JP2006169342A - 接着剤 - Google Patents

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Hiroshi Yokoyama
博志 横山
Masahiko Yamanaka
雅彦 山中
Kentaro Watanabe
健太郎 渡邉
Tsunehiko Higuchi
恒彦 樋口
Shigeki Hirabayashi
茂樹 平林
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Abstract

【課題】情報化核酸を含有することにより、どのような出所・履歴の製品であるかを個別具体的に特定できる接着剤を提供する。
【解決手段】任意且つ既知の塩基配列を有する部位を備える情報化核酸を含有した接着剤である。情報化核酸を樹脂固形分100gに対して0.5〜500μg含める。情報化核酸を平均粒径が0.01〜5μmの微粒子に担持させる。微粒子を樹脂固形分に対して0.5〜10%の割合で含める。溶媒が親油性溶媒又は親水性溶媒である接着剤である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、接着剤に係り、更に詳細には、個別認証に利用できる情報化核酸を用いた接着剤に関する。
従来から、個別認証には、ナンバープレート、紙幣などの透かし印刷、ICチップ及びクレジットカードの写真などが利用されている。しかし、これらの個別認証手段は、剥離、切断、消去などにより製品から除去できるという欠点があった。このため、製品から取り除くことのできない、即ち消失しない認証情報の開発が期待されていた。
一方、DNAは、元来全ての生物が保有し、それぞれの生物において、全ての遺伝情報を含む情報生体分子である。その多くは多数のタンパク質のアミノ酸配列に対応するものである。即ち、デオキシアデノシン(dA)、デオキシグアノシン(dG)、デオキシシトシン(dC)及びデオキシチミン(dT)がリン酸エステル結合を介し一定の方向性をもって結合して成り、その塩基数をn個とすると、その長さのDNAは4種類存在することになる。従って、例えばわずか16種類の塩基数でも約43億種類のそれぞれ区別できるDNAが存在し得る。現在では、数十塩基配列を有するDNAであれば、どのような配列のものでも任意に合成することができる。また、DNAは、ある程度以上の量があれば、自動配列読み取り装置(シーケンサー)で自動的にその配列を決定することができる。
このような背景から、水不溶性媒体にDNAを含ませた偽造防止ラベルを製品に用いることにより、該DNAの存在・不存在を手掛かりにして、その製品の真偽を明らかにすることが提案されている(特許文献1参照)。
特開2004−159502号公報
しかし、特許文献1に記載の技術は、基本的にはDNAと水不溶媒体の混合方法に係るものであり、製品の真偽確認方法としては、PCR法によるリボ核酸の増幅の有無を確認することにより、リボ核酸入りの対象製品を同定することが示されている。また、DNAの存在・不存在を検定指標とする真偽確認データは元より、DNAの配列を検定指標とし、同種製品であっても個々の製品毎の認証を可能とする、個別認証に関するデータは開示されていない。
一方、車両など物品の盗難・損壊事件においては、事件現場に残された物品の塗料片から対象物品を早期に特定したいという要請がある。
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、情報化核酸を含有することにより、どのような出所・履歴の製品であるかを個別具体的に特定できる接着剤を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、DNAに代表される核酸を一つの認証情報としてとらえ、接着剤中の情報化核酸を後から検出することにより、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明によれば、工業製品などの量産品であっても、含まれる情報化核酸の配列を決定することにより、対象となる製品を個別的に認証できる。
以下、本発明の接着剤について詳細に説明する。なお、本明細書及び特許請求の範囲において、「%」は特記しない限り質量百分率を示す。
本発明の接着剤は、任意且つ既知の塩基配列を有する部位を備える情報化核酸を含有して成る。これより、容易に製品に塗布して使用することができるとともに、接着後は該製品から除去することが困難となるので、優れた個別認証手段として使用できる。
ここで、上記情報化核酸とは、DNA(デオキシリボ核酸)、RNA(リボ核酸)及びこれらの誘導体をいい、天然型でも人工型でも良いが、使用環境が厳しい接着剤中に含めることを考慮すると、構造的に安定している人工型を使用するのが好ましい。人工型においては天然型には存在しない結合様式の(例えばヌクレオシド同士の結合がリン酸エステル結合だけでなくチオリン酸エステル結合のような非天然型を含むなどの)配列を形成できる。
また、上記情報化核酸において、塩基配列部位が任意であるとは、検出可能な塩基配列である限り無作為に選択され得ることを示し、塩基配列部位が既知であるとは、個別認証に用いられる塩基配列が予め把握されていることを示す。
上記情報化核酸の大きさは、核酸全体における塩基数が200以下であることが好ましい。200を超えると合成の段階でごくわずかずつ未反応部位が生成し、塩基が欠けたものの含有量が増大し易い。より好ましくは100塩基程度であることが良い。 更に、上記塩基配列においてチミン同士が隣接しないことが好ましい。これより、チミンがダイマー化するのを抑制できる。
また、上記情報化核酸は、OH基と反応する化合物と併用する場合や厳しい環境下で使用される場合の安定性を向上させる観点から、保護基により誘導化されていることが好ましい。具体的には、5´位、3´位のいずれか一方又は双方にある水酸基を、リン酸エステル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ベンジル基、置換ベンジル基及びアリル基などを用いて誘導化することができる。図1の(A)に天然型DNA、(B)に5´位を誘導化したDNAを示す。
更に、単離や精製の利便性を高める観点から、5´位の水酸基をビオチン又は蛍光分子により誘導化することが好ましい。具体的には、ビチオンを用いるとアビジンというタンパク質を結合したカラムに選択的に吸着され易くなる。一方、フルオレセインなどの蛍光分子を用いると核酸自体が蛍光をもつようになるため、感度よく検出でき精製等が容易になる。このように、単離や精製の利便性を高めると、個別認証が極めて容易になる。
なお、上記情報化核酸としてRNAを用いるときは、安定性を向上させる観点から2´位の水酸基を上記保護基により誘導化することもできる。
また、上記情報化核酸は、接着剤中の含有量が少ない場合でも効率良く検出されるようにする観点から、上記塩基配列部位が該情報化核酸の増幅に用いられる部位であることが好ましい。かかる情報化核酸の増幅方法としては、相乗的に増幅させることのできるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)が適宜採用できる。
代表的には、情報化核酸が極微量であっても極度に増幅できるPCR法を採用することが望ましい。この方法では、例えば、DNAの末端数十塩基と相補的な塩基(プライマー)の存在下に温度制御を行いつつ耐熱性のDNAポリメラーゼを作用させると、元のDNAを倍増させることができる。これを例えば30回繰り返せば数億倍に増幅させることができる。この増幅により微量のサンプルからでもその配列を決定するのに十分な量を得ることができるようになり、ひいては配列に対応する情報から該情報化核酸が含まれていた製品(接着剤を使用した製品)の「身元」が判明することになる。
また、このときは、上記増幅に用いられる部位として、両端にポリメラーゼ連鎖反応(PCR)に必要なプライマー対応部位を有することが好ましい。情報化核酸はプライマーを備えていなくても使用できるが、プライマーを備えることにより短時間で識別できるようになるからである。
かかるプライマー対応部位について、塩基数の下限は5以上であることが好ましい。より好ましくは10以上であることが良い。塩基数が5未満では、区別できる核酸の数が減少し、特に多くの製品(接着剤を使用した製品)が混在するときは識別に時間がかかってしまう。一方、塩基数の上限は100以下であることが好ましい。塩基数が100を超えるといずれかの位置の塩基を欠いた副生成物の比率が高くなり、精製に手間がかかるか、場合によっては精製困難となってしまう。
なお、情報化核酸としてRNAを用いるときは、逆転写酵素を用いて配列の相補的なDNAを得、このDNAを用いてPCR法を行うことができる。
また、上記情報化核酸は、上記塩基配列部位の他に更に認証情報部位を有することが好ましい。このときは、より詳細な情報設定により個別認証を実行できる。
例えば、図2に示すように、両端にプライマー対応部位を備えた情報化DNAであれば、中央にm個の塩基数の配列を置き(B1〜Bm)、この部分の配列情報を認証情報に対応させる。その両端には、それぞれl(エル)個、n個のプライマーに相補的な配列(X1〜Xl,P1〜Pn)を連結する。この部分が存在することにより初めてPCR法の採用が可能となる。情報化DNAはこの1本鎖のもの又はそれと相補的な配列のDNAと複合体を形成した2本鎖のものを情報素子として用いることができる。このプライマー対応部位の配列は、できるだけ相補的配列の結合が安定になり且つPCR法による増幅が円滑に進行するように工夫できる。
更に、上記情報化核酸は、樹脂固形分100gに対して0.5〜500μg含まれることが、情報化核酸の検出精度及び接着剤への分散性などを良好とする観点から好適である。より好ましくは10〜300μg、特に好ましくは50〜100μgであることがよい。添加量が0.5μgより少ないと、接着剤から情報化核酸を識別することが困難となり易い。500μgを超えると、識別には何ら影響がなく、コストが高くつくだけで無駄である。
上記情報化核酸を含有する接着剤としては、一般的な接着剤を用いることができ、溶媒には、親油性溶媒を用いたり親水性溶媒を用いたりすることができる。代表的には、親油性溶媒であるトルエンやベンゼンなどが挙げられ、親水性溶媒である水やアルコールなどが挙げられる。また、上記接着剤に含まれる樹脂としては、エポキシのような一液型樹脂を用いてもよいし、二液型ウレタンのような二液型樹脂を用いてもよい。
また、上記情報化核酸は、微粒子に担持することが好適である。これより、含有させた情報化核酸が流出するのを抑制でき、接着剤を長寿命化できる。
更に、上記微粒子の平均粒径は、0.01〜5μmであることが、情報化核酸の検出精度及び接着剤への分散性などを良好とする観点から好適である。0.02〜3μm、特に好ましくは0.02〜1μmであることがよい。この平均流径が0.01μmより小さいと、識別精度が低下し易く、5μmより大きいと、接着性が低下する。
更にまた、上記微粒子の含有量は、上記樹脂固形分に対して0.5〜10%の割合であることが、情報化核酸の検出精度及び接着剤への分散性などを良好とする観点から好適である。より好ましくは0.5〜8%であり、特に好ましくは0.5〜5%であることがよい。含有量が0.5%より少ないと、サンプリングされた接着剤中の微粒子の量が少な過ぎるために、識別の精度が低下する可能性がある。10%を超えると、接着力が低下する。
上記微粒子としては、例えば、シリカや酸化亜鉛の他、酸化チタンや酸化モリブデン、酸化タングステン、チタン酸バリウムなどが好適に用いられる。また、上記微粒子は、滅菌蒸留水中に分散させて懸濁液となし、この懸濁液に上記情報化核酸をそのまま、あるいは当該情報化核酸を滅菌蒸留水に溶解させた情報化核酸水溶液を加え、乾燥することによって製造することができる。このとき、上記情報化核酸については、一部を水溶液とすることなくそのままの状態で加え、残部を水溶液の状態で加えるようにしても何ら差し支えない。
また、このとき、上記懸濁液には、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノールなど)、エステル(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピルなど)、ケトン(例えば、アセトン、ジメチルケトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトンなど)及び芳香族溶剤(トルエン、ヘキサン、シクロヘキサン、キシレンなど)の溶媒を更に添加することが望ましく、これによって上記微粒子の懸濁液中における分散性が向上すると共に、情報化核酸が添加された後の水分及び溶剤分の揮発が促進されることになる。
なお、これら溶媒は1種のみに限定されず、2種以上の溶媒を併用することも可能である。また、これら溶媒は、情報化核酸と同時、あるいは情報化核酸を加えた後に添加しても、特に差し支えはない。
上記溶媒の添加量としては、アルコールの場合には、滅菌蒸留水/アルコールの容量比を1〜99の範囲とすることが好ましく、アルコール以外の溶媒の場合、即ちエステル、ケトン、芳香族溶剤の場合には、滅菌蒸留水/溶媒の容量比を1〜75の範囲とすることが好ましい。
即ち、溶媒の添加量が少な過ぎると、溶媒添加による上記効果が十分に得られず、逆に多過ぎても、水との相溶性低下によって水が揮発せずに残り易くなり、上記効果が十分に得られないようになる傾向がある。
次に、本発明の接着剤について詳細に説明する。
本発明の接着剤は、任意の基材に形成した積層塗膜上に配設される。この積層塗膜としては、例えば、図3に示すように、基材1上の下塗り塗膜層2と中塗り塗膜層3と上塗り塗膜層4とから成る積層塗膜5が挙げられ、この積層塗膜5上に接着剤6が配設され、この接着剤6にプライマー対応部位を備えた情報化DNAを含有する。
この際、接着剤6の膜厚としては、特に限定されるものではないが、20〜30μm程度とすることが情報化核酸の検出精度などの観点から好ましい。
なお、上記任意の基材としては、代表的には鉄,アルミニウム,銅などの各種金属材や、ポリプロピレン,ポリカーボネ−トなどの各種有機材や、石英,セラミックス(炭化カルシウム他)などの各種無機材が挙げられる。また、上記積層塗膜に接着剤を被覆する方法としては、はけ塗り法などの公知慣用の方法が採用でき、上記接着剤は、情報化核酸が検出できる範囲に塗布してあればよく、積層塗膜の全体又は一部に塗布することができる。
以上説明した接着剤においては、情報化核酸を検出することにより、個別認証を行うことができる。
このとき、塩基配列を決定するに当たり、接着剤から抽出される該情報化核酸のデータと、該情報化核酸のデータを少なくとも含む情報化核酸データベースとを対比することが望ましい。予め把握された情報化核酸のデータベースと比較することにより製品認証にかかる時間を大幅に減らすことが可能となる。
かかるデータベースに蓄えられるデータとしては、例えば電気泳動時間やゲル濾過した際の移動距離(これは、情報化核酸自体をコントロールレーンに流せば足りる)などを挙げることができる。
また、上記個別認証方法において、PCR法により情報化核酸を増幅させるに当たり、抽出された情報化核酸の溶液、PCR緩衝液、滅菌蒸留水、少なくとも1種のプライマー、2,3−ジデオキシヌクレオシド三リン酸(dNTP)及びポリメラーゼを混合し、(1)92〜95℃で2〜5分間加熱し、次いで、(2a)92〜95℃で30〜60秒間、(2b)20〜50℃で30〜60秒間、(2c)70〜80℃で30〜120秒間、の加熱サイクルを20〜50回繰り返し、しかる後、(3)70〜80℃で1〜10分間加熱処理することが好ましい。なお、情報化核酸の塩基配列の任意性を高めるという観点からはより2種のプライマーを用いることが好ましい。
(1)において、94℃で5分が特に好ましい。92℃で2分より短いとDNAの2本差への分離が困難になり、95℃で5分より長いと、酵素が失活するからである。なお、接着剤に含まれる情報化核酸が1本鎖である場合には不要である。
また、(2a)において94℃で30秒が特に好ましい。92℃で30秒より短いと増幅率が低下し、95℃で60秒より長いと、酵素が失活する。
更に、(2b)において40℃で30秒が特に好ましい。20℃で30秒より短いとプライマーとDNAの結合が困難になり、50℃で60秒より長いと、酵素が失活する。
また、(2c)において72℃で30秒が特に好ましい。70℃で30秒より短いと伸長が不十分になり、80℃で120秒より長いと酵素が失活する。
更に、(3)において72℃で7分が特に好ましい。70℃で1分より短いと伸長が不十分になり、80℃で10分より長いと時間の無駄になる。
更にまた、加熱サイクル(2a)〜(2c)の繰り返しは、30回が特に好ましく、20回より少ないと増幅率が低下し、50回より多いと時間の無駄になる。
図4に、上記個別認証方法の一実施形態のフロー図を示す。図示のように、S1において、接着剤から情報化DNAを抽出する。S2において、凍結乾燥により濃縮する。S3において、2種類のプライマーとポリメラーゼを加える。S4において、PCRを繰り返すことによりDNAを増幅する。S5において、残った余分なプライマーを一本鎖DNA開烈酵素により分解する。S6において、二本鎖である情報化DNAをゲル濾過で精製する。S7において、シーケンサーにより配列決定を行う。
ここで、S1においては、例えば接着剤を粉末にして少量の水と混ぜればよいが、例えば情報化DNAを微粒子に担持させる際に化学的結合させた場合には、加水分解などすることにより効率良く抽出することができる。また、S2においては、例えば遠心エバポレーターを用いて濃縮してもよい。更に、S5においては、一本鎖DNA切断酵素として、例えばTaq DNA ポリメラーゼ、Tth DNAポリメラーゼ、Tfl DNAポリメラーゼ、Ventポリメラーゼ、Pfuポリメラーゼ、Bca BESTポリメラーゼ、KOD DNAポリメラーゼなどを使用できる。また、S6とS7との間に、更にS3及び4と同様の操作を繰り返して、目的のDNAを増幅させてもよい。S7においては、質量分析装置によって配列決定を行ってもよく、シーケンサーによる配列決定と組み合わせてもよい。
また、情報化核酸の単離や精製の利便性を高める観点から、5´位の水酸基をビオチン又は蛍光分子により誘導化することが好ましい。具体的には、ビチオンを用いるとアビジンというタンパク質を結合したカラムに選択的に吸着され易くなる。一方、フルオレセインなどの蛍光分子を用いると核酸自体が蛍光をもつようになるため、感度よく検出でき精製等が容易になる。このように、単離や精製の利便性を高めると、個別認証が極めて容易になる。
更にまた、例えば5´位を硫黄に置換した場合には、水で抽出したものを更に金(Au)をコーティングした担体のカラムを通すことで容易に分離をすることができる。
以下、本発明を実施例により更に詳述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
1.プライマー対応部位を備えた情報化DNAを含有する接着剤の調製
情報化DNAを固定させた粒径が異なる微粒子を、カシュー下地2号(大橋塗料製)に攪拌しながら規定量を添加し、1時間攪拌した。
2.使用した微粒子
(1)平均粒径0.02μmの酸化亜鉛:昭和電工(株)製 ZS−032
(2)平均粒径5μmの酸化アルミニウム:(株)マイクロン製 AX10−32
(3)平均粒径20μmの酸化アルミニウム:(株)マイクロン製 AX116
3.積層塗膜の形成
リン酸亜鉛処理した厚み0.8mm、70mm×150mmのダル鋼板(基材)に、カチオン電着塗料(商品名「パワートップU600M」、日本ペイント社製カチオン型電着塗料)を、乾燥膜厚が20μmとなるように電着塗装した後、160℃で30分間焼き付けた。その後、日本油脂社製のグレーの中塗り(商品名:ハイエピコNo.500)を30μm塗装し、140℃で30分間焼き付けた。
次に、クリヤー塗料(日本ペイント(株)製スーパーラックO−130 GN3)を30μm塗装して140℃で30分間焼き付けた後、上記カシュー下地2号を塗布した。
得られた実施例1〜20の接着剤について、DNAの識別の可否及び接着力を以下のようにして評価した。
<情報化DNAの検出>
(1)上記情報化核酸を含有した接着剤の試験片をカッターを用いて、細かく裁断した。
(2)試験細片に滅菌蒸留水5mLを加え、マグネチックスターラーにより攪拌して、DNAを水層に抽出した。
(3)遠心機を用いて、試験細片と水層を分離し、水層を遠心エバポレータを用いて濃縮した。
(4)溶出回収したDNA溶液(5μL)、PCR buffer(5μL)、Taq polymerase(0.25μL)、滅菌蒸留水(24.75μL)、5μMのプライマー1(5μL)、5μMのプライマー2(5μL)、及び2mM dNTP(5μL)を混合した。
・プライマー1 …5´−TGCACGCACCGTGTACTC−3´
・プライマー2 …5´−CCGACCAACGTGTCCACT−3´
(5)94℃で5分間加熱後、[94℃で30秒→40℃で30秒→72℃で30秒]を30回繰り返した。
(6)72℃で7分処理後、4℃で保存した。
(7)1本鎖DNA開裂酵素(S1ヌクレアーゼ)を用いて、余分なプライマーを分解し、目的の2本鎖情報化DNAをゲル濾過で精製した。
(8)精製した情報化DNAに一種類のプライマー(プライマー1:5´−TGCACGCACCGTGTACTC−3´)及び蛍光標識した2,3−ジデオキシヌクレオシド三リン酸を混合した。
(9)上記工程(4)〜(6)と同様の操作を行った。
(10)ゲル濾過精製後、自動シーケンサーに供し、配列決定を行った。
これらの工程を行い情報化DNAの検出を試みたところ、表1及び表2に示すように、情報化DNAの識別が可能であったものを○、上記PCRによる増幅回数を増やすことが必要ではあるものの情報化DNAの識別が可能であったものを△とした。
<接着力の評価>
上記方法で作製した塗装板を10×50mm角の大きさに切断して試験塗装板10を準備して、この試験塗装板10の端部の接着剤6に、接着剤6を塗布していない他の塗装板20の端部を貼り付けて接着し、接着剤6を塗布していない他の塗装板20の開放端部に2kgの錘を3個吊下げて80℃の恒温槽に30分間放置した後、錘が吊下がったままの状態を維持しているか否かを評価した。
表1及び表2に示すように、錘が3個とも吊下がっている状態を○、錘が2個吊下がっている状態を△、錘が1個のみ吊下がっている状態(または1個も吊下がっていない状態)を×とした。
Figure 2006169342
Figure 2006169342
表1及び表2から明らかなように、実施例1〜12の接着剤は、情報化DNAが良好に識別でき、また良好な接着力を示している。言い換えれば、通常の接着剤塗布と同様の作業性で目的の接着力が得られ、接着剤の識別が可能である。
これに対して、実施例13〜20の接着剤は、情報化DNAの含有量、微粒子の粒径及び使用量のいずれかが本発明の好適範囲を逸脱しているため、情報化DNAの識別性及び接着力のいずれかが低下してしまうことがわかる。
天然DNAとこの5´位を誘導化したDNAを示す構造式である。 認証情報部位に両端にプライマーを有する情報化核酸を示す概略図である。 接着剤を塗布した積層塗膜の一例を示す断面概略図である。 個別認証方法の一例を示すフロー図である。 接着力の評価方法を説明するための試験塗装板の一例を示す断面概略図である。
符号の説明
1 鋼板(基材)
2 下塗り塗膜層
3 中塗り塗膜層
4 上塗り塗膜層
5 積層塗膜
6プライマーを備えた情報化DNA含有接着剤

Claims (6)

  1. 任意且つ既知の塩基配列を有する部位を備える情報化核酸を含有して成ることを特徴とする接着剤。
  2. 上記情報化核酸が、樹脂固形分100gに対して0.5〜500μg含まれることを特徴とする請求項1に記載の接着剤。
  3. 上記情報化核酸を微粒子に担持して成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の接着剤。
  4. 上記微粒子の平均粒径が、0.01〜5μmであることを特徴とする請求項3に記載の接着剤。
  5. 上記微粒子の含有量が、樹脂固形分に対して0.5〜10%の割合であることを特徴とする請求項3又は4に記載の接着剤。
  6. 溶媒が親油性溶媒又は親水性溶媒であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つの項に記載の接着剤。
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