JP3925967B2 - スパッタリング装置のマグネトロンカソード電極 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明はスパッタリング装置のマグネトロンカソード電極に関し、特に、ターゲットの全体を有効に消費できるように磁石ユニットの構造を改良したマグネトロンカソード電極に関する。
【0002】
【従来の技術】
スパッタリング装置では各種の電極構造が提案されているが、その中でも、マグネトロン方式の電極が工業的に最も多く使用される。その理由は、成膜速度が大きく生産性が高いからである。従来のマグネトロン方式の電極には様々なタイプが存在する。現在のところ、平板状のターゲットを備えた平板マグネトロンカソードが工業的に有用である。近年、特に液晶表示装置の製造用として、大面積の基板上に、均一な膜厚分布で均質に成膜することが要求されている。この要求を満たすスパッタリング装置として、カソード電極を静止状態にして、基板の方を連続的に移動させながら成膜を行う方式がある。しかし、この装置は、ロードロック室や、加熱室、搬送用緩衝空間、スパッタ室等を備える必要があり、装置が巨大化する傾向があった。また、ターゲット面上にスパッタされない領域が残るため、ゴミなどのパーティクルが発生し、液晶表示装置の歩留まりを低下させていた。さらに、ターゲットの不均一消耗による不経済性やスパッタ膜の膜質不均一性も問題となった。
【0003】
最近では、上記各問題を解決するために、基板とカソード電極の両方を静止させて、ターゲットの消耗領域を広くしたスパッタリング装置が検討されている。特にマグネトロンカソードに注目すると、例えば特開平5−239640号公報に開示された装置では、複数の磁石ユニットで構成された磁石組立体をターゲットに対して往復運動させて、ターゲットにおけるエロージョン分布の均一性を改善している。また、特開平4−329874号公報や特開平5−9724号公報に開示された装置でも、単一の磁石ユニットを往復運動させる類似例が開示されている。
【0004】
上記の従来装置によれば、磁石組立体を往復運動させることによりターゲットの表面でのエロージョン領域が拡大するため、ターゲットの利用率が向上し、エロージョンの遍在を少なくできる。また、基板に形成される薄膜の膜厚の均一性及び膜質の均質性が向上し、ターゲット面上の堆積膜に起因して発生するパーティクルを抑制する利点も有する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、磁石組立体をターゲットに対して往復運動させる方式のマグネトロンカソードでは、次のような問題点がある。
【0006】
図12は、従来のマグネトロンカソードで使われている細長い矩形の磁石ユニットを示すものであり、(A)は斜視図、(B)は平面図である。この磁石ユニットは、内側磁石10と外側磁石12とからなる。
【0007】
図13は、図12の磁石ユニットを一つだけ含む磁石組立体を往復運動させる運動機構を示す平面図である。磁石組立体14にはクランクシャフト16の一端が回転可能に連結され、クランクシャフト16の他端は回転円板18に回転可能に連結されている。回転円板18が回転すると磁石組立体14は矢印20の方向に往復運動する。クランクシャフト16の長さが回転円板18の直径よりも十分大きい場合は、回転円板18が等速回転運動をすると磁石組立体14の移動速度は正弦関数的に変化する。ただし、回転円板18の回転速度を適当に変調すれば、磁石組立体14の移動速度を等速にすることもできる。
【0008】
図12の磁石ユニットを用いたマグネトロンカソード電極の場合、磁石組立体が静止していれば、ターゲットのエロージョン領域は細長い環状になる。このエロージョン領域のエロージョン深さを等高線表示したものを図14(A)に示す。図14(B)はその場合のエロージョン断面積を示すグラフであり、横軸は磁石ユニットの長辺方向の位置であり、縦軸は磁石ユニットの短辺方向の断面におけるエロージョン断面積である。すなわち、図14(B)のB1点のエロージョン断面積は、図14(A)のB1−B1線に沿ったエロージョン断面20の合計の断面積を示す。同様に、図14(B)のB2点のエロージョン断面積は、図14(A)のB2−B2線に沿ったエロージョン断面22の断面積を示す。そして、図14(B)から分かるように、B2点のエロージョン断面積は、B1点のエロージョン断面積よりも増加している。その断面積比はB1:B2=1:1.35である。
【0009】
図12の磁石ユニットを短辺方向に500mmの振幅(以下、ストロークという。)で往復運動させた場合、ターゲットのエロージョン深さの絶対値の分布は図15に示すようになる。この3次元グラフの高さがエロージョンの深さに相当する。矢印24は往復運動の方向である。このグラフで特徴的な点は、磁石ユニットの往復運動の折り返し点付近(Y方向の両端部付近)でエロージョン深さが大きくなり、そのうちでも、磁石ユニットの長辺方向(X方向)の両端部でエロージョン深さが特に大きくなっていることである。ターゲットの利用率を考えた場合、エロージョンの最深部がターゲット厚さに達した時点でターゲットの寿命になるので、図15に示すような急峻なピーク26、27、28、29が存在すると、ターゲットの利用率は低くなる。
【0010】
ところで、細長い矩形の磁石ユニットが静止している場合には、磁石ユニットの長手方向の両端付近と長手方向中央部とではエロージョン深さがほぼ等しくなるのに、往復運動させた場合には、長手方向の両端付近が中央部よりもターゲットが深くエッチングされる。その理由は、図14(B)に示すように、磁石ユニットの短辺方向の断面において、磁石ユニットの長手方向両端付近(B2点)におけるエロージョン断面積が長手方向中央付近でのエロージョン断面積に比べて大きくなっているためである。また、図15に示すように往復運動の折り返し点付近で全体的にエロージョン深さが大きくなっている理由は、往復運動が正弦関数的であるために、折り返し点付近で運動速度が減少して、磁石ユニットの滞在時間が往復運動の中央部付近に比べて長くなるためである。
【0011】
磁石ユニットの滞在時間がなるべく均一になるように往復運動を等速にすると、図16に示すように、折り返し点付近でエロージョン深さが大きくなる傾向は解消する。しかしながら、この図16で明らかなように、磁石ユニットの長手方向両端付近においてエロージョン深さが大きくなる傾向は依然として残っており、この部分でターゲットの利用率が律速されるという欠点を持つ。
【0012】
また、複数の磁石ユニットを含む磁石組立体を持つマグネトロンカソード電極を考えると、磁石組立体のストロークは単一の磁石ユニットを用いた場合に比べて短くなる。そこで、図12の磁石ユニットを静止した場合と、ストロークを磁石ユニットの幅よりも短くした場合の、単一の磁石ユニットで形成されるエロージョン深さのグラフを図17〜図20に示す。これらのグラフでは、細長い磁石ユニットのうち、長手方向の中点から一方の端部までの領域(すなわち2分の1の領域)についてだけエロージョン深さを示す。残り半分の領域は図示したグラフと対称になる。図17は磁石ユニットを静止した場合、図18はストロークが磁石ユニットの幅の1/5、図19はストロークが磁石ユニットの幅の1/3、図20はストロークが磁石ユニットの幅の3/5の場合に対応するものである。往復運動方向はいずれもY方向である。
【0013】
磁石ユニットを静止した場合には、図17に示すように、エロージョン深さのピークが二つの稜線として明確に現れるが、そのピーク深さは、長手方向(X方向)の中央付近と両端付近でほぼ同じである。次に、ストロークが磁石ユニットの幅の1/5になるように磁石ユニットをY方向に往復運動させると、図18に示すように、エロージョン深さの二つの稜線のピークが少しだけ減少する。ただし、長手方向両端部ではピークがあまり減少しない。さらに、ストロークが磁石ユニットの幅の1/3になるように磁石ユニットをY方向に往復運動させると、図19に示すように、長手方向の中央付近ではエロージョン深さの二つの稜線のピークはかなり減少する。しかし、長手方向両端部ではピークの減少はわずかであリ、依然として大きなピークを保っている。さらに、ストロークが磁石ユニットの幅の3/5になるように磁石ユニットをY方向に往復運動させると、図20に示すように、長手方向の中央付近ではエロージョン深さの三つの稜線ができる。長手方向両端部ではピーク深さはかなり減少してくるが、やはり、中央付近よりも大きなピークを保っている。ところで、磁石ユニットを静止した場合よりも往復運動させた方が、長手方向中央部のピーク深さと両端部のピーク深さとの比率が大きくなるのは、図14(A)から理解できるように、長手方向中央部では往復運動によってプラズマ滞在部分がターゲット上を移動するが、長手方向両端付近では往復運動しても同じターゲット領域に常にプラズマが滞在するような状況が起きるからである。この両端付近でのエロージョン深さのピークによってターゲットの利用率は制限される。
【0014】
この発明は上述の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、磁石ユニットを往復運動させるタイプのマグネトロンカソード電極において、ターゲットの利用率を向上することにある。この発明の別の目的は、ターゲットを均一にスパッタして基板に形成される膜厚分布の均一性を高めることにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
この発明のマグネトロンカソード電極は、磁石ユニットの往復運動方向におけるターゲット表面上のエロージョン断面積に関して、エロージョン領域の長手方向両端部近傍におけるエロージョン断面積が長手方向中央部のエロージョン断面積よりも大きくならないように、磁石ユニットが構成されている。そのための磁石ユニットの構造としては、磁石ユニットの長手方向両端部近傍における往復運動方向の磁石ユニットの幅は、長手方向中央部における磁石ユニットの幅よりも小さくなっている。さらに、磁石ユニットの長手方向両端部近傍における前記往復運動方向に沿った外側磁石と内側磁石との距離は、長手方向中央部における前記往復運動方向に沿った外側磁石と内側磁石との距離に等しくなっている。
【0016】
このような構成により、磁石ユニットを往復運動させた場合に、磁石ユニットの長手方向両端部におけるエロージョン深さは従来の磁石ユニットほどには大きくならず、ターゲットの利用率が改善される。
【0017】
磁石ユニットの長手方向の両端部の形状は三角形にするのが好ましい。すなわち、外側磁石の外形を、磁石ユニットの長手方向両端部を頂点とする三角形とし、この三角形の部分では、外側磁石と内側磁石との最短距離を、磁石ユニットの長手方向中央部における外側磁石と内側磁石との最短距離よりも小さくする。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1はこの発明のマグネトロンカソード電極の一実施形態の全体構成を示す正面断面図である。真空チャンバの壁部30に形成された開口部に、絶縁スペーサ32とOリング34を介して、カソード本体36が取り付けられる。カソード本体36の上部側(真空室側)にはOリング38を介して裏板40が取り付けられる。カソード本体36と裏板40により真空チャンバの壁部の一部が形成される。こうして形成された壁部は大気側と真空側とを隔てている。大気側と真空側の間の気密封止は上記Oリング34、38によりなされる。裏板40の表面にはターゲット42がインジウム等の低融点ろう材により接合される。ターゲット42の周辺には、ターゲット以外の部分がエッチングされるのを防止するためにシールド44が設けられる。
【0019】
裏板40の大気側には、裏板40とターゲット42を冷却するために、冷却水を流す流路46を形成するジャケット48が、Oリング49を介して取り付けられる。流路46を流れる冷却水によって裏板40の全体を均一に冷却できる。
【0020】
ジャケット48の背後には磁石ユニット50が1個配置されている。この磁石ユニット50は磁石固定板52に固定される。磁石ユニット50と磁石固定板52により磁石組立体54が構成される。磁石組立体54はガイドレール56に沿って移動でき、矢印58の方向に往復運動する。磁石固定板52は、ピン60とアーム62とピン64とを介して回転円板66に連結される。回転円板66はモータ68の回転軸に連結される。モータ68が回転すると回転円板66が回転し、磁石組立体54は左右に往復運動する。磁石組立体54のストロークは、回転円板66上のピン64の取り付け位置で定まる直径Dに等しい。なお、回転円板66上にはピン64を連結できる孔が複数個設けられており、ピン64の位置を変えることにより磁石組立体54のストロークを変えることができる。モータ68はカソード電極の背面全体を覆うカソードカバー(図示せず)に固定される。カソード本体36と裏板40とジャケット48は電気的に接続され、かつ、これらの部材は他の部分からは電気的に絶縁されている。カソード本体36には外部の電源(図示せず)から電力が供給される。
【0021】
図2(A)は磁石ユニット50の斜視図であり、(B)はその平面図である。磁石ユニット50は、内側磁石70と外側磁石72とヨーク74から構成される。内側磁石70と外側磁石72では磁極の極性は互いに反対である。この実施例では、内側磁石70の上面(ターゲットに対向する表面)はS極(下面はN極)、外側磁石72の上面はN極(下面はS極)となっている。
【0022】
図3は図2の磁石ユニットの長手方向の両端付近の拡大平面図である。この両端付近は、端部を頂点とする三角形となっている。すなわち、外側磁石72は、最大幅を示す位置A1−A1から端部73に向かって幅が小さくなっていき、端部73が三角形の頂点となる。内側磁石70も同様の三角形になっている。そして、この三角形の部分において、外側磁石72の内周面と内側磁石70の外周面との最短距離L2は、磁石ユニットの長手方向中央付近における外側磁石72と内側磁石70との最短距離L1よりも小さくなっている。この実施形態では、L1=20mm、L2=17.3mmである。また、磁石ユニットの長手方向中央部での外側磁石72の幅Wは120mmであり、A1−A1線から端部73までの長さHは120mmである。そして、長手方向中央部から端部73に至るまでの全ての領域において、Y方向に沿っての外側磁石72と内側磁石70の距離は20mmである。すなわち、磁石ユニットの往復運動方向(Y方向)に沿った外側磁石と内側磁石との距離は、磁石ユニットの長手方向両端部近傍と長手方向中央部とで互いに等しくなる。
【0023】
図4(A)は、図2の磁石ユニットを静止してスパッタリングした場合におけるターゲットのエロージョン深さを等高線表示したものである。図4(B)はその場合のエロージョン断面積を示すグラフであり、横軸は磁石ユニットの長辺方向の位置、縦軸は磁石ユニットの長手方向に垂直な方向の断面におけるエロージョン断面積である。すなわち、図4(B)のC1点のエロージョン断面積は、図4(A)のC1−C1線に沿ったエロージョン断面76の合計の断面積を示す。同様に、図4(B)のC2点のエロージョン断面積は、図4(A)のC2−C2線に沿ったエロージョン断面78の断面積を示す。そして、図4(B)から分かるように、C1断面とC2断面におけるエロージョン断面積はほぼ等しい。換言すれば、磁石ユニットの長手方向両端部のエロージョン断面積は、長手方向中央付近のエロージョン断面積よりも大きくならない。この点が、従来の磁石ユニットと大きく異なっている。図4(B)に示すようなエロージョン断面積を有する磁石ユニットを、長手方向に垂直な方向に往復運動させると、C2断面(長手方向の両端部近傍)とC1切断(長手方向の中央部)でのエロージョン深さはほぼ等しくなる。
【0024】
図5は図2の磁石ユニットを長手方向に垂直な方向にストローク500mmで往復運動させた場合のターゲットのエロージョンの深さの絶対値の分布のグラフである。矢印80は往復運動の方向である。図5によれば、図16の従来例に見られるような、磁石ユニットの長手方向両端部で深くエッチングされる傾向は観測されない。図5の場合、ターゲットの利用率は約64%となり、図16の従来例の場合の利用率52%に比べて改善されている。なお、ターゲットの利用率とは、使用前のターゲットの体積に対する、スパッタリングされて利用限界に達したターゲットの体積の割合をいう。
【0025】
磁石ユニットの長手方向両端付近の形状は図3のような三角形に限定されない。磁石ユニットの往復運動方向におけるターゲット表面上のエロージョン断面積に関して、長手方向両端部近傍におけるエロージョン断面積が長手方向中央部のエロージョン断面積よりも大きくならなければ、磁石ユニットの長手方向両端付近の形状を三角形以外の形状にしてもよい。
【0026】
図6は、図2の磁石ユニット50を複数個設けた磁石組立体の平面図である。この実施形態では、磁石組立体82は5個の磁石ユニット50を含んでいる。各磁石ユニット50は、その長手方向が互いに平行になるように磁石固定板に固定される。それ以外のマグネトロンカソード電極の構成は、図1に示すものと同じである。ただし、磁石ユニット50の個数が増加した分だけ磁石組立体82のストロークは短くなる。矢印84は往復運動方向である。この実施形態では、磁石ユニット50の個数は5個になっているが、本発明はこれに限定されず、磁石ユニットの数はいくつにしてもよい。
【0027】
次に、複数の磁石ユニットを磁石組立体に設ける場合を想定して、図2の磁石ユニットを静止した場合と、ストロークを磁石ユニットの幅よりも短くした場合の、単一の磁石ユニットで形成されるエロージョン深さのグラフを図7〜図10に示す。これらのグラフでは、細長い磁石ユニットのうち、長手方向の中点から一方の端部までの領域(すなわち2分の1の領域)についてだけエロージョン深さを示す。残り半分の領域は図示したグラフと対称になる。図7は磁石ユニットを静止した場合、図8はストロークが磁石ユニットの幅の1/5、図9はストロークが磁石ユニットの幅の1/3、図10はストロークが磁石ユニットの幅の3/5の場合に対応するものである。いずれのグラフでも、往復運動方向はY方向である。
【0028】
図7〜図10のグラフは、従来の磁石ユニットに対する図17〜図20のグラフに対応しており、ストロークをゼロから増加させていった場合のエロージョン深さの変化状況は、互いに類似している。すなわち、ストロークを増加させていくに従って(すなわち図7から図10に移行するに従って)、磁石ユニットの長手方向両端付近のエロージョン深さのピーク値は少しずつ減少していく。そして、その減少割合を従来例の図17〜図20と比較すると、本発明における図7〜図10の方が、ストロークの増加に伴う長手方向両端部付近のエロージョン深さのピーク値の減少割合が大きくなっている。
【0029】
図11は、この減少割合を本発明と従来例とで比較したグラフである。横軸は往復運動のストローク、縦軸はエロージョンの最大深さ(長手方向両端部付近のエロージョン深さのピーク値)である。このグラフから分かるように、本発明の実施形態(図2の磁石ユニットを用いたもの)の方が従来例に比べて、ストロークの増加によるエロージョン最大深さの減少の度合が大きい。すなわち、同一のストロークに対して、本発明の実施形態の方がターゲット利用率は大きくなる。その理由は次のとおりである。図2の磁石ユニットは、磁石ユニットの長手方向両端付近において、長手方向に垂直な方向(往復運動の方向)における磁石ユニットの幅は、図12の従来の磁石ユニットよりも小さくなっている。そのために、磁石ユニットを往復運動したときに、磁石ユニットの長手方向両端付近に対応するターゲット上の一点を着目すると、この場所のプラズマの滞在時間は、従来の磁石ユニットの場合よりも短くなり、その結果として、往復運動時のエロージョン深さのピークが低くなる。
【0030】
図21は、磁石ユニットの変更例についての図3と同様の図であり、長手方向の両端付近の拡大平面図を示している。この磁石ユニットの端部は、三つの領域からなっている。第1領域86は外側磁石88の幅が徐々に狭くなっていく領域であり、第2領域90は外側磁石88の幅が一定の領域であり、第3領域92は外側磁石88の幅がさらに狭くなっていって三角形を作る領域である。この変更例では、磁石ユニットの長手方向中央部での外側磁石88の幅Wは120mmであり、第1領域86が始まる地点から頂点94までの長さHは120mmである。磁石ユニットの長手方向中央部では外側磁石88と内側磁石89の最短距離L3は20mmであり、第1領域86での最短距離L4は17.3mmであり、第2領域90での最短距離L5は20mmであり、第3領域92での最短距離L6は14.1mmである。そして、長手方向中央部から第3領域92に至るまでの全ての領域において、Y方向に沿っての外側磁石88と内側磁石89の距離はすべて20mmである。
【0031】
図22(A)は図21に示す磁石ユニットの平面図であり、(B)はこの磁石ユニットを用いた場合のターゲット上のエロージョン断面積を示すグラフである。(B)のグラフから分かるように、磁石ユニットの長手方向中央部から第2領域90の先端付近までは、エロージョン断面積がほぼ一定となり、それよりも端部に行くに従ってエロージョン断面積は低下していく。したがって、この磁石ユニットを用いた場合もターゲットの利用率は改善する。
【0032】
【発明の効果】
本発明によれば、磁石ユニットを往復運動させた場合に、磁石ユニットの長手方向両端部におけるエロージョン深さは従来の磁石ユニットほどには大きくならず、ターゲットの利用率が改善される。また、大面積の基板上に成膜した薄膜の膜厚分布及び膜質の均一性も向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のマグネトロンカソード電極の一実施形態の全体構成を示す正面断面図である。
【図2】図1のマグネトロンカソード電極に設けた磁石ユニットの斜視図と平面図である。
【図3】図2の磁石ユニットの長手方向の両端付近の拡大平面図である。
【図4】図2の磁石ユニットによるエロージョン深さの等高線表示のグラフと、エロージョン断面積のグラフである。
【図5】図2の磁石ユニットを往復運動させたときのエロージョン深さの3次元グラフである。
【図6】磁石ユニットを複数個設けた磁石組立体の平面図である。
【図7】図2の磁石ユニットを静止した状態のエロージョン深さの3次元グラフである。
【図8】図2の磁石ユニットをその幅の1/5のストロークで往復運動させたときのエロージョン深さの3次元グラフである。
【図9】図2の磁石ユニットをその幅の1/3のストロークで往復運動させたときのエロージョン深さの3次元グラフである。
【図10】図2の磁石ユニットをその幅の3/5のストロークで往復運動させたときのエロージョン深さの3次元グラフである。
【図11】ストロークの増加に伴う長手方向両端部付近のエロージョン深さのピーク値の減少割合を本発明と従来例とで比較したグラフである。
【図12】従来の磁石ユニットの斜視図と平面図である。
【図13】磁石組立体を往復運動させる運動機構を示す平面図である。
【図14】従来の磁石ユニットによるエロージョン深さの等高線表示のグラフと、エロージョン断面積のグラフである。
【図15】従来の磁石ユニットを往復運動させたときのエロージョン深さの3次元グラフである。
【図16】従来の磁石ユニットを等速往復運動させたときのエロージョン深さの3次元グラフである。
【図17】従来の磁石ユニットを静止した状態のエロージョン深さの3次元グラフである。
【図18】従来の磁石ユニットをその幅の1/5のストロークで往復運動させたときのエロージョン深さの3次元グラフである。
【図19】従来の磁石ユニットをその幅の1/3のストロークで往復運動させたときのエロージョン深さの3次元グラフである。
【図20】従来の磁石ユニットをその幅の3/5のストロークで往復運動させたときのエロージョン深さの3次元グラフである。
【図21】磁石ユニットの変更例の長手方向の両端付近の拡大平面図である。
【図22】図21の磁石ユニットの平面図とエロージョン断面積のグラフである。
【符号の説明】
36 カソード本体
40 裏板
42 ターゲット
50 磁石ユニット
52 磁石固定板
54 磁石組立体
56 ガイドレール
62 アーム
66 回転円板
68 モータ
70 内側磁石
72 外側磁石
74 ヨーク
Claims (3)
- ターゲットの裏側に配置される磁石組立体と、この磁石組立体をターゲットに対して往復運動させる運動機構とを備える、スパッタリング装置のマグネトロンカソード電極において、次の特徴を備えるマグネトロンカソード電極。
(イ)前記磁石組立体は少なくとも一つの磁石ユニットを含む。
(ロ)各磁石ユニットはターゲットの表面に環状の細長いエロージョン領域を発生させる。
(ハ)各磁石ユニットは、前記エロージョン領域の長手方向に垂直な方向に往復運動できる。
(ニ)前記磁石ユニットは、ターゲットに対向する表面側に磁極を有する細長い内側磁石と、ターゲットに対向する表面側に磁極を有していて前記内側磁石を取り囲む外側磁石とを含み、前記内側磁石の磁極と前記外側磁石の磁極は互いに逆極性である。
(ホ)前記磁石ユニットの長手方向両端部近傍における往復運動方向の磁石ユニットの幅は、長手方向中央部における磁石ユニットの幅よりも小さい。
(ヘ)前記磁石ユニットの長手方向両端部近傍における前記往復運動方向に沿った外側磁石と内側磁石との距離は、長手方向中央部における前記往復運動方向に沿った外側磁石と内側磁石との距離に等しい。 - 前記磁石ユニットの長手方向両端部近傍では、ターゲット表面に平行な断面における外側磁石の外形が、磁石ユニットの長手方向両端部を頂点とする三角形になっていることを特徴とする請求項1に記載のマグネトロンカソード電極。
- 前記磁石ユニットの長手方向両端部近傍では、ターゲット表面に平行な断面における内側磁石の外形が、磁石ユニットの長手方向両端部を頂点とする三角形になっていることを特徴とする請求項2に記載のマグネトロンカソード電極。
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