JP3923908B2 - 通信品質管理システムおよび方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ネットワーク内の通品品質を管理する通信品質管理システムおよび方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
IPネットーワーク上での映像・音声などのデータを受信しながらリアルタイムに再生するストリーム型の通信では、ネットワーク内の通信品質を高品質に保つことが要求され、ネットワークの容量を超える利用要求によって発生する輻輳などによる品質劣化に対しては、再送制御などのアプリケーションレベルの品質向上技術では大きな効果が望めず、ネットワークレイヤにて、各通信フローに対して排他的に利用する通信帯域の幅を確保する必要がある。なお、IPネットワークでは、通信速度(bit/s)を通信帯域と同義として取り扱っている。すなわち、通信速度が速い接続環境を広帯域、通信速度が遅い接続環境を狭帯域と呼んでいる。
【0003】
各通信フローの利用帯域の確保のためには、それぞれの通信フローのネットワーク上の経路(どの区間を利用するか)の特定と、各区間での利用帯域(現在使用中の帯域)・残帯域(現在使用可能な帯域)を管理し、新規の利用要求に対して受け付け判定を行う帯域保証機能が必要となる。これらは、転送レイヤにて行う方法(ルータ・スイッチなどの自律的な動作による方法)と、制御レイヤにて行う方法(ルータ・スイッチとは独立したサーバ内での処理による方法)があり、それぞれにて研究が行われている。
【0004】
制御レイヤにて帯域保証機能を提供する場合、転送レイヤにて決定される各通信フローの経路は、帯域管理サーバにて、転送レイヤからトポロジ情報を収集し、算出し、特定しなければならない。一般的には、転送レイヤではOSPF(Open Shortest Path First)などのルーティングプロトコルによって自律的にルーティングを行っており、帯域管理サーバにてこれらのルーティング情報を収集し、経路計算を行う必要がある。
【0005】
例えば、下記に示す非特許文献1では、帯域管理サーバでネットワーク内のルーティング情報を収集し、蓄積しておき、利用開始契機にて帯域確保要求毎にルーティング情報を用いて経路を算出する方法をとっている。
【0006】
しかしながら、ネットワークにてOSPFなどのルーティングプロトコルを用いて経路制御を行う場合、帯域管理サーバでは転送レイヤから収集したトポロジ情報、ネットワークコスト情報などを元に、それぞれの通信フローが通過する経路を演算によって求める処理が必要となり、ネットワーク規模が大きくなるとこの演算処理負荷が大きくなる問題がある。
【0007】
また、OSPFでは、ネットワークのある部分で故障が発生した場合、各通信フローが迂回する経路を確保するため、転送レイヤにて経路情報の更新手順が発生し、ネットワーク規模が大きい場合その収束までに時間がかかり、通信断の時間が長くなるためサービス性が低下してしまう。さらに、管理者がそれぞれの通信フローの経路を明示的に指定するトラフィックエンジニアリングの実現は難しい。
【0008】
これらの従来技術によって実現が難しい問題に対し、ラベルスイッチング方式によってパケットを転送するMPLS(Multiple Protocol label Switches)を利用することが有効と考えられる。MPLSでは、ネットワークに設けられるノードをMPLS対応のルータとする。MPLS対応のルータでは、IPヘッダの代わりに「ラベル」と呼ばれる短い固定長の識別子を利用し、ネットワークの入口にあるルータ(エッジルータ)にパケットが届くと、パケット内の経路情報に「ラベル」を付加して、次のルータに転送する。次のルータは、パケットについている「ラベル」を見て、どのルータに転送すべきかを判断し、適切なルータにパケットを送る。このような「ラベル」によってネットワーク上に設定される論理パス(転送経路)をLSP(Label Switched Path )と呼んでいる(例えば、非特許文献2参照)。
【0009】
【非特許文献1】
電子情報通信学会2002年ソサイエティ大会講演集、論文タイトル「大規模IP網における管理サーバを用いたリソース管理方式の一提案と具体例」、矢口優、島 雅浩、一瀬 晶、黒川 章、2002年3月7日発行、B−6−31
【非特許文献2】
「Multiprotocol Label Switching Architecture(RFC 3031)」、〔平成15年2月24日検索〕、インターネット<URL:http://www.ietf.org/html.charters/mpls-charter.html>
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、MPLSを単純に適用して、各通信フローに対し排他的に確保された帯域を持つLSPを設定してサービスを提供するだけでは、LSPの各区間の帯域利用状況を把握していないので、ネットワークの帯域の効率的な利用はできない。
【0011】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、ラベルスイッチング方式によってパケットを転送するネットワークにおいて、全ての区間での帯域利用状況を反映した効率的な帯域保証通信を行うことが可能な通信品質管理システムおよび方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために本発明は、ラベルスイッチング方式によってパケットを転送するMPLS対応の複数のノードを備え、これらノードのうち端末を収容するノードをエッジノードとするネットワークと、このネットワークにおいて利用される可能性のある全てのエッジノード間にパケットの転送経路を設定するMPLS装置と、エッジノードに収容されている端末からの通信利用要求を受け付け、その通信が利用するネットワークの帯域確保要求を出力するアプリケーションサーバと、このアプリケーションサーバからの帯域確保要求を受け付け、この要求された帯域確保が可能であるか否かを判定し、端末からの通信要求を許可するか否かの判定結果をアプリケーションサーバに通知する帯域管理装置とを設け、MPLS装置に、ネットワークにおいて利用される可能性のある全てのエッジノード間に設定したパケットの転送経路に関する情報および故障発生の際にどの転送経路からどの転送経路に切り替えるかの迂回経路に関する情報を帯域管理装置へ通知する手段を設け、帯域管理装置に、ネットワークにおける全てのエッジノードとそのエッジノードに収容されている端末との対応を端末収容エッジ対応情報として記憶する端末収容エッジ対応情報記憶手段と、ネットワークにおける通信に利用される可能性のある全ての区間について、その区間とその区間の帯域容量の使用状況との対応を区間帯域管理情報として記憶する区間帯域管理情報記憶手段と、MPLS装置によって設定される全ての転送経路について、その転送経路とその転送経路の発側および着側のエッジノードとの対応を転送経路エッジ対応情報として記憶する転送経路エッジ対応情報記憶手段と、MPLS装置によって設定される全ての転送経路について、その転送経路とその転送経路内の各区間との対応を転送経路区間対応情報として記憶する転送経路区間対応情報記憶手段と、アプリケーションサーバからの帯域確保要求を受け付け、端末収容エッジ対応情報および転送経路エッジ対応情報に基づいて利用する転送経路を特定し、この特定した転送経路において要求された帯域確保が可能であるか否かを転送経路区間対応情報および区間帯域管理情報に基づいて判定し、端末からの通信要求を許可するか否かの判定結果をアプリケーションサーバに通知する帯域確保要求受付判定手段と、利用する転送経路において要求された帯域確保が可能であると判定された場合、その利用する転送経路に対して通知されている迂回経路についても同時に帯域を確保する帯域確保手段とを設けたものである。
【0013】
この発明において、MPLS装置は、ネットワークにおいて利用される可能性のある全てのエッジノード間に、ラベルスイッチング方式によって転送されるパケットの転送経路(LSP)を設定する。また、ネットワークにおいて利用される可能性のある全てのエッジノード間に設定したパケットの転送経路に関する情報および故障発生の際にどの転送経路からどの転送経路に切り替えるかの迂回経路に関する情報を帯域管理装置へ通知する。
帯域管理装置は、ネットワークにおける全てのエッジノードとそのエッジノードに収容されている端末との対応を端末収容エッジ対応情報として記憶し、ネットワークにおける通信に利用される可能性のある全ての区間について、その区間とその区間の帯域容量の使用状況を区間帯域管理情報として記憶し、MPLS装置によって設定される全ての転送経路について、その転送経路とその転送経路の発側および着側のエッジノードとの対応を転送経路エッジ対応情報(LSP−エッジ対応情報)として記憶し、MPLS装置によって設定される全ての転送経路について、その転送経路とその転送経路内の各区間との対応を転送経路区間対応情報(LSP−区間対応情報)として記憶する。
【0014】
また、この発明において、アプリケーションサーバは、エッジノードに収容されている端末からの通信利用要求を受け付け、その通信が利用するネットワークの帯域確保要求を出力する。
帯域管理装置は、アプリケーションサーバからの帯域確保要求を受け付けると、端末収容エッジ対応情報および転送経路エッジ対応情報に基づいて利用する転送経路を特定し、この特定した転送経路において要求された帯域確保が可能であるか否かを転送経路区間対応情報および区間帯域管理情報に基づいて判定し、端末からの通信要求を許可するか否かの判定結果をアプリケーションサーバに通知する。また、利用する転送経路において要求された帯域確保が可能であると判定された場合、その利用する転送経路に対して通知されている迂回経路についても同時に帯域を確保する
【0015】
帯域管理装置において、端末からの通信要求を許可するか否かの判定は、例えば次のようにして行う。先ず、端末収容エッジ対応情報を検索することにより、その通信の発側および着側の端末が収容されている発エッジノードおよび着エッジノードを特定する。次に、この特定した発エッジノードと着エッジノードとの間に設定されている転送経路を転送経路エッジ対応情報を検索することにより利用する転送経路として特定し、この特定した転送経路の各区間を転送経路区間対応情報を検索することにより特定する。そして、区間帯域管理情報を参照して、その特定した各区間の帯域容量の使用状況を確認し、通信要求に対して必要とされる帯域容量を賄える帯域容量が全ての区間に残されていれば通信要求を許可し、通信要求に対して必要とされる帯域容量を賄える帯域容量が1区間でも残されていなければ通信要求を不許可とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に基づいて詳細に説明する。図1はこの発明の一実施の形態を示す通信品質管理システムの構成図である。同図において、1はIPネットワークであり、2は帯域管理装置、3はMPLS装置、4はアプリケーションサーバである。帯域管理装置2,MPLS装置3およびアプリケーションサーバ4はネットワーク1を介して相互に接続されている。なお、図1では、説明上、帯域管理装置2,MPLS装置3およびアプリケーションサーバ4をIPネットワーク1に対し独立した形で示している。
【0017】
IPネットワーク1は、ラベルスイッチング方式によってパケットを転送するMPLS対応のノードとして、ルータ51〜57を備えている。本実施の形態において、ルータ51には端末61,62が、ルータ53には端末64,65が、ルータ54には端末63が、ルータ57には端末66が収容されている。ルータ51,53,54,57は、IPネットワーク1の端部に位置し、端末を収容していることからエッジルータと呼ばれる。これに対して、ルータ52,55,56は、エッジルータの中間に位置し、エッジルータからのデータを中継することからコアルータと呼ばれる。
【0018】
MPLS装置3は、その経路情報にラベルが付けられるパケットの転送経路(LSP)をIPネットワーク1に対して設定する機能と、設定したLSPに関する情報を帯域管理装置2へ通知する機能を有している。
アプリケーションサーバ4は、IPネットワーク1におけるエッジルータに収容されている端末からの通信利用要求を受け付け、その通信が利用するネットワークの帯域確保要求を帯域管理装置2へ出力する機能を有している。
帯域管理装置2は、アプリケーションサーバ4からの帯域確保要求を受け付け、この要求された帯域確保が可能であるか否かを判定し、端末からの通信要求を許可するか否かの判定結果をアプリケーションサーバ4に通知する機能を有している。
【0019】
〔端末収容エッジ対応情報〕
帯域管理装置2には端末収容エッジ対応情報記憶テーブルTB1(図2参照)が作成・保持される。この端末収容エッジ対応情報記憶テーブルTB1には、IPネットワーク1における全てのエッジルータとそのエッジルータに収容されている端末との対応が端末収容エッジ対応情報として書き込まれる。
【0020】
この例では、サービスの管理者、もしくはアプリケーションサーバ4を介するユーザの操作により、端末情報入力手段2−1を介して、端末のIPアドレスと、その端末が収容されているエッジルータのルータ名と、そのエッジルータのIPアドレスとをセットにして、端末収容エッジ対応情報記憶テーブルTB1に書き込む(図5参照)。
【0021】
〔区間帯域管理情報〕
帯域管理装置2には区間帯域管理情報記憶テーブルTB2(図2参照)が作成・保持される。この区間帯域管理情報記憶テーブルTB2には、IPネットワーク1における通信に利用される可能性のある全ての区間について、その区間とその区間の帯域容量(総リソース)の使用状況との対応が区間帯域管理情報として書き込まれる。
【0022】
この例では、区間情報収集手段2−2の収集機能(SNMP(Simple Network Management Protocol)によるMIB(Management Information Base))により、ルータの接続関係によって特定される区間(どのルータのどのインターフェイスとどのルータのどのインターフェイスとが接続されている区間であるか)と、その区間の現在使用中の帯域容量(使用中帯域(使用リソース))と、現在使用可能な帯域容量(残帯域(残リソース))とをセットにして、区間帯域管理情報記憶テーブルTB2に書き込まれる(図6参照)。
【0023】
なお、区間帯域管理情報記憶テーブルTB2には、各区間の帯域容量(総リソース)を合わせて書き込むようにしてもよく、残帯域(残リソース)のみを書き込むようにしてもよい。また、使用リソースと総リソースを書き込み、残リソースを計算によって求めるようにしてもよい。
【0024】
〔転送経路エッジ対応情報(LSP−エッジ対応情報)〕
帯域管理装置2には転送経路エッジ対応情報記憶テーブルTB3(図3参照)が作成・保持される。この転送経路エッジ対応情報記憶テーブルTB3には、MPLS装置3によってIPネットワーク1に対して設定される全ての転送経路(LSP)について、その転送経路とその転送経路の発側および着側のエッジルータとの対応が転送経路エッジ対応情報(LSP−エッジ対応情報)として書き込まれる。
【0025】
この例では、MPLS装置3から通知されるLSPに関する情報に基づき、LSP情報作成手段2−3がLSP−エッジ対応情報記憶テーブルTB3に、LSPとそのLSPの発側エッジルータおよび着側エッジルータのルータ名をセットにして書き込む(図7参照)。
【0026】
〔転送経路区間対応情報(LSP−区間対応情報)〕
帯域管理装置2には転送経路区間対応情報記憶テーブルTB4(図3参照)が作成・保持される。この転送経路区間対応情報記憶テーブルTB4には、MPLS装置3によってIPネットワーク1に対して設定される全ての転送経路(LSP)について、その転送経路とその転送経路内の各区間との対応が転送経路区間対応情報(LSP−区間対応情報)として書き込まれる。
【0027】
この例では、MPLS装置3から通知されるLSPに関する情報に基づき、LSP情報作成手段2−3がLSP−区間対応情報記憶テーブルTB4に、LSPとそのLSP内のルータの接続関係によって特定される区間(どのルータのどのインターフェイスとどのルータのどのインターフェイスとが接続されている区間であるか)とをセットにして書き込む(図8参照)。
【0028】
〔MPLS装置におけるLSPの設定とLSP情報の通知〕
MPLS装置3は、図3に示されているように、LSP設定手段3−1とLSP情報通知手段3−2とを有している。
【0029】
LSP設定手段3−1は、IPネットワーク1において利用される可能性のある全てのエッジルータ間にLSPを設定する。例えば、通信サービスを利用する端末や映像コンテンツの配信サーバなどが収容されているエッジルータ間で、メッシュに、双方向に、LSPを設定する。
【0030】
LSP情報通知手段3−2は、LSP設定手段3−1が設定したLSPの全てについて、そのLSPに関する情報(発側エッジルータや着側エッジルータ、発側エッジルータと着側エッジルータとの間に位置するコアルータなど)を帯域管理装置2に通知する。
【0031】
〔端末からアプリケーションサーバへの通信利用要求〕
アプリケーションサーバ4は、通信サービスを利用するユーザ向けに、映像配信,音声通信などのサービスの利用手段を提供するサーバである。ユーザは、端末からアプリケーションサーバ4に対し、希望する通信サービスの利用要求を行う。
【0032】
アプリケーションサーバ4は、図4に示されているように、端末からの通信利用要求を受け付ける利用要求受付手段4−1と、この利用要求受付手段4−1が受け付けた通信が利用するネットワークの帯域確保要求を帯域管理装置2に対して出力する帯域確保要求手段4−2とを備えている。
【0033】
今、図4において、端末61のユーザが、端末66の配信サーバから、6Mbpsのビットレートを持つ映像ストリームコンテンツを受信し、視聴する通信サービスに対し、その利用要求をアプリケーションサーバ4に対して行うものとする。この場合、アプリケーションサーバ4の利用要求受付手段4−1は、映像コンテンツの一覧を提供するWebアプリケーションサーバ機能となる。ユーザが、端末61に表示されるWeb(HTTP)ページにてあるコンテンツの視聴を選択すると、その通信利用要求がアプリケーションサーバ4へ送られる。
【0034】
アプリケーションサーバ4の利用要求受付手段4−1は、端末61からの通信利用要求を受け付け、端末61のIPアドレスと、コンテンツの配信元である端末66(配信サーバ)のIPアドレスと、コンテンツを視聴するのに確保が必要な帯域(6Mbps)を帯域確保要求手段4−2へ送る。帯域確保要求手段4−2は、利用要求受付手段4−1からの端末61のIPアドレスと端末66のIPアドレスと確保が必要な帯域(6Mbps)をパラメータとして、帯域管理装置2に対し帯域確保要求を送る。
【0035】
帯域管理装置2には帯域確保要求受付判定手段2−4が設けられている。帯域確保要求受付判定手段2−4は、アプリケーションサーバ4からの帯域確保要求を受け付け、この要求された帯域確保が可能であるか否かを判定し、端末61からの通信要求を許可するか否かの判定結果をアプリケーションサーバ4に通知する。
【0036】
〔通信要求を許可するか否かの判定〕
帯域確保要求受付判定手段2−4での通信要求を許可するか否かの判定は次のようにして行われる。
【0037】
帯域確保要求受付判定手段2−4は、先ず、端末収容エッジ対応情報記憶テーブルTB1中の情報を検索することにより、その通信の発側の端末66および着側の端末61が収容されている発エッジルータ57および着エッジルータ51を特定する。
【0038】
次に、この特定した発エッジルータ57と着エッジルータ51との間に設定されているLSPをLSP−エッジ対応情報記憶テーブルTB3を検索することにより利用するLSPとして特定し、この特定したLSP(LSP72)の各区間(ルータ51−55、ルータ55−57の2区間)をLSP−区間対応情報記憶テーブルTB4を検索することにより特定する。
【0039】
そして、区間帯域管理情報テーブルTB2中の情報を参照して、その特定した各区間の帯域容量の使用状況を確認する。ここで、通信要求に対して必要とされる帯域容量を賄える帯域容量が全ての区間に残されていれば通信要求を許可し、通信要求に対して必要とされる帯域容量を賄える帯域容量が1区間でも残されていなければ通信要求を不許可とする。
【0040】
この例では、ルータ51−55、ルータ55−57の2区間について、残帯域(残リソース)が6Mbps以上あるか否かを確認し、2区間とも残帯域が6Mbps以上であれば、通信要求を許可する旨の判定結果(帯域確保OK)をアプリケーションサーバ4へ送る。なお、この場合、その2区間について、その区間帯域管理情報中の使用中帯域に対して新たに利用される帯域(6Mbps)を加算する。6Mbpsを確保できない区間が1つでもあれば、通信要求を不許可とする旨の判定結果(帯域確保NG)をアプリケーションサーバ4へ送る。
【0041】
アプリケーションサーバ4では、帯域確保要求手段4−2が帯域管理装置2からの判定結果を受信し、その受信した判定結果を利用要求受付手段4−1へ送る。利用要求受付手段4−1は、帯域管理装置2からの判定結果が帯域確保OKであった場合、その通信要求を許可する旨の利用要求応答を端末61へ送る。これにより、端末61と端末66との間の通信が開始される。帯域管理装置2からの判定結果が帯域確保NGであった場合、利用要求受付手段4−1は、その通信要求を不許可とする旨の利用要求応答を端末61へ送る。これにより、端末61と端末66との間の通信は開始されず、端末61と端末66との間の通信サービスは利用できない。
【0042】
このようにして、本実施の形態では、帯域管理装置2、MPLS装置3、アプリケーションサーバ4、ルータ51〜57および端末61〜66の連携動作によって、ラベルスイッチング方式によってパケットを転送するIPネットワーク1において、全ての区間での帯域利用状況を反映した効率的な帯域保証通信が提供されるものとなる。これによって、ネットワーク事業者、通信サービス事業者は、ユーザに対してより高品質な通信サービスをより効率的に提供し、収益をあげることが可能となる。
【0043】
また、本実施の形態によれば、MPLSを利用した経路の特定が可能であることから、帯域管理装置2では経路の特定のためにOSPFなどのルーティング情報を収集した上での経路計算処理を行う必要がない。このため、ネットワーク規模が大きくなっても、演算処理負荷が大きくなるというような問題は生じない。
【0044】
〔故障発生時の対応〕
MPLS装置3から帯域管理装置2へLSP情報を通知する際に、故障発生の際にどのLSPからどのLSPへ切り替えるかの情報(迂回経路に関する情報)を同時に通知しておき、通信開始時に迂回経路も同時に帯域を確保しておくようにする。このようにすることによって、故障発生時、瞬時に通信を迂回経路に切り替え、帯域保証も継続することが可能となる。
【0045】
〔管理者の意志によるトラフィックエンジニアリングの実現〕
MPLSを利用した帯域保証通信の提供が可能になることによって、あるエッジルータに収容された端末からあるエッジルータに収容された端末までの経路をネットワークのサービス管理者が明示的に指定することが可能となる。これによって、ネットワークのリソースをネットワークのサービス管理者の意志によって効率的に利用しながら、帯域が保証された高品質な通信サービスを提供することが可能となる。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したことから明らかなように本発明によれば、帯域管理装置、MPLS装置、アプリケーションサーバ、ノードおよび端末の連携動作によって、ラベルスイッチング方式によってパケットを転送するネットワークにおいて、全ての区間での帯域利用状況を反映した効率的な帯域保証通信を行うことができるようになり、ネットワーク事業者、通信サービス事業者は、ユーザに対してより高品質な通信サービスをより効率的に提供し、収益をあげることが可能となる。
また、本発明によれば、MPLSを利用した経路の特定が可能であることから、帯域管理装置では経路の特定のためにOSPFなどのルーティング情報を収集した上での経路計算処理を行う必要がなく、ネットワーク規模が大きくなっても、演算処理負荷が大きくなるというような問題は生じない。
また、本発明によれば、MPLS装置から帯域管理装置へLSP情報を通知する際に、故障発生の際にどのLSPからどのLSPへ切り替えるかの迂回経路に関する情報を同時に通知しておき、通信開始時に迂回経路も同時に帯域を確保しておくようにすることによって、故障発生時、瞬時に通信を迂回経路に切り替え、帯域保証も継続することが可能となる。
また、本発明によれば、MPLSを利用した帯域保証通信の提供が可能になることによって、ネットワークのリソースをネットワークのサービス管理者の意志によって効率的に利用しながら、帯域が保証された高品質な通信サービスを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態を示す通信品質管理システムの構成図である。
【図2】 この通信品質管理システムの帯域管理装置への情報入力について説明する図である。
【図3】 この通信品質管理システムのMPLS装置におけるLSPの設定と帯域管理装置へのLSP情報の通知について説明する図である。
【図4】 この通信品質管理システムにおける通信開始時の処理について説明する図である。
【図5】 帯域管理装置内に作成・保持される端末収容エッジ対応情報を例示する図である。
【図6】 帯域管理装置内に作成・保持される区間帯域管理情報を例示する図である。
【図7】 帯域管理装置内に作成・保持されるLSP−エッジ対応情報を例示する図である。
【図8】 帯域管理装置内に作成・保持されるLSP−区間対応情報を例示する図である。
【符号の説明】
1…IPネットワーク、2…帯域管理装置、2−1…端末情報入力手段、2−2…区間情報収集手段、2−3…LSP情報作成手段、3…MPLS装置、3−1…LSP設定手段、3−2…LSP情報通知手段、4…アプリケーションサーバ、4−1…利用要求受付手段、4−2…帯域確保要求手段、51〜57…ルータ、61〜66…端末、71〜74…LSP(転送経路)、TB1…端末収容エッジ対応情報記憶テーブル、TB2…区間帯域管理情報記憶テーブル、TB3…転送経路エッジ対応情報記憶テーブル(LSP−エッジ対応情報記憶テーブル)、TB4…転送経路区間対応情報記憶テーブル(LSP−区間対応情報記憶テーブル)。

Claims (6)

  1. ラベルスイッチング方式によってパケットを転送するMPLS対応の複数のノードを備え、これらノードのうち端末を収容するノードをエッジノードとするネットワークと、
    このネットワークにおいて利用される可能性のある全てのエッジノード間に前記パケットの転送経路を設定するMPLS装置と、
    前記エッジノードに収容されている端末からの通信利用要求を受け付け、その通信が利用するネットワークの帯域確保要求を出力するアプリケーションサーバと、
    このアプリケーションサーバからの帯域確保要求を受け付け、この要求された帯域確保が可能であるか否かを判定し、前記端末からの通信要求を許可するか否かの判定結果を前記アプリケーションサーバに通知する帯域管理装置とを備えた通信品質管理システムであって、
    前記MPLS装置は、
    前記ネットワークにおいて利用される可能性のある全てのエッジノード間に設定したパケットの転送経路に関する情報および故障発生の際にどの転送経路からどの転送経路に切り替えるかの迂回経路に関する情報を前記帯域管理装置へ通知する手段を備え、
    前記帯域管理装置は、
    前記ネットワークにおける全てのエッジノードとそのエッジノードに収容されている端末との対応を端末収容エッジ対応情報として記憶する端末収容エッジ対応情報記憶手段と、
    前記ネットワークにおける通信に利用される可能性のある全ての区間について、その区間とその区間の帯域容量の使用状況との対応を区間帯域管理情報として記憶する区間帯域管理情報記憶手段と、
    前記MPLS装置によって設定される全ての転送経路について、その転送経路とその転送経路の発側および着側のエッジノードとの対応を転送経路エッジ対応情報として記憶する転送経路エッジ対応情報記憶手段と、
    前記MPLS装置によって設定される全ての転送経路について、その転送経路とその転送経路内の各区間との対応を転送経路区間対応情報として記憶する転送経路区間対応情報記憶手段と、
    前記アプリケーションサーバからの帯域確保要求を受け付け、前記端末収容エッジ対応情報および前記転送経路エッジ対応情報に基づいて利用する転送経路を特定し、この特定した転送経路において要求された帯域確保が可能であるか否かを前記転送経路区間対応情報および前記区間帯域管理情報に基づいて判定し、前記端末からの通信要求を許可するか否かの判定結果を前記アプリケーションサーバに通知する帯域確保要求受付判定手段と
    前記利用する転送経路において要求された帯域確保が可能であると判定された場合、その利用する転送経路に対して通知されている迂回経路についても同時に帯域を確保する帯域確保手段と
    を備えたとを特徴とする通信品質管理システム。
  2. 請求項1に記載された通信品質管理システムにおいて、
    前記帯域確保要求受付判定手段は、
    前記アプリケーションサーバからの帯域確保要求を受け付け、前記端末収容エッジ対応情報を検索することによりその通信の発側および着側の端末が収容されている発エッジノードおよび着エッジノードを特定し、この特定した発エッジノードと着エッジノードとの間に設定されている転送経路を前記転送経路エッジ対応情報を検索することにより利用する転送経路として特定し、この特定した転送経路の各区間を前記転送経路区間対応情報を検索することにより特定し、この特定した各区間において要求された帯域確保が可能であるか否かを前記区間帯域管理情報を参照して判定し、前記端末からの通信要求を許可するか否かの判定結果を前記アプリケーションサーバに通知する
    ことを特徴とする通信品質管理システム。
  3. 請求項2に記載された通信品質管理システムにおいて、
    前記帯域確保要求受付判定手段は、
    前記特定した各区間について前記区間帯域管理情報を参照してその区間の帯域容量の使用状況を確認し、前記通信要求に対して必要とされる帯域容量を賄える帯域容量が全ての区間に残されていれば前記通信要求を許可し、前記通信要求に対して必要とされる帯域容量を賄える帯域容量が1区間でも残されていなければ前記通信要求を不許可とする判定結果を前記アプリケーションサーバに通知する
    ことを特徴とする通信品質管理システム。
  4. ラベルスイッチング方式によってパケットを転送するMPLS対応の複数のノードを備え、これらノードのうち端末を収容するノードをエッジノードとするネットワークに適用される通信品質管理方法であって
    前記ネットワークにおいて利用される可能性のある全てのエッジノード間に前記パケットの転送経路を設定する第1ステップと、
    前記ネットワークにおいて利用される可能性のある全てのエッジノード間に設定したパケットの転送経路に関する情報および故障発生の際にどの転送経路からどの転送経路に切り替えるかの迂回経路に関する情報を通知する第2ステップと、
    前記エッジノードに収容されている端末からの通信利用要求を受け付け、その通信が利用するネットワークの帯域確保要求をアプリケーションサーバから出力する第3ステップと、
    前記ネットワークにおける全てのエッジノードとそのエッジノードに収容されている端末との対応を端末収容エッジ対応情報として記憶する第4ステップと、
    前記ネットワークにおける通信に利用される可能性のある全ての区間について、その区間とその区間の帯域容量の使用状況との対応を区間帯域管理情報として記憶する第5ステップと、
    前記第1ステップにより設定される全ての転送経路について、その転送経路とその転送経路の発側および着側のエッジノードとの対応を転送経路エッジ対応情報として記憶する第6ステップと、
    前記第1ステップにより設定される全ての転送経路について、その転送経路とその転送経路内の各区間との対応を転送経路区間対応情報として記憶する第7ステップと、
    前記アプリケーションサーバからの帯域確保要求を受け付け、前記端末収容エッジ対応情報および前記転送経路エッジ対応情報に基づいて利用する転送経路を特定し、この特定した転送経路において要求された帯域確保が可能であるか否かを前記転送経路区間対応情報および前記区間帯域管理情報に基づいて判定し、その判定結果を前記アプリケーションサーバに通知する第8ステップと、
    前記利用する転送経路において要求された帯域確保が可能であると判定された場合、その利用する転送経路に対して通知されている迂回経路についても同時に帯域を確保する第9ステップと
    を備えたことを特徴とする通信品質管理方法。
  5. 請求項4に記載された通信品質管理方法において、
    前記第8ステップにおいて、
    前記アプリケーションサーバからの帯域確保要求を受け付け、前記端末収容エッジ対応情報を検索することによりその通信の発側および着側の端末が収容されている発エッジノードおよび着エッジノードを特定し、この特定した発エッジノードと着エッジノードとの間に設定されている転送経路を前記転送経路エッジ対応情報を検索することにより利用する転送経路として特定し、この特定した転送経路の各区間を前記転送経路区間対応情報を検索することにより特定し、この特定した各区間において要求された帯域確保が可能であるか否かを前記区間帯域管理情報を参照して判定し、前記端末からの通信要求を許可するか否かの判定結果を前記アプリケーションサーバに通知するようにした
    ことを特徴とする通信品質管理方法。
  6. 請求項5に記載された通信品質管理方法において、
    前記第8ステップにおいて、
    前記特定した各区間について前記区間帯域管理情報を参照してその区間の帯域容量の使用状況を確認し、前記通信要求に対して必要とされる帯域容量を賄える帯域容量が全ての区間に残されていれば前記通信要求を許可し、前記通信要求に対して必要とされる帯域容量を賄える帯域容量が1区間でも残されていなければ前記通信要求を不許可すとする判定結果を前記アプリケーションサーバに通知するようにした
    ことを特徴とする通信品質管理方法。
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