以下、本発明に係る複数の好適な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1から図4は本発明に係るアリ用毒餌剤容器の一実施形態を示す図であり、詳しくは、図1はアリ用毒餌剤容器の外観斜視図、図2は食餌体を取り付けられた状態でのアリ用毒餌剤容器の横断面図、図3は図2に示すアリ用毒餌剤容器のIII−III矢視縦断面図、図4は図1に示す点線円IVで囲まれた部分の拡大図であって、容器本体への食餌体の取り付け方を説明するための図である。
図1に示すように、本発明のアリ用毒餌剤容器10は、内部にアリ用毒餌剤2を収納している容器本体11と、容器本体11に取り付け可能な食餌体20とを備えている。
容器本体11は、略矩形状の底壁13および該底壁13の周縁部から上方に向けて突設された周壁14aを有するベース部11aと、底壁13と同一形状の天井壁12および該天井壁12の周縁部から下方に向けて突設された周壁14bを有するカバー部11bとから構成されている。ベース部11aおよびカバー部11bは、いずれも合成樹脂で形成(成形)されており、互いに分離可能とされている。ベース部11aにカバー部11bが装着された際には、ベース部11aの周壁14aおよびカバー部11bの周壁14bは互いに接続され、容器本体11の外周壁14を形成する。
図2および図3を参照して、容器本体11の内部には毒餌剤2を収納するための収納部18が設けられている。収納部18は、底壁13の中央部において該底壁13から容器本体11の内部に向けて枠状に立設された内部壁18aと、該内部壁18aの上方周縁部から放射状に延設され、アリ3が登坂可能な程度に緩やかに傾斜して底壁13に接続している傾斜壁18bと、を有しており、内部壁18aの内側に毒餌剤2を収納するための収納空間18cを画成している。
収納空間18cには毒餌剤2が収納され、イージーピール部材19(例えば、ナイロン15μ、シーラント30μ)が内部壁18aの上方端面の全周にわたって溶着されており、このイージーピール部材19によって収納空間18cが密封されている。
毒餌剤2としては速効性毒餌剤、遅効性となるように調整された速効性薬剤、または遅効性毒餌剤を用いることができるが、遅効性毒餌剤を毒餌剤2として用いることが望ましい。
速効性毒餌剤は、速効性殺虫薬剤に誘引剤および必要に応じて、増量剤、結合剤、着色剤、等を適宜配合して調整される。ここで代表的速効性殺虫薬剤としては、例えばジョチュウギクエキス、アレスリン、d−T−80−アレスリン、フタルスリン、レスメトリン、d−T−80−レスメトリン、フラメトリン、d−T−80−フラメトリン、フェノトリン、ペルメトリン、プラレトリン、トランスフルスリン、メトフルスリン、サイフェノトリン、サイペルメトリン、フェンバレート、プリンス、等のピレスロイド系殺虫剤、カルクロホス、ジクロルボス、ナレド、ダイアジノン、シアホス、クロルピリホスメチル、マラソン、トリクロルホン、ピリダフエンチオン、フエンクロホス、フエニトロチオン、プロモホス、等の有機リン系殺虫剤、プロポクサー、等のカーバメート系殺虫剤を例示できる。
また、誘引剤の具体例としては、例えば、動植物エキス、カゼイン、等の蛋白質類、デンプン、小麦粉、米粉、糠、トウモロコシ粉、等の植物粉末;砂糖、蜂蜜、廃糖密、果性果糖、ショ糖、液糖、マルトース、サトウキビ果汁、プロリン、等のアミノ酸類等の甘味成分;トウモロコシ油、ヒマシ油、オリーブ油、大豆油、ナタネ油、ピーナッツ油、等の植物油;その他(3S,4R,6E,10Z)−3,4,7,11−テトラメチル−トリデカ−6,10−ジエナール、(z)−9−ヘキサデセナール、2,5−ジメチルピラジン、8−メチル−2,5−ジメチルピラジン、Z,E−又はE,E−α−フラネセン、等の道しるべフェロモン、等を例示できる。
必要に応じて配合される添加剤としては、例えばシリカゲル、珪酸、珪藻土、カオリン、タルク、等の増量剤;アイリツシモス、トラガントガム、カラヤガム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、等の結合剤;アマランス、エリスロシン、ローズベンガル、アシッドレッド、リソールルビン、レーキレッド、リソールレッド、ローダミン、テトラクロロテトラブロモフルオレセイン、ブリリアントレーキレッド、デイープマルーン、トルイジンレツト、ヘリンドンピンク、フアストアシッドマゲンタ、パーマトンレッド、エオシン、ビオラミン、ブリリアントフアストスカーレット、パーマネントレッド、オイルレッド、フアストレッド、等の色素乃至着色料を例示できる。
遅効性毒餌剤は、遅効性殺虫薬剤に上述した誘引剤および必要に応じて、増量剤、結合剤、着色剤、等を適宜配合して調整される。遅効性殺虫薬剤としては、例えば、カーバリール、クロルデン、DDT、ホウ酸、ヒドラメチルノン、リチウムスルフォネート、等の殺虫剤、エクダイソン等の脱皮ホルモン、プリコセン等の抗幼若ホルモン物質、メトプレン等の幼若ホルモンを例示できる。
尚、本実施形態においては、図2に示されるように、収納空間18cは仕切板18dにより2つに分割されていおり、各収納空間には、防除の対象となるアリの種別(例えば、ルリアリおよびイエヒメアリ)に応じて上述した各種薬剤等を適宜配合して個別に調製された毒餌剤2が、それぞれ収納されている。
図1および図2に示されるように、容器本体11の外周壁14には、該外周壁14の周方向に適宜の間隔をおいて、容器本体11の内部と外部とを連通する複数(本実施形態においては4個)のアリ用の侵入口15が設けられている。
そして、各侵入口15の近傍には、挿通口17と、該挿通口17から延設された切り欠き溝16と、がそれぞれ設けられている。
挿通口17は、侵入口15の近傍において、容器本体11の天井壁12の周縁部および該周縁部に接続している容器本体11の外周壁14にまたがって(換言すれば、容器本体11の天井壁12および外周壁14の交差部分である角部に)形成されており、前記角部を略球形状にくりぬかれて形成された貫通孔である。
切り欠き溝16は、容器本体11の外周壁14を略矩形状に切り欠かれて形成されており、挿通口17から侵入口15付近まで延設されている。そして、切り欠き溝16の底部は、侵入口15に隣接する位置に配置されている。
さらに図4を参照して、食餌体20は、多数個の部材を連結してなる可撓性を有する紐状または帯状部材であって、本実施形態においては、多数個の略球形状の玉部21と、隣り合う玉部21,21を適宜の間隔を置いて互いに連結している連結部22と、を熱可塑性エラストマーにより一体に成形された紐状部材である。そして、食餌体20の表面にはアリ用の誘引剤が含浸若しくは付着されている。
熱可塑性エラストマーとしては、例えば、オレフィン系(TPO)熱可塑性エラストマー、スチレン系(TPS)熱可塑性エラストマー、エステル系(TPEE)熱可塑性エラストマー、ウレタン系(TPU)熱可塑性エラストマー、アミド系(TPEA)熱可塑性エラストマー、塩化ビニル系(TPVC)熱可塑性エラストマー、等が挙げられるが、誘引剤を表面に付着させて保持するには特にスチレン系(TPS)熱可塑性エラストマー等(即ち、表面に粘着性があり、腰(コシ)が弱い、または腰(コシ)が無いもの)が好ましい。
誘引剤を食餌体20の表面に付着させて保持する場合には、粘着性を有する熱可塑性エラストマーを使用するのが望ましい。これによって、誘引剤を食餌体20に容易に付着させることができ、また、食餌体20から誘引剤22の脱落も防止されて、長期間にわたってアリ誘引効果を維持することができる。また、熱可塑性エラストマーの材料に誘引剤を混合した後、食餌体20成形することによって誘引剤を食餌体20に保持させるようにしてもよい。
誘引剤の一例としては、廃糖蜜、ショ糖、等の甘味のある糖類が挙げられる。ショ糖を誘引剤として用いる場合は、ショ糖と、当該ショ糖の脱落防止剤としてグリセリン、トリメチルグリシン、または液糖と、を配合した水溶液を食餌体用アリ誘引剤組成物として食餌体20に含浸若しくは付着させた後、乾燥させて食餌体20に保持させる。この誘引剤と脱落防止剤との配合量は、水溶液中のショ糖の濃度を1%そしてグリセリンまたはトリメチルグリシンの濃度を0.2%とする。また、脱落防止剤として液糖を用いる場合、誘引剤と脱落防止剤との配合量は、水溶液中のショ糖の濃度を1%そして液糖の濃度を1%とする。
このようにすれば、単にショ糖水溶液を食餌体20に含浸または付着させた場合と比較して、乾燥後誘引剤が食餌体20に確実に保持されるので、結晶化した誘引剤が食餌体20から剥がれ落ちること(即ち、脱落すること)を防止することができる。従って、長期間にわたってアリ誘引効果を維持することができる。
食餌体20として粘着力の強い熱可塑性エラストマーを用いた場合には、必ずしもショ糖に脱落防止剤を混合させる必要はなく、熱可塑性エラストマーの粘着力のみによって誘引剤を食餌体20に保持させるようにしてもよい。この場合、誘引剤として、固形物、例えばショ糖をそのまま用いることが可能となる。
尚、食餌体20は、その誘引剤の量または濃度が、毒餌剤2に含まれる誘引剤の量または濃度よりも少ない(低い)ものであることが望ましい。つまり、食餌体20に保持される誘引剤の量または濃度は、必要最低限の量または濃度であることが望ましい。更に、食餌体20は、その誘引剤の量または濃度が、毒餌剤2へ向けて徐々に多く(高く)なるように構成されていることが好ましい。食餌体20の誘引剤の量または濃度を毒餌剤2に含まれる誘引剤の量または濃度よりも少なく(低く)設定すること、換言すれば、毒餌剤2に含まれる誘引剤の量または濃度を食餌体20の誘引剤の量または濃度よりも多く(高く)設定することにより、アリ3を毒餌剤2へより効果的に誘き寄せることができる。
食餌体20を形成する熱可塑性エラストマーは、極めて剛性が低く、即ち腰(コシ)が弱い、または腰(コシ)が無いので、それ自体では、外形形状を維持することができず、配置された場所の形状に沿って自然に変形する。従って、図3に示すような凹凸のある地面や段差のある場所にアリ用毒餌剤容器10を設置しても、その場所の形状に沿って自然に変形する。また、誘引剤を食餌体20の表面に付着させて保持するための粘着性のみならず、この食餌体20を壁等の壁面に這わせることができる位の粘着性を持たせることもできる。これによって、例えば蟻道が容器本体11の設置面に対して垂直な壁面に形成されている場合にも、壁面に食餌体20を這わせるように配置することにより、この食餌体20を介してアリ用毒餌剤容器10内に多くのアリを誘引することが可能となる。
さて、食餌体20の連結部22の直径R2は、玉部21の直径R1よりも小径とされており、即ち、食餌体20の長手方向に垂直な断面において、連結部22は玉部21よりも細く形成されている。
そして、容器本体11の挿通口17は、食餌体20の玉部21をスムースに挿通可能とするように、食餌体20の玉部21よりも大きく形成されており、玉部21の直径R1よりも大寸の幅W2を有している。また、切り欠き溝16は、食餌体20の連結部22の直径R2よりも広く、且つ、食餌体20の玉部21の直径R1よりも狭い溝幅W1に形成されている。従って、挿通口17は、切り欠き溝16に向かうに従って幅W2から幅W1へと次第に狭まるテーパ状に形成されている。
食餌体20は、上記のように形成された切り欠き溝16に係止されるが、ここで、図4(a)〜(c)を用いて、切り欠き溝16に食餌体20を係止する際の手順を説明する。
図4(a)に示されるように、食餌体20の一方の端部(以後、基端部と称する。)20aを挿通口17に挿通させる。この際、挿入口17は、食餌体20の玉部21よりも大きく形成されているので、食餌体20の基端部20aを挿通口17に容易に挿通させることができる。そして、図4(b)に示されるように、食餌体20の基端部20aが、適宜の長さをもって容器本体11の内部に収容され、容器本体11の収納部18に収納された毒餌剤2の近傍に、もしくは毒餌剤2に接触する位置に達した後、図4(c)に示されるように、食餌体20の連結部22を切り欠き溝16に差し込む。この際、挿通口17は、切り欠き溝16に向かうに従って幅W2から幅W1へと次第に狭まるテーパ状に形成されているので、食餌体20の連結部22はこのテーパ状の挿通口17により切り欠き溝16へと案内され、よって、連結部22を切り欠き溝16にスムースに差し込むことができる。
そして、切り欠き溝16の溝幅W1は、上記したように食餌体20の連結部22の直径R2よりも幅広に、且つ、食餌体20の玉部21の直径R1よりも幅狭とされているので、図4(c)に示されるように、切り欠き溝16に差し込まれた食餌体20の連結部22に隣接している一組の玉部21,21が切り欠き溝16の両側縁部に係合し、食餌体20は切り欠き溝16に係止される。尚、切り欠き溝16は、単純な矩形状として説明したがこれに限定されるものではなく、両側縁部において食餌体20の玉部21と係合するものであればよく、例えば、中間部を食餌体20の玉部21が抜け落ちない程度に拡開して形成してもよい。この場合、切り欠き溝16の拡開された部分からもアリ3を容器本体11内に侵入させることができる利点がある。
上述した切り欠き溝16への食餌体20の係止は、容器本体11と食餌体20とが例えば互いに分離した状態で包装または別々に包装されている形態を採る場合であるが、容器本体11に食餌体20がセットされた状態で包装される形態を採ってもよい。この場合、食餌体20は、基端部20aとは他方の端部(先端部)の突端を容器本体11の外部に露出させた状態(換言すれば、食餌体20の大部分が容器本体11の内部に収容された状態)で上述のように係止されており、使用時には挿通口17から適宜の長さをもって引き出されて使用される。包装することによって、蒸発等による毒餌剤2および食餌体20の有効成分の減少を防止できると共に、搬送時の取扱いが容易となる。
また、食餌体20の連結部22の長さ(即ち、隣り合う玉部21,21の間隔)Lは、容器本体11の外周壁14の肉厚に応じて適宜設定されるが、例えば、外周壁14の肉厚よりも大きくし、連結部22を切り欠き溝16へ差し込む際に、玉部21,21が切り欠き溝16の両側縁部に摺接しないようにして、連結部22を切り欠き溝16へスムースに差し込めるようにしてもよい。また、連結部22の長さLを外周壁14の肉厚よりも小さくすると共に、弾性を有する熱可塑性エラストマーにより食餌体20を形成するなどの適宜の手段により連結部22に弾性を付与し、一組の玉部21,21が連結部22の弾性力によって切り欠き溝16の両側縁部を狭持するようにして、食餌体20の係止をより確実なものとしてもよい。
次に、上述のように構成されたアリ用毒餌剤容器10の作用を説明する。
図2に示すように、容器本体11に溶着されているイージーピール部材19を剥がして毒餌剤2を容器本体11内で露出させる。そして、上述のように、食餌体20の基端部20aが毒餌剤2の近傍もしくは接触するように、容器本体11の切り欠き溝16に食餌体20を係止し、容器本体11の外部に露出している食餌体20をアリ5の活動場所(図3に示す例においては、凹凸のある地面)に配置しながらアリ用毒餌剤容器10を設置する。この際、食餌体20は熱可塑性エラストマーにより紐状に形成されていて柔軟性を有するので、配置箇所の形状に沿って自然に変形し、表面に密着した状態で配置される。
アリ3は、食餌体20に保持されている誘引剤に誘引されて集まり、食餌体20に沿って容器本体11まで歩いていくと、その後は侵入口15を通って容器本体11内の毒餌剤2へと導かれる。この際、食餌体20に保持されている誘引剤の濃度よりも毒餌剤2に含まれる誘引剤の濃度を濃くしておくことが望ましい。これにより、食餌体20に沿って容器本体11まで近づいたアリ3を侵入口15へ自然に誘導し、容器本体11内の毒餌剤2へと導くことが可能となる。
容器本体11内に侵入したアリ3は、毒餌剤2を見つけて食べ、一部を巣に持ち帰る。 このときの毒餌剤2は遅効性毒餌剤であるので、アリ3が巣に毒餌剤2を持ち帰った後に毒効力が効くことになる。よって、巣に持ち込んだ毒餌剤2により、巣にいるその他多数のアリを駆除することができる。
尚、アリ用毒餌剤容器10は、アリ3の活動場所に無作為に置かれた場合にも、アリ3を食餌体20により誘引して容器本体11内の毒餌剤2へと導くことが可能であるが、アリ3の蟻道や巣の場所が判明している際には、図5に示されるように使用されてもよい。
図5(a)および(b)には、アリ3の巣の位置が判明している際の、アリ用毒餌剤容器10の使用方法の一例が示されている。
図5(a)に示されるアリ用毒餌剤容器10の使用方法は、1つのアリ用毒餌剤容器10を用い、切り欠き溝16にそれぞれ係止された2つの食餌体20,20と容器本体11とでアリ3の巣4を取り囲むように、食餌体20,20を配置したものである。そして、容器本体11と2つの食餌体20,20とで囲まれた領域内に、少なくとも1つの侵入口15が開口している。また、図5(b)に示されるアリ用毒餌剤容器10の使用方法は、2つのアリ用毒餌剤容器10,10´を用いており、2つの容器本体11,11´と2つの食餌体20,20とでアリ3の巣4を取り囲むように、容器本体11,11´および食餌体20,20を配置し、2つの容器本体11,11´を互いに連結するように、各食餌体20の一方の端部を容器本体11の切り欠き溝16に係止し、他方の端部を容器本体11´の切り欠き溝16´に係止したものである。そして、2つの容器本体11,11´と2つの食餌体20,20とで囲まれた領域内に、少なくとも1つの侵入口15が開口している。
上述のようなアリ用毒餌剤容器10の使用方法においては、多数のアリ3が食餌体20に誘引されて巣4より出てきて、容器本体11と食餌体20とで囲まれた領域内はアリ3でひしめき合い、行き場を無くしたアリ3は、食餌体20に沿って侵入口15へと誘導され、侵入口15を介して容器本体11の内部に侵入し、容器本体11の内部に収納された毒餌剤2を食べ、駆除される。このようにして、巣4の周りでうじゃうじゃと動き回る不快なアリ3を、容器本体11の内部に追い込み、完全に駆除することができる。
以上説明したように本実施形態のアリ用毒餌剤容器10によれば、容器本体11の外部から毒餌剤2へアリ3を誘導するための食餌体20は、容器本体11に設けられた挿通口17を通して基端部20aを容器本体内11に収容された状態で、挿通口17から侵入口15付近まで延設された切り欠き溝16に差し込まれて係止され、容器本体11に取り付けられる。そして、挿通口17は、切り欠き溝16に向かうに従って幅W2から幅W1へと次第に狭まるテーパ状に形成されているので、食餌体20を挿通口17に挿通して切り欠き溝16にスムースに差し込むことができ、食餌体20を容器本体11に容易に取り付けることができる。
また、食餌体20の取り付け位置が、アリ3の侵入口15ではなく侵入口15付近に設けられた切り欠き溝16であるので、食餌体20により侵入口15の一部がふさがれてしまうことがなく、侵入口15を介したアリ3の出入りを阻害することがない。これにより、食餌体20によって誘引されたアリ3を確実に侵入口15に誘導し、侵入口15を介して容器本体11内に侵入させることができるとともに、侵入口15を介して容器本体11内から毒餌剤2を外部へ容易に持ち出させることができ、より多くのアリ3を効率良く誘引して駆除することができる。
また、食餌体20が可撓性を有する紐状部材であるので、容易に変形させることができる。従って、アリ用毒餌剤容器10の設置場所が、砂利が小石が多い場所、岩場、枯草が多く落ちている場所、段差のある場所、凹凸のある地面、等であっても、食餌体20が配置された箇所の形状(起伏)に沿って食餌体20自身が自然に変形し、配置箇所の表面に密着させて配置することができる。これにより、配置箇所の表面を活動しているアリ3が食餌体20に接触する頻度が高くなり、効率的にアリ3を容器本体11に誘引することができる。
また、食餌体20が多数個の玉部21を連結してなり、隣り合う玉部21,21を連結している連結部22が食餌体20の長手方向に垂直な断面において玉部21よりも細く形成されており、さらに、切り欠き溝16が食餌体20の連結部22の太さよりも幅広に且つ食餌体20の玉部21の太さよりも幅狭に形成されているので、連結部22を切り欠き溝16にスムースに差し込むことができると共に、切り欠き溝16に差し込まれた連結部22に隣接している玉部21が切り欠き溝16の両側縁部に係合して食餌体20の抜け止めがなされる。これにより、食餌体20を容器本体に容易に且つ確実に取り付けることができる。さらに、任意の箇所の連結部22を切り欠き溝16に差し込むことにより、容器本体11の外部に配置される食餌体20の長さをアリ用毒餌剤容器10の設置場所に応じて適宜変更することができる。
また、挿通口17が、容器本体11の天井壁12と該天井壁12の周縁部に接続している容器本体11の外周壁14とにまたがって形成されているので、容器本体11が予め設置された状態においても、食餌体20を挿通口17に容易に挿通させることができ、これにより、食餌体20を容器本体11に容易に取り付けることができる。特に、食餌体20は熱可塑性エラストマーにより紐状に形成されており可撓性を有するので、挿通口17の上方において食餌体20を垂らしながら挿通させることができ、有効である。
また、侵入口15が容器本体11に複数設けられており、切り欠き溝16が複数の侵入口15付近にそれぞれ設けられているので、食餌体20を使用場面に応じて、必要なとき、必要な箇所に、簡便に取り付けることができる。
次に、図6から図11を参照して、上述したアリ用毒餌剤容器10の変形例を説明する。
図6に示されるアリ用毒餌剤容器30は、切り欠き溝16の細部を、上述したアリ用毒餌剤容器10と異にするのみであり、共通する部材については同一の符号を付すことにより説明を省略する。
図6に示されるように、アリ用毒餌剤30の切り欠き溝16の中間部には一対の係止爪31,31が設けられている。この係止爪31,31は互いに近接するように切り欠き溝16の両側縁部から突設されている。そして、係止爪31,31の上部は、切り欠き溝16の底部に向けて次第に互いの距離を狭めるように傾斜して形成されており、係止爪31,31の下部は、互いの間に食餌体20の連結部22の直径R2よりも僅かに狭い隙間をおくように形成されている。
このように構成されたアリ用毒餌剤容器30においては、切り欠き溝16に差し込まれた食餌体20の連結部22が切り欠き溝16から不用意にはずれることがなく、食餌体20が切り欠き溝16から抜け落ちることを確実に防止することができ、食餌体20を容器本体11に容易に且つ確実に取り付けることができる。
尚、図6に示されるアリ用毒餌剤容器30において、侵入口15は、切り欠き溝16の片側に設けられているが、これに限定されるものではなく、切り欠き溝16の両側に設けられ得る(換言すれば、容器本体11の側壁14に一組の侵入口15,15が近接して形成され、切り欠き溝16が、この一組侵入口15,15の間に伸びるように形成され得る)。
図7に示されるアリ用毒餌剤容器40は、切り欠き溝46および挿通口47を、上述したアリ用毒餌剤容器10の切り欠き溝16および挿通口17と異にするのみであり、共通する部材については同一の符号を付すことにより説明を省略する。
図7に示されるように、アリ用毒餌剤容器40の挿通口47は、侵入口15の近傍において容器本体11の底壁13の周縁部に設けられており、該底壁13を貫通して略円形状に形成されている。そして、切り欠き溝46は、挿通口47に接続し且つ容器本体11の天井壁に向けて伸びる基部46aと、基部46aから侵入口15に向けて侵入口15に隣接する位置まで伸びる中間部46bと、中間部46bから容器本体11の底壁13に向けて伸びる先端部46cとから構成され、全体として略コ字形状に形成されている。
挿通口47は、食餌体20の玉部21をスムースに挿通可能とするように、食餌体20の玉部21よりも大径に形成されており、玉部21の直径R1よりも大寸の幅(直径)W4を有している。また、切り欠き溝46(基部46a、中間部46b、先端部46c)は、食餌体20の連結部22の直径R2よりも広く、且つ、食餌体20の玉部21の直径R1よりも狭い溝幅W3に形成されている。従って、挿通口47は、切り欠き溝46に向かうに従って幅W4から幅W3へと次第に狭まるテーパ状に形成されている。
食餌体20は、アリ用毒餌剤容器40が設置される前に、挿通口47を通して基端部20aを容器本体11内に収容され、連結部22を基部46aおよび中間部46bを介して先端部46cに差し込まれた状態で、切り欠き溝46に予め係止される。
このように構成されたアリ用毒餌剤容器40においては、アリ用毒餌剤容器40が設置された後には挿通口47は設置面により塞がれるので、食餌体20が切り欠き溝46から抜け落ちることを確実に防止することができ、食餌体20を容器本体11に容易に且つ確実に取り付けることができる。
図8に示されるアリ用毒餌剤容器50は、侵入口55、切り欠き溝56、および挿通口57を、上述したアリ用毒餌剤容器10の侵入口15、切り欠き溝16、および挿通口17と異にするのみであり、共通する部材については同一の符号を付すことにより説明を省略する。
図8に示されるように、アリ用毒餌剤容器50は、容器本体11の外周壁14に、近接して形成された一組の侵入口55,55を有している。挿通口57は、この一組の侵入口55,55を、それぞれ上方端部において互いに連結するように外周壁14に設けられている。切り欠き溝56は、挿通口57から延設され、一組の侵入口55,55の間に(即ち、各侵入口55に隣接する位置に)伸びている。
挿通口57は、食餌体20の玉部21をスムースに挿通可能とするように、食餌体20の玉部21よりも大きく形成されている。また、切り欠き溝56は、食餌体20の連結部22の直径R2よりも広く、且つ、食餌体20の玉部21の直径R1よりも狭い溝幅W5に形成されており、また、挿通口57の切り欠き溝56との接続箇所58は、切り欠き溝56に向かうに従って幅W5へと次第に狭まるテーパ状に形成されている。
食餌体20は、挿通口57を通して基端部20aを容器本体11内に収容され、連結部22を切り欠き溝56に差し込まれた状態で切り欠き溝46に係止されている。
このように構成されたアリ用毒餌剤容器50においては、食餌体20を係止している切り欠き溝56の両側に隣接して侵入口55,55が設けられているので、食餌体20に沿って容器本体11へ誘導されたアリ3は、食餌体20の左右いずれにおいても侵入口55を介して容器本体11内に侵入することができ、より多くのアリ3を効率良く容器本体11内に誘引して駆除することができる。
図9に示されるアリ用毒餌剤容器60は、食餌体20を挿通される挿通口をアリ用の侵入口65と兼用し、切り欠き溝66を侵入口65から延設したものであり、その他のアリ用毒餌材容器10と共通する部材については同一の符号を付すことにより説明を省略する。
図9に示されるように、アリ用毒餌剤容器60において、食餌体20を挿通される挿通口は、侵入口65と兼用されている。侵入口65は、容器本体11の外周壁14の周方向に適宜の間隔をおいて複数設けられている。そして、切り欠き溝66は、侵入口65の側部から容器本体11の天井壁12と略並行に伸びる基部66aと、基部66aから容器本体11の底壁13に向けて伸びる先端部66bとから構成されている。
侵入口65は、食餌体20の玉部21をスムースに挿通可能とするように、食餌体20の玉部21よりも大きく形成されている。また、切り欠き溝66(基部66a、先端部66b)は、食餌体20の連結部22の直径R2よりも広く、且つ、食餌体20の玉部21の直径R1よりも狭い溝幅W6に形成されている。そして、侵入口65の切り欠き溝66との接続箇所68は、切り欠き溝66に向かうに従って幅W6へと次第に狭まるテーパ状に形成されている。
食餌体20は、侵入口65を通して基端部20aを容器本体11内に収容され、連結部22を切り欠き溝66の基部66aを介して先端部66bに差し込まれた状態で、切り欠き溝66に係止される。
このように構成されたアリ用毒餌剤容器60においては、食餌体20の基端部20aを容器本体11の内部に挿入するための挿通口をアリ用の侵入口65と兼用しているので、容器本体11に別途挿通口を形成するための加工を必要とせず、容器本体11の構造を簡略化して、アリ用毒餌材容器60の製造コストを削減することができる。
図10に示されるアリ用毒餌剤容器70は、挿通口17に第2の切り欠き溝76を追加した構成であり、上述したアリ用毒餌剤容器10と共通する部材については同一の符号を付すことにより説明を省略する。
図10に示されるように、アリ用毒餌材容器70は、容器本体11の外周壁14を略矩形状に切り欠かれて形成された切り欠き溝16、および、容器本体11の天井壁12を略矩形状に切り欠かれて形成された第2の切り欠き溝76を有しており、切り欠き溝16および第2の切り欠き溝76はいずれも挿通口17から延設されている。尚、第2の切り欠き溝76は、図10において1つの挿通口17に形成されているが、各挿通口17にそれぞれ設けられ得る。
そして、第2の切り欠き溝76は、切り欠き溝16と同様に溝幅W1に形成されており、従って、挿通口17は、第2の切り欠き溝76に向かうに従って幅W2から幅W1へと次第に狭まるテーパ状に形成されている。この第2の切り欠き溝76にも上記した誘引剤を保持した食餌体80が差し込まれて係止される。食餌体80により容器本体11へと誘導されたアリ3は、挿通口17(および侵入口15)を介して容器本体11内へ侵入し、毒餌剤2へと導かれる。
上述したアリ用毒餌材容器70の好適な使用方法の一例として、図10に示されるように、第2の切り欠き溝76に係止された第2の食餌体80は、容器本体11の設置面91に対して垂直な立壁面92に沿って配置される。第2の食餌体80としては、外力によって変形自在で且つ変形後の形状を維持することができる材料を好適に用いることができ、例えば、図11に示されるように、2本の針金81の間に複数の繊維材82を挟みながら当該針金81をツイストし(捩り)、それにより繊維材82が針金81に固着された所謂モール材に上記した誘引剤83を保持させたものを用いることができる。また、上述した可撓性の食餌体20に、例えば粘着剤を塗布するなどの適宜の手段により粘着性を付与して、食餌体20を立壁面92に貼着するようにしてもよい。
このように構成されたアリ用毒餌剤容器70においては、容器本体11の天井壁12に形成された第2の切り欠き溝76により、食餌体20,80の容器本体11への取り付け自由度が向上し、アリ3の活動状況に応じて、食餌体を、必要なとき、必要な箇所に、簡便に取り付けることができる。これによって、アリ3の様々な活動場所に応じてアリ用毒餌剤容器70を配置してアリ3を食餌体20,80によって誘引することが可能となり、アリ3を高い確率でアリ用毒餌剤容器70内に誘導し、毒餌剤2に到達させることができる。
尚、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、組み合わせ、等が可能である。その他、前述した実施形態や変形例における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
例えば、食餌体に関して、上述した各実施形態においては、連結される多数個の部材を略球形状の玉部21とし、この多数個の玉部21と隣り合う玉部21,21を連結する連結部22とを熱可塑性エラストマーにより一体に成形した紐状部材として説明したが、これに限定されるものではなく、誘引剤を保持可能な多数個の多孔質ビーズや熱可塑性エラストマーで形成されたビーズ状部材を、可撓性を有する紐等で数珠状に連結したものであってもよい。尚、玉部21は切り欠き溝16に係合し得るかぎり少なくとも1つあればよい。
また、連結される多数個の部材は略球形状に限定されるものではなく、半球形状、角柱形状、円筒形状などであってもよく、さらに、食餌体の末端の形状を略T字形状に(即ち、多数個の部材のうち食餌体の末端に配置される部材の形状を矩形板状に)形成し、切り欠き溝の両側縁部との係合代を大きくして、食餌体の係止をより確実なものとしてもよい。