JP3924823B2 - メルカプタン類含有ガスの処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、メルカプタン類含有ガス中のイオウ分を硫化水素に変換する処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
メチルメルカプタンなどのメルカプタン類は、種々の医薬品、重合調節剤、殺虫剤などの農薬等の合成原料として有用であるが、匂い閾値の低い悪臭物質として知られている。また、メルカプタン類は腐食性、毒性が強く、しかもそのままの形では回収処理が困難である。従って、メルカプタン類を使用する種々の処理工程における排ガスには、少なからずメルカプタン類が含まれているので、排ガスの脱メルカプタン処理が必要となる。
【0003】
また、し尿発酵ガス、レーヨン排ガス、パルプ蒸解排ガス、下水処理ガス、コークス炉ガス、あるいは石炭や石油系重質油のガス化の際の排ガス、更には石油、特にガソリンナフサ留分及び天然ガス由来の酸性ガス等にも、濃度の差はあるにしろメルカプタン類が含まれており、それらのガスについても脱メルカプタン処理が同様に必要となる。
【0004】
従来、メルカプタン類を含有するこれらのガス(以下、メルカプタン類含有ガス)の脱メルカプタン処理の一つとしては、メルカプタン類含有ガスを活性炭処理してメルカプタン類を活性炭に吸着させる方法がある。また、悪臭となるメルカプタンをジスルフィドに酸化してアルカリ水溶液中にトラップするという方法がある。
【0005】
しかし、活性炭処理の場合には、使用済の活性炭を再生する際に、吸着していたメルカプタン類がそのままの形で脱着してくるため、再度、なんらかの方法で処理する必要がある。また、酸化してアルカリ溶液にトラップするという方法の場合には、排水処理に多大な労力が必要となるという問題がある。このため、それらの問題のないメルカプタン類の処理方法が求められている。
【0006】
ところで、従来より石油蒸留留出油の脱硫プロセスの一つとして、留出油中に含有されているメルカプタン類やチオフェン類などの全イオウ成分を水素を用いて硫化水素に還元して脱硫する水素化脱硫法が知られている。この方法においては、石油蒸留留出油である原料油をモリブデンにコバルトあるいはニッケルを加えた触媒の存在下で、原料油をその種類(例えばナフサ、灯油、軽油、A重油等)に応じて高温(250〜450℃)且つ高水素圧(0.7〜20MPa)下で処理している。このような処理により、主に軽質油(ガソリンやナフサ留分など)に含まれるメルカプタン類や、灯油や軽油あるいは重油中に含まれるイオウ化合物(硫化物、多環芳香族チオフェン類等)は還元されて炭化水素類と硫化水素とに変換される。得られた硫化水素は、公知のイオウ回収方法に従って単体イオウとして回収される。従って、このような水素化脱硫法をメルカプタン類の処理方法に適用すると、メルカプタン類の脱硫とイオウ回収とが可能となる。
【0007】
ここで、従来の水素化脱硫方法においては、反応系内の水素圧を維持するための方法としては、一般に、(1)反応系内に高圧の水素ガスを直接導入する方法がとられる。また、簡便な水素供給方法として(2)外部から一酸化炭素と水分とを反応系内に導入して反応系内でシフト反応させることにより反応系内で水素を発生させる方法、あるいは(3)反応系内に原料油を導入する前に、原料油の一部あるいは燃料油をラインバーナーで部分燃焼させて水とともに一酸化炭素を生成させ、その一酸化炭素と水分とをシフト化触媒に接触させて二酸化炭素と水素とに変換し、得られた水素を反応系内に導入する方法などが知られている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したような方法(1)〜(3)を適用した場合には次に示すような問題がある。即ち、方法(1)の場合には、スチームリフォーミング等の方法による水素ガス製造装置、ガス分離・回収装置やガス導入装置などが別途必要となり、処理装置の立地条件面や経済面において制約がある。また、方法(2)の場合には、方法(1)の場合と同様に、一酸化炭素を外部から導入するために、一酸化炭素製造装置あるいは分離装置やガス導入装置などが別途必要となり、処理装置システムの設計面や運転管理面、更には装置の立地条件面や経済面において制約がある。また、方法(3)の場合には、ラインバーナーで燃料油等を部分燃焼させることが必要となるが、部分燃焼の管理が繁雑となり、バーナーの運転管理面や装置の設計の面で制約がある。
【0009】
特に、し尿排ガスやパルブ蒸解排ガスや下水処理ガスなどの場合、通常、排ガスに1〜20容量%の酸素が含まれているので、メルカプタン類が酸素で酸化されないようにするために、メルカプタン類を水素化脱硫するための水素量の他に、酸素を水に転換するための水素量を余分に添加しなければならないという問題もある。
【0010】
このように、従来の水素化脱硫法をメルカプタン類の処理方法に適用する場合には、外部から水素や一酸化炭素を導入することが必須となっており、水素や一酸化炭素を反応系に導入することなくメルカプタン類を簡便に処理する方法は知られていないというのが現状である。
【0011】
本発明は、以上の従来の技術の課題を解決しようとするものであり、メルカプタン類を、外部から水素や一酸化炭素を導入することなく、酸素の共存下でも簡便に処理する方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、触媒の存在下で、外部から水素又は一酸化炭素を導入することなく、気相中でメルカプタン類と水とを反応させることにより、酸素の共存下でもメルカプタン類から硫化水素を生成させることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0013】
即ち、本発明は、酸素の含有量がメルカプタン類の含有量の2倍以下の容量であるメルカプタン類含有ガスの処理方法であって、多孔性無機酸化物担体に活性金属としてコバルト−モリブデンをメタル、酸化物、硫化物もしくはそれらの混合物として担持させた触媒の存在下、水素又は一酸化炭素を外部から導入することなく気相中でメルカプタン類含有ガスに含まれているメルカプタン類を水と200〜450℃の温度で反応させることにより硫化水素を生成させることを特徴とするメルカプタン類含有ガスの処理方法を提供する。また、本発明は、多孔性無機酸化物担体に活性金属としてコバルト−モリブデンをメタル、酸化物、硫化物もしくはそれらの混合物として担持させた触媒の存在下、水素又は一酸化炭素を外部から導入することなく気相中でメルカプタン類含有ガスに含まれているメルカプタン類を水と200〜450℃の温度で反応させることにより硫化水素を生成させるメルカプタン類含有ガスの処理方法において、メルカプタン類含有ガスに酸素が含有されている場合に、炭化水素類を酸素還元性物質としてメルカプタン類含有ガスに添加することを特徴とするメルカプタン類含有ガスの処理方法を提供する。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0015】
本発明の処理方法においては、水素化のために外部から水素又は一酸化炭素を導入することなく、メルカプタン類と水とを触媒の存在下で反応させて硫化水素を生成させる。メルカプタン類と水とから硫化水素を生成させることができる理由は、次のように考えられる。即ち、メルカプタン類と水とが反応することにより一酸化炭素が生成し、その一酸化炭素が水とシフト反応することにより水素を生成し、触媒の存在下でメルカプタン類が水素により還元され、硫化水素を生成するものと考えられる。
【0016】
このように、外部から水素や一酸化炭素を供給することなく、自給自足的に一酸化炭素と水素とが供給される本発明の処理方法は、この方法を実施するために水素や一酸化炭素の製造装置や分離装置あるいは導入装置を設ける必要がなく、従ってメルカプタン類から硫化水素を生成させるための処理装置システムを構築する際に、立地条件面、装置設計面、運転管理面及び経済面での制約が従来に比べ非常に小さくなる。
【0017】
また、自給自足的に一酸化炭素が供給されるので、ラインバーナーで原料油の一部あるいは燃料油を部分燃焼させる必要もなく、従って水素化脱硫反応に必要な温度に加熱するための運転管理も容易となる。また、ラインバーナーに代えて、外部加熱炉や熱交換器などの加熱手段を使用することも可能となるので、装置の設計面の制約が小さくなる。
【0018】
本発明の処理方法において、処理の対象となるメルカプタン類としては特に限定はなく、メチルメルカプタン、エチルメルカプタン、プロピルメルカプタン、ブチルメルカプタン等のアルキルメルカプタン類;チオフェノールなどのアリールメルカプタン類;ジメチルサルファイド、ジメチルジサルファイド等のサルファイド類;チオフェン類;ポリサルファイド類を挙げることができる。
【0019】
また、これらの化合物の他にもCS2やCOSも、水の存在により加水分解されてH2Sに変換される。従って、CS2やCOSが反応の際に副反応で生成したとしても、あるいはもともと原料中に存在していたとしても加水分解されてH2Sに変換されるので、本発明の処理方法の対象となるメルカプタン類にはCS2やCOSも含まれる。
【0020】
また、上述のメルカプタン類を含有する種々の液体やガスも本発明の処理対象とすることができる。例えば、メルカプタン類で汚染された炭化水素ガス及び溶媒、し尿発酵ガス、レーヨン排ガス、パルプ蒸解排ガス、下水処理ガス、コークス炉ガス、石炭や石油系重質油のガス化の際の排ガス、石油や天然ガス由来の酸性ガス等を挙げることができる。
【0021】
なお、本発明の処理の対象として、メルカプタン類含有ガスを使用する場合、そのガス中のメルカプタン類の含有割合は特に制限されない。
【0022】
なお、メルカプタン類含有ガスは、メルカプタン類に加え、軽質脂肪族炭化水素、軽質芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、硫化水素、炭酸ガス、窒素、酸素などを含有してもよい。原料ガスに水素又は一酸化炭素がはじめから含まれている場合には、除去する必要はなくそのまま処理することができる。
【0023】
ここで、酸素が共存する場合、酸素が多すぎるとメルカプタン類がSO2に酸化されて硫化水素への転化率が低下するので、処理ガス中の酸素の含有量をメルカプタン類の含有量の2倍以下とすることが好ましい。なお、処理ガス中の酸素含有量が多すぎる場合には、酸素を還元することのできる酸素還元性物質を処理ガスに添加することが好ましい。このような酸化還元性物質としては、メタンなどの軽質脂肪族炭化水素やベンゼンなどの芳香族炭化水素等の炭化水素類、アンモニア等を挙げることができる。ここで、酸素還元性物質の添加量は、酸素の1〜5モル倍程度が好ましい。
【0024】
本発明において、メルカプタン類と反応する水は、処理対象のメルカプタン類含有ガスに当初から必要量含まれている場合には、外部から水分を供給する必要はないが、水分量が不足する場合には、外部から適宜供給することが好ましい。
【0025】
なお、メルカプタン類と水とのモル比は、水が少な過ぎると十分にメルカプタン類を硫化水素に変換することができず、しかも副反応生成物であるCS2やCOSが充分に加水分解されずに残存するおそれがある。また、多過ぎると加熱に多大にエネルギーが必要となるので、好ましくはモル比で1:1〜80、より好ましくは1:1〜50である。
【0026】
本発明において使用する触媒としては、石油蒸留留出油の水素化精製などにおいて水素化処理触媒として用いられている公知の触媒を使用することができる。例えば、多孔性無機酸化物担体(アルミナ、シリカ、チタニア、ボリア、ジルコニア、シリカ−アルミナ、シリカ−マグネシア、アルミナ−マグネシア、アルミナ−チタニア、シリカ−チタニア、アルミナ−ボリア、アルミナ−ジルコニア等)に、周期律表の第V族、第VI族及び第VIII族に属する金属(例えば、バナジウム、クロム、モリブデン、タングステン、コバルト、ニッケル等)から選ばれる活性金属を担持させたものを使用することができる。これらの活性金属の担体上における存在形態としては、メタル、酸化物、硫化物あるいはそれらの混合物として存在できる。これらの中でも、アルミナ担体にコバルト−モリブデンを担持させた触媒が触媒活性や寿命の点で好ましく使用することができる。
【0027】
触媒における活性金属の担持割合としては、酸化物換算で3〜30重量%である。
【0028】
触媒の形状としては特に限定されず、粒状、錠剤状、円柱状などの形状とすることが可能である。
【0029】
なお、触媒は、使用前に予め公知の方法により予備硫化することが好ましい。これは、予備硫化することにより、実施の初期段階から安定した触媒活性が得られるからである。
【0030】
また、反応温度は、低すぎるとメルカプタン類の転化率や硫化水素への選択率が低下し、高過ぎると過度の反応が生じて触媒が劣化しやすくなるので、好ましくは200〜450℃、より好ましくは250℃〜400℃である。
【0031】
反応圧力は特に限定はなく、ことさら高圧にする必要もなく、常圧でもよいが、実用的な処理速度を得るために、好ましくは0〜5MPaである。
【0032】
処理時のメルカプタン類含有ガスの流量(GHSV)は、1時間当たり触媒1m3を通過する流量(Nm3)として定義した場合に、小さすぎると効率的ではなく且つ過度の反応が生じるおそれがあり、しかも触媒が劣化しやすくなるので、好ましくは500〜10000hr-1、より好ましくは1000〜5000hr-1である。
【0033】
処理の際に使用する反応塔の形式は、流動床、固定床、膨脹床等を適宜選択して使用することができる。
【0034】
以上説明した本発明の処理方法によれば、メルカプタン類から簡便に硫化水素を生成させることができる。従って、メルカプタン類を含有する種々のガス、例えば、し尿発酵ガス、レーヨン排ガス、パルプ蒸解排ガス、下水処理ガス、コークス炉ガス、石炭や石油系重質油のガス化の際の排ガスあるいは石油や天然ガスの精製プロセスの際に得られる酸性ガス等に対し、本発明の処理方法を施すことにより、それらに含有されているメルカプタン類から硫化水素を生成させることができる。得られた硫化水素は、公知のイオウ回収方法により単体イオウとして回収することもできる。また、本発明の処理方法は、アルカリ処理(マーロックス法)や空気の吹き込み処理(スイートニング法)に代えて、ガソリンやナフサ中のメルカプタン類の除去方法としても適用することができる。
【0035】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
【0036】
実施例1及び比較例1
一酸化炭素と水素とを含まない表1の組成のメチルメルカプタン含有原料ガスを、固定床式小型流通式反応装置を使用し、アルミナ担体にコバルト−モリブデンを担持させた触媒の存在下で、表1に示す反応条件{温度(触媒層平均温度),GHSV(hr-1),圧力(MPa)}で処理した。その結果、表1の組成の生成ガスが得られた。そして以下の式に従って、メルカプタン転化率と硫化水素選択率とを求め、その結果を表1に示した。ここで、式中、[CH3SH]feedは原料ガス中のメチルメルカプタン量(vol%)を示し、[CH3SH]productは生成ガス中のメチルメルカプタン量(vol%)を示し、そして[H2S]productは生成ガス中の硫化水素量(vol%)を示している。
【0037】
【数1】
【0038】
【表1】
【0039】
表1から、水素と一酸化炭素とを含有しないが水分を含有する実施例1の場合には、非常に高いメルカプタン転化率と硫化水素選択率とを示しており、水分が存在すれば外部からの水素又は一酸化炭素の供給が不要であることがわかる。
【0040】
一方、水素と一酸化炭素とを含有しないが水分も含有しない比較例1の場合には、メチルメルカプタン転化率は高いが硫化水素選択率がかなり低下していることがわかる。具体的にはCS2とCOSとが生成していることがわかる。このことから、水分が存在しない場合には副反応生成物としてCS2やCOSが生成するが、水分が存在すると結果的にCS2とCOSとが生成しないことがわかる。
【0041】
実施例2及び比較例2
原料ガス中に一酸化炭素と水素とを含む表2の組成のメチルメルカプタン含有原料ガスを、固定床式小型流通式反応装置を使用し、アルミナ担体にコバルト−モリブデンを担持させた触媒の存在下で、表2に示す反応条件{温度(触媒層平均温度),GHSV(hr-1),圧力(MPa)}で処理した。その結果、表2の組成の生成ガスが得られた。そして実施例1と同様にメルカプタン転化率と硫化水素選択率とを求め、その結果を表2に示した。
【0042】
【表2】
【0043】
表2から、原料ガスに水素と一酸化炭素とが含まれている場合であっても、水分が存在しない比較例2の場合と水分が存在する実施例2の場合とを比較すると、実施例2は比較例2に比べ、メルカプタン転化率が大きく向上していることがわかる。それだけではなく、硫化水素選択率も大きく向上していることがわかる。
【0044】
実施例3〜14
表3〜表5に示す組成のメチルメルカプタン含有原料ガスを、表3〜表5に示す反応条件で処理した。その結果、表3〜表5の組成の生成ガスが得られた。そして実施例1と同様にメルカプタン転化率と硫化水素選択率とを求め、その結果を表3〜表5に示した。
【0045】
表3〜表5の実施例3〜6の結果から、水分量が2%程度の場合に、反応温度が300℃から341℃へと高くなるにつれて、メルカプタン転化率と硫化水素選択率とが向上することがわかる。また、実施例7〜9の結果から、水分量が15%程度の場合にも、反応温度が281℃から333℃へと高くなるにつれて、メルカプタン転化率と硫化水素選択率とが向上することがわかる。また、水分量が2%から15%程度に高くなるにつれて、副反応生成物であるCS2やCOSとが減少しているのがわかる。従って、副反応により生成したCS2とCOSとは、水の存在により硫化水素に加水分解されることがわかる。
【0046】
実施例10及び11の結果から、原料ガスの流量が1062hr-1から3410hr-1と増加することにより、メルカプタン転化率と硫化水素選択率とが低下することがわかる。従って、原料ガス流量は過度に大きくしないようにすることが好ましい。
【0047】
また、実施例12〜14の結果から、原料ガスにメルカプタン類以外の炭化水素、特に芳香族化合物が存在しても、本質的な反応には影響しないことがわかる。即ち、実施例12の結果からは、ベンゼンが原料ガスに混入した場合でも、触媒活性が低下せずに、良好なメルカプタン転化率と硫化水素選択率とが得られることがわかる。また反応開始1時間後の実施例13と反応開始26時間後の実施例14との結果から、ベンゼンが原料ガスに混入した場合でも、触媒活性の持続性が低下しないことがわかる。
【0048】
【表3】
【0049】
【表4】
【0050】
【表5】
【0051】
実施例15〜16,比較例3
表6に示す、酸素が含まれているメチルメルカプタン含有排ガスを、表6に示す反応条件で処理した。その結果、表6に示した組成の生成ガスが得られた。そして実施例1と同様にメルカプタン転化率と硫化水素選択率とを求め、その結果を表6に示した。
【0052】
表6から、メチルメルカプタンのほぼ2倍の容量の酸素が含まれている実施例15の場合も、酸素が含まれていないときと同様に高いメルカプタン転化率と硫化水素選択率とを維持していることがわかる。
【0053】
一方、メチルメルカプタンのほぼ4倍の容量の酸素が含まれている比較例3の場合、メルカプタン転化率は高いが、メチルメルカプタンのほとんどはSO2となり、硫化水素選択率が低下してしまうことがわかる。
【0054】
しかし、実施例16の結果から、酸素を消費する化合物としてメタンなどの炭化水素類を原料排ガスに十分に添加すると、メルカプタン転化率及び硫化水素選択率の両方とも高い水準に維持することができることがわかる。
【0055】
【表6】
【0056】
【発明の効果】
本発明によれば、メルカプタン類を触媒の存在下で処理して硫化水素を生成させる際に、酸素の共存下でも処理系内に外部から水素や一酸化炭素を導入することなく生成させることができる。
Claims (2)
- 酸素の含有量がメルカプタン類の含有量の2倍以下の容量であるメルカプタン類含有ガスの処理方法であって、多孔性無機酸化物担体に活性金属としてコバルト−モリブデンをメタル、酸化物、硫化物もしくはそれらの混合物として担持させた触媒の存在下、水素又は一酸化炭素を外部から導入することなく気相中でメルカプタン類含有ガスに含まれているメルカプタン類を水と200〜450℃の温度で反応させることにより硫化水素を生成させることを特徴とするメルカプタン類含有ガスの処理方法。
- 多孔性無機酸化物担体に活性金属としてコバルト−モリブデンをメタル、酸化物、硫化物もしくはそれらの混合物として担持させた触媒の存在下、水素又は一酸化炭素を外部から導入することなく気相中でメルカプタン類含有ガスに含まれているメルカプタン類を水と200〜450℃の温度で反応させることにより硫化水素を生成させるメルカプタン類含有ガスの処理方法において、
メルカプタン類含有ガスに酸素が含有されている場合に、炭化水素類を酸素還元性物質としてメルカプタン類含有ガスに添加することを特徴とするメルカプタン類含有ガスの処理方法。
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