JP3930802B2 - データ伝送方法、データ伝送装置およびデータ伝送システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、データ伝送方法、データ伝送装置およびデータ伝送システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、テレビ電話等のリアルタイム映像通信方式として、ITU−T(国際電気通信連合−電気通信標準化部門)で標準化されたH.32xシリーズが知られている。この方式は、入力された複数のデータ、例えば映像データや音声データを、一つのデータに結合して通信を行うものである。また、このH.32xシリーズにおいては、様々な拡張モデルが規定されており、そのうちの一つであるH.324 AnnexHにおいては、複数の回線(チャネル)を利用して一つのデータを伝送するマルチリンク通信について規定されている。このH.324 AnnexHに関する技術は、例えば、非特許文献1に開示されている。
【0003】
図9を参照して、H.324 AnnexHを採用して映像・音声データの処理を行うための機能構成を説明する。映像符号化部J1は、入力映像をMPEG4等の映像符号化方式を用いて符号化する。音声符号化部J2は、入力音声をAMR等の音声符号化方式を用いて符号化する。通信制御部J3は、H.245で規定されたメッセージを用いて、通信機器同士の能力交換等の通信システムにおける制御を行う。多重化部J4は、H223方式による多重化処理を採用し、映像・音声データを1つの多重化データに変換するモバイルマルチリンク部J5は、変換された多重化データに対して、AnnexHによるマルチリンク処理を施し、多重化データを複数に分割する。
【0004】
次に、図10を参照して、モバイルマルチリンク部J5におけるマルチリンク処理の手順を説明する。まず、多重化データD1をSS(Sampling Size)バイト単位に分割し、伝送する回線用のバッファに順次振り分ける。SSバイトのデータがSPF(Sample Per Frame)個たまった時点で、それらのデータに対して同期フラグF、ヘッダ情報Hおよびヘッダ情報のCRC情報を付与してマルチリンクフレームMFを生成するとともに、このマルチリンクフレームMFを他の端末に伝送する。また、図11に示すように、ヘッダ情報Hには、フルヘッダ情報H1と圧縮ヘッダ情報H2とがある。これらのヘッダ情報Hには、マルチリンクフレームを伝送する回線の番号(CT)、マルチリンク通信用の伝送回線として使用される回線のうちCT値の最も大きい回線により当該マルチリンクフレームが伝送されることを示すフラグ(L)、マルチリンクフレームを伝送する順番を示す番号(SN)、マルチリンクフレームの種類を示すフラグ(FT)が含まれる。また、フルヘッダ情報H1には、さらに、SSおよびSPFの大きさが含まれる。
【0005】
また、モバイルマルチリンク部J5において行われる分割したデータの復元処理の手順について説明する。まず、各回線ごとに同期フラグを検索し、同期フラグが検出された場合には、その直後にあるヘッダ情報のSNとLを参照する。このとき各回線のSNが同じであれば、そのマルチリンクフレームは同じタイミングで伝送されたデータであると判断できる。また、Lのフラグが“ON”状態であれば、その回線が最終の回線であることがわかる。このようにして、各回線から伝送されたデータの同期をとり、各回線により分割して伝送された多重化データを元の多重化データに復元することができる。なお、SNは0から7までの値しか取れないため、伝送遅延の大きさによっては同期がとれないこともある。このため、SSやSPFの値は通信環境や受信側のバッファサイズを考慮にいれて設定される。また、元の多重化データに復元された後は、H.223方式に従って、映像データ、音声データおよびH.245の各データに分割され、それぞれ復号される。そして、復号された各データを同時に再生することにより、リアルタイムの映像通信が可能となる。
【0006】
ところで、上述したH.324 AnnexHに基づいてマルチリンク通信を行っている際に、いずれかの回線で障害が発生した場合には、障害が発生した回線により伝送されたデータを正常に受信することができなくなるため、受信側において結合される伝送データに誤りが生じてしまうという問題がある。また、いずれかの回線で障害が発生することにより、伝送遅延が発生してしまい、受信側において結合される伝送データに誤りが生じてしまうという問題もある。そこで、前者の問題に対しては、例えば、H.324 AnnexHでは、ある回線から受信したヘッダ情報に誤りがあることを発見した場合には、このヘッダ情報の替りに、正常なヘッダ情報を有する他の回線から受信したヘッダ情報を利用することにより、複数の回線から受信したデータ本体を結合している。これは、一般に、同じ時期に受信した各回線のヘッダ情報は、ほぼ同じ内容になることを利用したものである。また、後者の問題に対しては、受信バッファを大きくすることで、ある程度は伝送遅延による影響を解消することができる。
【0007】
【非特許文献1】
「ITU-T Recommendation on CD-ROM」,Disc-2,T-REC-H.324-200011-I!AnnH!MSW-E.zip,2000年11月(zipファイル)2000年3月(CD-ROM)
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、伝送データのデータ本体に誤りが発生した場合には、他のヘッダ情報を利用して複数の回線から受信したデータを結合することはできても、結合した後のデータには誤りが含まれてしまう。また、受信バッファを越える遅延が発生した場合には、本来結合されるべきではないデータが結合されてしまい、データを正確に復号することができなくなる。これらの事態が発生すると、高能率符号化されている映像・音声データが含まれている伝送データの復号が不完全となり、再生映像や音声に障害が発生する。特に、MPEG4などの映像符号化方式を用いた場合には、時間方向の予測を行っているため、不完全な復号による誤りが予測により伝搬されてしまい映像への障害の影響が長期間にわたって継続してしまう原因となる。したがって、マルチリンク通信の際に用いられるいずれかの回線に障害が発生した場合には、通信における品質の低下を防止するために、障害が発生した回線をマルチリンク通信の対象から除外する必要がある。
【0008】
ところが、H.324 AnnexHによるマルチリンク通信では、複数ある回線のうち、どの回線に障害が発生したのかを判別することができないため、障害が発生した回線を除外するためには、付加回線を全て切断して、複数の回線によるマルチリンク通信から単一の回線による通信に変更しなければならなかった。このため、マルチリンク通信において回線に障害が発生した場合には、通信における品質が急激に低下しやすいという問題があった。
【0009】
そこで、本発明は、上述した課題を解決するために、回線に障害が発生した場合でも通信における品質の低下を極力抑えることができる、データ伝送方法、データ伝送装置およびデータ伝送システムを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明のデータ伝送方法は、送信側の端末で、マルチリンク通信の対象となるデータを分割し、当該分割したデータを複数の伝送路に振り分けて送信するとともに、受信側の端末で、前記複数の伝送路に振り分けて送信されたデータを受信し、当該受信したデータを結合するデータ伝送方法であって、伝送路ごとの伝送実績に基づいて、当該伝送路ごとにデータの送受信を制御し、その制御は、受信側の端末においては、伝送実績に基づいて伝送路に異常があると判定すると、当該伝送路が異常であることを示す信号を送信側の端末に送信させ、当該送信側の端末においては、当該異常であることを示す信号に基づいて、異常であると示された伝送路における分割したデータの送信を停止させると共に、異常であると示された伝送路を利用して所定パターンのデータを受信側の端末に送信させ、受信側の端末においては、受信した所定パターンのデータが正常である場合には、異常であると示された伝送路におけるデータの送信を再開させることを示す信号を送信側の端末に送信させ、送信側の端末においては、当該再開させることを示す信号に基づいて、異常であると示された伝送路における分割したデータの送信を再開させることを特徴とする。
【0012】
さらに、本発明のデータ伝送システムは、第1のデータ伝送装置と第2のデータ伝送装置との間でデータを送受信するデータ伝送システムであって、第1のデータ伝送装置は、マルチリンク通信の対象となるデータを分割する分割手段と、分割手段により分割されたデータを複数の伝送路に振り分けて第2のデータ伝送装置に送信する送信手段とを備え、第2のデータ伝送装置は、第1のデータ伝送装置から複数の伝送路に振り分けて送信されたデータを受信する受信手段と、受信手段により受信されたデータを結合する結合手段と、結合されたデータに基づいて、伝送路ごとの伝送実績に基づいて前記伝送路に異常があるか否かを判定する判定手段と、判定手段による判定に基づいて、伝送路ごとにデータの送受信を制御する送受信制御手段とを備え、第2のデータ伝送装置の送受信制御手段は、判定手段によって伝送路に異常があると判定されると、当該伝送路が異常であることを示す信号を前記第1のデータ伝送装置に送信させ、第1のデータ伝送装置の送信手段は、異常であることを示す信号に基づいて、異常であると示された伝送路における分割されたデータの送信を停止させると共に、異常であると示された伝送路を利用して所定パターンのデータを第2のデータ伝送装置に送信させ、第2のデータ伝送装置の送受信制御手段は、受信した所定パターンのデータが正常である場合には、異常であると示された伝送路におけるデータの送信を再開させることを示す信号を前記第1のデータ伝送装置に送信させ、第1のデータ伝送装置の送信手段は、再開させることを示す信号に基づいて、異常であると示された伝送路における分割されたデータの送信を再開させることを特徴とする。
【0013】
これらの発明によれば、伝送路ごとの伝送実績に基づいて、当該伝送路ごとにデータの送受信を制御することができるため、例えば、いずれかの伝送路に障害が発生した場合でも当該伝送路以外の伝送路ではマルチリンク通信の対象となるデータの送受信を継続して行うことができ、通信における品質の低下を極力抑えることができる。さらに、異常であることが判明した伝送路におけるデータの送信が停止させられるため、いずれかの伝送路に異常が発生した場合でも当該伝送路以外の伝送路ではデータの送受信を継続して行うことができる。さらに、異常であると判断された伝送路を介して受信される所定パターンのデータが正常であれば、一旦停止された伝送路におけるデータの送信が再開されるため、一部の伝送路を停止したことによる通信能力の低下を回復させることができる。
【0020】
本発明のデータ伝送方法において、伝送実績は、伝送路ごとの異常の発生頻度、あるいは各伝送路間における伝送遅延差であることが好ましい。
【0021】
このようにすれば、伝送路ごとの異常の発生頻度、あるいは各伝送路間における伝送遅延差に基づいて、当該伝送路ごとにデータの送受信を制御することができる。したがって、いずれかの伝送路に異常が発生した場合でも当該伝送路以外の伝送路ではデータの送受信を継続して行うことができる。また、いずれかの伝送路に遅延が発生した場合でも当該伝送路における遅延を解消させることができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る装置の各実施形態を図面に基づき説明する。なお、各図において、同一要素には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0031】
[第1実施形態]
まず、本発明の第1実施形態について説明する。図1は、第1実施形態におけるデータ伝送装置1の機能構成を例示する図である。図1に示すように、データ伝送装置1は、データ入出力部11と、多重部12Aと、分離部12Bと、マルチリンクフレーム構成部13Aと、マルチリンクフレーム復号部13Bと、判定部14と、回線入出力部15とを有する。このようなデータ伝送装置1としては、例えば、テレビ会議システムやテレビ電話システム等に用いられるマルチメディア通信用端末がある。また、第1実施形態におけるデータ伝送装置1は、ITU-Tにおいて標準化されたH.324 AnnexHを採用している。
【0032】
データ入出力部11は、映像符号化部11Aaと、映像復号部11Abと、音声符号化部11Baと、音声復号部11Bbと、通信制御部11Cとを有している。映像符号化部11Aaは、映像符号化方式としてITU-TのH.263またはISO/IECのMPEG(Moving a Picture Experts Group)-4を採用しており、データ伝送装置1に入力された映像データをMPEG-4により符号化する。映像復号部11Abは、映像符号化方式としてITU-TのH.263または、ISO/IECのMPEG-4を採用しており、データ伝送装置1から出力される映像データをMPEG-4 により復号化する。音声符号化部11Baは、音声符号化方式としてITU-TのG.723.1またはAMR(Adaptive Multi-Rate)を採用しており、データ伝送装置1に入力された音声データをAMRにより符号化する。音声復号部11Bbは、音声符号化方式としてITU-TのG.723.1またはAMRを採用しており、データ伝送装置1から出力される音声データをAMRにより復号化する。このように復号化された映像データおよび音声データを同時に再生することにより,リアルタイムの映像通信が可能となる。
【0033】
通信制御部11Cは、メッセージ生成部11CAと、メッセージ認識部11CBと、H245処理部11CCと、SRP処理部11CDとを有している。メッセージ生成部11CAは、“Stop-Channel”メッセージ、“Restart-Channel”メッセージ、“Delay-Channel”メッセージ等の各種のメッセージ(信号)を生成する。ここで、“Stop-Channel”メッセージには、回線(チャネル;伝送路)が異常であることを示すコードと、異常が判明した回線の回線番号(CT)とが含まれる。“Restart-Channel”メッセージには、回線が回復したことを示すコードと、回復が判明した回線の回線番号(CT)とが含まれる。“Delay-Channel”メッセージには、特定の回線が遅延していることを示すコードと、遅延が判明した回線の回線番号(CT)と、遅延量とが含まれる。
【0034】
メッセージ認識部11CBは、他のデータ伝送装置から受信したデータの中に“Stop-Channel”メッセージ、“Restart-Channel”メッセージ、“Delay-Channel”メッセージ等が含まれていることを認識した場合に、当該メッセージに含まれる回線番号等を回線入出力部15に通知する。
【0035】
H245処理部11CCは、ITU-TのH.245を採用しており、例えば、回線の割り当て処理やメッセージの交換処理等、他のデータ伝送装置1との間で行われるマルチメディア通信に関する各種の処理を行う。SRP処理部11CDは、ITU-TのH.324で規定されている再送手順プロトコルであるSRP(Simple Retransmission Protocol)を採用しており、NSRP(Numbered SRP)やCCSRL(Control Channel Segmentation and Reassembly Layer)手順を用いて伝送エラー時におけるデータの再送処理を行う。
【0036】
多重部12Aは、ITU-TのH.223(H.223 AnnexA,H.223 AnnexBでもよい)を採用しており、データ入出力部11において符号化された映像データや音声データ等を一つのデータに多重化して多重化データを生成するとともに、生成した多重化データをマルチリンクフレーム構成部13Aに送信する。また、分離部12Bは、ITU-TのH.223(H.223 AnnexA,H.223 AnnexBでもよい)を採用しており、マルチリンクフレーム復号部13Bにおいて結合された多重化データを映像データや音声データ等に分離するとともに、分離した映像データや音声データ等をデータ入出力部11に送信する。
【0037】
マルチリンクフレーム構成部13Aは、ITU-TのH.324 AnnexHを採用しており、多重部12Aにおいて多重化された多重化データを、マルチリンク通信により通信可能な回線の数に応じて分割する(分割処理)。また、マルチリンクフレーム復号部13Bは、複数の回線を介して他のデータ伝送装置から受信したデータを1つのデータに結合して多重化データを復元する(結合処理)。この分割処理および結合処理の詳細については後述する。
【0038】
判定部14は、他のデータ伝送装置から受信したマルチリンクフレームに含まれるヘッダ情報に基づいて各回線に異常があるか否かを判定する。具体的に説明すると、例えば、他のマルチリンクフレームのヘッダ情報と比較してヘッダ情報に誤りがあると判断される頻度や、ヘッダ情報のCRC情報に含まれる異常を示すデータの発生頻度等の伝送実績に基づいて、各回線に異常があるか否かを判定する。また、判定部14は、他のデータ伝送装置から受信した各回線のマルチリンクフレームに基づいて、各回線に伝送遅延が発生したか否かを判定する。具体的に説明すると、例えば、各回線ごとにマルチリンクフレームが受信された時間により判明する各回線間における伝送遅延差等の伝送実績に基づいて、各回線に伝送遅延が発生したか否かを判定する。
【0039】
回線入出力部15は、特定の回線を、マルチリンク通信の対象となる回線から除外する制御や、当該回線に付加する制御を行う。また、回線入出力部15は、遅延している回線から送信するデータを他の回線よりも遅延量分だけ早めに送信するように制御する。なお、遅延している回線以外から送信するデータを遅延している回線よりも遅延量分だけ遅らせて送信するように制御してもよい。
【0040】
なお、データ伝送装置1の機能構成は、図1に示した構成に限られない。例えば、データ伝送送信装置として、映像符号化部11Aaと、音声符号化部11Baと、通信制御部11Cと、多重部12Aと、マルチリンクフレーム構成部13Aと、判定部14と、回線入出力部15とを有することとしてもよい。また、データ伝送受信装置として、映像復号部11Abと、音声復号部11Bbと、通信制御部11Cと、分離部12Bと、マルチリンクフレーム復号部13Bと、判定部14と、回線入出力部15とを有することとしてもよい。
【0041】
次に、図2を参照して上述したマルチリンク部13の分割処理について説明する。まず、マルチリンクフレーム構成部13Aは、多重部12Aにおいて多重化されたデータD1をSS(Sampling Size)バイト単位に分割する。次に、マルチリンクフレーム構成部13Aは、SS(Sampling Size)バイト単位に分割したデータを、複数の伝送回線CH1〜CHn(nは8以下の正の整数)に順次振り分ける。マルチリンクフレーム構成部13Aは、各伝送回線CH1〜CHnに振り分けたSSバイトのデータが、SPF(Sample Per Frame)個になった時点で、当該伝送回線に振り分けたSPF個のデータ(SSバイト)を一組(以下、ペイロードPLという。)にする。そして、マルチリンクフレーム構成部13Aは、当該ペイロードPLに対応する同期フラグFやヘッダ情報Hを付与して、一つのマルチリンクフレームMFを生成する。つまり、マルチリンクフレームMFには、同期フラグF、ヘッダ情報H、およびSSバイト×SPF個からなるペイロードPLが含まれる。マルチリンクフレーム構成部13Aは、生成したマルチリンクフレームMFを、当該マルチリンクフレームMFに対応する伝送回線を介して他のデータ伝送装置に対して送信する。このような分割処理を行うことにより、1つの多重化データを複数の回線に分割して伝送することが可能になる。
【0042】
ここで、図3にヘッダ情報の概念図を例示し、この図を参照してヘッダ情報について説明する。ヘッダ情報Hには、フルヘッダ情報H1と圧縮ヘッダ情報H2とがある。フルヘッダ情報H1の1バイト目には、当該フルヘッダ情報H1を含むマルチリンクフレームMFを伝送する回線の番号(CT:Channel Tag)と、当該マルチリンクフレームMFを伝送する順番を示す番号(SN:Serial Number)と、マルチリンク通信用の伝送回線として使用される回線のうち上記CT値の最も大きい回線により当該マルチリンクフレームMFが伝送されることを示すフラグ(L:Last)と、当該マルチリンクフレームMFの種類を示すフラグ(FT:Frame Type)とが記憶される。マルチリンクフレームMFの種類としては、制御データ用のマルチリンクフレームMFと、映像・音声等の一般データ用のマルチリンクフレームMFとがある。フルヘッダ情報H1の2バイト目には、マルチリンクフレームMFに格納される分割データの1個分の大きさを示すSS(バイト数)が記憶される。フルヘッダ情報H1の3バイト目には、一のマルチリンクフレームMFに格納される分割データの個数を示すSPF(個数)が記憶される。フルヘッダ情報H1の4〜5バイト目には、ヘッダ情報Hが正常に伝送されたか否かを示すCRC(Cyclic Redundancy Check)情報が記憶される。一方、圧縮ヘッダ情報H2の1バイト目には、上述したCT、SN、LおよびFTが記憶され、2バイト目には、CRC情報が記憶される。なお、圧縮ヘッダ情報H2に含まれていないSSおよびSPFに関しては、前のマルチリンクフレームMFに含まれるSSおよびSPFを用いることになる。前のマルチリンクフレームMFとSSおよびSPFが同じである場合には、SSおよびSPFを省略した圧縮ヘッダ情報H2を用いることによりデータの縮減を図ることが可能となる。また、マルチリンクフレームMFの同期フラグには、ヘッダ情報Hがフルヘッダ情報H1または圧縮ヘッダ情報H2のいずれかであることを示す2種類のフラグがある。
【0043】
次に、図4を参照して上述したマルチリンクフレーム復号部13Bの結合処理について説明する。なお、説明を簡略化するために、マルチリンク通信を、2つの回線CH1,CH2で行う場合について説明する。また、図4に示す各マルチリンクフレームMFには、マルチリンクフレームMFが伝送された順番を示す番号(SN)が便宜的に表示されており、SNとして0〜7までの数字が割り振られている。また、回線CH1のLは、OFF状態となり、回線CH2のLは、ON状態となる。これは、回線CH1の回線番号(CT)が“1”であり、回線CH2の回線番号(CT)が“2”であるため、CTの値が最も大きい回線となる回線CH2のLがON状態に設定されるためである。
【0044】
まず、受信側JGのデータ伝送装置1のマルチリンクフレーム復号部13Bは、回線CH1,CH2ごとに同期フラグFを検索する。次に、マルチリンクフレーム復号部13Bが、回線CH1,CH2ごとに同期フラグFを検出した場合に、検出した同期フラグFの直後に続くヘッダ情報Hに含まれるSNとLを参照する。マルチリンクフレーム復号部13Bは、ヘッダ情報Hに含まれるSNとLを参照した結果、回線CH1と回線CH2のSNが同一となるマルチリンクフレームMF同士を、送信側SGのデータ伝送装置1から同じタイミングで送信されたマルチリンクフレームMFであると判断する。具体的に説明すると、図4に示すように伝送回線CH1と伝送回線CH2との間に遅延差(D2−D1)が発生している場合に、受信側JGのデータ伝送装置1のマルチリンクフレーム復号部13Bは、伝送開始からD1[msec]後に回線CH1でSNが“0”であるマルチリンクフレームMFの同期フラグFを検出し、伝送開始からD2[msec]後に回線CH2でSNが“0”であるマルチリンクフレームMFの同期フラグFを検出する。この場合に、マルチリンクフレーム復号部13Bは、これらのマルチリンクフレームMF同士を送信側SGのデータ伝送装置1から同じタイミングで送信されたマルチリンクフレームMFであると判断する。また、受信側JGのデータ伝送装置のマルチリンクフレーム復号部13Bは、LがON状態である回線が、マルチリンク通信用の伝送回線として使用される回線のうちCT値の最も大きい回線、すなわちマルチリンク通信用の最後の伝送回線であると判断する。このように、各回線CH1,CH2のマルチリンクフレームMFの同期を取ることにより、各回線CH1,CH2から受信したデータを一の多重化データに結合することができる。すなわち、同期の取れた各マルチリンクフレームMFに含まれる分割データを、回線番号(CT)の順番にしたがって、SSバイトずつ交互に結合していくことにより、各回線CH1,CH2から受信したデータを一の多重化データに結合することができる。これにより、送信側SGのデータ伝送装置において分割された多重化データを元の多重化データに復元することができる。なお、本実施形態におけるSNは、図3に示すように3ビット分の領域が割り当てられているため、0から7までの8つの番号だけでマルチリンクフレームMFを識別することとなる。したがって、8つの番号だけでは対応できなくなる程の伝送遅延が生じた場合には、各回線CH1,CH2のマルチリンクフレームMFの同期がとれなくなる。それゆえに、SSおよびSPFの値は、通信環境や受信側のバッファサイズを考慮して設定することが望ましい。
【0045】
次に、図5および図6を参照して第1実施形態におけるデータ伝送装置の動作を説明する。まず、受信側のデータ伝送装置において回線異常が判明した場合の動作について図5を参照して説明する。なお、ここで説明する動作は、送信側のデータ伝送装置と、受信側のデータ伝送装置との間で、マルチリンク通信用に割り当てられた複数の回線を利用して映像データや音声データ等の送受信が行われている際に、受信側のデータ伝送装置において回線異常が判明した場合に、それぞれの端末間において行われる動作である。
【0046】
まず、送信側のデータ伝送装置は、マルチリンク通信用に割り当てられた複数の回線を利用して、映像データおよび音声データ等を含むマルチリンクフレームMFを受信側のデータ伝送装置に送信する(ステップS1)。
【0047】
次に、受信側のデータ伝送装置の判定部14は、送信側のデータ伝送装置から受信したマルチリンクフレームMFに含まれるヘッダ情報HのCRC情報を参照して、回線に異常があるか否かを判定する。この判定の結果、回線に異常があると判定された場合(ステップS2)に、メッセージ生成部11CAは、“Stop-Channel”メッセージ(信号)を生成する。この“Stop-Channel”メッセージには、回線が異常であることを示すコードと、異常が判明した回線の回線番号(CT)とが含まれる。そして、メッセージ生成部11CAは、生成した“Stop-Channel”メッセージを送信側のデータ伝送装置宛に送信させる(ステップS3)。
【0048】
次に、送信側のデータ伝送装置のメッセージ認識部11CBは、受信側のデータ伝送装置から受信したデータの中に“Stop-Channel”メッセージが含まれていることを認識した場合には、当該メッセージに含まれる回線番号を回線入出力部15に通知する。そして、回線入出力部15は、通知された回線番号に対応する回線をマルチリンク通信の対象から除外する(ステップS4)。
【0049】
次に、送信側のデータ伝送装置のマルチリンクフレーム構成部13Aは、現時点においてマルチリンク通信用に割り当てられている複数の回線を利用して、映像データや音声データ等を受信側のデータ伝送装置に送信する。これと並行してマルチリンクフレーム構成部13Aは、H.324 AnnexHで定義されているStuffingModeにより、回線入出力部15により除外された回線を利用して所定パターンのデータを受信側のデータ伝送装置に送信し続ける(ステップS5)。ここで、StuffingModeとは、例えば、通信を行う端末間で各端末の能力に関する情報を交換する際に用いられる所定パターンのデータであるが、このデータ自体は何の意味も示さないデータである。
【0050】
次に、受信側のデータ伝送装置のメッセージ認識部11CBは、送信側のデータ伝送装置から受信したデータの中にStuffingModeにおける所定パターンのデータが含まれていることを認識した場合には、その旨を示す信号および当該データを伝送した回線番号を回線入出力部15に通知する。そして、回線入出力部15は、通知された回線番号に対応する回線をマルチリンク通信の対象から除外する(ステップS6)。次に、受信側のデータ伝送装置の判定部14は、マルチリンク通信の対象から除外された回線を介して受信される所定パターンのデータに誤りがあるか否かを判定する。この判定の結果、所定パターンのデータが正常であると判定された場合(ステップS7)に、メッセージ生成部11CAは、“Restart-Channel”メッセージを生成する。この“Restart-Channel”メッセージには、回線が回復したことを示すコードと、回復が判明した回線の回線番号(CT)とが含まれる。そして、メッセージ生成部11CAは、生成した“Restart-Channel”メッセージを送信側のデータ伝送装置宛に送信させる(ステップS8)。なお、受信側のデータ伝送装置の判定部14は、マルチリンク通信の対象から除外した回線を介して受信される所定パターンのデータに誤りがなくなるまでは、上記判定を繰り返すことになる。
【0051】
次に、送信側のデータ伝送装置のメッセージ認識部11CBは、受信側のデータ伝送装置から受信したデータの中に“Restart-Channel”メッセージが含まれていることを認識した場合には、当該メッセージに含まれる回線番号を回線入出力部15に通知する。そして、回線入出力部15は、通知された回線番号に対応する回線をマルチリンク通信の対象に付加する(ステップS9)。次に、送信側のデータ伝送装置のマルチリンクフレーム構成部13Aは、現時点においてマルチリンク通信用に割り当てられている複数の回線を利用して、映像データや音声データ等を受信側のデータ伝送装置に送信する(ステップS10)。
【0052】
次に、受信側のデータ伝送装置のメッセージ認識部11CBは、StuffingModeにおける所定パターンのデータが受信されなくなったことを認識した場合には、その旨を示す信号および当該データを伝送していた回線番号を回線入出力部15に通知する。そして、回線入出力部15は、通知された回線番号に対応する回線をマルチリンク通信の対象に付加する(ステップS11)。
【0053】
なお、ステップS3においては、回線に異常があると判定した受信側のデータ伝送装置が“Stop-Channel”メッセージを送信しているが、回線に異常がある場合の動作はこれに限られない。例えば、ある回線に異常があると判定した受信側のデータ伝送装置が、異常であると判定した回線からStuffingModeにおける所定パターンのデータを送信することとしてもよい。これにより、当該データを受信した送信側のデータ伝送装置は、当該データを伝送した回線に異常があることを認識することができる。
【0054】
以上のように、回線ごとに異常の有無が判定され、この判定結果にしたがって、異常が判明した回線をマルチリンク通信の対象から除外することができるため、いずれかの回線に異常が発生した場合でも当該回線以外の回線ではマルチリンク通信を継続して行うことができ、通信における品質の低下を極力抑えることができる。また、除外した回線から異常が解消した場合には、当該回線がマルチリンク通信の対象に付加されるため、一部の回線を除外したことによる通信能力の低下を回復させることができる。
【0055】
次に、受信側のデータ伝送装置において各回線ごとに受信しているデータ間に遅延が発生した場合の動作について図6を参照して説明する。なお、ここで説明する動作は、送信側のデータ伝送装置と、受信側のデータ伝送装置との間で、マルチリンク通信用に割り当てられた複数の回線を利用して映像データや音声データ等の送受信が行われている際に、受信側のデータ伝送装置において受信しているデータ間に遅延が発生した場合に、それぞれの端末間において行われる動作である。
【0056】
まず、送信側のデータ伝送装置は、マルチリンク通信用に割り当てられた複数の回線を利用して、映像データおよび音声データ等を含むマルチリンクフレームMFを受信側のデータ伝送装置に送信する(ステップS21)。
【0057】
次に、受信側のデータ伝送装置の判定部14は、送信側のデータ伝送装置から受信した各回線のマルチリンクフレームMFに基づいて、各回線に伝送遅延が発生したか否かを判定する。この判定の結果、ある回線に伝送遅延が発生したと判定された場合(ステップS22)に、メッセージ生成部11CAは、“Delay-Channel”メッセージを生成する。この“Delay-Channel”メッセージには、特定の回線が遅延していることを示すコードと、遅延が判明した回線の回線番号(CT)と、遅延量とが含まれる。そして、メッセージ生成部11CAは、生成した“Delay-Channel”メッセージを送信側のデータ伝送装置宛に送信させる(ステップS23)。
【0058】
次に、送信側のデータ伝送装置のメッセージ認識部11CBは、受信側のデータ伝送装置から受信したデータの中に“Delay-Channel”メッセージが含まれていることを認識した場合には、当該メッセージに含まれる回線番号および遅延量を回線入出力部15に通知する。回線入出力部15は、通知された回線番号に対応する回線をマルチリンク通信の対象から除外する(ステップS24)。そして、マルチリンクフレーム構成部13Aは、StuffingModeにより、回線入出力部15により除外された回線を利用して所定パターンのデータを受信側のデータ伝送装置に送信する(ステップS25)。これと並行して回線入出力部15は、通知された回線番号に対応する回線から送信されるデータが、他の回線から送信されるデータよりも遅延量分だけ早めに送信されるように送信バッファの設定を制御するとともに、当該通知された回線番号に対応する回線をマルチリンク通信の対象に付加する(ステップS26)次に、送信側のデータ伝送装置のマルチリンクフレーム構成部13Aは、マルチリンク通信用に割り当てられている複数の回線を利用し、回線入出力部15による遅延制御を反映させて映像データや音声データ等を受信側のデータ伝送装置に送信する(ステップS27)。
【0059】
次に、送信側のデータ伝送装置のマルチリンクフレーム構成部13Aは、現時点においてマルチリンク通信用に割り当てられている複数の回線を利用して、映像データや音声データ等を受信側のデータ伝送装置に送信する。これと並行してマルチリンクフレーム構成部13Aは、H.324 AnnexHで定義されているStuffingModeにより、回線入出力部15により除外された回線を利用して所定パターンのデータを受信側のデータ伝送装置に送信し続ける(ステップS5)。
【0060】
以上のように、回線ごとに遅延の有無が判定され、この判定結果にしたがって、遅延が判明した回線に対して遅延制御を行うことにより当該回線における遅延を解消させることができるため、通信における品質の低下を極力抑えることができる。
【0061】
[変形例]
なお、上述した第1実施形態では、回線に異常が判明した場合に、異常が判明した回線においてStuffingModeにおける所定パターンのデータを送信しているが、異常が判明した回線に対応する方法はこれに限られない。例えば、異常が判明した回線を切断することとしてもよい。図7を参照して、異常が判明した回線を切断する際に行われる切断処理の動作について説明する。
【0062】
まず、送信側のデータ伝送装置は、マルチリンク通信用に割り当てられた複数の回線を利用して、映像データおよび音声データ等を含むマルチリンクフレームMFを受信側のデータ伝送装置に送信する(ステップS31)。
【0063】
次に、受信側のデータ伝送装置の判定部14は、送信側のデータ伝送装置から受信したマルチリンクフレームMFに含まれるヘッダ情報HのCRC情報を参照して、回線に異常があるか否かを判定する。この判定の結果、回線に異常があると判定された場合(ステップS32)に、回線入出力部15は、異常が判明した回線を切断する(ステップS33)。次に、受信側のデータ伝送装置のマルチリンクフレーム構成部13Aは、現時点においてマルチリンク通信用に割り当てられている複数の回線を利用して、映像データや音声データ等を送信側のデータ伝送装置に送信する(ステップS34)。
【0064】
次に、送信側のデータ伝送装置の回線入出力部15は、受信側のデータ伝送装置において回線が切断されたことを検知する(ステップS35)と、当該回線以外のマルチリンク通信用の回線を利用して、映像データや音声データ等を受信側のデータ伝送装置に送信する(ステップS36)。
【0065】
次に、受信側のデータ伝送装置の回線入出力部15は、切断した回線を再接続するとともに、当該回線に異常がなければマルチリンク通信の対象に付加する(ステップS37)。なお、再接続した回線の状態を判定する方法は、上述した図5のステップS7において行われるStuffingModeにおける所定パターンのデータに誤りがあるか否かの判定により行えばよい。また、再接続をする処理は、回線を切断した後に直ちに開始するのが望ましい。マルチリンク通信においては、複数の回線を利用することにより通信能力を向上させているため、一部の回線を切断することによる通信能力の低下を極力防止する必要がある。したがって、一部の回線を切断した場合には、切断後直ちに再接続処理を開始することにより、通信能力が低下する期間を極力短縮することが可能となる。
【0066】
次に、受信側のデータ伝送装置のマルチリンクフレーム構成部13Aは、現時点においてマルチリンク通信用に割り当てられている複数の回線を利用して、映像データや音声データ等を送信側のデータ伝送装置に送信する(ステップS38)。これにより、送信側のデータ伝送装置では、切断された回線の回復を検知することができ(ステップS39)、送信側のデータ伝送装置と、受信側のデータ伝送装置との間で、マルチリンク通信用に割り当てられた全ての回線を利用して映像データや音声データ等の送受信が行われる(ステップS40)。
【0067】
また、上述した図5のステップS7において、所定の時間経過しても、送信側のデータ伝送装置から受信した所定パターンのデータに誤りがあると判定された場合には、上述した切断処理(図7参照)を行うこととしてもよい。
【0068】
以上のように、回線ごとに異常の有無が判定され、この判定結果にしたがって、異常が判明した回線を切断することができるため、いずれかの回線に異常が発生した場合でも当該回線以外の回線ではマルチリンク通信を継続して行うことができ、通信における品質の低下を極力抑えることができる。また、切断した回線で異常が解消した場合には、当該回線がマルチリンク通信の対象に付加されるため、一部の回線を切断したことによる通信能力の低下を回復させることができる。
【0069】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。まず、第2実施形態におけるデータ伝送装置の機能構成は、第1実施形態におけるデータ伝送装置の機能構成(図1参照)と同様であるので、各構成要素には同一の符合を付しその説明は省略すると共に、以下において第1実施形態との相違点について詳述する。
【0070】
第2実施形態におけるデータ伝送装置が、第1実施形態におけるデータ伝送装置と異なる点は、第1実施形態におけるデータ伝送装置では、ある回線に異常が発生した場合に当該回線をマルチ通信の対象から除外するのに対して、第2実施形態におけるデータ伝送装置では、回線異常の有無にかかわらず所定の回線をマルチ通信の対象から除外して当該回線が異常であるか否かの検査を行う点である。
【0071】
以下において、第2実施形態におけるデータ伝送装置1として特有の機能を有するメッセージ生成部11CA、メッセージ認識部11CBおよび回線入出力部15の機能について説明する。
【0072】
メッセージ生成部11CAは、第1実施形態における各種のメッセージに加えて“Check-Channel”メッセージ、“Next-Channel”メッセージを生成する。ここで、“Check-Channel”メッセージには、回線の検査を開始させることを示すコードが含まれ、“Next-Channel”メッセージには、次の回線の検査を開始させることを示すコードが含まれる。
【0073】
メッセージ認識部11CBは、第1実施形態における機能に加えて、“Check-Channel”メッセージや“Next-Channel”メッセージを受信した場合に、回線検査の対象となる回線の回線番号を回線入出力部15に通知する。ここで、回線検査の対象となる回線は、単一の回線であっても複数の回線であってもよい。また、回線検査の対象となる回線は回線番号順に割り当てることが望ましい。回線番号順に割り当てることにすれば、次に回線検査をする回線の回線番号を上記メッセージに含ませることなく検査対象を制御することができるからである。
【0074】
回線入出力部15は、第1実施形態における機能に加えて、検査対象となる回線を、マルチリンク通信の対象となる回線から除外する制御や、当該回線に付加する制御を行う。
【0075】
次に、図8を参照して第2実施形態におけるデータ伝送装置の動作を説明する。なお、ここで説明する動作は、送信側のデータ伝送装置と、受信側のデータ伝送装置との間で、マルチリンク通信用に割り当てられた複数の回線を利用して映像データや音声データ等の送受信が行われている際に、それぞれの端末間において行われる動作である。
【0076】
まず、送信側のデータ伝送装置は、マルチリンク通信用に割り当てられた複数の回線を利用して、映像データおよび音声データ等を含むマルチリンクフレームMFを受信側のデータ伝送装置に送信する(ステップS51)。
【0077】
次に、受信側のデータ伝送装置のメッセージ生成部11CAは、“Check-Channel”メッセージを生成する。この“Check-Channel”メッセージには、回線の検査を開始させることを示すコードが含まれる。そして、メッセージ生成部11CAは、生成した“Check-Channel”メッセージを送信側のデータ伝送装置宛に送信させる(ステップS52)。
【0078】
次に、送信側のデータ伝送装置のメッセージ認識部11CBは、受信側のデータ伝送装置から受信したデータの中に“Check-Channel”メッセージが含まれていることを認識した場合には、回線検査の対象となる回線の回線番号を回線入出力部15に通知する。そして、回線入出力部15は、通知された回線番号に対応する回線をマルチリンク通信の対象から除外する(ステップS53)。
【0079】
次に、送信側のデータ伝送装置のマルチリンクフレーム構成部13Aは、現時点においてマルチリンク通信用に割り当てられている複数の回線を利用して、映像データや音声データ等を受信側のデータ伝送装置に送信する。これと並行してマルチリンクフレーム構成部13Aは、H.324 AnnexHで定義されているStuffingModeにより、回線入出力部15により除外された回線を利用して所定パターンのデータを受信側のデータ伝送装置に送信し続ける(ステップS54)。
【0080】
次に、受信側のデータ伝送装置のメッセージ認識部11CBは、送信側のデータ伝送装置からStuffingModeにおける所定パターンのデータを受信した場合には、今回の回線検査の対象となる回線の回線番号を回線入出力部15に通知する。そして、回線入出力部15は、通知された回線番号に対応する回線をマルチリンク通信の対象から除外する(ステップS55)。次に、受信側のデータ伝送装置の判定部14は、マルチリンク通信の対象から除外された回線を介して受信される所定パターンのデータに誤りがあるか否かを判定する。この判定の結果、所定パターンのデータが正常であると判定された場合(ステップS56)に、メッセージ生成部11CAは、“Next-Channel”メッセージを生成する。この“Next-Channel”メッセージには、次に回線検査の対象となる回線の検査を開始させることを示すコードが含まれる。そして、メッセージ生成部11CAは、生成した“Next-Channel”メッセージを送信側のデータ伝送装置宛に送信させる(ステップS57)。なお、受信側のデータ伝送装置の判定部14により、マルチリンク通信の対象から除外した回線を介して受信される所定パターンのデータに誤りがあると判定された場合には、第1実施形態における図5のステップS3以降の処理を行う。
【0081】
次に、送信側のデータ伝送装置のメッセージ認識部11CBは、受信側のデータ伝送装置から受信したデータの中に“Next-Channel”メッセージが含まれていることを認識した場合には、その旨を示す信号および次に回線検査の対象となる回線の回線番号を回線入出力部15に通知する。そして、回線入出力部15は、前回通知された回線番号に対応する回線をマルチリンク通信の対象に付加するとともに、今回通知された回線番号に対応する回線をマルチリンク通信の対象から除外する。すなわち、回線入出力部15は、回線検査の対象となる回線を切り替える(ステップS58)。
【0082】
次に、送信側のデータ伝送装置のマルチリンクフレーム構成部13Aは、現時点においてマルチリンク通信用に割り当てられている複数の回線を利用して、映像データや音声データ等を受信側のデータ伝送装置に送信する。これと並行してマルチリンクフレーム構成部13Aは、回線入出力部15により除外された回線を利用して、StuffingModeにおける所定パターンのデータを受信側のデータ伝送装置に送信し続ける(ステップS59)。
【0083】
次に、受信側のデータ伝送装置のメッセージ認識部11CBは、StuffingModeにおける所定パターンのデータを受信する回線が切り替えられたことを検知した場合には、今回の回線検査の対象となる回線の回線番号を回線入出力部15に通知する。そして、回線入出力部15は、前回通知された回線番号に対応する回線をマルチリンク通信の対象に付加するとともに、今回通知された回線番号に対応する回線をマルチリンク通信の対象から除外する。すなわち、回線入出力部15は、回線検査の対象となる回線を切り替える(ステップS60)。次に、受信側のデータ伝送装置の判定部14は、マルチリンク通信の対象から除外された回線を介して受信される所定パターンのデータに誤りがあるか否かを判定する。この判定の結果、所定パターンのデータが正常であると判定された場合(ステップS61)に、メッセージ生成部11CAは、“Next-Channel”メッセージを生成し、この生成した“Next-Channel”メッセージを送信側のデータ伝送装置宛に送信させる(ステップS62)。そして、これ以降は、所定パターンのデータに誤りが発見されるまでは、上述したステップS58〜S62までの処理を繰り返し行う。一方、所定パターンのデータに誤りが発見された場合には、第1実施形態における図5のステップS3以降の処理を行う。
【0084】
なお、上述した第2実施形態では、回線検査を開始する際の契機として、“Check-Channel”メッセージおよび“Next-Channel”メッセージを送信しているが、回線検査を開始する際の契機は、これに限られない。例えば、各回線の接続時間が所定の時間経過するごとに回線検査を行ってもよいし、各回線の通信量が所定の通信量に到達するごとに回線検査を行ってもよい。また、受信データの復号化が失敗した場合に当該回線の検査を行ってもよいし、回線が新たに追加された場合に当該回線の検査を行ってもよい。すなわち、所定の取り決めにしたがって回線検査を開始すればよい。
【0085】
以上のように、メッセージ送信等の所定の取り決めにしたがって行われる回線ごとの検査により回線ごとに異常の有無が判定され、この判定結果にしたがって、異常が判明した回線をマルチリンク通信の対象から除外することができるため、いずれかの回線に異常が発生した場合でも当該回線以外の回線ではマルチリンク通信を継続して行うことができ、通信における品質の低下を極力抑えることができる。
【0086】
【発明の効果】
本発明に係るデータ伝送方法、データ伝送装置およびデータ伝送システムによれば、回線に障害が発生した場合でも通信における品質の低下を極力抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】各実施形態におけるデータ伝送装置の機能構成図である。
【図2】図1に示すデータ伝送装置のマルチリンクフレーム構成部の機能を説明するための図である。
【図3】ヘッダ情報の概念図である。
【図4】図1に示すデータ伝送装置のマルチリンクフレーム復号部の機能を説明するための図である。
【図5】第1実施形態におけるデータ伝送装置の動作を示すフローチャートである。
【図6】第1実施形態におけるデータ伝送装置の動作を示すフローチャートである。
【図7】第1実施形態の変形例におけるデータ伝送装置の動作を示すフローチャートである。
【図8】第2実施形態におけるデータ伝送装置の動作を示すフローチャートである。
【図9】従来技術におけるデータ伝送の機能構成図である。
【図10】図9に示すモバイルマルチリンク部の機能を説明するための図である。
【図11】従来技術におけるヘッダ情報の概念図である。
【符号の説明】
1・・・データ伝送装置、11・・・データ入出力部、11Aa・・・映像符号化部、11Ab・・・映像復号部、11Ba・・・音声符号化部、11Bb・・・音声復号部、11C・・・通信制御部、11CA・・・メッセージ生成部、11CB・・・メッセージ認識部、11CC・・・H245処理部、11CD・・・SRP処理部、12A・・・多重部、12B・・・分離部、13A・・マルチリンクフレーム構成部、13B・・マルチリンクフレーム復号部、14・・・判定部、15・・・回線入出力部。
Claims (4)
- 送信側の端末で、マルチリンク通信の対象となるデータを分割し、当該分割したデータを複数の伝送路に振り分けて送信するとともに、受信側の端末で、前記複数の伝送路に振り分けて送信されたデータを受信し、当該受信したデータを結合するデータ伝送方法であって、
前記伝送路ごとの伝送実績に基づいて、当該伝送路ごとにデータの送受信を制御し、
前記制御は、前記受信側の端末においては、前記伝送実績に基づいて前記伝送路に異常があると判定すると、当該伝送路が異常であることを示す信号を前記送信側の端末に送信させ、当該送信側の端末においては、当該異常であることを示す信号に基づいて、異常であると示された伝送路における前記分割したデータの送信を停止させると共に、異常であると示された前記伝送路を利用して所定パターンのデータを前記受信側の端末に送信させ、
前記受信側の端末においては、受信した前記所定パターンのデータが正常である場合には、異常であると示された前記伝送路におけるデータの送信を再開させることを示す信号を前記送信側の端末に送信させ、当該送信側の端末においては、再開させることを示す前記信号に基づいて、異常であると示された前記伝送路における前記分割したデータの送信を再開させることを特徴とするデータ伝送方法。 - 前記伝送実績は、前記伝送路ごとの異常の発生頻度であることを特徴とする請求項1に記載のデータ伝送方法。
- 前記伝送実績は、前記各伝送路間における伝送遅延差であることを特徴とする請求項1に記載のデータ伝送方法。
- 第1のデータ伝送装置と第2のデータ伝送装置との間でデータを送受信するデータ伝送システムであって、
前記第1のデータ伝送装置は、
マルチリンク通信の対象となるデータを分割する分割手段と、
前記分割手段により分割されたデータを複数の伝送路に振り分けて前記第2のデータ伝送装置に送信する送信手段とを備え、
前記第2のデータ伝送装置は、
前記第1のデータ伝送装置から前記複数の伝送路に振り分けて送信されたデータを受信する受信手段と、
前記受信手段により受信されたデータを結合する結合手段と、
前記結合されたデータに基づいて、前記伝送路ごとの伝送実績に基づいて前記伝送路に異常があるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段による判定に基づいて、前記伝送路ごとにデータの送受信を制御する送受信制御手段と、を備え、
前記第2のデータ伝送装置の送受信制御手段は、前記判定手段によって前記伝送路に異常があると判定されると、当該伝送路が異常であることを示す信号を前記第1のデータ伝送装置に送信させ、
前記第1のデータ伝送装置の送信手段は、前記異常であることを示す信号に基づいて、異常であると示された前記伝送路における前記分割されたデータの送信を停止させると共に、異常であると示された前記伝送路を利用して所定パターンのデータを前記第2のデータ伝送装置に送信させ、
前記第2のデータ伝送装置の送受信制御手段は、受信した前記所定パターンのデータが正常である場合には、異常であると示された前記伝送路におけるデータの送信を再開させることを示す信号を前記第1のデータ伝送装置に送信させ、
前記第1のデータ伝送装置の送信手段は、再開させることを示す前記信号に基づいて、異常であると示された前記伝送路における前記分割されたデータの送信を再開させることを特徴とするデータ伝送システム。
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