JP3929843B2 - ターニングセンターの工具取付装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転工具と旋削工具とを適宜交換してミーリング加工や切削加工(ターニング加工)を行うことができるターニングセンターの工具取付装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
ターニングセンターにおいては、ベアリングを介してラムに対して回転自在に主軸(スピンドル)を設け、この主軸に工具のテーパシャンク部を係合固定する取付係合部を設け、この取付係合部にこれに係合する工具のテーパシャンク部のクランプ用突出部(プルボルト)を引動クランプすることで工具を前記主軸に取り付け固定するドローバークランプ機構を設け、このドローバークランプ機構により工具を着脱し、旋削工具装着の場合には主軸と共に回り止め固定するように構成することで、回転工具でも旋削工具でも適宜交換取り付けでき、ミーリング加工も切削加工も行うことができるようにしている。
【0003】
このようなターニングセンターにおいて、回転工具と旋削工具のクランプ機構を前述のように共用するように構成した場合は、回転工具に比べ旋削工具の方が作用するラジアル荷重が遥かに大きいため、クランプ力も大きくする必要があるが、旋削工具に合せてクランプ力をアップすると、回転工具においてもプルボトルの強度アップや二面拘束ツールの使用等が必要となってしまう問題があった。
【0004】
本発明は、このような現状に鑑み、例えば後方に増圧シリンダ装置等の増圧機構を設け、回転工具を取り付ける時は作動(引動クランプのためのドローバークランプ機構の引動力を増圧)させず(解除し)、旋削工具を取り付ける時には増圧作動させることでドローバークランプ機構の引動力を増圧させて、切削加工時の引動クランプ力を増大させることができ、従って、増圧を必要でない回転工具を取り付けるときには簡単にこの増圧を解除することで回転工具のプルボルトの強度アップや二面拘束の必要等もなく、旋削工具を取り付けるときには増圧作動によって強固に固定できる画期的なターニングセンターの工具取付装置を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0006】
回転工具aと旋削工具bとを交換使用するターニングセンターの工具取付装置において、ベアリング3を介してラム4に対して回転自在に設けた主軸1に、工具の基端部に設けたテーパシャンク部2を係合する取付係合部5を設け、この取付係合部5に引動することで前記テーパシャンク部2のクランプ用突出部2Aをクランプして工具を前記主軸1に取り付け固定するドローバークランプ機構6をクランプ作動・解除自在に設け、このドローバークランプ機構6のクランプ作動時の引動力を増圧する増圧機構8を作動・解除自在に設け、前記ドローバークランプ機構6により前記旋削工具bのテーパシャンク部2を前記主軸1の取付係合部5に取り付け固定させる際に、前記増圧機構8を作動させて引動力を増圧して強固に取り付け固定すると共に、前記回転工具aのテーパシャンク部2を前記主軸1の取付係合部5に取り付け固定させる際には前記増圧機構8の増圧作動を解除し得るように構成し、前記増圧機構8は、前記ドローバークランプ機構6のドローバー6Aを引動する引動部6Bに引動力を付与する増圧用シリンダ装置に構成したことを特徴とするターニングセンターの工具取付装置に係るものである。
【0007】
また、前記ドローバークランプ機構6は、引動作用部7としてクランプ作動用のドローバー6Aを引動付勢する付勢機構7を設けて、この付勢機構7により前記ドローバー6Aを引動しクランプ作動するように構成すると共に、この付勢機構7に抗して駆動部9により押動することで解除するように構成するか、若しくは前記引動作用部7としてドローバー6Aを押引動する駆動部を設けてこの駆動部により前記ドローバークランプ機構6がクランプ作動・解除するように構成したことを特徴とする請求項1記載のターニングセンターの工具取付装置に係るものである。
【0008】
また、前記増圧機構8は、油供給部から送り出される油を圧送する油路8Aと、この油路8Aを介して圧送される油停留部8Bの油圧によって可動する可動部8Cとから成り、この可動部8Cの可動によってドローバークランプ機構6のドローバー6Aを引動する引動部6Bに引動力を付与し、前記油供給部からの油の送出を停止若しくは前記油停留部8Bの油圧を消失することで前記可動部8Cの可動を停止若しくは戻動させて前記ドローバークランプ機構6の引動部6Bへの引動力の付与を解除し得る増圧シリンダ装置に構成したことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載のターニングセンターの工具取付装置に係るものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
好適と考える本発明の実施の形態(発明をどのように実施するか)を、図面に基づいてその作用効果を示して簡単に説明する。
【0010】
工具の基端部のテーパシャンク部2を主軸1の取付係合部5に係合してドローバークランプ機構6をクランプ作動させると、例えばドローバー6Aが引動作用部7として設けた付勢機構7若しくは駆動部による引動によってテーパシャンク部2のクランプ用突出部2A(プルボルト)をクランプすると共に引動し、工具のテーパシャンク部2を取付係合部5に圧接して工具は主軸1に取り付け固定される。
【0011】
逆にこのドローバークランプ機構6を解除、例えば付勢機構7に抗して駆動部9によりドローバー6Aを押動若しくは駆動部によって押動することでクランプ解除され、工具を主軸1の取付係合部5から取り外すことができる。
【0012】
このようなドローバークランプ機構6の引動力を増圧する増圧機構8を作動・解除自在にして主軸1後方に設けることで、旋削工具bを主軸1に取り付ける場合は、この増圧機構8を作動させて、ドローバークランプ機構6の引動力を増圧することで、クランプ力はアップし、主軸1に旋削工具bを強固に取り付けることができる。
【0013】
また、回転工具aを主軸1に取り付ける場合は、増圧機構8を作動させず(増圧を解除し)ドローバークランプ機構6の引動力により取り付け固定する。
【0014】
従って、増圧を必要でない回転工具aを取り付けるときには簡単にこの増圧を解除することで回転工具aのテーパシャンク部2のクランプ用突出部2Aの強度アップや二面拘束の必要等もなく、旋削工具bを取り付けるときには増圧作動によって強固に固定できる。
【0015】
この増圧機構8は、例えば増圧シリンダ装置により主軸1後方に容易に構築でき、増圧・解除の切り替えも容易に制御可能で、実用性にも秀れる。
【0016】
【実施例】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0017】
回転工具aと旋削工具bとのいずれをも共用の取付機構(取付係合部5,ドローバークランプ機構6)により着脱自在に装着でき、夫々交換使用できるターニングセンターの工具取付装置において、移動制御自在に垂設したラム4の下端に工具を取り付けるようにしたもので、ベアリング3を介してラム4に対して回転自在に設けた主軸1の先端部に、工具の基端部に設けたテーパシャンク部2を係合する取付係合部5を設け、この取付係合部5の基端奥部に、ドローバー6Aを引動することで前記テーパシャンク部2のクランプ用突出部2Aをクランプすると共に引動し工具を前記主軸1に取り付け固定するドローバークランプ機構6をクランプ作動・解除自在に設けている。
【0018】
具体的には、このドローバークランプ機構6は、クランプ作動用のドローバー6Aを常時引動付勢する引動作用部7としての付勢機構7(バネ)を設け、この付勢機構7により前記ドローバー6Aを引動することで、テーパシャンク部2のクランプ用突出部2Aをクランプすると共に引動しクランプ作動させ、工具のテーパシャンク部2が主軸1の取付係合部5に圧接して取り付け固定されるように構成すると共に、この付勢機構7に抗して駆動部9の突出ロッド9Aにより引動部6Aを押動することで解除され、工具のテーパシャンク部2を主軸1の取付係合部5から取り外せるように構成している。
【0019】
即ち、本実施例では、引動作動は付勢機構7で行い、解除の時に駆動部9により押動して解除するように構成したが、引動作用部7としてドローバー6Aを押引動する駆動部を設けてこの駆動部により前記ドローバークランプ機構6がクランプ作動・解除するように構成しても良い。
【0020】
また、本実施例では、前記ドローバークランプ機構6のクランプ作動時の引動力を増圧する増圧機構8を作動・解除自在に設けている。即ち、ドローバークランプ機構6により旋削工具bのテーパシャンク部2を主軸1の取付係合部5に取り付け固定させる際に、前記増圧機構8を作動させて引動力を増圧して強固に取り付け固定すると共に、回転工具aのテーパシャンク部2を主軸1の取付係合部5に取り付け固定する際には前記増圧機構8の増圧作動を解除し得るように構成している。
【0021】
本実施例では、この増圧機構8は、ドローバークランプ機構6のドローバー6Aを引動する引動部6Bに引動力を付与する増圧用シリンダ装置に構成している。
【0022】
具体的には、本実施例では、この増圧機構8は、主軸1の後方奥部に構築されるもので、油供給部から送り出される油を圧送する油路8Aと、この油路8Aを介して圧送される油停留部8Bの油圧によって可動する可動部8Cとから成り、この可動部8Cの可動によってドローバークランプ機構6のドローバー6Aを引動する引動部6Bに係止して引動させるもので、前記付勢機構7の引動力に加えてこの油圧可動による引動力を付与して増圧し、また前記油供給部からの油の送出を停止し油停留部8Bの油圧を消失することで前記可動部8Cは戻りバネ8Dによって戻動してドローバークランプ機構6の引動部6Bへの引動力の付与を解除し得る増圧シリンダ装置に構成している。
【0023】
従って、この増圧機構8は容易に構築でき、既存のドローバークランプ機構6に追加製作することも容易で、また増圧作動・解除の切り替えも簡易に行えるため、回転工具a,旋削工具bの装着時の切り替え制御も容易となり、また、この増圧力を調整設定することも容易に行える。
【0024】
従って、増圧解除すれば既存のドローバークランプ機構6により回転工具aを通常通り取り付け固定でき、旋削工具bを取り付ける場合には、油圧により増圧作動させるだけで所定の増圧した引動力で強固に取り付け固定でき、極めて実用性に秀れる。
【0025】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【0026】
【発明の効果】
本発明は上述のように構成したから、スピンドルの後方に増圧シリンダ装置等の増圧機構を設け、回転工具を取り付ける時は作動(引動クランプのためのドローバークランプ機構の引動力を増圧)させず(解除し)、旋削工具を取り付ける時には増圧作動させることでドローバークランプ機構の引動力を増圧させて、切削加工時の引動クランプ力を増大させることができ、従って、増圧を必要でない回転工具を取り付けるときには簡単にこの増圧を解除することで回転工具のプルボルトの強度アップや二面拘束の必要等もなく、旋削工具を取り付けるときには増圧作動によって強固に固定できる画期的なターニングセンターの工具取付装置となる。
【0027】
また、請求項3記載の発明においては、本発明を簡易な構成で容易に実現でき、一層実用性に秀れた画期的なターニングセンターの工具取付装置となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施例のターニングマシンの概略構成説明図である。
【図2】 本実施例のターニングセンターの概略構成説明断面図である。
【図3】 本実施例のターニングセンターのドローバークランプ機構(アンクランプ時の)を示す説明断面図である。
【図4】 本実施例のターニングセンターのドローバークランプ機構をクランプ作動させて回転工具を取り付けた状態の要部の拡大説明断面図である。
【図5】 本実施例のターニングセンターのドローバークランプ機構をクランプ作動させて回転工具を取り付けた状態の増圧機構が解除状態での要部の拡大説明断面図である。
【図6】 本実施例のターニングセンターのドローバークランプ機構をクランプ作動させて旋削工具を取り付けた状態の要部の拡大説明断面図である。
【図7】 本実施例のターニングセンターのドローバークランプ機構をクランプ作動させて旋削工具を取り付けた状態の増圧機構が増圧作動状態での要部の拡大説明断面図である。
【符号の説明】
1 主軸
2 テーパシャンク部
2A クランプ用突出部
3 ベアリング
4 ラム
5 取付係合部
6 ドローバークランプ機構
6A 引動部
7 引動作用部(付勢機構)
8 増圧機構
8A 油路
8B 油停留部
8C 可動部
9 駆動部
a 回転工具
b 旋削工具

Claims (3)

  1. 回転工具と旋削工具とを交換使用するターニングセンターの工具取付装置において、ベアリングを介してラムに対して回転自在に設けた主軸に、工具の基端部に設けたテーパシャンク部を係合する取付係合部を設け、この取付係合部に引動することで前記テーパシャンク部のクランプ用突出部をクランプして工具を前記主軸に取り付け固定するドローバークランプ機構をクランプ作動・解除自在に設け、このドローバークランプ機構のクランプ作動時の引動力を増圧する増圧機構を作動・解除自在に設け、前記ドローバークランプ機構により前記旋削工具のテーパシャンク部を前記主軸の取付係合部に取り付け固定させる際に、前記増圧機構を作動させて引動力を増圧して強固に取り付け固定すると共に、前記回転工具のテーパシャンク部を前記主軸の取付係合部に取り付け固定させる際には前記増圧機構の増圧作動を解除し得るように構成し、前記増圧機構は、前記ドローバークランプ機構のドローバーを引動する引動部に引動力を付与する増圧用シリンダ装置に構成したことを特徴とするターニングセンターの工具取付装置。
  2. 前記ドローバークランプ機構は、引動作用部としてクランプ作動用のドローバーを引動付勢する付勢機構を設けて、この付勢機構により前記ドローバーを引動しクランプ作動するように構成すると共に、この付勢機構に抗して駆動部により押動することで解除するように構成するか、若しくは前記引動作用部としてドローバーを押引動する駆動部を設けてこの駆動部により前記ドローバークランプ機構がクランプ作動・解除するように構成したことを特徴とする請求項1記載のターニングセンターの工具取付装置。
  3. 前記増圧機構は、油供給部から送り出される油を圧送する油路と、この油路を介して圧送される油停留部の油圧によって可動する可動部とから成り、この可動部の可動によってドローバークランプ機構のドローバーを引動する引動部に引動力を付与し、前記油供給部からの油の送出を停止若しくは前記油停留部の油圧を消失することで前記可動部の可動を停止若しくは戻動させて前記ドローバークランプ機構の引動部への引動力の付与を解除し得る増圧シリンダ装置に構成したことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載のターニングセンターの工具取付装置。
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