JP3920963B2 - 過電流保護機能付漏電遮断器 - Google Patents

過電流保護機能付漏電遮断器 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
単相100Vまたは200Vの家庭電気製品や産業用電気機器に組み込む過電流保護機能付漏電遮断器に関する。
【0002】
【従来の技術及び問題点】
従来のこの種の過電流保護機能付漏電遮断器は、配線用遮断器に漏電保護装置を取り付けた構造のため、レバー式のハンドル操作による複雑な開閉機構を有していた。
そのため、第1に、部品点数が多くなり、コストが安くできなかった。
また、第2に、開閉操作がレバー式のため、機器の「入」「切」スイッチとして用いる場合、最近の家電製品に使用されているプッシュ式の「入」「切」スイッチの操作に慣れている人にとっては旧式の操作感覚となり、馴染みにくいという問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題及び目的】
そこで本件の発明は、部品点数が少なくてコストが安く、また、開閉操作方式がプッシュ式で操作感覚のよい、小型の過電流保護機能付の漏電遮断器を提供することを目的としている。
【0004】
【目的を達成するための手段及び作用】
そのため本発明では、一方の極は電源側端子と負荷側端子の間に固定接点と常に固定接点より開離方向に付勢された可動接点とバイメタルを導体で接続し、他方の極も同様に電源側端子と負荷側端子の間に固定接点と常に固定接点より開離方向に付勢された可動接点とバイメタルを導体で接続し、両極の可動接点を同時に固定接点側に押圧可能なクロスバー部材と、常に接圧ばねにより可動接点が固定接点に接する方向に付勢されたリセット部材と、前記クロスバー部材と前記リセット部材を係合部で連結・解除可能な作動部材と、前記作動部材を常にクロスバー部材とリセット部材とが係合連結する方向に付勢する係合付勢ばねと、係合付勢ばねに坑して作動部材を駆動時にはクロスバー部材とリセット部材との連結を解除する方向に付勢するトリップコイル装置と、一方の極と他方の極の導体に流れる電流の差を検出してトリップコイル装置を駆動する漏電検出器と、疑似的に漏洩電流を流すことで漏電検出器を働かせてトリップコイル装置を駆動させるテスト装置と、前記可動接点と固定接点の「入」「切」状態を器体外部から認識可能とするための表示レバーと、ファストン端子とした前記電源側端子及び負荷側端子により構成され、前記バイメタルは一定値以上の過電流が流れたとき前記リセット部材と前記クロスバー部材の連結を解除する方向で作動部材に作用させ、前記バイメタルまたはトリップコイル装置の作用で前記リセット部材とクロスバー部材の連結が解除され、前記固定接点と可動接点が開離した後は前記リセット部材を接圧ばねに坑して手動で移動させることで、前記係合付勢ばねの働きで前記クロスバー部材とリセット部材を再係合連結させ、手を離すことで前記接圧ばねの力で前記可動接点を固定接点に接圧させて、「入」状態に復帰可能とすると共に、手動で「切」操作するときは前記テスト装置を働かせることにより前記トリップコイル装置を駆動して前記可動接点と固定接点を開離させるようにしたものである。
【0005】
また、「入」「切」の表示は、カム部と表示部を有し一方向に弾性付勢された前記表示レバーのカム部を、前記クロスバー部材に作用させ、前記表示部を器体の表示窓に位置させ、前記クロスバー部材の動きに応じて二つの位置を移動する前記表示部が器体の表示窓に対し移動した状態を目視で確認することで、前記可動接点と固定接点の「入」「切」状態を器体外部から認識可能としたものである。
【0007】
以上により、従来、レバー式ハンドルによる過電流保護機能付漏電遮断器の、(イ)レバー式ハンドルによる「入」操作機構、(ロ)レバー式ハンドルによる「切」操作機構、(ハ)過電流による「切」動作機構、(ニ)漏電による「切」動作機構のうち、(ロ)のレバー式ハンドルによる「切」操作機構部分が省略できるので簡素化されて、部品点数が少なくなり、また、生産工数が低減するのでコストを安くできると共に、「入」操作はリセット釦によるプッシュ式、「切」操作はテスト装置のテスト釦によるプッシュ式として、操作感覚が改善でき、また、「入」「切」の状態が表示窓から表示レバーの位置を目視により容易に認識でき、電源及び負荷との接続はファストン端子式として取り付けの方法も簡単にした小型の過電流保護機能付漏電遮断器を提供できる。
【0008】
【実施例の説明】
以下に本発明について図面を用いて詳細に説明する。
【0009】
図1〜図5は、本発明の実施例を示した図であり、図1は接点が「入」の状態の要部断面図、図2は接点が「切」の状態の要部断面図、図3は機構の要部斜視図、図4は外観斜視図、図5は漏電検知器部の回路ブロック構成図である。
【0010】
図1の1は基台(ベース)、2はカバーで本発明の外郭を形成している。
電流はファストン端子方式の電源側端子3・3’、固定接点4・4’、可動接点5・5’、導電性ばね板材製の可動接点板6・6’、銅より線加工品のリード線7・7’、ファストン端子方式の負荷側端子8・8’の順で流れる。
なお、前記可動接点板は、自らのばね性で、前記固定接点から開離する方向に付勢されている。
【0011】
図1の13はクロスバー部材で、図3に示すように、可動接点板6・6’を図の下方から同時に支え、図の上方に移動した時、可動接点5・5’が固定接点4・4’に当接するようになっている。
【0012】
図1の14は接圧ばね、9・10はリセット部材で、9はリセット釦、10はリセット軸支部である。
前記接圧ばねは、可動接点5・5’が固定接点4・4’に接する方向にリセット部材の前記リセット軸支部を付勢している。
12は、リセット部材とクロスバー部材13を係合部1201で係合連結・解除する作動部材で、前記リセット軸支部に支持軸11により軸支されている。
【0013】
図3の1704はトリップコイル装置17の電磁枠1705とプランジャー1701の間に介装される係合付勢ばねで、前記プランジャーは太径部1702とヘッド1703の間の細径部が作動板部材12の首部1202に嵌め合わされており、前記係合付勢ばねは常に前記作動板部材の首部を前記太径部がクロスバー13部材側に、すなわち、作動部材の係合部1201が前記クロスバー部材側に係合する方向に付勢している。
トリップコイル装置のコイル1706に電圧が印加されると前記プランジャーは前記係合付勢ばねに抗して吸引され、前記作動部材の係合部と前記クロスバー部材の係合を解除するように構成されている。
【0014】
図1の16は漏電検出器で、図5のようにリード線7・7’の電流差を検出する零相変流器1601、増幅部1602により構成されており、前記零相変流器の出力が一定値以上になるとコイル1706に電圧が印加されるように構成されている。
【0015】
図5の1603はテスト装置で、テスト釦15とテスト釦を押した時に閉じるテスト回路接点1605と疑似漏電を発生させる抵抗器1604により構成されている。
【0016】
図1のバイメタル18・18’は、一方を可動接点板6・6’に鋲または溶接等の方法により電気的に接続されると共に、他方はリード線7・7’により負荷側端子8・8’に接続され、前記可動接点板との接続側が基台1に固定され、前記バイメタル中を電流が流れると自己発熱により図の左方向に湾曲し、電流が規定値以上流れると調節ねじ19・19’を介して作動部材12を軸11を中心として前記作動部材の係合部1201がクロスバー13から係合が離脱する方向に回動させる。
前記調節ねじは、動作電流値を調整するために用いる。
なお、前記漏電検知器・トリップコイル装置は、基台1に嵌め合わせ等によって固定され、リセット部材9・10、前記クロスバー部材は、前記基台に成形された溝に支えられて図の上下方向に摺動可能となっている。
また、接圧ばね14は、トリップコイル装置17の電磁枠1705上に一方を支えられて、他方が前記リセット部材に当接し、前記リセット部材を図の上方向に常に押し上げるように付勢している。
【0017】
図1の20は表示レバーで、弾性板を折り曲げて構成してあり、表示部2001・カム部2002・基端部2003より成り、前記基端部は基台1にねじ等により固定され、図1において常に時計廻りの方向に自己弾性により付勢されている。
前記カム部はクロスバー部材13に当接し、可動接点5・5’が固定接点4・4’に対して閉じた状態では接圧ばね14の付勢により前記クロスバー部材は前記表示レバーのカム部を前記表示レバーの自己弾性による時計廻りの付勢に対して反時計廻りの方向に押しのけて図の上方に保持され、その結果、前記表示部はカバー2の表示窓21に対し図の左方に隠れた状態となっている。
【0018】
図2は、図1の接点が閉(入)の状態から、接点が開(切)の状態に移動した図であるが、それには、次の三つの原因が考えられる。
まず第一の原因は、手動で開(切)操作する場合で、この場合は、図1の15のテスト釦を押し操作することにより行われる。
前記テスト釦の押し操作により、図5において、接点1605が閉じて、抵抗1604により設定された疑似漏洩電流が、零相変流器1601の一次導体側に流れ、増幅部1602の働きによりトリップコイル装置17に電圧が印加され、プランジャー1701が図1の右方向に移動することにより作動部材12の係合部1201がクロスバー部材13から離れて、前記作動部材と前記クロスバー部材の連結が解かれて前記クロスバー部材は可動接点板6・6’の弾性付勢力により、図の下方に移動すると共に、可動接点5・5’は固定接点4・4’から開離して、図2の開(切)の状態となる。即ち、前記テスト釦の手動操作により、閉(入)→開(切)状態に操作できる。
第二の原因は、遮断器の負荷側で漏電が発生した場合で、この場合は、前述のテスト装置1603の操作による疑似漏洩電流の代わりに事故による漏洩電流が零相変流器1601に流れて、以降、前述の説明と同様のメカニズムによって閉(入)→開(切)の状態となる。
第三の原因は、遮断器に流れる電流が定格値を越えた場合で、この場合、バイメタル18・18’が図1の左方に湾曲して調整ねじ19・19’を介して作動部材12を回動させ、係合部1201がクロスバー部材13から離れて、前記作動部材とクロスバー部材の係合が解かれて前記クロスバー部材は、可動接点板6・6’の弾性付勢によって図の下方に移動して、可動接点5・5’は図2のように固定接点4・4’から離れ、開(切)状態となる。
【0019】
図2に示すように、可動接点5・5’が固定接点4・4’から離れた状態では可動接点板6・6’の付勢力によりクロスバー部材13が図の下方に移動して、表示レバー20のカム部2002を図の反時計廻りに拘束している力が解かれて図の時計廻り方向に移動するから表示部2001が表示窓21内に現れる。
遮断器接点の閉(入)・開(切)状態は前記表示窓内に前記表示レバーの表示部があるかないかで判別が可能となる。
【0020】
図2の接点開(切)状態から、図1の接点閉(入)状態とするにはリセット釦9を手動で図2の下方へ押し込むことにより行なわれる。
前記リセット釦を接圧ばね14に抗して下方に押し込むと、リセット部材のリセット軸支部10が図の下方に移動しリセット部材に軸支された作動部材12もリセット部材の移動に応じて下方に移動する。
前記作動部材の係合部1201が図2のクロスバー部材13の係合段部1301の位置まで下がると、係合付勢ばね1704の付勢力によりプランジャー1701を介して前記作動部材が係合方向に付勢されているから、前記作動部材の係合部が左方に移動して前記係合段部に係合し、その状態から前記リセット釦から手を離す(リセット釦の押し込み力を解除する)と前記接圧ばねの付勢力により前記リセット部材が図の上方に移動し、前記作動部材とクロスバー部材は係合しているから前記リセット部材に軸支された前記作動部材とクロスバー部材も同時に上方に移動し、可動接点5・5’が固定接点4・4’に接圧された状態で移動を終了する。
なお、前記接圧ばねの付勢力は、可動接点板6・6’の付勢力より大きく設定してありその差が、前記可動接点を前記固定接点に接圧する力となっている。
【0021】
図4は、本発明の実施例の外観図で、本体表面にリセット釦9・テスト釦・表示窓21が露出し、また、ファストン端子3・3’、8・8’が延出しており、本体下部に本体を図示しない機器等に取り付け固定するための取付ねじ穴101が設けてある。
【0022】
図6は、従来の過電流保護機能付漏電遮断器の外観図例で、開(切)閉(入)操作はレバー式ハンドルで行い、電線の接続は端子に設けた端子ねじにより行なわれる。
【0023】
図7は、リセット部材10・作動部材12・クロスバー部材13の別の構成例を示している。
図7に示す構成例では、作動部材12’がクロスバー部材13’を中心として回動し、前記作動部材がリセット部材10’に係合して、前記リセット部材とクロスバー部材の係合連結を行なうようにしたもので、このような構成にも本発明は適応できる。
【0024】
【発明の効果】
以上のように本発明は、手動による接点閉(入)操作機構と、漏電及び過電流による開(切)動作機構のみで構成したため、従来の手動による接点開(切)操作機構の部分が不要となり、部品点数が少なく組立も簡素化されてコストの安い小型の過電流保護機能付漏電遮断器を提供できる。
また、操作方式もリセット釦によるプッシュ式閉(入)操作、テスト釦によるプッシュ式開(切)操作にしたので、最近の家電製品の電源スイッチ感覚で操作できると共に、電源・負荷の電線接続をファストン端子方式としたので電線接続工事の手間も省け、表示レバーの表示部が表示窓部にあるかないかによってスイッチの開閉の状態が認識できる過電流保護機能付漏電遮断器を提供できるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の閉(入)状態の断面要部構造図
【図2】本発明の実施例の開(切)状態の断面要部構造図
【図3】本発明の実施例の接点開閉機構部の分解斜視図
【図4】本発明の実施例の外観図
【図5】本発明の実施例の漏電検知器回路ブロック図
【図6】従来の過電流保護機能付漏電遮断器の外観図
【図7】本発明の別の実施例の断面要部構造図(機構部の一部)
【符号の説明】
1 基台
101 取付ねじ穴
2 カバー
3、3’ 電源側端子(ファストン端子)
4、4’ 固定接点
5、5’ 可動接点
6、6’ 可動接点板
7、7’ リード線
8、8’ 負荷側端子(ファストン端子)
9 リセット釦
10、10’ リセット部材のリセット軸支部
11 軸
12、12’ 作動部材
1201 係合部
1202 首部
13、13’ クロスバー部材
1301 係合段部
14 接圧ばね
15 テスト釦
16 漏電検知器
1601 零層変流器
1602 増幅部
1603 テスト装置
1604 抵抗器
1605 テスト回路接点
17 トリップコイル装置
1701 プランジャー
1702 太径部
1703 ヘッド
1704 係合付勢ばね
1705 電磁枠
1706 コイル
18、18’ バイメタル
19、19’ 調整ねじ
20 表示レバー
2001 表示部
2002 カム部
2003 基端部
21 表示窓

Claims (1)

  1. 一方の極は電源側端子と負荷側端子の間に固定接点と常に固定接点より開離方向に付勢された可動接点とバイメタルを導体で接続し、他方の極も同様に電源側端子と負荷側端子の間に固定接点と常に固定接点より開離方向に付勢された可動接点とバイメタルを導体で接続し、両極の可動接点を同時に固定接点側に押圧可能なクロスバー部材と、常に接圧ばねにより可動接点が固定接点に接する方向に付勢されたリセット部材と、前記クロスバー部材と前記リセット部材を係合部で連結・解除可能な作動部材と、前記作動部材を常に前記クロスバー部材と前記リセット部材とが係合連結する方向に付勢する係合付勢ばねと、前記係合付勢ばねに抗して前記作動部材を駆動時には前記クロスバー部材と前記リセット部材との連結が解除する方向に付勢するトリップコイル装置と、一方の極と他方の極の導体に流れる電流の差を検出して前記トリップコイル装置を駆動する漏電検出器と、疑似的に漏洩電流を流すことで前記漏電検出器を働かせて前記トリップコイル装置を駆動させるテスト装置と、前記可動接点と固定接点の「入」「切」状態を器体外部から認識可能とするための表示レバーと、ファストン端子とした前記電源側端子及び負荷側端子により構成され、前記バイメタルは一定値以上の過電流が流れたとき前記リセット部材と前記クロスバー部材の連結を解除する方向で前記作動部材に作用させて前記バイメタルまたは前記トリップコイル装置の作用で前記リセット部材とクロスバー部材の連結が解除され、前記固定接点と可動接点が開離した後は前記リセット部材を前記接圧ばねに坑して手動で移動させることで、前記係合付勢ばねの働きで前記クロスバー部材とリセット部材を再係合連結させ、手を離すことで前記接圧ばねの力で前記可動接点を固定接点に接圧させて、「入」状態に復帰可能とすると共に、手動で「切」操作するときは前記テスト装置を働かせることにより前記トリップコイル装置を駆動して前記可動接点と固定接点を開離させ、カム部と表示部を有し一方向に弾性付勢された前記表示レバーのカム部を、前記クロスバー部材に作用させ、前記表示部を器体の表示窓に位置させ、前記クロスバー部材の動きに応じて二つの位置を移動する前記表示部が器体の表示窓に対し移動した状態を目視で確認することで、前記可動接点と固定接点の「入」「切」状態を器体外部から認識可能としたことを特徴とする過電流保護機能付漏電遮断器。
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