JP3930313B2 - デジタルカメラ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、2次電池、または、1次電池を電源とするデジタルカメラにおける上記電池の残留容量の管理に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子カメラは、近年、広く普及しているが、その電子カメラは、従来の銀塩カメラと比較して、通常、消費電力が大きく、電池容量に起因する作動可能時間(撮影可能駒数)の制約があった。上記電子カメラに利用される電池は、1次電池、2次電池の両方があるが、経済的観点から2次電池が利用されることが多い。
【0003】
ところで、2次電池を利用する上で問題となるのが電池残留容量の把握であり、充電タイミングを要領よく把握することが一般に困難である。このため、撮影中の不意のパワーダウンに備えて予備電池を携帯する必要もあった。
【0004】
そこで、2次電池の残留容量を把握するために提案されたものとして特開平11−52469号公報に開示されたものは、電池残留容量に関する表示をLCDに表示させるようにしたカメラに関するものであり、そのカメラにおいては、電池残量を検知し、この電池残留容量に応じて撮影可能枚数を判定し、上記撮影可能枚数をLCDに表示させる。上記撮影可能枚数が所定値以下になった場合は、電池交換のメッセージがLCDに表示される。上記電池残留容量の検知は、電池出力ラインに所定の負荷が接続された電池残留容量検知回路を適用し、その検知回路における電圧降下により検知される。
【0005】
一方、従来の1次電池を利用する電子カメラにおいても、同様に電池残留容量検知回路を適用して、所定の電流負荷を与えたときの端子電圧状態を監視する方法によって残留容量が推定される。この方法によれば、それまでの来歴によらず温度特性を含めて現在の状態が推定できる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述した特開平11−52469号公報に開示されたもの、あるいは、従来の1次電池を利用する電子カメラにおいては、電池残留容量を検出するために上記電池残留容量検知回路に所定の負荷電流を流す必要がある。その電池残留容量の検出は、撮影に不都合が生じないようにするために、撮影シーケンス中頻繁に行う必要がある。したがって、電池残留容量検出のために消費される電力が増え、結果的に2次電池の場合は、充電を回数が増え、1次電池の場合は、電池交換の回数が増えることになる。
【0007】
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであって、電池残留容量検出のために電流消費を伴うことなく、実用上十分な精度で、2次電池、または、1次電池の残留容量を推定することが可能なデジタルカメラを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1記載のデジタルカメラはカメラの内部回路に電力を供給する2次電池と、上記2次電池の規格電池容量又はフル充電時の電池容量と、上記2次電池の使用限界を示す電池残量の警告レベル量と、を少なくとも記憶している不揮発性の第1記憶手段と、規格電池容量を有する2次電池、または、フル充電された2次電池の装填時から、撮影及び再生時に動作する各シーケンス時に消費されたであろう電力消費量を起算し、当該2次電池の規格電池容量、または、当該フル充電電池容量から、当該電力消費量を減算していくことにより当該2次電池の電池残量を演算する第1の演算手段と、上記第1の演算手段によって演算された電池容量から上記第1記憶手段に記憶されている警告レベル量を減算して有効電池残量値を算出し、当該有効電池残量値に基づいて、撮影動作可能回数または画像記録媒体に記録可能な駒数の少なくとも一方を演算する第2の演算手段と、上記第2の演算手段によって演算された撮影動作可能回数または画像記録媒体に記録可能な駒数の少なくとも一方を表示する表示手段と、撮影動作可能回数または画像記録媒体に記録可能な駒数の少なくとも一方を記憶する第2の記憶手段と、を具備したことを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項2記載のデジタルカメラは、請求項1記載のデジタルカメラにおいて、上記表示手段は、上記電池残量値が上記撮影許容限界の警告レベル量に近付いた場合に、充電を催促するための警告表示をすることを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項3記載のデジタルカメラは、請求項1記載のデジタルカメラにおいて、作動時間を計時する計時手段を更に有し、上記第1記憶手段は、カメラ動作シーケンス毎の代表的消費電流データを記憶しており、上記第1の演算手段は、各シーケンス時の代表的消費電流データの各々に上記各シーケンスで計時された作動時間を乗算することにより上記電力消費量を求めることを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項4記載のデジタルカメラは、請求項1記載のデジタルカメラにおいて、カメラの内部温度を測定する測定手段を更に有し、上記第1記憶手段は、カメラの内部温度に対する2次電池の放電特性に係る係数を記憶しており、上記第1の演算手段は、上記放電特性に基づいて、上記2次電池の規格電池容量、または、上記フル充電電池容量を補正してから上記電力消費量を求めることを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項5記載のデジタルカメラはカメラの内部回路に電力を供給する1次電池と、上記1次電池の規格電池容量と、上記1次電池の使用限界を示す電池残量の警告レベル量と、を少なくとも記憶している不揮発性の第1記憶手段と、上記1次電池の装填時から、撮影及び再生時に動作する各シーケンス時に消費されたであろう電力消費量を起算し、当該1次電池の規格電池容量から、当該電力消費量を減算していくことにより当該1次電池の電池残量を演算する第1の演算手段と、上記第1の演算手段によって演算された電池容量から上記第1記憶手段に記憶されている警告レベル量を減算して有効電池残量値を算出し、当該有効電池残量値に基づいて、撮影動作可能回数または画像記録媒体に記録可能な駒数の少なくとも一方を演算する第2の演算手段と、上記第2の演算手段によって演算された撮影動作可能回数または画像記録媒体に記録可能な駒数の少なくとも一方を表示する表示手段と、撮影動作可能回数または画像記録媒体に記録可能な駒数の少なくとも一方を記憶する第2の記憶手段と、を具備したことを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項6記載のデジタルカメラは、請求項5記載のデジタルカメラにおいて、上記表示手段は、上記電池残量値が上記撮影許容限界の警告レベル量に近付いた場合に、充電を催促するための警告表示をすることを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項7記載のデジタルカメラは、請求項5記載のデジタルカメラにおいて、作動時間を計時する計時手段を更に有し、上記第1記憶手段は、カメラ動作シーケンス毎の代表的消費電流データを記憶しており、上記第1の演算手段は、各シーケンス時の代表的消費電流データの各々に上記各シーケンスで計時された作動時間を乗算することにより上記電力消費量を求めることを特徴とする。
【0015】
本発明の請求項8記載のデジタルカメラは、請求項5記載のデジタルカメラにおいて、カメラの内部温度を測定する測定手段を更に有し、上記第1記憶手段は、カメラの内部温度に対する2次電池の放電特性に係る係数を記憶しており、上記第1の演算手段は、上記放電特性に基づいて、上記2次電池の規格電池容量、または、上記フル充電電池容量を補正してから上記電力消費量を求めることを特徴とする。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態のカメラであるデジタルカメラのブロック構成図である。
【0022】
本実施形態のデジタルカメラ1においては、フル充電の2次電池装填時から起算した撮影,再生等の各シーケンス動作毎に消費されたであろう電力消費量を推定して、電池装填時の規格電池容量、または、フル充電電池容量(推定値)から減算していくことにより装填されている2次電池の電池残留容量(以下、電池残量と記載する)が推定される。その電池残量(推定値)の消費度合い、あるいは、上記電池残量(推定値)によってあと幾駒分が撮影可能であるか等がLCD表示部に表示される。さらに、上記電池残量(推定値)が撮影許容限界の警告レベル近傍に近づいた場合、充電を催促する警告を上記LCD表示部に表示する等の処理が行われる。以下、上記デジタルカメラ1の詳細について説明する。
【0023】
本実施形態のデジタルカメラ1は、カメラ全体の制御を司る制御手段であるCPU2と、被写体光束を取り込むための撮影レンズ3、および、絞り部4と、上記撮影レンズ3を進退駆動するレンズ駆動部19と、上記絞り部4を開閉駆動する絞り駆動部20と、ストロボ発光部21と、CCD等からなる撮像素子5と、撮像素子ドライバ9と、撮像素子ドライバ9のタイミング回路10と、CPU21に同期させて撮像素子ドライバ9を駆動するためのタイミング回路10と、撮像素子5の撮像出力を処理するプリプロセス回路6と、A/D変換回路7と、デジタル処理回路8と、LCDドライバ12と、表示手段であるLCD12と、メモリコントローラ13と、フレームメモリ14と、メモリカード16が着脱可能なカードI/F15と、第1記憶手段である不揮発性メモリのROM17と、第2記憶手段であるデータ書き換え可能なRAM18と、カレンダー機能を有し、カメラ動作時間を計時する計時手段であるタイマ回路24と、操作スイッチ群23と、操作スイッチ群23等の出力信号を取り込み、CPU2に出力するスイッチ入力回路22と、カメラ内部の温度を測定する環境変数測定手段である感温センサ26と、カメラ本体の電池収納室に挿抜可能なカメラ駆動電源となる2次電池25と、上記電池収納室を開閉する電池蓋28と、上記電池蓋28の開閉を検出する検知手段である蓋開閉スイッチ27とを有してなる。
【0024】
上記デジタルカメラ1においては、CPU2の制御のもとで撮影レンズ3および絞り部4を通して取り込まれた被写体像は、撮影素子5にて電気信号に変換される。
【0025】
上記撮像素子5の撮像出力は、プリプロセス回路6とA/D変換回路7によりデジタル画像データとしてデジタル処理回路8に取り込まれる。デジタル処理回路8より出力されるデジタル画像データは、メモリコントローラ13の制御のもとでフレームメモリ14に格納される。さらに、上記フレームメモリ14に格納された画像データは、カードI/F(カードインターフェース回路)15を介してカードコネクタに装着されたメモリカード16に撮影コマ毎に記録される。
【0026】
上記感温センサ26によりカメラ内部温度Tcが検出され、その出力がCPU2に取り込まれる。その内部温度データにより環境の温度依存性が高い2次電池25の電池容量チェックがより厳密に行われる。
【0027】
上記ROM17には、カメラ製造時に各種撮影モードに対する撮影条件データや撮像処理プログラム等のデータと、さらに、当該カメラ1における消費電流や電池容量等に関するデータ等が不揮発記憶される。
【0028】
上記ROM17に不揮発記憶される上記消費電流や電池容量等に関するデータとしては、未使用状態の2次電池25の規格電池容量Ah0と、2次電池25の使用限界を示す電池残量の警告レベルAhlと、環境変数であるカメラ内部温度Tcに対応して、2次電池25の実効の電池容量Ahを求めるための放電特性データである環境係数ε1 と、カメラ内部温度Tcに応じて増減する機構部の摩擦抵抗による所要電流変化や回路の電流変化を求めるための環境係数ε2 (図7)と、カメラ動作シーケンス毎に異なる代表的消費電流データIx と、さらに、2次電池25のフル充電時の電池容量Ahが累積充電回数によって低下するがその電池容量Ahの低下度合いを示す電池容量減少率データ等である。
【0029】
図2は、上記2次電池25のカメラ内部温度Tcに対する実効の電池容量Ahの変化を示す放電特性線図である。本図に示すカメラ内部温度(環境温度)Tcに対する2次電池25の実効の電池容量の変化は、環境係数ε1 により求めることができる。
【0030】
なお、ROM17には上記環境係数ε1 ,ε2 が所定の温度ポイント間隔のテーブルデータとして記憶され、データ読み出し演算に際しては、検出されたカメラ内部温度Tcに対して補間演算により具体的な環境係数ε1 ,ε2 が求められる。
【0031】
上記ROM17に記憶される未使用状態での2次電池25の規格電池容量データは、標準温度における規格電池容量Ah0であって、規格上の低限値とする。また、この規格電池容量Ah0は、2次電池の種類、あるいは、電池メーカにより異なり、それぞれの規格電池容量の最低値が記憶され、適用される。なお、装填された電池の電池容量Ahは、電流値×通電時間×環境係数ε1 で与えられる。
【0032】
図3は、本実施形態のカメラ1によるストロボ使用による1駒撮影時の各単位シーケンス毎の代表的消費電流変化を経過時間tに対して示した線図である。上記ROM17に記憶される代表的消費電流値データIxとして、例えば、図3に示されるようなシーケンス毎の異なる各所要の電流値が記憶される。すなわち、ストロボ発光部21における平均コンデンサ充電電流値Isと、AE(測光処理),AF(測距処理)でのフレーミング時の消費電流値Idと、露光,画像処理時の消費電流値Ii と、画像データをフレームメモリ14等への書き込み時の電流値Iwと、LCDモニタ12に撮影画像を表示するための表示時の消費電流Ivと、操作スイッチ群23操作状態や待機状態での電気制御回路の消費電流値I0 等が単位シーケンスでの代表的消費電流値データIxとして記憶される。さらに、図3には図示しないが他にホワイトバランス処理時,ズーミング時,画像再生時等の各シーケンス処理における代表的消費電流値等もROM17に記憶される。
【0033】
一方、上記RAM18には、撮影に関するデータが書き換え可能に記憶され、さらに、充電完了日を起算としてカメラの使用状況に応じた電池残量に関連するデータが書き換え可能に記憶される。なお、上記記憶される電池残量に関連するデータとしては、2次電池25の累計充電回数データと、フル充電された2次電池25が装填された日時(充電完了日時)データと、上記を装填された日時を起算として、カメラの各シーケンス処理での消費電力から推定される電池残量(推定値)Ahと、電池残量Ahにより撮影可能な駒数データ等である。
【0034】
上記タイマ回路24は、カレンダー機能を備えており、このタイマ回路24においては、カメラ動作の各単位シーケンスの動作時間(持続時間)tn が計時される。なお、操作スイッチ23の操作中の時間や撮影待機中の時間も同様に計時する。
【0035】
カメラの各単位シーケンス処理で消費される電力Ahxについて、図3を用いて具体例で説明すると、単位シーケンス処理での上記消費電力Ahxは、当該単位シーケンスの代表的消費電流値データIxに上記動作時間tn を乗じた値となる。
【0036】
例えば、ストロボ発光部21使用による1駒撮影においては、図3に示すように、ストロボコンデンサ充電時に消費される消費電力Ahsは、Ahs=平均コンデンサ充電電流Is×充電時間t1 で与えられる。
AE(測光処理),AF(測距処理)などのフレーミング時の消費電力Ahdは、Ahd=フレーミング動作時の消費電流Id×フレーミング時間t2 で与えられる。
撮影時(露光時)の消費電力Ahiは、Ahi=露光,画像処理時の消費電流Ii×撮影時間t3 で与えられる。
フレームメモリ14に書き込み時での消費電力Ahwは、Ahw=メモリ書き込み電流Iw×書き込み時間t4 で与えられる。
LCDモニタ12への撮影画像表示時の消費電力Ahvは、Ahv=LCDモニタの消費電流Iv×表示時間t5 で与えられる。
上記撮影シーケンス処理の途中でのスイッチ操作,待機状態時における消費電力Ahmは、Ahm=スイッチ操作,待機時の電気制御回路消費電流I0 ×tm で与えられる。
【0037】
上述のように、各単位シーケンス毎の消費電力(推定値)Ahxは、ROM17より読み出される単位シーケンス消費電流値Ix とタイマ回路24で計時される単位シーケンス動作時間tn とにより推定することができる。
【0038】
一方、シーケンス処理時におけるカメラ内部温度Tcが感温センサ26より取り込まれ、そのカメラ内部温度Tcによって上記各単位シーケンス毎の消費電力(推定値)Ahxが補正される。すなわち、上記温度Tcに対応する環境係数ε2 がROM17より読み込まれる、記各単位シーケンス毎の消費電力(推定値)Ahxに上記環境係数ε2 を乗じた値が補正消費電力量(推定値)となる。
【0039】
カメラ使用中の2次電池25の電池残量(推定値)Ahは、装填直後の未使用状態、または、フル充電状態の電池容量Ah0から上記各単位シーケンス毎の消費電力(推定値)Ahxを逐次減算していくことで求められ、その減算値が上記単位シーケンス動作終了時点でRAM18に記憶される。
【0040】
上記電池残量(推定値)Ahを求めるための装填直後のフル充電状態の電池容量Ah0としては、未使用の2次電池25を装填したときは、ROM17に記憶される規格電池容量が当てられる。
【0041】
一方、再充電された2次電池25が装填された場合は、そのフル充電時の電池容量Ah0としては、RAM18に記憶される累積充電回数データに対応するROM17の電池容量減少率データを規格電池容量に乗じた値が当てられる。
【0042】
上記未使用の2次電池25、または、再充電の2次電池25が装填されたことは、電池蓋28の閉鎖動作を検出する蓋開閉スイッチ27の出力信号によってCPU2にて認識され、そのとき、RAM18の電池に関するデータが書き換えられる。すなわち、電池残量Ahが上記規格電池容量Ah0、または、上記フル充電の電池容量Ah0に書き換えられる。そして、電池装填日、または、充電完了日を示すデータが記憶される。また、2次電池25が未使用電池が装填された場合には、累積充電回数は一旦リセットされ、一方、再充電の2次電池25が装填された場合には、蓋開閉スイッチ27の出力信号によって累積充電回数データがインクリメントされる。
【0043】
図4は、フル充電の2次電池25を装填後、電池残量(推定値)Ahがカメラの各シーケンス処理によって経過時間tに対して降下していく状態を示す線図である。上記電池残量(推定値)Ahは、上記電池装填日を起算としてストロボ充電動作やフレーミング動作などの単位シーケンス動作毎がその消費電力(推定値)Ahxが減算されていく。減算された電池残量(推定値)Ahは、逐次、RAM18にて書き換えれる。
【0044】
また、カメラ起動時、あるいは、撮影準備動作やズーミング動作、および、撮影動作等の単位シーケンス動作終了時において、CPU2によって上記電池残量(推定値)AhからROM17に記憶されている上記警告レベルAhlを差し引いて2次電池25の有効電池残量(推定値)Aheが求められ、上記有効電池残量Aheからフル充電時有効電池残量Ahe0に対する比率(%)が電池残量表示値として求められる。また、上記電池残量から以降の撮影可能枚数等が演算される。それらの電池残量表示値や撮影可能駒数は、LCD表示部12に表示される。
【0045】
図5(A),(B),(C)は、LCD表示部12での上記電池残量表示値、または、撮影可能駒数に関する表示状態を示す。
図5(A)のLCD表示画面12Aは、消費量表示付き電池マークと有効電池残量Aheの比率(%)と、さらに、有効電池残量Aheによって撮影可能な駒数が表示された例を示す。
【0046】
図5(B)のLCD表示画面12Bは、有効電池残量Aheが極めて少なくなり、次の駒の撮影が不可能な状態と判断された場合での表示であって、消費量表示付き電池マークと、有効電池残量Aheの比率(%)と、電池(バッテリ)充電時期である旨の警告表示がなされた例を示す。
【0047】
図5(C)のLCD表示画面12Cは、消費量表示付き電池マークと、有効電池残量Aheの比率(%)と、上記有効電池残量Aheによってあと何回の撮影が可能であるか、並びに、装填されているメモリカード16の空き容量が何駒分あるかを表示した例である。
【0048】
なお、図5(C)のLCD表示画面12Cの表示に対して、上記有効電池残量Aheによって撮影できる駒数とメモリカード16の空き容量の駒数を比較して、より少ない方の駒数のみを表示するようにしてもよい。
【0049】
上述した構成を有する本実施形態カメラにおける2次電池残量表示動作について、図6,7のフローチャートを用いて説明する。
図6は、カメラ起動時における電池残量表示処理のフローチャートである。図7は、カメラ起動後のフレーミング時(AE,AF,AWB処理時),ズーム駆動動作時,撮影動作時,ストロボ充電時,画像再生時,LCDバックライトオン時等の各単位シーケンス処理終了時点における電池残量表示の割り込み処理のフローチャートである。
【0050】
図6に示すカメラ起動時における電池残量表示処理は、CPU2の制御のもとで実行され、ステップS01にて初期化が行われる。ステップS02において、電池蓋28の状態をチェックする。すなわち、蓋開閉スイッチ27により電池蓋28の開閉が検出された場合、電池が装填されたとしてステップS03にジャンプする。電池蓋28の開閉が検出されなかった場合、電池装填はなかったとしてステップS04に進む。
【0051】
ステップS03においては、フル充電の2次電池装填によるRAM18の初期化を行う。上記初期化では、RAM18に対して、そのときのフル充電電池容量Ah0を電池残量量Ahデータとして記憶し、また、この初期化時点の日付時刻データをデータ起算日付時刻として記憶し、さらに、累計充電回数データをインクリメントする。また、タイマ回路24の計時をリセットする。そして、後述するステップS09に進む。
【0052】
なお、上記装填されたフル充電の2次電池25が未使用電池である場合には、上記フル充電電池容量Ah0として、ROM17に記憶されている規格電池容量の下限値を読み出して適用する。また、累計充電回数はリセットされる。
【0053】
ステップS04に進んだ場合、感温センサ26の出力信号から環境変数データであるカメラ内温度データTcを読み取る。ステップS05にてROM17に記憶されている警告レベルAhlを読み込み、ステップS06にてRAM18に記憶されている電池残量(推定値)Ahが読み出される。
【0054】
ステップS07において、CPU2により電池残量演算が行われる。すなわち、現在の電池残量(推定値)Ah、および、電池残量表示値となる有効電池残量(推定値)Aheとが上記ステップS04,05,06で読み出された値を用いて、次の演算式により求められる。すなわち、
現在の電池残量Ah←(電池残量Ah×環境係数ε1 )……(1)
有効電池残量Ahe←(現在の電池残量Ah−警告レベルAhl)……(2)
なお、実際のLCD表示部12への電池残量表示値は、上記有効電池残量Aheを%値に変換した値とする。
【0055】
ステップS08にて表示タイマを起動し、ステップS09に進む。
【0056】
ステップS09で上記ステップS07で演算された電池残量表示値をLCD表示部12に表示する。ステップS10にて上記表示タイマにより所定の表示時間が経過したことが検出されたら上記電池残量表示値の表示を終了し、本サブルーチンを終了する。
【0057】
次に、図7のフローチャートに示す単位シーケンス処理終了時点における電池残量表示の割り込み処理について説明する。
なお、上記単位シーケンスとは、レンズ駆動やストロボ充電等の個別ルーチンを指す。
【0058】
まず、ステップS11において、撮影作業中の各データを退避させて初期化を行う。
ステップS12にて感温センサ26の出力信号から環境変数データであるカメラ内部温度Tcを読み取る。
【0059】
ステップS13にてROM17に記憶されている各種データを読み込む。上記各種データとは、上記カメラ内温度データTcに対応する環境係数ε1 ,ε2 や処理動作が終了した単位シーケンス処理の種類(例えば、ズーム駆動動作,撮影動作等)に対応する代表的消費電流データIx 等である。
【0060】
ステップS14にてRAM18に記憶されている電池残量(推定値)Ahを読み出す。
【0061】
ステップS15にて上記処理済みの単位シーケンスの種類データを取り込み、特定する。
【0062】
ステップS16にて処理済みの単位シーケンスがパワーオフ動作のシーケンスであったかをチェックして、パワーオフ動作であった場合には、そのまま、本サブルーチンを終了する。パワーオフ動作ではなかった場合は、ステップS17に進む。
【0063】
ステップS17においては、CPU2により電池残量の演算が行われる。すなわち、現在の電池残量(推定値)Ah、および、電池残量表示値となる有効電池残量(推定値)Aheが次の演算式により求められる。すなわち、
現在の電池残量Ah←(電池残量Ah×環境係数ε1 )−
(シーケンス消費電流Ix ×持続時間tn ×環境係数ε2 )……(3)
有効電池残量Ahe←(現在の電池残量Ah−警告レベルAhl)……(4)
なお、上記持続時間tn は、前記単位シーケンス動作時間である。また、実際のLCD表示部12への電池残量表示値は、上記有効電池残量Aheを%値に変換した値とする。
【0064】
ステップS18にて上記有効電池残量Aheの%値をLCD表示部12に表示する。ステップS19にて所定の表示時間の経過を確認後、本割り込み処理を終了する。
【0065】
以上、説明した本実施形態のデジタルカメラ1においては、各単位シーケンス動作における消費電力を処理動作上、より細かくチェックすることにより電池残量Ahを実用上支障のない程度の精度で推定することができる。したがって、前述した従来の電子カメラのように2次電池の電池残量を検出するために電池残量検知回路に電流を流す必要がなく、電池の消耗を抑えることができる。特に、電池残量のチェックが頻繁に行われたとしても電池の消耗につながらない。また、カメラ内部温度Tcを検出して、環境による電池容量の変化をチェックすることから電池残量の推定の精度が向上し、電池を効率よく使用することができ、特に2次電池に対しては、効率のよい充電サイクルが可能になる。
【0066】
なお、上述した第1実施形態のデジタルカメラ1は、2次電池25の充電を一旦外部に取り出して行うように構成されているが、これに限らず、直流電源コネクタ部を設け、2次電池25をカメラ内に装着した状態で充電するデジタルカメラにも上述と同様の電池残量推定処理を適用可能である。この場合、電池残量(推定値)Ahが警告レベルAhl近くまで降下し、図5(B)の表示がなされたとき、上記コネクタ部を介して2次電池25への充電が行われ、そのとき、累計充電回数がインクリメントされ、RAM17の記憶データの初期化がなされる。
【0067】
また、上述した第1実施形態のデジタルカメラ1においては、電源用の電池として2次電池25を使用するものとして説明しているが、2次電池25に代えて1次電池を使用するもの、あるいは、1次,2次電池共用のものに対しても略同様な電池残量推定処理を適用可能である。
【0068】
上記1次電池を適用する場合、上記第1の記憶手段であるROM17に記憶されるデータとして、2次電池の場合と同様の警告レベルAhlと、環境係数ε2 と、カメラ動作シーケンス毎の代表的消費電流データIx の他に1次電池の規格電池容量Ah0′と、1次電池の環境温度であるカメラ内部温度Tcに対する環境係数ε1 ′等がさらに記憶される。また、RAM18には、記憶されるデータとしては、2次電池25の場合と同様に、未使用電池が装填された日時データと、上記日時データを起算とする電池残量(推定値)Ahと、タイマ回路24の計時データtn 等であるが、累積充電回数は不要であり、再充電によるフル充電電池容量データの取り込みも不要となる。
【0069】
次に、本発明の第2実施形態のカメラについて、図8により説明する。
上記第2実施形態のカメラは、本発明の要旨を銀塩カメラに適用したものであり、図8は、上記銀塩カメラ31の制御部のブロック構成図である。以下、第1の実施形態のデジタルカメラ1と異なる点について説明する。
【0070】
本実施形態の銀塩カメラ31は、図8に示すようにカメラ全体の制御を司る制御手段であるCPU32と、被写体光束を取り込むための撮影レンズ33、および、シャッタ34と、上記撮影レンズ33を進退駆動するレンズ駆動部35と、上記シャッタ34を開閉駆動するシャッタ駆動部36と、ストロボ発光部39と、フィルム38を給送駆動するフィルム給送部37と、被写体の測距を行う測距部40と、被写体輝度を測定する測光部41と、LCDドライバ42と、表示手段であるLCD42と、第1記憶手段である不揮発性メモリのROM44と、第2記憶手段であるデータ書き換え可能なRAM45と、カレンダー機能を有し、カメラ動作時間を計時する計時手段であるタイマ回路48と、操作スイッチ群47と、操作スイッチ群47等の出力信号を取り込み、CPU32に出力するスイッチ入力回路46と、カメラ内部の温度を測定する環境変数測定手段である感温センサ50と、カメラ本体の電池収納室に挿抜可能な電源用2次電池49と、上記電池収納室を開閉する電池蓋51と、上記電池蓋51の開閉を検出する検知手段である蓋開閉スイッチ52とを有してなる。
【0071】
上記銀塩カメラ31においては、撮影レンズ33通して取り込まれる被写体光によりシャッタ34の開閉でフィルム38が露光され、撮影が行われる。
【0072】
上記測距部40により被写体の距離を検出され、また、上記測光部41により被写体輝度が検出される。それらの距離データ,輝度データは、CPUに取り込まれ、それらのデータに基づき、レンズ駆動部35を介して撮影レンズ33の合焦駆動が行われ、また、絞り駆動部を介してシャッタ34の開閉制御がなされる。
【0073】
上記ROM44には、撮影に関するデータの他に前記第1実施形態の場合と同様に消費電流や電池容量等に関するデータが不揮発記憶される。
【0074】
上記RAM45には、撮影に関するデータが書き換え可能に記憶され、さらに、前記第1実施形態の場合と同様に電池残量状態や撮影時の消費電力に関連するデータが書き換え可能状態で記憶される。
【0075】
上記LCD表示部43には、撮影モードや撮影時にシャッタ秒時等の他に前記第1実施形態の場合と同様に2次電池49の電池残量に関する情報として、前記図5(A),(B),(C)のような表示がなされる。但し、本実施形態の場合は、図5(C)に示したメモリカードの撮影可能駒数に代えて、フィルムの残り撮影枚数が表示される。
【0076】
本実施形態の銀塩カメラ31における2次電池49の電池残量推定処理および電池残量表示処理は、前記第1の実施形態の場合と同様であり、例えば、カメラ起動時における電池残量表示処理は、前記図6に示したフローチャートにしたがって実行される。さらに、各単位シーケンス動作終了時点における電池残量表示の割り込み処理も前記図7に示したフローチャートにしたがって実行される。なお、ROM44、RAM45、および、LCDドライバ42は、CPU32に内蔵されていてもよい。
【0077】
また、本実施形態の銀塩カメラ31によれば、前記第1実施形態のデジタルカメラ1と同様の効果を奏する。
【0078】
【発明の効果】
本発明によると、1次電池、または、2次電池の残留容量を検出するために、従来のカメラの場合のような検出のための電池消費を伴わない状態で実用上十分な精度で上記電池の残留容量を推定し、表示することが可能であり、上記電池が保有する電力を十分に利用できるデジタルカメラを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態のカメラであるデジタルカメラのブロック構成図である。
【図2】上記図1のデジタルカメラに適用される2次電池の環境温度に対する電池容量の変化を示す放電特性線図である。
【図3】上記図1のデジタルカメラによるストロボ使用による1駒撮影時の各単位シーケンス毎の代表的消費電流変化を経過時間tに対して示した線図である。
【図4】上記図1のデジタルカメラにおいて、フル充電の2次電池25を装填後の電池残量(推定値)がカメラの各シーケンス処理によって経過時間tに対して降下していく状態を示す線図である。
【図5】上記図1のデジタルカメラにおけるLCD表示部の表示状態を示す図であって、図5(A),(B),(C)は、それぞれ2次電池の残留容量と残留容量に関連する情報との表示例を示す。
【図6】上記図1のデジタルカメラにおける起動時電池残量表示処理のフローチャートである。
【図7】上記図1のデジタルカメラにおけるカメラ起動後での各単位シーケンス処理終了時点における電池残量表示の割り込み処理のフローチャートである。
【図8】本発明の第2実施形態のカメラである銀塩カメラのブロック構成図である。
【符号の説明】
2,32
……CPU(制御手段)
12,43
……LCD表示部(表示手段)
17,44
……ROM(第1記憶手段)
18,45
……RAM(第2記憶手段)
24,48
……タイマ回路(計時手段)
25,49
……(2次電池)
26,50
……感温センサ(環境変数測定手段)
27,52
……蓋開閉スイッチ
(電池蓋の開閉の検知手段)
28,51
……電池蓋
Ah ……電池残留容量推定値

Claims (8)

  1. カメラの内部回路に電力を供給する2次電池と、
    上記2次電池の規格電池容量又はフル充電時の電池容量と、上記2次電池の使用限界を示す電池残量の警告レベル量と、を少なくとも記憶している不揮発性の第1記憶手段と、
    規格電池容量を有する2次電池、または、フル充電された2次電池の装填時から、撮影及び再生時に動作する各シーケンス時に消費されたであろう電力消費量を起算し、当該2次電池の規格電池容量、または、当該フル充電電池容量から、当該電力消費量を減算していくことにより当該2次電池の電池残量を演算する第1の演算手段と、
    上記第1の演算手段によって演算された電池容量から上記第1記憶手段に記憶されている警告レベル量を減算して有効電池残量値を算出し、当該有効電池残量値に基づいて、撮影動作可能回数または画像記録媒体に記録可能な駒数の少なくとも一方を演算する第2の演算手段と、
    上記第2の演算手段によって演算された撮影動作可能回数または画像記録媒体に記録可能な駒数の少なくとも一方を表示する表示手段と、
    撮影動作可能回数または画像記録媒体に記録可能な駒数の少なくとも一方を記憶する第2の記憶手段と、
    を具備したことを特徴とするデジタルカメラ。
  2. 上記表示手段は、上記電池残量値が上記撮影許容限界の警告レベル量に近付いた場合に、充電を催促するための警告表示をすることを特徴とする請求項1記載のデジタルカメラ。
  3. 作動時間を計時する計時手段を更に有し、
    上記第1記憶手段は、カメラ動作シーケンス毎の代表的消費電流データを記憶しており、
    上記第1の演算手段は、各シーケンス時の代表的消費電流データの各々に上記各シーケンスで計時された作動時間を乗算することにより上記電力消費量を求めることを特徴とする請求項1記載のデジタルカメラ。
  4. カメラの内部温度を測定する測定手段を更に有し、
    上記第1記憶手段は、カメラの内部温度に対する2次電池の放電特性に係る係数を記憶しており、
    上記第1の演算手段は、上記放電特性に基づいて、上記2次電池の規格電池容量、または、上記フル充電電池容量を補正してから上記電力消費量を求めることを特徴とする請求項1記載のデジタルカメラ。
  5. カメラの内部回路に電力を供給する1次電池と、
    上記1次電池の規格電池容量と、上記1次電池の使用限界を示す電池残量の警告レベル量と、を少なくとも記憶している不揮発性の第1記憶手段と、
    上記1次電池の装填時から、撮影及び再生時に動作する各シーケンス時に消費されたであろう電力消費量を起算し、当該1次電池の規格電池容量から、当該電力消費量を減算していくことにより当該1次電池の電池残量を演算する第1の演算手段と、
    上記第1の演算手段によって演算された電池容量から上記第1記憶手段に記憶されている警告レベル量を減算して有効電池残量値を算出し、当該有効電池残量値に基づいて、撮影動作可能回数または画像記録媒体に記録可能な駒数の少なくとも一方を演算する第2の演算手段と、
    上記第2の演算手段によって演算された撮影動作可能回数または画像記録媒体に記録可能な駒数の少なくとも一方を表示する表示手段と、
    撮影動作可能回数または画像記録媒体に記録可能な駒数の少なくとも一方を記憶する第 2の記憶手段と、
    を具備したことを特徴とするデジタルカメラ。
  6. 上記表示手段は、上記電池残量値が上記撮影許容限界の警告レベル量に近付いた場合に、充電を催促するための警告表示をすることを特徴とする請求項5記のデジタルカメラ。
  7. 作動時間を計時する計時手段を更に有し、
    上記第1記憶手段は、カメラ動作シーケンス毎の代表的消費電流データを記憶しており、
    上記第1の演算手段は、各シーケンス時の代表的消費電流データの各々に上記各シーケンスで計時された作動時間を乗算することにより上記電力消費量を求めることを特徴とする請求項5記のデジタルカメラ。
  8. カメラの内部温度を測定する測定手段を更に有し、
    上記第1記憶手段は、カメラの内部温度に対する2次電池の放電特性に係る係数を記憶しており、
    上記第1の演算手段は、上記放電特性に基づいて、上記2次電池の規格電池容量、または、上記フル充電電池容量を補正してから上記電力消費量を求めることを特徴とする請求項5記載のデジタルカメラ。
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