどの不具合の発生率を低下させるため、フィルム中の有機溶剤の含有量を0.1ppm以上、3.0ppm以下にする。フィルム中の有機溶剤の含有量は、0.5ppm以上、2.0ppm以下とするのが好ましい。この範囲より含有量が少ない場合には、安定した密着力が得られにくくなり、逆に含有量が多い場合には、ブロッキングが発生しやすくなる。
【0025】
本発明で使用されるポリエステル系樹脂を溶解させる有機溶剤には、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン、シクロヘキサノンなどが挙げられるが、中でもトルエン、キシレンなどの芳香族系のものが好ましい。しかしながら、これに限定されるものではない。
【0026】
有機溶剤の量をコントロールする方法としては、塗料に使用する有機溶剤の種類、配合量及び、コーティング後の乾燥温度、乾燥速度等を調整する事により行うことができる。
【0027】
本発明の塗料をポリエステルフィルムに塗布する方法としては原崎勇次著、槙書店、1979年発行、「コーティング方式」に示されるリバースロールコーター、グラビアコーター、ロッドコーター、エアドクターコーターあるいはこれら以外の塗布装置を用いて、二軸延伸ポリエステルフィルム製造工程外で塗布液を塗布する方法、または、フィルム製造工程内で塗布する方法が挙げられる。
【0028】
本発明の塗料塗布は、ポリエステルフィルムの片面だけでもよく、その塗布量は0.1g/m2以上、1.0g/m2 以下とするのが好ましい。塗布量が0.1g/m2 未満では、均一な塗布量が得難いために製品に塗布ムラが生じやすくなるばかりでなく、密着力も低下する傾向があり1.0g/m2を超える場合には、密着力が飽和するばかりか、ブロッキングも発生しやすくなり実用的でなくなる。
【0029】
本発明は、ポリエステル系塗料をコーティングしたポリエステルフィルムと、金属化誘電体フィルムとの密着性を向上させるものであるが、本発明で使用する金属化誘電体フィルムとは、一般のポリエステルフィルムに金属を蒸着したフィルムであり、蒸着する金属としては、アルミニウム、パラジウム、亜鉛、ニッケル、金、銀、銅、インジウム、錫、クロム、チタンなどが挙げられるが、最も好ましい金属はアルミニウム(Al)である。金属蒸着膜の厚さは、10〜5000オングストロームの範囲が好ましい。蒸着の方法は、一般的には真空蒸着法によるが、エレクトプレーティング法、スパッタリング法などの方法によっても良い。なお、金属蒸着層はポリエステルフィルムの両面に設けても良い。
【0030】
本発明は、ポリエステル系塗料をコーティングしたポリエステルフィルムと、金属化誘電体フィルムとの密着性を向上させるものであるが、コンデンサは、その2枚のフィルムの金属化面と塗料コーティング面が接するように重ね合わせたものを一対とし、巻回してコンデンサ素子を作るが、多数積層して作っても良い。コンデンサ素子は、定法に従って、例えば熱プレス、テーピング、メタリコン、電圧処理、両端封止、リード線取り付けなどを行ってコンデンサとすることができるが、これらに限定されるものではない。
【0031】
【実施例】
以下本発明を実施例により、さらに詳細に説明する。なお、実施例中の物性は次のようにして測定した。
【0032】
(A)ポリエステル樹脂のガラス転移点(Tg)
繊維、高分子測定法の技術(繊維学会編)に準じて示差走査熱量計(DSC)を用いて測定した。
【0033】
(B)フィルムの密着力
ポリエステル系塗料をコートしたフィルムを幅50mm、長さ200mmにカットする。このフィルムの塗布層側に、同じく幅50mm、長さ200mmにカットしたアルミニウム蒸着フィルムを重ね合わせ、120℃±2℃平面熱板上、2100gのシリコンゴムロールで100mm/分の速度で試料を熱圧着後、試料幅を25mmとし、万能引っ張り試験機で、引っ張り速度300m/分で密着力を測定した。
【0034】
(C)ブロッキング評価
50mm角にカットしたサンプル10枚を、フィルム面と塗布面とが接するように重ね合わせ、ガラス板にてサンドイッチにして1g/cm2 の荷重を加え、30℃×7日の条件下に放置した。その後、シールしたフィルムを幅25mmにカットし、引張試験機にて180度方向に200mm/minで剥離したときの力を測定し、ブロッキング性の指標とした。この値が30g以下であれば実用的には問題ないが、好ましくは20g以下である。
【0035】
[実施例1]
メチルエチルケトン(以下MEKと略)40部、トルエン37部、平均粒径005μmの炭酸カルシウム3部とテレフタル酸とイソフタル酸を80:20のモル比で、またグリコール成分としてエチレングリコール60モル%、トリエチレングリコール40モル%を共重合したポリエチレンテレフタレート系共重合体(ポリエステル樹脂Aとする)120部を混合し、12時間、50℃で溶解させた。この塗料原液をAとする。この塗料原液にトルエン、キシレンを加え、実施例1〜4の水準で幅1000mmの12μmのポリエステルフィルムに、塗布量0.4g/m2を目標とし、100m/分のスピード、オーブン温度を入り口80℃、中140℃出口100℃にコントロールされた一般的なグラビアコーターを使用し、コート、乾燥し、表1に示す物性の誘電体を得た。
【0036】
[実施例2〜8、比較例1〜3]
実施例1におけるポリエステル樹脂を表1に示す種々のポリエステル樹脂に変更する以外は実施例1と同様にして塗料を調製し、塗布を行った。実施例6および7においては、実施例1と同様のポリエステル樹脂A100部に対してポリエステル樹脂Bとしてテレフタル酸(50モル%)イソフタル酸(50モル%)エチレングリコール(50モル%)ネオペンチルグリコール(50モル%)を共重合したものを20部ブレンドした。これらの誘電体の物性値を表1に示す。
【0037】
【表1】
Figure 0003931309
この表1から明らかな様に、本発明の範囲にあるものはいずれも高いレベルのアルミニウム蒸着膜との密着性を示すとともにブロッキングを起こしにくいことが分かる。
【0038】
【発明の効果】
ポリエステルフィルムの片面または両面にポリエステル系塗料をコーティングしたコンデンサ用誘電体ポリエステルフィルムにおいて、該ポリエステル系塗料を構成するポリエステル樹脂のジカルボン酸成分のうち60モル%以上がベンゼン環を有する芳香族カルボン酸であり、かつ前記ポリエステル樹脂のジオール成分のうちエチレングリコールの比率が30〜90モル%であり、エチレングリコール以外のジオール成分が分子量1000以下のポリアルキレングリコールまたは炭素数3以上12以下の脂肪族2価アルコールを含有させたことにより、コンデンサ誘電体用フィルムとアルミニウム蒸着フィルムとの密着性を高め、コンデンサ誘電体フィルムの巻き取り後の保存時のブロッキング現象を防止することができた。

Claims (7)

  1. ポリエステルフィルムの片面または両面に、有機溶剤に溶解したポリエステル系塗料をコーティングしたコンデンサ用誘電体ポリエステルフィルムであって、ポリエステル系塗料をコーティングしたフィルム中の有機溶剤の含有量を0.1ppm以上、3.0ppm以下とし、該ポリエステル系塗料を構成するポリエステル樹脂のジカルボン酸成分のうち60モル%以上がベンゼン環を有する芳香族カルボン酸であり、かつ前記ポリエステル樹脂のジオール成分のうちエチレングリコールの比率が30〜90モル%であり、エチレングリコール以外のジオール成分が分子量1000以下のポリアルキレングリコールまたは炭素数3以上12以下の脂肪族2価アルコールを含むことを特徴とするコンデンサ用誘電体ポリエステルフィルム。
  2. 前記ポリエステル樹脂を構成するジオール成分のうちエチレングリコールの比率が40〜70モル%であり、エチレングリコール以外のジオール成分が分子量1000以下のポリアルキレングリコールまたは炭素数3以上12以下の脂肪族2価アルコールであることを特徴とする請求項1に記載のコンデンサ用誘電体ポリエステルフィルム。
  3. 前記ポリエステル樹脂を構成するエチレングリコール以外のジオール成分がジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールより選ばれる少なくとも1種類の2価アルコールを全ジオール成分に対して5〜50モル%含むことを特徴とする請求項1または2に記載のコンデンサ用誘電体ポリエステルフィルム。
  4. 前記ポリエステル樹脂を構成するエチレングリコール以外のジオール成分が炭素数3以上12以下の脂肪族2価アルコールを全ジオール成分に対して5〜50モル%含むことを特徴とする請求項1または3に記載のコンデンサ用誘電体ポリエステルフィルム。
  5. ポリエステルフィルムが厚さ2μm以上、20μm以下であって、テレフタル酸成分とエチレングリコールを主成分とするポリエステルのフィルムであることを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載のコンデンサ用誘電体ポリエステルフィルム。
  6. 前記ポリエステル系塗料により形成される塗膜のガラス転移点が0℃以上100℃以下であることを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載のコンデンサ用誘電体ポリエステルフィルム。
  7. 前記請求項1〜6いずれかに記載のコンデンサ用誘電体ポリエステルフィルムを誘電体として用いたプラスチックフィルムコンデンサ。
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