JP3926577B2 - リラクゼーション椅子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、理美容室や安楽な状態を求める施術室等に設置されてリラクゼーションに好適な姿勢を取ることができるように、上半身の角度を変えることが可能なリラクゼーション椅子に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来からこのようなリラクゼーション椅子は前述のように上半身を最もリラクゼーションに適する角度に、自由に傾けてその角度を維持するような機構のみが採用されているため、これを理美容室などにも転用すると次のような問題点が発生する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
すなわち、上半身の角度を変える機構だけが用いられて、座高を変える手段が用いられていないため、髪のシャンプーなどに好適な頭の高さを基準として設計すると、シェービングやフェイシャルエステの場合などには頭の位置が施術者にとって高くなりすぎ、作業がやりにくといった問題があった。
【0004】
これに対応すべく、従来の理美容室で用いられている椅子の昇降機構を設けたり、前垂れと称される脛受け部の前端上昇機構など理美容用の椅子の機構をリラクゼーション椅子にも付加すると、機構が複雑になりすぎ、意匠的に美観を損なうばかりでなく、大型化しすぎて椅子の設置面積が増加してしまうと共に構成が複雑化して価格も高くなりすぎる等の問題もあった。
【0005】
本発明は前記した問題点を解決せんとするもので、その目的とするところは、髪のセットのための機能例えば椅子本体の昇降機能を省略化し、被施術者が寝た姿勢で施術を受ける寝姿勢での施術を効率よく行うための背凭れの角度を座部のスライドと連動して可能とし、かつ、背凭れの厚さに限定を受けないために背凭れを厚くしてマッサジャーなどの快適装置の装備をも可能としたリラクゼーション椅子を提供せんとするにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明のリラクゼーション椅子は前記した目的を達成せんとするもので、請求項1の手段は、円弧状に形成された固定台12と、該固定板の上方位置において上端が回動自在に軸支された連結杆2と、該連結杆の下端に回動自在に軸支された椅子本体Aのフレーム3と、該フレームにスライド可能に取付けられた椅子本体の座部4と、前記フレームの後方に一端が取付けられ上端に前記椅子本体の上背凭れ51が取付けられた副フレーム31と、該副フレームの前記上背凭れの下部近くに回動自在に取付けられた椅子本体の下背凭れ52と、前記座部に取付けられ後端部分にガイド孔36が形成され、かつ、該ガイド孔に対してスライドする前記下背凭れの下部側面から突出したスライドピン44がガイドされるスライド杆43と、前記フレームに取付けられ前記座部を前記フレームに対して前後動させるスライド機構35と、前記フレームと前記固定板との間に取付けられ前記フレームを前後動させるシリンダ6とより構成し、前記シリンダによって椅子本体を揺動運動させると共に、前記スライド機構によって座部を前後動させ、かつ、該座部の前後動に伴って前記スライド杆が前後動することで着座者の背中に当接するように前記下背凭れを斜め上方に移動するようにしたことを特徴とする。
【0007】
請求項2の手段は、前記した請求項1の手段において、前記スライド機構は、前記フレームの両側に取付けられたガイドレールと、前記フレームの略中央に取付けられたモータと該モータによって回転するギアボックスと、前記座部の裏面側に回転自在に軸支され中央部が前記ギアボックスに螺合されたネジとから構成され、前記モータが回転することでギアボックスを介して前記ネジが前後方向に移動して座部をフレームに対して前後動することを特徴とする。
【0008】
請求項3の手段は、前記した請求項2の手段において、前記フレームの前後位置にリミットスイッチを取付け、前記座部の裏面に該座部の前後動に伴って前記リミットスイッチをオン・オフする接触片を取付け、前記座部の前後動の所定位置において前記接触片が前記リミットスイッチを操作する前記モータへの通電を遮断するようにしたことを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を、2つの状態に移行した場合を表した図1について以下に説明する。
この実施の形態においては、椅子本体Aの左右両側に位置する設置台1は、左右それぞれがV字型の支枠11の上部で円弧に湾曲された固定板12と補強のための枠板13で固定されている。
【0010】
そして、固定板12の後下端と支枠11の下端が床面に接するように形成すると共に、左右の支枠11をパイプ14で連結固定し、かつ、左右の枠板13の後下端部に近い箇所を連結枠15で連結固定し、設置台1の左右両側を一体化して、床面に安定した状態に設置できるようになっている。
【0011】
この設置台1の左右の固定板12の上面の上側には適当な距離を置いて肘受け16が取付けられ、また、固定板12には支枠11のV字型の中間位置に軸受け板21を固着し、この軸受け板21で連結杆2の上端付近を支軸22で回動可能に支持している。
【0012】
前記連結杆2の下端は椅子本体Aのフレーム3に軸支されていて、支軸22で連結杆2が揺動することでフレーム3は前後にシーソー状に揺動できるもので、フレーム3には支持杆41で脛受け体42が取付けられている椅子本体Aの座部4が前後にスライド可能に設けられている。
【0013】
フレーム3には後上方に伸びている副フレーム31が固着されると共に、副フレーム31からさらに後上方に向かって固定されている支持フレーム32には、背凭れ5を上下に分割した背凭れの内の上背凭れ51が固定されるもので、図6に表したように上背凭れ51に従来から公知の回転可能な枕Bを上部から差し込むことができるようになっている。
【0014】
副フレーム31には、上背凭れ51の下側において回動フレーム33が回動可能に軸34で軸受けされており、回動フレーム33には背凭れ5を分割した下背凭れ52が取付けられており、また、座部4に固定されているスライド杆43の後上方に伸びた箇所に設けられたスライドピン44をガイドするガイド孔36が回動フレーム33に設けられている。
【0015】
次に、フレーム3に対して座部4をスライド自在にするためのフレーム3内に組み込まれているスライド機構35を図2〜図4と共に説明する。
35aはローラ35bを介して座部4を前後動可能に案内するスライドレールにして、フレーム3の長手方向の両縁に取付けられている。また、この2本のスライドレール35aが取付けられるフレーム3の中央部分には、モータ35cによって回転するギヤボックス35dが取付けられ、また、座部4の中央部分には取付金具35eを介して座部4の後方へと伸びるネジ35fが取付けられている。このような構成を採用することにより、モータ35cの回転によってギヤボックス35dがネジ35fを前後動させ、座部4をスライドレール35aに沿って前後動させることができる。
【0016】
また、前記ギヤボックス35dの両端にはリミットスイッチ35gが取付けられると共に、ローラ35bを取付ける取付け金具35hの片面には座部4が前後動した際にリミットスイッチ35gをオン・オフするための接触片35iが取付けられている。
【0017】
このため、座部4の前後動の所定位置で接触片35iがリミットスイッチ35gに当接することになる。これによって、図示しないフットスイッチ等をオンにしていた状態でもモータ35cへの電源の供給が断たれ、ギヤボックス35dからネジ35fが抜けてしまうことや、ギヤボックス35dやネジ35fを破損してしまうことを防止することができる。
【0018】
6はフレーム3の前側と連結枠15との距離を伸縮動作させることで角度を変えるチルト用のギャモータや油圧シリンダ6(以下、単にシリンダという)にして、該シリンダ6を伸縮することでフレーム3が前後へ移動して、フレーム3、および、座部4が支軸22を中心として回動されるので座部4および背凭れ5の傾斜角度が変えられることとなる。
【0019】
この実施の形態においては、シリンダ6への油圧の供給を行うことにより、フレーム3は前方に押し出されて連結杆2が時計方向に回動されるので、座部4および背凭れ5は図6のように傾斜するようになり、また、シリンダ6内の油を抜くことにより、フレーム3は後方に引き込まれ連結杆2が反時計方向に回動されるので、座部4および背凭れ5は図7のように起立するようになる。
【0020】
また、各図の状態において、被施術者が着座した時点で施術者は図示しない、例えば、フットスイッチを操作して座面スライド機構35のモータ35cを回転させる。これにより、座部4がスライドレール35aに沿ってフレーム3の後方に移動して、被施術者の首部はシャンプーボールの凹部に無理のない状態で支持されることになる(図2参照)。
【0021】
また、この状態においてシャンプーボールの高さは変化していないので、施術者にも無理な姿勢を強いることなくシャンプーが行える。さらに、フットスイッチをオフにすることにより座面スライド機構をロックすることができ、また、フットスイッチのオン・オフにより微調整も可能である。
【0022】
なお、施術者がフットスイッチを操作し過ぎた場合であっても、ローラ35bに取付けた接触片35iが、ギヤボックス2c3に取付けリミットスイッチ35gに当接するため、モータ35cへの電源の供給が断たれ、モータ35cを回転しすぎてギヤボックス35dやネジ35eを破損することがない。
【0023】
一方、身長の高い被施術者が着座して、被施術者の首部の位置とシャンプーボールの凹部との高さが一致しない場合には、被施術者に対して無理な姿勢を強いることとなる。そこで、施術者はフットスイッチを操作して座面スライド機構35のモータ35cを逆回転させる。
【0024】
これにより、座部4がスライドレール35aに沿ってフレーム3が前方に移動して、被施術者の首部とシャンプーボールの凹部との高さが一致し、首部はシャンプーボールの凹部に無理のない状態で支持されていることになる。また、上記と同様に、シャンプーボールの高さは変化しないので施術者も楽にシャンプーが行える。さらに、フットスイッチをオフにすることにより座面スライド機構をロックすることができ、また、フットスイッチのオン・オフにより微調整も可能である。
【0025】
なお、施術者がフットスイッチを操作し過ぎた場合であっても、ローラ35bに取付けた接触片35iが、ギヤボックス35dに取付けリミットスイッチ35gに当接するため、モータ35cへの電源の供給が断たれ、ネジ35fがギヤボックス35dから抜けてしまうことを防止することができる。
【0026】
また、この際、被施術者の腰の部分が下部背凭れ57から浮いた状態となるが、下部背凭れ57によって、副フレーム31の先端に固定された軸34が回動フレーム33のガイド孔36を移動した後に、該回動フレーム33を前方に引っ張ることとなるので、該回動フレーム33に取付けられている下部背凭れ52は斜め上方に移動して被施術者の腰部分を支える状態となる。従って、被施術者は楽な姿勢でシャンプーを受けることができる。
【0027】
このような構成により、座部4や背凭れ5のクッションを良くすれば腰掛けた場合の安楽な座り心地が得られ、また、座部4をスライドさせて下背凭れ52の下端の前後位置を調節し、背凭れ5全体としての背中を支承する形状を各自の好みに応じた状態とすることができるので、腰掛けた場合に各自の好みに応じた半分仰臥したリラックスな姿勢とするこができる。
【0028】
そして、シリンダ6を縮小状態とすれば、図7に示したようにフレーム3を介して座部4の前側が引かれるため、座部4を前側に下降させた傾斜状態とすることができ、従って、座部4への座上が行いやすくすることができる。
【0029】
また、本実施の形態のリラクゼーション椅子を理美容椅子として用いるために、前記のリラックス姿勢を維持したまま、バックシャンプーなどの理美容において必要とする被施術者の姿勢を変えることなく、リラックスした姿勢のままで、頭の高さを変え得ることが望ましい。
【0030】
そこで、本実施の形態においては座部4に腰掛けて、背凭れ5に背中を預けた場合に、支軸22を中心として座部4と背凭れ5の床面に対する角度を変えることなく回転させることで、各自が最もリラックスできるの姿勢を保ったまま頭の高さを変えられるものである。
【0031】
そして、座部4に座った場合において、支軸22の位置が座部よりも高い位置で、かつ、前後関係では腰骨の位置とすることができ、従って、シリンダ6の伸縮作用でフレーム3の回動による傾斜角度が変わった場合でも下腹前面を回転中心とすることができる。
【0032】
そのために、傾斜角度が変わることによる不快感がなくなると共に、座部4や背凭れ5と人体のずれがなくなり、傾斜角度の変更に対する抵抗感を無くすことができ、図4に示すリアシャンプー状態、図6に示すシェービングやフェイシャルエステ状態とすることができる。なお、図中のCは前垂れである。
【0033】
そして、前述のように着座を容易にするための図7の状態への移行も可能で、この状態の場合には頭髪へのブローを行うのにも適した姿勢にもすることができるものであるが、この際に座部4を後方にスライドさせることが望ましく、そのために、このスライドを自動的に行う従来から公知の装置を用いるのが良い。
【0034】
さらに、背凭れ5としては前述の他には制限がないのでその厚さを大きくすることができるので、マッサジャー等の機構を付加することもでき、人体の姿勢を前後に傾けるための支点を人体の中心である腰骨の付近とすることができるので、設置床面積が減少できる。
【0035】
【発明の効果】
本発明は前記したように、従来から音楽を聴いたり、あるいは、休養するためのリラクゼーション椅子を理美容椅子として転用可能とするもので、被施術者がリラクゼーション椅子に休んでいる状態と同じ状態で理美容を受けることができる。
【0036】
従って、被施術者に対して快適な理美容が可能となるばかりでなく、従来の理美容椅子に比して座部の昇降機構、座部に対する前垂れの先端の昇降回転機構を省略することが可能となり、しかも本発明に基づく機構も簡略化されているので、コストの引下げができ、開店時や椅子交換での設備費用を低減できる。
【0037】
しかも、施術時の枕の設置と取り外しも可能で、この場合も枕の位置を伸縮させる機構も不要であり、髪のセット作業を他の椅子で行うようにすれば、作業者もセット作業が容易になると共に、その間を除いて被施術者はリラックスできる。
【0038】
また、椅子本体を被施術者の座高に応じて前後動するのに、モータを使用して行うようにしたことにより、モータの回転量を制御することで、自由に被施術者の首をシャンプーボールの凹部に合わせることができるので、被施術者に無理な姿勢を保たせることがないと共に施術者の洗髪作業も容易に行うことができる等の効果を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態を、座部をスライドさせた2つの状態で表した側面図である。
【図2】 スライド機構を示す側面図である。
【図3】 座部が左方向に移動した状態の側面図である。
【図4】 スライド機構の正面図である。
【図5】 同上のリアシャンプー状態の側面図である。
【図6】 同上のシェービングとフェイシャルエステ状態の側面図である。
【図7】 同上の腰掛け時とブロー作業状態の側面図である。
【符号の説明】
A 椅子本体
1 設置台
2 連結杆
22 支軸
3 フレーム
35c モータ
35d ギヤボックス
35f ネジ
4 座部
5 背凭れ
52 下背凭れ
6 シリンダ
Claims (3)
- 円弧状に形成された固定板12と、
該固定板の上方位置において上端が回動自在に軸支された連結杆2と、
該連結杆の下端に回動自在に軸支された椅子本体Aのフレーム3と、
該フレームにスライド可能に取付けられた椅子本体の座部4と、
前記フレームの後方に一端が取付けられ上端に前記椅子本体の上背凭れ51が取付けられた副フレーム31と、
該副フレームの前記上背凭れの下部近くに回動自在に取付けられた椅子本体の下背凭れ52と、
前記座部に取付けられ後端部分にガイド孔36が形成され、かつ、該ガイド孔に対してスライドする前記下背凭れの下部側面から突出したスライドピン44がガイドされるスライド杆43と、
前記フレームに取付けられ前記座部を前記フレームに対して前後動させるスライド機構35と、
前記フレームと前記固定板との間に取付けられ前記フレームを前後動させるシリンダ6と、
より構成し、前記シリンダによって椅子本体を揺動運動させると共に、前記スライド機構によって座部を前後動させ、かつ、該座部の前後動に伴って前記スライド杆が前後動することで着座者の背中に当接するように前記下背凭れを斜め上方に移動するようにしたことを特徴とするリラクゼーション椅子。 - 前記スライド機構は、前記フレームの両側に取付けられたガイドレールと、前記フレームの略中央に取付けられたモータと該モータによって回転するギアボックスと、前記座部の裏面側に回転自在に軸支され中央部が前記ギアボックスに螺合されたネジとから構成され、前記モータが回転することでギアボックスを介して前記ネジが前後方向に移動して座部をフレームに対して前後動することを特徴とする請求項1記載のリラクゼーション椅子。
- 前記フレームの前後位置にリミットスイッチを取付け、前記座部の裏面に該座部の前後動に伴って前記リミットスイッチをオン・オフする接触片を取付け、前記座部の前後動の所定位置において前記接触片が前記リミットスイッチを操作する前記モータへの通電を遮断するようにしたことを特徴とする請求項2記載のリラクゼーション椅子。
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