JP3922953B2 - 熱現像感光材料 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱現像感光材料、詳しくは、処理後のハイライト部における色調・着色濃度が好ましく、かつ鮮鋭度が高い画像を与える熱現像感光材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱現像感光材料は既に古くから提案されており、例えば、米国特許3152904号、同3457075号の各明細書およびB.シェリー(Shely) による「熱によって処理される銀システム(Thermally Processed Silver Systems)」(イメージング・プロセッシーズ・アンド・マテリアルズ(Imaging Processes and Materials)Neblette 第8版、スタージ(Sturge)、V.ウオールワース(Walworth)、A.シェップ(Shepp) 編集、第2頁、1996年)に記載されている。
熱現像感光材料は、一般に、触媒活性量の光触媒(例、ハロゲン化銀)、還元剤、還元可能な銀塩(例、有機銀塩)、銀の色調を制御する色調剤を、バインダーのマトリックス中に分散した感光性層を有している。熱現像感光材料は、画像露光後、高温(例えば80℃以上)に加熱し、ハロゲン化銀あるいは還元可能な銀塩(酸化剤として機能する)と還元剤との間の酸化還元反応により、黒色の銀画像を形成する。酸化還元反応は、露光で発生したハロゲン化銀の潜像の触媒作用により促進される。そのため、黒色の銀画像は、露光領域に形成される。
【0003】
近年の写真技術、特に医療用写真や印刷用写真の技術分野では、簡易かつ迅速な現像処理が求められている。しかし、湿式現像処理の改良は、ほぼ限界に達している。そのため、医療用写真や印刷用写真の技術分野では、熱現像処理による画像形成方法が改めて注目されるようになっている。このような 熱現像処理は、湿式現像処理における処理液が不要であり、簡易かつ迅速に処理できるとの利点があって、しかも処理液の廃液を排出しないという、地球環境に配慮した処理方法である。
【0004】
医療用写真分野では、ブルーに着色されたポリエステル支持体、特に1,4−ジアニリロ−アントラセン顔料を含むポリエチレンテレフタレート(PET)を用いることが周知である。このブルー色調の支持体は、長年、医療関係者がブルー色調のレントゲン写真を鑑賞するのに慣れており、このような色調を背景として診断が行われてきているため、好まれる。
【0005】
上記熱現像感光材料においても、ブルー色調にするための提案がなされており、(1)支持体を着色する方法、(2)顔料や染料を支持体以外の層に含有する方法がそれぞれ提案・実施されている。近年、医療用写真分野においても、ブルー色調でないクリアな画像が好まれる場合もあり、ブルー・クリアの支持体を作り分ける必要がないという点で、後者の方が有利であり、かつ、着色した支持体を廃棄物として排出することがないので、地球環境に配慮するという観点からも好ましい。また、上記熱現像感光材料の感光層中にはイラジエーション防止用として露光波長に吸収を有する染料または顔料を添加することが好ましく、この点からも後者の方が好ましい。
(1)または(2)の例として、特開2000−29164号公報、特開2000−158825号公報、特開平10−268465号公報、国際公開特許98/36322号公報が挙げられる。水または有機溶剤を主とする塗布液から形成される感光層側のいずれかの層中に着色をする場合、熱現像中に感光材料中でおこる反応によって染料が分解消色するという問題があるために、染料の消色を避ける必要があって、具体的には顔料が使用されるのが実態である。
【0006】
一方、特に、水を主とする塗布液の場合、顔料の水系溶媒での分散液の分光吸収特性が鮮やかでないため、例えば特開2000−112060号公報記載の実施例のように補助的に水溶性染料を使用する場合があった。しかしながら、水溶性染料は上述した染料の消色あるいは熱現像処理後の保存による褪色があるために、背景色が変化するという問題が起こりやすい欠点を有していた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、上記問題に対して種々検討した結果、熱現像感光材料に水溶性金属フタロシアニン化合物を使用することで、処理後のハイライト部の色調を経時変化させず、解決に到ったものである。
本発明の目的は、十分な鮮鋭度の画像が得られ、処理後において好ましい色調(ブルー)と着色濃度を有する背景色が得られ、保存によって背景色が変化せず、取り扱い性に優れた熱現像感光材料を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、下記1〜10の熱現像感光材料により達成される。
1.支持体上に、有機銀塩、感光性ハロゲン化銀、還元剤を含む少なくとも一層の感光性層、および少なくとも一層の非感光性層を有する熱現像感光材料であって、水系塗布液により塗設された感光性層又は非感光性層中に、水溶性の金属フタロシアニン化合物を含有することを特徴とする熱現像感光材料。
2.水溶性金属フタロシアニン化合物が、銅フタロシアニン化合物であることを特徴とする上記1記載の熱現像感光材料。
3.水溶性金属フタロシアニン化合物が、下記一般式(Pc−1)で表されることを特徴とする上記1または2記載の熱現像感光材料。
一般式(Pc−1):MPc(SO3H)n(SO2NHR)m(上記一般式(Pc−1)中、Pcはフタロシアニン骨格を表し、Rはアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、それらは各々置換基を有していても良い。nは0から4、mは1から4の数を表す。Mは水素原子、金属原子またはその酸化物、水酸化物もしくはハロゲン化物である。)
4.水溶性金属フタロシアニン化合物が、支持体の感光性層が塗設された側に含有されていることを特徴とする上記1〜3いずれかに記載の熱現像感光材料。
5.熱現像感光材料の感光性層または非感光性層の少なくとも1層に、下記一般式(H)、(H1)または(H2)で表されるポリハロゲン化合物を含有することを特徴とする上記1〜4のいずれかに記載の熱現像感光材料。
一般式(H)
Q−(Y)n−C(Z1)(Z2)X(上記一般式(H)において、Qはアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、Yは2価の連結基を表し、nは0または1を表し、Z1およびZ2は、それぞれ独立に、ハロゲン原子を表し、Xは水素原子または電子吸引性基を表す。
一般式(H1)
【0009】
【化1】
Figure 0003922953
【0010】
(一般式(H1)中、Z1およびZ2は、それぞれ独立に、ハロゲン原子を表し、Aは水素原子またはハロゲン原子を表し、R1は、1または2個以上の置換基を有していてもよい炭素数2〜12のアルキル基、1または2個以上の置換基を有していてもよい炭素数2〜12のアルケニル基あるいは1または2個以上の置換基を有していてもよい炭素数2〜12のアルキニル基を表す。)
一般式(H2)
【0011】
【化2】
Figure 0003922953
【0012】
(式(H)中、X1およびX2は、ハロゲン原子を表す。Yは、2価の連結基を表す。Aは、水素原子、ハロゲン原子、またはその他の電子吸引性基を表す。mは1以上4以下の整数を表す。Qはヘテロ環基を表す。nは0以上3以下の整数を表す。)
6.水溶性金属フタロシアニン化合物が、感光性層が塗設された側と反対の支持体面に塗設された層中に含有されていることを特徴とする上記1〜5のいずれかに記載の熱現像感光材料。
7.感光性層が塗設された側と反対の支持体面に塗設された層中に、塩基プレカーサー化合物が含有されていることを特徴とする上記1〜6のいずれかに記載の熱現像感光材料。
8.水溶性金属フタロシアニン化合物の中心金属と同じ種類の金属のフリーイオンがフタロシアニン化合物の含有量に対し200モル%を超えない範囲で含有されていることを特徴とする上記1〜7いずれかに記載の熱現像感光材料。
9.水溶性有機溶媒が、水溶性金属フタロシアニン化合物の含有量1モルに対して、1モル〜500モルの範囲で含有されていることを特徴とする上記1〜8のいずれかに記載の熱現像感光材料。
10.水溶性有機溶媒が、尿素であることを特徴とする上記9記載の熱現像感光材料。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明についてさらに詳述する。
まず、本発明における「水溶性金属フタロシアニン化合物」について説明する。
金属フタロシアニン化合物は、金属を含まないフタロシアニン核の金属錯塩であって、中心金属は、Na,K,Be,Mg,Mn,Ca,Ba,Cd、Hg,Cr,Fe,Co,Ni,Zn,Pt,Pd,Cu,Ti,V,Si,Sr,Mo,B,Al,Pb,Snなどの金属元素のうち錯塩を安定に形成するものであればどれでも良いが、好ましくは遷移金属元素が好ましく、例としてクロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛を挙げることができ、特に好ましくは銅である。
【0014】
本発明における金属フタロシアニン化合物は水溶性であるため、そのフタロシアニン炭素環式芳香族環に直接または連結基を介して、水溶性基で置換されている。水溶性基としては、スルホン酸基またはその塩、カルボン酸基またはその塩などのpKaが6以下の解離性基またはその塩がフタロシアニン炭素環式芳香族環に直接または連結基を介して結合したものである。具体的には、−SO2NHSO2R、−CONHCOOR、−SO2NHCORなどを挙げることができる。また、水溶性ポリマー主鎖にペンダントとして金属フタロシアニン化合物が連結された化合物も用いることができる。
【0015】
下記一般式(Pc−X)で表される化合物は、従来ブルーの背景色用途に使用できることが知られているが、分子中に水溶性基が存在しないため本発明に用いる水溶性金属フタロシアニン化合物には含まない。
一般式(Pc−X)
【0016】
【化3】
Figure 0003922953
【0017】
(式中:
Mは多原子価金属原子である。
1、R4、R5、R8、R9、R12、R13およびR16は、それぞれ独立に、水素原子または置換若しくは非置換の、分岐若しくは非分岐のアルキル基を表す。
2、R3、R6、R7、R10、R11、R14およびR15は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは非置換の、分岐若しくは非分岐のアルキル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換のアルコキシ基または置換若しくは非置換のアリールオキシ基を表す。
または、隣接する、R1およびR2、R2およびR3、R3およびR4、R5およびR6、R6およびR7、R7およびR8、R8およびR9、R9およびR10、R10およびR11、R11およびR12、R13およびR14、R14およびR15ならびにR15およびR16の対の一つまたはそれ以上が一緒になって置換若しくは非置換の芳香族若しくはヘテロ芳香族環を形成するのに必要な原子群を表わす。)
【0018】
水溶性フタロシアニンのうち市販のものでは、染料便覧(1975年丸善)やCOLOUR INDEX International third edition (1992, The Society of Dye and Colourists)に記載の酸性染料、直接染料、反応性染料を用いることができる。具体的には、C.I.Acid Blue185,197,228,242,243,249,254,255,275,279,283やC.I.Direct Blue 86,87,189,199,262,264,276、およびC.I.Reactive Blue3,7,11,14,15,18,21,23,25,30,35,38,41,48,57,58,63,71,72,77,80,85,88,91,92,95,105,106,107,117,118,123,124,136,140,143,148,151,152,153,190,197,207,215,227,229,231等を使用することができる。
C.I.Direct Blue 86について、具体的には Aizen Primula Turquoise Blue GLH(保土谷化学)、Cupro Cyanine Blue GL(東洋インキ)、Daivogen Turquoise Blue S(大日本インキ)、Direct Fast Cyanine Blue GL(高岡化学)、Kayafect Blue GT、Kayafect Blue T、Kayarus Turquoise Blue GL(以上 日本化薬)、Kiwa Turquoise Blue GL(紀和化学)、Nankai Direct Fast Cyanine Blue GL(南海染料)、Phthalocyanine Blue G conc.(宇須化学)、Sanyo Turquoise Blue BLR(山陽色素)、Sanyo Cyanine Blue SBL conc.-B(山陽色素)、Sumilight Supra Turquoise Blue G conc.、Sumilight Supra Turquoise Blue FB conc.(以上 住友化学)、Sirius Supra Turquoise Blue GL(Bayer)、Diazol Light Turquoise JL(ICI)、Lurantin Light Turquoise Blue GL(BASF)、Solar Turquoise Blue GLL(Sandoz)などの商品が挙げられる。
C.I.Direct Blue 199について、具体的には Solar Turquoise Blue FBL(Sandoz)、Lurantin Light Turquoise Blue FBL(BASF)、Diazol Light Turquoise JRL(ICI)、Levacell Fast Turquoise Blue BLN、Levacell Fast Turquoise Blue FBL(以上 Bayer)、Kayafect Turquoise RN(日本化薬)、Sumilight Supra Turquoise Blue FB(住友化学)、Jay Direct Turquoise Blue CGL, Jay Direct Turquoise Blue FBL(以上 Jay Chemical)、 などの商品が挙げられる。
【0019】
色調が好ましい会合吸収の大きなフタロシアニン化合物としては、スルファモイル基、カルバモイル基、水酸基のような水素結合性の置換基を分子内に有する化合物が好ましく、好ましいものとして一般式Pc−1で表されるものを挙げることができる。
一般式Pc−1:MPc(SO3H)n(SO2NHR)m
上記一般式Pc−1において、Pcはフタロシアニン骨格を表し、Rはアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、それらは各々置換基を有していても良い。nは0から4、mは1から4の数を表す。Mは水素原子、金属原子またはその酸化物、水酸化物もしくはハロゲン化物を表す。
Mとしては、Cu、Ni、Zn、Al等が好ましく、Cuが最も好ましい。一般式Pc−1においてスルホ基は遊離の形で表されているが塩であってもよい。一般式Pc−1で表されるフタロシアニン化合物は水溶性であり、分子内に少なくとも1個イオン性親水性基を有する。イオン性親水性基には、スルホ基、カルボキシル基、ホスホノ基および4級アンモニウム基等が含まれる。前記イオン性親水性基としては、カルボキシル基、ホスホノ基、およびスルホ基が好ましく、特にカルボキシル基、スルホ基が好ましい。カルボキシル基、ホスホノ基およびスルホ基は塩の状態であってもよく、塩を形成する対イオンの例には、アンモニウムイオン、アルカリ金属イオン(例、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン)および有機カチオン(例、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラメチルグアニジウムイオン、テトラメチルホスホニウム)が含まれる。
【0020】
この他、トリアジニル基を有する反応性染料およびトリアジニル反応性基を加水分解した染料も好ましい。
さらには、特開2000-303009、特願2001-96610号、同2001-226275号、同2001-47013号、同2001-57063号、同2001-76689号に記載されたような、いわゆる下記一般式Pc−2で表されたようなβ位に特定の置換基を有するフタロシアニン化合物が大きな会合吸収を与える点で好ましく用いられる。
一般式Pc−2
【0021】
【化4】
Figure 0003922953
【0022】
11〜X14は、それぞれ独立に、−SO−Z、−SO2−Z、−SO2NR12、スルホ基、−CONR12、または−CO21を表す。ここで、Zは、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換の複素環基を表す。R1、R2は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換の複素環基を表す。
11〜Y18は、それぞれ独立に、一価の置換基を表す。
Mは、Cu、Ni、Zn、Al等が好ましく、Cuが最も好ましい。
11〜a14は、それぞれ独立に、1または2の整数を表し、4≦a11+a12+a13+a14≦6を満たすことが好ましく、その中でもa11=a12=a13=a14=1のときが特に好ましい。
【0023】
11、X12、X13およびX14は、それぞれ全く同じ置換基であっても良く、あるいは例えばX11、X12、X13およびX14が全て−SO2−Zであるが各Zは互いに異なるものを含む場合のように、同じ種類の置換基であるが部分的に互いに異なる置換基であっても良く、あるいは例えば−SO2−Zと−SO2NR12が同時に置換した場合のように、互いに異なる置換基を含んでいても良い。
一般式Pc−2で表されるフタロシアニン化合物は水溶性であり、分子内に少なくとも1個イオン性親水性基を有する。イオン性親水性基には、一般式Pc−1で挙げた基を挙げることができる。
【0024】
以下に一般式Pc−1およびPc−2で表される好ましい化合物の例を挙げる。
以下、イオン性親水性基はすべて遊離の形で表すが塩であっても良い。
(I)C.I.Direct Blue 199
CuPc(SO3H)n(SO2NHR)mで表される化合物
(I−1) n=1、m=3 R=CH2CH2SO3
(I−2) n=2、m=2 R=CH2CO2
(I−3) n=3、m=1 R=CH2CH2CO2
(I−4) n=3、m=1 R=CH2CH2OH
(I−5) n=3、m=1 R=CH2CH(OH)CH3
(I−6) n=3、m=1 R=CH2CH2OCH2CH2OH
【0025】
(II)一般式Pc−2において、Y11〜Y18=H、a11〜a14=1の染料
(II−1)X11〜X14=SO2NHCH2CH2SO3
(II−2)X11〜X14=CONHCH2CO2
(II−3)X11〜X14=SO2CH2CH2CH2SO3
(II−4)X11〜X14=SO3
(II−5)X11〜X14=CO2
(II−6)X11〜X14=CONHCH2CH2SO3
(II−7)X11〜X14=CONHCH2SO3
(II−8)X11〜X14=SO2CH2CH(OH)CH2SOH
【0026】
さらには、特願2001-96610号、同2001-226275号、同2001-47013号、同2001-57063号、同2001-76689号に記載された染料を挙げることができる。
【0027】
本発明の水溶性金属フタロシアニン化合物は、支持体に対し感光性層が塗設された側の少なくとも1層または、感光性層が塗設された側とは反対の面に塗設された少なくとも1層に含有することができるが、本発明の水溶性金属フタロシアニン化合物は、支持体に対し感光性層の塗設された側に含有されることが好ましい。このとき、感光層が塗設された側の少なくとも1層にポリハロゲン化合物を含有する態様も好ましい。
【0028】
また、支持体の感光性層が塗設された側と反対の面に塗設された層中に含有される場合には、塩基プレカーサー化合物が、同じ側の少なくとも1層に添加された態様も好ましい。
【0029】
本発明の水溶性金属フタロシアニン化合物の中心金属と同じ種類のフリーイオンは、ハロゲン化銀感光材料一般に、写真特性に影響を受けるため、該フタロシアニン化合物の含有量に対し200モル%を超えない範囲で、該熱現像感光材料中に含有されていることが好ましく、好ましくは100モル%以下、より好ましくは40モル%以下である。
【0030】
本発明の水溶性フタロシアニン化合物は、吸収スペクトルが以下の3つの特性を有するシアン染料であるうちの少なくとも1つの状態であることが好ましい。測定は、例えば、JIS K 0115「吸光光度分析通則」に準拠して行われる。
【0031】
(1)吸収スペクトルのピークが、波長590nm〜640nmの間と、波長650nm〜710nmの間の両方に存在するシアン染料。
【0032】
(2)吸収スペクトルのピークが、波長590nm〜640nmの間に存在し、波長650nm〜710nmの間に存在しない(吸収極大にならないショルダーは除く)シアン染料。
【0033】
(3)吸収スペクトルのピークが、波長650nm〜710nmの間に存在し、波長590nm〜640nmの間に存在しない(吸収極大にならないショルダーは除く)シアン染料。
【0034】
一般的に、同じカラーインデックスナンバーの染料であっても、置換基の種類や位置、数が変わることによって、吸収スペクトルのピークの位置や大きさが変わることが知られている。
フタロシアニン化合物は、波長650nmから710nm、より好ましくは650nmから690nmの間にモノマーの吸収ピークを、波長590nmから650nm、より好ましくは600nmから650nmの間に会合体の吸収ピークを有することが一般的である。モノマーの吸収があまりにも強いと色調がグリーン味となるので、医療用写真分野で好まれるブルー色調を得るためには好ましくない。
【0035】
例えば(1)の場合のようなシアン染料は広い波長に渡り吸収を有するため、感光材料中では、色調調整、イラジエーション防止、ハレーション防止、セーフライトフィルターなど幅広い機能を持たせることができ非常に好ましい。
膜中の吸収スペクトルにおいて、Aは波長590nm〜640nmにおける吸収スペクトルのピーク値を示し、Bは波長650nm〜710nmにおける吸収スペクトルのピーク値を示すももとした場合に、以下のような点で好ましい比率を示すことができる。
即ち、色調調整が可能で、赤感性感光材料での感度低下が少ないという目的のためには、B/A≦1.0であることが好ましく、0.9以下であることが更に好ましく、0.8以下であることが最も好ましい。
また反対に、イラジエーション防止、ハレーション防止機能を重視した場合、B/A>1.0であることが好ましいが、これら諸機能のバランスを取る上では、以下の不等式を満たすことが好ましい。
好ましくは、 0.5<B/A<1.8
特に好ましくは、0.8<B/A<1.3
波長590nm〜640nmと650nm〜710nmの間に、それぞれ吸収スペクトルのピークがある水溶性フタロシアニン化合物において、この2つのピークの値の比は化合物によって異なり、それは置換基の種類や位置、数の違いによるものである。
【0036】
また、(2)の場合のようなシアン染料の場合、吸収がシャープ、かつ可視域の吸収が多いので、感光材料中では、色調調整、セーフライトフィルターなどの機能に少量で有効に機能させることができる点で好ましい。波長650nm〜710nmの間に吸収スペクトルのピークがない状態もまた、化合物によって異なり、それは置換基の種類や位置、数の違いによるものである。
【0037】
また(3)の場合のようなシアン染料の場合、吸収がシャープかつ、可視域の吸収が少ないので、感光材料中では、イラジエーション防止、ハレーション防止などの機能に少量で有効に機能させることができる点で好ましい。波長590nm〜640nmの間に吸収スペクトルのピークがない状態もまた、化合物によって異なり、それは置換基の種類や位置、数の違いによるものである。
【0038】
該水溶性フタロシアニン化合物の吸光度は、化合物の2質量%水溶液を水で1000倍に希釈した液体の400nmから800nmにおける最大吸光度が0.3以上1.2未満であることが好ましい。
【0039】
本発明の水溶性フタロシアニン化合物は、予め水を媒体として調製された水溶液として感光材料の製造で用いることが好ましい。該水溶液中に、本発明の水溶性フタロシアニン化合物は、0.1〜30質量%で含有され、好ましくは0.5〜20質量%、更に好ましくは1〜8質量%程度含有される。該水溶液はさらに水溶性有機溶媒や補助添加剤を含有していても良い。その含有量は、水溶性有機溶媒0〜30質量%、好ましくは5〜30質量%、補助添加剤0〜5質量%、好ましくは0〜2質量%程度である。
【0040】
本発明の水溶性フタロシアニン化合物の水溶液を調製するに当たり、使用し得る水溶性有機溶剤の具体例としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、第二ブタノール、第三ブタノール等のC1〜C4アルカノール、N,N−ジメチルホルムアミドまたはN,N−ジメチルアセトアミド等のカルボン酸アミド、ε−カプロラクタム、N−メチルピロリジン−2−オン等のラクタム類、尿素、1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−オンまたは1,3−ジメチルヘキサヒドロピリミド−2−オン等の環式尿素、アセトン、メチルエチルケトン、2−メチル−2−ヒドロキシペンタン−4−オン等のケトンまたはケトアルコール、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル、エチレングリコール、1,2−または1,3−プロピレングリコール、1,2−または1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、チオジグリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のC2〜C6アルキレン単位を有するモノマー、オリゴマーまたはポリアルキレングリコールまたはチオグリコール、グリセリン、ヘキサン−1.2.6−トリオール等のポリオール(トリオール)、エチレングリコールモノメチルーエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールのC1〜C4アルキルエーテル、γーブチロラクトンまたはジメチルスルホキシド等があげられる。これらの水溶性有機溶媒は2種以上併用しても良い。
【0041】
上記水溶性有機溶媒のうち、尿素、N−メチルピロリジン−2−オン、炭素数2〜6のアルキレン単位を有するモノ、ジまたはトリアルキレングリコールが好ましく、更にモノ、ジまたはトリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジメチルスルホキシド等が好ましく用いられ、特に、N−メチルピロリジン−2−オン、ジエチレングリコール、ジメチルスルホキシド、尿素の使用が好ましく、特に好ましいのは尿素である。
なお、本発明の水溶性フタロシアニン化合物は、感光材料の作成時に該水溶液をさらに種々の薬品と混合して希釈されていくため、該水溶液とは別に、水溶性有機溶媒を該水溶性金属フタロシアニン化合物の含有量1モルに対して、1モル〜500モルの範囲で含ませる方法も好ましく用いられる。
【0042】
補助添加剤としては、例えば防腐防黴剤、pH調整剤、キレート試薬、防錆剤、水溶性紫外線吸収剤、水溶性高分子化合物、染料溶解剤、界面活性剤などがそれぞれ必要により添加される。
【0043】
防腐防黴剤としては、例えばデヒドロ酢酸ソーダ、ソルビン酸ソーダ、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、ベンゾイソチアゾリノンおよびその塩、パラヒドロキシ安息香酸エステル類等が使用しうる。
【0044】
pH調整剤としては、調合される水溶液に悪影響を及ぼさずに、pHを4〜11の範囲に制御できるものであれば任意の物質を使用することができる。その例として、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物、水酸化アンモニウム、あるいは炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属の炭酸塩などが挙げられる。
【0045】
キレート試薬としては、例えばエチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラシル二酢酸ナトリウムなどがあげられる。防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオグルコール酸アンモニア、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライトなどがあげられる。水溶性高分子化合物としては、例えばポリビニルアルコール、セルロース誘導体、ポリアミン、ポリイミン等があげられる。水溶性紫外線吸収剤としては、例えばスルホン化されたベンゾフェノン、スルホン化されたベンゾトリアゾール等があげられる。染料溶解剤としては、例えばεーカプロラクタム、エチレンカーボネート、尿素等があげられる。界面活性剤としては、例えばアニオン系、カチオン系、ノニオン系等の公知の界面活性剤があげられ、たとえば、アセチレングリコール系界面活性剤なども好ましく用いられる。
【0046】
染料の添加量は、熱現像処理後の画像の色調をブルーにあわせるために、銀色調やほかの添加剤によってもたらされる色調と組み合わせて決定する。一般には、目的とする波長(シアン染料の場合、600nmで測定)で測定したときの光学濃度(吸光度)が0.5を越えない量で使用する。光学濃度は、0.01から0.5であり、好ましくは0.01から0.1であり、さらに好ましくは0.01から0.05である。このような光学濃度を得るための染料の使用量は、一般に0.5から150mg/m2、好ましくは0.5から30mg/m2、0.5から15mg/m2程度である。
【0047】
以下に本発明の熱現像感光材料について詳細に説明する。
(有機銀塩の説明)
本発明に用いることのできる有機銀塩は、光に対して比較的安定であるが、露光された感光性ハロゲン化銀及び還元剤の存在下で、80℃或いはそれ以上に加熱された場合に銀イオン供給体として機能し、銀画像を形成せしめる銀塩である。有機銀塩は還元剤により還元されうる銀イオンを供給できる任意の有機物質であってよい。このような非感光性の有機銀塩については、特開平10-62899号の段落番号0048〜0049、欧州特許公開第0803764A1号の第18ページ第24行〜第19ページ第37行、欧州特許公開第0962812A1号、特開平11-349591号、特開2000-7683号、同2000-72711号等に記載されている。有機酸の銀塩、特に(炭素数が10〜30、好ましくは15〜28の)長鎖脂肪族カルボン酸の銀塩(脂肪酸銀塩)が好ましい。
脂肪酸銀塩の好ましい例としては、リグノセリン酸銀塩、ベヘン酸銀、アラキジン酸銀、ステアリン酸銀、オレイン酸銀、ラウリン酸銀、カプロン酸銀、ミリスチン酸銀、パルミチン酸銀、エルカ酸およびこれらの混合物などを含む。本発明においては、これら脂肪酸銀の中でも、ベヘン酸銀含有率が好ましくは50モル%以上、より好ましくは85モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上の脂肪酸銀を用いることが好ましい。
【0048】
本発明に用いることができる有機銀塩の形状としては特に制限はなく、針状、棒状、平板状、りん片状いずれでもよい。
本発明においてはりん片状の有機銀塩が好ましい。また、長軸と単軸の長さの比が5以下の短針状、直方体、立方体またはジャガイモ状の不定形粒子も好ましく用いられる。これらの有機銀粒子は長軸と単軸の長さの比が5以上の長針状粒子に比べて熱現像時のカブリが少ないという特長を有している。特に、長軸と単軸の比が3以下の粒子は塗布膜の機械的安定性が向上し好ましい。
【0049】
本明細書において、上記りん片状の有機銀塩とは、次のようにして定義する。有機酸銀塩を電子顕微鏡で観察し、有機酸銀塩粒子の形状を直方体と近似し、この直方体の辺を一番短かい方からa、b、cとした(cはbと同じであってもよい。)とき、短い方の数値a、bを用いて下記式からxを算出する。
x=b/a
このようにして200個程度の粒子についてxを求め、その平均値x(平均)としたとき、x(平均)≧1.5の関係を満たすものをりん片状とする。好ましくは30≧x(平均)≧1.5、より好ましくは20≧x(平均)≧2.0である。因みに針状とは1.5>x(平均)≧1を満たす形状である。
【0050】
りん片状粒子において、aはbとcを辺とする面を主平面とした平板状粒子の厚さとみることができる。aの平均は、0.01μm以上0.23μmが好ましく、0.1μm以上0.20μm以下がより好ましい。c/bの平均は、好ましくは1以上6以下、より好ましくは1.05以上4以下、さらに好ましくは1.1以上3以下、特に好ましくは1.1以上2以下である。
【0051】
有機銀塩の粒子サイズ分布は、単分散であることが好ましい。単分散とは短軸、長軸それぞれの長さの標準偏差を短軸、長軸それぞれで割った値の100分率が好ましくは100%以下、より好ましくは80%以下、更に好ましくは50%以下である。有機銀塩の形状の測定方法としては有機銀塩分散物の透過型電子顕微鏡像より求めることができる。単分散性を測定する別の方法として、有機銀塩の体積加重平均直径の標準偏差を求める方法があり、体積加重平均直径で割った値の百分率(変動係数)が好ましくは100%以下、より好ましくは80%以下、更に好ましくは50%以下である。測定方法としては例えば液中に分散した有機銀塩にレーザー光を照射し、その散乱光のゆらぎの時間変化に対する自己相関関数を求めることにより得られた粒子サイズ(体積加重平均直径)から求めることができる。
【0052】
本発明に用いられる有機銀塩の製造及びその分散法は、公知の方法等を適用することができる。例えば上記の特開平10-62899号、欧州特許公開第0803763A1、欧州特許公開第0962812A1号、特開平11-349591号、特開2000-7683号、同2000-72711号、特願平11-348228〜30号、同11-203413号、特願2000-90093号、同2000-195621号、同2000-191226号、同2000-213813号、同2000-214155号、同2000-191226号等を参考にすることができる。
【0053】
なお、有機銀塩の分散時に、感光性銀塩を共存させると、カブリが上昇し、感度が著しく低下するため、分散時には感光性銀塩を実質的に含まないことがより好ましい。本発明では、分散される水分散液中での感光性銀塩量は、その液中の有機酸銀塩1molに対し1mol%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1mol%以下であり、さらに好ましいのは積極的な感光性銀塩の添加を行わないものである。
【0054】
本発明において、有機銀塩水分散液と感光性銀塩水分散液を混合して感光材料を製造することが可能であるが、有機銀塩と感光性銀塩の混合比率は目的に応じて選べるが、有機銀塩に対する感光性銀塩の割合は1〜30モル%の範囲が好ましく、更に2〜20モル%、特に3〜15モル%の範囲が好ましい。混合する際に2種以上の有機銀塩水分散液と2種以上の感光性銀塩水分散液を混合することは、写真特性の調節のために好ましく用いられる方法である。
【0055】
本発明の有機銀塩は所望の量で使用できるが、ハロゲン化銀も含めた全塗布銀量として0.1〜5.0g/m2が好ましく、より好ましくは0.3〜3.0g/m2、さらに好ましくは0.5〜2.0g/m2である。特に、画像保存性を向上させるためには、全塗布銀量が1.8g/m2以下、より好ましくは1.6g/m2であることが好ましい。本発明の好ましい還元剤を使用すれば、このような低銀量においても十分な画像濃度を得ることが可能である。
【0056】
(還元剤の説明)
本発明の熱現像感光材料には、有機銀塩のための還元剤である熱現像剤を含むことが好ましい。有機銀塩のための還元剤は、銀イオンを金属銀に還元する任意の物質(好ましくは有機物質)であってよい。このような還元剤の例は、特開平11-65021号の段落番号0043〜0045や、欧州特許公開第0803764A1号の第7ページ第34行〜第18ページ第12行に記載されている。
本発明において、還元剤としてはフェノール性水酸基のオルト位に置換基を有するいわゆるヒンダードフェノール系還元剤あるいはビスフェノール系還元剤が好ましく、下記一般式(R)で表される化合物がより好ましい。
一般式(R)
【0057】
【化5】
Figure 0003922953
【0058】
(一般式(R)において、R11およびR11’は、各々独立に、炭素数1〜20のアルキル基を表す。R12およびR12’は、各々独立に、水素原子またはベンゼン環に置換可能な置換基を表す。Lは−S−基または−CHR13−基を表す。R13は水素原子または炭素数1〜20のアルキル基を表す。X1およびX1’は、各々独立に、水素原子またはベンゼン環に置換可能な基を表す。)
【0059】
一般式(R)について詳細に説明する。
11およびR11’は、各々独立に、置換または無置換の炭素数1〜20のアルキル基であり、アルキル基の置換基は特に限定されることはないが、好ましくは、アリール基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、スルホニル基、ホスホリル基、アシル基、カルバモイル基、エステル基、ウレイド基、ウレタン基、ハロゲン原子等が挙げられる。
【0060】
12およびR12’は、各々独立に、水素原子またはベンゼン環に置換可能な置換基であり、X1およびX1’も、各々独立に、水素原子またはベンゼン環に置換可能な基を表す。それぞれベンゼン環に置換可能な基としては、好ましくはアルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルアミノ基があげられる。
【0061】
Lは、−S−基または−CHR13−基を表す。R13は水素原子または炭素数1〜20のアルキル基を表し、アルキル基は置換基を有していてもよい。R13の無置換のアルキル基の具体例はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘプチル基、ウンデシル基、イソプロピル基、1−エチルペンチル基、2,4,4−トリメチルペンチル基などがあげられる。アルキル基の置換基の例はR11の置換基と同様の基があげられる。
【0062】
11およびR11’として、好ましくは炭素数3〜15の2級または3級のアルキル基であり、具体的にはイソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基、t−アミル基、t−オクチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−メチルシクロプロピル基などがあげられる。R11およびR11’として、より好ましくは炭素数4〜12の3級アルキル基で、その中でもt−ブチル基、t−アミル基、1−メチルシクロヘキシル基が更に好ましく、t−ブチル基が最も好ましい。
【0063】
12およびR12’として、好ましくは炭素数1〜20のアルキル基であり、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、t−アミル基、シクロヘキシル基、1−メチルシクロヘキシル基、ベンジル基、メトキシメチル基、メトキシエチル基などがあげられる。より好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基である。
1およびX1’は、好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基で、より好ましくは水素原子である。
【0064】
Lは好ましくは−CHR13−基である。
13として、好ましくは水素原子または炭素数1〜15のアルキル基であり、アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、2,4,4−トリメチルペンチル基が好ましい。R13として特に好ましいのは、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基またはイソプロピル基である。
【0065】
13が水素原子である場合、R12およびR12’は好ましくは炭素数2〜5のアルキル基であり、エチル基、プロピル基がより好ましく、エチル基が最も好ましい。
13が炭素数1〜8の1級または2級のアルキル基である場合、R12およびR12’はメチル基が好ましい。R13の炭素数1〜8の1級または2級のアルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基がより好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基が更に好ましい。
11、R11’、R12およびR12’がいずれもメチル基である場合には、R13は2級のアルキル基であることが好ましい。この場合R13の2級アルキル基としてはイソプロピル基、イソブチル基、1−エチルペンチル基が好ましく、イソプロピル基がより好ましい。
上記還元剤はR11、R11’、R12、R12’およびR13の組み合わせにより、熱現像性、現像銀色調などが異なる。2種以上の還元剤を組み合わせることでこれらを調整することができるため、目的によっては2種以上を組み合わせて使用することが好ましい。
【0066】
以下に本発明の一般式(R)で表される化合物をはじめとする本発明の還元剤の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0067】
【化6】
Figure 0003922953
【0068】
【化7】
Figure 0003922953
【0069】
【化8】
Figure 0003922953
【0070】
本発明において、還元剤の添加量は0.1〜3.0g/m2であることが好ましく、より好ましくは0.2〜1.5g/m2で、さらに好ましくは0.3〜1.0g/m2である。画像形成層を有する面の銀1モルに対しては5〜50%モル含まれることが好ましく、より好ましくは8〜30モル%であり、10〜20モル%で含まれることがさらに好ましい。還元剤は画像形成層に含有させることが好ましい。
【0071】
還元剤は、溶液形態、乳化分散形態、固体微粒子分散物形態など、いかなる形態、方法で塗布液に含ませて感光材料に含有させてもよい。
よく知られている乳化分散法としては、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェート、グリセリルトリアセテートあるいはジエチルフタレートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を作製する方法が挙げられる。
【0072】
また、固体微粒子分散法としては、還元剤の粉末を水等の適当な溶媒中にボールミル、コロイドミル、振動ボールミル、サンドミル、ジェットミル、ローラーミルあるいは超音波によって分散し、固体分散物を作成する方法が挙げられる。なお、その際に保護コロイド(例えば、ポリビニルアルコール)、界面活性剤(例えばトリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム(3つのイソプロピル基の置換位置が異なるものの混合物)などのアニオン性界面活性剤)を用いてもよい。上記ミル類では分散媒体としてジルコニア等のビーズが使われるのが普通であり、これらのビーズから溶出するZr等が分散物中に混入することがある。
分散条件にもよるが、通常は1ppm〜1000ppmの範囲である。感材中のZrの含有量が銀1g当たり0.5mg以下であれば実用上差し支えない。
水分散物には防腐剤(例えばベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩)を含有させることが好ましい。
本発明においては還元剤は固体分散物として使用することが好ましい。
【0073】
(現像促進剤の説明)
本発明の熱現像感光材料では、現像促進剤として、特開2000-267222号明細書や特開2000-330234号明細書等に記載の一般式(A)で表されるスルホンアミドフェノール系の化合物、特開平2001-92075記載の一般式(II)で表されるヒンダードフェノール系の化合物、特開平10-62895号明細書や特開平11-15116号明細書等に記載の一般式(I)、特願2001-074278号明細書に記載の一般式(1)で表されるヒドラジン系の化合物、特願2000-76240号明細書に記載されている一般式(2)で表されるフェノール系またはナフトール系の化合物が好ましく用いられる。これらの現像促進剤は還元剤に対して0.1〜20モル%の範囲で使用され、好ましくは0.5〜10モル%の範囲で、より好ましくは1〜5モル%の範囲である。感材への導入方法は還元剤同様の方法があげられるが、特に固体分散物または乳化分散物として添加することが好ましい。乳化分散物として添加する場合、常温で固体である高沸点溶剤と低沸点の補助溶剤を使用して分散した乳化分散物として添加するか、もしくは高沸点溶剤を使用しない所謂オイルレス乳化分散物として添加することが好ましい。
本発明においては、上記現像促進剤の中でも、特願2001-074278号明細書に記載の一般式(1)で表されるヒドラジン系の化合物および特願2000-76240号明細書に記載されている一般式(2)で表されるフェノール系またはナフトール系の化合物が特に好ましい。
以下、本発明の現像促進剤の好ましい具体例を挙げる。本発明はこれらに限定されるものではない。
【0074】
【化9】
Figure 0003922953
【0075】
(水素結合性化合物の説明)
本発明における還元剤が芳香族性の水酸基(−OH)を有する場合、特に前述のビスフェノール類の場合には、これらの基と水素結合を形成することが可能な基を有する非還元性の化合物を併用することが好ましい。水酸基またはアミノ基と水素結合を形成する基としては、ホスホリル基、スルホキシド基、スルホニル基、カルボニル基、アミド基、エステル基、ウレタン基、ウレイド基、3級アミノ基、含窒素芳香族基などが挙げられる。その中でも好ましいのはホスホリル基、スルホキシド基、アミド基(但し、>N−H基を持たず、>N−Ra(RaはH以外の置換基)のようにブロックされている。)、ウレタン基(但し、>N−H基を持たず、>N−Ra(RaはH以外の置換基)のようにブロックされている。)、ウレイド基(但し、>N−H基を持たず、>N−Ra(RaはH以外の置換基)のようにブロックされている。)を有する化合物である。
本発明で、特に好ましい水素結合性の化合物は下記一般式(D)で表される化合物である。
一般式(D)
【0076】
【化10】
Figure 0003922953
【0077】
一般式(D)において、R21ないしR23は、各々独立に、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基またはヘテロ環基を表し、これらの基は無置換であっても置換基を有していてもよい。R21ないしR23が置換基を有する場合の置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アミノ基、アシル基、アシルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルホンアミド基、アシルオキシ基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、ホスホリル基などがあげられ、置換基として好ましいのはアルキル基またはアリール基でたとえばメチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、t−オクチル基、フェニル基、4−アルコキシフェニル基、4−アシルオキシフェニル基などがあげられる。
21ないしR23のアルキル基としては、具体的にはメチル基、エチル基、ブチル基、オクチル基、ドデシル基、イソプロピル基、t−ブチル基、t−アミル基、t−オクチル基、シクロヘキシル基、1−メチルシクロヘキシル基、ベンジル基、フェネチル基、2−フェノキシプロピル基などがあげられる。アリール基としてはフェニル基、クレジル基、キシリル基、ナフチル基、4−t−ブチルフェニル基、4−t−オクチルフェニル基、4−アニシジル基、3,5−ジクロロフェニル基などが挙げられる。アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、3,5,5−トリメチルヘキシルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、4−メチルシクロヘキシルオキシ基、ベンジルオキシ基等が挙げられる。アリールオキシ基としてはフェノキシ基、クレジルオキシ基、イソプロピルフェノキシ基、4−t−ブチルフェノキシ基、ナフトキシ基、ビフェニルオキシ基等が挙げられる。アミノ基としてはジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジオクチルアミノ基、N−メチル−N−ヘキシルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基、ジフェニルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基等が挙げられる。
【0078】
21ないしR23としては、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基が好ましい。本発明の効果の点から、R21ないしR23のうち少なくとも一つ以上がアルキル基またはアリール基であることが好ましく、二つ以上がアルキル基またはアリール基であることがより好ましい。また、安価に入手する事ができるという点ではR21ないしR23が同一の基である場合が好ましい。
以下に本発明における一般式(D)の化合物をはじめとする水素結合性化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0079】
【化11】
Figure 0003922953
【0080】
【化12】
Figure 0003922953
【0081】
水素結合性化合物の具体例は、上述の他に欧州特許1096310号明細書、特願2000-270498号、同2001-124796号に記載のものがあげられる。
本発明の一般式(D)の化合物は、還元剤と同様に溶液形態、乳化分散形態、固体分散微粒子分散物形態で塗布液に含有せしめ、感光材料中で使用することができるが、固体分散物として使用することが好ましい。本発明の化合物は、溶液状態でフェノール性水酸基、アミノ基を有する化合物と水素結合性の錯体を形成しており、還元剤と本発明の一般式(D)の化合物との組み合わせによっては錯体として結晶状態で単離することができる。このようにして単離した結晶粉体を固体分散微粒子分散物として使用することは安定した性能を得る上で特に好ましい。また、還元剤と本発明の一般式(D)の化合物を粉体で混合し、適当な分散剤を使って、サンドグラインダーミル等で分散時に錯形成させる方法も好ましく用いることができる。
本発明の一般式(D)の化合物は、還元剤に対して、1〜200モル%の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは10〜150モル%の範囲で、さらに好ましくは20〜100モル%の範囲である。
【0082】
(ハロゲン化銀の説明)
本発明に用いられる感光性ハロゲン化銀は、ハロゲン組成として特に制限はなく、塩化銀、塩臭化銀、臭化銀、ヨウ臭化銀、ヨウ塩臭化銀、ヨウ化銀を用いることができる。その中でも臭化銀およびヨウ臭化銀が好ましい。粒子内におけるハロゲン組成の分布は均一であってもよく、ハロゲン組成がステップ状に変化したものでもよく、或いは連続的に変化したものでもよい。また、コア/シェル構造を有するハロゲン化銀粒子を好ましく用いることができる。構造として好ましいものは2〜5重構造であり、より好ましくは2〜4重構造のコア/シェル粒子を用いることができる。また塩化銀、臭化銀または塩臭化銀粒子の表面に臭化銀やヨウ化銀を局在させる技術も好ましく用いることができる。
【0083】
感光性ハロゲン化銀の形成方法は当業界ではよく知られており、例えば、リサーチディスクロージャー1978年6月の第17029号、および米国特許第3,700,458号に記載されている方法を用いることができるが、具体的にはゼラチンあるいは他のポリマー溶液中に銀供給化合物及びハロゲン供給化合物を添加することにより感光性ハロゲン化銀を調製し、その後で有機銀塩と混合する方法を用いる。また、特開平11-119374号公報の段落番号0217〜0224に記載されている方法、特願平11-98708号、特開2000-347335号記載の方法も好ましい。
【0084】
感光性ハロゲン化銀の粒子サイズは、画像形成後の白濁を低く抑える目的のために小さいことが好ましく具体的には0.20μm以下、より好ましくは0.01μm以上0.15μm以下、更に好ましくは0.02μm以上0.12μm以下である。ここでいう粒子サイズとは、ハロゲン化銀粒子の投影面積(平板粒子の場合は主平面の投影面積)と同面積の円像に換算したときの直径をいう。
【0085】
ハロゲン化銀粒子の形状としては立方体、八面体、平板状粒子、球状粒子、棒状粒子、ジャガイモ状粒子等を挙げることができるが、本発明においては特に立方体状粒子が好ましい。ハロゲン化銀粒子のコーナーが丸まった粒子も好ましく用いることができる。感光性ハロゲン化銀粒子の外表面の面指数(ミラー指数)については特に制限はないが、分光増感色素が吸着した場合の分光増感効率が高い[100]面の占める割合が高いことが好ましい。その割合としては50%以上が好ましく、65%以上がより好ましく、80%以上が更に好ましい。ミラー指数[100]面の比率は増感色素の吸着における[111]面と[100]面との吸着依存性を利用したT.Tani;J.Imaging Sci.,29、165(1985年)に記載の方法により求めることができる。
【0086】
本発明においては、六シアノ金属錯体を粒子最表面に存在させたハロゲン化銀粒子が好ましい。六シアノ金属錯体としては、[Fe(CN)64-、[Fe(CN)63-、[Ru(CN)64-、[Os(CN)64-、[Co(CN)63-、[Rh(CN)63-、[Ir(CN)63-、[Cr(CN)63-、[Re(CN)63-などが挙げられる。本発明においては六シアノFe錯体が好ましい。
【0087】
六シアノ金属錯体は、水溶液中でイオンの形で存在するので対陽イオンは重要ではないが、水と混和しやすく、ハロゲン化銀乳剤の沈澱操作に適合しているナトリウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオンおよびリチウムイオン等のアルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、アルキルアンモニウムイオン(例えばテトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラプロピルアンモニウムイオン、テトラ(n-ブチル)アンモニウムイオン)を用いることが好ましい。
【0088】
六シアノ金属錯体は、水の他に水と混和しうる適当な有機溶媒(例えば、アルコール類、エーテル類、グリコール類、ケトン類、エステル類、アミド類等)との混合溶媒やゼラチンと混和して添加することができる。
【0089】
六シアノ金属錯体の添加量は、銀1モル当たり1×10-5モル以上1×10-2モル以下が好ましく、より好ましくは1×10-4モル以上1×10-3モル以下である。
【0090】
六シアノ金属錯体をハロゲン化銀粒子最表面に存在させるには、六シアノ金属錯体を、粒子形成に使用する硝酸銀水溶液を添加終了した後、硫黄増感、セレン増感およびテルル増感のカルコゲン増感や金増感等の貴金属増感を行う化学増感工程の前までの仕込工程終了前、水洗工程中、分散工程中、または化学増感工程前に直接添加する。ハロゲン化銀微粒子を成長させないためには、粒子形成後速やかに六シアノ金属錯体を添加することが好ましく、仕込工程終了前に添加することが好ましい。
【0091】
なお、六シアノ金属錯体の添加は、粒子形成をするために添加する硝酸銀の総量の96質量%を添加した後から開始してもよく、98質量%添加した後から開始するのがより好ましく、99質量%添加した後が特に好ましい。
【0092】
これら六シアノ金属錯体を粒子形成の完了する直前の硝酸銀水溶液を添加した後に添加すると、ハロゲン化銀粒子最表面に吸着することができ、そのほとんどが粒子表面の銀イオンと難溶性の塩を形成する。この六シアノ鉄(II)の銀塩は、AgIよりも難溶性の塩であるため、微粒子による再溶解を防ぐことができ、粒子サイズが小さいハロゲン化銀微粒子を製造することが可能となった。
【0093】
本発明の感光性ハロゲン化銀粒子は、周期律表(第1〜18族までを示す)の第8族〜第10族の金属または金属錯体を含有することができる。周期律表の第8族〜第10族の金属または金属錯体の中心金属として好ましくは、ロジウム、ルテニウム、イリジウムである。これら金属錯体は1種類でもよいし、同種金属及び異種金属の錯体を2種以上併用してもよい。好ましい含有率は銀1モルに対し1×10-9モルから1×10-3モルの範囲が好ましい。これらの重金属や金属錯体及びそれらの添加法については特開平7-225449号、特開平11-65021号段落番号0018〜0024、特開平11-119374号段落番号0227〜0240に記載されている。
【0094】
さらに本発明に用いられるハロゲン化銀粒子に含有することのできる金属原子(例えば[Fe(CN)64-)、ハロゲン化銀乳剤の脱塩法や化学増感法については特開平11-84574号段落番号0046〜0050、特開平11-65021号段落番号0025〜0031、特開平11-119374号段落番号0242〜0250に記載されている。
【0095】
本発明に用いる感光性ハロゲン化銀乳剤に含有されるゼラチンとしては、種々のゼラチンが使用することができる。感光性ハロゲン化銀乳剤の有機銀塩含有塗布液中での分散状態を良好に維持することが必要であり、分子量は、10,000〜1,000,000のゼラチンを使用することが好ましい。また、ゼラチンの置換基をフタル化処理することも好ましい。これらのゼラチンは粒子形成時あるいは脱塩処理後の分散時に使用してもよいが、粒子形成時に使用することが好ましい。
【0096】
本発明に適用できる増感色素としてはハロゲン化銀粒子に吸着した際、所望の波長領域でハロゲン化銀粒子を分光増感できるもので、露光光源の分光特性に適した分光感度を有する増感色素を有利に選択することができる。増感色素及び添加法については、特開平11-65021号の段落番号0103〜0109、特開平10-186572号一般式(II)で表される化合物、特開平11-119374号の一般式(I) で表される色素及び段落番号0106、米国特許第5,510,236号、同第3,871,887号実施例5に記載の色素、特開平2-96131号、特開昭59-48753号に開示されている色素、欧州特許公開第0803764A1号の第19ページ第38行〜第20ページ第35行、特願2000-86865号、特願2000-102560号、特願2000-205399号等に記載されている。これらの増感色素は単独で用いてもよく、2種以上組合せて用いてもよい。本発明において増感色素をハロゲン化銀乳剤中に添加する時期は、脱塩工程後、塗布までの時期が好ましく、より好ましくは脱塩後から化学熟成が終了する前までの時期である。
本発明における増感色素の添加量は、感度やカブリの性能に合わせて所望の量にすることができるが、感光性層のハロゲン化銀1モル当たり10-6〜1モルが好ましく、さらに好ましくは10-4〜10-1モルである。
【0097】
本発明は分光増感効率を向上させるため、強色増感剤を用いることができる。本発明に用いる強色増感剤としては、欧州特許公開第587,338号、米国特許第3,877,943号、同第4,873,184号、特開平5-341432号、同11-109547号、同10-111543号等に記載の化合物が挙げられる。
【0098】
本発明における感光性ハロゲン化銀粒子は、硫黄増感法、セレン増感法もしくはテルル増感法にて化学増感されていることが好ましい。硫黄増感法、セレン増感法、テルル増感法に好ましく用いられる化合物としては公知の化合物、例えば、特開平7-128768号等に記載の化合物等を使用することができる。特に本発明においてはテルル増感が好ましく、特開平11-65021号段落番号0030に記載の文献に記載の化合物、特開平5-313284号中の一般式(II),(III),(IV)で示される化合物がより好ましい。
【0099】
本発明における感光性ハロゲン化銀粒子は、上記カルコゲン増感と組み合わせて、あるいは単独で金増感法にて化学増感されていることが好ましい。金増感剤としては、金の価数が+1価または+3価が好ましく、金増感剤としては通常用いられる金化合物が好ましい。代表的な例としては塩化金酸、臭化金酸、カリウムクロロオーレート、カリウムブロロオーレート、オーリックトリクロライド、カリウムオーリックチオシアネート、カリウムヨードオーレート、テトラシアノオーリックアシド、アンモニウムオーロチオシアネート、ピリジルトリクロロゴールドなどが好ましい。また、米国特許第5858637号、特願2001−79450号に記載の金増感剤も好ましく用いられる。
【0100】
本発明においては、化学増感は粒子形成後で塗布前であればいかなる時期でも可能であり、脱塩後、(1)分光増感前、(2)分光増感と同時、(3)分光増感後、(4)塗布直前等があり得る。
本発明で用いられる硫黄、セレンおよびテルル増感剤の使用量は、使用するハロゲン化銀粒子、化学熟成条件等によって変わるが、ハロゲン化銀1モル当たり10-8〜10-2モル、好ましくは10-7〜10-3モル程度を用いる。
金増感剤の添加量は種々の条件により異なるが、目安としてはハロゲン化銀1モル当たり10-7モル〜10-3モル、より好ましくは10-6モル〜5×10-4モルである。
本発明における化学増感の条件としては特に制限はないが、pHとしては5〜8、pAgとしては6〜11、温度としては40〜95℃程度である。
本発明で用いるハロゲン化銀乳剤には、欧州特許公開第293,917号公報に示される方法により、チオスルホン酸化合物を添加してもよい。
【0101】
本発明における感光性ハロゲン化銀粒子は、還元剤を用いることが好ましい。還元増感法の具体的な化合物としてはアスコルビン酸、二酸化チオ尿素が好ましく、その他に塩化第一スズ、アミノイミノメタンスルフィン酸、ヒドラジン誘導体、ボラン化合物、シラン化合物、ポリアミン化合物等を用いることが好ましい。還元増感剤の添加は、結晶成長から塗布直前の調製工程までの感光乳剤製造工程のどの過程でも良い。また、乳剤のpHを7以上またはpAgを8.3以下に保持して熟成することにより還元増感することが好ましく、粒子形成中に銀イオンのシングルアディション部分を導入することにより還元増感することも好ましい。
【0102】
本発明における感光性ハロゲン化銀乳剤は、1光子で2電子を発生させる化合物としてFED増感剤(Fragmentable electron donating sensitaizer)を含有することが好ましい。FED増感剤としては、米国特許第5747235号、同5747236、同6054260号、同5994051号、特願2001−86161号に記載の化合物が好ましい。FED増感剤の添加する工程としては結晶成長から塗布直前の調製工程までの感光乳剤製造工程のどの過程でも好ましい。添加量としては、種々の条件により異なるが、目安としてはハロゲン化銀1モル当たり10-7モル〜10-1モル、より好ましくは10-6モル〜5×10-2モルである。
【0103】
本発明に用いられる感光材料中の感光性ハロゲン化銀乳剤は、一種だけでもよいし、二種以上(例えば、平均粒子サイズの異なるもの、ハロゲン組成の異なるもの、晶癖の異なるもの、化学増感の条件の異なるもの)併用してもよい。感度の異なる感光性ハロゲン化銀を複数種用いることで階調を調節することができる。これらに関する技術としては特開昭57-119341号、同53-106125号、同47-3929号、同48-55730号、同46-5187号、同50-73627号、同57-150841号などが挙げられる。感度差としてはそれぞれの乳剤で0.2logE以上の差を持たせることが好ましい。
【0104】
感光性ハロゲン化銀の添加量は、感材1m2当たりの塗布銀量で示して、0.03〜0.6g/m2であることが好ましく、0.07〜0.4g/m2であることがさらに好ましく、0.05〜0.3g/m2であることが最も好ましく、有機銀塩1モルに対しては、感光性ハロゲン化銀は0.01モル以上0.5モル以下が好ましく、より好ましくは0.02モル以上0.3モル以下、さらに好ましくは0.03モル以上0.2モル以下である。
【0105】
別々に調製した感光性ハロゲン化銀と有機銀塩の混合方法及び混合条件については、それぞれ調製終了したハロゲン化銀粒子と有機銀塩を高速撹拌機やボールミル、サンドミル、コロイドミル、振動ミル、ホモジナイザー等で混合する方法や、あるいは有機銀塩の調製中のいずれかのタイミングで調製終了した感光性ハロゲン化銀を混合して有機銀塩を調製する方法等があるが、本発明の効果が十分に現れる限りにおいては特に制限はない。また、混合する際に2種以上の有機銀塩水分散液と2種以上の感光性銀塩水分散液を混合することは、写真特性の調節のために好ましい方法である。
【0106】
本発明のハロゲン化銀の画像形成層塗布液中への好ましい添加時期は、塗布する180分前から直前、好ましくは60分前から10秒前であるが、混合方法及び混合条件については本発明の効果が十分に現れる限りにおいては特に制限はない。具体的な混合方法としては添加流量とコーターへの送液量から計算した平均滞留時間を所望の時間となるようにしたタンクでの混合する方法やN.Harnby、M.F.Edwards、A.W.Nienow著、高橋幸司訳“液体混合技術”(日刊工業新聞社刊、1989年)の第8章等に記載されているスタチックミキサーなどを使用する方法がある。
【0107】
(バインダーの説明)
本発明の有機銀塩含有層のバインダーはいかなるポリマーを使用してもよく、好適なバインダーは透明又は半透明で、一般に無色であり、天然樹脂やポリマー及びコポリマー、合成樹脂やポリマー及びコポリマー、その他フィルムを形成する媒体、例えば、ゼラチン類、ゴム類、ポリ(ビニルアルコール)類、ヒドロキシエチルセルロース類、セルロースアセテート類、セルロースアセテートブチレート類、ポリ(ビニルピロリドン)類、カゼイン、デンプン、ポリ(アクリル酸)類、ポリ(メチルメタクリル酸)類、ポリ(塩化ビニル)類、ポリ(メタクリル酸)類、スチレン−無水マレイン酸共重合体類、スチレン−アクリロニトリル共重合体類、スチレン−ブタジエン共重合体類、ポリ(ビニルアセタール)類(例えば、ポリ(ビニルホルマール)及びポリ(ビニルブチラール))、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタン)類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)類、ポリ(エポキシド)類、ポリ(カーボネート)類、ポリ(酢酸ビニル)類、ポリ(オレフィン)類、セルロースエステル類、ポリ(アミド)類がある。バインダーは水又は有機溶媒またはエマルションから被覆形成してもよい。
【0108】
本発明では、有機銀塩を含有する層に併用できるバインダーのガラス転移温度(Tg)は10℃以上80℃以下である(以下、高Tgバインダーということあり)ことが好ましく、15℃以上70℃以下であることがより好ましく、20℃以上65℃以下であることが更に好ましい。
【0109】
なお、本明細書においてTgは下記の式で計算した。
1/Tg=Σ(Xi/Tgi)
ここでは、ポリマーはi=1からnまでのn個のモノマー成分が共重合しているとする。Xiはi番目のモノマーの重量分率(ΣXi=1)、Tgiはi番目のモノマーの単独重合体のガラス転移温度(絶対温度)である。ここで、Σはi=1からnまでの和をとる。なお、各モノマーの単独重合体ガラス転移温度の値(Tgi)はPolymer Handbook(3rd Edition)(J.Brandrup, E.H.Immergut著(Wiley-Interscience、1989))の値を採用した。
【0110】
バインダーは必要に応じて2種以上を併用しても良い。また、ガラス転移温度が20℃以上のものとガラス転移温度が20℃未満のものを組み合わせて用いてもよい。Tgの異なるポリマーを2種以上ブレンドして使用する場合には、その重量平均Tgが上記の範囲にはいることが好ましい。
【0111】
本発明においては、有機銀塩含有層が溶媒の30質量%以上が水である塗布液を用いて塗布、乾燥して被膜を形成させることが好ましい。
本発明においては、有機銀塩含有層が溶媒の30質量%以上が水である塗布液を用いて塗布し、乾燥して形成される場合に、さらに有機銀塩含有層のバインダーが水系溶媒(水溶媒)に可溶または分散可能である場合に、特に25℃60%RHでの平衡含水率が2質量%以下のポリマーのラテックスからなる場合に性能が向上する。最も好ましい形態は、イオン伝導度が2.5mS/cm以下になるように調製されたものであり、このような調製法としてポリマー合成後分離機能膜を用いて精製処理する方法が挙げられる。
【0112】
ここでいう前記ポリマーが可溶または分散可能である水系溶媒とは、水または水に70質量%以下の水混和性の有機溶媒を混合したものである。水混和性の有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール等のアルコール系、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ系、酢酸エチル、ジメチルホルミアミドなどを挙げることができる。
【0113】
なお、ポリマーが熱力学的に溶解しておらず、いわゆる分散状態で存在している系の場合にも、ここでは水系溶媒という言葉を使用する。
【0114】
また、「25℃60%RHにおける平衡含水率」は、25℃60%RHの雰囲気下で調湿平衡にあるポリマーの重量W1と25℃で絶乾状態にあるポリマーの重量W0を用いて以下のように表すことができる。
25℃60%RHにおける平衡含水率
=〔(W1−W0)/W0〕×100(質量%)
【0115】
含水率の定義と測定法については、例えば高分子工学講座14、高分子材料試験法(高分子学会編、地人書館)を参考にすることができる。
【0116】
本発明のバインダーポリマーの25℃60%RHにおける平衡含水率は2質量%以下であることが好ましいが、より好ましくは0.01質量%以上1.5質量%以下、さらに好ましくは0.02質量%以上1質量%以下が望ましい。
【0117】
本発明においては、水系溶媒に分散可能なポリマーが特に好ましい。分散状態の例としては、水不溶な疎水性ポリマーの微粒子が分散しているラテックスやポリマー分子が分子状態またはミセルを形成して分散しているものなどいずれでもよいが、ラッテクス分散した粒子がより好ましい。分散粒子の平均粒径は1〜50000nm、好ましくは5〜1000nmの範囲で、より好ましくは10〜500nmの範囲、さらに好ましくは50〜200nmの範囲である。分散粒子の粒径分布に関しては特に制限は無く、広い粒径分布を持つものでも単分散の粒径分布を持つものでもよい。単分散の粒径分布を持つものを2種以上混合して使用することも塗布液の物性を制御する上で好ましい使用法である。
【0118】
本発明において水系溶媒に分散可能なポリマーの好ましい態様としては、アクリル系ポリマー、ポリ(エステル)類、ゴム類(例えばSBR樹脂)、ポリ(ウレタン)類、ポリ(塩化ビニル)類、ポリ(酢酸ビニル)類、ポリ(塩化ビニリデン)類、ポリ(オレフィン)類等の疎水性ポリマーを好ましく用いることができる。これらポリマーとしては直鎖のポリマーでも枝分かれしたポリマーでもまた架橋されたポリマーでもよいし、単一のモノマーが重合したいわゆるホモポリマーでもよいし、2種類以上のモノマーが重合したコポリマーでもよい。コポリマーの場合はランダムコポリマーでも、ブロックコポリマーでもよい。これらポリマーの分子量は数平均分子量で5000〜1000000、好ましくは10000〜200000がよい。分子量が小さすぎるものは乳剤層の力学強度が不十分であり、大きすぎるものは成膜性が悪く好ましくない。また、架橋性のポリマーラッテクスは特に好ましく使用される。
【0119】
(ラテックスの具体例)
好ましいポリマーラテックスの具体例としては以下のものを挙げることができる。以下では原料モノマーを用いて表し、括弧内の数値は質量%、分子量は数平均分子量である。多官能モノマーを使用した場合は架橋構造を作るため分子量の概念が適用できないので架橋性と記載し、分子量の記載を省略した。Tgはガラス転移温度を表す。
【0120】
P-1;-MMA(70)-EA(27)-MAA(3)-のラテックス(分子量37000、Tg61℃)
P-2;-MMA(70)-2EHA(20)-St(5)-AA(5)-のラテックス(分子量40000、Tg59℃)
P-3;-St(50)-Bu(47)-MAA(3)-のラテックス(架橋性、Tg17℃)
P-4;-St(68)-Bu(29)-AA(3)-のラテックス(架橋性、Tg17℃)
P-5;-St(71)-Bu(26)-AA(3)-のラテックス(架橋性、Tg24℃)
P-6;-St(70)-Bu(27)-IA(3)-のラテックス(架橋性)
P-7;-St(75)-Bu(24)-AA(1)-のラテックス(架橋性、Tg29℃)
P-8;-St(60)-Bu(35)-DVB(3)-MAA(2)-のラテックス(架橋性)
P-9;-St(70)-Bu(25)-DVB(2)-AA(3)-のラテックス(架橋性)
P-10;-VC(50)-MMA(20)-EA(20)-AN(5)-AA(5)-のラテックス(分子量80000)
P-11;-VDC(85)-MMA(5)-EA(5)-MAA(5)-のラテックス(分子量67000)
P-12;-Et(90)-MAA(10)-のラテックス(分子量12000)
P-13;-St(70)-2EHA(27)-AA(3)のラテックス(分子量130000、Tg43℃)
P-14;-MMA(63)-EA(35)- AA(2)のラテックス(分子量33000、Tg47℃)
P-15;-St(70.5)-Bu(26.5)-AA(3)-のラテックス(架橋性、Tg23℃)
P-16;-St(69.5)-Bu(27.5)-AA(3)-のラテックス(架橋性、Tg20.5℃)
【0121】
上記構造の略号は以下のモノマーを表す。MMA;メチルメタクリレート、EA ;エチルアクリレート、MAA;メタクリル酸、2EHA;2-エチルヘキシルアクリレート、St;スチレン、Bu;ブタジエン、AA;アクリル酸、DVB;ジビニルベンゼン、VC;塩化ビニル、AN;アクリロニトリル、VDC;塩化ビニリデン、Et;エチレン、IA;イタコン酸。
【0122】
以上に記載したポリマーラテックスは市販もされていて、以下のようなポリマーが利用できる。アクリル系ポリマーの例としては、セビアンA-4635,4718、4601(以上ダイセル化学工業(株)製)、Nipol Lx811、814、821、820、857(以上日本ゼオン(株)製)など、ポリ(エステル)類の例としては、FINETEX ES650、611、675、850(以上大日本インキ化学(株)製)、WD-size、WMS(以上イーストマンケミカル製)など、ポリ(ウレタン)類の例としては、HYDRAN AP10、20、30、40(以上大日本インキ化学(株)製)など、ゴム類の例としては、LACSTAR 7310K、3307B、4700H、7132C(以 上大日本インキ化学(株)製)、Nipol Lx416、410、438C、2507(以上日本ゼオン(株)製)など、ポリ(塩化ビニル)類の例としては、G351、G576(以上日本ゼオン(株)製)など、ポリ(塩化ビニリデン)類の例としては、L502、L513(以上旭化成工業(株)製)など、ポリ(オレフィン)類の例としては、ケミパールS120、SA100(以上三井化学(株)製)などを挙げることができる。
【0123】
これらのポリマーラテックスは単独で用いてもよいし、必要に応じて2種以上ブレンドしてもよい。
【0124】
(好ましいラテックス)
本発明に用いられるポリマーラテックスとしては、特に、スチレン-ブタジエン共重合体のラテックスが好ましい。スチレン-ブタジエン共重合体におけるスチレンのモノマー単位とブタジエンのモノマー単位との質量比は40:60〜95:5であることが好ましい。また、スチレンのモノマー単位とブタジエンのモノマー単位との共重合体に占める割合は60〜99質量%であることが好ましい。
また、本発明のポリマーラッテクスはアクリル酸またはメタクリル酸をスチレンとブタジエンの和に対して1〜6質量%含有することが好ましく、より好ましくは2〜5質量%含有する。本発明のポリマーラテックスはアクリル酸を含有することが好ましい。
【0125】
本発明に用いることが好ましいスチレン-ブタジエン酸共重合体のラテックスとしては、前記のP-3〜P-8,15、市販品であるLACSTAR-3307B、7132C、Nipol Lx416等が挙げられる。
【0126】
本発明の感光材料の有機銀塩含有層には必要に応じてゼラチン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどの親水性ポリマーを添加してもよい。これらの親水性ポリマーの添加量は有機銀塩含有層の全バインダーの30質量%以下、より好ましくは20質量%以下が好ましい。
【0127】
本発明の有機銀塩含有層(即ち、画像形成層)は、ポリマーラテックスを用いて形成されたものが好ましい。有機銀塩含有層のバインダーの量は、全バインダー/有機銀塩の重量比が1/10〜10/1、より好ましくは1/3〜5/1の範囲、さらに好ましくは1/1〜3/1の範囲である。
【0128】
また、このような有機銀塩含有層は、通常、感光性銀塩である感光性ハロゲン化銀が含有された感光性層(乳剤層)でもあり、このような場合の、全バインダー/ハロゲン化銀の重量比は、好ましくは400/1〜5/1、より好ましくは200/1〜10/1の範囲である。
【0129】
本発明の画像形成層の全バインダー量は好ましくは0.2〜30g/m2、より好ましくは1〜15g/m2、さらに好ましくは2〜10g/m2の範囲である。本発明の画像形成層には架橋のための架橋剤、塗布性改良のための界面活性剤などを添加してもよい。
【0130】
(好ましい塗布液の溶媒)
本発明において感光材料の有機銀塩含有層塗布液の溶媒(ここでは簡単のため、溶媒と分散媒をあわせて溶媒と表す。)は、水を30質量%以上含む水系溶媒が好ましい。水以外の成分としてはメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ジメチルホルムアミド、酢酸エチルなど任意の水混和性有機溶媒を用いてよい。塗布液の溶媒の水含有率は50質量%以上、より好ましくは70質量%以上が好ましい。好ましい溶媒組成の例を挙げると、水の他、水/メチルアルコール=90/10、水/メチルアルコール=70/30、水/メチルアルコール/ジメチルホルムアミド=80/15/5、水/メチルアルコール/エチルセロソルブ=85/10/5、水/メチルアルコール/イソプロピルアルコール=85/10/5などがある(数値は質量%)。
【0131】
(かぶり防止剤の説明)
本発明に用いることのできるカブリ防止剤、安定剤および安定剤前駆体は特開平10-62899号の段落番号0070、欧州特許公開第0803764A1号の第20頁第57行〜第21頁第7行に記載の特許のもの、特開平9-281637号、同9-329864号記載の化合物、米国特許6,083,681号、同6,083,681号、欧州特許1048975号に記載の化合物が挙げられる。また、本発明に好ましく用いられるカブリ防止剤は有機ハロゲン化物であり、これらについては、特開平11-65021号の段落番号0111〜0112に記載の特許に開示されているものが挙げられる。特に特開2000-284399号の式(P)で表される有機ハロゲン化合物、特開平10-339934号の一般式(II)で表される有機ポリハロゲン化合物、特開2001-31644号および特開2001-33911号に記載の有機ポリハロゲン化合物が好ましい。
【0132】
(有機ポリハロゲン化合物の説明)
以下、本発明で好ましい有機ポリハロゲン化合物について具体的に説明する。
本発明の好ましい有機ポリハロゲン化合物は下記一般式(H)で表される化合物である。
一般式(H)
Q−(Y)n−C(Z1)(Z2)X
上記一般式(H)において、Qはアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、Yは2価の連結基を表し、nは0または1を表し、Z1およびZ2はハロゲン原子を表し、Xは水素原子または電子吸引性基を表す。
一般式(H)において、Qは好ましくはアリール基またはヘテロ環基である。
一般式(H)において、Qがヘテロ環基である場合、窒素原子を1ないし2含有する含窒素ヘテロ環基が好ましく、2−ピリジル基、2−キノリル基が特に好ましい。
【0133】
Xは、好ましくは電子吸引性基であり、より好ましくはハロゲン原子、脂肪族スルホニル基、アリールスルホニル基、複素環スルホニル基、脂肪族アシル基、アリールアシル基、複素環アシル基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基であり、特に好ましくはハロゲン原子である。ハロゲン原子の中でも、好ましくは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子であり、更に好ましくは塩素原子、臭素原子であり、特に好ましくは臭素原子である。
Yは好ましくは−C(=O)−、−SO−または−SO2−を表し、より好ましくは−C(=O)−、−SO2−であり、特に好ましくは−SO2−である。
nは0または1であり、好ましくは1である。
【0134】
一般式(H)において、Qがアリール基である場合、Qは好ましくはハメットの置換基定数σpが正の値をとる電子吸引性基で置換されたフェニル基を表す。
ハメットの置換基定数に関しては、Journal of Medicinal Chemistry,1973,Vol.16,No.11,1207-1216 等を参考にすることができる。このような電子吸引性基としては、例えばハロゲン原子(フッ素原子(σp値:0.06)、塩素原子(σp値:0.23)、臭素原子(σp値:0.23)、ヨウ素原子(σp値:0.18))、トリハロメチル基(トリブロモメチル(σp値:0.29)、トリクロロメチル(σp値:0.33)、トリフルオロメチル(σp値:0.54))、シアノ基(σp値:0.66)、ニトロ基(σp値:0.78)、脂肪族スルホニル基(例えば、メタンスルホニル(σp値:0.72))、アリールスルホニル基、複素環スルホニル基、脂肪族アシル基(例えば、アセチル(σp値:0.50)、アリールアシル基、複素環アシル基、ベンゾイル(σp値:0.43))、アルキニル基(例えば、C≡CH(σp値:0.23))、脂肪族オキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル(σp値:0.45)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル(σp値:0.44))、複素環オキシカルボニル基、カルバモイル基(σp値:0.36)、スルファモイル基(σp値:0.57)、スルホキシド基、ヘテロ環基、ホスホリル基等があげられる。σp値としては、好ましくは0.2〜2.0の範囲で、より好ましくは0.4〜1.0の範囲である。電子吸引性基として特に好ましいのは、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アルキルホスホリル基である。
【0135】
なかでも、下記一般式(H1)で表されるカルバモイルフェニル置換ポリハロゲン化合物が好ましい。
一般式(H1)
【0136】
【化13】
Figure 0003922953
【0137】
(式中、Z1およびZ2は、それぞれ独立に、ハロゲン原子を表し、Aは水素原子またはハロゲン原子を表し、R1は、1または2個以上の置換基を有していてもよい炭素数2〜12のアルキル基、1または2個以上の置換基を有していてもよい炭素数2〜12のアルケニル基あるいは1または2個以上の置換基を有していてもよい炭素数2〜12のアルキニル基を表す。)
【0138】
また、下記一般式(H2)で表されるヘテロ環置換ポリハロゲン化合物も好ましい。
一般式(H2)
【0139】
【化14】
Figure 0003922953
【0140】
(式中、X1およびX2は、ハロゲン原子を表す。Yは2価の連結基を表す。Aは水素原子、ハロゲン原子、またはその他の電子吸引性基を表す。mは1以上4以下の整数を表す。Qはヘテロ環基を表す。nは0以上3以下の整数を表す。)
【0141】
次に一般式(H2)で表される化合物について詳細に説明する。
1、X2で表されるハロゲン原子は、同一または互いに異なってもよく、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子であり、好ましくは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子であり、より好ましくは塩素原子、臭素原子であり、特に好ましくは臭素原子である。
【0142】
Yは2価の連結基を表し、具体的には−SO2−,−SO−,−CO−,−N(R11)−SO2−,−N(R11)−CO−,−N(R11)−COO−,−COCO−,−COO−,−OCO−,−OCOO−,−SCO−,−SCOO−,−C(Z1)(Z2)−,アルキレン,アリーレン,2価のヘテロ環およびこれらの任意の組み合わせで形成される2価の基が挙げられる。R11は、水素原子またはアルキル基を表し、好ましくは水素原子である。Z1およびZ2は、水素原子もしくは電子吸引性基を表し、同時に水素原子であることはない。電子吸引性基として好ましくは、ハメットの置換基定数σp 値が0.01以上の置換基であり、より好ましくは0.1以上の置換基である。ハメットの置換基定数に関しては、既に述べた。
【0143】
電子吸引性基としては、一般式HのQがフェニル基のときの置換基として挙げたものを、同様にZ1およびZ2の電子吸引性基として挙げることができる。
【0144】
好ましいZ1およびZ2は、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基である。ハロゲン原子の中でも、好ましくは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子であり、更に好ましくは塩素原子、臭素原子であり、特に好ましくは、臭素原子である。Yとして好ましくは−SO2−,−SO−,−CO−であり、より好ましくは−SO2−である。nは好ましくは1である。
【0145】
Aで表される電子吸引性基として好ましくは、ハメットの置換基定数σp 値が0.01以上の置換基であり、より好ましくは0.1以上の置換基である。
【0146】
Aは、好ましくは電子吸引性基であり、より好ましくはハロゲン原子、脂肪族スルホニル基、アリールスルホニル基、複素環スルホニル基、脂肪族アシル基、アリールアシル基、複素環アシル基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環オキシカルボニル基であり、特に好ましくはハロゲン原子である。ハロゲン原子の中でも、好ましくは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子であり、更に好ましくは塩素原子、臭素原子であり、特に好ましくは、臭素原子である。
【0147】
Qで表されるヘテロ環基は、N、OまたはS原子の少なくとも一つを含む3〜10員の飽和もしくは不飽和のヘテロ環であり、これらは単環であってもよいし、更に他の環と縮合環を形成してもよい。ヘテロ環基として好ましくは、5〜6員の芳香族ヘテロ環基であり、より好ましくは窒素原子を含む5〜6員の芳香族ヘテロ環基であり、更に好ましくは窒素原子を1〜2原子含む5〜6員の芳香族ヘテロ環基である。
【0148】
ヘテロ環の具体例としては、例えばピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルフォリン、チオフェン、フラン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアジアゾール、オキサジアゾール、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾールなどが挙げられる。ヘテロ環として好ましくは、チオフェン、フラン、ピロール、イミダゾール、ピラゾル、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、インドレニンであり、より好ましくはトリアジン、キノリン、チアジアゾール、ベンズチアゾール、オキサジアゾールであり、特に好ましくは、ピリジン、キノリン、チアジアゾール、オキサジアゾールである。Qとして好ましくは芳香族含窒素ヘテロ環基である。mは1以上4以下の整数を表す。
【0149】
以下に本発明の一般式(H)、(H1)、(H2)の化合物の具体例を示す。
【0150】
【化15】
Figure 0003922953
【0151】
【化16】
Figure 0003922953
【0152】
本発明のカブリ防止剤、好ましくは有機ポリハロゲン化物は、画像形成層の非感光性銀塩1モルあたり、10-4〜1モルの範囲で使用することが好ましく、より好ましくは10-3〜0.5モルの範囲で、さらに好ましくは1×10-2〜0.2モルの範囲で使用する。
本発明において、カブリ防止剤を感光材料に含有させる方法としては、前記還元剤の含有方法に記載の方法が挙げられ、有機ポリハロゲン化合物についても固体微粒子分散物で添加することが好ましい。
【0153】
(その他のかぶり防止剤)
その他のカブリ防止剤としては特開平11-65021号段落番号0113の水銀(II)塩、同号段落番号0114の安息香酸類、特開2000-206642号のサリチル酸誘導体、特開2000-221634号の式(S)で表されるホルマリンスカベンジャー化合物、特開平11-352624号の請求項9に係るトリアジン化合物、特開平6-11791号の一般式(III)で表される化合物、4-ヒドロキシ-6-メチル-1,3,3a,7-テトラザインデン等が挙げられる。
【0154】
本発明における熱現像感光材料はカブリ防止を目的としてアゾリウム塩を含有しても良い。アゾリウム塩としては、特開昭59-193447号記載の一般式(XI)で表される化合物、特公昭55-12581号記載の化合物、特開昭60-153039号記載の一般式(II)で表される化合物が挙げられる。アゾリウム塩は感光材料のいかなる部位に添加しても良いが、添加層としては感光性層を有する面の層に添加することが好ましく、有機銀塩含有層に添加することがさらに好ましい。アゾリウム塩の添加時期としては塗布液調製のいかなる工程で行っても良く、有機銀塩含有層に添加する場合は有機銀塩調製時から塗布液調製時のいかなる工程でも良いが有機銀塩調製後から塗布直前が好ましい。アゾリウム塩の添加法としては、粉末、溶液、微粒子分散物などいかなる方法で行っても良い。また、増感色素、還元剤、色調剤など他の添加物と混合した溶液として添加しても良い。本発明においてアゾリウム塩の添加量としてはいかなる量でも良いが、銀1モル当たり1×10-6モル以上2モル以下が好ましく、1×10-3モル以上0.5モル以下がさらに好ましい。
【0155】
本発明には現像を抑制あるいは促進させ現像を制御するため、分光増感効率を向上させるため、現像前後の保存性を向上させるためなどにメルカプト化合物、ジスルフィド化合物、チオン化合物を含有させることができ、特開平10-62899号の段落番号0067〜0069、特開平10-186572号の一般式(I)で表される化合物及びその具体例として段落番号0033〜0052、欧州特許公開第0803764A1号の第20ページ第36〜56行に記載されている。その中でも特開平9-297367号、特開平9-304875号、特開2001-100358号、特願2001-104213号、特願2001-104214号等に記載されているメルカプト置換複素芳香族化合物が好ましい。
【0156】
(色調剤の説明)
本発明の熱現像感光材料では色調剤の添加が好ましく、色調剤については、特開平10-62899号の段落番号0054〜0055、欧州特許公開第0803764A1号の第21ページ第23〜48行、特開2000-356317号や特願2000-187298号に記載されており、特に、フタラジノン類(フタラジノン、フタラジノン誘導体もしくは金属塩;例えば4-(1-ナフチル)フタラジノン、6-クロロフタラジノン、5,7-ジメトキシフタラジノンおよび2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオン);フタラジノン類とフタル酸類(例えば、フタル酸、4-メチルフタル酸、4-ニトロフタル酸、フタル酸二アンモニウム、フタル酸ナトリウム、フタル酸カリウムおよびテトラクロロ無水フタル酸)との組合せ;フタラジン類(フタラジン、フタラジン誘導体もしくは金属塩;例えば4-(1-ナフチル)フタラジン、6-イソプロピルフタラジン、6-t-ブチルフラタジン、6-クロロフタラジン、5,7-ジメトキシフタラジンおよび2,3-ジヒドロフタラジン);フタラジン類とフタル酸類との組合せが好ましく、特にフタラジン類とフタル酸類の組合せが好ましい。そのなかでも特に好ましい組み合わせは6-イソプロピルフタラジンとフタル酸または4メチルフタル酸との組み合わせである。
【0157】
(その他の添加剤)
本発明の感光性層に用いることのできる可塑剤および潤滑剤については特開平11-65021号段落番号0117、超硬調画像形成のための超硬調化剤やその添加方法や量については、同号段落番号0118、特開平11-223898号段落番号0136〜0193、特開平2000-284399号の式(H)、式(1)〜(3)、式(A)、(B)の化合物、特願平11-91652号記載の一般式(III)〜(V)の化合物(具体的化合物:化21〜化24)、硬調化促進剤については特開平11-65021号段落番号0102、特開平11-223898号段落番号0194〜0195に記載されている。
【0158】
蟻酸や蟻酸塩を強いかぶらせ物質として用いるには、感光性ハロゲン化銀を含有する画像形成層を有する側に銀1モル当たり5ミリモル以下、さらには1ミリモル以下で含有することが好ましい。
【0159】
本発明の熱現像感光材料で超硬調化剤を用いる場合には五酸化二リンが水和してできる酸またはその塩を併用して用いることが好ましい。五酸化二リンが水和してできる酸またはその塩としては、メタリン酸(塩)、ピロリン酸(塩)、オルトリン酸(塩)、三リン酸(塩)、四リン酸(塩)、ヘキサメタリン酸(塩)などを挙げることができる。特に好ましく用いられる五酸化二リンが水和してできる酸またはその塩としては、オルトリン酸(塩)、ヘキサメタリン酸(塩)を挙げることができる。具体的な塩としてはオルトリン酸ナトリウム、オルトリン酸二水素ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸アンモニウムなどがある。
五酸化二リンが水和してできる酸またはその塩の使用量(感光材料1m2あたりの塗布量)は感度やカブリなどの性能に合わせて所望の量でよいが、0.1〜500mg/m2が好ましく、0.5〜100mg/m2がより好ましい。
【0160】
(層構成の説明)
本発明における熱現像感光材料は、画像形成層の付着防止などの目的で表面保護層を設けることができる。表面保護層は単層でもよいし、複数層であってもよい。表面保護層については、特開平11-65021号段落番号0119〜0120、特願2000-171936号に記載されている。
本発明の表面保護層のバインダーとしてはゼラチンが好ましいがポリビニルアルコール(PVA)を用いる若しくは併用することも好ましい。ゼラチンとしてはイナートゼラチン(例えば新田ゼラチン750)、フタル化ゼラチン(例えば新田ゼラチン801)など使用することができる。PVAとしては、特開2000-171936号の段落番号0009〜0020に記載のものがあげられ、完全けん化物のPVA−105、部分けん化物のPVA−205、PVA−335、変性ポリビニルアルコールのMP−203(以上、クラレ(株)製の商品名)などが好ましく挙げられる。保護層(1層当たり)のポリビニルアルコール塗布量(支持体1m2当たり)としては0.3〜4.0g/m2が好ましく、0.3〜2.0g/m2がより好ましい。
【0161】
特に寸法変化が問題となる印刷用途に本発明の熱現像感光材料を用いる場合には、表面保護層やバック層にポリマーラテックスを用いることが好ましい。このようなポリマーラテックスについては「合成樹脂エマルジョン(奥田平、稲垣寛編集、高分子刊行会発行(1978))」、「合成ラテックスの応用(杉村孝明、片岡靖男、鈴木聡一、笠原啓司編集、高分子刊行会発行(1993))」、「合成ラテックスの化学(室井宗一著、高分子刊行会発行(1970))」などにも記載され、具体的にはメチルメタクリレート(33.5質量%)/エチルアクリレート(50質量%)/メタクリル酸(16.5質量%)コポリマーのラテックス、メチルメタクリレート(47.5質量%)/ブタジエン(47.5質量%)/イタコン酸(5質量%)コポリマーのラテックス、エチルアクリレート/メタクリル酸のコポリマーのラテックス、メチルメタクリレート(58.9質量%)/2−エチルヘキシルアクリレート(25.4質量%)/スチレン(8.6質量%)/2−ヒドロキシエチルメタクリレート(5.1質量%)/アクリル酸(2.0質量%)コポリマーのラテックス、メチルメタクリレート(64.0質量%)/スチレン(9.0質量%)/ブチルアクリレート(20.0質量%)/2−ヒドロキシエチルメタクリレート(5.0質量%)/アクリル酸(2.0質量%)コポリマーのラテックスなどが挙げられる。さらに、表面保護層用のバインダーとして、特願平11-6872号明細書のポリマーラテックスの組み合わせ、特願平11-143058号明細書の段落番号0021〜0025に記載の技術、特願平11-6872号明細書の段落番号0027〜0028に記載の技術、特願平10-199626号明細書の段落番号0023〜0041に記載の技術を適用してもよい。
表面保護層のポリマーラテックスの比率は全バインダーの10質量%以上90質量%以下が好ましく、特に20質量%以上80質量%以下が好ましい。
表面保護層(1層当たり)の全バインダー(水溶性ポリマー及びラテックスポリマーを含む)塗布量(支持体1m2当たり)としては0.3〜5.0g/m2が好ましく、0.3〜2.0g/m2がより好ましい。
【0162】
本発明の画像形成層塗布液の調製温度は30℃以上65℃以下がよく、さらに好ましい温度は35℃以上60℃未満、より好ましい温度は35℃以上55℃以下である。また、ポリマーラテックス添加直後の画像形成層塗布液の温度が30℃以上65℃以下で維持されることが好ましい。
【0163】
本発明の画像形成層は、支持体上に一またはそれ以上の層で構成される。一層で構成する場合は有機銀塩、感光性ハロゲン化銀、還元剤およびバインダーよりなり、必要により色調剤、被覆助剤および他の補助剤などの所望による追加の材料を含む。二層以上で構成する場合は、第1画像形成層(通常は支持体に隣接した層)中に有機銀塩および感光性ハロゲン化銀を含み、第2画像形成層または両層中にいくつかの他の成分を含む。
多色感光性熱現像写真材料の構成は、各色についてこれらの二層の組合せを含んでよく、また、米国特許第4,708,928号に記載されているように単一層内に全ての成分を含んでいてもよい。多染料多色感光性熱現像写真材料の場合、各乳剤層は、一般に、米国特許第4,460,681号に記載されているように、各感光性層の間に官能性もしくは非官能性のバリアー層を使用することにより、互いに区別されて保持される。
【0164】
本発明の感光性層には色調改良、レーザー露光時の干渉縞発生防止、イラジエーション防止の観点から各種染料や顔料(例えばC.I.Pigment Blue 60、C.I.Pigment Blue 64、C.I.Pigment Blue 15:6)を用いることができる。これらについてはWO98/36322号、特開平10-268465号、同11-338098号等に詳細に記載されている。
【0165】
本発明の熱現像感光材料においては、アンチハレーション層を感光性層に対して光源から遠い側に設けることができる。
【0166】
熱現像感光材料は一般に、感光性層に加えて非感光性層を有する。非感光性層は、その配置から(1)感光性層の上(支持体よりも遠い側)に設けられる保護層、(2)複数の感光性層の間や感光性層と保護層の間に設けられる中間層、(3)感光性層と支持体との間に設けられる下塗り層、(4)感光性層の反対側に設けられるバック層に分類できる。フィルター層は、(1)または(2)の層として感光材料に設けられる。アンチハレーション層は、(3)または(4)の層として感光材料に設けられる。
【0167】
アンチハレーション層については、特開平11-65021号段落番号0123〜0124、特開平11-223898号、同9-230531号、同10-36695号、同10-104779号、同11-231457号、同11-352625号、同11-352626号等に記載されている。
アンチハレーション層には、露光波長に吸収を有するアンチハレーション染料を含有する。露光波長が赤外域にある場合には赤外線吸収染料を用いればよく、その場合には可視域に吸収を有しない染料が好ましい。
可視域に吸収を有する染料を用いてハレーション防止を行う場合には、画像形成後には染料の色が実質的に残らないようにすることが好ましく、熱現像の熱により消色する手段を用いることが好ましく、特に非感光性層に熱消色染料と塩基プレカーサーとを添加してアンチハレーション層として機能させることが好ましい。これらの技術については特開平11-231457号等に記載されている。
【0168】
消色染料の添加量は、染料の用途により決定する。一般には、目的とする波長で測定したときの光学濃度(吸光度)が0.1を越える量で使用する。光学濃度は、0.15〜2であることが好ましく0.2〜1であることがより好ましい。このような光学濃度を得るための染料の使用量は、一般に0.001〜1g/m2程度である。
【0169】
なお、このように染料を消色すると、熱現像後の光学濃度を0.1以下に低下させることができる。二種類以上の消色染料を、熱消色型記録材料や熱現像感光材料において併用してもよい。同様に、二種類以上の塩基プレカーサーを併用してもよい。
【0170】
本発明において使用することのできる塩基プレカーサーには様々な種類があるが、消色反応は加熱条件下で実施するため、加熱により塩基を生成(または放出)する種類のプレカーサーを用いるのが好ましい。加熱により塩基を生成する塩基プレカーサーとしては、カルボン酸と塩基との塩からなる熱分解型(脱炭酸型)塩基プレカーサーが代表的である。脱炭酸型塩基プレカーサーを加熱すると、カルボン酸のカルボキシル基が脱炭酸反応し、有機塩基が放出される。カルボン酸としては、脱炭酸しやすいスルホニル酢酸やプロピオール酸を用いる。スルホニル酢酸およびプロピオール酸は、脱炭酸を促進する芳香族性を有する基(アリール基や不飽和複素環基)を置換基として有することが好ましい。スルホニル酢酸塩の塩基プレカーサーについては特開昭59−168441号公報に、プロピオール酸塩の塩基プレカーサーについては特開昭59−180537号公報にそれぞれ記載がある。
【0171】
脱炭酸型塩基プレカーサーの塩基側成分としては、有機塩基が好ましく、アミジン、グアニジンまたはそれらの誘導体であることがさらに好ましい。有機塩基は、二酸塩基、三酸塩基または四酸塩基であることが好ましく、二酸塩基であることがさらに好ましく、アミジン誘導体またはグアニジン誘導体の二酸塩基であることが最も好ましい。
【0172】
アミジン誘導体の二酸塩基、三酸塩基または四酸塩基のプレカーサーについては、特公平7−59545号公報に記載がある。グアニジン誘導体の二酸塩基、三酸塩基または四酸塩基のプレカーサーについては、特公平8−10321号公報に記載がある。
【0173】
アミジン誘導体またはグアニジン誘導体の二酸塩基は、(A)二つのアミジン部分またはグアニジン部分、(B)アミジン部分またはグアニジン部分の置換基および(C)二つのアミジン部分またはグアニジン部分を結合する二価の連結基からなる。(B)の置換基の例には、アルキル基(シクロアルキル基を含む)、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基および複素環残基が含まれる。二個以上の置換基が結合して含窒素複素環を形成してもよい。(C)の連結基は、アルキレン基またはフェニレン基であることが好ましい。
【0174】
以下に、アミジン誘導体またはグアニジン誘導体の二酸塩基プレカーサーの例を示す。
【0175】
【化17】
Figure 0003922953
【0176】
【化18】
Figure 0003922953
【0177】
【化19】
Figure 0003922953
【0178】
【化20】
Figure 0003922953
【0179】
【化21】
Figure 0003922953
【0180】
【化22】
Figure 0003922953
【0181】
【化23】
Figure 0003922953
【0182】
【化24】
Figure 0003922953
【0183】
このような消色染料と塩基プレカーサーを用いる熱消色においては、特開平11-352626号に記載のような塩基プレカーサーと混合すると融点を3℃(deg)以上降下させる物質(例えば、ジフェニルスルホン、4-クロロフェニル(フェニル)スルホン)、2-ナフチルベンゾエート等を併用することが熱消色性等の点で好ましい。
【0184】
本発明においては、銀色調、画像の経時変化を改良する目的で300〜450nmに吸収極大を有する着色剤を添加することができる。このような着色剤は、特開昭62-210458号、同63-104046号、同63-103235号、同63-208846号、同63-306436号、同63-314535号、特開平01-61745号、特開平2001-100363などに記載されている。
このような着色剤は、通常、0.1mg/m2〜1g/m2の範囲で添加され、添加する層としては感光性層の反対側に設けられるバック層が好ましい。
【0185】
本発明における熱現像感光材料は、支持体の一方の側に少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤を含む感光性層を有し、他方の側にバック層を有する、いわゆる片面感光材料であることが好ましい。
【0186】
(マット剤の説明)
本発明において、搬送性改良のためにマット剤を添加することが好ましく、マット剤については、特開平11-65021号段落番号0126〜0127に記載されている。マット剤は、感光材料1m2当たりの塗布量で示した場合、好ましくは1〜400mg/m2、より好ましくは5〜300mg/m2である。
本発明において、マット剤の形状は定型、不定形のいずれでもよいが好ましくは定型で、球形が好ましく用いられる。平均粒径は0.5〜10μmであることが好ましく、より好ましくは1.0〜8.0μm、さらに好ましくは2.0〜6.0μmの範囲である。また、サイズ分布の変動係数としては50%以下であることが好ましく、より好ましくは40%以下、さらに好ましくは、30%以下である。ここで変動係数とは〔(粒径の標準偏差)/(粒径の平均値)〕×100(%)で表される値である。また、変動係数が小さいマット剤で平均粒径の比が3より大きいものを2種併用することも好ましい。
また、乳剤面のマット度は星屑故障が生じなければいかようでも良いが、ベック平滑度が30秒以上2000秒以下が好ましく、特に40秒以上1500秒以下が好ましい。ベック平滑度は、日本工業規格(JIS)P8119「紙および板紙のベック試験器による平滑度試験方法」およびTAPPI標準法T479により容易に求めることができる。
【0187】
本発明においてバック層のマット度としては、ベック平滑度が1200秒以下10秒以上が好ましく、800秒以下20秒以上が好ましく、さらに好ましくは500秒以下40秒以上である。
【0188】
本発明において、マット剤は感光材料の最外表面層もしくは最外表面層として機能する層、あるいは外表面に近い層に含有されるのが好ましく、またいわゆる保護層として作用する層に含有されることが好ましい。
【0189】
本発明に適用することのできるバック層については特開平11-65021号段落番号0128〜0130に記載されている。
【0190】
本発明の熱現像感光材料は、熱現像処理前の膜面pHが7.0以下であることが好ましく、さらに好ましくは6.6以下である。その下限には特に制限はないが、3程度である。最も好ましいpH範囲は4〜6.2の範囲である。膜面pHの調節はフタル酸誘導体などの有機酸や硫酸などの不揮発性の酸、アンモニアなどの揮発性の塩基を用いることが、膜面pHを低減させるという観点から好ましい。特にアンモニアは揮発しやすく、塗布する工程や熱現像される前に除去できることから低膜面pHを達成する上で好ましい。
また、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム、水酸化リチウム等の不揮発性の塩基とアンモニアを併用することも好ましく用いられる。なお、膜面pHの測定方法は、特願平11-87297号明細書の段落番号0123に記載されている。
【0191】
本発明の感光性層、保護層、バック層など各層には硬膜剤を用いても良い。硬膜剤の例としてはT.H.James著“THE THEORY OF THE PHOTOGRAPHIC PROCESS FOURTH EDITION”(Macmillan Publishing Co., Inc.刊、1977年刊)77頁から87頁に記載の各方法があり、クロムみょうばん、2,4-ジクロロ-6-ヒドロキシ-s-トリアジンナトリウム塩、N,N-エチレンビス(ビニルスルホンアセトアミド)、N,N-プロピレンビス(ビニルスルホンアセトアミド)の他、同書78頁など記載の多価金属イオン、米国特許4,281,060号、特開平6-208193号などのポリイソシアネート類、米国特許4,791,042号などのエポキシ化合物類、特開昭62-89048号などのビニルスルホン系化合物類が好ましく用いられる。
【0192】
硬膜剤は溶液として添加され、この溶液の保護層塗布液中への添加時期は、塗布する180分前から直前、好ましくは60分前から10秒前であるが、混合方法及び混合条件については本発明の効果が十分に現れる限りにおいては特に制限はない。具体的な混合方法としては添加流量とコーターへの送液量から計算した平均滞留時間を所望の時間となるようにしたタンクでの混合する方法やN.Harnby、M.F.Edwards、A.W.Nienow著、高橋幸司訳“液体混合技術”(日刊工業新聞社刊、1989年)の第8章等に記載されているスタチックミキサーなどを使用する方法がある。
【0193】
本発明に適用できる界面活性剤については特開平11-65021号段落番号0132、溶剤については同号段落番号0133、支持体については同号段落番号0134、帯電防止又は導電層については同号段落番号0135、カラー画像を得る方法については同号段落番号0136に、滑り剤については特開平11-84573号段落番号0061〜0064や特願平11-106881号段落番号0049〜0062記載されている。
【0194】
本発明においては金属酸化物を含む導電層を有することが好ましい。導電層の導電性材料は金属酸化物中に酸素欠陥、異種金属原子を導入して導電性を高めた金属酸化物が好ましく用いられる。金属酸化物の例としては、ZnO、TiO2、SnO2が好ましく、ZnO2に対してはAl、Inの添加、SnO2に対してはSb、Nb、P、ハロゲン元素等の添加、TiO2に対してはNb、Ta等の添加が好ましい。特にSbを添加したSnO2が好ましい。異種原子の添加量は0.01〜30mol%の範囲が好ましく、0.1〜10mol%の範囲がより好ましい。金属酸化物の形状は球状、針状、板状いずれでもよいが、導電性付与の効果の点で長軸/単軸比が2.0以上、好ましくは3.0〜50の針状粒子がよい。金属酸化物の使用量は好ましくは1mg/m2〜1000mg/m2の範囲で、より好ましくは10mg/m2〜500mg/m2の範囲、さらに好ましくは20mg/m2〜200mg/m2の範囲である。
本発明の導電層は乳剤面側、バック面側のいずれに設置してもよいが、支持体とバック層との間に設置することが好ましい。本発明の導電層の具体例は特開平7-295146号、特開平11-223901号に記載されている。
本発明においてはフッ素系の界面活性剤を使用することが好ましい。フッ素系界面活性剤の具体例は特開平10-197985号、特開2000-19680号、特開2000-214554号等に記載された化合物があげられる。また、特開平9-281636号記載の高分子フッ素系界面活性剤も好ましく用いられる。本発明の熱現像感光材料においては特願2000-206560号、特願2001-203462号、特願2001-242357号および特願2001-264110号記載のフッ素系界面活性剤の使用が好ましい。特に特願2001-242357号および特願2001-264110号記載のフッ素系界面活性剤は水系の塗布液で塗布製造を行う場合、帯電調整能力、塗布面状の安定性、スベリ性の点で好ましく、特願2001-264110号記載のフッ素系界面活性剤は帯電調整能力が高く使用量が少なくてすむという点で最も好ましい。
本発明においてフッ素系界面活性剤は乳剤面、バック面のいずれにも使用することができ、両方の面に使用することが好ましい。また、前述の金属酸化物を含む導電層と組み合わせて使用することが特に好ましい。この場合には導電層を有する面のフッ素系界面活性剤の使用量を低減もしくは除去しても十分な性能が得られる。
フッ素系界面活性剤の好ましい使用量は乳剤面、バック面それぞれに0.1〜100mg/m2の範囲で、より好ましくは0.3〜30mg/m2の範囲、さらに好ましくは1〜10mg/m2の範囲である。特に特願2001−264110号記載のフッ素系界面活性剤は効果が大きく、0.01〜10mg/m2の範囲が好ましく、0.1〜5mg/m2の範囲がより好ましい。
【0195】
透明支持体は、二軸延伸時にフィルム中に残存する内部歪みを緩和させ、熱現像処理中に発生する熱収縮歪みをなくすために、130〜185℃の温度範囲で熱処理を施したポリエステル、特にポリエチレンテレフタレートが好ましく用いられる。医療用の熱現像感光材料の場合、透明支持体は青色染料(例えば、特開平8-240877号実施例記載の染料-1)で着色されていてもよいし、無着色でもよい。支持体には、特開平11-84574号の水溶性ポリエステル、同10-186565号のスチレンブタジエン共重合体、特開2000-39684号や特願平11-106881号段落番号0063〜0080の塩化ビニリデン共重合体などの下塗り技術を適用することが好ましい。また、帯電防止層もしくは下塗りについては、特開昭56-143430号、同56-143431号、同58-62646号、同56-120519号、特開平11-84573号の段落番号0040〜0051、米国特許第5,575,957号、特開平11-223898号の段落番号0078〜0084に記載の技術を適用することができる。
【0196】
熱現像感光材料は、モノシート型(受像材料のような他のシートを使用せずに、熱現像感光材料上に画像を形成できる型)であることが好ましい。
【0197】
熱現像感光材料には、さらに、酸化防止剤、安定化剤、可塑剤、紫外線吸収剤あるいは被覆助剤を添加してもよい。各種の添加剤は、感光性層あるいは非感光性層のいずれかに添加する。それらについてWO98/36322号、EP803764A1号、特開平10-186567号、同10-18568号等を参考にすることができる。
【0198】
本発明における熱現像感光材料はいかなる方法で塗布されても良い。具体的には、エクストルージョンコーティング、スライドコーティング、カーテンコーティング、浸漬コーティング、ナイフコーティング、フローコーティング、または米国特許第2,681,294号に記載の種類のホッパーを用いる押出コーティングを 含む種々のコーティング操作が用いられ、Stephen F. Kistler、Petert M. Schweizer著“LIQUID FILM COATING”(CHAPMAN & HALL社刊、1997年)399頁から536頁記載のエクストルージョンコーティング、またはスライドコーティング好ましく用いられ、特に好ましくはスライドコーティングが用いられる。スライドコーティングに使用されるスライドコーターの形状の例は同書427頁のFigure 11b.1に ある。また、所望により同書399頁から536頁記載の方法、米国特許第2,761,791 号および英国特許第837,095号に記載の方法により2層またはそれ以上の層を同時に被覆することができる。
【0199】
本発明における有機銀塩含有層塗布液は、いわゆるチキソトロピー流体であることが好ましい。この技術については特開平11-52509号を参考にすることができる。
本発明における有機銀塩含有層塗布液の剪断速度0.1S-1における粘度は、400mPa・s以上100,000mPa・s以下が好ましく、さらに好ましくは500mPa・s以上20,000mPa・s以下である。また、剪断速度1000S-1においては1mPa・s以上200mPa・s以下が好ましく、さらに好ましくは5mPa・s以上80mPa・s以下である。
【0200】
本発明の熱現像感光材料に用いることのできる技術としては、EP803764A1号、EP883022A1号、WO98/36322号、特開昭56-62648号、同58-62644号、特開平9-43766、同9-281637、同9-297367号、同9-304869号、同9-311405号、同9-329865号、同10-10669号、同10-62899号、同10-69023号、同10-186568号、同10-90823号、同10-171063号、同10-186565号、同10-186567号、同10-186569号〜同10-186572号、同10-197974号、同10-197982号、同10-197983号、同10-197985号〜同10-197987号、同10-207001号、同10-207004号、同10-221807号、同10-282601号、同10-288823号、同10-288824号、同10-307365号、同10-312038号、同10-339934号、同11-7100号、同11-15105号、同11-24200号、同11-24201号、同11-30832号、同11-84574号、同11-65021号、同11-109547号、同11-125880号、同11-129629号、同11-133536号〜同11-133539号、同11-133542号、同11-133543号、同11-223898号、同11-352627号、同11-305377号、同11-305378号、同11-305384号、同11-305380号、同11-316435号、同11-327076号、同11-338096号、同11-338098号、同11-338099号、同11-343420号、特願2000-187298号、同2000-10229号、同2000-47345号、同2000-206642号、同2000-98530号、同2000-98531号、同2000-112059号、同2000-112060号、同2000-112104号、同2000-112064号、同2000-171936号も挙げられる。
【0201】
(包装材料の説明)
本発明の感光材料は生保存時の写真性能の変動を押さえるため、もしくはカール、巻癖などを改良するために、酸素透過率および/または水分透過率の低い包装材料で包装することが好ましい。酸素透過率は25℃で50ml/atm・m2・day以下であることが好ましく、より好ましくは10ml/atm・m2・day以下、さらに好ましくは1.0ml/atm・m2・day以下である。水分透過率は10g/atm・m2・day以下であることが好ましく、より好ましくは5g/atm・m2・day以下、さらに好ましくは1g/atm・m2・day以下である。
該酸素透過率および/または水分透過率の低い包装材料の具体例としては、たとえば特開平8−254793号、特開2000−206653号明細書に記載されている包装材料である。
【0202】
(熱現像の説明)
本発明の熱現像感光材料はいかなる方法で現像されても良いが、通常イメージワイズに露光した熱現像感光材料を昇温して現像される。好ましい現像温度としては80〜250℃であり、より好ましくは100〜140℃、さらに好ましくは110〜130℃である。現像時間としては1〜60秒が好ましく、より好ましくは3〜30秒、さらに好ましくは5〜25秒、7〜15秒が特に好ましい。
【0203】
熱現像の方式としては、ドラム型ヒーター、プレート型ヒーターのいずれを使用してもよいが、プレートヒーター方式がより好ましい。プレートヒーター方式による熱現像方式とは特開平11-133572号に記載の方法が好ましく、潜像を形成した熱現像感光材料を熱現像部にて加熱手段に接触させることにより可視像を得る熱現像装置であって、前記加熱手段がプレートヒータからなり、かつ前記プレートヒータの一方の面に沿って複数個の押えローラが対向配設され、前記押えローラと前記プレートヒータとの間に前記熱現像感光材料を通過させて熱現像を行うことを特徴とする熱現像装置である。プレートヒータを2〜6段に分けて先端部については1〜10℃程度温度を下げることが好ましい。例えば、独立に温度制御できる4組のプレートヒータを使用し、それぞれ112℃、119℃、121℃、120℃になるように制御する例が挙げられる。このような方法は特開昭54-30032号にも記載されており、熱現像感光材料に含有している水分や有機溶媒を系外に除外させることができ、また、急激に熱現像感光材料が加熱されることでの熱現像感光材料の支持体形状の変化を抑えることもできる。
【0204】
本発明の感光材料はいかなる方法で露光されても良いが、露光光源としてレーザー光が好ましい。本発明によるレーザー光としては、ガスレーザー(Ar+、He−Ne)、YAGレーザー、色素レーザー、半導体レーザーなどが好ましい。また、半導体レーザーと第2高調波発生素子などを用いることもできる。好ましくは赤〜赤外発光のガス若しくは半導体レーザーである。
【0205】
露光部及び熱現像部を備えた医療用のレーザーイメージャーとしては富士メディカルドライレーザーイメージャーFM−DP Lを挙げることができる。FM−DP Lに関しては、Fuji Medical Review No.8,page 39〜55に記載されており、それらの技術は本発明の熱現像感光材料のレーザーイメージャーとして適用することは言うまでもない。また、DICOM規格に適応したネットワークシステムとして富士メディカルシステムが提案した「AD network」の中でのレーザーイメージャー用の熱現像感光材料としても適用することができる。
【0206】
本発明の熱現像感光材料は、銀画像による黒白画像を形成し、医療診断用の熱現像感光材料、工業写真用熱現像感光材料、印刷用熱現像感光材料、COM用の熱現像感光材料として使用されることが好ましい。
【実施例】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0207】
〔実施例1〕
(ポリエチレンテレフタレート(PET)支持体の作成)
テレフタル酸とエチレングリコ−ルを用い、常法に従い固有粘度IV=0.66(フェノ−ル/テトラクロルエタン=6/4(重量比)中25℃で測定)のPETを得た。これをペレット化した後130℃で4時間乾燥し、300℃で溶融後T型ダイから押し出して急冷し、熱固定後の膜厚が175μmになるような厚みの未延伸フィルムを作成した。
【0208】
これを、周速の異なるロ−ルを用い3.3倍に縦延伸、ついでテンタ−で4.5倍に横延伸を実施した。この時の温度はそれぞれ、110℃、130℃であった。この後、240℃で20秒間熱固定後これと同じ温度で横方向に4%緩和した。この後テンタ−のチャック部をスリットした後、両端にナ−ル加工を行い、4kg/cm2で巻き取り、厚み175μmのロ−ルを得た。
【0209】
〈表面コロナ処理〉
ピラー社製ソリッドステートコロナ処理機6KVAモデルを用い、支持体の両面を室温下において20m/分で処理した。この時の電流、電圧の読み取り値から、支持体には0.375kV・A・分/m2の処理がなされていることがわかった。この時の処理周波数は9.6kHz、電極と誘電体ロ−ルのギャップクリアランスは1.6mmであった。
【0210】
(下塗り支持体の作成)
〈下塗層塗布液の作成〉
処方▲1▼(感光層側下塗り層用)
高松油脂(株)製ペスレジンA-520(30質量%溶液) 59g
ポリエチレングリコールモノノニルフェニルエーテル 5.4g
(平均エチレンオキシド数=8.5) 10質量%溶液
綜研化学(株)製 MP-1000(ポリマー微粒子、平均粒径0.4μm) 0.91g
蒸留水 935ml
【0211】
処方▲2▼(バック面第1層用)
スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス 158g
(固形分40質量%、スチレン/ブタジエン重量比=68/32)
2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−S− 20g
トリアジンナトリウム塩 8質量%水溶液
ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウムの1質量%水溶液 10ml
蒸留水 854ml
【0212】
処方▲3▼(バック面側第2層用)
SnO2/SbO (9/1質量比、平均粒径0.038μm、17質量%分散物) 84g
ゼラチン(10質量%水溶液) 89.2g
信越化学(株)製 メトローズTC-5(2質量%水溶液) 8.6g
綜研化学(株)製 MP-1000 0.01g
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの1質量%水溶液 10ml
NaOH(1質量%) 6ml
プロキセル(ICI社製) 1ml
蒸留水 805ml
【0213】
〈下塗り支持体の作製〉
上記厚さ175μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレート支持体の両面それぞれに、上記コロナ放電処理を施した後、片面(感光性層面)に上記下塗り塗布液処方▲1▼をワイヤーバーでウエット塗布量が6.6ml/m2(片面当たり)になるように塗布して180 ℃で5分間乾燥し、ついでこの裏面(バック面)に上記下塗り塗布液処方▲2▼をワイヤーバーでウエット塗布量が5.7ml/m2になるように塗布して180 ℃で5分間乾燥し、更に裏面(バック面)に上記下塗り塗布液処方▲3▼をワイヤーバーでウエット塗布量が7.7ml/m2になるように塗布して180℃で6分間乾燥して下塗り支持体を作製した。
【0214】
(バック付き支持体A1の作成:比較用)
〈バック面塗布液の調製〉
・塩基プレカーサーの固体微粒子分散液(a)の調製
塩基プレカーサー化合物1を、1.5kg、および界面活性剤(商品名:デモールN、花王(株)製) 225g 、ジフェニルスルホン 937.5g、パラヒドロキシ安息香酸ブチルエステル(商品名メッキンス:上野製薬製)15gおよび蒸留水を加えて総量を 5.0kgに合わせて混合し、混合液を横型サンドミル(UVM-2:アイメックス(株)製)を用いてビーズ分散した。分散方法は、混合液をを平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填したUVM-2にダイアフラムポンプで送液し、内圧50hPa以上の状態で、所望の平均粒径が得られるまで分散した。
分散物は、分光吸収測定を行って該分散物の分光吸収における450nmにおける吸光度と650nmにおける吸光度の比(D450/D650)が2.2以上であるところまで分散した。得られた分散物は、塩基プレカーサーの濃度で20重量%となるように蒸留水で希釈し、ごみ取りのためにろ過(平均細孔径:3μmのポリプロピレン製フィルター)を行って実用に供した。
【0215】
・染料固体微粒子分散液の調製
下記に示されるシアニン染料化合物−1を6.0kgおよびp-ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム3.0kg、花王(株)製界面活性剤デモールSNB 0.6kg、および消泡剤(商品名:サーフィノール104E、日信化学(株)製)0.15kg を蒸留水 と混合して、総液量を60kgとした。混合液を横型サンドミル(UVM-2:アイメックス(株)製)を用いて、0.5mmのジルコニアビーズで分散した。
分散物は、分光吸収測定を行って該分散物の分光吸収における650nmにおける吸光度と750nmにおける吸光度の比(D650/D750)が5.0以上であるところまで分散した。得られた分散物は、シアニン染料の濃度で、6質量%となるように蒸留水で希釈し、ごみ取りのためにフィルターろ過(平均細孔径:1μm)を行って実用に供した。
【0216】
・ハレーション防止層塗布液−1の調製
ゼラチン30g、ポリアクリルアミド24.5g、1mol/lの水酸化ナトリウム2.2g、単分散ポリメチルメタクリレート微粒子(平均粒子サイズ8μm、粒径標準偏差0.4)2.4g、ベンゾイソチアゾリノン0.08g、上記染料固体微粒子分散液35.9g、上記塩基プレカーサーの固体微粒子分散液(a)を74.2g、ポリエチレンスルホン酸ナトリウム0.6g、下記に示される構造の青色染料化合物−1を0.21g、下記に示される構造の黄色染料化合物−1を0.15g、アクリル酸/エチルアクリレート共重合ラテックス(共重合比5/95)8.3gを混合し、水にて全体を818mlとし、ハレーション防止層塗布液−1を調製した。
【0217】
・バック面保護層塗布液の調製
容器を40℃に保温し、ゼラチン40g、流動パラフィン乳化物を流動パラフィンとして1.5g、ベンゾイソチアゾリノン35mg、1mol/lの苛性6.8g、 t-オクチルフェノキシエトキシエタンスルホン酸ナトリウム0.5g、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム0.27g、下記に示される構造のフッ素系界面活性剤(F−1)2%水溶液を5.4ml、下記に示される構造のフッ素系界面活性剤(F−2)2%水溶液を5.4ml、アクリル酸/エチルアクリレート共重合体(共重合重量比5/95)6.0g、 N,N-エチレンビス(ビニルスルホンアセトアミド) 2.0gを混合し、水で1000mlとしてバック面保護層塗布液とした。
【0218】
〈バック面の塗布〉
上記下塗り支持体のバック面側に、ハレーション防止層塗布液−1をゼラチン塗布量が0.44g/m2となるように、またバック面保護層塗布液をゼラチン塗布量が1.7g/m2となるように同時重層塗布し、乾燥し、バック層を形成してバック付支持体A1を作成した。
【0219】
(バック付き支持体A2の作成:比較用)
バック付き支持体A1の作成で使用したハレーション防止層塗布液−1において、青色染料化合物−1を除去した以外は同様の手順で、ハレーション防止層塗布液−2を調製した。
上記下塗り支持体のバック面側に、ハレーション防止層塗布液−2をゼラチン塗布量が0.44g/m2となるように、またバック面保護層塗布液をゼラチン塗布量が1.7g/m2となるように同時重層塗布し、乾燥し、バック層を形成してバック付支持体A2を作成した。
【0220】
(バック付き支持体A3の作成:本発明用)
バック付き支持体A1の作成で使用したハレーション防止層塗布液−1において、青色染料化合物−1に代えて、水溶性フタロシアニン化合物1(Kayafect Turquoise RN(日本化薬))を、2%水溶液にして添加した以外は同様の手順で、ハレーション防止層塗布液−3を調製した。
上記下塗り支持体のバック面側に、ハレーション防止層塗布液−3をゼラチン塗布量が0.44g/m2となるように、またバック面保護層塗布液をゼラチン塗布量が1.77g/m2となるように同時重層塗布し、乾燥し、バック層を形成してバック付支持体A3を作成した。
【0221】
(バック付き支持体A11〜A13の作成)
上記バック付き支持体A1〜A3において、それぞれハレーション防止層塗布液から黄色染料化合物−1を除き、バック面保護層のフッ素系界面活性剤をF−1およびF−2を、それぞれ下記に示される構造のF−3およびF−4に変更した他はバック付き支持体A1〜A3の作成と同様にしてバック付き支持体A11〜A13を作成した。A11およびA12は比較用であり、A13は本発明用である。
【0222】
(ハロゲン化銀乳剤の調製)
〈ハロゲン化銀乳剤1の調製〉
蒸留水1421mlに1質量%臭化カリウム溶液3.1mlを加え、さらに0.5mol/L濃度の硫酸を3.5ml、フタル化ゼラチン31.7gを添加した液をステンレス製反応壺中で攪拌しながら、30℃に液温を保ち、硝酸銀22.22gに蒸留水を加え95.4mlに希釈した溶液Aと臭化カリウム15.3gとヨウ化カリウム0.8gを蒸留水にて容量97.4mlに希釈した溶液Bを一定流量で45秒間かけて全量添加した。その後、3.5質量%の過酸化水素水溶液を10ml添加し、さらにベンゾイミダゾールの10質量%水溶液を10.8ml添加した。さらに、硝酸銀51.86gに蒸留水を加えて317.5mlに希釈した溶液Cと臭化カリウム44.2gとヨウ化カリウム2.2gを蒸留水にて容量400mlに希釈した溶液Dを、溶液Cは一定流量で20分間かけて全量添加し、溶液DはpAgを8.1に維持しながらコントロールドダブルジェット法で添加した。銀1モル当たり1×10-4モルになるよう六塩化イリジウム(III)酸カリウム塩を溶液Cおよび溶液Dを添加しはじめてから10分後に全量添加した。また、溶液Cの添加終了の5秒後に六シアン化鉄(II)カリウム水溶液を銀1モル当たり3×10-4モル全量添加した。0.5mol/L濃度の硫酸を用いてpHを3.8に調整し、攪拌を止め、沈降/脱塩/水洗工程をおこなった。1mol/L濃度の水酸化ナトリウムを用いてpH5.9に調整し、pAg8.0のハロゲン化銀分散物を作成した。
【0223】
上記ハロゲン化銀分散物を攪拌しながら38℃に維持して、0.34質量%の1,2-ベンゾイソチアゾリン-3-オンのメタノール溶液を5ml加え、40分後に下記に示される構造の分光増感色素Aと増感色素Bのモル比で1:1のメタノール溶液を銀1モル当たり下記に示される構造の増感色素AとBの合計として1.2×10-3モル加え、1分後に47℃に昇温した。昇温の20分後にベンゼンチオスルホン酸ナトリウムをメタノール溶液で銀1モルに対して7.6×10-5モル加え、さらに5分後にテルル増感剤Cをメタノール溶液で銀1モル当たり2.9×10-4モル加えて91分間熟成した。N,N’-ジヒドロキシ-N”-ジエチルメラミンの0.8質量%メタノール溶液1.3mlを加え、さらに4分後に、5-メチル-2-メルカプトベンゾイミダゾールをメタノール溶液で銀1モル当たり4.8×10-3モル及び1-フェニル-2-ヘプチル-5-メルカプト-1,3,4-トリアゾールをメタノール溶液で銀1モルに対して5.4×10-3モル添加して、ハロゲン化銀乳剤1を作成した。
【0224】
調製できたハロゲン化銀乳剤中の粒子は、平均球相当径0.042μm、球相当径の変動係数20%のヨウドを均一に3.5モル%含むヨウ臭化銀粒子であった。粒子サイズ等は、電子顕微鏡を用い1000個の粒子の平均から求めた。この粒子の[100]面比率は、クベルカムンク法を用いて80%と求められた。
【0225】
〈ハロゲン化銀乳剤2の調製〉
ハロゲン化銀乳剤1の調製において、粒子形成時の液温30℃を47℃に変更し、溶液Bは臭化カリウム15.9gを蒸留水にて容量97.4mlに希釈することに変更し、溶液Dは臭化カリウム45.8gを蒸留水にて容量400mlに希釈することに変更し、溶液Cの添加時間を30分にして、六シアノ鉄(II)カリウムを除去した以外は同様にして、ハロゲン化銀乳剤2の調製を行った。ハロゲン化銀乳剤1と同様に沈殿/脱塩/水洗/分散を行った。更に分光増感色素Aと分光増感色素Bのモル比で1:1のメタノール溶液の添加量を銀1モル当たり増感色素Aと増感色素Bの合計として7.5×10-4モル、テルル増感剤Cの添加量を銀1モル当たり1.1×10-4モル、1-フェニル-2-ヘプチル-5-メルカプト-1,3,4-トリアゾールを銀1モルに対して3.3×10-3モルに変えた以外は乳剤1と同様にして分光増感、化学増感及び5-メチル-2-メルカプトベンゾイミダゾール、1-フェニル-2-ヘプチル-5-メルカプト-1,3,4-トリアゾールの添加を行い、ハロゲン化銀乳剤2を得た。ハロゲン化銀乳剤2の乳剤粒子は、平均球相当径0.080μm、球相当径の変動係数20%の純臭化銀立方体粒子であった。
【0226】
〈ハロゲン化銀乳剤3の調製〉
ハロゲン化銀乳剤1の調製において、粒子形成時の液温30℃を27℃に変更する以外は同様にして、ハロゲン化銀乳剤3の調製を行った。また、ハロゲン化銀乳剤1と同様に沈殿/脱塩/水洗/分散を行った。分光増感色素Aと分光増感色素Bのモル比で1:1を固体分散物(ゼラチン水溶液)として添加量を銀1モル当たり増感色素Aと増感色素Bの合計として6×10-3モル、テルル増感剤Cの添加量を銀1モル当たり5.2×10-4モルに変え、テルル増感剤の添加3分後に臭化金酸を銀1モル当たり5×10-4モルとチオシアン酸カリウムを銀1モルあたり2×10-3モルを添加したこと以外は乳剤1と同様にして、ハロゲン化銀乳剤3を得た。ハロゲン化銀乳剤3の乳剤粒子は、平均球相当径0.034μm、球相当径の変動係数20%のヨウドを均一に3.5モル%含むヨウ臭化銀粒子であった。
【0227】
〈下記に示される構造の塗布液用混合乳剤Aの調製〉
ハロゲン化銀乳剤1を70質量%、ハロゲン化銀乳剤2を15質量%、ハロゲン化銀乳剤3を15質量%溶解し、ベンゾチアゾリウムヨーダイドを1質量%水溶液にて銀1モル当たり7×10-3モル添加した。さらに塗布液用混合乳剤1kgあたりハロゲン化銀の含有量が銀として38.2gとなるように加水した。
【0228】
〈脂肪酸銀分散物Aの調製〉
ヘンケル社製ベヘン酸(製品名Edenor C22-85R)87.6Kg、蒸留水423L、5mol/L濃度のNaOH水溶液49.2L、t−ブチルアルコール120Lを混合し、75℃にて1時間攪拌し反応させ、ベヘン酸ナトリウム溶液Aを得た。別に、硝酸銀40.4kgの水溶液206.2L(pH4.0)を用意し、10℃にて保温した。635Lの蒸留水と30Lのt−ブチルアルコールを入れた反応容器を30℃に保温し、十分に撹拌しながら先のベヘン酸ナトリウム溶液Aの全量と硝酸銀水溶液の全量を流量一定でそれぞれ93分15秒と90分かけて添加した。このとき、硝酸銀水溶液添加開始後11分間は硝酸銀水溶液のみが添加されるようにし、そのあとベヘン酸ナトリウム溶液Aを添加開始し、硝酸銀水溶液の添加終了後14分15秒間はベヘン酸ナトリウム溶液Aのみが添加されるようにした。このとき、反応容器内の温度は30℃とし、液温度が一定になるように外温コントロールした。また、ベヘン酸ナトリウム溶液Aの添加系の配管は、2重管の外側に温水を循環させる事により保温し、添加ノズル先端の出口の液温度が75℃になるよう調製した。また、硝酸銀水溶液の添加系の配管は、2重管の外側に冷水を循環させることにより保温した。ベヘン酸ナトリウム溶液Aの添加位置と硝酸銀水溶液の添加位置は撹拌軸を中心として対称的な配置とし、また反応液に接触しないような高さに調製した。
【0229】
ベヘン酸ナトリウム溶液Aを添加終了後、そのままの温度で20分間撹拌放置し、30分かけて35℃に昇温し、その後210分熟成を行った。熟成終了後直ちに、遠心濾過で固形分を濾別し、固形分を濾過水の伝導度が30μS/cmになるまで水洗した。こうして脂肪酸銀塩を得た。得られた固形分は、乾燥させないでウエットケーキとして保管した。
【0230】
得られたベヘン酸銀粒子の形態を電子顕微鏡撮影により評価したところ、平均値でa=0.14μm、b=0.4μm、c=0.6μm、平均アスペクト比5.2、平均球相当径0.52μm、球相当径の変動係数15%のりん片状の結晶であった。(a,b,cは本文の規定)
【0231】
乾燥固形分260Kg相当のウエットケーキに対し、ポリビニルアルコール(商品名:PVA-217)19.3Kgおよび水を添加し、全体量を1000Kgとしてからディゾルバー羽根でスラリー化し、更にパイプラインミキサー(みづほ工業製:PM−10型)で予備分散した。
【0232】
次に予備分散済みの原液を分散機(商品名:マイクロフルイダイザーM−610、マイクロフルイデックス・インターナショナル・コーポレーション製、Z型インタラクションチャンバー使用)の圧力を1260kg/cm2に調節して、三回処理し、ベヘン酸銀分散物を得た。冷却操作は蛇管式熱交換器をインタラクションチャンバーの前後に各々装着し、冷媒の温度を調節することで18℃の分散温度に設定した。
【0233】
〈脂肪酸銀分散物Bの調製〉
・再結晶ベヘン酸の調製
ヘンケル社製ベヘン酸(製品名Edenor C22-85R)100Kgを、1200Kgのイソプロピルアルコールにまぜ、50℃で溶解し、10μmのフィルターで濾過した後、30℃まで、冷却し、再結晶を行った。再結晶をする際の、冷却スピードは、3℃/時間にコントロールした。得られた結晶を遠心濾過し、100Kgのイソプルピルアルコールでかけ洗いを実施した後、乾燥を行った。得られた結晶をエステル化してGC-FID測定をしたところ、ベヘン酸銀含有率は96%、それ以外にリグノセリン酸が2%、アラキジン酸が2%含まれていた。
・脂肪酸銀分散物Bの調製
再結晶ベヘン酸88Kg、蒸留水422L、5mol/L濃度のNaOH水溶液49.2L、t−ブチルアルコール120Lを混合し、75℃にて1時間攪拌し反応させ、ベヘン酸ナトリウム溶液Bを得た。別に、硝酸銀40.4kgの水溶液206.2L(pH4.0)を用意し、10℃にて保温した。635Lの蒸留水と30Lのt−ブチルアルコールを入れた反応容器を30℃に保温し、十分に撹拌しながら先のベヘン酸ナトリウム溶液Bの全量と硝酸銀水溶液の全量を流量一定でそれぞれ93分15秒と90分かけて添加した。このとき、硝酸銀水溶液添加開始後11分間は硝酸銀水溶液のみが添加されるようにし、そのあとベヘン酸ナトリウム溶液Bを添加開始し、硝酸銀水溶液の添加終了後14分15秒間はベヘン酸ナトリウム溶液Bのみが添加されるようにした。このとき、反応容器内の温度は30℃とし、液温度が一定になるように外温コントロールした。また、ベヘン酸ナトリウム溶液Bの添加系の配管は、2重管の外側に温水を循環させる事により保温し、添加ノズル先端の出口の液温度が75℃になるよう調製した。また、硝酸銀水溶液の添加系の配管は、2重管の外側に冷水を循環させることにより保温した。ベヘン酸ナトリウム溶液Bの添加位置と硝酸銀水溶液の添加位置は撹拌軸を中心として対称的な配置とし、また反応液に接触しないような高さに調製した。
【0234】
ベヘン酸ナトリウム溶液Bを添加終了後、そのままの温度で20分間撹拌放置し、30分かけて35℃に昇温し、その後210分熟成を行った。熟成終了後直ちに、遠心濾過で固形分を濾別し、固形分を濾過水の伝導度が30μS/cmになるまで水洗した。こうして脂肪酸銀塩を得た。得られた固形分は、乾燥させないでウエットケーキとして保管した。
【0235】
得られたベヘン酸銀粒子の形態を電子顕微鏡撮影により評価したところ、平均値でa=0.21μm、b=0.4μm、c=0.4μm、平均アスペクト比2.1、平均球相当径0.51μm、球相当径の変動係数11%の結晶であった。(a,b,cは本文の規定)
【0236】
乾燥固形分260Kg相当のウエットケーキに対し、ポリビニルアルコール(商品名:PVA-217)19.3Kgおよび水を添加し、全体量を1000Kgとしてからディゾルバー羽根でスラリー化し、更にパイプラインミキサー(みづほ工業製:PM−10型)で予備分散した。
【0237】
次に予備分散済みの原液を分散機(商品名:マイクロフルイダイザーM−610、マイクロフルイデックス・インターナショナル・コーポレーション製、Z型インタラクションチャンバー使用)の圧力を1150kg/cm2に調節して、三回処理し、ベヘン酸銀分散物を得た。冷却操作は蛇管式熱交換器をインタラクションチャンバーの前後に各々装着し、冷媒の温度を調節することで18℃の分散温度に設定した。
【0238】
(還元剤分散物の調製)
〈還元剤錯体−1分散物の調製〉
下記に示される構造の還元剤錯体−1(6,6’-ジ-t-ブチル-4,4’-ジメチル-2,2’-ブチリデンジフェノールとトリフェニルホスフィンオキシドの1:1錯体)10Kg、トリフェニルホスフィンオキシド0.12Kgおよび変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバールMP203)の10質量%水溶液16Kgに、水10Kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて4時間30分分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて還元剤錯体の濃度が22質量%になるように調製し、還元剤錯体−1分散物を得た。
こうして得た還元剤錯体分散物に含まれる還元剤錯体粒子はメジアン径0.45μm、最大粒子径1.4μm以下であった。得られた還元剤錯体分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0239】
〈還元剤−2分散物の調製〉
下記に示される構造の還元剤−2(6,6’-ジ-t-ブチル-4,4’-ジメチル-2,2’-ブチリデンジフェノール)10Kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバールMP203)の10質量%水溶液16Kgに、水10Kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて3時間30分分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて還元剤の濃度が25質量%になるように調製した。この分散液を60℃で5時間加熱処理し、還元剤−2分散物を得た。
こうして得た還元剤分散物に含まれる還元剤粒子はメジアン径0.40μm、最大粒子径1.5μm以下であった。得られた還元剤分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0240】
(水素結合性化合物−1分散物の調製)
下記に示される構造の水素結合性化合物−1(トリ(4−t−ブチルフェニル)ホスフィンオキシド)10Kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバールMP203)の10質量%水溶液16Kgに、水10Kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて3時間30分分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて水素結合性化合物の濃度が25質量%になるように調製した。この分散液を80℃で1時間加温し、水素結合性化合物−1分散物を得た。こうして得た水素結合性化合物分散物に含まれる水素結合性化合物粒子はメジアン径0.35μm、最大粒子径1.5μm以下であった。得られた水素結合性化合物分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0241】
(現像促進剤−1分散物の調製)
下記に示される構造の現像促進剤−1を10Kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバールMP203)の10質量%水溶液20Kgに、水10Kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて3時間30分分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて現像促進剤の濃度が20質量%になるように調製し、現像促進剤−1分散物を得た。こうして得た現像促進剤分散物に含まれる現像促進剤粒子はメジアン径0.48μm、最大粒子径1.4μm以下であった。得られた現像促進剤分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0242】
下記に示される構造の現像促進剤−2および色調調整剤−1の固体分散物についても現像促進剤−1と同様の方法により分散し、20質量%の分散液を得た。
【0243】
(ポリハロゲン化合物の調製〉
〈有機ポリハロゲン化合物−1分散物の調製
下記に示される構造の有機ポリハロゲン化合物−1(トリブロモメタンスルホニルベンゼン)10Kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製ポバールMP203)の20質量%水溶液10Kgと、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20質量%水溶液0.4Kgと、水14Kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて5時間分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて有機ポリハロゲン化合物の濃度が26質量%になるように調製し、有機ポリハロゲン化合物−1分散物を得た。こうして得たポリハロゲン化合物分散物に含まれる有機ポリハロゲン化合物粒子はメジアン径0.41μm、最大粒子径2.0μm以下であった。得られた有機ポリハロゲン化合物分散物は孔径10.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0244】
〈有機ポリハロゲン化合物−2分散物の調製〉
下記に示される構造の有機ポリハロゲン化合物−2(N−ブチル−3−トリブロモメタンスルホニルベンゾアミド)10Kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製ポバールMP203)の10質量%水溶液20Kgと、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20質量%水溶液0.4Kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて5時間分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて有機ポリハロゲン化合物の濃度が30質量%になるように調製した。この分散液を40℃で5時間加温し、有機ポリハロゲン化合物−2分散物を得た。こうして得たポリハロゲン化合物分散物に含まれる有機ポリハロゲン化合物粒子はメジアン径0.40μm、最大粒子径1.3μm以下であった。得られた有機ポリハロゲン化合物分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0245】
〈フタラジン化合物−1溶液の調製〉
8Kgのクラレ(株)製変性ポリビニルアルコールMP203を水174.57Kgに溶解し、次いでトリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20質量%水溶液3.15Kgと下記に示される構造のフタラジン化合物−1(6-イソプロピルフタラジン)の70質量%水溶液14.28Kgを添加し、フタラジン化合物−1の5質量%溶液を調製した。
【0246】
(メルカプト化合物の調製)
〈メルカプト化合物−1水溶液の調製〉
下記に示される構造のメルカプト化合物−1(1−(3−スルホフェニル)−5−メルカプトテトラゾールナトリウム塩)7gを水993gに溶解し、0.7質量%の水溶液とした。
【0247】
〈メルカプト化合物−2水溶液の調製〉
下記に示される構造のメルカプト化合物−2(1−(3−メチルウレイド)−5−メルカプトテトラゾールナトリウム塩)20gを水980gに溶解し、2.0質量%の水溶液とした。
【0248】
〈顔料−1分散物の調製〉
C.I.Pigment Blue 60を64gと花王(株)製デモールNを6.4gに水250gを添加し良く混合してスラリーとした。平均直径0.5mmのジルコニアビーズ800gを用意してスラリーと一緒にベッセルに入れ、分散機(1/4Gサンドグラインダーミル:アイメックス(株)製)にて25時間分散し、顔料−1分散物を得た。こうして得た顔料分散物に含まれる顔料粒子は平均粒径0.21μmであった。
【0249】
〈SBRラテックス液の調製〉
Tg=22℃のSBRラテックスは以下により調整した。
重合開始剤として過硫酸アンモニウム、乳化剤としてアニオン界面活性剤を使用し、スチレン70.0質量、ブタジエン27.0質量およびアクリル酸3.0質量を乳化重合させた後、80℃で8時間エージングを行った。その後40℃まで冷却し、アンモニア水によりpH7.0とし、さらに三洋化成(株)製サンデットBLを0.22%になるように添加した。次に5%水酸化ナトリウム水溶液を添加しpH8.3とし、さらにアンモニア水によりpH8.4になるように調整した。このとき使用したNa+イオンとNH4 +イオンのモル比は1:2.3であった。さらに、この液1Kg対してベンゾイソチアゾリンノンナトリウム塩7%水溶液を0.15ml添加しSBRラテックス液を調製した。
【0250】
(SBRラテックス:-St(70.0)-Bu(27.0)-AA(3.0)-のラテックス) Tg22℃
平均粒径0.1μm、濃度43質量%、25℃60%RHにおける平衡含水率0.6質量%、イオン伝導度4.2mS/cm(イオン伝導度の測定は東亜電波工業(株)製伝導度計CM-30S使用し、ラテックス原液(43質量%)を25℃にて測定)、pH8.4
Tgの異なるSBRラテックスはスチレン、ブタジエンの比率を適宜変更し、同様の方法により調整できる。
【0251】
〈乳剤層(感光性層)塗布液−1の調製〉
上記で得た脂肪酸銀分散物1000g、水276ml、顔料−1分散物33g、有機ポリハロゲン化合物−1分散物21g、有機ポリハロゲン化合物−2分散物58g、フタラジン化合物−1溶液173g、SBRラテックス(Tg:22℃)液1082g、還元剤錯体−1分散物299g、現像促進剤−1分散物5.7g、メルカプト化合物−1水溶液9ml、メルカプト化合物−2水溶液27mlを順次添加し、塗布直前にハロゲン化銀混合乳剤A117gを添加して良く混合した乳剤層塗布液をそのままコーティングダイへ送液し、塗布した。
【0252】
上記乳剤層塗布液の粘度は東京計器のB型粘度計で測定して、40℃(No.1ローター、60rpm)で25[mPa・s]であった。
レオメトリックスファーイースト株式会社製RFSフルードスペクトロメーターを使用した25℃での塗布液の粘度は剪断速度が0.1、1、10、100、1000[1/秒] においてそれぞれ230、60、46、24、18[mPa・s]であった。
【0253】
塗布液中のジルコニウム量は銀1gあたり0.38mgであった。
【0254】
〈乳剤層(感光性層)塗布液−2の調製〉
上記で得た脂肪酸銀分散物1000g、水276ml、顔料−1分散物35g、有機ポリハロゲン化合物−1分散物32g、有機ポリハロゲン化合物−2分散物46g、フタラジン化合物−1溶液173g、SBRラテックス(Tg:20℃)液1082g、還元剤−2分散物153g、水素結合性化合物−1分散物55g、現像促進剤−1分散物4.8g、現像促進剤−2分散物5.2g、色調調整剤−1分散物2.1g、メルカプト化合物−2水溶液8mlを順次添加し、塗布直前にハロゲン化銀混合乳剤A140gを添加して良く混合した乳剤層塗布液をそのままコーティングダイへ送液し、塗布した。
上記乳剤層塗布液の粘度は東京計器のB型粘度計で測定して、40℃(No.1ローター、60rpm)で40[mPa・s]であった。
レオメトリックスファーイースト株式会社製RFSフルードスペクトロメーターを使用した25℃での塗布液の粘度は剪断速度が0.1、1、10、100、1000[1/秒] においてそれぞれ530、144、96、51、28[mPa・s]であった。
【0255】
塗布液中のジルコニウム量は銀1gあたり0.25mgであった。
【0256】
〈乳剤面中間層塗布液の調製〉
ポリビニルアルコールPVA-205(クラレ(株)製)1000g、顔料の5質量%分散物272g、メチルメタクリレート/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合重量比64/9/20/5/2)ラテックス19質量%液4200mlにエアロゾールOT(アメリカンサイアナミド社製)の5質量%水溶液を27ml、フタル酸二アンモニウム塩の20質量%水溶液を135ml、総量10000gになるように水を加え、pHが7.5になるようにNaOHで調整して中間層塗布液とし、9.1ml/m2になるようにコーティングダイへ送液した。
塗布液の粘度はB型粘度計40℃(No.1ローター、60rpm)で58[mPa・s]であった。
【0257】
〈乳剤面保護層第1層塗布液の調製〉
イナートゼラチン64gを水に溶解し、メチルメタクリレート/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合重量比64/9/20/5/2)ラテックス19.0質量%液112g、フタル酸の15質量%メタノール溶液を30ml、4−メチルフタル酸の10質量%水溶液23ml、0.5mol/L濃度の硫酸を28ml、エアロゾールOT(アメリカンサイアナミド社製)の5質量%水溶液を5ml、フェノキシエタノール0.5g、ベンゾイソチアゾリノン0.1gを加え、総量750gになるように水を加えて塗布液とし、4質量%のクロムみょうばん26mlを塗布直前にスタチックミキサーで混合したものを18.6ml/m2になるようにコーティングダイへ送液した。
塗布液の粘度はB型粘度計40℃(No.1ローター、60rpm)で20[mPa・s]であった。
【0258】
〈乳剤面保護層第2層塗布液の調製〉
イナートゼラチン80gを水に溶解し、メチルメタクリレート/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合重量比64/9/20/5/2)ラテックス27.5質量%液102g、フッ素系界面活性剤(F−1)の2質量%溶液を5.4ml、フッ素系界面活性剤(F−2)の2質量%水溶液を5.4ml、エアロゾールOT(アメリカンサイアナミド社製)の5質量%溶液を23ml、ポリメチルメタクリレート微粒子(平均粒径0.7μm)4g、ポリメチルメタクリレート微粒子(平均粒径4.5μm)21g、4-メチルフタル酸1.6g、フタル酸4.8g、0.5mol/L濃度の硫酸44ml、ベンゾイソチアゾリノン10mgに総量650gとなるよう水を添加して、4質量%のクロムみょうばんと0.67質量%のフタル酸を含有する水溶液445mlを塗布直前にスタチックミキサーで混合したものを表面保護層塗布液とし、8.3ml/m2になるようにコーティングダイへ送液した。
塗布液の粘度はB型粘度計40℃(No.1ローター,60rpm)で19[mPa・s]であった。
【0259】
(熱現像感光材料−101〜103の作成)
前述したバック付き支持体A1〜A3の各バック面と反対の面に下塗り面から乳剤層、中間層、保護層第1層、保護層第2層の順番でスライドビード塗布方式にて同時重層塗布し、熱現像感光材料の試料を作成した。このとき、乳剤層と中間層は31℃に、保護層第一層は36℃に、保護層第二層は37℃に温度調整した。
乳剤層の各化合物の塗布量(g/m2)は以下の通りである。
【0260】
ベヘン酸銀 5.58
顔料(C.I.Pigment Blue 60) 0.036
ポリハロゲン化合物−1 0.12
ポリハロゲン化合物−2 0.37
フタラジン化合物−1 0.19
SBRラテックス 9.98
還元剤錯体−1 1.41
現像促進剤−1 0.025
メルカプト化合物−1 0.002
メルカプト化合物−2 0.012
ハロゲン化銀(Agとして) 0.091
【0261】
塗布乾燥条件は以下のとおりである。
塗布はスピード160m/minで行い、コーティングダイ先端と支持体との間隙を0.10〜0.30mmとし、減圧室の圧力を大気圧に対して196〜882Pa低く設定した。支持体は塗布前にイオン風にて除電した。
引き続くチリングゾーンにて、乾球温度10〜20℃の風にて塗布液を冷却した後、無接触型搬送して、つるまき式無接触型乾燥装置にて、乾球温度23〜45℃、湿球温度15〜21℃の乾燥風で乾燥させた。
乾燥後、25℃で湿度40〜60%RHで調湿した後、膜面を70〜90℃になるように加熱した。加熱後、膜面を25℃まで冷却した。
【0262】
作製された熱現像感光材料のマット度はベック平滑度で感光性層面側が550秒、バック面が130秒であった。また、感光層面側の膜面のpHを測定したところ6.0であった。
【0263】
(熱現像感光材料−201〜203の作成)
熱現像感光材料−101〜103の作成で使用したバック付き支持体A1〜A3に代えて、バック付き支持体A11〜A13を使用し、バック面と反対面に、乳剤層塗布液−1に代えて乳剤層塗布液−2を、乳剤面保護層のフッ素系界面活性剤をF−1およびF−2からそれぞれF−3およびF−4に変更した他は熱現像感光材料−101〜103の作成と同様にして熱現像感光材料−201〜203を作成した。
このときの乳剤層の各化合物の塗布量(g/m2)は以下の通りである。
【0264】
ベヘン酸銀 5.27
顔料(C.I.Pigment Blue 60) 0.036
ポリハロゲン化合物−1 0.17
ポリハロゲン化合物−2 0.28
フタラジン化合物−1 0.18
SBRラテックス 9.43
還元剤−2 0.77
水素結合性化合物−1 0.28
現像促進剤−1 0.019
現像促進剤−2 0.020
色調調整剤−1 0.008
メルカプト化合物−2 0.003
ハロゲン化銀(Agとして) 0.091
【0265】
以下に実施例で用いた化合物の化学構造を示す。
【0266】
【化25】
Figure 0003922953
【0267】
【化26】
Figure 0003922953
【0268】
【化27】
Figure 0003922953
【0269】
【化28】
Figure 0003922953
【0270】
【化29】
Figure 0003922953
【0271】
(写真性能の評価)
得られた試料は半切サイズに切断し、25℃50%の環境下で以下の包装材料に包装し、2週間常温下で保管した後、以下の評価を行った。
(包装材料)
PET 10μ/PE 12μ/アルミ箔9μ/Ny 15μ/カーボン3%を含むポリエチレン50μ酸素透過率:0.02ml/atm・m2・25℃・day、水分透過率:0.10g/atm・m2・25℃・day
【0272】
試料は富士メディカルドライレーザーイメージャーFM−DP L(最大60mW(IIIB)出力の660nm半導体レーザー搭載)にて露光・熱現像(112℃−119℃−121℃−121℃に設定した4枚のパネルヒータで熱現像感光材料−1は合計24秒、熱現像感光材料−2は合計14秒)し、得られた画像の評価を濃度計により行った。
【0273】
試料は富士メディカルドライレーザーイメージャーFM−DP L(最大60mW(IIIB)出力の660nm半導体レーザー搭載)にて露光・熱現像(112℃−119℃−121℃−121℃に設定した4枚のパネルヒータで熱現像感光材料−101〜103は合計24秒、熱現像感光材料−201〜203は合計14秒)し、得られた画像の評価を濃度計により行った。
試料101〜103および201〜203は、いずれもコントラストの良い画像が得られた。
【0274】
(背景色の評価)
(1)処理直後の背景色の評価
試料は富士メディカルドライレーザーイメージャーFM−DP L(最大60mW(IIIB)出力の660nm半導体レーザー搭載)の露光を行わず・熱現像(112℃−119℃−121℃−121℃に設定した4枚のパネルヒータで熱現像感光材料−101〜103は合計24秒、熱現像感光材料−201〜203は合計14秒)のみを行い、背景色評価用の画像を得た。
評価は、標準ライトボックス上に並べ、目視で背景色の度合いを官能評価した。
・目視評価基準
○・・・好ましいブルー色調を有している。
×・・・着色しているが、好ましく感じられない。
(2)保存後の背景色の変化の評価
上記背景色評価用の試料を、半分に裁断し、一方は冷蔵保存した。もう一方は、1500luxの蛍光灯下、25℃60%に保たれた室内のデスクの上に重ならないようにして1週間静置した。
その後、冷蔵庫に保存したサンプルを暗所で室温に戻し、両者を標準ライトボックス上に並べ、目視で背景色の変化度合いを官能評価した。
・目視評価基準
○・・・変化が認められず好ましく感じられる。
×・・・明らかに変化していることがわかる。
以上の結果を表1に示す。
【0275】
【表1】
Figure 0003922953
【0276】
以上の結果から、本発明の熱現像感光材料−103および203は、背景色が好ましいブルー色調で、保存による変化もなく優れていることがわかる。
【0277】
〔実施例2〕
実施例1で作成した、熱現像感光材料−102および熱現像感光材料−202の作成で使用したバック付き支持体A2およびA12のバックとは反対の面に、乳剤層塗布液・乳剤面中間層・乳剤面第1保護層・乳剤面第2保護層について、表2および表3に記載されるように、水溶性フタロシアニン化合物の種類と量および顔料−1分散物の量を変更した以外は、熱現像感光材料−10〜103および熱現像感光材料−201〜203と同様にして乳剤面側を塗布し、熱現像感光材料−111〜117および熱現像感光材料−211〜217を作成した。
【0278】
【表2】
Figure 0003922953
【0279】
【表3】
Figure 0003922953
【0280】
【化30】
Figure 0003922953
【0281】
(比較試料 熱現像感光材料−118および 熱現像感光材料−218の作成)実施例1で作成した、熱現像感光材料−102および熱現像感光材料−202の作成で使用したバック付き支持体A2およびA12のバックとは反対の面に、乳剤面中間層の顔料−1の5%分散物272gに代えて、青色染料化合物−1の1%水溶液を925g使用した以外は、熱現像感光材料−101〜103および熱現像感光材料−201〜203と同様にして乳剤面側を塗布し、熱現像感光材料−118および熱現像感光材料−218を作成した。
【0282】
(熱現像感光材料の評価)
(1)画像の評価
試料を富士メディカルドライレーザーイメージャーFM−DP L(最大60mW(IIIB)出力の660nm半導体レーザー搭載)にて露光・熱現像(112℃−119℃−121℃−121℃に設定した4枚のパネルヒータで熱現像感光材料−111〜118は合計24秒、熱現像感光材料−211〜218は合計14秒)し、得られた画像の評価を濃度計により行った。
試料111〜117および211〜217は、いずれもコントラストの良い画像が得られた。比較のための試料118および218は、文字画像部分の細線が不鮮明であった。
【0283】
(2)処理直後の背景色の評価
試料は富士メディカルドライレーザーイメージャーFM−DP L(最大60mW(IIIB)出力の660nm半導体レーザー搭載)の露光を行わず・熱現像(112℃−119℃−121℃−121℃に設定した4枚のパネルヒータで熱現像感光材料−101〜103は合計24秒、熱現像感光材料−201〜203は合計14秒)のみを行い、背景色評価用の画像を得た。
評価は、標準ライトボックス上に並べ、目視で背景色の度合いを官能評価した。
・目視評価基準
○・・・好ましいブルー色調を有している。
×・・・着色しているが、好ましく感じられない。
(3)保存後の背景色の変化に関する評価
上記背景色評価用の試料を、半分に裁断し、一方は冷蔵保存した。もう一方は、1500luxの蛍光灯下、25℃60%に保たれた室内に重ならないようにデスク上に1週間静置した。
その後、冷蔵庫に保存したサンプルを暗所で室温に戻し、両者を標準ライトボックス上に並べ、冷蔵庫に保存したサンプルを基準にして目視で背景色の変化度合いを官能評価した。
・目視評価基準
○・・・変化が認められず好ましく感じられる。
×・・・明らかに変化していることがわかる。
上記(2)、(3)の結果を表4に示す。
【0284】
【表4】
Figure 0003922953
【0285】
以上の結果から、本発明の熱現像感光材料−111〜117および211〜217は、背景色が好ましいブルー色調で、保存による変化もなく、いずれも優れていることがわかる。
【0286】
【発明の効果】
本発明によれば、処理後の画像における背景色の色味が好ましいブルー色調であって、かつ実用上の保管条件における背景色の時間変化に問題がなく、しかも鮮鋭度が高い画像を与える熱現像感光材料が提供される。本発明の熱現像感光材料は、特に医療用画像の出力に適している。

Claims (1)

  1. 支持体上に、有機銀塩、感光性ハロゲン化銀、還元剤を含む少なくとも一層の感光性層、および少なくとも一層の非感光性層を有する熱現像感光材料であって、水系塗布液により塗設された感光性層又は非感光性層中に、水溶性の金属フタロシアニン化合物を含有することを特徴とする熱現像感光材料。
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