JP3930341B2 - マタニティウエア及び肥満型の婦人用・紳士用被服、並びにその製作方法 - Google Patents

マタニティウエア及び肥満型の婦人用・紳士用被服、並びにその製作方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業の利用分野】
本発明は、腹部の増減するサイズに適応する伸縮構造を有するマタニティウエア及び肥満型の婦人用・紳士用被服並びにその制作方法に関するものである。
【0002】
【従来技術】
従来、妊娠した女性の着る被服については、おなかの赤ちゃんを保護しなければならないということと、目立つおなかは隠すものであるという概念が一般的であったので、腹部を覆い隠す形のマタニティウエアしか販売されていなかった。仕方なく妊娠した女性である消費者は、デザイン性のない、見栄えの悪いジャンパースカートやワンピース等のマタニティウエアを着用していた。
【0003】
一般的にいって、妊婦は、次の二つの条件を実現する被服を潜在的に求めていたと考えられる。
1.ゆったりとして腹部を圧迫しない被服
2.身体にフィットしたそれぞれの好みに合うファッショナブルな被服
しかし、この二つの条件は従来は相反するように考えられていたので、妊婦の着るものは、マタニティウエアであると妊婦自身も考え、周囲の人はそのように思いこんでいた。妊娠するとおなかを隠すスタイルになるため、逆に、妊娠したことは、すぐに周囲に明らかになった。
【0004】
率直に言って、殆どすべての妊娠した女性は、大きくなっていく腹部をなるべく目立たせないようにしたいという要求を持っている。この場合、妊婦の腹部の寸法の変化を具体的に把握することが重要である。
妊婦のウエスト・中ヒップ・ヒップの寸法の変化は、統計によれば(文化服装学院編、文化ファッション講座婦人服3記載)、平均的にみて、図1、図2に示したとおりであって、10ヶ月の段階で、ウエストは平常時プラス23cm、中ヒップは平常時プラス20cm、ヒップは平常時プラス6cmから10cmである。このように、個人差はあるものの寸法的な差が大きいので、妊娠初期から妊娠10ヶ月まで全て着用できるものを案出するのは困難だった。それで、流通上の単価との兼ね合いからも、妊婦服として最も縫製上簡単な腹部を覆い隠す形のマタニティウエアが長い間(婦人が一般的に洋服を着用するようになった戦後から約50年間)販売され、妊婦が求めていたにもかかわらず、大きくなった腹部にフィットさせ、しかもファッショナブルなデザインのマタニティウエアは、存在しなかった。
【0005】
したがって、従来のマタニティウエアでは、妊婦の大きくなるおなかに適応するように、最大限に腹部が大きくなった状態(妊娠10ヶ月)にあわせて裁断されたジャンパースカートやワンピースが一般的であった。
図3に示すように、これらのジャンパースカートやワンピース21及びワンピース22は、前身頃の胸部で、ヨーク23(身頃の背肩、胸部やスカートの腰部に切り替えを入れてつけられる布)で切り替えて、おなかの張りを覆う料を出し、妊婦のおなかの寸法の大小にかかわりなく、すっぽりと腹部を覆うデザインである。
また、図4に示すように、後ろのウエスト部分に、リボン結びのできる紐25を2本つけて、締められるようにしたワンピース24が、流通していた。
このように従来の技術では、妊婦向けの被服と言えば、昔の軍隊で強制的に着せられた軍服のように、ほとんど同一の形態であった。おしゃれであり、かつファッショナブルで、個人個人の体型にフィットしたものは存在しなかった。
【0006】
妊娠中の腹部を圧迫せず、しかも個人個人の身体にフィットしたおしゃれで、ファッショナブルな被服を作るためには、まず最初に、妊婦服でない通常の状態で着る被服が、なぜ妊娠した女性に適応しないかを検討する必要があろう。
妊婦用でない普通のウエストゴムの入ったスカートを着用した場合の問題点を、図5、図6により説明する。
ウエストゴム27の入ったスカート26、及びウエストゴム30の入ったスカート29は、ゴムだけの力で、スカートが落ちないようになっているため、ゴムの力はある程度強くなっている。スカート26のウエストゴム27、及びスカート29のウエストゴム30が、強く腹部を締め付けるため、妊婦には不向きだった。また、妊婦に限らず、普通の体型の人がこのスカートを着用した場合も、ウエスト部分に皺がより、ゴムであることがわかってしまうので、見栄えが悪かった。
図5に示すように、妊娠初期のウエストに合わせたスカート26をはいた場合は、ウエストゴム27の最大に伸びた状態で大きなおなかを覆うことはできるが、妊娠中期になると、ウエストからヒップの部分がはじけて、ファスナー28が締まらなくなってしまうという問題点がある。
一方、図6に示すように、妊娠末期の最大に大きくなった腹部の状態に合わせたサイズのスカート29をはいた場合は、産後の普通の状態に戻ると、ウエストゴム30部分にギャザー31(布に襞がでること)がたくさんより、ぶかぶかの状態となり、見栄えが悪く、実際よりも太った印象を与えることになり、産後の着用はできなくなるという問題点がある。
【0007】
さらに、股上部分に着目して検討したい。妊婦のマタニティウエアを制作する場合、妊娠末期まで膨らんだおなかを包むため、股ぐり寸法は図11におけるウエスト前中心位置A’’から股上の最下端の位置C’’までの寸法、すなわち妊娠末期における前股ぐり寸法であり、同様に後股ぐり寸法も股上の最下端の位置C’’からウエスト後中心位置E’’までの寸法で制作していた。産後の普通の状態に戻ると、妊娠末期の股ぐり寸法と普通の状態の股ぐり寸法との寸法差分が股下部分に下がってしまっていた。このため、産前・産後に際立った変化のない股下部分に、股上部分が全体に下がってしまうため、着丈のバランスが崩れてしまい、足が短く見えて見栄えが悪かった。ズボンの場合には、平常時に戻ると股ぐりの位置が図11に示すように、実際の股上の最下端を表す破線の位置よりも、ズボンの股上の最下端の位置C’’が下に下がってしまい、股ぐりが合わず下に下がった状態で着心地が悪く、また見栄えも悪かった。自分の股上寸法の増幅に合わせて身体にフィットするマタニティウエアは従来存在しなかった。
妊娠末期の最大に大きくなった腹部の股ぐり寸法と、産後の普通の状態の股ぐり寸法には大きな変化があるため、この寸法差をデザイン的にも見栄えよく、また、着心地も良い状態になるように、いかに克服するかという問題点がある。
【0008】
表地の身体へのフィットの問題の他に、裏地の身体へのフィットについても検討する必要がある。
従来、ジーンズ等でつくられたカジュアルな普段着は別として、スカートには、全体に裏地をつけたものが流通している。全体に裏地をつけるのは、表地を補強する、すべりを良くする、シルエットをよくする、透けて見えないようにするためである。そのため、裏地には、伸縮性のない化学繊維が多く使われている。
裏地がつれてしまうと、表地にも皺が出て、シルエットが崩れるため、裏地は表地よりもやや緩めにつける。しかし,裏地が多くなってしまっても、もたついた感じになり、シルエットが崩れる。
おなかの出っ張り具合に合わせてスカートをフィットさせるという問題を解決するには、すべりを良くするために、伸縮性のない裏地をどうするかという問題がある。
【0009】
また、妊娠した女性だけでなく、従来の7号・9号・11号・・・といった既製服に対応しずらくなっている、年をとっておなかのみが大きく出るようになった肥満型の婦人・紳士等の年配者は、スカートもしくはズボンの着用に際し、以下の点で問題があった。
(1)大きくなったウエスト部分にゴムを挿入すると服が下に落ちることはないが、ウエストからヒップのラインを身体にフィットさせることはできず、腹部が窮屈になって生地が切れそうになるか、又はぶかぶかになって、ウエストのゴムの部分に縦の皺がよるため、見栄えが悪く、普段着でしか使用することはできなかった。そのため、外出着にするには、ウエスト部分を隠す上着が必要になった。
(2)ウエスト部分に、織物地の折り込みを入れ、これを引き出すことによって、ウエスト調節が可能なスカートやズボンもあるが、この場合は、折り込み部分だけが、それ以外の部分の何重の厚さにもなるので、ごわごわした感じ、もたつく感じがあり、着心地が大変悪かった。
(3)普通のサイズのスカートを、おなかだけが大きく出るようになった年配者が着用すると、おなかに布がとられるため、布がせり上がり、裾のラインが前の部分だけ上がってしまい、大変見栄えが悪かった。
(4)ウエストサイズに合わせて既製服を購入すると、ヒップから裾に至るまでが大きなサイズとなり、ぶかぶかの状態で、とてもファッショナブルに着こなすことなど、出来なかった。
(5)紳士用ズボンの場合、腰骨の少し上でバンドを締めるのが一般的であるが、肥満すると、ちょうどその部分のおなかがせりだすので、バンドが出っ張ったおなかを真上から締めつけることになり、本人にとっては大変苦しい状態になるので、やむを得ずバンドを緩めることになる。それで、ズボンが下に下がり、ベルトを大きなおなかの下の部分で締めるというみっともない格好にならざるを得ないという悲劇が生じ、それが肥満者の深刻な悩みとなっている。
【0010】
高い価格のオーダーメイドを注文する一部の人達は別として、年をとっておなかのみが出っ張ってきた年配者は、既製服で間に合わすため、自分の身体に合わない服を着てきた。安い価格で、自分の身体にフィットするスカートやズボンを潜在的に求めていた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
被服業界は、伸縮する部分をスカートやズボンに入れれば、身体にフィットしたスカートやズボンを安価に製作できることを、気がついていたものと考えられる。しかし、単純に、織物地と伸縮する編物地を縫い付けただけでは、はっきりと境目がわかってしまい、見栄えが悪く、ファッション性のある被服を作ることはできなかった。おなかの出っ張り具合にあわせて伸縮して、なおかつデザイン性のある被服をつくるには、境目が目立たない織物地と編物地が、どうしても必要であった。長い間、境目が目立たない織物地と編物地を、切望していたが、実際には存在しなかった。
織物地と編物地の境目を目立たせないようにするためには、糸の色と性質が違って見えないように、織物地に使用する素材を、そのまま編物地の素材に使用すればよいと考えられる。しかし、単純に、織物地の素材で編んだだけでは、編物地としての特長が死んでしまい、編物地としての価値がなくなってしまう。
織物地の素材で編んだ場合の編物地は、以下のような問題点があった。
(1)伸縮率が少ない。
(2)硬くなって、風合いが悪い。
(3)硬く撚りをかけた糸が、編物の特徴であるいくつものループ(輪)をつくって、編物地を構成するため、肌にさわるとかさかさして痛い。
(4)編物地を洗うと、糸の撚りが同じ方向に戻ろうとするので布地がゆがむ。
織物地の素材で編み、かつ上記の問題点を解決する編物地が求められていた。
【0012】
従来、織物地と編物地は、それぞれそれ専用の糸を使っていた。
織物地には、布帛(裂地一般)の糸を用い、経糸を張ったところに緯糸を打ち込むようにして、経糸の間に糸を入れて織っていくので、丈夫な糸でないと切れてしまうため、撚糸をかけて硬い糸に仕上げたものを使用してきた。
一方、編物地には、糸に撚りをかけすぎると、斜行(編目がずれていくこと)して編物地が曲がってしまうためと、風合いも硬く、ふわっとさせることができないため、撚りをあまりかけない糸を利用してきた。
織物用の糸を使って、伸縮性のある編物地を作ることは求められていたが、そうした編物地は存在しなかった。
【0013】
結局、織物用の糸を使った伸縮性のある編物地を作ることが出来なかったために、出っ張ったおなかにフィットして、なおかつデザイン性のある被服が、存在しなかったのである。
【0014】
また、股ぐり寸法に着目した場合、妊娠末期の出っ張ったおなかの寸法に合わせた股ぐり寸法でなければ妊娠末期の出っ張ったおなかを被覆できないため,産後は妊娠末期の股ぐり寸法と普通の状態の股ぐり寸法との差が下に下がってしまっていた。この股ぐり寸法の差を克服する、妊娠中も産後も自分の股ぐり寸法にフィットし、なおかつデザイン性のある被服が存在しなかったのである。
【0015】
この発明は、デザイン性があって、なおかつ出っ張った腹部にフィットする伸縮性を持った被服の制作方法を提供することを目的とする。また、出っ張った腹部にも、出っ張った腹部が通常に戻った状態にもフィットする被服の制作方法を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明のマタニティウエア及び肥満型の婦人用・紳士用被服は、織物地部分と伸縮性を持つ編物地部分が一体に縫合された被服であって、前記編物地部分は前記織物地部分と同一素材で編み上げられると共に、この編物地部分にのみ柔軟剤を使用するウォッシュ加工が施されており、腹部の寸法の増減に対応して前記編物地部分が伸することを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、前記編物地部分に、前記柔軟剤に滑りやすさと伸縮性を与えるぬめり加工用溶剤を加えたウォッシュ加工が施されていることを特徴とする。
【0019】
本発明は、前記編物地部分には、伸縮性を妨げる裏地を設けないことを特徴とする。
【0020】
本発明において、前記編物地部分は、その始端をウエスト部位とし、終端をヒップ下端部から裾までの間とて、織物地部分に縫い込まれることを特徴とする。
【0021】
また、本発明は、前記編物地部分を縦長に裁断し、1本又は複数本の該編物地部分を織物地部分に縫い込んだことを特徴とする。
【0022】
本発明は、前記織物地部分をヘリンボーン柄として、横糸に伸縮率のよいポリウレタン加工糸を入れて織り、前記編物地部分を前記織物地部分と同一の糸で編み上げたことを特徴とする。
【0023】
また、本発明のマタニティウエア及び肥満型の婦人用・紳士用被服の製作方法は、織物地部分と伸縮性を有する編物地部分がデザイン上一体に縫合された被服の製作方法において、妊娠前又は肥満前のウエスト及びヒップの寸法を基準として織物地部分と編物地部分を作図し、それぞれの作図に合わせて織物地と、織物地と同一の素材で編み上げられた編物地部分に柔軟性、伸縮性、円滑性を与えるために、柔軟剤にぬめり加工用溶剤を加えてウォッシュ加工を施し、織物地部分と編物地部分とを縫い合わせ、ファスナー、ホック等の付属品を装着し、編物地部分に裏地を付けないことを特徴とする。
【0024】
【発明の実施の形態】
以上の問題を解決するため、本発明の実施形態を、実施例にもとづいて図を参照して説明する。図7は、実施例1における妊娠初期・妊娠中期・妊娠後期の着用時の側面図であり、編物地部分の伸縮を表したものである。図8は、実施例1におけるマタニティスカートの正面図、背面図、側面図である。図9は、実施例1におけるマタニティスカートの編物地部分を裾までとした場合の正面図、背面図、側面図である。図10は、実施例2における紳士用・婦人用ズボンの正面図、背面図、側面図である。
【0025】
<実施例1>
本実施例に示すマタニティウエア並びに肥満型の婦人用・紳士用被服は、同一の糸を使用した織物地部分と編物地部分からなり、織物地部分をヘリンボーン柄とし、編物地部分を織物地部分と違和感の無いジャガード編みにしたものである。
【0026】
本実施例のマタニティスカートの作成について、以下に説明する。
型紙を、図1、図2に示すように標準体型の標準的な妊婦のサイズに合わせて、作成する。作図の際のポイントは、以下のとおりである。
(1)作図する寸法は、ウエスト・ヒップの妊娠前を基準とする。すなわち元の体型に合わせる。
(2)従来は、ソフトにおなかにフィットさせることができなかったので、妊婦の出っ張ったおなかでスカートを止めることは考えられず、肩から吊り下げたジャンパースカートやワンピースしかなかった。本願発明は、妊娠前から臨月に至るまですべて、妊婦のウエスト位置(妊娠後期になるにつれて、前部分が少し上に上がる)に、スカートの上部を合わせるように製作する。すなわち、図7に示すように、妊娠中はおなかの出っ張った位置を脇の編物地部分1が伸びてフィットするようにする。
(3)妊娠後期には、両脇部分に配した長い帯状の伸縮する編物地部分1が縦横両方向に広がることによって、スカート32のウエスト33が最大限に広がる。
(4)編物地部分の幅が、横方向に最大2倍伸びるようにつくる。2倍に伸びる編み方については、後述する。
以下のように、編物地部分の型紙の幅・丈を決める。横幅の同じ帯状の編物地にした場合について説明する。
a.編物地の幅
図1に示すように、妊娠前と妊娠10ヶ月を比較した場合、最も大きく寸法が変化するのは、ウエストであり、標準で平常時プラス23センチである。横方向に2倍伸びる編物地であるから、両脇に編物地を入れると、妊婦のウエスト変化寸法23センチの2分の1である11.5センチが、編物地に最低限必要な幅である。
最も大きく妊婦の寸法が変化するウエストが、妊娠後期に適応すれば、他の部位はそれぞれの時期にそれぞれの寸法に充分に適応する。
b.編物地の丈
図2に示すように、妊婦の体型が変化するのは、ウエストからヒップ部下端にかけてであるので、編物地の丈は、ウエストからヒップ部下端までとする。
ウエストからヒップ部下端にかけての部分が伸縮しないと仮定すると、図5に示すように妊娠中期の状態になったときに、大きなおなかに対してスカート26が小さすぎ、ウエストからヒップ部下端にかけての部分が締まらなくなり、スカート26をはくことができなくなってしまう。腹部が最大になった妊娠後期には、さらに大きくウエストからヒップ部下端までが逆三角形に空いてしまう。この部分が、図7に示すように、編物地の伸びることを必要とする範囲である。すなわち、編物地の丈は、ウエスト33からヒップ部下端34までが、最低限必要な丈である。
C.デザイン上、編物地は幅が同じである帯状にしたが、ウエストからヒップ部下端までが、それぞれ妊婦の寸法の変化の2分の1が編物地になるようにして、編物地を逆三角形型にしても良い。
d.スモールサイズ・ラージサイズにおいても、妊婦のウエスト変化寸法の2分の1を最低限必要な編物地の幅、ウエストからヒップ部下端までを最低限必要な編物地の丈とする。
(5)裏地について
裏地は、すべりをよくするために、伸縮性がない生地である。編物地部分が伸縮することによって、出っ張ったおなかに適応する本発明では、編物地部分には裏地をつけず、織物地部分にのみ裏地を設けて縫着する。編物地部分の方が厚いため、裏地をつけなくても違和感は無い。
【0027】
(織物地の作成について)
本実施例では、織物地部分をヘリンボーン柄で織っている。表地の生地を形成する横糸に伸縮率のよいポリウレタン加工糸を入れる。本実施例では、ライクラ加工糸の他に、意匠的に表現できるネップヤーンを入れる。ネップヤーンとは、意匠糸の一種で、繊維の小さなかたまりを糸の製造段階で入れ、撚り込んで変化を持たせた飾り糸のことである。伸縮率のよいポリウレタン加工糸には、ライクラ加工糸があり、本実施例ではこれを使用する。ライクラ加工糸とは、アメリカのデュポン社のポリウレタン繊維の商標名である。生地の縦横両方向にストレッチ(伸縮)を効かせたヘリンボーン柄の織物地を織る。以下、この織物地を素材Aとする。
ヘリンボーン柄は、ニシンの骨つまりヘリンボーンの形にその織り目が似ていることに由来し、杉綾とも言う。細かい針目の模様によって、織物地に小さな凹凸がたくさんあるように見えるため、小さな凹凸がたくさんある編物地と並べたときに境目が目立たなく、デザイン上の工夫が施しやすいので、本実施例はヘリンボーン柄を採用した。
ヘリンボーン柄に限らず、経糸または緯糸がそれぞれ浮き、織り面に斜めに綾線が走っている綾織り、濃い糸と淡い糸が濃淡のある布目となって凹凸があるように見える柄、織物の表に出る目がぽつぽつと点のように見える柄であってもよい。または、織物地部分も編物地部分も無地であってもよい。
【0028】
(編物地部分の作成について)
本実施例の伸縮可能な編物地の素材は、織物地で使用したものと同一の糸を使用する。同一の糸を使用するのは、一つのデザインとして編物地を織物地に縫込むことができ、デザイン上さまざまな工夫を凝らしファッション性の高い被服を構成できるからである。従来のように、同一の糸で無い場合は、織物地に縫いこんだ編物地が、つぎはぎをしたように見えてしまい、安っぽくなる。つぎはぎという感じではなく、意匠としての被服を、デザイン上の観点から構成するには、織物地と同一の糸であることが必要である。
編物地は、ウオッシュ加工で縮む部分を見越して、図8の脇編地部分1の型紙の20パーセント大きくしたサイズに、ジャガード編み機にて編む。織物地用の糸は、ニット用の糸に比べて硬めとなるので、伸縮率のよいポリウレタン加工糸と引きそろえることによって、弾力と伸縮を持たせた横編立地で編む。ジャガード編み機とは、緯(よこ)糸1本ごとに、これに組織される経(たて)糸の開口を規制する子孔をあけた紋紙の操作によって文様を織り出すメカニズムを編み機に応用したものである。ジャガード編みの模様は、織物地のヘリンボーン柄に合わせて模様を入れる。
以下、この編物地を素材Bとする。
【0029】
(ウオッシュ加工について)
編物地部分は、織物地と同一の糸である布帛用の撚りの強い糸を使用しているため、柔らかさに欠けており、編み終わった段階では、非常にごわごわしており、伸縮性も悪い。そこで、編物地部分のみを、編み上がった段階で、織物地との縫合前に、ウオッシュ加工を施す。
本実施例のウオッシュ加工の方法は、柔軟剤に、ぬめり加工用溶剤をプラスした洗いである。
(1)柔軟剤
糸あるいは布に柔軟さを与えるための油剤である。繊維の摩擦係数を小さくすることによって、柔軟な手触りを与える。同時に、静電気防止作用も併せ持つ。
(2)ぬめり加工用溶剤
織物をさわったときのなめらかな手触りや、風合いを出すための溶剤である。毛織物を仕上げるまでに、その工程においてぬめりが不足した毛織物に対して、脂肪を与えてぬめりを出すために用いられていた。脂肪を与えることにより、撚りが強い糸で作られた編物地部分を、しっとりさせ、縦横両方向に引っ張られた際に滑りやすくして、伸縮性を出している。本実施例では、シリコン剤を用いる。
(3)柔軟剤を混ぜた縮じゅ液に、濃度のある高質のシリコン剤を加え、水温40度位でゆるやかにゆっくりな回転で洗い、急激な高温乾燥を避け、ゆっくりと乾燥をし、通常の2倍位の時間を費やし、風合いを充分に引き出すように加工する。素材によって、ぬめり加工用溶剤を入れず、柔軟剤を混ぜただけの縮じゅ液にしてもよい。
(4)ウオッシュ加工を経た段階で、編物地を、型紙の大きさにする。
【0030】
(織物地の裁断とダーツについて)
図8の編物地部分1を素材Bとし、その他の部分を素材Aとする。素材Aに織地模様に合わせ、型紙を配し、縫い代をつけて裁断する。図9に示すように、デザイン的に編物地部分1をウエストから裾までとしてもよい。素材Aの部分の前後にそれぞれ2本のウエストダーツ(人体の凹凸面に合わせて立体化するためにとるつまみ)を、ダーツの位置2にとり、人体にフィットさせるため立体化する。ダーツの代わりに、タック(縫いひだ)としてもよい。
【0031】
(編物地部分と織物地部分及び裏地の縫合及び附属品の装着について)
素材Aと素材Bの縫合箇所は、全てリブ伸ばし付をおこなう。リブ伸ばし付については後述する。これは、織物地に対して編物地の方が厚さがあるため、編物地を少し伸ばし気味にして縫合して、織物地部分と編物地部分が同じように見えるようにするためである。
前部分のコンシールファスナー装着部4にコンシールファスナーを付け、あきの位置を目立たせないようにする。コンシールファスナーは、かみ合わせのファスナーの虫部分が、隠れるようになっていて、とりつけたときに、1本の切り替え線のように見え、洋服の仕上がりが美しくなるファスナーである。コンシールファスナーの織物地との装着部の表側は、織物地に装着し、裏側は裏地に装着する。また、コンシールファスナーの編物地との装着部は、表側に編物地を装着する。編物地部分には、裏地を付けない。
コンシールファスナーを素材Aと素材Bの間に結合させる際には、リブ伸ばし付をおこなう。素材Bのリブ(織物,編物の組織上あらわれる畝、畦)を平らに伸ばすようにして、ステッチ(針目)押えをする。ウエストから遠くなるにしたがって、リブ伸ばしの幅を変更してステッチ押えを行う。素材Bの一番下の部分でリブ伸ばしは1cm、下から3分の1の部分でリブ伸ばしは0.5cmとする。その間は、リブ伸ばしの幅を、徐々に縮めるものとする。スカートの上端から3分の2までの部分のリブ伸ばしは、0.5cmとする。本実施例では、伸ばし分を上記に設定したが、素材により伸ばし分は異なる。
伸縮する素材Bを、切替え(布をはぎ合わせること)のデザインとした。切替え線(切り替えによってできる境(縫い目))は、服の構成上、体型に合わさなければならない構造線と、デザイン上の効果のためのデザイン線とがあるが、この発明は、その両方を兼ね合わせたものとなっている。しかも、本実施例は、織り方は異なっていても、織り地の素材が同じであるため、違和感を感じさせず、一体感のある外観となっている。また、スカートの脇の前部分の織物地と編物地の縫い目の位置にファスナーをつけたことによって、妊婦が脱ぎ着しやすいようになっており、機能的にもすぐれている。本実施例では、スカートの前部分の中心より少し脇の位置にしたが、ファスナーは、どこの縫い目につけてもよい。
【0032】
素材Bの編物地の山になった部分であるリブを平らに伸ばすようにして、ロックの位置6にロックし、角に補強のため閂止めを入れる。コンシールファスナーの上部、スプリングホック装着部5に、スプリングホック(かぎホック)を付ける。ロックの位置・リブ伸ばし付位置7に、ロックし、リブ伸ばし付をおこない、閂止の位置8に補強のため閂止めを入れる。ロックの位置・リブ伸ばし付位置7は、織物地と編物地のはぎ位置で、0029で述べたようにリブ伸ばし付を行い、裏側ロックにする。編物地部分と織物地部分の縫い合わせ箇所は、リブ伸ばし付けをおこなう。
編物地部分と織物地部分を縫い合わせていき被服を構成する。ウエストゴム挿入部3に、織物地の裏側にゴム出し口(ゴムを出すために縫い開けておく穴)をつけ、ゴムを通す穴を内側に作り、ゴムを通す。ゴムには、長さの調節が可能なように、ゴムの幅の中央にボタン止め用の穴の開いたあなあきゴムを使用して、身頃側にはゴム用のボタンをつけ、ボタンのかける位置によってゴムの長さの調節が可能になっている。編物地部分の伸縮だけで妊婦の身体にフィットするため、このウエスト部分のゴムを付けないデザインとしてもよい。
【0033】
<実施例2>
実施例2の紳士用・婦人用ズボンの作成の場合について、以下に説明する。
図10の脇編地部分10を素材Bとし、その他の部分を素材Aとする。リブ伸ばし付位置14は、ウエストから遠くなるにしたがって、リブ伸ばしの幅を変更してステッチ押えを行う。素材Bの一番下の部分でリブ伸ばしは1cm、下から3分の1の部分でリブ伸ばしは0.5cmとする。その間は、リブ伸ばしの幅を、徐々に縮めるものとする。ズボンの上端から3分の2までの部分のリブ伸ばしは0.5cmとする。ロックの位置・リブ伸ばし付位置16にロックし、リブ伸ばし付をおこない、閂止め位置17に、補強のため閂止めを入れる。素材Aの部分の前後のダーツの位置15にそれぞれ2本のウエストダーツをとる。ダーツの代わりにタックとしてもよい。ファスナー装着部13に、ファスナーをつける。ファスナーは、前中心に限らず、脇の部分など、どこの縫い目につけてもよい。編物地部分と織物地部分を縫い合わせていき被服を構成する。ウエストゴム挿入部11にゴムを入れ、ボタン装着部12にボタンを付ける。
【0034】
<実施例3>
実施例3の妊婦用ワンピースにおいても、編物地部分の幅は、実施例1において0024で述べたものと同様である。編物地部分の丈は、図1に示すようにバストが平常時プラス10センチになり上半身もふくよかになるため、わきの下からヒップ部下端までを最低限必要な編物地の丈とする。このように構成することによって、本実施例は成立する。
【0035】
<実施例4>
増減する腹部に適応する伸縮構造を有する婦人用スカート及び婦人用・紳士用ズボンの作成のポイントについて、以下に説明する。
妊婦の実施例で説明したように、婦人用スカート及び婦人用・紳士用ズボンの場合にも、両脇に入れる編物地に最低限必要な丈は、出っ張ったおなかに適応させるためであるから、ウエストからヒップ部下端までである。幅については、10センチの変動幅であれば、変動幅の2分の1である5センチが必要である。20センチの変動幅であれば、10センチが必要である。標準体型のウエスト寸法と現実の消費者の寸法とを比較して、何種類かのパターンを定めて、編物地部分の幅を決める。
実施例1の妊婦用では、ファスナーであることが外見上目立たないコンシールファスナーを使用したが、デザインによって、ファスナーであることがはっきりわかるタイプのファスナーにしてもよい。また、妊婦用ではファスナーの取り付ける位置を、織物地と編物地の縫い合わせる境目としたが、デザインによって前もしくは後ろの中心にしてもよい。デザインによって、ベルトを通せるようにベルト通しを付ける。
【0036】
<実施例5>
さらに、増減する腹部に適応する伸縮構造を有する婦人用スカート及び婦人用・紳士用ズボンにおいて、股ぐり寸法のフィットに焦点を当てた作成のポイントについて、以下に説明する。
図12に示すように、妊娠末期と平常時の股ぐり寸法の差の丈の2倍を編物地43の部分とし、前身頃における編物地部分の丈の半分の位置をBとして制作する。編物地の部分は妊娠末期におけるウエスト前中心位置Aの方から編み出しても、反対方向から編み出してもよい。また、編み目数は増幅なしに編んでもよいし、デザインによって増やしてもよい。編物地に使用する糸は、身生地と同糸である全体として一体感のあるものとしてもよいし、別糸で編んでウエスト位置部分をデザイン上のアクセントにしてもよい。織物地は、図12に示すように、裁断、縫製し、最後に織物地と編物地を縫合する。織物地と編物地をこのように構成することによって、本実施例は成立する。
なお、本実施例では、編物地を妊娠末期と平常時の股ぐり寸法の差の丈の2倍としたが、編物地43の最下端を、股上の最下端の位置Cに近づけて、編物地部分を長く設定してもよい。また、股上の織物地部分に、ひだを寄せたり美しい皺を出したり縮めたりするギャザーを多く取り入れたデザイン等の場合は、股上の織物地部分を長くする構成とすることもできる。
また、平常時に編物地を折り返す長さについては、二重になる部分が最も細くなるウエストの部分だけとなるように短い丈で構成してもよい。さらに、デザインによっては、折り返しを3重以上にしてウエスト位置にアクセントを置くこともできる。
婦人用、紳士用においても同様に構成することによって、本実施例は成立する。
【0037】
【発明の効果】
妊婦は、この発明によるマタニティウエアを着ると、腹部を圧迫することなしに、腹部のウエスト位置に、スカートのウエスト部分をソフトにフィットさせることができる。妊娠前から臨月にいたるまで、身体に被服をフィットさせることができるので、自分のセンスに合わせてファッショナブルに着こなすことができるようになる。昔の軍隊で強制的に着せられた軍服のように、一目見て、「妊婦である」とわかる、ほとんど同一の形態のファッションから、妊婦は解放される。また、妊娠前も妊娠中も産後も着用することができるスタイルであるので、妊娠中だけ特別に被服を購入し、その後着用しない従来型に比べて、長期にわたって着用できるので無駄がなく、経済的となる。
肥満型の婦人は、この発明によるスカート及びズボンを着ると、従来は価格の高いオーダーメイドでないかぎり、ウエストからヒップにかけて、フィットしたスカートやズボンをはくことはできなかったが、手ごろな価格でフィットしたものを着用することができるようになる。ゴムでなく編物地の伸縮により、腹部を圧迫すること無しに、ソフトにスカート及びズボンをフィットさせることができるようになるので見栄えがよい。
肥満型の紳士は、この発明によるズボンを着用すると、ソフトに腹部にフィットするので、脂肪の多いウエスト部分で締めても苦しく感じることなく、「腰骨のすぐ上の位置」で、ベルトを締めることができるようになり、今までよりもスタイリッシュに着こなすことができるようになる。従来は価格の高いオーダーメイドでないかぎり、ウエストから足元にかけて、フィットしたズボンをはくことはできなかったが、手ごろな価格でフィットしたものを着用することができるようになる。
【0038】
織物地と違和感なく、縦、横、斜めに伸縮性を編物地部分に持たせることによる効果は以下のとおりである。従来は、織物地と編物地の境目が目立つため、子供服や普段着といった感じがあり、ファッショナブルなデザインをすることができなかった。しかし、本発明により、織物地部分と編物地部分を外見上の相違点とする被服でなく、編物地の伸縮性という特長を生かして、織物地と編物地に一体感を持たせたファッションを自由にデザインできるようになる。
【0039】
編物地部分にウオッシュ加工を施すことにより、織物地と違和感なく、伸縮性のある編物地をつくることができる。伸縮性があって、しかもスーツに用いるような素材の編物地をつくることができるので、従来のように伸縮性がない織物地だけのデザインではなく、伸縮性という特長を生かして身体にフィットしたデザインを可能にする。
【0040】
編物地部分に裏地を入れないことにより、編物地部分を、身体の変化に応じて自由に伸び縮みさせて身体にフィットさせることができる。編物地部分にだけ裏地を入れず、織物地部分に裏地を入れても、違和感がなく一体感のある外観であるので、織物地と編物地の混ざった自由なデザインを可能にする。
【0041】
前記編物地部分は、その始端をウエスト部位とし、終端をヒップ下端部から裾までの間の適宜な部位までとして、帯形状、三角形上その他デザイン上求められる形状に編まれ、織物地部分に縫いこまれることによって、以下の効果を生じる。ビジネスマンが着用するようなオーソドックスなスーツの場合、伸縮性のある編物地を入れるのは脇の部分のヒップ下端部までが機能的で、普通サイズの人と同じように身体にフィットさせることができる。
【0042】
デザインによって、前記編物地部分を縦長に編み、1本又は複数本の編物地部分を織物地部分に縫い込んだ場合も、身体にフィットさせてファッショナブルに着こなせるという効果がある。また、本発明は、妊婦、肥満型の婦人、肥満型の紳士に限定することなく、既製服に適応しずらい身体障害者にも、身体にフィットした被服を提供する。従来は、器具等が入るため、大きいサイズを買って、フィットしない被服を着用せざるを得なかったが、本発明により、伸縮性のある前記編物地部分を入れることにより、今までよりもフィットした被服を着ることができ、おしゃれを楽しむことができる。
【0043】
前記織物地部分をヘリンボーン柄として、横糸に伸縮率のよいポリウレタン加工糸を入れて織り、前記編物地部分を織物地部分と同一の糸で編み上げた場合、特に織物地部分と編物地部分の境目が目立たないオーソドックスなスカートやズボンを作成することができる。
【0044】
股ぐり寸法の増減丈の2倍の寸法を編物地43として、股上寸法の増減丈分を長くした場合、図13の妊娠末期に示すように妊娠末期は編物地部分43を一重で使用することによって、編物地部分43の伸縮が二重のときよりも緩やかに身体にフィットする。
また、前股ぐり寸法、すなわち妊娠末期におけるウエスト前中心位置Aから股上の最下端の位置Cでの寸法も、後股ぐり寸法、すなわち妊娠末期におけるウエスト後中心位置Eから股上の最下端の位置Cまでの寸法も、たっぷりおなかを包むことができる寸法であり、妊娠末期の身体にフィットさせることができる。
一方、図13の平常時に示すように、産後の平常時は、編物地43の部分を折り曲げて二重にしたことにより、編物地の引き締め効果が一重のときよりも強力になり、細くなったおなかの線にフィットする。
また、妊娠末期におけるウエスト前中心位置Aは、平常時においてはA’の位置になり、また、前身頃における編物地部分の丈の半分の位置Bは、平常時着用におけるウエスト前中心位置B’になり、また、後身頃における編物地部分の丈の半分の位置Dは、平常時着用におけるウエスト後中心位置D’に位置する。
このように平常時と妊娠末期の股ぐり寸法との差である編物地部分の上部を折り曲げることにより、妊娠末期における股上の最下端の位置C、及び平常時着用における股上の最下端の位置C’を、図13に示すように実際の股上の最下端を表す破線の位置に合致させることができる。
よって、妊娠中も平常時も、股ぐり寸法が身体に合うようになり、ズボンの場合は従来のように股ぐり位置がずり落ちることがなく、また、スカートの場合も股ぐり寸法の差分が股下に落ちてしまうことはなく、着心地よく見栄もよく着用することができる。
【0045】
織物地部分と伸縮性を有する編物地部分がデザイン上一体に縫合された被服の製作方法において、妊娠前又は肥満前のウエスト及びヒップの寸法を基準として織物地部分と編物地部分を作図し、それぞれの作図に合わせて織物地と、織物地と同一の素材で編み上げられた編物地を編み、編物地部分に柔軟性、伸縮性、円滑性を与えるために、柔軟剤にぬめり加工用溶剤を加えてウォッシュ加工を施し、織物地部分と編物地部分とを縫い合わせ、ファスナー、ホック等の付属品を装着することによって、妊婦、肥満型の婦人、肥満型の紳士、既製服に適応しずらい身体障害者は、自分の体型にフィットした被服を着用することができる。
従来は、肥満型の人にとっては、個人の嗜好よりも、おなかが入るかどうかが優先されて、ウエストがゴムのものを購入するか、大きいサイズを購入して弛む部分が出てしまうかのどちらかだった。身体障害者にとっては、障害のある部位においてである。この発明により、おなかもしくは障害のある部位にソフトにフィットした被服を着用することができるようになり、しかも商品の選択の幅も広がると、今までよりもおしゃれに関心がいくようになり、生活に楽しみが出る。メンタルな面から作用して、健康も優れる傾向にある人が多いので、健康な人を増やす作用もある。
特に、年をとって、おなかのみ出っ張ってきた紳士は、この発明によるズボンを着用すると、出っ張ったおなかの真上でベルトを締めることができるようになり、しかも、痛くなく、ずり落ちる心配もないので、安心していられる。そして、なんといっても、ずり落ちそうなだらしない状態ではいていたズボンが、ピシッと腰骨のすぐ上の位置で止まっていることは、精神的に気分がよく、また若く見える作用もあり、うれしいことずくめである。
【図面の簡単な説明】
【図1】妊婦の体型の変化を、平常時、妊娠5ヶ月、妊娠10ヶ月における寸法で示している。
【図2】妊婦の体型の変化を、平常時から産後5ヶ月にかけて、人体の側面図を平常時との比較の形で示している。
【図3】前身頃の胸部にヨークのあるマタニティウエアの従来例の一例である。
【図4】ウエスト部分の後ろに、リボン結びのできる紐を2本つけたマタニティウエアの従来例の一例である。
【図5】妊娠初期のウエストに合わせたスカートの場合における妊娠初期の着用例と妊娠中期の着用例である。
【図6】妊娠末期のウエストに合わせたスカートの場合における妊娠末期の着用例と産後の平常時に戻った状態の着用例である。
【図7】この発明によるスカートの実施例の一例における妊娠初期・妊娠中期・妊娠後期の着用時の側面図であり、編物地部分の伸縮を表したものである。
【図8】この発明による編物地部分をウエストからヒップ部下端までとした場合のスカートの実施例の一例における正面図・背面図・側面図である。
【図9】この発明による編物地部分をウエストからスカートの裾までとした場合のスカートの実施例の一例における正面図・背面図・側面図である。
【図10】この発明による紳士用・婦人用ズボンの実施例の一例における正面図・背面図・側面図である。
【図11】お腹の前面部に伸縮する編物地を縫い付け、ウエストの脇から後ろにゴムを通したマタニティウエアの平常時に戻った状態の着用時の側面図であり、股上部分が下に落ちていることを表したものである。
【図12】この発明による編物地部分を妊娠末期と平常時の股ぐり寸法の差の丈の2倍にした場合のズボンの実施例の一例における正面図である。
【図13】この発明によるスカートの実施例の一例における妊娠末期・平常時の着用時の側面図であり、どちらの場合においても股上部分が身体にフィットしていることを表したものである。
【符号の説明】
1.脇の編物地部分
2.ダーツの位置
3.ウエストゴム挿入部
4.コンシールファスナー装着部・リブ伸ばし付位置
5.スプリングホック装着部
6.ロックの位置
7.ロックの位置・リブ伸ばし付位置
8.閂止めの位置
10.脇の編物地部分
11.ウエストゴム挿入部
12.ボタン装着部
13.ファスナー装着部
14.リブ伸ばし付位置
15.ダーツの位置
16.ロックの位置・リブ伸ばし付位置
17.閂止めの位置
21.ワンピース
22.ワンピース
23.ヨーク
24.ワンピース
25.紐
26.スカート
27.ウエストゴム
28.ファスナー
29.スカート
30.ウエストゴム
31.ギャザー
32.スカート
33.ウエスト
34.ヒップ部下端
41.編物地部分
42.ウエストゴム挿入部
43.編物地部分
A.妊娠末期におけるウエスト前中心位置
B.前身頃における編物地部分の丈の半分の位置
C.股上の最下端の位置
D.後身頃における編物地部分の丈の半分の位置
A’.平常時着用における妊娠末期のウエスト前中心位置
B’.平常時着用におけるウエスト前中心位置
C’.平常時着用における股上の最下端の位置
D’.平常時着用におけるウエスト後中心位置
A’’.従来例による平常時着用におけるウエスト前中心位置
C’’.従来例による平常時着用における股上の最下端の位置
E’’.従来例による平常時着用におけるウエスト後中心位置

Claims (7)

  1. 織物地部分と伸縮性を持つ編物地部分が一体に縫合された被服であって、前記編物地部分は前記織物地部分と同一素材で編み上げられると共に、この編物地部分にのみ柔軟剤を使用するウォッシュ加工が施されており、腹部の寸法の増減に対応して前記編物地部分が伸することを特徴とするマタニティウエア及び肥満型の婦人用・紳士用被服。
  2. 前記編物地部分には、前記柔軟剤に滑りやすさと伸縮性を与えるぬめり加工用溶剤を加えたウォッシュ加工が施されていることを特徴とする請求項1に記載のマタニティウエア及び肥満型の婦人用・紳士用被服。
  3. 前記編物地部分には、伸縮性を妨げる裏地を設けないことを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載のマタニティウエア及び肥満型の婦人用・紳士用被服。
  4. 前記編物地部分は、その始端をウエスト部位とし、終端をヒップ下端部から裾までの間とて、織物地部分に縫い込まれることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のマタニティウエア及び肥満型の婦人用・紳士用被服。
  5. 前記編物地部分を縦長に編み、1本又は複数本の該編物地部分を織物地部分に縫い込んだことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のマタニティウエア及び肥満型の婦人用・紳士用被服。
  6. 前記織物地部分をヘリンボーン柄として、横糸に伸縮率のよいポリウレタン加工糸を入れて織り、前記編物地部分を前記織物地部分と同一の糸で編み上げたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のマタニティウエア及び肥満型の婦人用・紳士用被服。
  7. 織物地部分と伸縮性を有する編物地部分がデザイン上一体に縫合された被服の製作方法において、妊娠前又は肥満前のウエスト及びヒップの寸法を基準として織物地部分と編物地部分を作図し、それぞれの作図に合わせて織物地と、織物地と同一の素材で編み上げられた編物地を編み、編物地部分に柔軟性、伸縮性、円滑性を与えるために、柔軟剤にぬめり加工用溶剤を加えてウォッシュ加工を施し、織物地部分と編物地部分とを縫い合わせ、ファスナー、ホック等の付属品を装着し、編物地部分に裏地を付けないことを特徴とするマタニティウエア及び肥満型の婦人用・紳士用被服の製作方法。
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