JP3920615B2 - 無線ネットワークのためのルーティング方法及びルータ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の無線局を備えた、例えば無線LANなどの無線ネットワークにおいてパケット通信を行う、例えばアドホック無線ネットワークなどの無線ネットワークのためのルーティング方法及びルータ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一時的に特定の地域内に集まった不特定多数の人々の間の通信を無線でサポートするアドホック無線ネットワークでは、例えばインターネットのルータ装置のようなインフラストラクチャが存在しないために、ネットワーク中のユーザが協調してパケットを中継し、ルーティングを行う必要がある。
【0003】
アドホック無線ネットワークのルーティングとして、例えば、先行技術文献1「D. B. Johnson, et al., "Dynamic Source Routing in Ad Hoc Wireless Networks", in book on "Mobile Computing", Chapter 5, pp.153-181, Kluwer Academic Publishers, 1996」において、ルート探索パケットを送信して経路情報を得る方法(以下、従来例という。)が提案されており、一例では、この経路情報を各無線局でリンク状態テーブルとして保存して、このテーブルに基づいてルーティングを行っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来例では、定期的にトポロジ情報(アドホック無線ネットワーク内のすべての無線局間のリンク状態を示す経路情報をいい、以下同様である。)を、いわゆるフラッディング方式により他の無線局へ通知するため、特にモビリティが高くなると頻繁なトポロジ変化が発生し、オーバーヘッドが大きくなる。これにより、無線局の移動に伴う新しいルートへの切り換えが遅延して、しばしばルートパスの切断が生じ、安定に通信をすることができなくなる場合があるという問題点があった。
【0005】
本発明の目的は以上の問題点を解決し、アドホック無線ネットワークなどの無線ネットワークにおいて、無線局が頻繁に移動しても、ルーティングテーブルを効率的に更新することができ、安定なルートを確保して安定な無線通信を行うことができる無線ネットワークのためのルーティング方法及びルータ装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る無線ネットワークのためのルーティング方法は、複数の無線局を備え、各無線局間で無線通信を行う無線ネットワークのためのルーティング方法において、
自局からの信号を各隣接無線局が受信したときの信号強度を含む評価値の測定値を含む、隣接無線局からの信号に基づいて、自局を中心とした方位角毎の各隣接無線局から見た、信号強度を含む評価値を求めた後、各隣接無線局毎に最大の評価値を選択して各隣接無線局との親和度とし、当該親和度を含む隣接リンク状態テーブルを生成して第1の記憶手段に保存するステップと、
上記生成された隣接リンク状態テーブルを含む更新信号を送信して他の各無線局と交換することにより、各無線局毎の隣接リンク状態テーブルの情報を受信して、当該各無線局毎の隣接リンク状態テーブルの情報を含むグローバルリンク状態テーブルを生成して第2の記憶手段に保存するステップと、
上記グローバルリンク状態テーブルに基づいて、送信元無線局から目的無線局までのルートを選択して、パケット信号をルーティングするステップとを含むことを特徴とする。
【0007】
上記無線ネットワークのためのルーティング方法において、上記ルーティングするステップは、好ましくは、上記グローバルリンク状態テーブルに基づいて、送信元無線局から目的地無線局までのルートをすべて検索し、検索された各ルートを形成するリンクの中で最小の親和度を持つリンクを検索し、検索された各ルートが持つ最小の親和度を比較し、その中で最も高い親和度であるリンクを持つルートを選択することを特徴とする。
【0008】
また、上記無線ネットワークのためのルーティング方法において、上記グローバルリンク状態テーブルは、好ましくは、各無線局毎に当該隣接リンク状態テーブルの情報の更新回数をさらに含み、
上記グローバルリンク状態テーブルを生成して第2の記憶手段に保存するステップは、更新信号を受信し、グローバルリンク状態テーブルの更新を行い、新たに更新信号を送信するとき、直接に無線通信可能な隣接無線局の更新回数を比較し、最も更新回数の低い値を持つ無線局に対してのみ更新信号を送信することを特徴とする。
【0009】
さらに、上記無線ネットワークのためのルーティング方法において、上記信号強度を含む評価値は、好ましくは、信号電力、信号対雑音比又は信号対干渉雑音比であることを特徴とする。
【0010】
別の本発明に係る無線ネットワークのためのルータ装置は、複数の無線局を備え、各無線局間で無線通信を行う無線ネットワークのためのルータ装置において、
自局からの信号を各隣接無線局が受信したときの信号強度を含む評価値の測定値を含む、隣接無線局からの信号に基づいて、自局を中心とした方位角毎の各隣接無線局から見た、信号強度を含む評価値を求めた後、各隣接無線局毎に最大の評価値を選択して各隣接無線局との親和度とし、当該親和度を含む隣接リンク状態テーブルを記憶する第1の記憶手段と、
上記生成された隣接リンク状態テーブルを含む更新信号を送信して他の各無線局と交換することにより、各無線局毎の隣接リンク状態テーブルの情報を受信して、当該各無線局毎の隣接リンク状態テーブルの情報を含むグローバルリンク状態テーブルを記憶する第2の記憶手段と、
上記グローバルリンク状態テーブルに基づいて、送信元無線局から目的無線局までのルートを選択して、パケット信号をルーティングするルーティング手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】
上記無線ネットワークのためのルータ装置において、上記ルーティング手段は、好ましくは、上記グローバルリンク状態テーブルに基づいて、送信元無線局から目的地無線局までのルートをすべて検索し、検索された各ルートを形成するリンクの中で最小の親和度を持つリンクを検索し、検索された各ルートが持つ最小の親和度を比較し、その中で最も高い親和度であるリンクを持つルートを選択することを特徴とする。
【0012】
また、上記無線ネットワークのためのルータ装置において、上記グローバルリンク状態テーブルは、好ましくは、各無線局毎に当該隣接リンク状態テーブルの情報の更新回数をさらに含み、
更新信号を受信し、グローバルリンク状態テーブルの更新を行い、新たに更新信号を送信するとき、直接に無線通信可能な隣接無線局の更新回数を比較し、最も更新回数の低い値を持つ無線局に対してのみ更新信号を送信する手段をさらに備えたことを特徴とする。
【0013】
さらに、上記無線ネットワークのためのルータ装置において、上記信号強度を含む評価値は、好ましくは、信号電力、信号対雑音比又は信号対干渉雑音比であることを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態について説明する。
【0015】
図1は、本発明に係る一実施形態であるアドホック無線ネットワークの構成を示す複数の無線局1−1乃至1−9(総称して、符号1を付す。)の平面配置図であり、図2は、図1の各無線局1の構成を示すブロック図である。
【0016】
この実施形態の無線通信システムでは、図1に示すように、複数の無線局1が平面的に散在して存在し、各無線局1はそれぞれ、可変ビームアンテナ101の利得や送信電力、受信感度などのパラメータで決定される所定のサービスエリアを有し、このサービスエリア内でパケット通信を行うことができ、サービスエリア外の無線局1とパケット通信を行うときは、サービスエリア内の無線局1を中継局として用いてパケットデータを中継することにより、所望の宛先無線局1にパケットデータを伝送する。すなわち、各無線局1は、パケットのルーティングを行うルータ装置を備え、発信端末、中継局、又は宛先端末として動作する。
【0017】
この実施形態の無線通信システムは、例えば無線LANなどのアドホック無線ネットワークのパケット通信システムに適用するものであって、無指向性放射パターンであるオムニパターンと、自局を中心とした水平面内の所定の方位角毎にセクタ形状のメインビームを選択的に変更可能なセクタビームパターンと、上記方位角毎にヌル点を形成可能な排他的セクタパターンとを選択的に切り換え可能な可変ビームアンテナ101を備え、
(a)自局からのRQ(Request)信号を隣接無線局が受信したときの信号電力対干渉雑音電力比(以下、SINRという。)の測定値を含む、隣接無線局からのRE(Reply)信号に基づいて予め作成され、自局を中心とした水平面内の所定の方位角毎のサービスエリア内の無線局1から見たSINRを含む方位角対SINRテーブル(以下、ASテーブル(Angle-SINR Table)という。)と、
(b)上記ASテーブルの各隣接無線局毎に最大のSINRを選択して各隣接無線局との親和度(親和度)とし、当該親和度と、それに対応する方位角及びそのデータの更新時刻とを含む隣接リンク状態テーブル(以下、NLSテーブル(Neighbor Link-State Table)という。)と、
(c)当該アドホック無線ネットワークにおいて、自局以外の他の無線局と通信中である隣接無線局毎の方位角に対して所定の待機期間だけヌル点を向ける排他的セクタパターンを用いるために設けられ、既に他の無線局と無線通信中である各隣接無線局毎の方位角と、待機期間終了日時とを含む通信中テーブル(以下、OCテーブル(On-going Table)という。)と
をデータベースメモリ154に格納し、NLSテーブル及びOCテーブルとに基づいて、可変ビームアンテナ101の放射パターンを制御しながらパケット通信を行うことを特徴としている。
【0018】
また、本実施形態においては、各無線局間でNLSテーブルのトポロジ情報を交換することにより、当該アドホック無線ネットワーク内のすべての無線局1に関するNLSテーブルのトポロジ情報を収集し、このトポロジ情報と、これにおける各無線局毎の当該トポロジ情報の更新回数とをグローバルリンク状態テーブル(以下、GLSテーブル(Global Link State Table)という。)としてデータベースメモリ154に保存し、GLSテーブルに基づいてパケット信号のルーティングを行うことを特徴としている。
【0019】
次いで、図2を参照して、各無線局1の装置構成について説明する。図2において、無線局1は、可変ビームアンテナ101と、その指向性を制御するための指向制御部103と、サーキュレータ102と、データパケット送信部140及びデータパケット受信部130を有するデータパケット送受信部104と、トラヒックモニタ部105と、回線制御部106と、上位レイヤ処理部107とを備える。
【0020】
送受信すべきデータを処理する上位レイヤ処理装置107によって発生されたパケット形式の通信用送信信号データは、送信バッファメモリ142を介して変調器143に入力され、変調器143は、所定の無線周波数の搬送波信号を、拡散符号発生器160でCDMA方式で発生された所定の通信チャネル用拡散符号を用いて、入力された通信用送信信号データに従ってスペクトル拡散変調して、変調後の送信信号を高周波送信機144に出力する。高周波送信機144は入力された送信信号に対して増幅などの処理を実行した後、サーキュレータ102を介して可変ビームアンテナ101から他の無線局1に向けて送信する。一方、可変ビームアンテナ101で受信されたパケット形式の通信チャネル用受信信号は、サーキュレータ102を介して高周波受信機131に入力され、高周波受信機131は入力された受信信号に対して低雑音増幅などの処理を実行した後、復調器132に出力する。復調器132は、入力される受信信号を、拡散符号発生器160でCDMA方式で発生された通信チャネル用拡散符号を用いて、スペクトル逆拡散により復調して、復調後の受信信号データを上位レイヤ処理装置107に出力するとともに、トラヒックモニタのためにトラヒックモニタ部105に出力する。
【0021】
本実施形態においては、指向性アンテナである可変ビームアンテナ101は、複数のアンテナ素子とその指向性を制御する制御部103に接続され、
(a)無指向性放射パターンであるオムニパターンと、
(b)例えば図3に示すように、自局を中心とした水平面内の所定の方位角毎にセクタ形状のメインビームを選択的に変更可能なセクタビームパターンと、
(c)上記方位角毎にヌル点を形成可能な排他的セクタパターンと
を電気的な制御により選択的に切り換え可能なアンテナである。なお、可変ビームアンテナ101については、例えば、公知のフェーズドアレーアンテナ装置であってもよいし、もしくは、以下の先行技術文献に開示された可変ビームアンテナであってもよい。
(a)先行技術文献2「大平孝,”適応アンテナの民生化にむけて”,平成11年電気関係学会関西支部連合大会シンポジウム,「最近のマイクロ波・ミリ波技術」,S8−1,pp.S41,1999年11月14日」、
(b)先行技術文献3「大平孝ほか,”マイクロ波信号処理によるアダプティブビーム形成と電子制御導波器(ESPAR)アンテナの提案”,電子情報通信学会研究技術報告,AP99−61,SAT99−61,pp.9−14,1999年7月」及び
(c)先行技術文献4「田野哲ほか,”M−CMA:マイクロ波信号処理による適応ビーム形成のためのデジタル信号処理アルゴリズム”,電子情報通信学会研究技術報告,AP99−62,SAT99−62,pp.15−22,1999年7月」など。
【0022】
トラヒックモニタ部105は、検索エンジン152と、更新エンジン153と、データベースメモリ154と、クロック回路155とを備え、後述のパケット送受信制御処理を実行するとともに、無線局1が他の無線局1とのパケット通信において使用すべき通信チャネルを決定して、決定した通信チャネルに対応する拡散符号の指定データを回線制御部106を介して拡散符号発生器160に送ることにより、拡散符号発生器160が当該指定データに対応する拡散符号を発生するように制御するとともに、決定した通信チャネルに対応するタイムスロットの指定データを回線制御部106を介して送信タイミング制御部141に送ることにより、送信タイミング制御部141が送信バッファメモリ142による通信チャネル用送信信号データの書き込み及び読み出しを制御することにより通信チャネル用送信信号が対応するタイムスロットで送信されるように制御する。なお、クロック回路155は、現在日時を計時してその情報を、必要に応じて管理制御部151に出力する。
【0023】
トラヒックモニタ部105の検索エンジン152は、管理制御部151の制御によりデータベースメモリ154内のデータを検索して検索したデータを管理制御部151に返信する。また、更新エンジン153は、管理制御部151の制御によりデータベースメモリ154内のデータを更新する。さらに、データベースメモリ154には、ASテーブル、NLSテーブル、OCテーブル、ルーティングのためのテーブルであるGLSテーブル、無線信号の受信時に一時的にデータを保存するための一時保存テーブルを記憶する。
【0024】
本実施形態においては、アンテナ放射パターンを単一の通信相手先方向の利得が最大となるように指向性を変化させるセクタビームパターンの実効的な送信ビーム幅を30度としており、可変ビームアンテナ101は、方位角を30度毎に選択的に変化可能に設定できる。
【0025】
次いで、ASテーブルの作成方法について説明する。当該アドホック無線ネットワーク内の各無線局は定期的に隣接無線局情報を収集しASテーブルを生成する。隣接無線局情報を収集する自局の無線局(以下、無線局Sという。)は、まずブロードキャストパケットを30度毎に12方向の方位角でセクタビームパターンにより順に送信する。方位角が12方向であるのはセクタビームパターンが360度すべてをカバーするようするためである。このパケット信号をRQ(Request)信号と呼ぶ。RQ信号には、図8に示すように、パケット種別:RQ、RQ信号の送信元無線局のID(識別番号又は識別符号、以下同様である。)と、送信方位角、待機時間(duration;単位はミリ秒)が記されている。具体的には、待機時間は12方向のRQ信号の送信が完了するまでの時間である。
【0026】
次いで、RQ信号を受信した周囲の隣接無線局(以下、無線局Dという。)は受信時のSINRを測定する。無線局Dは待機時間の間、このSINRの値を一時的に一時保存テーブルに保存しておき、待機時間の終了後に、図9に示すように、パケット種別:RE、宛先無線局のID、送信元無線局のID、RQ信号に記載されていた方位角情報とともにこのSINRの値をユニキャストパケット信号でRQ信号の送信元である無線局Sに返信する。このパケットをRE信号と呼ぶ。RE信号を送信する際には通常のデータパケットを送信する場合と同じ手順を踏む(なお、データの送信手順については後述する。)。
【0027】
そして、RE信号を受信した無線局Sは、RE信号からRE信号の送信元無線局ID(ここでは、無線局DのID)、方位角情報、そしてSINR情報を取り出し、これらによりASテーブルを生成し又は更新する。無線局SのASテーブルの一例を図4に示す。ここで、無線局S以外、つまり該当RQ信号を送信した無線局と異なる無線局がRE信号を受信した場合には、これを無視するものとする。図4から明らかなように、ASテーブルにおいては、各方位角毎に、各隣接無線局から見たSINRのデータが格納されている。
【0028】
次いで、NLSテーブルの生成方法について説明する。各無線局は、ASテーブルに記載されている各隣接無線局についてSINR値が最大となる方位角を選び、このSINR値を隣接無線局との間の親和度とする。各無線局はこの方位角と親和度の値を各隣接無線局毎に取り出し、現在日時を更新日時として、NLSテーブルを生成して更新する。無線局SのNLSテーブルの一例を図5に示す。NLSテーブルには、図5から明らかなように、各隣接無線局毎に、最大のSINR値に対応する方位角、最大のSINR値である親和度、更新日時が格納されている。
【0029】
本実施形態においては、SINRを測定するためには、他の各無線局1と所定のトレーニングパターンのデータパケットを送受信することによりBERを測定し、無線通信の変復調方式で決定されるSINRに対するBER特性のグラフを用いて、SINRに換算する。例えば、CDMA方式を用いるときは、SINRに対するBER特性のグラフを用いて換算することができ、例えば、QPSK差動検波方式を用いるときは、所定のCNRに対するBER特性のグラフを用いて換算することができる。すなわち、搬送波電力対干渉雑音電力比(以下、CINRという。)を用いるか、もしくはSINRを用いるかは、無線システムで使用する変復調方式に依存する。本発明では、同一チャンネル干渉雑音に関する測定値であればよい。
【0030】
さらに、本実施形態において用いる、アダプティブMAC(Media Access Control)方式について説明する。本実施形態において、各無線局1は2次元の閉空間を動き回るものであり、無線通信をする場合は共通の無線チャネルを共有するものとする。各無線局1は360度のビーム/ヌル点形成可能なアダプティブアンテナである可変ビームアンテナ101を装備しているものとし、実効的な送信ビーム幅は30度とする。1つの無線局1は送信と受信を同時に行うことはできず、また、複数の異なる送信や複数の異なる受信を行うこともできないものとする。ただし、複数の方向に同じ信号を送信することは可能である。干渉波の方向を知っている場合、受信を行う各無線局は不要な信号による干渉を避けるためにヌル点の形成や調整が可能である。
【0031】
まず、当該アドホック無線ネットワークにおいて、通信が一つの場合について説明する。初期状態のアイドル状態では、各無線局1はアンテナ放射パターンを無指向性パターンであるオムニパターンにして送受信の待機を行う。
【0032】
現在多く用いられている無線LAN規格であるIEEE802.11のMACプロトコル標準では、信頼性のあるデータ通信を実現するためにRTS−CTS−DATA−ACK交換手順を用いる。一方、本方式においては無線局Sが無線局Dと無線通信をしたい場合には、無線局Sは最初に無線局Dを含む無線局Sの隣接無線局に“無線局Sから無線局Dへの通信を開始する”旨をRTS(Request-To-Send)信号によりオムニパターンで送信する。このRTS信号には、IEEE802.11に規定する信号や本方式のRE信号と同様に、図10に示すように、パケット種別:RTS、送信元無線局のID(ここでは、無線局SのID)、宛先無線局のID(ここでは、無線局DのID)、待機時間の値が含まれている。無線局Sのすべての隣接無線局(無線局Sへの方向は各自のASテーブル及びNLSテーブルから既知である。)はこの無線局SからのRTS信号を受信する。
【0033】
このRTS信号の宛先無線局である無線局DがRTS信号を受信した場合、無線局Dは無線局Sに対してDATA信号(データ信号)の送信を許可することを伝えるためにCTS(Clear-To-Send)信号をオムニパターンで返信する。このCTS信号には、図11に示すように、パケット種別:CTS、宛先無線局のID(ここでは、無線局SのID)と、待機時間の値が含まれている。
【0034】
次いで、RTS信号を送信した無線局である無線局Sがその宛先である無線局DからのCTS信号を受信したとき、DATA信号を送信する。宛先無線局である無線局DはDATA信号を受信し、その受信が正常に完了すると確認応答としてACK(Acknowledgement)信号(肯定応答信号)を無線局Sに返信する。無線局SはACK信号を受信することで一つのDATAに関する一連の処理を完了し、アイドル状態に戻る。ここで、DATA信号には、図12に示すように、パケット種別:DATA、送信元無線局のID(ここでは、無線局SのID)、宛先無線局のID(ここでは、無線局DのID)、待機時間の値、送信すべきデータが含まれている。また、ACK信号には、図13に示すように、パケット種別:ACK、宛先無線局のID(ここでは、無線局SのID)、待機時間の値が含まれている。
【0035】
一方、無線局D以外の無線局(以下、無線局Aとする。)がRTS信号を受信した場合には、無線局AはASテーブル及びNLSテーブルに基づいてRTS信号の送信元無線局である無線局Sの方位角情報を取得し、RTS信号に記載されている待機時間の間だけ無線局Sの方向にヌル点を形成する。このような任意の方向にヌル点を形成したようなアンテナ放射パターンを総称して排他的セクタパターンと呼ぶ。この際、無線局Aは自身のOCテーブルにヌル点を作る要因となった無線局(ここでは、無線局S)とその方向への方位角、そして待機時間が終了する待機時間期間終了日時(=現在日時+待機時間)を書き込む。OCテーブルの一例を図6に示す。
【0036】
また、無線局S以外がCTS信号を受信した場合はRTS信号の場合と同様にしてCTS信号の送信元無線局の方向に一定期間ヌル点を形成する。
【0037】
RTS信号やDATA信号を送信した無線局Sや、CTS信号を送信した無線局Dはその送信後に一定時間のタイマーを作動させる。無線局Sの場合、RTS信号を送信後一定時間内にCTS信号を受信しない場合、及びDATA信号を送信後一定時間内にACK信号を受信しない場合には、タイムアウトしたものとしてRTS信号の送信処理から一連の処理をやり直す。一方、無線局DではCTS信号を送信後一定時間内にDATA信号を受信しない場合には、無線局Sへのセクタビームパターンをオムニパターンに戻し、アイドル状態となる。待機時間の期間が終わると、対応するOCテーブルのエントリに基づき、他にその方向に待機時間の期間中の通信がなければ、可変ビームアンテナ101におけるその方向のヌル点を解除する。
【0038】
次いで、既に他に通信が行われていることを知っている場合について説明する。無線局Sと無線局Dが通信中にそれらの周辺にある無線局Xと無線局Yが無線局Xを送信元として通信を行おうとしている場合を図15に示す。無線局Sから無線局Dへのセクタビームパターンは図15のようになっている。ここで、無線局Xと無線局Yは無線局Sや無線局DからのRTS信号及びCTS信号を既に受信しており、OCテーブルにそれを登録している。ここで、γxyを無線局Xから見た無線局Yへの方位角の値とすると、無線局Xと無線局YはそれぞれのASテーブル及びNLSテーブルより、無線局Xは方位角γxsとγxdの値、無線局Yは方位角γysとγydの値を知ることができる。まず、無線局Xから無線局YへのRTS信号の送信が無線局Sや無線局Dに影響を与えてしまうような場合、つまり方位角γxyがγxsやγxdと重なってしまう場合には、無線局Xは送信をすることが出来ず、アイドル状態で無線局Sと無線局Dの通信が終了するのを待つ必要がある。そうでない場合、無線局XはRTS信号を送信することができる。この際の無線局Xのアンテナ放射パターンは前提条件から、方位角γxsとγxdの方向にヌル点を形成した排他的セクタパターンである。
【0039】
同様に、無線局Yから無線局Xへの排他的セクタパターンが無線局Sや無線局Dを捉えていない場合、すなわち、方位角γyxとγysやγydが重なっていない場合、無線局Yは無線局XへCTS信号を送信することができる。以降、無線局Xと無線局YはセクタビームパターンによりDATA信号及びACK信号の送受信を行う。
【0040】
さらに、本実施形態においては、指向性アンテナである可変ビームアンテナ101を活用し、トポロジ情報の更新度の低い周辺無線局へ優先的に通知することにより、トポロジ情報の最新性を維持するためのオーバーヘッドを削減しつつ、周辺無線局における更新度の均一性を確保するとともに、通信用ルートとしては、最も通信品質の安定したルートを選択し、高モビリティ及びトポロジ更新パケットの伝搬遅延に対しては、中継無線局でのルート変更により動的に対応するための方法について以下に詳述する。
【0041】
まず、GLSテーブルについて説明する。GLSテーブルは、当該アドホック無線ネットワーク内のすべての無線局1内のデータベースメモリ154に保存され、すべての無線局1のNLSテーブルの情報であるトポロジ情報を含む。これは、各無線局1内のGLSテーブル情報を周期的に他の無線局と交換することにより、各無線局1はネットワーク全体のトポロジ情報を把握することができる。GLSテーブルは、すべての無線局1間の接続性と最新性で構成される。ここで、接続性は、親和度と呼ばれる無線局間の接続強度を表す項目であり、各無線局1のNLSテーブルから得ることができる。また、最新性は、各無線局情報の更新回数を示す値であり、隣接無線局からトポロジ情報を受信した際に受信無線局内にあるトポロジ情報と比較しより最新の情報に無線局毎に更新する時や、更新されたトポロジ情報を隣接無線局に送出した後にその隣接無線局から再送信を防止するために使用するとともに、更新されたトポロジ情報の隣接無線局への送信先を決定する際にも用いる。
【0042】
このGLSテーブルの一例を図7に示す。GLSテーブルは、当該アドホック無線ネットワーク内の各無線局1のNLSテーブルを収集したものであり、ある無線局からある無線局までの親和度値の集合になっている。すなわち、GLSテーブルにおいては、図7から明らかなように、横軸には送信側の無線局が並置される一方、縦軸には受信側の無線局が並置され、当該無線ネットワークにN個の無線局1がある場合、GLSテーブルは、個々の交差点における値が送信側の無線局から受信側の無線局への親和度(最大のSINR値)を示すN×N個の表となる。さらに、各送信側の無線局に対応して、最新性を示す更新回数を有する。ここで、GLSテーブルは、トポロジ情報を含むREN(Renewal)信号を周期的に他の無線局に対して送信して情報交換されることにより生成され、無線局にトポロジ情報(ある無線局のGLSテーブル)が到着した時、GLSテーブルの更新が行われ、そのとき、トポロジ情報内のGLSテーブルとトポロジ情報を受信した無線局のGLSテーブルを比較する必要があり、比較には更新回数の値を使用し、更新回数の値の大きい情報を新しいGLSテーブルとして使用する。なお、REN信号は、図14に示すように、パケット種別:REN、宛先無線局のID、送信元無線局のID(ここでは、無線局SのID)、トポロジ情報を含む。
【0043】
次いで、GLSテーブルを更新するためのREN信号の送信方法について説明する。トポロジ情報を各無線局に通知させるため、フラッディングを用いるとオーバーヘッドが大きくなり、通常のデータ送信に影響を与える可能性がある。そこで、本実施形態においては、トポロジ情報を含むREN信号によるオーバーヘッドを減らすため公知のleast-visited-neighbor-first方式(例えば、先行技術文献5「Somprakash Bandyopadhyay et al., "Topology Discovery in Ad Hoc Wireless Networks Using Mobile Agents", Proceedings of MATA 2000, Paris」)参照。)における最新性(recency)を、トポロジ情報の隣接無線局への送信先決定にも使用する。具体的には、無線局がトポロジ更新パケット信号であるREN信号を受け取り、GLSテーブルの更新を行い、新たにREN信号を送信するとき、直接に無線通信可能な隣接無線局の最新性を示す更新回数を比較し、最も更新回数の低い値を持つ無線局に対してのみ、REN信号を送出する。そして、REN信号は、送出先無線局の更新回数を増やした上で送出する。
【0044】
本実施形態においては、NLSテーブルを用いて、1つの隣接無線局のみに対して指向性アンテナでトポロジ情報を配布するため、従来の無指向性ビームを使用する場合(先行技術文献5)に比べ遥かにオーバーヘッドを抑えることができる。また、更新回数の活用により、周辺無線局の最新性を平均化することができる。
【0045】
さらに、GLSテーブルを用いた具体的なルーティング方法について説明する。図17に示すような、送信元無線局Sから目的地無線局Dまでのルートを考えるとする。本実施形態においては、GLSテーブルより送信元無線局Sから目的地無線局Dまでのルートをすべて検索し、各ルートを形成するリンクの中で最も低い親和度を持つリンクを検索する。各ルートが持つ最も低い親和度のリンク同士を全ルートで比較し、その中で最も高い親和度である(ルート内で)最低の親和度を持つリンクを有するルートを選択ルートと決定する。ルートの最小親和度が最も高いルートを選択したことによって、ルートのボトルネックを回避し、すなわち、より小さい親和度を有するリンクを通過するルートを回避し、最も安定したルートを選択することになる。
【0046】
また、ルート決定処理において、送信元無線局SがS−X−Y−Z−Dのルートを選択したと仮定する。送信元無線局Sから送出されたパケット信号を無線局Yが受け取った時点で、Y−P−Q−Dのルートを通ったほうが安定している場合、安定している方にルートを変更することによって、無線局移動やGLSテーブルの伝搬遅延に対してより柔軟な対応をすることができる。
【0047】
このルーティング方法は、公知のリンク-状態テーブルを用いる方式をベースとするルーティング方法であり、ルート情報を作成するためのトポロジ情報として、GLSテーブルを生成してルーティングに用いる。より具体的には、以下の手順を用いる。
(1)GLSテーブルより宛先に対するルートをすべて作成する。ここで、ルートを作成する際、GLSテーブルより隣接無線局を抽出する。なお、隣接無線局は、GLSテーブルで自無線局に親和度値がある無線局が対象となる。
(2)次いで、隣接無線局に着目し、親和度値がある無線局を次々無線局として抽出する。ここで、宛先無線局がある場合、その情報をルート情報とする。一方、宛先無線局がない場合、次の次の無線局に着目し、親和度値がある無線局を抽出する。
(3)さらに、宛先無線局があるかどうか調べる。あればルート情報とし、なければ上記と同様に次のルート検索を行う。このようにしてGLSテーブルよりルートをすべて作成する。
(4)作成されたルートから最低の親和度値のリンクを抽出する。
(5)抽出された最低の親和度値のリンクの中で最大の値の(リンク内で)最低親和度値を持つルートを選択する。ここで、最大の値の(リンク内で)最低親和度値を持つルートが複数ある場合、ホップ数の少ない経路を選択する。このようにしてルート選択を行う。
【0048】
図18は、最適ルートの選択処理の一例を示す無線局接続図であり、例えば、無線局A−B−DのルートR1と、無線局A−C−DのルートR2があった場合、ルートR1における最小の親和度はリンクB−Dの親和度Aff=9であり、ルートR2における最小の親和度はリンクA−Cの親和度Aff=8である。これら抽出された親和度の中で最大の親和度のリンクB−Dを有するルートR1を選択してルーティングを行う。
【0049】
図19乃至図28は、図2のトラヒックモニタ部105内の管理制御部151によって実行されるパケット送受信制御処理を示すフローチャートである。
【0050】
まず、図19及び図20はメインフローであり、図19のステップS1において、OCテーブルに基づいて、他の無線局が通信中でないとき又はそれを知らないとき、アンテナ放射パターンをオムニパターンに設定し、他の無線局が通信中であるときアンテナ放射パターンを排他的セクタパターンに設定した後、ステップS1Aでアイドリング状態となり、ステップS2においてパケットの送信又は受信のイベントが発生したか否かが判断され、YESのときはステップS3に進む一方、NOのときはステップS1に戻る。次いで、ステップS3においてパケットの送信又は受信か否かが判断され、送信であるときはステップS6に進む一方、受信であるときはステップS5に進む。ステップS5においては、図29のREN信号受信処理を実行した後、ステップS1に戻る。一方、ステップS6においては、トポロジ情報の送信か否かが判断され、YESのときはステップS7に進む一方、NOのときは直接に図20のステップS101に進む。
【0051】
図20のステップS101においては、RQ信号の送信、もしくはDATA信号、REN信号又はRE信号の送信か否かが判断され、RQ信号の送信であるときはステップS102に進む一方、DATA信号、REN信号又はRE信号の送信のときは図21のステップS11に進む。さらに、ステップS102において可変ビームアンテナ101の方位角ANGを0度に初期化し、ステップS103において、上記指定された方位角ANG(度)に対してセクタビームパターンでRQ信号を送信し、ステップS103においてすべての方位角へのRQ信号の送信が終了したか否かが判断され、NOのときはステップS105に進む一方、YESのときは図19のステップS1に戻る。ステップS105においては、方位角ANG(度)を30度だけインクリメントした後、ステップS103に戻る。従って、ステップS101乃至S105の処理では、可変ビームアンテナ101の方位角ANGを30度ずつインクリメントしながら、セクタビームパターンでRQ信号をすべての方位角にわたって送信することになる。本実施形態においては、可変ビームアンテナ101の方位角ANGを30度ずつインクリメントしながら、セクタビームパターンでRQ信号をすべての方位角にわたって送信しているが、これは一例であって、本発明はこれに限らず、可変ビームアンテナ101の方位角ANGを所定の角度ずつインクリメントしてもよい。
【0052】
図21は、RTS信号とCTS信号の送受信処理であり、まず、ステップS11においては、図31のルーティング決定処理を実行した後、ステップS12において、NLSテーブルに記載の隣接無線局への方位角がOCテーブルにあるエントリの方位角と重なっていないかOCテーブルをチェックし、ステップS13において隣接無線局への方位角がOCテーブルにあるエントリへの方位角と重なっていないか否かが判断され、YESのときはステップS14に進む一方、NOのときはステップS18に進む。ステップS14において隣接無線局に対してRTS信号をOCテーブルに基づいてオムニパターン又は排他的セクタパターンパターンで送信し、ステップS15においてCTSタイムアウトせずに自局宛のCTS信号を受信したか否かが判断され、YESのときはステップS16に進む一方、NOのときはステップS18に進む。ステップS16において隣接無線局に対して送信すべきDATA信号、REN信号又はRE信号をNLSテーブルに記載の方位角のセクタビームパターンで送信し、ステップS17においてACKタイムアウトせずに自局宛のACK信号を受信したか否かが判断され、YESのときは図19のステップS1に戻る一方、NOのときはステップS18に進む。ステップS18では、ランダム時間だけ待機した後、図19のステップS1に戻る。
【0053】
図22は、受信したパケット信号のパケット種別に基づく分岐処理であり、まず、ステップS21において受信したパケット信号のパケット種別はRQであるか否かが判断され、YESのときは図23のステップS31に進む一方、NOのときはステップS22に進む。ステップS22において受信したパケット信号のパケット種別はREであるか否かが判断され、YESのときは図24のステップS41に進む一方、NOのときはステップS23に進む。ステップS23において受信したパケット信号のパケット種別はRTSであるか否かが判断され、YESのときは図25のステップS51に進む一方、NOのときはステップS24に進む。ステップS24において受信したパケット信号のパケット種別はCTSであるか否かが判断され、YESのときは図26のステップS61に進む一方、NOのときはステップS25に進む。ステップS25において受信したパケット信号のパケット種別はDATAであるか否かが判断され、YESのときは図27のステップS71に進む一方、NOのときはステップS26に進む。ステップS26において受信したパケット信号のパケット種別はACKであるか否かが判断され、YESのときは図28のステップS81に進む一方、NOのときは図19のステップS1に戻る。
【0054】
図23は受信したRQ信号についての処理であり、まず、ステップS31において受信したRQ信号から送信元無線局のID、送信方位角、及び待機時間を取得し受信時に検出したSINR値とともに送信元無線局毎に一時的に一時保存テーブルに保存し、上記取得した待機時間がセットされた待機時間タイマーをスタートさせた後、ステップS32において待機時間タイマーがタイムアップしたか否かが判断され、YESのときはステップS33に進む一方、NOのときはステップS34に進む。ステップS33においてRQ信号の送信元無線局毎に一時保存テーブルに保存しておいた送信方位角情報とSINR値のセット(1つ又は複数)によりRE信号を作成して送信処理に移り、次いで、図19のステップS1に戻る。一方、ステップS34において同じ送信元無線局からのRQ信号を受信したか否かが判断され、YESのときはステップS35に進む一方、NOのときはステップS32に戻る。これは、同一の無線局からのRQ信号の受信が完了するまでは、他の無線局からのRQ信号を受信することができないようにするためである。次いで、ステップS35において受信したRQ信号から送信方位角及び待機時間を取得し、受信時のSINR値とともに送信元無線局毎に一時的に一時保存テーブルに保存した後、ステップS36において上記取得した待機時間がセットされた待機時間タイマーを再スタートさせ、ステップS32に戻る。
【0055】
図24は受信したRE信号の処理であり、ステップS41において受信したRE信号からRE信号の送信元無線局、方位角情報とSINR値のセットを取得し、ASテーブルを更新した後、NLSテーブルを更新する。なお、新規のときは各テーブルを新規に作成する。次いで、図19のステップS1に戻る。
【0056】
図25は受信したRTS信号の処理であり、まず、ステップS51において受信したRTS信号は自分宛のRTS信号か否かが判断され、YESのときはステップS52に進む一方、NOのときはステップS56に進む。次いで、ステップS52においてRTS信号の送信元の隣接無線局に対してCTS信号をOCテーブルに基づいてオムニパターン又は排他的セクタパターンパターンで送信した後、ステップS53においてDATAタイムアウトせずに自局宛のDATA信号を受信したか否かが判断され、YESのときはステップS54に進む一方、NOのときはステップS55に進む。ステップS54において隣接無線局に対してACK信号をNLSテーブルに記載の方位角のセクタビームパターンで送信した後、図19のステップS1に戻る。一方、S55においてランダム時間だけ待機した後、図19のステップS3に戻る。
【0057】
ステップS56においては、NLSテーブルにおいて、受信したRTS信号の送信元無線局があるか否かが判断され、YESのときは受信したRTS信号の送信元無線局が隣接無線局であるときであり、ステップS57に進む一方、NOのときは受信したRTS信号の送信元無線局が隣接無線局ではなく、又はそれを知らないときであり、ステップS59に進む。ステップS57においては、OCテーブルにおいて、受信したRTS信号の送信元無線局と、NLSテーブルに記載の当該送信元無線局への方位角情報及び待機期間終了日時(=現在日時+RTS信号に記載の待機時間)を格納し、ステップS58において可変ビームアンテナ101のアンテナパターンを、RTS信号の送信元無線局への方位角方向にヌル点を形成した排他的セクタパターンパターンに設定した後、図19のステップS1に戻る。一方、ステップS59においては、無条件でRTS信号に記載の待機時間の間待機した後、図19のステップS3に戻る。
【0058】
図26は受信したCTS信号の処理であり、まず、ステップS61においてNLSテーブルにおいて、受信したCTS信号の送信元無線局があるか否かが判断され、YESのときは受信したCTS信号の送信元無線局が隣接無線局であるときであり、ステップS62に進む一方、NOのときは受信したCTS信号の送信元無線局が隣接無線局ではなく、又はそれを知らないときであり、ステップS64に進む。ステップS62においては、OCテーブルにおいて、CTS信号の送信元無線局と、NLSテーブルに記載の当該送信元無線局への方位角情報、及び待機期間終了日時(=現在日時+CTS信号に記載の待機時間)を格納し、ステップS63において可変ビームアンテナ101のアンテナパターンを、CTS信号の送信元無線局への方位角方向にヌル点を形成した排他的セクタパターンパターンに設定した後、図19のステップS1に戻る。一方、ステップS64においては、無条件でCTS信号に記載の待機時間の間待機した後、図19のステップS3に戻る。
【0059】
図27は受信したDATA信号の処理であり、まず、ステップS71においてNLSテーブルにおいて、受信したDATA信号の送信元無線局があるか否かが判断され、YESのときは受信したDATA信号の送信元無線局が隣接無線局であるときであり、ステップS72に進む一方、NOのときは受信したDATA信号の送信元無線局が隣接無線局ではなく、又はこれを知らないときであり、ステップS74に進む。ステップS72においては、OCテーブルにおいて、DATA信号の送信元無線局と、NLSテーブルに記載の当該送信元無線局への方位角情報、及び待機期間終了日時(=現在日時+DATA信号に記載の待機時間)を格納し、ステップS73において可変ビームアンテナ101のアンテナパターンを、DATA信号の送信元無線局への方位角方向にヌル点を形成した排他的セクタパターンパターンに設定した後、図19のステップS1に戻る。一方、ステップS74においては、無条件でDATA信号に記載の待機期間の間待機した後、図19のステップS3に戻る。
【0060】
図28は受信したACK信号の処理であり、まず、ステップS81においてNLSテーブルにおいて、受信したACK信号の送信元無線局があるか否かが判断され、YESのときは受信したACK信号の送信元無線局が隣接無線局であるときであり、ステップS82に進む一方、NOのときは受信したACK信号の送信元無線局が隣接無線局でないとき、又はこれを知れないときであり、ステップS84に進む。ステップS82においては、OCテーブルにおいて、ACK信号の送信元無線局と、NLSテーブルに記載の当該送信元無線局への方位角情報、及び待機期間終了日時(=現在日時+ACK信号に記載の待機時間)を格納し、ステップS83において可変ビームアンテナ101のアンテナパターンを、ACK信号の送信元無線局への方位角方向にヌル点を形成した排他的セクタパターンパターンに設定した後、図19のステップS1に戻る。一方、ステップS84において無条件でACK信号に記載の待機期間の間待機した後、図19のステップS3に戻る。
【0061】
図29は、図19のサブルーチンであるREN信号受信処理(ステップS5)を示すフローチャートである。
【0062】
図29において、まず、ステップS111で自局のNLSテーブルに基づいてGLSテーブルの自局送信のデータ(縦の列)を更新し、ステップS112において当該自局送信のデータの最下欄にある更新回数を1だけインクリメントする。次いで、ステップS113において比較回数iを0に初期化し、ステップS114において受信したREN信号に含まれるトポロジ情報から1つの無線局のデータを選択する。そして、ステップS115において選択された無線局がGLSテーブルにあるか否かが判断され、YESのときはステップS116に進む一方、NOのときはステップS151に進む。ステップS116において選択された無線局についてのトポロジー情報の更新回数は自局のGLSテーブル内の当該無線局の更新回数よりも多いか否かが判断され、YESのときはステップS117に進む一方、NOのときはステップS118に進む。ステップS117において受信したREN信号に含まれる当該選択された無線局のトポロジ情報に基づいて自局のGLSテーブル内の当該無線局のデータを更新してステップS118に進む。一方、ステップS151においては、自局のGLSテーブルにおいて、上記選択された無線局についての縦の列と横の行とを追加し、ステップS152において、受信したREN信号に含まれる当該選択された無線局のトポロジ情報に基づいて自局のGLSテーブル内の当該無線局のデータを新規に挿入してステップS118に進む。さらに、ステップS118において比較回数iを1だけインクリメントした後、ステップS119において比較回数iはトポロジ情報の全無線局数に等しくなったか否かが判断され、NOのときはステップS120に進む一方、YESのときは元のルーチンに戻る。ステップS120においては、受信したREN信号に含まれるトポロジ情報から別の1つの無線局のデータを選択し、ステップS115に戻る。
【0063】
図30は、図19のサブルーチンであるREN信号送信準備処理(ステップS7)を示すフローチャートである。
【0064】
図30において、まず、ステップS121においては、GLSテーブルテーブルに基づいて最小の更新回数を有する送信無線局を選択し、ステップS122において最小の更新回数を有する送信無線局は複数あるか否かが判断され、YESのときはステップS123に進む一方、NOのときはステップS124に進む。ステップS123において当該複数の送信無線局からランダムに1つを選択して送信先無線局とし、ステップS125に進む。一方、ステップS124において当該送信無線局を送信先無線局とし、ステップS125に進む。ステップS125において決定された送信先無線局に対応するGLSテーブルの送信無線局における更新回数を1だけインクリメントし、ステップS126において現在のGLSテーブルであるトポロジ情報を含むREN信号を生成して、送信イベントを発生した後、元のルーチンに戻る。
【0065】
図31は、図21のサブルーチンであるルーティング決定処理(ステップS11)を示すフローチャートである。
【0066】
図31において、まず、ステップS131においては、GLSテーブルに基づいて宛先は隣接無線局であるか否かが判断され、YESのときは元のルーチンに戻る一方、NOのときはステップS132に進む。ステップS132において自局のGLSテーブルから宛先無線局への全ルートを検索し、ステップS133において検索された各ルートにおける最小の親和度を検索し、ステップS134において検索された各ルートにおける最小の親和度を互いに比較しその最大値を持つルートを選択する。そして、ステップS135において選択されたルートは複数あるか否かが判断され、YESのときはステップS136に進む一方、NOのときはステップS139に進む。ステップS136において選択された複数のルートのうち最小のホップ数を有するルートを選択し、ステップS137において選択されたルートは複数あるか否かが判断され、YESのときはステップS138に進む一方、NOのときはステップS139に進む。ステップS138において選択された複数のルートのうちランダムに1つのルートを選択し、ステップS139に進む。さらに、ステップS139において選択されたルートにおける次の無線局を隣接無線局としてルートを決定して元のルーチンに戻る。
【0067】
図32は、図2のトラヒックモニタ部105内の管理制御部151によって割り込み処理で実行される排他的セクタパターン解除処理を示すフローチャートである。
【0068】
図32において、まず、ステップS91においてOCテーブルにおいて、待機期間が終了した無線局はあるか否かが判断され、YESのときはステップS92に進む一方、NOのときはステップS91に戻る。次いで、ステップS92において該当する無線局に対するヌル点を解除することによりそれに対する排他的セクタパターンパターンを解除し、ステップS93において該当する無線局についてのOCテーブルのデータを削除した後、ステップS91に戻る。
【0069】
図16は、図1のアドホック無線ネットワークにおいて用いる各信号に対する各状態におけるアンテナ放射パターンを示す図である。
【0070】
図16から明らかなように、既存の通信がない場合、もしくは無線局が既存の通信を認識していない場合においては、RTS信号及びCTS信号の送受信時においては、すべてオムニパターンを用いて行う。また、DATA信号及びACK信号の送受信時においては、送信無線局又は受信無線局はセクタビームパターンを用いるが、アイドル状態にある無線局においては排他的セクタパターンとなっている。一方、既に他に通信が行われていることを知っている場合においては、RTS信号及びCTS信号の送受信時においては、すべて排他的セクタパターンを用いて行う。また、DATA信号及びACK信号の送受信時においては、送信無線局又は受信無線局はセクタビームパターンを用いるが、アイドル状態にある無線局においては排他的セクタパターンとなっている。
【0071】
本実施形態の制御動作を要約すると、無線局Xが無線局Yと通信したいものとし、N個の無線局{n1,n2,…,nN}は既に通信プロセスが進行中であるような、Xの隣接無線局の集合であるとする。同様に、M個の無線局{m1,m2,…,mM}は既に通信プロセスが進行中であるような、Yの隣接無線局の集合であるとする。この場合、無線局XとYが通信を開始できる条件は、以下の通りである。
(1)XからYへの指向性ビームがN個の無線局{n1,n2,…,nN}を捉えない場合。すなわち、XからY方向へのビーム方位角γxyでカバーされるエリアが方位角γxn1,γxn2,…,γxnNがカバーするエリアと重ならない場合。
(2)YからXへの指向性ビームがM個の無線局{m1,m2,…,mM}を捉えない場合。すなわち、XからY方向へのビーム方位角γyxでカバーされるエリアが方位角γym1,γym2,…,γymMがカバーするエリアと重ならない場合。
【0072】
従って、XとYはそれぞれ選択した方向へRTS信号/CTS信号を送信し、現在通信中のプロセスのある無線局の方向へヌル点を形成する。また、X−Yのセクタビームパターンがカバーする範囲にあるその他のアイドル状態にある無線局は、OCテーブルに基づいて、Xの方向とYの方向にヌル点を向けた排他的セクタパターンで待機することになる。
【0073】
以上の実施形態においては、可変ビームアンテナ101は、自局を中心とした水平面内の所定の方位角毎にセクタ形状のメインビームを選択的に変更可能なセクタビームパターンと、上記方位角毎にヌル点を形成可能な排他的セクタパターンとを選択的に切り換え可能に装備しているが、本発明はこれに限らず、セクタビームパターンは、自局を中心とした水平面内においてセクタ形状のメインビームの方位角を任意の方位角でディジタル的又はアナログ的に設定可能であってもよく、排他的セクタパターンは、ヌル点を形成する方位角を任意の方位角でデジタル的又はアナログ的に設定可能であってもよい。
【0074】
以上の実施形態においては、NLSテーブルは、ASテーブルに基づいて作成されているので、ASテーブルは常時保存する必要はなく、一時的な保存テーブルであってもよい。
【0075】
以上の実施形態においては、所定の方位角幅を有するセクタパターンを用いているが、セクタ形状でない所定の放射形状を有する放射パターンであってもよい。
【0076】
以上の実施形態においては、ルーティングを行うときの基準となる評価値として、信号対干渉雑音比(電力比又は信号比)を用いているが、本発明はこれに限らず、信号対雑音比(電力比又は信号比)(ここで、雑音はすべての雑音を含む。)、信号電力、信号強度などの信号強度を含む評価値を用いてもよい。
【0077】
以上の実施形態においては、各無線局間でパケット通信により無線通信を行っているが、本発明はこれに限らず、回線交換など他の交換方式により無線通信を行ってもよい。
【0078】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明に係る無線ネットワークのためのルーティング方法又はルータ装置によれば、複数の無線局を備え、各無線局間で無線通信を行う無線ネットワークのためのルーティング方法において、自局からの信号を各隣接無線局が受信したときの信号強度を含む評価値の測定値を含む、隣接無線局からの信号に基づいて、自局を中心とした方位角毎の各隣接無線局から見た、信号強度を含む評価値を求めた後、各隣接無線局毎に最大の評価値を選択して各隣接無線局との親和度とし、当該親和度を含む隣接リンク状態テーブルを生成して第1の記憶手段に保存し、上記生成された隣接リンク状態テーブルを含む更新信号を送信して他の各無線局と交換することにより、各無線局毎の隣接リンク状態テーブルの情報を受信して、当該各無線局毎の隣接リンク状態テーブルの情報を含むグローバルリンク状態テーブルを生成して第2の記憶手段に保存し、上記グローバルリンク状態テーブルに基づいて、送信元無線局から目的無線局までのルートを選択して、パケット信号をルーティングする。ここで、好ましくは、上記グローバルリンク状態テーブルに基づいて、送信元無線局から目的地無線局までのルートをすべて検索し、検索された各ルートを形成するリンクの中で最小の親和度を持つリンクを検索し、検索された各ルートが持つ最小の親和度を比較し、その中で最も高い親和度であるリンクを持つルートを選択する。
【0079】
従って、アドホック無線ネットワークなどの無線ネットワークにおいて、無線局が頻繁に移動しても、ルーティングテーブルを効率的に更新することができ、安定なルートを確保して安定な無線通信を行うことができる。
【0080】
また、上記無線ネットワークのためのルーティング方法又はルータ装置において、上記グローバルリンク状態テーブルは、好ましくは、各無線局毎に当該隣接リンク状態テーブルの情報の更新回数をさらに含み、更新信号を受信し、グローバルリンク状態テーブルの更新を行い、新たに更新信号を送信するとき、直接に無線通信可能な隣接無線局の更新回数を比較し、最も更新回数の低い値を持つ無線局に対してのみ更新信号を送信する。従って、従来例に比較してはるかに更新信号の送信回数を減少させ、オーバーヘッドを抑えることができ、しかも周辺の隣接無線局の最新性(更新回数)を平均化することができる。それ故、更新信号の送出を低減でき、かつ通信品質が最も安定したルートでの無線通信が可能であり、モビリティへの適応性が高いという特有の効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る一実施形態であるアドホック無線ネットワークを構成する複数の無線局1−1乃至1−9の平面配置図である。
【図2】 図1の各無線局1の内部構成を示すブロック図である。
【図3】 図1の可変ビームアンテナ101のセクタビームパターンの一例を示す図である。
【図4】 図2のデータベースメモリ154に格納される方位角対SINRテーブル(ASテーブル)の一例を示す図である。
【図5】 図2のデータベースメモリ154に格納される隣接リンク状態テーブル(NLSテーブル)の一例を示す図である。
【図6】 図2のデータベースメモリ154に格納される通信中テーブル(OCテーブル)の一例を示す図である。
【図7】 図2のデータベースメモリ154に格納されるグローバルリンク状態テーブル(GLSテーブル)の一例を示す図である。
【図8】 図1のアドホック無線ネットワークで用いるRQ(Request)信号のフレームフォーマットを示す図である。
【図9】 図1のアドホック無線ネットワークで用いるRE(Reply)信号のフレームフォーマットを示す図である。
【図10】 図1のアドホック無線ネットワークで用いるRTS(Request-to-Send)信号のフレームフォーマットを示す図である。
【図11】 図1のアドホック無線ネットワークで用いるCTS(Clear-to-Send)信号のフレームフォーマットを示す図である。
【図12】 図1のアドホック無線ネットワークで用いるDATA信号のフレームフォーマットを示す図である。
【図13】 図1のアドホック無線ネットワークで用いるACK(Acknowledge)信号のフレームフォーマットを示す図である。
【図14】 図1のアドホック無線ネットワークで用いる、トポロジ情報を含むREN(Renewal)信号のフレームフォーマットを示す図である。
【図15】 図1のアドホック無線ネットワークにおいて既に他に通信が行われていることを知っている場合の各無線局の配置及びアンテナ放射パターンを示す平面図である。
【図16】 図1のアドホック無線ネットワークにおいて用いる各信号に対する各状態におけるアンテナ放射パターンを示す図である。
【図17】 図1のアドホック無線ネットワークにおいて、中継無線局による最適ルートの選択を示す無線局接続図である。
【図18】 図1のアドホック無線ネットワークにおける、最適ルートの選択処理の一例を示す無線局接続図である。
【図19】 図2のトラヒックモニタ部105内の管理制御部151によって実行されるパケット送受信制御処理の第1の部分を示すフローチャートである。
【図20】 上記パケット送受信制御処理の第2の部分を示すフローチャートである。
【図21】 上記パケット送受信制御処理の第3の部分を示すフローチャートである。
【図22】 上記パケット送受信制御処理の第4の部分を示すフローチャートである。
【図23】 上記パケット送受信制御処理の第5の部分を示すフローチャートである。
【図24】 上記パケット送受信制御処理の第6の部分を示すフローチャートである。
【図25】 上記パケット送受信制御処理の第7の部分を示すフローチャートである。
【図26】 上記パケット送受信制御処理の第8の部分を示すフローチャートである。
【図27】 上記パケット送受信制御処理の第9の部分を示すフローチャートである。
【図28】 上記パケット送受信制御処理の第10の部分を示すフローチャートである。
【図29】 図19のサブルーチンであるREN信号受信処理(ステップS5)を示すフローチャートである。
【図30】 図19のサブルーチンであるREN信号送信準備処理(ステップS7)を示すフローチャートである。
【図31】 図21のサブルーチンであるルーティング決定処理(ステップS11)を示すフローチャートである。
【図32】 図2のトラヒックモニタ部105内の管理制御部151によって割り込み処理で実行される排他的セクタパターン解除処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1,1−1乃至1−9…無線局、
101…可変ビームアンテナ、
102…サーキュレータ、
103…指向制御部、
104…パケット送受信部、
105…トラヒックモニタ部、
106…回線制御部、
107…上位レイヤー処理装置、
130…パケット受信部、
131…高周波受信機、
132…復調器、
133…受信バッファメモリ、
140…パケット送信部、
141…送信タイミング制御部、
142…送信バッファメモリ、
143…変調器、
144…高周波送信機、
151…管理制御部、
152…検索エンジン、
153…更新エンジン、
154…データベースメモリ、
155…クロック回路、
160…拡散符号発生器。
Claims (10)
- 複数の無線局を備え、各無線局間で無線通信を行う無線ネットワークのためのルーティング方法において、
自局からの信号を各隣接無線局が受信したときの信号強度を含む評価値の測定値を含む、隣接無線局からの信号に基づいて、自局を中心とした方位角毎の各隣接無線局から見た、信号強度を含む評価値を求めた後、各隣接無線局毎に最大の評価値を選択して各隣接無線局との親和度とし、当該親和度を含む隣接リンク状態テーブルを生成して第1の記憶手段に保存するステップと、
上記生成された隣接リンク状態テーブルを含む更新信号を送信して他の各無線局と交換することにより、各無線局毎の隣接リンク状態テーブルの情報を受信して、当該各無線局毎の隣接リンク状態テーブルの情報及び上記隣接リンク状態テーブルの情報の更新回数を含むグローバルリンク状態テーブルを生成して第2の記憶手段に保存するステップと、
上記グローバルリンク状態テーブルに基づいて、送信元無線局から目的無線局までのルートを選択して、パケット信号をルーティングするステップとを含み、
上記グローバルリンク状態テーブルを生成して第2の記憶手段に保存するステップは、更新信号を受信し、グローバルリンク状態テーブルの更新を行い、新たに更新信号を送信するとき、直接に無線通信可能な隣接無線局の更新回数を比較し、最も更新回数の低い値を持つ無線局に対してのみ更新信号を送信することを特徴とする無線ネットワークのためのルーティング方法。 - 上記ルーティングするステップは、上記グローバルリンク状態テーブルに基づいて、送信元無線局から目的地無線局までのルートをすべて検索し、検索された各ルートを形成するリンクの中で最小の親和度を持つリンクを検索し、検索された各ルートが持つ最小の親和度を比較し、その中で最も高い親和度であるリンクを持つルートを選択することを特徴とする請求項1記載の無線ネットワークのためのルーティング方法。
- 上記信号強度を含む評価値は、信号電力であることを特徴とする請求項1又は2記載の無線ネットワークのための制御方法。
- 上記信号強度を含む評価値は、信号対雑音比であることを特徴とする請求項1又は2記載の無線ネットワークのための制御方法。
- 上記信号強度を含む評価値は、信号対干渉雑音比であることを特徴とする請求項1又は2記載の無線ネットワークのための制御方法。
- 複数の無線局を備え、各無線局間で無線通信を行う無線ネットワークのためのルータ装置において、
自局からの信号を各隣接無線局が受信したときの信号強度を含む評価値の測定値を含む、隣接無線局からの信号に基づいて、自局を中心とした方位角毎の各隣接無線局から見た、信号強度を含む評価値を求めた後、各隣接無線局毎に最大の評価値を選択して各隣接無線局との親和度とし、当該親和度を含む隣接リンク状態テーブルを記憶する第1の記憶手段と、
上記生成された隣接リンク状態テーブルを含む更新信号を送信して他の各無線局と交換することにより、各無線局毎の隣接リンク状態テーブルの情報を受信して、当該各無線局毎の隣接リンク状態テーブルの情報及び上記隣接リンク状態テーブルの情報の更新回数を含むグローバルリンク状態テーブルを記憶する第2の記憶手段と、
上記グローバルリンク状態テーブルに基づいて、送信元無線局から目的無線局までのルートを選択して、パケット信号をルーティングするルーティング手段と、
更新信号を受信し、グローバルリンク状態テーブルの更新を行い、新たに更新信号を送信するとき、直接に無線通信可能な隣接無線局の更新回数を比較し、最も更新回数の低い値を持つ無線局に対してのみ更新信号を送信する手段とを備えたことを特徴とする無線ネットワークのためのルータ装置。 - 上記ルーティング手段は、上記グローバルリンク状態テーブルに基づいて、送信元無線局から目的地無線局までのルートをすべて検索し、検索された各ルートを形成するリンクの中で最小の親和度を持つリンクを検索し、検索された各ルートが持つ最小の親和度を比較し、その中で最も高い親和度であるリンクを持つルートを選択することを特徴とする請求項6記載の無線ネットワークのためのルータ装置。
- 上記信号強度を含む評価値は、信号電力であることを特徴とする請求項6又は7記載の無線ネットワークのためのルータ装置。
- 上記信号強度を含む評価値は、信号対雑音比であることを特徴とする請求項6又は7記載の無線ネットワークのためのルータ装置。
- 上記信号強度を含む評価値は、信号対干渉雑音比であることを特徴とする請求項6又は7記載の無線ネットワークのためのルータ装置。
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