JP3930414B2 - 花粉交配機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、人工受粉を必要とする果樹類等の花粉交配作業をより能率的に且つ確実に行うことのできる花粉交配機に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来、果樹類の人工受粉は竹棒に羽毛をつけた凡天と呼ばれる羽毛棒を使用し、この羽毛棒の羽毛に花粉を付けて花一つ一つに人が手で羽毛棒を優しく叩くようにして人工受粉を行ってきた。
【0003】
その成果は確実ではあるけれども非常に手間がかかり能率が悪く、且つ厄介な作業で昨今の農村の労働力事情に鑑み、これを続けることは困難な状態とされている。
【0004】
そこで、従来から、実開平7−37号にて花粉交配機が提案されており、この花粉交配機によって人工受粉の作業効率を飛躍的に向上することができることとなった。
【0005】
本出願人は、この花粉交配機について更なる研究・開発を進め、極めて商品価値の高い画期的な花粉交配機を発明した。
【0006】
【課題を解決するための手段】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0007】
花粉1を収納する花粉収納部2と、雌しべに前記花粉1を接触させる花粉交配部6と、前記花粉収納部2から前記花粉交配部6へ前記花粉1を搬送する花粉搬送部4とより成る花粉交配機であって、前記花粉収納部2と前記花粉搬送部4との連通部16には前記花粉1を分散させる花粉分散部10が設けられ、この花粉分散部 10 は、軸体 18 に被嵌された自転する螺旋バネ体 11 であり、この螺旋バネ体 11 を回動させることで前記花粉収納部2から前記花粉搬送部4へ前記花粉1を分散送出させるように構成されており、また、この花粉分散部10には該花粉分散部10に付着した花粉1を離反させる花粉離反機構12が設けられ、この花粉離反機構 12 は、前記螺旋バネ体 11 の自転に際して該螺旋バネ体 11 を伸縮させる伸縮機構を有し、前記螺旋バネ体 11 が自転して縮んだ状態から復帰する際に振動が生じて該螺旋バネ体 11 に付着した前記花粉1を離反するように構成されていることを特徴とする花粉交配機に係るものである。
【0008】
また、請求項1記載の花粉交配機において、前記花粉収納部2から前記花粉交配部6への前記花粉1の搬送は送風による搬送であることを特徴とする花粉交配機に係るものである。
【0009】
また、請求項1,2いずれか1項に記載の花粉交配機において、前記花粉収納部2として上部開口部を有するケース状の花粉収納部2が採用され、この花粉収納部2の上部開口部を閉塞する閉塞蓋材 13 に当該花粉収納部2に収納された前記花粉1を撹拌する花粉撹拌体 14 が揺動自在に垂設されていることを特徴とする花粉交配機に係るものである。
【0010】
また、請求項1〜3いずれか1項に記載の花粉交配機において、前記花粉1として着色された花粉1を採用したことを特徴とする花粉交配機に係るものである。
【0011】
また、請求項1〜4いずれか1項に記載の花粉交配機において、前記花粉収納部2は半透明の素材で形成された容器体であることを特徴とする花粉交配機に係るものである。
【0012】
また、請求項1〜5いずれか1項に記載の花粉交配機において、前記螺旋バネ体 11 の表面には該螺旋バネ体 11 への前記花粉1の付着を抑制するコーティングが施されていることを特徴とする花粉交配機に係るものである。
【0013】
また、請求項1〜6いずれか1項に記載の花粉交配機において、前記花粉収納部2には前記花粉1の残量を表示する残量表示手段が設けられていることを特徴とする花粉交配機に係るものである。
【0014】
【発明の作用及び効果】
花粉収納部2に収納された花粉1は、花粉搬送部4により花粉交配部6へ搬送され、この花粉交配部6を雌しべに接触させることで受粉が行われる。
【0015】
花粉収納部2と花粉搬送部4との連通部16には花粉1を分散送出させる花粉分散部10が設けられ、この花粉分散部10には、該花粉分散部10に付着した花粉1を離反させる花粉離反機構12が設けられている。
【0016】
従って、花粉収納部2に収納された花粉1は塊のような状態で花粉搬送部4へ送出されず、分散させられて花粉搬送部4へ送出されるから、花粉1は花粉交配部6へ良好に搬送され、しかも、この花粉分散部10には花粉離反機構12が設けられている為、該花粉分散部10に花粉1が付着することは可及的に阻止され、一層花粉交配部6への搬送が良好に行われる。
【0017】
即ち、天然の花粉1は、その量が希少な上に、粘り気が高いため、人工受粉(花粉交配機)で使用する際には、花粉増量剤を混ぜることで量を増すとともに、粘り気が低くなるように調整されているが、増量剤の希釈倍率は、その花粉の発芽率によって決まり、むやみに増量剤を増すわけにはいかず、粘り気を低くするには限界がある。
【0018】
そこで、本発明は、花粉分散部10に花粉離反機構12を設けることで、粘り気により花粉分散部10に付着してしまう花粉1を確実に離反させ、花粉搬送部4への花粉1の送出及び花粉交配部6への花粉1の搬送が良好となるようにしている。
【0019】
以上のように、本発明は、従来にない画期的な作用効果を発揮し、極めて商品価値の高いものになる。
【0020】
【発明の実施の形態】
図面は本発明の一実施例を図示したものであり、以下に説明する。
【0021】
本実施例は、花粉1を収納する花粉収納部2と、雌しべに花粉1を接触させる花粉交配部6と、花粉収納部2から花粉交配部6へ花粉1を搬送する花粉搬送部4とより成るものである。
【0022】
以下、本実施例に係る構成各部について詳細な説明をする。
【0023】
花粉収納部2は、図1,2に図示したように適宜な合成樹脂製の部材を容器状に形成したものであり、合成樹脂としては半透明の素材のものが採用され、内部に収納される花粉1の上面位置を確認することができる(通常、花粉交配機で使用される花粉1は、交配作業の進行度を識別するため、ピンク色に着色された花粉増量剤を一定量混ぜた、いわゆる受粉剤である。)。
【0024】
また、花粉収納部2は、その上部開口部2aに閉塞蓋材13が着脱自在に設けられている。
【0025】
この閉塞蓋材13は、その内面中央位置に花粉撹拌体14が揺動自在に垂設されており、具体的には、この花粉撹拌体14は、紐状部材14aと環状部材14bとで構成され、搬送時や作業時に揺動することで花粉収納部2内に収納される花粉1を撹拌するように構成されている。従って、花粉収納部2内に収納される花粉1はこの花粉撹拌体14により適宜撹拌されることで可及的に粉末の状態(塊となっていない状態。花粉1は湿気により塊状となり易い。)が保持されることになる。
【0026】
また、花粉収納部2には、花粉1の残量を表示する図示省略の残量表示手段が設けられており、前述した花粉収納部2を半透明の素材で形成したことと共に確実に花粉1の補充時期等が確認できる。残量表示手段としては、花粉収納部2の外面に単に目印を付したり、また、適宜なセンサーを花粉収納部2内に内装したりするなど、どのような手段を採用しても良い。
【0027】
また、花粉収納部2は、樹脂製の収納ボックス5の上部に配設され、更に、その下部に形成された下部開口部2bを収納ボックス5内に収納される基体15の上部に連結している。
【0028】
この基体15は、適宜な合成樹脂製の半割り部材15aを連結して構成されており、この基体15には後述するスクリューコンベア式の花粉分散部10(螺旋バネ体11)が設けられている。
【0029】
この花粉分散部10は、基体15内の上部に設けられており、花粉収納部2の下部開口部2bと連通状態となる筒孔状の連通部16に螺旋バネ体11を回動自在に設けたものであり、この螺旋バネ体11の基端部は、適宜な駆動モーター17の作動により回動する回動体20に連結(被嵌連結)されている。
【0030】
また、連通部16 は上流側(基端側)において、花粉収納部2の下部開口部2bと連通せしめられており、また、連通部16の下流側位置には花粉1を花粉搬送部4へ送出する花粉落下部16aが設けられている。
【0031】
従って、この螺旋バネ体11が回動すると、該螺旋バネ体11が螺旋構造の為、該花粉1は順次所定量下流側へ送出され、花粉落下部16aから花粉搬送部4に花粉1は分散させながら送出される。
【0032】
また、この螺旋バネ体11には、該螺旋バネ体11に付着した花粉1を離反させる為の花粉離反機構12が設けられている。
【0033】
以下にこの花粉離反機構12について説明する。
【0034】
螺旋バネ体11の先端部は、基体15に設けられた軸体18に連結(被嵌連結)されており、また、この軸体18の先端側には該螺旋バネ体11の先端を支持するテーパー支持面18aが設けられ、このテーパー支持面18aには該軸体18の軸方向と直交する方向に突体19aが設けられている。
【0035】
従って、螺旋バネ体11が図4中矢印a方向に回動すると、該螺旋バネ体11の端部11aは突体19aの側面に当接しながら回動し、この際、螺旋バネ体11は図4中矢印b方向に縮められ、この突体19aの側面を通過した際、該螺旋バネ体11は図5中c方向に復帰し、その螺旋バネ体11の端部11aが突体19aを通過した際に蓄積された戻り付勢力により螺旋バネ体11に振動が生じるものであり、この螺旋バネ体11の端部11aが突体19aを通過する作動が180°毎に繰り返される為、この180°毎に生じる振動により該螺旋バネ体11に付着している花粉1を離反させることになる。
【0036】
よって、螺旋バネ体11が振動した際、螺旋バネ体11に付着した花粉1は離反され、それだけ良好に花粉1は花粉搬送部4へ送出されることになる。しかも、その振動は螺旋バネ体11の周囲(特に花粉収納部2の下部開口部2b)に、仮に花粉1が壁状に固まっても、該固まった花粉1を崩す作用も発揮する。尚、螺旋バネ体11の表面に適宜なコーティングを施すことで、該螺旋バネ体11への花粉1の付着をそれだけ抑制し得ることになる。
【0037】
また、図1,2に図示したように連通部16の花粉落下部16aには筒孔状の花粉搬送路8が設けられ、この花粉搬送路8の上流側位置には送風部3が設けられており、花粉収納部2から花粉分散部10を介して送出される花粉1は送風部3からの送風により花粉搬送路8内で搬送される。
【0038】
また、花粉搬送路8の下流側位置には管部材24が連設され、この管部材24は、柔軟ホース部24aと金属パイプ部24bとから成り、金属パイプ部24bには搬送される花粉1を視認し得る花粉視認部9が設けられている。
【0039】
送風部3は、図2に図示したように花粉搬送路8の上流側位置に形成される空間部8aに回転羽根21を配設し、この回転羽根21を駆動モーター22により回転させる構成である。
【0040】
また、本実施例では、送風部3からの送風を花粉収納部2内に取り込むための送気部7を設けている。
【0041】
具体的には、花粉搬送路8の所定部位にして連通部16との連通位置P1(花粉落下部16aとの連通位置)よりも上流側の位置P2には送気部7が設けられ、この送気部7と花粉収納部2とは連通せしめられている。具体的には、位置P2に設けた孔30には管状部材23が連結され、該管状部材23は花粉収納部2内に導入され、この管状部材23の端部開口部23aは花粉収納部2の内部にして上方位置(閉塞部材13の近傍位置)において開口するように構成されている。
【0042】
これは、花粉収納部2から花粉搬送部4への花粉1の送出が良好に行われることに貢献する。
【0043】
即ち、花粉搬送部4における花粉1の搬送は送風部3からの送風により行われるが、その構造上、仮にこの送気部7が無い場合、この送風部3からの送風が花粉収納部2内へ逆流してしまうが、この点、本実施例は、花粉収納部2に送風を取り込むための送気部7を設け、しかも、この送気部7が花粉搬送路8の所定部位にして花粉収納部2から花粉1が送出される位置P1よりも上流側の位置P2と花粉収納部2とを連通することにより、花粉収納部2内にも送風圧が加わり、よって、花粉収納部2内に花粉1が逆流することなく良好な送出が行われることになる。しかも、管状部材23の端部開口部23aを花粉収納部2の上方で開口させることで、花粉収納部2内が良好な加圧状態となり、この点においても良好な花粉1の送出が行われることになる。
【0044】
また、花粉搬送部4に係る管部材24の先端部には花粉交配部6が設けられている。
【0045】
この花粉交配部6は、管部材24の先端部に設けられた花粉送出部25に毛ばたき状の花粉交配具26を付設したものであり、花粉送出部25は適宜な駆動源により回動する回動部27に連結されて、この回動部27の回動により花粉交配具26は回動自在に設けられている。
【0046】
符号28は花粉分散部10に係る螺旋バネ体11の回動速度を調整し得る回動速度制御部、29は花粉分散部10の駆動モーター17、花粉搬送部4の駆動モーター22及び花粉交配具26を回動させる回動部27などの本装置全ての機構を作動・停止させるスイッチである。
【0047】
本実施例は上述のように構成したから、送風部3を作動させて花粉搬送部4で搬送された花粉1が花粉交配部6に付着し、この花粉交配部6を雌しべに接触させることで受粉が行われる。この際、花粉収納部2に収納された花粉1を一度に多量に花粉搬送部4へ送出するのではなく、スクリュー式の送出機構とすることで任意の量の花粉1を花粉搬送部4へ送出して該花粉搬送部4により花粉交配部6まで確実に搬送させることができ、しかも、この螺旋バネ体11には花粉離反機構12が設けられている為、より一層花粉搬送部4への送出が良好に行われる。
【0048】
また、本実施例は、送風部3からの送風を花粉収納部2内に取り込むための送気部7を設けたから、花粉収納部2内に花粉1が逆流することなく良好な花粉搬送部4への送出が行われることになり、しかも、送気部7を花粉収納部2の上方で開口させることで、花粉収納部2内が良好な加圧状態となり、この点においても良好な花粉1の送出が行われることになる。
【0049】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施例を示す斜視図である。
【図2】 本実施例に係る要部を説明する側断面図である。
【図3】 本実施例に係る要部を説明する正面図である。
【図4】 本実施例に係る要部の概略動作説明図である。
【図5】 本実施例に係る要部の概略動作説明図である。
【符号の説明】
P1 位置
1 花粉
2 花粉収納部
3 送風部
4 花粉搬送部
6 花粉交配部
7 送気部
10 花粉分散部
11 螺旋バネ体
12 花粉離反機構
13 閉塞部材
14 花粉撹拌体
16 連通部
18 軸体
Claims (7)
- 花粉を収納する花粉収納部と、雌しべに前記花粉を接触させる花粉交配部と、前記花粉収納部から前記花粉交配部へ前記花粉を搬送する花粉搬送部とより成る花粉交配機であって、前記花粉収納部と前記花粉搬送部との連通部には前記花粉を分散させる花粉分散部が設けられ、この花粉分散部は、軸体に被嵌された自転する螺旋バネ体であり、この螺旋バネ体を回動させることで前記花粉収納部から前記花粉搬送部へ前記花粉を分散送出させるように構成されており、また、この花粉分散部には該花粉分散部に付着した花粉を離反させる花粉離反機構が設けられ、この花粉離反機構は、前記螺旋バネ体の自転に際して該螺旋バネ体を伸縮させる伸縮機構を有し、前記螺旋バネ体が自転して縮んだ状態から復帰する際に振動が生じて該螺旋バネ体に付着した前記花粉を離反するように構成されていることを特徴とする花粉交配機。
- 請求項1記載の花粉交配機において、前記花粉収納部から前記花粉交配部への前記花粉の搬送は送風による搬送であることを特徴とする花粉交配機。
- 請求項1,2いずれか1項に記載の花粉交配機において、前記花粉収納部として上部開口部を有するケース状の花粉収納部が採用され、この花粉収納部の上部開口部を閉塞する閉塞蓋材に当該花粉収納部に収納された前記花粉を撹拌する花粉撹拌体が揺動自在に垂設されていることを特徴とする花粉交配機。
- 請求項1〜3いずれか1項に記載の花粉交配機において、前記花粉として着色された花粉を採用したことを特徴とする花粉交配機。
- 請求項1〜4いずれか1項に記載の花粉交配機において、前記花粉収納部は半透明の素材で形成された容器体であることを特徴とする花粉交配機。
- 請求項1〜5いずれか1項に記載の花粉交配機において、前記螺旋バネ体の表面には該螺旋バネ体への前記花粉の付着を抑制するコーティングが施されていることを特徴とする花粉交配機。
- 請求項1〜6いずれか1項に記載の花粉交配機において、前記花粉収納部には前記花粉の残量を表示する残量表示手段が設けられていることを特徴とする花粉交配機。
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JP2002302768A JP3930414B2 (ja) | 2002-10-17 | 2002-10-17 | 花粉交配機 |
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JP2002302768A Expired - Lifetime JP3930414B2 (ja) | 2002-10-17 | 2002-10-17 | 花粉交配機 |
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2002
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