JP3928293B2 - 共振器装置、フィルタ、発振器および通信機 - Google Patents

共振器装置、フィルタ、発振器および通信機 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、共振器に励振プローブを結合させてなる共振器装置、フィルタ、発振器およびそれらを用いた通信機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
誘電体基板に設けた共振器とプローブとからなる共振器装置の構成例を図13および図14に示す。
図13はその分解斜視図である。ここで、1は高誘電率誘電体材料からなる共振器用基板であり、それぞれ円形の電極開口部Ha,Hbを有する上面電極2および下面電極3を形成している。このような電極構造によって、電極開口部Ha,Hb部分がTE010モードの誘電体共振器として作用する。4は低誘電率材料からなるプローブ用基板であり、その上面にストリップ導体からなる励振プローブ5,6を形成している。このプローブ用基板4は共振器用基板1の上面に重ね、プローブ用基板4および共振器用基板1からそれぞれ所定距離離れた位置に上部シールド板7および下部シールド板8を配置している。
【0003】
図14は、共振器用基板1にプローブ用基板4を重ねた状態での上面図である。このように電極開口部Ha,Hb付近に励振プローブ5,6をそれぞれ近接させることによって、電極開口部Ha,Hb部分のTE010モードの誘電体共振器と励振プローブ5,6とがそれぞれ磁界結合する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような励振プローブを用いて共振器と結合させるようにした共振器装置においては、その励振プローブと共振器のスプリアスモードとの結合が問題となる。例えば、利用すべき主モードがTE010モードの場合、例えばHE310モードがスプリアスモードとなる。図15はHE310モードの電磁界分布を示している。このようなスプリアスモードも図14に示した配置の励振プローブと結合するため、HE310モードのレスポンスも強く現れる。
【0005】
この発明の目的は、上記スプリアスの問題を解消した共振器装置、フィルタ、発振器および通信機を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明の目的は、共振器に対する励振プローブの結合のさせ方によって、プローブがスプリアスモードと結合しないようにするとともに、共振器のスプリアスモードの発生を抑圧するものである。
【0007】
この発明は、共振器に対して少なくとも2つの結合点で励振プローブを結合させて成る共振器装置であって、前記2つの結合点における第1の共振モードの前記共振器上の位相差と、前記2つの結合点における第1の共振モードでの励振プローブ上の位相差とが略等しく、且つ前記2つの結合点における第2共振モードの前記共振器上の位相差と、前記2つの結合点における第2の共振モードでの励振プローブ上の位相差とが等しくない関係に定める。
【0008】
例えば、励振プローブを、1本の線路で構成し、該線路上の所定の2点を前記共振器の所定の2点に結合させれば、2つの結合点における第1の共振モード(実際に利用する主モード)の共振器上の位相差と、その共振モードの周波数での励振プローブ上の位相差とが略等しい関係で、共振器と励振プローブとが結合する。したがって上記励振プローブは共振器の第1の共振モードと結合する。一方、励振プローブは2つの結合点で第2の共振モード(スプリアスモード)とも結合しようとするが、第2の共振モードでの2つの結合点における共振器上の位相差と、その第2の共振モードの周波数での励振プローブ上の位相差とは等しくないため、第2の共振モードの信号が打ち消される。結局、励振プローブは共振器の第1の共振モードと選択的に結合することになる。
【0009】
特に、上記2つの結合点における第2の共振モードでの共振器上の位相差と、その結合点における第2の共振モードの周波数での励振プローブ上の位相差とが逆相関係であれば、その第2の共振モードが最も有効に打ち消されることになる。
【0010】
また、この発明は、励振プローブを、2分岐された線路で構成し、該2分岐の分岐点から略等しい距離だけ離れた線路上の点を共振器に対する結合点とする。これにより、2つの結合点における共振器上の位相が逆相関係になる共振モードとプローブとが選択的に結合する。また2つの結合点における共振器上の位相が同相関係になる共振モードが抑圧される。
【0011】
また、この発明は、励振プローブを、2分岐された線路で構成し、該2分岐の分岐点から、抑圧すべき共振モードの共振周波数における電気長で半波長分の差だけ離れた線路上の点を共振器に対する結合点とする。これにより、2つの結合点における共振器上の位相が同相関係になる共振モードとプローブとが選択的に結合し、2つの結合点における共振器上の位相が逆相関係になる共振モードが抑圧される。
【0012】
また、この発明は、励振プローブを、2分岐された線路で構成し、該2分岐の分岐点から略等しい距離だけ離れた前記線路上の点を前記共振器に対する結合点とするとともに、当該結合点から前記線路の終端までのそれぞれの電気長の差を、抑圧すべき共振モードの共振周波数における略半波長分とする。これにより、2つの結合点における共振器上の位相が同相関係になる共振モードとプローブとが選択的に結合し、2つの結合点における共振器上の位相が逆相関係になる共振モードが抑圧される。
【0013】
また、この発明は、上記励振プローブを、信号入出力ポートとしてフィルタを構成する。
【0014】
また、この発明は、上記励振プローブに負性抵抗回路を接続して発振器を構成する。
【0015】
また、この発明は、上記フィルタまたは上記発振器を備えて通信機を構成する。
【0016】
【発明の実施の形態】
第1の実施形態に係るフィルタの構成を図1〜図4を参照して説明する。
図1は、フィルタの分解斜視図である。ここで、1は高誘電率誘電体材料からなる共振器用基板であり、それぞれ円形の電極開口部Ha,Hbを有する上面電極2および下面電極3を形成している。このような電極構造によって、共振器用基板の電極開口部Ha,Hb部分がそれぞれ誘電体共振器として作用する。以下、電極開口部Haによる誘電体共振器を「共振器Ra」、電極開口部Hbによる誘電体共振器を「共振器Rb」という。4は低誘電率材料からなるプローブ用基板であり、その上面にストリップ導体からなる励振プローブ(以下単に「プローブ」という。)5,6を形成している。7,8はそれぞれシールド板である。
【0017】
このフィルタは、上記共振器用基板1の上面にプローブ用基板4を重ね、プローブ用基板4および共振器用基板1からそれぞれ所定距離離れた位置に上部シールド板7および下部シールド板8を配置することによって構成している。
【0018】
図2の(A)は、共振器用基板1にプローブ用基板4を重ねた状態での上面図である。(B)は上記2つの電極開口部の中央を通る面での断面図である。ここで、共振器用基板1は厚みが1mmで比誘電率が30の高誘電率基板である。また、プローブ用基板4は厚みが0.1mmで比誘電率が3.2のBTレジンなどの低誘電率基板である。電極開口部Ha,Hbの直径は4.0mmであり、その上下のシールド板までの空気層はそれぞれ1mmである。この構造パラメータで共振器の共振周波数を有限要素法で計算すると、TE010モードは20GHz、HE310モードは21.5GHzとなる。
【0019】
このように電極開口部Hb付近に直線状のプローブ6を近接させることによって、共振器Rbとプローブ6とを一箇所で磁界結合させている。また、電極開口部Ha付近に曲線状のプローブ5を2箇所で近接させることにより、共振器Raとプローブ5とを2箇所で磁界結合させている。
【0020】
図3は上記共振器の2つのモードについての電磁界分布を示す図である。(A)は、この実施形態で利用する主モードであるTE010モード、(B)はスプリアスモードであるHE310モードについての、それぞれの電磁界分布を示している。ここで実線は電界分布(電気力線)、破線は磁界分布(磁力線)である。図においてA,Bがプローブ5との結合点である。
【0021】
先ず、プローブ5が共振器のHE310モードに結合するかどうかについて考察する。プローブ5上の結合点A,B間のHE310モードの周波数での電気長は1波長λgであるので、プローブ5上では結合点AとBとは同相(プローブ中を伝搬する電流の向きが同方向)の点である。また、プローブ5上の結合点Aは開放端からλg/4だけ離れた位置であり、結合点Bは開放端からλg+λg/4だけ離れた位置であるため、プローブ5上の結合点A,Bは磁界強度最大の点である。しかし、図3の(B)に示すように、結合点A,BにおけるHE310モードの共振器上の位相差は逆相関係にある。したがって、共振器のHE310モードにより励起されるプローブ5上のA,B点の電流の向きは逆となり、プローブ5は共振器のHE310モードとは結合しない。
【0022】
次に、プローブ5が共振器をHE310モードで励振するかどうかについて考察する。プローブ5のA,B点のいずれか一方だけであれば、その電流による磁界で共振器はHE310モードでも励振される。しかし、プローブ5のA,B点の電流による磁界で励振される共振器のHE310モードの電磁界分布の向きは全く逆の関係にある。したがって、その両者の重ね合わせによって生成されるHE310モードは見かけ上存在しないことになる。言い換えるとプローブ5は共振器をHE310モードでは励振しない。
【0023】
次に、図2に示した共振器Raが共振器RbからHE310モードで励振されるかどうかについて考察する。図2に示した共振器Rb自体は、従来の共振器とプローブとの関係と同様に、プローブ6が共振器RbをHE310モードで励振し得る状態にある。そして、共振器Raが共振器Rbと磁界結合する際に、共振器RaがHE310モードで励振され得る。しかし、以上に述べたように、結合点A,BにおけるHE310モードでの共振器上の位相差と、結合点A,BにおけるHE310モードでのプローブ5上の位相差とが逆相関係にあるため、共振器RaのHE310モードはプローブ5の2点での結合により抑圧される。
【0024】
次に、図3の(A)に示すTE010モードとプローブ5との結合について考察する。先ず結合点A,BにおけるTE010モードの共振器上の位相差は0(同相)であり、且つプローブ5上の結合点A,B間の電気長は略同相である。そのため、共振器のTE010モードにより、プローブ5は2点で励振され、また、プローブ5はその2点で共振器をTE010モードで励振する。すなわちプローブ5は共振器のTE010モードと結合し、TE010モードが抑圧されることはない。
【0025】
なお、図2、図3に示した例では、2つの結合点A,B間のプローブ上の電気長をλgとしたが、この間の線路長はλgの整数倍であればよい。
【0026】
図4は上記フィルタの通過特性を示す図である。(A)はこの第1の実施形態に係るフィルタの通過特性、(B)は、2つのプローブ5a,5bを図13,図14に示したように、共振器に対してそれぞれ1点で結合させるようにしたフィルタの通過特性である。ここで、20GHz付近のレスポンスはTE010モードによるもの、約21.5GHz付近のレスポンスはHE310モードによるものである。このように、上記構成のフィルタでは、TE010モードは影響を受けずに、22GHz付近の、特にHE310モードが強く減衰することがわかる。
【0027】
次に第2の実施形態に係るフィルタの構成を図5を参照して説明する。
図5は、共振器用基板1にプローブ用基板4を重ねた状態での上面図であり、図2の(A)に示した図に対応させて示している。この図5に現れていない部分の構成は第1の実施形態の場合と同様である。
【0028】
図5に示すように、電極開口部Ha付近に曲線状のプローブ5を2箇所で近接させて、電極開口部Haの周縁部の中心角60°だけ離れた2箇所でプローブ5を磁界結合させている。プローブ5上の結合点A,B間の電気長はHE310モードの周波数で1波長λgである。図3に示したように、HE310モードにおいて共振領域周縁部の中心角60°だけ離れた位置は、共振器上で逆相関係にあるため、図3の(B)に示した状態と同様に、プローブ5は共振器RaのHE310モードに結合せず、また、プローブ5がHE310モードを励振することもない。TE010モードについては、結合点A,Bは共振器上で同相関係にあるため、図3の(A)に示した状態と同様に、プローブ5は共振器のTE010モードに結合し、また、共振器をTE010モードで励振する。
【0029】
次に第3の実施形態に係るフィルタの構成を図6を参照して説明する。
図6の(A)は共振器用基板にプローブ用基板を重ねた状態での上面図である。この図6に現れていない部分の構成は第1の実施形態の場合と同様である。図6の(A)において、5a,5b,5cはそれぞれストリップ導体であり、全体でプローブを構成している。ストリップ導体5cはポート#1から伸びていて、その先にY分岐を設け、Y分岐のそれぞれに、互いに等しい長さを有する終端開放のストリップ導体5a,5bを設けて2分岐回路を構成している。このストリップ導体5a,5bは電極開口部Haによる共振器Raとそれぞれ磁界結合する。
【0030】
図6の(B)は上記2つのストリップ導体の線路上を伝搬する電磁波の磁界のイメージと、共振器のHE310モードの磁界分布の様子を示す斜視図である。このように、HE310モードの場合、共振器Ra上の対向する2つの結合点AとBの位相は逆相関係にある。一方、Y分岐されたストリップ導体5a,5bを伝搬する電磁波の磁界はプローブ用基板の平面に対しては同方向であり、ストリップ導体5a,5bから共振器Raを見た方向、または共振器Raからストリップ導体5a,5bを見た方向では、磁界の向きは逆であるため、ストリップ導体5a,5bはそれぞれ共振器RaのHE310モードと結合して、その電磁波はY分岐で合成され、ストリップ導体5cを伝搬し、ポート#1へ出力信号として出力される。逆にポート#1から信号が入力される場合、Y分岐で分岐された電磁波はストリップ導体5a,5bを伝搬し、共振器RaをHE310モードで励振する。
【0031】
ここで、TE010モードについて考察すると、TE010モードはその電磁界分布が共振器Raの中心を回転対称とする形状であるため、共振器Ra上の結合点A,Bの位相は同相関係となる。そのため、ストリップ導体5a,5bを伝搬する電磁波の磁界の方向は、その一方が図6の(B)に示した方向とは逆になり、Y分岐で電磁波は打ち消される。したがって結局、ストリップ導体5cはTE010モードと結合しない。また、上述のとおり、結合点A,Bにおいてストリップ導体5a,5bは共振器Raに対して逆相で励振するので、共振器RaはTE010モードで励振されない。
【0032】
また、図6において共振器Ra,Rb同士は磁界結合し、共振器Rbはプローブ6と磁界結合する。共振器Rbが共振器Raに結合していなければ、プローブ6が共振器RbをTE010モードで励振し、また共振器RbのTE010モードにプローブ6が結合することもあり得るが、共振器RaがTE010モードでは励振しないため、ポート#1−ポート#2間のフィルタ特性にTE010モードによる影響は現れない。すなわち、図6に示したフィルタでは、TE010モードをスプリアスとして抑圧し、HE310モードを主モードとして用いることができる。
【0033】
なお、上述の例ではHE310モードを主モードとして用いることにしたが、HE210モードの場合も、共振器Ra上の結合点A,Bの位相は逆相関係となるため、HE210モードの共振周波数をフィルタの通過帯域の中心周波数となるように共振器を設計し、共振器Ra,Rb同士がHE210モードの磁界強度の高い部分で近接するように共振器Ra,Rbの位置を定め、且つ共振器RbのHE210モードの磁界強度の高い位置にプローブ6が近接するように、それらの位置を定めれば、TE010モードをスプリアスとして抑圧するとともに、HE210モードを主モードとして用いることができる。
【0034】
次に、第4の実施形態に係るフィルタの構成を図7を参照して説明する。
図7の(A)は共振器用基板にプローブ用基板を重ね合わせた状態での上面図であり、プローブの形成部分のみを示している。この図7に現れていない部分の構成は第1の実施形態の場合と同様である。図7において、5a,5b,5cはそれぞれストリップ導体であり、全体でプローブを構成している。ストリップ導体5cにはY分岐を設けていて、Y分岐の2つのポートのそれぞれに、ある電気長を有する第1のストリップ導体5aとそのストリップ導体よりλg/2だけ長い電気長を有する第2のストリップ導体5bをそれぞれ設けている。そして、第1のストリップ導体5aの先端(開放端である終端)からλg/4離れた点Aおよび第2のストリップ導体5bの先端(開放端である終端)から(3/4)λgだけ離れた点Bで、電極開口部Hによる共振器とそれぞれ磁界結合させている。
【0035】
図7の(B)は(A)に示したプローブの等価回路図である。ここでZ1,Z2はそれぞれ先端開放のスタブと見なすことができ、そのインピーダンスは、
Z1= - jZo cot kZ (L1 + λg/4)
Z2= - jZo cot kZ (L1 + 3 λg/4)
= - jZo cot kZ (L1 + λg/4)
= Z1
となり、2つのインピーダンスは等しいため、図7の(C)に示すように、ポート1からの入力はY分岐により等分配されることになる。分配された2つの波はそれぞれ終端開放の条件によって定在波となり、共振器との結合点A,Bで磁界強度最大となる。ここで、それぞれの開放端からストリップ導体上の結合点A,Bを見た位相は逆位相であるが、結合点A,Bから共振器を見た方向または共振器からストリップ導体を見た方向では、磁界の向きは同一となるため、図6に示した場合とは逆の関係が成り立つ。すなわち、TE010モードが励振され、HE210モードやHE310モードは励振されない。また、共振器のTE010モードに結合してストリップ導体5a,5bを伝搬する電流は、Y分岐で同相で合成されるが、HE210モードやHE310モードではY分岐で逆相で合成される。したがって、プローブは全体として共振器のTE010モードに結合し、HE210モードやHE310モードには結合しない。
【0036】
なお、この実施形態では、結合点Aから第1のストリップ導体5aの終端までの線路長と、結合点Bから第2のストリップ導体5bの終端までの線路長との差をλg/2としたが、この差は電気長でλg/2であればよく、上記線路長の差がλg/2の奇数倍の関係であればよい。
【0037】
図8は第5の実施形態に係る共振器装置の斜視図である。図8において11は円柱形状の誘電体共振器であり、基板10の上面に配置している。基板10の上面にはマイクロストリップ線路によるプローブ5を形成している。基板10の下面にはほぼ全面の接地電極を形成している。このプローブと共振器との結合関係は図2に示したものと基本的に同様であり、プローブ5は誘電体共振器11のTE01δモードと結合し、HE31δモードやHE21δモードとは結合しない。
【0038】
図9は第6の実施形態に係る共振器装置の構成を示す斜視図である。ここで12は円形導波管、13は同軸線路である。この同軸線路13の中心導体を円形導波管12の2箇所の内部へ突出させている。この位置が結合点となる。この構造により、同軸線路13はTE011モードと結合する。上記2つの結合点間の同軸線路上の電気長は、抑圧しようとするスプリアスモードHE311の共振周波数での1波長λgである。また、この2つの結合点は中心角180°だけ離れた位置であるため、HE311モードについて導波管内での位相は逆相関係にある。そのため、図3に示した場合と同様にしてHE311モードが抑圧される。
【0039】
図10は第7の実施形態に係るフィルタの構成を示す図である。ここで4はプローブ用基板であり、その上面にストリップ導体からなるプローブ5を形成している。このプローブ用基板4の下部の共振器用基板と電極開口部Hによる共振器の構成は図1などに示したものと同様である。プローブ5は電極開口部Hによる共振器に対して2箇所で結合し、その2点間のプローブ上の電気長は、抑圧すべきTE010モードの共振周波数の波長をλgとした時、λg/2の長さとしている。これにより、TE010モードにより2箇所で励起されるプローブ5上のA,B点での電流の方向は同じであるが、プローブ上でのA,B点間の電気長はλg/2であるので、電流は打ち消される。したがって、TE010モードが抑圧される。一方、HE210モードやHE310モードは、上記2箇所でプローブと逆相関係で結合されるが、プローブ上でのA,B点間の電気長は略λg/2であるので、略同相で合成される。なお、HE210モードやHE310モードの共振周波数での波長からすれば、上記2点間のプローブ上の電気長は1/2波長とはならないが、ほぼ同相関係にある信号の重ね合わせであるので、このことは問題とはならない。
【0040】
図10に示したフィルタは、等価回路的には、ポート#1とポート#2間の伝送線路の途中と接地との間にトラップ共振器を挿入した構造となり、HE210モードまたはHE310モードの共振周波数を中心として減衰させる帯域阻止型フィルタ(BEF)として作用する。
【0041】
なお、上記結合点A,B間のプローブ上の距離は電気長でλg/2であればよく、線路長としてはλg/2の奇数倍であればよい。
【0042】
図11は第8の実施形態に係る発振器の構成を示す図である。(A)はその主要部の斜視図、(B)は共振器およびプローブ部分の構成を示す上面図である。基板10の上面にはマイクロストリップ線路からなるプローブ5などの各種パターンを形成している。基板10の下面にはほぼ全面の接地電極を形成している。基板10の上面にはプローブ5と結合する位置に円柱形状の誘電体共振器11をを配置している。
【0043】
プローブ5は、図11の(B)に示すように、マイクロストリップ線路5a,5b,5c,5dと2つのY分岐から構成している。線路5dの端部には終端抵抗を設けている。このプローブ5は負性抵抗回路であるFETから所定の電気長離れた位置で誘電体共振器11を結合させるために用いている。FET側のY分岐から所定の電気長Lだけ離れた位置で線路5aと誘電体共振器11とを結合させ、Y分岐からL+λg/2だけ離れた位置で、線路5bと誘電体共振器11とを結合させている。この2つの線路5a,5bと誘電体共振器11との2つの結合点は、誘電体共振器の中心角で180°だけ離れた位置であるため、この2つの結合点における共振器上の位相は、TE01δモードについては同相関係、HE31δモードまたはHE21δモードについては逆相関係にある。しかしFET側のY分岐から2つの結合点をみた位相は、線路5a,5bにλg/2だけの電気長の差があるため、結局、図6に示した場合とは逆に、プローブは共振器のTE01δモードと結合し、HE31δモードまたはHE21δモードは抑圧される。そのため、HE21δまたはHE31δモードの影響を受けることなく、TE01δモードの共振周波数で発振する帯域反射型の発振器が得られる。
【0044】
なお、FET側のY分岐から2つの結合点までの電気長の差はλg/2であればよく、線路長の差としてはλg/2の奇数倍の関係であればよい。
【0045】
次に上記誘電体フィルタまたは発振器を用いた通信機の構成を図12を参照して説明する。図12においてANTは送受信アンテナ、DPXはデュプレクサ、BPFa,BPFb,BPFcはそれぞれ帯域通過フィルタ、AMPa,AMPbはそれぞれ増幅回路、MIXa,MIXbはそれぞれミキサ、OSCはオシレータ、DIVは分周器(シンセサイザー)である。MIXaはDIVから出力される周波数信号を変調信号で変調し、BPFaは送信周波数の帯域のみを通過させ、AMPaはこれを電力増幅してDPXを介しANTより送信する。BPFbはDPXから出力される信号のうち受信周波数帯域のみを通過させ、AMPbはそれを増幅する。MIXbはBPFcより出力される周波数信号と受信信号とをミキシングして中間周波信号IFを出力する。
【0046】
図12に示した帯域通過フィルタBPFa,BPFb,BPFcは上記各種構造の誘電体フィルタを用いることができる。また、オシレータOSCとしては図11に示した構造の発振器を用いることができる。このようにしてスプリアス特性に優れたフィルタおよび発振器を用いた通信機を構成する。
【0047】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、スプリアスモードを抑圧するとともに、励振プローブを主モードと選択的に結合させることができる。
【0048】
請求項2,4,5に記載の発明によれば、2つの結合点における共振器上の位相が同相関係になる共振モードとプローブとを選択的に結合させることができ、2つの結合点における共振器上の位相が逆相関係になる共振モードを抑圧することができる。
【0049】
請求項3に記載の発明によれば、2つの結合点における共振器上の位相が逆相関係になる共振モードと励振プローブとを選択的に結合させることができ、2つの結合点における共振器上の位相が同相関係になる共振モードを抑圧することができる。
【0050】
請求項6に記載の発明によれば、スプリアスモードの影響を受けずに、所定周波数帯域を通過または阻止するフィルタが得られる。
【0051】
請求項7に記載の発明によれば、スプリアスの少ない、単一周波数で発振する発振器が得られる。
【0052】
請求項8に記載の発明によれば、スプリアスモードによる影響を受けない、高周波特性に優れた通信機が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態に係るフィルタの分解斜視図
【図2】同フィルタの主要部の上面図および断面図
【図3】2つの共振モードの電磁界分布の例を示す図
【図4】同フィルタと従来のフィルタにおける通過特性の例を示す図
【図5】第2の実施形態に係るフィルタの主要部の上面図
【図6】第3の実施形態に係るフィルタの主要部の上面図
【図7】第4の実施形態に係る共振器装置の構成を示す図
【図8】第5の実施形態に係る共振器装置の斜視図
【図9】第6の実施形態に係る共振器装置の斜視図
【図10】第7の実施形態に係るフィルタの主要部の上面図
【図11】第8の実施形態に係る発振器の構成を示す図
【図12】第9の実施形態に係る通信機の構成を示すブロック図
【図13】従来のフィルタの構成を示す分解斜視図
【図14】同フィルタの主要部の上面図
【図15】HE310モードの電磁界分布の例を示す図
【符号の説明】
1−共振器用基板
2−上面電極
3−下面電極
4−プローブ用基板
5,6−励振プローブ
5a,5b−ストリップ導体
7−上部シールド板
8−下部シールド板
10−基板
11−誘電体共振器
12−空胴共振器
13−同軸線路
H−電極開口部

Claims (8)

  1. 共振器に対して少なくとも2つの結合点で励振プローブを結合させて成る共振器装置であって、
    前記2つの結合点における第1の共振モードの前記共振器上の位相差と、前記2つの結合点における第1の共振モードでの前記励振プローブ上の位相差とが略等しく、且つ前記2つの結合点における第2共振モードの前記共振器上の位相差と、前記2つの結合点における第2の共振モードでの前記励振プローブ上の位相差とが等しくない関係に定めたことを特徴とする共振器装置。
  2. 前記励振プローブを、1本の線路で構成し、該線路上の2点を前記共振器に対する結合点としたことを特徴とする請求項1に記載の共振器装置。
  3. 前記励振プローブを、2分岐された線路で構成し、該2分岐の分岐点から略等しい距離だけ離れた前記線路上の点を前記共振器に対する結合点とするとともに、当該結合点から前記線路の終端までのそれぞれの電気長を略等しくしたことを特徴とする請求項1に記載の共振器装置。
  4. 前記励振プローブを、2分岐された線路で構成し、該2分岐の分岐点から、抑圧すべき共振モードの共振周波数における電気長で略半波長分の差だけ離れた前記線路上の点を前記共振器に対する結合点とするとともに、当該結合点から前記線路の終端までのそれぞれの電気長を略等しくしたことを特徴とする請求項1に記載の共振器装置。
  5. 前記励振プローブを、2分岐された線路で構成し、該2分岐の分岐点から略等しい距離だけ離れた前記線路上の点を前記共振器に対する結合点とするとともに、当該結合点から前記線路の終端までのそれぞれの電気長の差を、抑圧すべき共振モードの共振周波数における略半波長分としたことを特徴とする請求項1に記載の共振器装置。
  6. 請求項1〜5のうちいずれかに記載の励振プローブを信号入出力ポートとして成るフィルタ。
  7. 請求項1〜5のうちいずれかに記載の励振プローブに負性抵抗回路を接続して成る発振器。
  8. 請求項6に記載のフィルタまたは請求項7に記載の発振器を備えて成る通信機。
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