JP3823366B2 - イオウ回収方法及びイオウ回収プラント - Google Patents

イオウ回収方法及びイオウ回収プラント Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、硫化水素とメルカプタン類とを含有する酸性ガス、特に天然ガスからサルフィノールプロセス等により分離した酸性ガスからイオウを回収する方法及びその方法を実施するためのイオウ回収プラントに関する。
【0002】
【従来の技術】
石油精製プロセス、特に石油の水素化精製プロセスや天然ガス精製プロセスにおいて、必要な炭化水素類等を分離精製した後のテールガス等の酸性ガスには、硫化水素やメルカプタン類などのイオウ化合物や炭酸ガス、更に軽質炭化水素やBTX(ベンゼン/トルエン/キシレン)などが含まれている。例えば、一般的な天然ガスからの酸性ガスの主成分は表1に示すような組成となっている。
【0003】
【表1】
(天然ガス由来の酸性ガス)
成分 含有量 (VOL%)
硫化水素 40以下
メルカプタン類 5以下
BTX 5以下
軽質炭化水素 10以下
炭酸ガス他 バランス
【0004】
このような組成の酸性ガスの簡便な処理としては、インシネレーターにおいて燃料とともに焼却し、セントラルスタックから大気中に排出することであるが、この場合、硫化水素やメルカプタン類などのイオウ化合物由来のSO2の排ガス中の濃度が1〜1.5×104ppm以上となるため、公害問題を引き起こすことが懸念される。
【0005】
そこで、硫化水素やメルカプタン類や二硫化物などのように種々のイオウ化合物及び軽質炭化水素を含有する酸性ガスを、図3(従来のイオウ回収プラントの概略全体図)の点線に示すように、クラウスプロセスユニット3に直接導入し、イオウを回収する。しかし、この場合、メルカプタン類をクラウスプロセスユニット3においてイオウとして回収するためには、クラウスプロセスユニット3の導入部に設けられている燃焼反応炉内(図示せず)でメルカプタン類を酸化してSO2としておくことが必要となるが、燃焼反応炉内は不完全燃焼(1/3燃焼)状態に維持されているために、メルカプタン類を十分にSO2に酸化することができず、イオウの回収率を向上させることができないという問題がある。また、オフガスに含まれている炭化水素、特にBTXは、燃焼反応炉における不完全燃焼により煤を生じさせるために、回収したイオウをその煤により汚染し、その結果、回収イオウの商品価値が大きく低下するという問題がある。また、酸性ガス中の硫化水素の濃度が低い場合には、燃焼反応炉における燃焼が不安定となりクラウスプロセスで効率的にイオウ回収ができなくなり、更にクラウスプロセスユニット自体が大きくなってしまうという問題がある。
【0006】
そこで、図3の実線で示すように、天然ガスなどの原料ガスを酸性ガス吸収プロセスユニット1に導入して酸性ガスを分離し、次に酸性ガス中のイオウ分を効率よく回収するために、酸性ガスの硫化水素を濃縮するためのエンリッチメントプロセス(アルカノールアミン(例えばモノエタノールアミンやメチルジエタノールアミン)吸収剤を使用するプロセス)ユニット2に酸性ガスを導入して硫化水素を分離濃縮し、得られた硫化水素濃縮ガスをクラウスプロセスユニット3に導入することによりイオウとして回収することが行われる。このようなエンリッチメントプロセスを使用することにより、クラウスプロセスユニットの規模を小さくすることができる。この場合、イオウの回収率は、酸性ガス中の硫化水素以外のイオウ化合物の含有量等により異なるが、酸性ガス中の全イオウ分に対し90〜95%程度の回収率となる。
【0007】
なお、クラウスプロセスユニット3からのテールガスは、必要に応じてスコットプロセス等のテールガス処理ユニット(図示せず)により、未回収のイオウ成分(特にSO2)を硫化水素に還元し、それをクラウスプロセスユニット3へリサイクルしてイオウの回収率を向上させることもできる。
【0008】
一方、エンリッチメントプロセスユニット2から排出されるオフガスは、インシネレーターにおいて燃料とともに焼却し、セントラルスタックから大気中に放散される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
このように、エンリッチメントプロセスユニット2から排出されるオフガスの中からイオウを回収する試みは未だなされていないのが現状であるが、酸性ガスが導入されたエンリッチメントプロセスユニット2からのオフガスにも、表2に示すようにメルカプタン類や硫化水素の一部が含有されている。このため、単に焼却して大気中に放散させた場合にはやはりSO2による公害問題の発生が懸念される。
【0010】
【表2】
(天然ガス由来のオフガス)
成分 含有量 (VOL%)
硫化水素 5以下
メルカプタン類 15以下
BTX 10以下
軽質炭化水素 15以下
炭酸ガス他 バランス
【0011】
そこで、このオフガスからイオウを更に回収して酸性ガスからのイオウ回収率を更に向上させるために、オフガス中の硫化水素のみならず、特にオフガス中において硫化水素よりも含有割合の高いメルカプタン類からイオウを回収することが強く望まれている。
【0012】
本発明は、以上の従来の技術の課題を解決しようとするものであり、硫化水素とメルカプタン類とを含有する酸性ガス、特に天然ガスからサルフィノールプロセス等により分離した酸性ガスからのイオウの回収率を大きく向上させることを第1の目的とする。更に、イオウを回収する際に煤で汚染されないようにすることを第2の目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、エンリッチメントプロセスユニットから排出されるオフガスを水素化処理してその中のメルカプタン類を硫化水素に変換し、そのように水素化処理されたオフガスをクラウスプロセスユニットに導入することにより第1の目的が達成できること、そしてクラウスプロセスユニットを構成する燃焼反応炉とクラウス触媒反応器又は酸化触媒反応器との間に水素化処理されたオフガスを導入することにより第2の目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0014】
即ち、第1及び第2の目的を達成するために本発明は、第1の態様として、硫化水素とメルカプタン類とを含有する酸性ガスからイオウを回収する方法において:
(A)酸性ガスを、硫化水素を濃縮するためのエンリッチメントプロセスユニットに導入し、酸性ガスを硫化水素濃縮ガスとメルカプタン類を含有するオフガスとに分離する硫化水素濃縮工程;
(B)前記工程(A)で得られた硫化水素濃縮ガスをクラウスプロセスユニットに導入することにより、硫化水素濃縮ガスからイオウを回収するイオウ回収工程;
(C)前記工程(A)で得られたオフガスを、水素化触媒の存在下で水素化処理し、その中に含有されているメルカプタン類を硫化水素に変換するメルカプタン類の水素化処理工程; 及び
(D)前記工程(C)で得られた、硫化水素を含有するオフガスからイオウを回収するために、そのオフガスを前記工程(B)において使用されたクラウスプロセスユニットに導入するオフガス導入工程
を含んでなり、工程(D)のオフガス導入工程において、オフガスを、クラウスプロセスユニットを構成する燃焼反応炉とクラウス触媒反応器又は酸化触媒反応器との間に導入することを特徴とするイオウ回収方法を提供する。
【0016】
また、本発明は、第1の態様のイオウ回収方法を実施するための第2の態様として、硫化水素とメルカプタン類とを含有する酸性ガスからイオウを回収するためのイオウ回収プラントにおいて:酸性ガス中の硫化水素を濃縮することにより、酸性ガスを硫化水素濃縮ガスとメルカプタン類を含有するオフガスとに分離するエンリッチメントプロセスユニット;前記エンリッチメントプロセスユニットで得られた硫化水素濃縮ガスからイオウを回収するためのクラウスプロセスユニット;及び前記エンリッチメントプロセスユニットにより分離されたオフガスのメルカプタン類を水素化触媒の存在下で水素化して硫化水素に変換し、その硫化水素を含有するオフガスをイオウ回収手段へ導入するメルカプタン類の水素化処理ユニットを含んでなるイオウ回収プラントであって、
クラウスプロセスユニットが、エンリッチメントプロセスユニットで得られた硫化水素濃縮ガスの導入上流側から、燃焼反応炉、クラウス触媒反応器及び酸化触媒反応器を有し、且つメルカプタン類の水素化処理ユニットのオフガスが当該クラウスプロセスユニットを構成する燃焼反応炉とクラウス触媒反応器又は酸化触媒反応器との間に導入されるよううに構成されていることを特徴とするイオウ回収プラントを提供する。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図を参照しつつ詳細に説明する。
【0018】
まず、本発明の第1の態様のイオウ回収方法について、図1のイオウ回収プラントと図2のクラウスプロセスユニット説明図とを参照しながら工程毎に説明する。
【0019】
(前処理工程)
まず、工程(A)の前段階として、天然ガスなどの原料ガスを酸性ガス吸収プロセスユニット1に導入して酸性ガスを分離する。ここで、天然ガス以外の原料ガスとしては、コンデセートガスなどをあげることができる。
【0020】
酸性ガス吸収プロセスユニット1としては、原料ガスの種類や特性などに応じて種々の化学的あるいは物理的酸性ガス分離プロセスユニットを利用することができる{例えば、「石油精製プロセス」、普及版、403〜414頁(1976年)、石油学会編、幸書房)参照}。中でも、原料ガスが天然ガスである場合には、硫化水素や炭酸ガスだけでなくメルカプタン類や硫化カルボニルなども除去できる点からサルフィノールプロセスユニットを使用することが好ましい。
【0021】
なお、酸性ガス吸収プロセスユニット1における酸性ガスの分離条件は、原料ガスの組成や処理量、更に酸性ガス吸収プロセスユニットの種類や規模などにより適宜決定することができる。
【0022】
工程(A)(硫化水素濃縮工程)
次に、前処理工程で分離された酸性ガスを、硫化水素を濃縮するためのエンリッチメントプロセスユニット2に導入する。これにより、酸性ガスの中から硫化水素が2〜5倍程度に濃縮された硫化水素濃縮ガスと、メルカプタン類と一部の硫化水素と炭酸ガスやBTXや軽質炭化水素とを含有するオフガスとに分離することができる。
【0023】
エンリッチメントプロセスユニット2としては、従来より、種々のイオウ回収方法において利用されている硫化水素エンリッチメントプロセスユニットの中から適宜選択して利用することができる。特に、原料ガスが天然ガスである場合には、使用する薬剤が安価であり、また、濃縮ガス中のメルカプタン類や炭化水素濃度が低いなどの点から、アルカノールアミン系吸収剤を使用するプロセスユニットを利用することが好ましい。
【0024】
なお、本発明において処理する対象となるメルカプタン類としては、メチルメルカプタン、エチルメルカプタン、プロピルメルカプタン、ブチルメルカプタン等のアルキルメルカプタン類、ジメチルサルファイド、ジメチルジサルファイド等のサルファイド類、チオフェン類、ポリサルファイド類、CS2、COS等を挙げることができる。
【0025】
なお、酸性ガスは、メルカプタン類と硫化水素とに加えて、炭酸ガス、一酸化炭素、窒素ガス、水分などを含有してもよい。
【0026】
工程(B)(イオウ回収工程)
次に、工程(A)で得られた硫化水素濃縮ガスを、公知のクラウスプロセスユニット3に導入することにより、硫化水素濃縮ガスからイオウを回収する。
【0027】
なお、硫化水素濃縮ガスから回収されるイオウ分は、原料ガス中に含有されるメルカプタン類の硫化水素以外のイオウ化合物濃度により異なるが、酸性ガス中の約90〜95%程度となる。
【0028】
工程(C)メルカプタン類の水素化処理工程
工程(A)で得られたオフガスを、水素化処理ユニット4において水素化触媒の存在下で水素化処理することにより、その中に含有されているメルカプタン類を硫化水素に変換する。メルカプタン類を硫化水素に変換することにより、クラウスプロセスユニット3により容易に回収することが可能となる。
【0029】
この工程で使用する水素化触媒としては、石油蒸留留出油の水素化精製などにおいて用いられている公知の水素化触媒を使用することができる。例えば、多孔性無機酸化物担体(アルミナ、シリカ、チタニア、ボリア、ジルコニア、シリカ−アルミナ、シリカ−マグネシア、アルミナ−マグネシア、アルミナ−チタニア、シリカ−チタニア、アルミナ−ボリア、アルミナ−ジルコニア等)に、周期律表の第V族、第VI族及び第VIII族に属する金属(例えば、バナジウム、クロム、モリブデン、タングステン、コバルト、ニッケル等)から選ばれる活性金属を担持させたものを使用することができる。これらの活性金属の担体上における存在形態としては、メタル、酸化物、硫化物あるいはそれらの混合物として存在できる。これらの中でも、アルミナ担体にコバルト−モリブデンを担持させた触媒が触媒活性や寿命の点で好ましく使用することができる。
【0030】
水素化触媒における活性金属の担持割合としては、酸化物換算で3〜30重量%である。
【0031】
水素化触媒の形状としては特に限定されず、粒状、錠剤状、円柱状などの形状とすることが可能である。
【0032】
なお、水素化触媒は、使用前に予め公知の方法により予備硫化することが好ましい。これは、予備硫化することにより、水素化工程の実施の初期段階から安定した触媒活性が得られるからである。
【0033】
また、水素化処理時の反応温度は、好ましくは200〜400℃、より好ましくは250℃〜350℃である。
【0034】
水素化処理時の反応圧力は特に限定はなく、ことさら高圧にする必要もなく、常圧でもよいが、水素化処理ユニットの前後のユニットとの接続の点から0〜5MPaであることが好ましい。
【0035】
水素化処理時のオフガスの流量(GHSV)は、1時間当たり触媒1m3を通過する流量(Nm3)として定義した場合に、好ましくは500〜5000/hr、より好ましくは1000〜3000/hrである。
【0036】
水素化処理工程において使用する反応塔の形式は、流動床、固定床、膨脹床等を適宜選択して使用することができる。
【0037】
なお、水素化処理の際に必要となる水素は、必要に応じてガス導入ユニット5から系内に水素ガスを供給してもよく、あるいはメルカプタン類の水素化処理時に、メルカプタン類を含有するオフガスをインライン加熱する場合に燃料を不完全燃焼(部分酸化)させて一酸化炭素と水素とを発生させ、また、その一酸化炭素とオフガス中の水分とをシフト反応させて発生させた水素を利用してもよい。
工程(D)オフガス導入工程
工程(C)で得られたオフガス(メルカプタン類から変換された硫化水素を含有するオフガス)からイオウを回収するために、そのオフガスを工程(B)において使用したクラウスプロセスユニット3に導入する。これにより、メルカプタン類を硫化水素を経由してイオウとして回収することができる。
【0038】
この場合、クラウスプロセスユニット3には、オフガスを導入する場所がいくつか有り得るが、導入場所により得られる効果が異なる。この点を明らかにするために、まず一般的なクラウスプロセスユニット3の構成を硫化水素濃縮ガスのフローに沿って図2を参照しながら説明し、その後でオフガスの導入場所に言及する。
【0039】
まず、硫化水素濃縮ガスを、図2に示すように、クラウスプロセスユニット3の燃焼反応炉3aに導入し、以下に示すように無触媒下で反応させてイオウを生成させて回収する。
【0040】
【化1】
Figure 0003823366
【0041】
次に、イオウを回収した残余ガスをクラウス触媒反応器3bに導き、以下に示すようにクラウス触媒存在下で反応させてイオウを回収する。
【0042】
【化2】
Figure 0003823366
【0043】
次に、その残余ガスを再加熱炉3cに導入してクラウス反応可能な温度にまで加熱した後に、第二のクラウス触媒反応器3dに導き、クラウス反応によりイオウを生成させて回収する。そしてその残余ガスは、再加熱炉3eに導入し、酸化触媒反応器3fにおける以下の選択的酸化反応
【0044】
【化3】
Figure 0003823366
を生じる温度にまで加熱した後に、酸化触媒反応器3fに導入してイオウを生成させて回収する。テールガスはスタックインシネレーターへ送られ燃料と共に焼却し大気中に放散される。
【0045】
なお、図2の例においては、クラウス触媒反応器が2か所設置されているが、必要に応じて1か所でも3か所以上設置してもよく、また、酸化触媒反応器3fを省略することもできる。
【0046】
ところで、図2において、工程(C)で得られた硫化水素含有オフガスをクラウスプロセスユニット3に導入する際、▲1▼〜▲6▼のいずれかの位置で導入することが可能である。
【0047】
しかし、▲1▼の位置で導入した場合には、オフガス中に含まれているBTXなどから煤が生じ、回収イオウを汚染することが懸念されるので好ましくない。
【0048】
従って、オフガスを、燃焼反応炉3aとクラウス触媒反応器3b(3d)又は酸化触媒反応器3fとの間、即ち▲2▼〜▲6▼に位置でクラウスプロセスユニット3に導入することが好ましい。特に、▲4▼又は▲5▼もしくは▲6▼の位置で導入することが、オフガス中に含まれる炭化水素の不完全燃焼により煤の発生を回避可能となる点から好ましい。
【0049】
以上説明したように、本発明のイオウ回収方法においては、エンリッチメントプロセスユニットから排出されるオフガスを水素化処理してその中のメルカプタン類を硫化水素に変換し、そのように水素化処理されたオフガスをクラウスプロセスユニットに導入することにより、イオウの回収率を向上させることが可能となる。即ち、イオウの回収率は、工程(C)のメルカプタン類の水素化処理工程における硫化水素への転化率にもよるが、全イオウの95%〜99%となる。その場合、クラウスプロセスユニットを構成する燃焼反応炉とクラウス触媒反応器又は酸化触媒反応器との間に水素化処理されたオフガスを導入することにより、回収されるイオウを煤で汚染されないようにすることが可能となる。
【0050】
このような本発明のイオウ回収方法は、天然ガスからのイオウの回収やメルカプタン類を含有するし尿発酵ガス、パルプ醸解廃ガス等に好ましく適用することができる。
【0051】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
【0052】
実施例1
酸化触媒反応器を備えた図2に示したようなクラウスプロセスユニットを有する図1に示すイオウ回収プラントに、表3に示す位置(a)におけるガス組成aの原料ガス流を導入し、以下に説明するようにその原料ガスからイオウを回収した。
【0053】
なお、表3〜表5にイオウ回収プラント(図1)の位置(b)〜(g)におけるガス流の組成b〜gを示す。また、位置(f)は、具体的にはクラウスプロセスユニット3中の酸化触媒反応器3fの前に設置されているクラウス触媒反応器3dの直後の位置(図2の▲5▼に相当)である。
【0054】
(前処理工程)
まず、図1の位置(a)おけるガス組成aの原料ガスを、酸性ガス吸収のためにサルフィノールプロセスユニット(40℃,6MPa)1に導入して酸性ガス(組成c)を分離した。酸性ガスには、原料ガス中の硫化水素とメルカプタン類及び芳香族系炭化水素がほぼ全量含まれていた。
【0055】
工程(A)(硫化水素濃縮工程)
分離した酸性ガスを、硫化水素を濃縮するためのエンリッチメントプロセスユニット(40℃,0.15MPa)2に導入した。これにより、濃縮された硫化水素濃縮ガス(組成e)と、メルカプタン類と一部の硫化水素と炭酸ガスや炭化水素とを含有するオフガス(組成d)とに分離した。
【0056】
工程(B)(イオウ回収工程)
次に、工程(A)で得られた硫化水素濃縮ガス(組成e)を、クラウスプロセスユニット(燃焼反応炉温度1070℃,触媒反応炉(図2の3b)温度310℃,触媒反応炉(図2の3c)温度220℃)に導入することにより、硫化水素濃縮ガスからイオウを回収した。
【0057】
なお、クラウスプロセスユニットにおけるクラウス触媒反応器3dの直後の位置(f)(図2)におけるガスは表1の組成fを有していた。
【0058】
工程(C)メルカプタン類の水素化処理工程
工程(A)で得られた組成dのオフガス(45℃,0.15MPa)に、インライン加熱した場合に混入すると想定される一酸化炭素と炭酸ガスと窒素ガスと水素と水分とを加えて組成hのオフガス(270℃,0.15MPa)とし、これを水素化処理ユニット4において水素化触媒(アルミナ担体にコバルト−モリブデンを担持させた触媒)の存在下で水素化処理(触媒層平均温度280℃,GHSV2000/hr,0.16MPa)することにより、その中に含有されているメルカプタン類を硫化水素とすることにより組成iのオフガス(290℃,0.15MPa)とした。
【0059】
工程(D)オフガス導入工程
工程(C)で得られたオフガス(メルカプタン類から変換された硫化水素を含有するオフガス)からイオウを回収するために、そのオフガスを工程(B)において使用したクラウスプロセスユニット3に導入した。ここで、オフガスを、図2の▲5▼の位置でクラウスプロセスユニットへ導入して酸化触媒反応器3fに導き、、それによりイオウを生成させて回収した。
【0060】
その結果、表3〜表5からわかるように原料ガス中の全イオウ分に対するイオウ回収率は98.7%と非常に高いものであった。
【0061】
【表3】
Figure 0003823366
【0062】
【表4】
Figure 0003823366
【0063】
【表5】
Figure 0003823366
【0064】
比較例1
エンリッチメントプロセスユニットにより分離したオフガスからイオウを回収することなく、図3のイオウ回収プラントに従って、エンリッチメントプロセスユニットにより得られた濃縮ガスからのみイオウを回収する以外は、実施例1と同様にして原料ガスからイオウを回収した。
【0065】
なお、表6〜表7にイオウ回収プラント(図3)の位置(a´)〜(g´)におけるガス流の組成a´〜g´を示す。また、位置(f´)は、実施例1の場合と同様に、具体的にはクラウスプロセスユニット3中の酸化触媒反応器3fの前に設置されているクラウス触媒反応器3dの直後の位置(図2の▲5▼に相当)である。
【0066】
表6〜表7からわかるように、原料ガス中の全イオウ分に対するイオウ回収率は95.2%と実施例1に比べ低いものであった。
【0067】
【表6】
Figure 0003823366
【0068】
【表7】
Figure 0003823366
【0069】
【発明の効果】
本発明によれば、硫化水素とメルカプタン類とを含有する酸性ガス、特に天然ガスからサルフィノールプロセス等により分離した酸性ガスからのイオウの回収率を大きく向上させることができる。しかも、回収したイオウを煤で汚染しない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のイオウ回収プラントの概略全体図である。
【図2】クラウスプロセスユニット説明図である。
【図3】従来のイオウ回収プラントの概略全体図である。
【符号の説明】
1 酸性ガス吸収プロセスユニット
2 エンリッチメントプロセスユニット
3 クラウスプロセスユニット
4 水素化処理ユニット

Claims (11)

  1. 硫化水素とメルカプタン類とを含有する酸性ガスからイオウを回収する方法において:
    (A)酸性ガスを、硫化水素を濃縮するためのエンリッチメントプロセスユニットに導入し、酸性ガスを硫化水素濃縮ガスとメルカプタン類を含有するオフガスとに分離する硫化水素濃縮工程;
    (B)前記工程(A)で得られた硫化水素濃縮ガスをクラウスプロセスユニットに導入することにより、硫化水素濃縮ガスからイオウを回収するイオウ回収工程;
    (C)前記工程(A)で得られたオフガスを、水素化触媒の存在下で水素化処理し、その中に含有されているメルカプタン類を硫化水素に変換するメルカプタン類の水素化処理工程; 及び
    (D)前記工程(C)で得られた、硫化水素を含有するオフガスからイオウを回収するために、そのオフガスを前記工程(B)において使用されたクラウスプロセスユニットに導入するオフガス導入工程
    を含んでなり、工程(D)のオフガス導入工程において、オフガスを、クラウスプロセスユニットを構成する燃焼反応炉とクラウス触媒反応器又は酸化触媒反応器との間に導入することを特徴とするイオウ回収方法。
  2. 酸性ガスが天然ガス由来の酸性ガスである請求項1記載のイオウ回収方法。
  3. 工程(A)において使用するエンリッチメントプロセスユニットが、アルカノールアミン系吸収剤を使用するプロセスユニットである請求項1又は2記載のイオウ回収方法。
  4. 工程(C)において使用する水素化触媒が、多孔性無機酸化物担体に、周期律表の第V族、第VI族及び第VIII族に属する金属から選ばれる活性金属を担持させた水素化触媒である請求項1〜のいずれかに記載のイオウ回収方法。
  5. 多孔性無機酸化物担体がアルミナであり、活性金属がコバルト−モリブデンである請求項記載のイオウ回収方法。
  6. 工程(C)のメルカプタン類の水素化処理工程の反応温度が200〜400℃である請求項又は記載のイオウ回収方法。
  7. 工程(C)のメルカプタン類の水素化処理工程の反応圧力が0〜5MPaである請求項又は記載のイオウ回収方法。
  8. 工程(C)のメルカプタン類の水素化処理工程におけるオフガスの流量が、1時間当たり触媒1m3を通過する流量(Nm3)として定義した場合に、500〜5000/hrである請求項又は記載のイオウ回収方法。
  9. 硫化水素とメルカプタン類とを含有する酸性ガスからイオウを回収するためのイオウ回収プラントにおいて:酸性ガス中の硫化水素を濃縮することにより、酸性ガスを硫化水素濃縮ガスとメルカプタン類を含有するオフガスとに分離するエンリッチメントプロセスユニット;前記エンリッチメントプロセスユニットで得られた硫化水素濃縮ガスからイオウを回収するためのクラウスプロセスユニット;及び前記エンリッチメントプロセスユニットにより分離されたオフガス中のメルカプタン類を水素化触媒の存在下で水素化して硫化水素に変換し、その硫化水素を含有するオフガスをイオウ回収手段へ導入するメルカプタン類の水素化処理ユニットを含んでなるイオウ回収プラントであって、
    クラウスプロセスユニットが、エンリッチメントプロセスユニットで得られた硫化水素濃縮ガスの導入上流側から、燃焼反応炉、クラウス触媒反応器及び酸化触媒反応器を有し 、且つメルカプタン類の水素化処理ユニットのオフガスが当該クラウスプロセスユニットを構成する燃焼反応炉とクラウス触媒反応器又は酸化触媒反応器との間に導入されるよううに構成されていることを特徴とするイオウ回収プラント。
  10. 酸性ガスが天然ガス由来の酸性ガスである請求項記載のイオウ回収プラント。
  11. エンリッチメントプロセスユニットがアルカノールアミン系吸収剤を使用するプロセスユニットである請求項又は10記載のイオウ回収プラント。
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