JP3920658B2 - 多入力多出力通信方式のチャネル割り当て方法、そのプログラム及び記録媒体並びに多入力多出力受信機 - Google Patents
多入力多出力通信方式のチャネル割り当て方法、そのプログラム及び記録媒体並びに多入力多出力受信機 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は1以上のn個の送信アンテナより信号を同一チャネルで伝送し、1以上のM個の受信アンテナで受信する通信方式のチャネル割り当て方法、及びその方法を実行させる機能を備える多入力多出力受信機、チャネルを割り当てプログラム及びその記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
移動体通信分野においては限られた周波数上でいかに高品質で大容量のシステムを構築するかということが大きな課題である。このような課題を解決する手段として多入力多出力伝搬路信号伝送方式がある。このシステム構成は、図8に示すように複数の送信アンテナAS1〜ASNを用いて同時刻、同周波数上でシンボルc1(i)〜cN(i)を、複数のアンテナAR1〜ARMを有する受信機11に送信し、受信機11はアンテナAR1〜ARMよりの受信信号を処理し、各送信アンテナAS1〜ASNからの各送信シンボルc1(i)〜cN(i)を推定する。各送信アンテナAS1〜ASNを各ユーザ(利用者)に割り当てて信号伝送を行えば、同一周波数、同一時刻で複数ユーザよりの信号を受信できるため、システムのユーザ収容能力が向上する。又、複数の送信アンテナAS1〜ASNを1ユーザに割り当てて1つの直列信号を複数の並列信号に変換して、変換された各1つの信号を1つの送信アンテナで送信する並列信号伝送を行えば、シングルユーザリンクにおける信号伝送の高速化が可能となる。
【0003】
適応アレーアンテナを用い、伝搬路に周波数選択性がない場合、つまり各送信アンテナからの送信信号がマルチパス干渉を持たない場合に異なる方向のユーザ送信アンテナの方向にそれぞれ向いたアンテナビームをそれぞれ向けて、これら各送信アンテナから同一チャネルで信号を送信させる方法が文献[1]等に記載されている。
この文献[1]に示す方法では、両ビーム間の空間相関を、ユーザ1の送信アンテナからの送信信号1が受信され伝搬路(特性)のユーザ2の送信アンテナからの送信信号2が受信される伝搬路(特性)に対する伝搬路相関値により次式(1)で求めている。
【0004】
α1,2=|h H 1(0)・h 2(0)|/(|h 1(0)|・|h 2(0)|) (1)
h 1(0)=[h11(0)…hM1(0)]T
h 2(0)=[h12(0)…hM2(0)]T
hmn(m=1,…,M,n=1,2)はユーザnの送信アンテナと適応アレーアンテナの第m番目の受信アンテナ間の伝搬路(特性)値、(0)はマルチパスがないことを表わし、 Hは行列の共役転置を表わし、 Tは行列の転置を表わす。この場合は送信信号2の送信信号1に対する伝搬路相関値α2,1はα1,2と等しい。
【0005】
この伝搬路相関値α1,2を送信信号1と送信信号2との分離し易さの指標とし、この指標と各送信信号の信号雑音比(SNR)を用いて同一チャネルでの通信が可能か否かの判定を行っている。なお、物理的にα1,2はベクトルh 1(0)とベクトルh 2(0)のなす角のコサイン成分である。ユーザ1の送信アンテナと通信中に、ユーザ2の送信アンテナと同一チャネルで通信を行うには
α1,2 <THA1,2
送信信号1のSNR>THsnr
送信信号2のSNR>THsnr
であることを条件とする。ここで相関値のしきい値THAは、SNRのしきい値THsnrによって決定される。つまり、SNRのしきい値THsnrを大きくすれば、一般にビット誤り率が低下するから、それだけ相関値のしきい値THAを高くすることが可能となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
多入力多出力伝搬路信号伝送方式において具体的な上記チャネル割り当て方法は提案されていない。そこでこの発明は、伝搬路に周波数選択性がある場合にも適用可能な多入力多出力通信方式における、チャネル割り当て方法及びそのプログラムを提案することにある。
また相関値が高くても、MMSEフィルタ等の出力における2ユーザの位相差が大きければ信号分離が可能であるが、その位相差が考慮されていない。
この発明の他の目的は伝搬路に周波数選択性がある場合にも適用でき、周波数選択性がない場合は適用するとより高精度な多入力多出力通信方式におけるチャネル割り当て方法及びそのプログラムを提供することにある。更にこの発明の目的はこれらチャネル割り当て方法を実行する機能を有する多入力多出力受信機を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
多入力多出力信号伝送において、各送信アンテナAS1〜ASNから送信される信号の伝搬路の違いを利用して受信機は、各送信信号の分離を行う(具体的な受信機構成は文献[2]に示されている)。このため、各送信アンテナAS1〜ASNから送信される信号の伝搬路の相関が高い状況においては、信号分離特性が劣化するため、高品質な信号伝送を行うのが困難となる。そこで、多入力多出力伝搬路信号伝送を実際のシステムで利用する際には、伝搬路の状況に応じたチャネル割り当てが必要となる。つまり、各送信アンテナから送信される信号の伝搬路の相関が低い場合には、これら各送信アンテナに同一チャネル(キャリア周波数、タイムスロット)を割り当て、相関値が高い場合は、各送信アンテナに異なったチャネルを割り当てる。
【0008】
この発明によれば新たに通信を開始する第n+1番目の送信アンテナによる信号の伝搬路と第1〜第n番目の送信アンテナによる信号の伝搬路との各相関値及び第n+1番目の送信アンテナによる信号の受信信号雑音電力比を求め、これらが所定の条件を満すか否か判定し、条件を満せば第n+1番目の送信アンテナに対し第1〜第n番目の送信アンテナに割り当てているチャネルと同一チャネルを割り当てる。ここでチャネルとはFDAM(周波数分割多元接続)方式では通信を伝送する搬送波周波数を、TDMA(時分割多元接続)方式では通信を伝送する搬送波周波数及びタイムスロットを、CDMA(符号分割多元接続)方式では通信信号を伝送する搬送波周波数及び拡散符号のことを総称し、これらの何れでもよい。
【0009】
【発明の実施の形態】
データモデル
チャネル割り当て方法は、受信機構成に依存するため、以下では、文献[2],[3]等で提案されている線形フィルタ処理を有する受信機構成を用いる多入力多出力伝搬路信号伝送方式を考慮して、チャネル割り当て方法を定める。
図8において、各受信アンテナARM(m=1,…,M)における受信信号rm(k)は次式で表わすことができる。
nは送信アンテナAS1〜ASNのインデックス、mは受信アンテナAR1〜ARMのインデックス、qは周波数選択性伝搬路に起因するマルチパスインデックス、hnm(q)は第n番目の送信アンテナASnと第m番目の受信アンテナARm間の第qマルチパスにおける伝搬路値(伝搬路特性値,インパルス応答)bn(k−q)は第n番目の送信アンテナASnからの送信シンボル、vm(k)は受信機11の内部の熱雑音である。
【0010】
全ての受信アンテナAR1〜ARMからの受信信号をベクトルr(k)とし
て以下のように定義する。
r(k)=[r1(k)r2(k)…rM(k)]T (3)
=Σ n=1 N Σ q=0 Q-1 h n(q)・bn(k−q)+v(k) (4)
ここで、
h n(q)=[h1n(q)…hMn(q)]T (5)
v(k)=[v1(k)v2(k)…vM(k)]T (6)
次にマルチパス(伝搬路)の長さQを考慮して以下のベクトルを定義する。
y(k)≡[r T(k+Q−1)r T(k+Q−2)…r T(k)]T (7)
=Σ n=1 N H n・b n(k)+n(k) (8)
【0011】
【数2】
受信機11は、上記ベクトルy(k)を処理して各送信アンテナからの送信
信号を分離し、各送信シンボルbn(k)を検出する。上述したように、受信機11は、各送信アンテナAS1〜ASNからの各送信信号の伝搬路の違いを利用して信号分離を行うため、伝搬路間の相関値に応じてチャネル割り当てを行うとよい。以下では、チャネル行列H nを利用した、伝搬路の相関値の算出法および、その相関値を用いたチャネル割り当て方法について説明する。また簡単のため、以下の説明では、2送信アンテナを仮定する。
【0012】
2送信アンテナ、周波数選択性のない伝搬路(Q=1)において、上記受信ベクトルy(k)は、
y(k)=h 1(0)・b1(k)+h 2(0)・b1(k)+n(k)となる。ここでy(k)はM次元ベクトルであり、第1番目の送信アンテナAS1からの送信シンボルb1(k)はベクトルh 1(0)によって張られるM次元ベクトル空間内の部分空間に存在し、シンボルb2(k)はベクトルh 2(0)によって張られるM次元ベクトル空間内の部分空間に存在する。線形フィルタを用いたMMSE(Minimum Meam Square Error:最小二乗誤差)及び、ZF(Zero Forcing)規範の受信機構成においては、これら部分空間を張るベクトルの線形独立性が信号分離の行い易さに依存する。
(1)周波数選択性のある伝搬路における相関値を用いる方法(実施形態(1))
次にマルチパス伝搬の場合のこの発明方法を述べる。簡単の為、2マルチパス(Q=2:q=0,1)伝搬路で説明を行う。この場合、受信ベクトルy(k)は次式で表わせる。
【0013】
【数3】
【0014】
ここで、H n(:,1)は行列H nの1列目のベクトルを示す。この場合シンボルb1(k)はベクトルH 1(:,1)によって張られる部分空間上に存在し、シンボルb2(k)はベクトルH 2(:,1)によって張られる部分空間上に存在することになる。しかし、マルチパス干渉があるため、送信信号1の送信信号2に対する伝搬路の相関値を考えるあたり、送信信号2のマルチパス成分の部分空間ベクトル(H 2(:,0),H 2(:,2))も考慮する必要がある。この実施形態では、この送信信号1の送信信号2に対する伝搬路の相関値ρ1,2,送信信号2の送信信号1に対する相関値ρ2,1をそれぞれ以下のように定義する。
【0015】
この場合は、必ずしもρ1,2=ρ2,1とはならない。この実施例ではこれらの相関値を用いてチャネル割り当てをおこなう。つまり、
ρ1,2 <TH11,2かつρ2,1 <TH12,1
送信信号1のSNR>THsnr1
送信信号2のSNR>THsnr2
であるならば、送信アンテナ1,2に同一チャネルを割り当てる。3送信アンテナ以上の場合も各送信信号間の上記相関値を算出し、同様の方法でチャネル割り当てを行うことができる。
【0016】
つまり一般的には第n+1番目の送信アンテナと各受信アンテナ間の伝搬路値hn+1,m(q)(m=1,…,M,q=0,…,Q−1)を推定し、これら推定値を用いて各送信アンテナによる信号伝搬路行列H n+1 を下記のように作る。
【0017】
【数4】
第n+1番目の送信アンテナの送信信号の第i番目(i=1,…,n)の送信アンテナの送信信号に対する伝搬路の相関値を下記により求める。
ρn+1,i =Max(αn+1,i (0),αn+1,i (1),…,αn+1,i (2Q−2)) (20)
ここで、
αn+1,i (t)=|H n+1 H [:,Q−1]・H i [:,t]|/(|H n+1 H [:,Q−1]|・|H i [:,t]|) (21)
H i [:,t]:行列H i の第t列ベクトル(t=0,1,…,2Q−2)
つまり複数の候補αn+1,i (0)〜αn+1,i (2Q−2)を求め、これら候補中の最大のものを伝搬路の相関値ρn+1,i とする。
【0018】
又同様に、第i番目の送信アンテナの送信信号の第n+1番目の送信アンテナの送信信号に対する伝搬路の相関値ρi,n+1 を次式により求める。
ρi,n+1 =Max(αi,n+1(0),αi,n+1(1),…,αi,n+1(2Q−2)(22)
αi,n+1 (t)=|H i H [:,Q−1]・H n+1 [:,t]|/(H i H [:,Q−1]|・|H n+1 [:,t]|) (23)
そして、第n+1番目の送信アンテナに第1〜n番目の送信アンテナと同一チャネルを割り当てる条件を以下の通りとする。
【0019】
SNRn+1 >Thsnr,n+1
ρn+1,i <Th1n+1,i (SIRn+1,i ,SNRn+1 )
ρi,n+1 <Th1i,n+1 (SIRi,n+1 ,SNRi ) i=1,…,n
ここでSNRn+1 は第n+1番目の送信アンテナによる送信信号の受信信号雑音電力比、Thsnr,n+1 は第n+1番目の送信アンテナの送信信号の受信信号雑音電力比のしきい値、Th1n+1,i (SIRn+1,i ,SNRn+1 )は第n+1番目の送信アンテナの送信信号のi(i=1,…,n)番目の送信アンテナの送信信号に対する伝搬路の相関値のしきい値であって、これは第n+1番目の送信アンテナの送信信号と第i番目の送信アンテナの送信信号の受信電力比SIRn+1,i 及び第n+1番目の送信アンテナの送信信号の受信信号雑音電力比SNRn+1 に依存する。
【0020】
Th1i,n+1 (SIRi,n+1 ,SNRi )は第i番目(i=1,…,n)の送信アンテナの送信信号の第n+1番目の送信アンテナの送信信号に対する伝搬路の相関値のしきい値であって、これは第i番目の送信アンテナの送信信号の第n+1番目の送信アンテナの送信信号に対する受信電力比SIRi,n+1 及び第i番目の送信アンテナの送信信号の受信信号雑音電力比SNRi に依存する。
なお条件としてはSNRn+1 >Thsnr,n+1 とρn+1,i <Th1n+1,i 又はρi,n+1 <Th1i,n+1 のみでもよい。またTh1n+1,i とTh1i,n+1 はそれぞれSNRn+1 とSNRi のみに依存して決めてもよい。
【0021】
図1に同一チャネルにN個の送信アンテナを収容するシステムのチャネル割り当ての手順を示す。まずチャネル(搬送波周波数/搬送波周波数及びタイムスロット/搬送波周波数及び拡散コード)を設定し(S1)、送信アンテナ番号nを0に初期化し(S2)、その第n+1番目の送信アンテナに設定したチャネルで送信するように指示をする(S3)。
次に第n+1送信アンテナからの信号の伝搬路行列H n+1 、信号対雑音電力比SNRn+1 を推定する(S4)。
第1〜第n送信アンテナからの信号の伝搬路行列H 1 〜H n とH n+1 を用いて、第n+1送信信号の伝搬路の第1〜第n送信信号の各伝搬路に対する相関値ρn+1,1 ,ρn+1,2 ,…,ρn+1,n を式(20)、式(21)を用いて、算出し、また第n+1番目の送信アンテナの送信信号に対する第1〜第n番目の送信アンテナの送信信号の受信電力比SIRn+1,1 〜SIRn+1,n を算出し、これらとSNRn+1 を用いてしきい値Th1n+1,1 〜Th1n+1,n を決定する(S5)。
【0022】
次にこれら相関値ρn+1,1 〜ρn+1,n がそれぞれ相関値のしきい値Th1n+1,1 〜Th1n+1,n 以下か、またSNRn+1 がしきい値Thsnr,n+1 以上かを調べる(S6)。これらを全て満せば、第n+1送信アンテナに第1〜第n送信アンテナと同一チャネルを割り当て、伝搬路行列H n+1 及びSNRn+1 を推定する際に求めた第n+1番目の送信アンテナの送信信号の受信電力Sn+1 を記憶部に格納する(S7)。n=0の時はステップS4でH 1 とSNR1 と第1番目の送信信号電力が算出され、ステップS5ではSNR1 がしきい値以上か、のみかの判定が行われ、満せばそのチャネルを第1送信アンテナに割り当て、H 1、 受信電力を記憶部に記憶することになる。
【0023】
次にnを+1し(S8)、その更新されたnがNとなったかを調べ、NになっていなければステップS3に戻り(S9)、n=Nであれば当該チャネルの割り当てを完了とする。
ステップS6で何れかの条件を満していなければ第n+1送信アンテナに、第1〜第n送信アンテナと別チャネル(搬送波周波数又はタイムスロット、あるいは拡散コード)を割り当て(S10)、第n+2送信アンテナを第n+1送信アンテナとしてステップS3に戻る(S10)。
以上のことを簡単に述べると、チャネルを設定し(S1)、第1番目の送信アンテナにそのチャネルを割り当てる。次に第2番目の送信アンテナからの送信信号の伝搬路と第1番目の送信アンテナの送信信号の伝搬路との相関値が所望条件を満たせば、第2番目の送信アンテナに同一チャネルを割り当てる。条件を満たさない場合は第2番目の送信アンテナには別チャネルを割り当てる。次に第3番目の送信アンテナからの送信信号の伝搬路と第1番目のそれとの相関値及び第2番目のそれとの相関値が、所望の条件を満たせば、第3番目の送信アンテナに対し同一チャネルを割り当てる。満たさない場合は別チャネルを割り当てる。この一連の操作を該当チャネルに第N番目の送信アンテナが収容されるまで行う。
【0024】
図1に示したチャネル割り当て手順を行う機能構成例を図2に示す。ここでは、既に第1〜n番目の送信アンテナAS1〜ASnには同一チャネルが割り当てられ、第n+1番目の送信アンテナASn+1に対し、チャネル割り当てを行っている。第n+1番目の送信アンテナASn+1からチャネル割当要求を受信機側装置12で受信すると、送信部13から第n+1番目の送信アンテナASn+1と対応する受信部RXn+1に、第1〜第n番目の送信アンテナAS1〜ASnで送信に用いるチャネルで送信するように指示を行う。これによりその送信部TXn+1より第n+1番目の送信アンテナASn+1からその指定されたチャネルで信号を送信する。
【0025】
受信機側装置12の受信アンテナAR1〜ARMにより受信された第n+1番目の送信アンテナASn+1からの信号は受信部16でそれぞれベースバンドの受信信号r1 (k)〜rM (k)に変換される。通常はこれらはデジタル信号とされる。これら受信信号r1 (k)〜rm (k)は伝搬路推定部17に入力され、ユニークワード記憶部18から既知信号であるユニークワードを用いて、式(19)で示されるチャネル行列H n+1 が推定される。なお送信側からの送信信号は図3に示すように既知信号のユニークワード部21とこれに続く情報シンボル部22により信号フレームが構成されている。ユーザごとのユニークワードがユニークワード記憶部18に予め格納されてあり、受信された信号のユニークワードと記憶部18からの対応するユニークワードとからチャネル行列H n+1 が推定される。この推定方法は公知の各種方法を用いることができる。
【0026】
推定された伝搬路行列H n+1 は相関計算部22−1〜22−nに入力され、伝搬路記憶部23よりの伝搬路行列H 1 〜H n との相関値の候補αn+1,1(0)…αn+1,1(2Q−2)〜αn+1,n (0)…αn+1,n 2Q−2)が式(21)によりそれぞれ計算される。これらの各第1〜第n番目の送信アンテナ対応の相関値候補中のそれぞれ最大のものが伝搬路の相関値ρn+1,1 〜ρn+1,n として最大検出部24−1〜24−nで検出される。なお伝搬路行列H n+1 は伝搬路記憶部23に格納される。
一方、受信電力計算部25において、H n+1 を入力して第n+1番目の送信
アンテナASn+1からの送信信号の受信電力Sn+1 が計算される。つまり各パスの伝搬路h1,n+1 (q)〜hM,n+1 (q)(q=0,…,Q−1)の各成分の2乗和を求めて第n+1番目の送信信号の受信電力Sn+1 とする。この受信電力Sn+1 と雑音電力との比がSNR計算部26で計算される。各受信アンテナで行われるチャネル推定の平均2乗誤差の和とで計算することができる。伝搬路推定は、各受信アンテナAR1〜ARMごとに行われ、伝搬路推定部17は各受信アンテナにおける雑音電力を推定する。RLSを用いて伝搬路推定を行う場合は、その平均2乗誤差が雑音電力となる。この各受信アンテナごとの雑音電力を加算した雑音電力で受信電力Sn+1 を割り算してSNRn+1を得る。あるいは、前記受信電力Sn+1 を受信アンテナの数Mで割算して、1受信アンテナあたりの第n+1送信信号の受信電力Sn+1 とし、前記推定された伝搬路推定部17が推定した各受信アンテナごとの雑音電力の平均値を算出し、この雑音平均電力で前記1受信アンテナあたりの受信電力Sn+1 を割り算してSNRn+1としてもよい。
【0027】
受信電力Sn+1 はSIR計算部27−1〜27−nで受信電力記憶部28よりの第1〜第n番目の送信アンテナの送信信号の受信電力S1 〜Sn に対する比SIRn+1,1 〜SIRn+1,n がそれぞれ計算される。前記計算されたSNRn+1 、計算されたSIRn+1,1 〜SIRn+1,n とSNR記憶部29からのSNR1 〜SNRn とがしきい値決定部31に入力され、しきい値決定部31から、これら入力により決るしきい値Th1n+1,1 〜Th1n+1,n が出力されて比較器32−1〜32−nに入力される。しきい値決定部31は例えば入力されたSNR1 〜SNRn+1 ,SIRn+1,1 〜SIRn+1,n に対し予め実験的に決められたしきい値Th1n+1,1 〜Th1n+1,n を格納しておき、入力によりこれらしきい値を読み出す構成とされる。このしきい値の決定の手法については後で説明する。
【0028】
SNRn+1 は比較器33でレジスタ34に格納されたしきい値ThSNR,n+1 と比較される。最大検出部24−1〜24−nからの検出伝搬路の相関値ρn+1,1 〜ρn+1,n としきい値Th1n+1,1 〜Th1n+1,n とがそれぞれ比較器32−1〜32−nで比較される。判定部35で比較器32−1〜32−nの各出力により各相関値が対応するしきい値以下、また比較器33の出力によりSNRn+1 がしきい値以上であることを全て満しているか否かを判定し、満していれば、第n+1番目の送信アンテナASn+1に、第1〜第n番目の送信アンテナAS1〜ASnに割り当てているチャネルを割り当て、そのことを送信部13を通じて、対応受信部RXn+1へ送信する。なお受信電力Sn+1 ,SNRn+1 はそれぞれ受信電力記憶部28、SNR記憶部29にそれぞれ格納される。
【0029】
図2中の相関計算部22−1〜22−n及び最大検出部24−1〜24−nは相関値算出部36を構成し、しきい値決定部31、比較器32−1〜32−n、判定部35はチャネル割当部37を構成している。また図中の各データは式(20)、式(21)を用いる場合を( )なしで、式(22)、式(23)を用いる場合を( )を付けて示したが、しきい値については(Th11,n+1 )〜(Th1n,n+1 ),(Th21,n+1 )〜(Th2n,n+1 )を省略してある。
(2)相関値に加え、各送信信号点の位相差も用いる方法(実施形態(2))MMSEフィルタ等の線形フィルタ受信処理においては、上記相関値が、所望送信信号のフィルタ出力SIRに影響を与える。つまり、上記例において、第1番目の送信アンテナの送信信号(以下、第1送信信号と記す)と第2番目の送信アンテナの送信信号(以下、第2送信信号と記す)との伝搬路の相関値が高くなれば、上で定義された相関値ρ1,2も高くなり、第1送信信号を検出する線形フィルタの出力SIRが低下し、受信特性が劣化する。この出力SIRに加え、受信特性を劣化させるもう一つの要因は、MMSEフィルタ等の出力における各送信信号点の位相差である。同一のフィルタ出力SIRを与える伝搬路でも、各送信信号点の位相差が大きければ、受信機は信号分離は行いやすいため、受信特性は良い。これについて、[従来の技術]の項で説明した周波数選択性のない伝搬路における例を用いて説明する。
【0030】
前記周波数選択性のない、2ユーザの場合において、以下の(a)と(b)の場合を考える。
(a)h 1(0)=h 2(0):第1送信信号と第2送信信号の受信信号点は重なっている。
(b)h 1(0)=exp(0.5πj)・h 2(0)(jは虚数を表わす):第1送信信号と第2送信信号の両受信信号点は90度ずれている。
(a),(b)共に伝搬路の相関値α1,2は同一であり、第1送信信号の第2の送信信号に対するMMSEフィルタ等の出力における電力比SIRは(a),(b)共に同一である。(a),(b)何れの場合も伝搬路の相関値は1となるため、線形フィルタでの信号分離は難しい状態である。(a)の場合は、さらに、信号点の位相差がないため、第1送信信号と第2送信信号の両受信信号点が完全に重なっているため、信号分離は更に難しい。しかし、(b)の場合は、両受信信号点の位相差が90度あるため、I相Q相の直交性を利用して、信号分離を行うことができる。よって、第1送信信号と第2送信信号の受信信号の位相差をも考慮すれば、より詳細なチャネル割り当てを行うことができる。この周波数選択性のない伝搬路の例においては、MMSEフィルタ等の出力における位相差は、以下のように定義できる。
【0031】
Δθ1,2=|imag(h 1 H(0)・h 2(0))/
real((h 1 H(0)・h 2(0))| (24)
この考え方は、実施形態(1)の周波数選択性のある伝搬路においても適用できる。周波数選択性のある伝搬路においては、マルチパス干渉が存在するため、周波数選択性のない伝搬路における場合よりも、各送信信号の受信信号点は複雑になる。そこで、この実施形態(2)においては、実施形態(1)におけるMAX関数で選ばれた相関値αの計算に用いられた信号空間の位相差のみを考える。つまりΔθ1,2を次式により求める。
この位相差情報を用いることで、周波数選択性のある伝搬路においても、相関値のみを用いる場合よりも詳細にチャネル割り当てを行うことができる。Δθ1,2は両受信信号の位相差の余弦に相当する。よってΔθ1,2は1が最大値であり、位相差がゼロの場合Δθ1,2=1となる。従って
ρ1,2 <TH11,2かつρ2,1 <TH12,1
Δθ1,2 <TH21,2かつΔθ2,1 <TH22,1
第1送信信号の受信機でのSNR>THsnr1
第2送信信号の受信機でのSNR>THsnr2
の全ての条件を満たせば、第1番目の送信アンテナAS1と第2番目の送信アンテナAS2に同一チャネルを割り当てる。
【0032】
一般的には第1〜第n番目の送信アンテナAS1〜ASnから同一チャネルで信号を送信している状態に第n+1番目の送信アンテナASn+1に同一チャネルを割り当てる場合を考える。
式(20)のMax関数で選ばれたインデックス(0〜2Q−2)中のtをtmax として、第n+1送信信号の第i番目(i=1,…,n)送信信号に対する受信信号点の位相差を次式により計算する。
Δθn+1,i =|imag(H n+1 H [:,Q−1]・H i [:,tmax ])/real(H n+1 H [:,Q−1]・H i [:,tmax ])|(28)
同様に、Δθi,n+1 を次式により計算する。
【0033】
Δθi,n+1 =|imag(H i H [:,Q−1]・H n+1 [:,tmax ])/real(H i H [:,Q−1]・H n+1 [:,tmax ]|(29)
第n+1番目の送信アンテナASn+1に第1〜n番目の送信アンテナAS1〜ASnと同一チャネルを割り当てる条件として下記の全てを満たすこととする。
SNRn+1 >Thsnr,n+1
ρn+1,i <Th1n+1,i (SIRn+1,i ,SNRn+1 )
ρi,n+1 <Th1i,n+1 (SIRi,n+1 ,SNRi )
Δθn+1,i <Th2n+1,i (SIRn+1,i ,SNRn+1 )
Δθi,n+1 <Th2i,n+1 (SIRi,n+1 ,SNRi ) i=1,…,n
Th2n+1,i (SIRn+1,i ,SNRn+1 )は第n+1送信信号の第i(i=1,…,n)送信信号に対する受信信号点位相差のしきい値であり、これは第n+1送信信号と第i送信信号の受信電力比SIRn+1,i 及び第n+1送信信号の受信信号雑音電力比SNRn+1 に依存する。
【0034】
Th2i,n+1 (SIRi,n+1 ,SNRi )は第i(i=1,…,n)送信信号の第n+1送信信号に対する受信信号点位相差のしきい値であり、これは第i送信信号の第n+1送信信号に対する受信電力比SIRi,n+1 及び第i送信信号の受信信号雑音電力比SNRiに依存する。
つまり、実施形態(1)における条件に、Δθn+1,i <Th2n+1,i とΔθi,n+1 <Th2i,n+1 の条件が加わったものとなる。この場合も、SNRn+1 >THsnr,n+1 と、ρn+1,i <Thn+1,i 及び/又はρi,n+1 <Thi,n+1 と、Δθn+1,i <Th2n+1,i 及び/又はΔθi,n+1 <Th2i,n+1 とよりなる条件としてもよい。Th2n+1,i とTh2i,n+1 はそれぞれSNRn+i とSNRi のみに依存して決めてもよい。
【0035】
図1に示した処理手順において、位相差Δθn+1,i も考慮する場合は図中に破線で示すようにステップS5の次に第n+1送信信号の第i送信信号に対する受信信号点の位相差Δθn+1,i 〜Δθn+1,n を式(28)により計算し、また、受信電力比SIRn+1,1 〜SIRn+1,n 及びSNRn+1 を用いてしきい値Th2n+1,1 〜Th2n+1,n を決定する(S13)。ステップS6では括弧内に示すようにΔθn+1,1 <Th2n+1,1 〜Δθn+1,n <Th2n+1,n の条件も全て満すかを調べる。
なお第1〜第n番目の送信アンテナAS1〜ASnが同一チャネルを用いてシステムに加入している状態で第n+1番目の送信アンテナが新たにシステムに加入する場合には、図1中の手順において、ステップS1、ステップS2は省略され、破線で示すように、第n+1番目の送信アンテナASn+1からチャネル割り当て要求を受信するとステップS3に移り(S14)、ステップS8、S9は省略し、他のステップを実行すればよい。
【0036】
Δθn+1,i を考慮したチャネル割り当て装置は図2に示した装置に対し図4に示した構成を付加すればよい。図2中に伝搬路推定部17よりの推定伝搬路行列H n+1 が位相差計算部38−1〜38−nへ供給される。これら位相差計算部38−1〜38−nには、図2中の伝搬路記憶部23から伝搬路行列H 1 〜H n がそれぞれ供給され、また最大検出部24−1〜24−nから、各検出した最大の相関αのインデックスtmax1〜tmaxnも供給される。位相差計算部38−1〜38−nでそれぞれ式(28)の計算が行われて位相差Δθn+1,1 〜Δθn+1,n が出力されて比較器39−1〜39−nへそれぞれ供給される。図2中に示すように、しきい値決定部31から、SNRn+1 、電力比SIRn+1,1 〜SIRn+1,n に応じたしきい値Th2n+1,1 〜Th2n+1,n が出力され、これらしきい値Th2n+1,1 〜Th2n+1,n が比較器39−1〜39−nへ供給される。比較器39−1〜39−nでの位相差Δθn+1,1 〜Δθn+1,n としきい値Th2n+1,1 〜Th2n+1,n とのα比較結果が図2中の判定部35へ供給される。その他は図2に示した構成、作用と同一である。なお比較器39−1〜39−nは図2中のチャネル割当部37内に構成されることになる。
【0037】
式(22)及び(23)による相関値ρi,n+1 を利用する場合、式(29)による位相差Δθi,n+1 を利用する場合は、図2及び図4中に一部の計算結果を括弧書で示すようになる。
図5は上記チャネル割り当て機能を備えた多入力多出力伝搬路信号伝送方式のシステム構成を示す。n個の送信アンテナAS1〜ASnに同一チャネルを割り当てた場合は、多入力多出力受信機41でn送信信号を分離する等化器42が必要である。この等化器42が必要な情報は、該当チャネルに存在する送信アンテナ数n、および各送信信号の伝搬路値H 1〜H nと雑音電力σ2である。よって図2又はこれと図4に示したチャネル割当装置における相関値算出・チャネル割当部43で用いる情報からこれらの情報を等化器42に提供することができる。
【0038】
図5では、既に第1〜n番目の送信アンテナAS1〜ASnには同一チャネルが割り当てられ、第n+1番目の送信アンテナASn+1に対し、チャネル割り当てを行っている。この場合、等化器42は、第1〜n送信信号を検出する必要があり、そのために必要な情報は、送信信号数n、各送信信号の伝搬路値H 1〜H n、雑音電力σ2であり、伝搬路推定部17からH 1〜H nと、各受信アンテナごとの雑音電力とが等化器42へ供給される。同図で第n+1番目の送信アンテナに同一チャネルが割り当てられると、送信信号数をn+1に変更し、第n+1番目の送信信号の伝搬路値H n+1及び雑音電力を等化器42に提供する必要がある。多入力多出力信号伝送用の等化器42の構成としては、文献[2]のものがあるが、他の等化器を用いてもよい。第n+1番目の送信アンテナASn+1にチャネルが割り当てられた後にそのチャネルで送信アンテナASn+1から情報シンボルが送信されて通信が行われる。
【0039】
この発明について、伝搬路推定は完全であるとして以下の条件でシミュレーションを行った。
送信アンテナ数N 2
各送信信号のマルチパス数Q 3
受信アンテナ数M 2
1フレーム内の情報シンボル数 900ビット
ドップラー周波数 0Hz
変調方式 BPSK
伝送速度 20Mbps
受信機構成 文献[2]に記載のもの
各送信信号の受信SNR 10(dB)
図6Aに第1番目の送信アンテナAS1からの送信信号の第2番目の送信アンテナAS2からの送信信号に対する伝搬路相関値ρ1,2に対応する受信FER(フレーム 誤差率)特性を示す。この結果より、所望受信品質をFER(10-2)とすれば、受信SNRが両送信信号ともに10(dB)の場合の、チャネル割り当てに用いる伝搬路相関値のしきい値Th11,2は、約0.6となることが分かる。よって実施形態(1)では、Th1,2=0.6としてチャネル割り当てを行うとよい。
【0040】
図6Bに第1番目の送信アンテナAS1からの送信信号の第2番目の送信アンテナAS2からの送信信号に対する伝搬路相関値ρ1,2及び、二つの受信信号点の位相差Δθ1,2に対応する受信FER特性を示す。この結果より、所望受信品質をFER(10-2)とすれば、受信SNRが両送信信号ともに10(dB)の場合の、チャネル割り当てに用いる相関値のしきい値Th11,2は0.9、受信信号点位相差Δθ1,2は0.9となることが分かる。よって実施形態(2)では、Th11,2=0.9、Th21,2=0.9としてチャネル割り当てを行うとよい。
【0041】
計算機シミュレーションで得られた異なるSIR,SNRに対するしきい値Th11,2,Th21,2を図7に示す。SNR1,S1/S2=SIR1,2が変化するとしきい値Th11,2,Th21,2も変更する必要がある。図2中のしきい値決定部21は例えばSNRとSIRとによりしきい値Th1,Th2が読み出される。図7に示したようなしきい値Th1,Th2の各値が格納されているものを用いればよい。
図2及び図4に示したチャネル割当装置を、コンピュータにより機能させることもできる。この場合は、コンピュータに、例えば図1に示した各手順を実行させるためのチャネル割当プログラムを、コンピュータにCD−ROM、可撓性磁気ディスクをインストールし、又は通信回線を介してダウンロードし、そのチャネル割当プログラムをコンピュータに実行させればよい。
【0042】
【発明の効果】
以上述べたようにこの発明によれば、多入力多出力通信方式において伝搬路相関値を求め、それがしきい値以下であるか否かを判定することにより同一チャネルの割り当てを行うことができる。その場合、その判定に受信電力比を考慮することにより、より正しくチャネル割り当てを行うことができる。またマルチパス伝搬路の場合でも、チャネル割り当てを行うことができる。受信信号点の位相差を考慮する場合は、これを考慮しない場合と比較し、マルチパス伝搬路の有無の何れにおいてもより高い精度(きめ細かく)チャネル割り当てを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明方法の実施形態の手順例を示す流れ図。
【図2】この発明装置の実施形態の機能構成例を示す図。
【図3】この発明の通信に用いるフレーム構成例を示す図。
【図4】この発明の実施形態(2)の機能構成の一部を示す図。
【図5】この発明の受信機の機能構成を含む通信システムの例を示す図。
【図6】この発明についての電子計算機シミュレーションの結果を示す図。
【図7】図1中のしきい値決定部21の記憶内容の例を示す図。
【図8】多入力多出力通信システムの例を示す図。
[参考文献]
[1]田中大輔他“3素子アダプティブアレーを用いたSDMA方式の呼損率特性”信学技報 RCS97252(1998−02)pp.95−98
[2]阿部哲士他“周波数選択性MIMOチャネルにおける時空ターボ等化器”信学技報 RCS2000−256,pp.75−80
Claims (9)
- 1以上の整数n個の送信アンテナを用いて信号を同一チャネルで伝送し、1以上の整数M個の受信アンテナで受信する通信方式のチャネル割り当て方法であって、
新たに通信を開始する第n+1番目の送信アンテナによる信号の伝搬路と第1〜第n番目の送信アンテナによる信号の伝搬路との各相関値を求める相関値算出ステップと、
第n+1番目の送信アンテナによる信号の受信信号雑音電力比を求める受信信号雑音電力比算出ステップと、
上記第n+1番目の送信アンテナの送信信号と上記第1〜第n番目の送信アンテナの送信信号との受信電力比又は/及び上記受信信号雑音電力比に基づく、上記第1〜第n番目の送信アンテナと対応する各相関値のしきい値と上記受信信号雑音電力比のしきい値とをそれぞれ決定し、上記各相関値が第1〜第n番目の送信アンテナと対応する各相関値のしきい値以下であり、かつ上記受信信号雑音電力比がしきい値以上であるという条件を満たすか否かの判定を行い、条件を満たせば、第n+1番目の送信アンテナに対し第1〜第n番目の送信アンテナに割り当てているチャネルと同一チャネルを割り当てるチャネル割り当てステップと、
を有し、
上記相関値算出ステップにおいて各相関値は、
上記第n+1番目の送信アンテナと各受信アンテナとの間のマルチパスを考慮した伝搬路値h m,n+1 (q) (m=1,…,M,q=0,…,Q−1)を推定し、(Qはマルチパスの数を表わす1以上の整数)これらの推定値を用いて第n+1番目の送信アンテナの信号伝搬路行列H n+1 を作り、ただし
α n+1,i (t)=|H n+1 H [:,Q−1]・H i [:,t]|/
(|H n+1 H [:,Q−1]|・|H i [:,t]|)
ここで、H i [:,t]:行列H i の第t列ベクトル(t=0,1,…,2Q−2)
により算出し、これらの最大値ρ n+1,i =Max(α n+1,i (0),α n+1,i (1),…α n+1,i (2Q−2))として求められる
ことを特徴とする多入力多出力通信方式のチャネル割り当て方法。 - 上記インデックス(0〜2Q−2)中の上記Max関数で選ばれたインデックスをtmaxとして、第n+1番目の送信アンテナの送信信号の第i番目(i=1,…,n)の送信アンテナの送信信号に対する受信信号点の位相差
Δθn+1,i=|imag(Hn+1 H[:,Q−2]・Hi[:,tmax])/
real(Hn+1 H[:,Q−1]・Hi[:,tmax])|
を計算し、これらΔθn+1,iが第n+1番目の送信信号と第i番目の送信アンテナの送信信号との受信電力比SIRn+1,i、又は/及び第n+1番目の送信アンテナの送信信号の受信信号雑音電力比SNRn+1に依存するしきい値以下であることを上記条件に加えることを特徴とする請求項1記載のチャネル割り当て方法。 - 上記第i番目の送信アンテナの送信信号の第n+1番目の送信アンテナの送信信号に対する伝搬路の相関値、
ρi,n+1 =Max(αi,n+1(0),αi,n+1(1),…,αi,n+1(2Q−2))
ここでαi,n+1(t)=|Hi H [:,Q−1]・Hn+1 [:,t]|/(|Hi H [:,Q−1]|・|Hn+1 [:,t]|)
を計算して上記伝搬路の相関値に加えることを特徴とする請求項1又は2記載のチャネル割り当て方法。 - 上記インデックス(0〜2Q−2)中の上記ρi,n+1 を決定するmax関数で選ばれたインデックスをtmax として、各第i番目の送信アンテナの送信信号の第n+1番目の送信アンテナの送信信号に対する受信信号点の位相差
Δθi,n+1 =|imag(Hi H [:,Q−1]・Hn+1 [:,tmax ])/real(Hi H [:,Q−1]・Hn+1 [:,tmax ])|
を計算し、これらΔθi,n+1 が、第i番目の送信アンテナの送信信号の第n+1番目の送信信号に対する受信電力比SIRi,n+1 又は/及び第i番目の送信アンテナの送信信号の受信信号雑音電力比SNRi に依存するしきい値以下であることを上記条件に加えることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のチャネル割り当て方法。 - 1以上の整数n個の送信アンテナから同一チャネルにより送信された信号を1以上の整数M個の受信アンテナで受信して、上記n個の各送信アンテナの受信アンテナへの伝搬路を推定し、その推定された伝搬路を用い受信信号から各送信アンテナの送信信号を等化器で分離する受信機であって、
上記n個の各送信アンテナの受信アンテナへの伝搬路と新たに送信を開始する第n+1番目の送信アンテナから第1〜第n番目の送信アンテナから送信している信号と同一チャネルで送信された信号の受信アンテナへの伝搬路とを推定する機能と、上記第n+1番目の送信アンテナと各受信アンテナとの間のマルチパスを考慮した伝搬路値h m,n+1 (q) (m=1,…,M,q=0,…,Q−1)を推定し、(Qはマルチパスの数を表わす1以上の整数)これらの推定値を用いて第n+1番目の送信アンテナの信号伝搬路行列H n+1 を作成する機能とを有する伝搬路推定部と、ただし
上記第n+1番目の送信アンテナの送信信号と第i番目(i=1,…,n)の送信アンテナの送信信号との受信電力比を計算するSIR計算部と、
上記第1〜第n番目の送信アンテナのそれぞれについて、各パスごとの推定値を用いて、第n+1番目の送信アンテナよりの送信信号の上記第i番目の送信アンテナよりの送信信号に対する相関値α n+1,i (t)を、
α n+1,i (t)=|H n+1 H [:,Q−1]・H i [:,t]|/
(|H n+1 H [:,Q−1]|・|H i [:,t]|)
ここで、H i [:,t]:行列H i の第t列ベクトル(t=0,1,…,2Q−2)
により算出し、これらの最大値ρ n+1,i =Max(α n+1,i (0),α n+1,i (1),…α n+1,i (2Q−2))を、第n+1番目の送信アンテナによる信号の伝搬路と第1〜第n番目の送信アンテナによる信号の伝搬路との各相関値として求める相関値算出部と、
上記第n+1番目の送信アンテナの送信信号と上記第1〜第n番目の送信アンテナの送信信号との受信電力比又は/及び上記受信信号雑音電力比に基づく上記第1〜第n番目の 送信アンテナと対応する各相関値のしきい値と、上記受信信号雑音電力比のしきい値と、をそれぞれ決定し、上記計算された各相関値が第1〜第n番目の送信アンテナと対応する各相関値のしきい値以下であり、かつ上記推定した受信信号雑音電力比がしきい値以上であるという条件を満たすか否かを判断して、満たせば上記第n+1番目の送信アンテナからの信号送信に上記同一チャネルを割り当てるチャネル割り当て部と、
を具備することを特徴とする多入力多出力受信機。 - 上記検出された最大値が得られた両伝搬路で伝搬された両送信信号の受信信号間の位相差を対応する推定伝搬路からそれぞれ計算する位相差計算部を備え、
上記チャネル割り当て部は上記各位相差をそれぞれしきい値と比較して、上記各位相差がしきい値以下であることを上記条件とする機能を有することを特徴とする請求項5記載の多入力多出力受信機。 - 1以上の整数n個の送信アンテナから同一チャネルにより送信された信号を1以上の整数M個の受信アンテナで受信して、上記n個の各送信アンテナの受信アンテナへの伝搬路を推定し、その推定された伝搬路を用い受信信号から各送信アンテナの送信信号を等化器で分離する受信機であって、
上記n個の各送信アンテナの受信アンテナへの伝搬路と、新たに送信を開始する第n+1番目の送信アンテナから第1〜第n番目の送信アンテナから送信している信号と同一チャネルで送信された信号の受信アンテナへの伝搬路とを推定する伝搬路推定部と、
上記受信信号の信号雑音電力比を推定するSNR計算部と、
上記第n+1番目の送信アンテナの送信信号の上記推定伝搬路と、上記第1〜第n番目の送信アンテナの送信信号のその各推定された伝搬路との相関値を計算する相関値算出部と、
上記相関値算出部によって出力された上記各相関値の最大値が得られた両伝搬路で伝搬された両送信信号の受信信号間の位相差を対応する推定伝搬路からそれぞれ計算する位相差計算部と、
上記計算された各相関値、上記推定した受信信号雑音電力比及び上記計算された位相差をそれぞれ対応するしきい値と比較して、上記計算された各相関値が対応する各相関値のしきい値以下であり、上記推定した受信信号雑音電力比がしきい値以上であり、かつ上記各位相差がしきい値以下であるという条件を満たすか否かを判断して、満たせば上記第n+1番目の送信アンテナからの信号送信に上記同一チャネルを割り当てるチャネル割り当て部と
を具備することを特徴とする多入力多出力受信機。 - 請求項1〜4の何れかに記載の方法の手順をコンピュータに実行させるためのチャネル割り当てプログラム。
- 請求項8に記載のチャネル割り当てプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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