JP3927128B2 - 光ファイバテープ心線 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、光ファイバテープ心線に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、光ファイバを複数本備えた光ファイバテープ心線と呼ばれるものがある。このような光ファイバテープ心線は、単心の光ファイバの外周面に紫外線硬化性樹脂組成物を硬化させることで被覆層を形成した光ファイバ素線を複数本用い、これらの光ファイバ素線どうしを使用の際に識別するため、各光ファイバ素線の外周面に、着色剤を含有する紫外線硬化性樹脂組成物を硬化させることで着色層を形成した光ファイバ着色素線を構成し、これらの光ファイバ着色素線を複数本並列に並べてその全体を、紫外線硬化性樹脂組成物を硬化させることで形成する一括被覆層によって一体化して構成されるものである。
【0003】
このように、光ファイバ素線の外周面に着色層を形成した光ファイバ着色素線を複数本並べて一体化した光ファイバテープ心線は、通信線路として使用される際に、光ファイバ着色素線を1本ずつ取り出す単心分離が行われる。すなわち、光ファイバテープ心線は、光ファイバ着色素線から一括被覆層を剥がして光ファイバ着色素線を単心分離することで、通信線路として実際の使用に供されるものである。そのため、光ファイバテープ心線には、単心分離が容易に行えること、つまり、単心分離性が良好であることが求められる。
【0004】
ところが、例えば、光ファイバ着色素線表面の着色層とその外側の一括被覆層との密着が、光ファイバ素線表面の被覆層とその外側の着色層との密着より強いと、単心分離を行う際に光ファイバ着色素線の表面から着色層が剥がれてしまうことから、このような着色層の剥がれ等の不都合を未然に防止しつつ単心分離を容易に行うため、光ファイバ素線表面の被覆層、着色層および一括被覆層を形成する各紫外線硬化性樹脂組成物の材料物性値について、提案がなされている。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−90588号公報
【0006】
【特許文献2】
特開2002−221647号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
この発明の発明者らが研究したところ、光ファイバテープ心線の単心分離性は、紫外線硬化性樹脂組成物を硬化させたときの硬化物表面の硬化性に大きく依存することがわかった。例えば、紫外線硬化性樹脂組成物を硬化させた硬化物の表面に、つぎの硬化層となる液体の紫外線硬化性樹脂組成物を塗布する場合、硬化物の表面に未反応の紫外線硬化樹脂成分が残留していると、塗布した液体の紫外線硬化性樹脂組成物を硬化させるために紫外線を照射したとき、両者の界面で、硬化物表面の未反応の紫外線硬化樹脂成分と、塗布した紫外線硬化性樹脂組成物の紫外線硬化性樹脂とが反応して密着してしまうのである。このような硬化物表面の硬化性に依存する現象は、その硬化物を形成する紫外線硬化性樹脂組成物が着色剤を含有するか否かに拘わらず、形成された硬化物表面の硬化性のみに左右される。そのため、着色層の剥がれを未然に防止しつつ単心分離を容易に行うには、光ファイバ着色素線の着色層表面の硬化性が重要であるとともに、光ファイバ素線の被覆層表面の硬化性との相関条件がとりわけ重要である。
【0008】
しかしながら、特許文献1および特許文献2はいずれも、紫外線硬化性樹脂組成物を硬化させたときの硬化物表面の硬化性について言及がないため、このような硬化物表面の硬化性に基づく光ファイバテープ心線の単心分離性について論じることができないという問題があった。
【0009】
また、この発明の発明者らは、硬化物表面の硬化性を示す指標として、水滴を用いた接触角を利用することが有効であることを見出した。特許文献1および特許文献2には、液滴を用いた接触角について記載されている。但し、これらの特許文献が液滴による接触角を用いる理由は、第一の樹脂組成物の硬化物上に第二の樹脂組成物の液滴を配置したときの接触角が所定範囲内の条件を満たすと、第一の樹脂組成物の硬化物表面の微小の凹凸に対しても第二の樹脂組成物が浸透しやすくなり、第二の樹脂組成物をより斑なく均一に塗布できるからであって、硬化物表面の硬化性を示す指標としてではない。
【0010】
しかも、紫外線硬化性樹脂組成物を硬化させた硬化物の表面に、つぎの硬化層となる紫外線硬化性樹脂組成物の液滴を滴下して接触角を測定した場合、その接触角の決め手となるのは、硬化物の表面状態よりもむしろ液滴の粘度・表面張力であり、そのため、仮に、つぎの硬化層となる紫外線硬化性樹脂組成物の液滴を用いて測定した接触角を、硬化物表面の硬化性を示す指標として利用しようとしても、硬化性を正確に反映する指標とはならない。そのうえ、光ファイバに用いる紫外線硬化性樹脂組成物は、着色剤を含有するものを含めて、線材への塗布が高速で行えるように濡れ性が良好に設定されているため、接触角の絶対値が小さいという必然性があり、そのため、仮に、その接触角の変化から硬化物の表面状態の変化を探ろうとしても、接触角の微小な変化を測定しなければならないため硬化物の表面状態の変化を観測しにくい。
【0011】
さらに、特許文献1および特許文献2では、シート上に紫外線硬化性樹脂組成物を塗布し硬化させた硬化物を用いてその表面状態を評価しているため、この評価をそのまま実際の光ファイバ着色素線に当てはめることはできず、実際の光ファイバ着色素線を用いてその表面状態を評価することは困難であるという問題があった。
【0012】
この発明の課題は、上記従来のもののもつ問題点を排除して、光ファイバ着色素線の着色層表面の硬化性、および光ファイバ素線の被覆層表面の硬化性を定量的に把握して、両者の硬化性の相関条件を的確に設定することで、単心分離性を向上することのできる光ファイバテープ心線を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
この発明は上記課題を解決するものであって、請求項1に係る発明は、光ファイバに紫外線硬化性樹脂組成物を硬化させることで被覆層を形成した光ファイバ素線の外周面に、着色剤を含有する紫外線硬化性樹脂組成物を硬化させることで着色層を形成した光ファイバ着色素線を複数本並べて、紫外線硬化性樹脂組成物を硬化させることで形成する一括被覆層によって一体化してなる光ファイバテープ心線において、前記光ファイバ素線の状態のものを複数本並べ、その表面に水滴を配置して測定した接触角αと、前記光ファイバ着色素線の状態のものを複数本並べ、その表面に水滴を配置して測定した接触角βとが、α<βの条件を満たす光ファイバ着色素線を用いて構成した光ファイバテープ心線である。
【0014】
請求項2に係る発明は、請求項1記載の発明において、前記光ファイバ素線の状態のもの複数本を密度0.95以上に緊密に並べ、その表面に水滴を配置して測定した接触角αと、前記光ファイバ着色素線の状態のもの複数本を密度0.95以上に緊密に並べ、その表面に水滴を配置して測定した接触角βとが、α<βの条件を満たす光ファイバ着色素線を複数本並べて、前記一括被覆層によって一体化した光ファイバテープ心線である。
【0015】
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2記載の発明において、前記光ファイバ素線の状態のものを複数本並べ、その表面に水滴を配置して当該光ファイバ素線の長手方向に沿った垂直面内で測定した接触角αと、前記光ファイバ着色素線の状態のものを複数本並べ、その表面に水滴を配置して当該光ファイバ着色素線の長手方向に沿った垂直面内で測定した接触角βとが、α<βの条件を満たす光ファイバ着色素線を複数本並べて、前記一括被覆層によって一体化した光ファイバテープ心線である。
【0016】
【発明の実施の形態】
この発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1は、この発明による光ファイバテープ心線の一実施の形態を示す模式的断面図であり、この光ファイバテープ心線10は、光ファイバ11に紫外線硬化性樹脂組成物を硬化させることで被覆層12を形成した光ファイバ素線13の外周面に、着色剤を含有する紫外線硬化性樹脂組成物を硬化させることで着色層14を形成した光ファイバ着色素線15を複数本並列に並べて、紫外線硬化性樹脂組成物を硬化させることで形成する一括被覆層16によって一体化して構成されるものである。
【0017】
そして、この光ファイバテープ心線10は、光ファイバ素線13の状態のものを複数本並べ、その表面に水滴を配置して測定した接触角αと、光ファイバ着色素線15の状態のものを複数本並べ、その表面に水滴を配置して測定した接触角βとが、α<βの条件を満たす光ファイバ着色素線を用いて構成したものである。
【0018】
また、光ファイバ素線13の状態のもの複数本を密度0.95以上に緊密に並べ、その表面に水滴を配置して測定した接触角αと、光ファイバ着色素線15の状態のもの複数本を密度0.95以上に緊密に並べ、その表面に水滴を配置して測定した接触角βとが、α<βの条件を満たす光ファイバ着色素線を複数本並べて、一括被覆層16によって一体化したものである。
【0019】
さらに、光ファイバ素線13の状態のものを複数本並べ、その表面に水滴を配置してその光ファイバ素線の長手方向に沿った垂直面内で測定した接触角αと、光ファイバ着色素線15の状態のものを複数本並べ、その表面に水滴を配置してその光ファイバ着色素線の長手方向に沿った垂直面内で測定した接触角βとが、α<βの条件を満たす光ファイバ着色素線を複数本並べて、一括被覆層16によって一体化したものである。
【0020】
図2は、光ファイバ素線13の状態のもの(これを光ファイバ素線3として表す。)の表面に水滴を配置して接触角を測定するため、光ファイバ素線3の並べ方および接触角の測定方法についての説明図であり、図3は、光ファイバ着色素線15の状態のもの(これを光ファイバ着色素線5として表す。)の表面に水滴を配置して接触角を測定するため、光ファイバ着色素線5の並べ方および接触角の測定方法についての説明図であり、図4は、光ファイバ素線3、光ファイバ着色素線5を複数本並べる際の密度に応じて接触角がどのように変化するかを調べた結果を示す表である。
【0021】
図2〜図4を用いてこの実施の形態を具体的に説明すると、光ファイバ1に液体の紫外線硬化性樹脂組成物2Lを塗布し、この光ファイバ1を酸素濃度を調整可能な雰囲気中に置き、酸素濃度および紫外線照射量を調整しながら、紫外線硬化性樹脂組成物2Lに紫外線を照射することで、紫外線硬化性樹脂組成物2Lを硬化させて硬化物2Sすなわち被覆層2を形成し、これによって光ファイバ素線3が構成される(図2(b)(c)参照)。
【0022】
また、光ファイバ素線3の外周面に、着色剤Aを含有する液体の紫外線硬化性樹脂組成物4ALを塗布し、この光ファイバ素線3を酸素濃度を調整可能な雰囲気中に置き、酸素濃度および紫外線照射量を調整しながら、着色剤A含有の紫外線硬化性樹脂組成物4ALに紫外線を照射することで、紫外線硬化性樹脂組成物4ALを硬化させて着色剤A含有の硬化物4ASすなわち着色層4を形成し、これによって光ファイバ着色素線5が構成される(図3(b)(c)参照)。
【0023】
このようにして得られた光ファイバ素線3の表面にイオン交換水の水滴Wを滴下して接触角αを測定するため、光ファイバ素線3を複数本並べる。同様に、光ファイバ着色素線5の表面にイオン交換水の水滴Wを滴下して接触角βを測定するため、光ファイバ着色素線5を複数本並べる。このとき、光ファイバ素線3、光ファイバ着色素線5の直径をdとし、この光ファイバ素線3、光ファイバ着色素線5を長さL間にn本並べるとすると、その密度ρはρ=nd/Lとして表すことができる(図2(a)、図3(a)参照)。この密度ρを変えながら、接触角α,βを測定した結果を図4に示す。
【0024】
図4に示すように、光ファイバ素線3、光ファイバ着色素線5を並べる密度ρが下がると、隣り合う光ファイバ素線3、光ファイバ着色素線5の相互間に隙間が生じるため、水滴Wがその隙間を通り抜けて流れてしまい、接触角α,βが不安定になる。このため、光ファイバ素線3、光ファイバ着色素線5を並べる密度ρを0.95以上(ρ≧0.95)にすると、水滴Wの接触角α,βを安定して測定できることがわかる。なお、図4に示す接触角α,βは、光ファイバ素線3、光ファイバ着色素線5を並べる密度ρとの関係を調べたものであり、接触角α,βの数値そのものにそれ以外の意味はない。
【0025】
そこで、この結果を基にして、実際には、複数本の光ファイバ素線3を密度0.95以上(ρ≧0.95)に緊密に並べる。そして、その表面にイオン交換水の水滴Wを滴下して接触角αを測定する。同様に、複数本の光ファイバ着色素線5を密度0.95以上(ρ≧0.95)に緊密に並べる。そして、その表面にイオン交換水の水滴Wを滴下して接触角βを測定する。
【0026】
一般に、水滴Wの接触角α、接触角βの測定は平坦な面(平面)で行うものであるが、光ファイバ素線3、光ファイバ着色素線5を並べた表面のような平坦でない面(違方性がある面)であっても、接触角α、接触角βの測定を行うことは可能である。このとき、水滴Wの広がりは、光ファイバ素線3、光ファイバ着色素線5の長手方向と、これに直交する方向とでは異なるから、そのいずれかの方向に沿った垂直面内で水滴Wの接触角α、接触角βを測定することができる。このうち、光ファイバ素線3、光ファイバ着色素線5の長手方向の方が、これに直交する方向と比べて水滴Wの広がりが大きいが、形状の違方性による影響を受けにくいから、光ファイバ素線3、光ファイバ着色素線5の長手方向に沿った垂直面V内で水滴Wの接触角α、接触角βを測定することが好ましい。さらに詳しくは、水滴Wの中央付近にある1本の光ファイバ素線3の中心軸線を通る垂直面V内で水滴Wの接触角αを測定する(図2(b)(c)参照)。同様に、水滴Wの中央付近にある1本の光ファイバ着色素線5の中心軸線を通る垂直面V内で水滴Wの接触角βを測定する(図3(b)(c)参照)。このような接触角α、接触角βの測定は、市販されている適宜の接触角計を用いて行うことができる。
【0027】
図5は、光ファイバ1にさまざまな被覆層2を形成した直径0.245mmの複数種類の光ファイバ素線3を、いずれも0.95以上の密度ρ(ρ≧0.95)で複数本並べ、その表面にイオン交換水の水滴Wを滴下して、光ファイバ素線3の長手方向に沿った垂直面V内で測定した水滴Wの接触角α(図2(b)(c)参照)の測定結果を示す表である。
【0028】
図6は、図5で用いた各光ファイバ素線3の外周面に、酸素濃度を調整可能な雰囲気中で酸素濃度を調整しながら、また、照射量を調整可能な紫外線の照射量を調整しながら、着色剤A含有のさまざまな着色層4を形成した直径0.250mmの複数種類の光ファイバ着色素線5を、いずれも0.95以上の密度ρ(ρ≧0.95)で複数本並べ、その表面にイオン交換水の水滴Wを滴下して、光ファイバ着色素線5の長手方向に沿った垂直面V内で測定した水滴Wの接触角β(図3(b)(c)参照)の測定結果を示す表である。また、これらの各光ファイバ着色素線5を光ファイバ着色素線15として用いて作成(試作)した光ファイバテープ心線10の単心分離を行って、光ファイバ着色素線15の着色層14の剥がれの有無(単心分離性)を観察した結果を示す表である。ここで、単心分離性の評価は、各光ファイバテープ心線10の50cmを単心分離し、その作業時に着色層14の剥がれが生じた部分がある場合を×、着色層14の剥がれがない場合を〇とした。
【0029】
一般に、紫外線硬化性樹脂組成物からなる硬化物表面の硬化性は、紫外線の照射量と正の相関、酸素濃度と負の相関があるといわれている。
【0030】
図6に示すように、水滴Wの接触角βを見るかぎり、紫外線の照射量との相関および酸素濃度との相関があり、しかも、紫外線の照射量とは正の相関、酸素濃度とは負の相関があるから、紫外線硬化性樹脂組成物からなる硬化物(着色層4)表面の硬化性は、水滴による接触角の大きさと相関することになる。すなわち、水滴による接触角βが大きい場合はその着色層4の表面硬化状態が良好である一方、水滴による接触角βが小さい場合はその着色層4の表面硬化状態が不良であることになるから、水滴による接触角βの大小に応じて着色層4の表面硬化状態を評価できることになる。光ファイバ素線3の被覆層2も紫外線硬化性樹脂組成物からなる硬化物であるから、同様にして、水滴による接触角αの大小に応じて被覆層2の表面硬化状態を評価できることになる。
【0031】
紫外線硬化性樹脂組成物からなる硬化物表面の硬化性と、水滴による接触角の大きさとに相関がある理由は明らかになっていないが、硬化物表面の硬化状態によってその表面エネルギが変化するためと考えられる。一般に、高エネルギ表面では接触角が小さく、低エネルギ表面では接触角が大きくなることから、硬化物の表面硬化状態が良くなればなるほど、その表面エネルギが低下し、その結果、水滴による接触角が大きくなるものと考えられる。したがって、水滴による接触角の測定値は、紫外線硬化性樹脂組成物からなる硬化物(被覆層2、着色層4)表面の硬化性を示す指標として利用できることが明らかである。
【0032】
そして、図6から明らかなように、水滴による接触角αが58°の被覆層2を形成した光ファイバ素線3(A)の場合、着色層4表面の水滴による接触角βが69°以上であると、単心分離性が〇であり、水滴による接触角βが40°以下であると、単心分離性が×である。また、水滴による接触角αが48°の被覆層2を形成した光ファイバ素線3(B)の場合も、着色層4表面の水滴による接触角βが69°以上であると、単心分離性が〇であり、水滴による接触角βが40°以下であると、単心分離性が×である。また、水滴による接触角αが36°の被覆層2を形成した光ファイバ素線3(C)の場合、着色層4表面の水滴による接触角βが40°以上であると、単心分離性が〇であり、水滴による接触角βが20°であると、単心分離性が×である。さらに、水滴による接触角αが30°の被覆層2を形成した光ファイバ素線3(D)の場合も、着色層4表面の水滴による接触角βが40°以上であると、単心分離性が〇であり、水滴による接触角βが20°であると、単心分離性が×である。
【0033】
これらの結果から、水滴による接触角α,βがα<βの条件を満たす被覆層2を形成した光ファイバ素線3を光ファイバ素線13とし、かつ、着色層4を形成した光ファイバ着色素線5を光ファイバ着色素線15として構成される光ファイバテープ心線10は、光ファイバ素線13の被覆層12表面の水滴による接触角αに比べて、光ファイバ着色素線15の着色層14表面の水滴による接触角βの方が大きい(α<β)から、被覆層12の表面の硬化性に比べて、着色層14の表面の硬化性の方がより良好であり、そのため、光ファイバ着色素線15の着色層14とその外側の一括被覆層16との密着が、光ファイバ素線13の被覆層12とその外側の着色層14との密着より弱いから、単心分離を行う際に光ファイバ着色素線15の表面から着色層14が剥がれてしまうことは未然にしかも確実に防止されることとなる。
【0034】
以上のように構成される各光ファイバテープ心線10の中から、紫外線照射量が低く、酸素濃度が高くても、硬化物表面の接触角が小さくならない着色剤Aを含有する紫外線硬化性樹脂組成物4ALを選んで光ファイバ着色素線15の着色層14として用いるとともに、紫外線照射量が低く、酸素濃度が高くても、硬化物表面の接触角が小さくならない紫外線硬化性樹脂組成物2Lを選んで光ファイバ素線13の被覆層12として用いることで、単心分離性が良好な光ファイバテープ心線10を、簡便に製造することが可能になる。
【0035】
【発明の効果】
この発明は以上のように、光ファイバに紫外線硬化性樹脂組成物を硬化させることで被覆層を形成した光ファイバ素線の外周面に、着色剤を含有する紫外線硬化性樹脂組成物を硬化させることで着色層を形成した光ファイバ着色素線を複数本並べて、紫外線硬化性樹脂組成物を硬化させることで形成する一括被覆層によって一体化してなる光ファイバテープ心線において、光ファイバ素線の状態のものを複数本並べ、その表面に水滴を配置して測定した接触角αと、光ファイバ着色素線の状態のものを複数本並べ、その表面に水滴を配置して測定した接触角βとが、α<βの条件を満たす光ファイバ着色素線を用いて光ファイバテープ心線を構成したので、水滴を用いた接触角を測定することによって、光ファイバ着色素線の着色層表面の硬化性、および光ファイバ素線の被覆層表面の硬化性を定量的に把握することができ、これにより、光ファイバ着色素線の着色層表面の硬化性と、光ファイバ素線の被覆層表面の硬化性との相関条件を的確に設定することで、単心分離性を向上することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による光ファイバテープ心線の一実施の形態を示す模式的断面図である。
【図2】光ファイバ素線の並べ方および接触角の測定方法についての説明図である。
【図3】光ファイバ着色素線の並べ方および接触角の測定方法についての説明図である。
【図4】光ファイバ素線、光ファイバ着色素線を複数本並べる際の密度に応じて接触角がどのように変化するかを調べた結果を示す表である。
【図5】光ファイバ素線の接触角αの測定結果を示す表である。
【図6】光ファイバ着色素線の接触角βの測定結果および単心分離性(着色層の剥がれの有無)の観察結果を示す表である。
【符号の説明】
10 光ファイバテープ心線
1,11 光ファイバ
2,12 被覆層
3,13 光ファイバ素線
4,14 着色層
5,15 光ファイバ着色素線
16 一括被覆層
W 水滴
α,β 接触角
ρ 密度
V 垂直面

Claims (3)

  1. 光ファイバに紫外線硬化性樹脂組成物を硬化させることで被覆層を形成した光ファイバ素線の外周面に、着色剤を含有する紫外線硬化性樹脂組成物を硬化させることで着色層を形成した光ファイバ着色素線を複数本並べて、紫外線硬化性樹脂組成物を硬化させることで形成する一括被覆層によって一体化してなる光ファイバテープ心線において、
    前記光ファイバ素線の状態のものを複数本並べ、その表面に水滴を配置して測定した接触角αと、前記光ファイバ着色素線の状態のものを複数本並べ、その表面に水滴を配置して測定した接触角βとが、α<βの条件を満たす光ファイバ着色素線を用いて構成したことを特徴とする光ファイバテープ心線。
  2. 前記光ファイバ素線の状態のもの複数本を密度0.95以上に緊密に並べ、その表面に水滴を配置して測定した接触角αと、前記光ファイバ着色素線の状態のもの複数本を密度0.95以上に緊密に並べ、その表面に水滴を配置して測定した接触角βとが、α<βの条件を満たす光ファイバ着色素線を複数本並べて、前記一括被覆層によって一体化したことを特徴とする請求項1記載の光ファイバテープ心線。
  3. 前記光ファイバ素線の状態のものを複数本並べ、その表面に水滴を配置して当該光ファイバ素線の長手方向に沿った垂直面内で測定した接触角αと、前記光ファイバ着色素線の状態のものを複数本並べ、その表面に水滴を配置して当該光ファイバ着色素線の長手方向に沿った垂直面内で測定した接触角βとが、α<βの条件を満たす光ファイバ着色素線を複数本並べて、前記一括被覆層によって一体化したことを特徴とする請求項1または請求項2記載の光ファイバテープ心線。
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