JP3930794B2 - 水不溶性媒体中にリボ核酸を混合する方法およびその利用 - Google Patents

水不溶性媒体中にリボ核酸を混合する方法およびその利用 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定の介在溶液を使用することによって、水溶性リボ核酸を水不溶性媒体と混合することにより、水不溶性媒体中にリボ核酸を混合する方法に関するものであり、リボ核酸を含む、このような媒体は、偽造防止ラベルとして製品上に適用できる。
【0002】
【従来技術】
バイオテクノロジーが発展するにつれて、生物学-関連技術は、医学並びに研究開発関連分野のみならず、日常生活関連事象、例えば確認用の指紋または虹彩を利用するセキュリティーシステム、ヒトの声によって制御する家電製品等にも適用されている。DNA配列は、固有かつ複雑であるので、日常生活品におけるこのような特徴の利用、または製品の偽造からの防御等の問題の解決は、極めて興味深い問題となっている。
【0003】
多くの製品が、明確かつ固有のデザイン並びに特性を有していて、消費者の信頼を得ているばかりでなく、偽造防止の目的でラベルを付している。伝統的な偽造防止ラベルは、殆ど、小切手帳における磁性ストリップ、クレジットカード上のレーザーホログラフ、株式上の蛍光インキ、および機密書類上の感熱性インキ等のように、物理的または化学的な材料で作られている。他の偽造防止ラベルは、対象に対して抗原を付加することにより作成し、抗体により検出している。しかし、抗原および抗体は、ことに高温における低い安定性により特徴付けられる、蛋白であるので、これら蛋白はその活性を失い、かつ分解され、結果としてその安定性および同定の精度は低下する。更に、抗原と抗体との反応は、あまり変化を示さないので、その偽造は容易である可能性がある。
【0004】
分子バイオテクノロジーにおける当業者には、DNAが高度の水溶性であることが、広く知られており、またDNAを他の水不溶性溶媒または媒体に混合する試みは、殆どなされていない。公知の技術は、DNAを水溶性溶液に溶解し、次いでこのような溶液を、偽造防止ラベルとして製品の表面上に適用することを可能としている。しかし、その最も重大な欠点は、水溶性溶液が、樹脂、陶器またはガラス器に、密に付着させることができないという事実である。従って、これらの上に適用された水溶性の偽造防止ラベルは、容易に分解されあるいは剥がれ、結果として意図した同定機能を実現することができない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の諸欠点を解決することにあり、そのために、本発明は、水不溶性媒体とリボ核酸とを混合する方法を提供し、また該方法の利用法を提供することにある。本発明の目的は、更に製品の偽造防止ラベルの製法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、水不溶性媒体中にリボ核酸を混合する方法を提供するものであり、この方法は以下の手順を含む:夫々水溶性溶液にリボ核酸を、また水不溶性媒体を溶媒に溶解し、次に特定の介在溶液を使用して、該リボ核酸溶液と、該媒体とを混合し、かくしてリボ核酸を含有する媒体を得ることを特徴とする。
上記媒体は、ポリマー、例えばポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)またはポリスチレン(PS)である。
上記の介在溶液は、有機溶媒、例えばエタノール、アセトン、クロロホルムまたはこれらの混合物である。
【0007】
本発明のもう一つの目的である、製品用偽造防止ラベルの製造方法は、上記方法を利用して、水不溶性媒体に、既知配列を持つリボ核酸を混合し、次に対象の表面を該媒体で標識し、あるいはラベルとして、このような対象内に該媒体を浸透させ、もしくは該対象と該媒体とを混合させることを特徴とする。上記媒体は、リボ核酸を混合並びに保護し、かつこれを他の対象に接着し、または該対象と混合するために使用する。
【0008】
上記対象は、液状または固体状対象であり得、インキ、塗料、顔料、化粧品、シールまたは接着剤等の液状対象は、リボ核酸を含む媒体と混合することができ、従ってこのような液体を、偽造防止ラベルとすることができる。更に、骨董品、宝石類、クレジットカード、磁気ストリップカード、記念品等の固体状対象は、その上にリボ核酸を含む媒体を接着することが可能であり、かくしてこのような固体対象に偽造防止機能を与えることができる。これ以外に、リボ核酸を含む媒体を、製品用の材料として直接使用することができ、かくしてこのような製品は、偽造防止機能を持つことになる。
【0009】
酸は、一般名称デオキシリボ核酸(DNA)またはリボ核酸(RNA)と呼ばれるものであり、また動物、植物、バクテリア、ウイルス、菌類、または合成ベクターもしくは核酸フラグメント等から選択することができる。
リボ核酸を、上記製品用の偽造防止ラベルとして使用する確認方法は、対象から該媒体を剥がし、次いで溶媒を使用して該媒体から該リボ核酸を抽出し、最終的にPCR反応によって該核酸を増幅することであり、かくして対象の真偽を、明らかにすることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の上記並びに他の特徴、局面および利点は、以下の説明、上記特許請求の範囲および添付図面を参照することによって、より一層十分に理解されるであろう。ここで、以下の説明、上記特許請求の範囲および添付図面は、本発明を制限または限定することなく、本発明を更に詳述するために与えられたものである。
以下、現時点において最良の、本発明の実施態様を詳細に説明する。この説明は、限定的なものとして捉えるべきではなく、単に本発明の一般的な原理を説明するために与えられるものである。
【0011】
リボ核酸は、高度に水溶性の物質であるから、容易に水溶性の溶液、例えばPBSまたはTEに溶解することができる。他方、リボ核酸を水不溶性媒体と混合することは、容易ではない。従って、本発明は、リボ核酸を水不溶性媒体に溶解する方法を提供することにある。
図1を参照すると、本発明における、リボ核酸を水不溶性媒体と混合する方法は、以下の手順を含む:まず、夫々水溶性溶液にリボ核酸を溶解し、かつ水不溶性媒体を溶媒に溶解し、次に特定の介在溶液を使用して、該リボ核酸溶液と、該媒体とを混合する。かくして、リボ核酸を含有する媒体を得ることができる。
上記媒体は、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、または好ましくはポリスチレン(PS)であり得る。
【0012】
上記の介在溶液は、有機溶媒、例えばエタノール、アセトン、クロロホルムまたはこれらの混合物である。
本発明のもう一つの目的は、製品用偽造防止ラベルの製造方法を提供することであり、この方法は、上記方法を利用して、水不溶性媒体と、既知配列を持つリボ核酸とを混合し、次に対象の表面に該媒体を塗布し、あるいはラベルとして、このような対象内に該媒体を浸透させることを特徴とする。上記媒体は、リボ核酸を混合並びに保護し、かつこれを他の対象に接着し、または該対象と混合するために使用する。
【0013】
上記対象は、液状または固体状対象であり得、インキ、塗料、顔料、化粧品、シールまたは接着剤等の液状対象は、リボ核酸を含む媒体と混合することができ、従ってこのような液体を、偽造防止ラベルとすることができる。例えば、特定の介在溶液により、リボ核酸とポリプロピレン媒体とを混合した後、該ポリプロピレン媒体の粉末または極めて小さな粒子を、インキと混合し、かくしてリボ核酸を含む偽造防止インキが得られる。
更に、骨董品、宝石類、クレジットカード、磁気ストリップカード、記念品等の固体状対象は、その上にリボ核酸を含む媒体を付着させることが可能であり、かくしてこのような固体対象に偽造防止機能を与えることができる。
【0014】
上記用途以外に、リボ核酸を含む媒体を、製品用の材料として直接使用することができ、かくしてこのような製品は、それ自体偽造防止機能を持つことになる。例えば、特定の介在溶液の使用により、リボ核酸とポリスチレンまたはポリプロピレンとを混合することは、該媒体を、偽造防止機能を持つ材料とし、かくしてこのような材料は、あらゆる種類の偽造防止製品またはラベルを製造するために、広く利用することができる。
上記リボ核酸は、一般名称デオキシリボ核酸(DNA)またはリボ核酸(RNA)と呼ばれるものであり、また動物、植物、バクテリア、ウイルス、菌類、または合成ベクターもしくはフラグメント等から選択することができる。
【0015】
上記の製品偽造防止ラベルとして、リボ核酸を使用する、同定方法は、対象から該媒体の小部分を剥ぎ取り、次いで溶媒を用いて、該媒体中の既知の配列を持つリボ核酸を、該小部分から抽出することによって、該リボ核酸を再生するものであり、該核酸の組成は、ある種のPCRプライマーのみによって立証できる、特定の長さおよび配列を持つように設計された。この手順によって、該検査対象が、元のリボ核酸を担持する場合には、該PCR手順は、該抽出されたリボ核酸を、該元のリボ核酸と同一のサイズおよび配列を持つ、数百万倍のリボ核酸にまで増幅するであろう。これに対して、該検査対象から剥ぎ取った該媒体が、該元のリボ核酸を含まない場合、増幅リボ核酸生成物は存在しないであろう。従って、該PCR生成物のサイズおよび量を比較することによって、標識された対象の真偽を、明らかにすることができる。
【0016】
本発明は、リボ核酸と水不溶性媒体とを混合する方法を提供するが、この詳細な製造方法を、以下のような好ましい態様によって、更に詳述する。
この好ましい態様では、水溶性DNAをPSと混合する方法を説明する。
材料:ポリスチレン(PS)を該媒体として使用し、該有機溶媒は、クロロホルムであり、また該介在溶液は、95%のエタノールと、アセトンおよびクロロホルムである。
【0017】
方法:初めに、5μgの調製したDNAを、100μlの水に溶解し、5 g のPSをクロロホルムに溶解し、その後上記のDNA水溶液に、95%エタノールおよびアセトンを含む介在溶液を各10μl添加し、最終的に激しく撹拌して、十分に混合し、該介在溶液を含む上記のDNA溶液を、溶解したPSを含有するクロロホルムからなる該有機溶液に添加する。このような中間的な工程によって、該DNA水溶液およびPS-クロロホルムの該水不溶性媒体は、十分に混合されることになり、結果として該DNAを含むPS溶液としての該媒体が得られる。
以上本発明を、幾つかの好ましい態様を参照して、かなり詳細に説明してきたが、当業者は、あらゆる種類の改変並びに変更が、本発明の精神並びに上記特許請求の範囲内に入ることを、容易に理解できる。従って、本発明の精神並びに上記特許請求の範囲は、本明細書に含まれる好ましい態様の説明に、何等限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の、リボ核酸と水不溶性媒体との混合方法に関する、フローチャートを示す図である。

Claims (4)

  1. 水不溶性媒体中に核酸を混合する方法であって、
    水溶性溶液に核酸を溶解する工程、
    水不溶性媒体を溶媒に溶解する工程、
    介在溶液を使用して、核酸を含む該溶液と、該水不溶性媒体を含む該溶液とを混合して、核酸を含有する媒体を得る工程、
    を含み、
    該水不溶性媒体が、ポリプロピレン (PP) 、ポリカーボネート (PC) 、ポリスチレン (PS) のいずれかであり、該介在溶液がエタノール、アセトン、クロロホルムからなる群より選択される溶液であることを特徴とする、水不溶性媒体中に核酸を混合する方法。
  2. 該介在溶液が、有機溶媒である、請求項1記載の水不溶性媒体中に核酸を混合する方法。
  3. 該核酸が、一般名称デオキシリボ核酸(DNA)またはリボ核酸(RNA)と呼ばれるものである、請求項1記載の水不溶性媒体中に核酸を混合する方法。
  4. 該核酸が、動物、植物、バクテリア、ウイルス、菌類、または合成ベクターもしくは核酸フラグメントから選択される、請求項1記載の水不溶性媒体中に核酸を混合する方法。
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