JP2007074561A - 無線ネットワークのルーティング方法及び無線通信システム - Google Patents

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Abstract

【課題】 各ノード無線局のバッテリの残留電力値を考慮してパケット信号を最適にルーティングし、無線通信システム全体のバッテリエネルギーを有効的にかつ効率的に使用することができる。
【解決手段】 データベースメモリ154は、各無線局から無線通信可能な隣接無線局と、各無線局から隣接無線局への方位角のデータと、隣接無線局が所有する電池の残留電力とを各無線局毎に格納するリンク状態テーブルを保存する。各ノード無線局は、リンク状態テーブルを含む無線信号を周期的に送信し、無線信号を受信したときリンク状態テーブルのデータを更新する。発信無線局から宛先無線局までのパスの各リンクにおいて、リンク状態テーブルを参照して、電池の全容量電力から残留電力を減算した使用済み電力を含むように表されたリンクウェイトを計算しその線形和の合計である全リンクウェイトを計算しそれが最小であるパスを選択して無線信号をルーティングする。
【選択図】 図11

Description

本発明は、複数の無線局を備えた、例えば無線LANなどの無線ネットワークにおいてパケット通信を行う、例えばアドホック無線ネットワークなどの無線ネットワークのルーティング方法及び無線通信システムに関する。
一時的に特定の地域内に集まった不特定多数の人々の間の通信を無線回線を用いてサポートするアドホック無線ネットワークでは、例えばインターネットのルータ装置のようなインフラストラクチャが存在しないために、ネットワーク中のユーザが協調してパケットを中継し、ルーティングを行う必要がある。
既存のインフラなしに、又は核となるバックボーンによる援助なしに一時的ネットワークを形成する無線ホスト端末装置は、アドホック無線ネットワークとして周知である。こうした環境においては、宛先ノード無線局が発信元無線局から複数のホップで隔たっている場合、移動ホスト端末装置は無線ネットワーク内の他のノード無線局の支援に依存してパケットを宛先へ転送する。従って、この場合の各ノード無線局は、状況次第でルータ装置として動作する。
特開2001−024431号公報。 特開2001−244983号公報。 特開2005−167304号公報。 R. Ramanathan, "On the Performance of Ad Hoc Networks with Beamforming Antennas", Proceedings of ACM MobiHoc 2001, Long Beach, California, U.S.A., October 2001。 M. Takai et al., "Directional Virtual Carrier Sensing for Directional Antennas in Mobile Ad Hoc Networks", Proceedings of ACM MobiHoc 2002, Lausanne, Switzerland, June 2002。 S. Lindsey et al., "Power optimization in routing protocols for wireless and mobile networks", Proceedings of Wireless Networks and Mobile Computing Handbook, Stojmenovic I, editor, John Wiley & Sons, pp.407-424, 2002。 Suresh Singh et al., "Power-Aware Routing in Mobile Ad Hoc Networks", Proceedings of MOBICOM 1998, Dallas Texas, U.S.A., August 1998。 Qun Li et al., "Online power-aware routing in wireless Adhoc Networks", Proceedings of the Seventh Annual International Conference on Mobile Computing and Networking 2001,Roma, Italy, July, 2001。 Siuli Roy et al., "A Network-Aware MAC and Routing Protocol for Effective Load Balancing in Ad Hoc Wireless Networks with Directional Antenna", Proceedings of the Fourth ACM International Symposium on Mobile Ad Hoc Networking and Computing (MobiHoc 2003), Annapolis, Maryland, U.S.A., June, 2003。 T. Ohira et al., "Electronically Steerable Passive Array Radiator (ESPAR) Antennas for Low-cost Adaptive Beam forming", Proceedings of IEEE International Conference on Phased Array Systems, Dana Point, California, U.S.A., May 2000。 Tetsuro Ueda et al., "A Rotational Sector-based, Receiver-Oriented mechanism for Location Tracking and medium Access Control in Ad Hoc Networks using Directional Antenna", Proceedings. of the IFIP conference on Personal Wireless Communications PWC 2003, Venice, ITALY, September 2003。 Tetsuro Ueda et al., "An Efficient MAC Protocol with Direction Finding Scheme in Wireless Ad Hoc Network Using Directional Antenna", Proceedings of the IEEE Radio and Wireless Conference RAWCON 2003, Boston, Massachusetts, U.S.A., August 2003。 Rong Zheng et al., "On-demand Power Management for Ad Hoc Networks", Proceedings of INFOCOM 2003, San Francisco, California, U.S.A., April 2003。 QualNet Simulator Version 3.1, Scalable Network Technologies, accessible on August 16, 2005, http://www.scalablenetworks.com。
アドホック無線ネットワークにおける主たる関心事の1つは、ネットワークの全体寿命を最大限に拡張できるようにネットワーク内の各ノード無線局の電力使用又はバッテリ減耗レベルを低減させる方法である。それ故、データパケットが発信元無線局から宛先無線局へ送信される間に、特別なルーティング方法を適用して中間ノード無線局のバッテリ減耗レベルを最小限に抑える必要がある。
無線ネットワークにおけるルーティングプロトコルのための電力最適化技術は、非特許文献3において調査されている。また、非特許文献4では、その論文において5つの電力を意識した測定基準を提示し、アドホック無線ネットワークのための新しい多元接続プロトコルを開発した。このプロトコルは、オリジナルのMACAプロトコルを基礎にして別個のシグナリングチャネルを加えたものである。このプロトコルの独自の特徴は、パケットのアクティブな送信又は受信を行っていないノード無線局の電源を切って、ノード無線局におけるバッテリ電力を賢明に節約することである。ノード無線局が自らの電源を切る方法は、プロトコルの遅延又はスループット特性に影響しない。しかしながら、ノード無線局間の電力分散は保証されず、よってノード無線局の節電特性は不均一になる。
さらに、非特許文献5には、電力を意識したメッセージルーティングのためのオンライン近似アルゴリズムが提案されている。開発されたアルゴリズムは、システム内の全ノード無線局の正確な電力値を常時要求する。同じ著者達によってさらに提案された第2のアルゴリズムは階層的であり、ゾーンベースの電力を意識したルーティングとして周知である。これは、アドホック無線ネットワークを少数のゾーンに区切り、各ゾーンは固有の電力レベルを評価することができる。これらの電力推定値は、次に、ゾーンのウエイトとして使用される。各メッセージのグローバルなパスは、ゾーンに沿って決定される。各ゾーン内では、メッセージのためのローカルパスが当該ゾーンの電力レベルを下げすぎないように計算される。しかしながらここでは、すべてのノード無線局の正確な電力値は周知であることが想定されていて現実的でない。さらに、階層的なゾーンの形成及びその保全は、動的なアドホック無線ネットワークにおける重大な課題である。
本発明の目的は以上の問題点を解決し、動的なアドホック無線ネットワークにおいて、各ノード無線局のバッテリの残留電力値を考慮してパケット信号を最適にルーティングすることができ、従来技術に比較して、無線通信システム全体のバッテリエネルギーを有効的にかつ効率的に使用することができる無線ネットワークのルーティング方法及び無線通信システムを提供することにある。
第1の発明に係る無線ネットワークのルーティング方法は、複数の無線局を備え、各無線局間で無線通信を行う無線ネットワークのルーティング方法において、
上記各無線局から無線通信可能な隣接無線局と、当該各無線局から当該隣接無線局への方位角のデータと、当該隣接無線局が所有する電池の残留電力とを上記各無線局毎に格納するリンク状態テーブルを上記各無線局の記憶手段に保存するステップと、
上記リンク状態テーブルを含む無線信号を所定の送信周期で周期的に送信するステップと、
上記送信された無線信号を受信したとき、自局の記憶手段に保存されたリンク状態テーブルのデータを更新するステップと、
発信無線局から宛先無線局までのパスの各リンクにおいて、上記リンク状態テーブルを参照して、上記電池の全容量電力から上記残留電力を減算した使用済み電力を含むように表されたリンクウェイトをそれぞれ計算し、計算された線形和の合計である全リンクウェイトを計算し、計算された全リンクウェイトが最小であるパスを選択して無線信号をルーティングするステップとを含むことを特徴とする。
上記無線ネットワークのルーティング方法において、上記リンクウェイトは、上記に代えて、上記電池の全容量電圧から上記電池の残留電圧を減算した使用済み電圧を含むように表されたことを特徴とする。
第2の発明に係る無線通信システムは、複数の無線局を備え、各無線局間で無線通信を行う無線ネットワークの無線通信システムにおいて、
上記各無線局から無線通信可能な隣接無線局と、当該各無線局から当該隣接無線局への方位角のデータと、当該隣接無線局が所有する電池の残留電力とを上記各無線局毎に格納するリンク状態テーブルを、上記各無線局において保存する記憶手段と、
上記リンク状態テーブルを含む無線信号を所定の送信周期で周期的に送信する送信手段と、
上記送信された無線信号を受信したとき、自局の記憶手段に保存されたリンク状態テーブルのデータを更新する更新手段と、
発信無線局から宛先無線局までのパスの各リンクにおいて、上記リンク状態テーブルを参照して、上記電池の全容量電力から上記残留電力を減算した使用済み電力を含むように表されたリンクウェイトをそれぞれ計算し、計算された線形和の合計である全リンクウェイトを計算し、計算された全リンクウェイトが最小であるパスを選択して無線信号をルーティングするルーティング手段とを備えたことを特徴とする。
上記無線通信システムにおいて、上記リンクウェイトは、上記に代えて、上記電池の全容量電圧から上記電池の残留電圧を減算した使用済み電圧を含むように表されたことを特徴とする。
従って、本発明に係る無線ネットワークのルーティング方法及び無線通信システムによれば、発信無線局から宛先無線局までのパスの各リンクにおいて、上記リンク状態テーブルを参照して、上記電池の全容量電力から上記残留電力を減算した使用済み電力を含むように表されたリンクウェイトをそれぞれ計算し、計算された線形和の合計である全リンクウェイトを計算し、計算された全リンクウェイトが最小であるパスを選択して無線信号をルーティングする。それ故、動的なアドホック無線ネットワークにおいて、各ノード無線局のバッテリの残留電力値又は残留電圧値を考慮してパケット信号を最適にルーティングすることができ、従来技術に比較して、無線通信システム全体のバッテリエネルギーを有効的にかつ効率的に使用することができる。
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。なお、同様の構成要素については同一の符号を付している。
本発明に係る実施形態では、各ノード無線局は他のノード無線局の近似的な充電池の電力状態(具体的には、残留電力又は残留電圧)を把握していて、ルート選択の主たる基準の1つとしてこれを使用する。また各ノード無線局は、ネットワークの近似トポロジーを認識している。これは、トポロジー情報を伴う電力情報の周期的伝搬を介して行われる。電力使用を最低限に抑えるために、指向性の電子制御導波器アレーアンテナ装置(例えば、非特許文献6−7参照。)が使用されている。
本実施形態では、指向性アンテナを使用するアドホック無線ネットワーク内のエネルギーを効率的で電力を意識したデータルーティング方法の問題を採り上げ、各ノード無線局のバッテリ電力をデータパケット送信のルート決定の間の重大な基準として考察する。従来技術に係るルーティング方法は通常、発信元ノード無線局から宛先ノード無線局までのホップ数の最少化又はルートエラーの最少化を重視し、ノード無線局のエネルギー減耗が注目されることは希れである。従って、同じノード無線局が繰り返し選択される可能性があり、これにより、そのノード無線局のエネルギーは早期に減耗する。本発明者らの提案では、無線通信ネットワーク内の1つのノード無線局がそのバッテリ電力を著しく減耗すると、ルーティングには代替ノード無線局が選択され、よって個々のノード無線局の電力が最適に使用されるだけでなく、ネットワーク内のノード無線局間に自動的なロードシェアリング又はロードバランシングが存在する。指向性アンテナ(例えば、非特許文献1−2参照。)の使用には、無指向性アンテナを凌ぐ幾つかの重要な優位点がある。もとより、指向性アンテナの空間分割多元接続及び送信範囲拡大の能力自体もその選択の理由である。指向性アンテナの電力要件もまた、同じ送信範囲をカバーする無指向性アンテナのそれより遙かに低い。指向性アンテナの顕著な特徴は、その固有の円錐状の有効範囲より外側にあるノード無線局を傍受せず、干渉のない同時通信を可能にすることである。これは、ノード無線局の電力の減耗を低減させる手助けにもなる。
まず、本実施形態で用いるアドホック無線ネットワークの無線通信システムについて以下に説明する。図1は、本発明に係る実施形態であるアドホック無線ネットワークの構成を示す複数の無線局1−1乃至1−9(総称して、符号1を付す。)の平面配置図であり、図2は、図1の各無線局1の構成を示すブロック図である。
この実施形態の無線通信システムでは、図1に示すように、複数の無線局1が平面的に散在して存在し、各無線局1はそれぞれ、可変ビームアンテナ101の利得や送信電力、受信感度などのパラメータで決定される所定のサービスエリアを有し、このサービスエリア内でパケット通信を行うことができ、サービスエリア外の無線局1とパケット通信を行うときは、サービスエリア内の無線局1を中継局として用いてパケットデータを中継することにより、所望の宛先無線局1にパケットデータを伝送する。すなわち、各無線局1は、パケットのルーティングを行うルータ機能を備え、発信無線局、中継局、又は宛先無線局として動作する。
この実施形態の無線通信システムは、例えば無線LANなどのアドホック無線ネットワークのパケット通信システムに適用するものであって、無指向性放射パターンであるオムニパターンと、自局を中心とした水平面内の所定の方位角毎にセクタ形状のメインビームを選択的に変更可能なセクタービームパターンと、上記方位角毎にヌル点を形成可能な排他的セクタパターンとを選択的に切り換え可能な可変ビームアンテナ101を備え、下記の(a)乃至(c)のテーブルをデータベースメモリ154に格納し、これらのテーブルに基づいて、可変ビームアンテナ101の放射パターンを制御しながらパケット信号のルーティングを行い、特に、発信無線局から宛先無線局までのパスの各リンクにおいて、後述するグローバルリンク状態テーブルを参照して、電池の全容量電力から残留電力を減算した使用済み電力を含むように表されたリンクウェイト(後述する式(1)参照。)をそれぞれ計算し、計算された線形和の合計である全リンクウェイトを計算し、計算された全リンクウェイトが最小であるパスを選択して無線信号をルーティングするステップとを含むことを特徴としている。
(a)自局を中心とするサービスエリア内の隣接ノード無線局(自局から無線通信可能なノード無線局を隣接ノード無線局という。)1から無線信号を受信するときに測定可能な隣接ノード無線局1に対する方位角及び信号強度レベルを格納する方位角及び信号強度レベルテーブル(Angle and Signal strength Table)(以下、ASテーブルという。)。
(b)自局からの無線信号を隣接ノード無線局が受信したときのSINRの測定値を含む隣接ノード無線局からの無線信号に基づいて予め取得された、自局を中心とした水平面内の所定の方位角毎のサービスエリア内の無線局1から見たSINRに基づいて、各隣接ノード無線局毎に最大のSINRを選択して各隣接ノード無線局との親和度とし、当該親和度と、それに対応する方位角及びそのデータの更新時刻とを含む隣接リンク状態テーブル(Neighbor Link-State Table)(以下、NLSテーブルという。)。
(c)各無線局間でNLSテーブルのトポロジー情報(アドホック無線ネットワーク内のすべての無線局間のリンク状態を示すパス情報をいい、以下同様である。)を交換することにより、当該アドホック無線ネットワーク内のすべての無線局1に関するNLSテーブルのトポロジー情報を収集し、このトポロジー情報(各無線局1間のリンク状態を含む)と、これにおける各無線局毎の当該トポロジー情報の更新回数(バージョンを示す)と、これにおける各無線局毎の当該バッテリの残留電力ととを含むグローバルリンク状態テーブル(Global Link State Table)(以下、GLSテーブルという。)。
次いで、図2を参照して、各無線局1の装置構成について説明する。図2において、無線局1は、可変ビームアンテナ101と、その指向性を制御するための指向制御部103と、サーキュレータ102と、データパケット送信部140及びデータパケット受信部130を有するデータパケット送受信部104と、トラヒックモニタ部105と、回線制御部106と、上位レイヤ処理装置107とを備える。
送受信すべきデータを処理する上位レイヤ処理装置107によって発生されたパケット形式の通信用送信信号データは、送信バッファメモリ142を介して変調器143に入力され、変調器143は、所定の無線周波数の搬送波信号を、拡散符号発生器160でCDMA方式で発生された所定の通信チャネル用拡散符号を用いて、入力された通信用送信信号データに従ってスペクトル拡散変調して、変調後の送信信号を高周波送信機144に出力する。高周波送信機144は入力された送信信号に対して増幅などの処理を実行した後、サーキュレータ102を介して可変ビームアンテナ101から他の無線局1に向けて送信する。一方、可変ビームアンテナ101で受信されたパケット形式の通信チャネル用受信信号は、サーキュレータ102を介して高周波受信機131に入力され、高周波受信機131は入力された受信信号に対して低雑音増幅などの処理を実行した後、復調器132に出力する。復調器132は、入力される受信信号を、拡散符号発生器160でCDMA方式で発生された通信チャネル用拡散符号を用いて、スペクトル逆拡散により復調して、復調後の受信信号データを受信バッファメモリ133を介して上位レイヤ処理装置107に出力するとともに、トラヒックモニタのためにトラヒックモニタ部105に出力する。
本実施形態においては、指向性アンテナである可変ビームアンテナ101は、複数のアンテナ素子とその指向性を制御する制御部103に接続され、
(a)無指向性放射パターンであるオムニパターンと、
(b)例えば図3に示すように、自局を中心とした水平面内の所定の方位角毎にセクタ形状のメインビームを選択的に変更可能なセクタービームパターンと、
(c)上記方位角毎にヌル点を形成可能な排他的セクタパターンと
を電気的な制御により選択的に切り換え可能なアンテナである。なお、可変ビームアンテナ101については、例えば、公知のフェーズドアレーアンテナ装置であってもよいし、もしくは、特許文献1及び2などに開示された電子制御導波器アレーアンテナ装置(Electronically Steerable Passive Array Radiator Array Antenna Apparatus)である可変ビームアンテナであってもよい。
トラヒックモニタ部105は、検索エンジン152と、更新エンジン153と、データベースメモリ154と、クロック回路155とを備え、後述のルーティング及び通信処理を実行するとともに、無線局1が他の無線局1とのパケット通信において使用すべき通信チャネルを決定して、決定した通信チャネルに対応する拡散符号の指定データを回線制御部106を介して拡散符号発生器160に送ることにより、拡散符号発生器160が当該指定データに対応する拡散符号を発生するように制御するとともに、決定した通信チャネルに対応するタイムスロットの指定データを回線制御部106を介して送信タイミング制御部141に送ることにより、送信タイミング制御部141が送信バッファメモリ142による通信チャネル用送信信号データの書き込み及び読み出しを制御することにより通信チャネル用送信信号が対応するタイムスロットで送信されるように制御する。なお、クロック回路155は、現在日時を計時してその情報を、必要に応じて管理制御部151に出力する。
トラヒックモニタ部105の検索エンジン152は、管理制御部151の制御によりデータベースメモリ154内のデータを検索して検索したデータを管理制御部151に返信する。また、更新エンジン153は、管理制御部151の制御によりデータベースメモリ154内のデータを更新する。さらに、データベースメモリ154に、ASテーブル、NLSテーブル、及びルーティングのためのテーブルであるGLSテーブルを記憶している。
本実施形態においては、アンテナ放射パターンを単一の通信相手先方向の利得が最大となるように指向性を変化させるセクタービームパターンの実効的な送信ビーム幅を30°としており、可変ビームアンテナ101は、方位角を30°毎に選択的に変化可能に設定できる。ビーム幅及び方位角の変化角度は、60°又は他の角度であってもよい。また、本実施形態のパケット通信システムで用いるパケットデータは、図4に示す形式のフォーマットを有する。すなわち、パケットデータは、宛先無線局のIDと、パケット種別(トーン、GLSテーブル、RTS(Request To Send)、CTS(Clear To Send)、DATAなど)と、自局のIDと、データ(上位レイヤでのデータなどを含む)とを含む。さらに、データベースメモリ154に格納されたASテーブルは、図5に示すように、自局のサービスエリア内の隣接ノード無線局毎に、方位角と、信号強度レベルの情報を格納し、後述する図10のパケット送受信制御処理により作成更新される。また、データベースメモリ154に格納されたGLSテーブルは、図8に示すように、当該アドホック無線ネットワーク内のノード無線局毎に、隣接ノード無線局とその方位角データと、そのデータの更新回数(バージョンを示す)を格納し、後述するパケット送受信制御処理により作成更新される。
次いで、本実施形態で用いるMAC通信プロトコルについて以下に説明する。本実施形態に係る無線通信ネットワークにおいて、互いに無線通信を行う1組の無線局1は二次元的な閉鎖空間内を動き回り、共通の無線通信チャンネルを共有するものと仮定する。各無線局1は、上述の4個の放射パターンを有する、例えば電子制御導波器アレーアンテナ装置である可変ビームアンテナ101を備える。各無線局1は一度に送信又は受信の何れかを実行可能であるが、1つの無線局1で複数の送受信を行うことはできない。
IEEE802.11のMACプロトコル基準では、RTS/CTS/DATA/ACKアクセス制御方式を用いて、高信頼性のデータ通信が保証されているが、本実施形態の方法では、このアクセス制御方式をベースとして、図8及び図9を参照して詳細後述するように、トーン信号+パケット信号を用いた制御信号を用いて、GLSテーブル、その他のデータを含むパケット信号を送受信する。従って、データ通信は周期的な、GLSテーブルの生成及び更新フェーズの合間に実行される。また、各フレームにはトレーニングシーケンスが追加されて送受信アンテナによるそのビーム及びヌルの制御及び適応制御モードへの移行が可能にされる。
次いで、図1の無線局1を用いた、アドホック無線ネットワークのための無線通信システムの詳細について以下に説明する。
各ノード無線局1の指向性アンテナ101の能力を十分に利用するためには、発信元無線局及び宛先無線局のすべての近傍ノード無線局は、新たな通信を他の方向で開始できて通信中の発信元無線局/宛先無線局間のデータ通信を妨害しないように、通信の方向を認識しておくべきである。従って、各ノード無線局に、その近傍ノード無線局の方向を追跡して電力状態及び近傍情報等の極めて重要な情報を取得するメカニズムを保有することが不可避となる。ここで、指向性アンテナ101は好ましくは上述した電子制御導波器アレーアンテナ装置を用いる。
次いで、ロケーション追跡とMACプロトコルについて以下に説明する。
発明者らのフレームワークでは、アイドル状態の間、各ノード無線局は全方向性の検出モードで待機する。しきい値を上回る何らかの信号を検出すると、これはすぐに回転セクタ受信モードに入る。回転セクタパターンの受信モードでは、ノード無線局nはその指向性アンテナを連続的に全方向へ30度間隔で回転させて各方向への指向性連続受信の形式で360度の全体空間をカバーし、各方向で受信される信号を検出する。一回転の後、これは、受信した最大の信号強度によって信号受信の可能性のある最適な方向を決定する。次にこれはそのビームをその方向へ設定し、信号を受信する。こうして指向性アンテナを使用してその近傍ノード無線局の方向を追跡するために、各ノード無線局nは周期的にその近傍の方向情報を収集し、よってノード無線局はその近傍ノード無線局のいずれかと通信可能な最適方向を決定することができる。媒体アクセス制御には、GSTテーブルを含むパケット信号と、RTS信号及びCTS信号の3タイプの同報通信(全方向性)制御パケットを使用した。データ信号及びACK信号(制御パケット信号)は、指向性の制御パケットである(例えば、非特許文献8−9参照。)。指向性MACに関する詳細は例えば、非特許文献8−9において詳述されている。
次いで、ネットワークにおける情報のパーコレーションメカニズムについて以下に説明する。情報パーコレーションメカニズムの目的は、各ノード無線局にネットワーク内の各ノード無線局のおおよそのトポロジー及び電力減耗状態を認識させることである。ここでの目的は、ネットワーク情報をローカル的には精確に認知し、グローバル的には近似的に認知することにある。この近似的なネットワーク認識は、指向性アンテナを使用してMAC及び電力意識的なルーティングプロトコルの双方を実装する上で役立つ。本実施形態で用いる3つのテーブルの詳細について以下に説明する。
(1)ASテーブル:ASテーブルは、その一例を図5に示すように、自局のサービスエリア内の隣接ノード無線局毎に、方位角と、信号強度レベルの情報を格納し、後述する図11のパケット送受信制御処理により作成更新される。
(2)NLSテーブル(ノード無線局nにおけるNLSテーブルを、NLSTnと記載する。):各ノード無線局nは、その隣接ノード無線局の方向を追跡するために、周期的にその隣接情報を「収集」してNLSテーブルを形成する。時刻tにおけるノード無線局nのNLSテーブル(NLSTn(t))は、隣接ノード無線局m(m∈G)の各々について、ある特定方向でノード無線局nにより検出された無線結合の最大信号強度SIGNALθ n,m(t)を特定することができる。従って、最大信号強度SIGNALθ n,m(t)は、ノード無線局nにおいてその隣接ノード無線局mからノード無線局nに対する方位角θで受信され、かつノード無線局nにより任意の時刻で検出されたときの最大信号強度である。ノード無線局nのNLSテーブルは、その任意の隣接ノード無線局との最も可能性の高い通信方向を決定する際の手助けとなる。ここで、各ノード無線局は、予め取得された各隣接ノード無線局についてのSINR値が最大となる方位角を選び、このSINR値を隣接ノード無線局との間の親和度とする。各ノード無線局はこの方位角と親和度の値を各隣接ノード無線局毎に取り出し、現在日時を更新日時として、NLSテーブルを生成して更新する。当該NLSテーブルには、その一例を図6に示すように、各隣接ノード無線局毎に、最大のSINR値に対応する方位角、最大のSINR値である親和度、更新日時が格納されている。
(3)GLSテーブル(ノード無線局nにおけるGLSテーブルを、GLSnと記載する。):GLSテーブルは、時刻tにおいてノード無線局nが検出できたアドホック無線ネットワーク内のトポロジー情報及び充電池の残留電力を含む。具体的には、GLSテーブルは、その一例を図7に示すように、各ノード無線局毎に、隣接ノード無線局とその方位角データと、そのデータの更新回数(バージョンを示す)と、残留電力とを格納する。本実施形態においては、各ノード無線局は、GLSテーブルを含むパケット信号(以下、GLSパケット信号という。)を所定の周期間隔でブロードキャストして、GLSテーブルの生成及び更新処理を行う。
すなわち、当該GLSテーブルは、ノード無線局nがその瞬間に認知した対応するノード無線局のグローバルなネットワークトポロジー情報及びバッテリ電力状態を含んでいる。各ノード無線局は、例えばTのような時間周期でトーン信号を同報送信する。ノード無線局nは、その近傍ノード無線局のすべて又は任意のもの(例えばノード無線局i、j及びk)からトーン信号を受信すると、ノード無線局i、j及びkをその近傍ノード無線局として包含するGLSテーブル(GLST(n))を形成し、その各々と通信できる最適な方向を記録する。ネットワークの開始当初は、すべてのノード無線局はその近傍にあるノード無線局を認識しているだけで、アドホック無線ネットワークの無線通信システム内の他のノード無線局に関しては何も分からない状態にある。各ノード無線局は、周期的にそのGLSテーブルをその近傍ノード無線局へ更新として同報送信する。ノード無線局は、その近傍ノード無線局からのそれらの近傍ノード無線局に関するこの周期的な更新メッセージによって、他のノード無線局及びそれらの近傍ノード無線局に関する情報を徐々に取得していく(例えば、非特許文献6参照。)。各ノード無線局は、そのGLSテーブルを例えばT等の時間周期で同報送信する。任意のノード無線局nにおけるGLSテーブルの構成及びそれを含むパケット信号の構成を図7に示す。
本実施形態において、RはN個のノード無線局より成るネットワークにおけるノード無線局nについての更新回数であり、<n,α(n,n)>はnがnの近傍ノード無線局であることを示し、α(n,n)はnが最も良くnと通信できる送信ビーム角度「α」を表す。ここで、このメカニズムは、各ノード無線局がネットワークの正確な状態を知るようになることを保証するものではない。これは、ネットワークのおおよその状態に関する各ノード無線局の理解を助ける認識でしかない。
GLSテーブル又はビーコンの更新周期を制御すれば、ネットワーク内の更新トラフィック及び各ノード無線局に格納されるネットワーク状態情報の精度を制御することが可能になる。例えば、更新メッセージの伝搬が頻繁すぎると、制御トラフィックは増大するが、各ノード無線局に格納されるネットワーク状態情報の精度も上がる。しかしながら、ネットワークは更新の伝搬で溢れることになる。オーバーヘッドは、周期T及びTの調節によって制御が可能である。周期T及びTの現行の好ましい値はそれぞれ200ミリ秒、10秒である。
図8は図1のアドホック無線ネットワークにおいて用いられるトーン信号とパケット信号の送受信処理を示すタイミングチャートである。
本実施形態に係るMACプロトコルでは、図8に示すように、送信側の無線局は、無変調搬送波であるトーン信号に続いて、GLSテーブル、RTS又はCTS、もしくは送信したいデータを含むパケット信号を送信する。これに対して、受信側の無線局は、トーン信号を検出した後、パケット信号を復号化して復号化したデータを取り込み、データ処理を実行する。なお、GLSテーブルを含むGLSパケット信号の送信は上述のように周期的に実行される。
図9は図1のアドホック無線ネットワークにおいて用いられる各無線局での放射パターンの種類と無線通信プロトコルを示すタイミングチャートである。図9では、本実施形態に係る4方向ハンドシェイクのアンテナモードの使用例を示している。適応制御パターンは移動中のノード無線局を追跡することはできるが、ビーム及びヌルはパケット信号が受信されなければ形成され得ない。従って、送信側のノード無線局からのトーン信号+RTSの送信やトーン信号+CTSの送信では、オムニパターンが使用される。これに対して、受信側のノード無線局におけるトーン信号+RTSの受信やトーン信号+CTSの受信では、その開始時に回転セクタパターンが使用された後、ASテーブルに基づいた方位角に向けられたセクタパターンを使用し、当該セクタパターンを用いた通信中において適応制御のための準備処理を実行し、最後に適応制御用放射パターンに移行する。
まず、発信無線局からパケットを送信するときは、ゾーン非連結パス選択基準が優先される。パケットが既に複数のホップを経験していれば、宛先無線局へ向けた漸次最短ホップルートが選択される。従って、この適応型ルート計算メカニズムは、提案のルーティングアルゴリズムの収束を保証する。本発明者らは下記の関数を使用してリンクウェイトLWを計算した。すなわち、各リンク(n,n)のリンクウェイトLW(n,n)は次式で表される。また、全リンクウェイトLWTは、発信無線局Sから宛先無線局Dまでのすべてのリンクに対するリンクウェイトLW(n,n)の線形和であり次式で表される。
[数1]
LW(n,n)=α+β(Pt−Pk)/Pt (1)
[数2]
LWT(S,D)=ΣLW(n,n) (2)
ここで、αは初期リンクウェイトであり、本実施形態において好ましくは0.01である。また、βは電力に関するウェイトである。Ptは当該ノード無線局のバッテリの全体容量電力であり、Pkは当該ノード無線局のバッテリの残留電力である。従って、Pt−Pk(kはノード無線局毎の添字)は使用済み電力である。
図10は図2の無線局1の管理制御部105によって実行されるパケット送受信制御処理を示すフローチャートである。
図10において、まず、ステップS1で回転セクタパターンで可変ビームアンテナ101を所定の方位角(例えば、30度)毎に変化して回転走査するように制御して受信信号を受信し、ステップS2において所定のしきい値以上の信号強度レベルの受信信号を受信したか否かが判断され、YESのときはステップS3に進む一方、NOのときはステップS9に進む。ステップS9において送信すべきパケット信号があるか否かが判断され、YESのときはステップS10に進む一方、NOのときはステップS1に戻る。ステップS10において送信すべきパケット信号はGLSパケットであるか否かが判断され、YESのときはステップS11に進む一方、NOのときはステップS12に進む。ここで、GLSパケットは、所定の周期期間Tで周期的にそのイベントが発生され、このステップでYESとなる。ステップS11においてオムニパターンで当該テーブルを含むパケット信号を送信した後、ステップS1に戻る。一方、ステップS12において図11のサブルーチンであるルーティング及び通信処理を実行した後、ステップS1に戻る。
ステップS3では、回転セクタパターンを停止して、可変ビームアンテナ101の放射パターンを、停止した所定の方位角に向けるセクタパターンに設定する。次いで、ステップS4において適応制御パターンで受信信号を受信し、パケット情報を復号化し受信信号の信号強度レベルを測定し、ステップS5において受信信号RSを判別して以下のようにステップS6又はS7に分岐する。
ここで、受信信号RS=GLSパケット信号であるときは、ステップS6でGLSテーブル等更新処理を実行した後、ステップS1に戻る。このGLSテーブル等更新処理では、現在格納されているGLSテーブルと、受信信号に含まれるGLSテーブルとを比較して、更新回数がより多いバージョンが新しいデータのみをそれを用いてGLSテーブルを更新し、新しいノード無線局であるときはそのノード無線局についての情報を追加する。また、ステップS5でその他の信号を受信したときは、ステップS7でその他の信号の受信処理を実行した後、ステップS1に戻る。
図10の制御フローにおいては、ステップS1,S2において、可変ビームアンテナ101を回転走査して所定のしきい値以上の信号強度レベルの受信信号を受信したときに、その受信信号を検出しているが、本発明はこれに限らず、可変ビームアンテナ101を360度にわたって回転走査して、所定のしきい値以上の信号強度レベルの受信信号を受信しかつそのうちの最大の受信信号を、検出された受信信号としてもよい。
図11は、図10のサブルーチンであるルーティング及び通信処理(ステップS12)の処理を示すフローチャートである。
図11のステップS21において、GLSテーブルを参照して、発信元無線局と宛先無線局との間において、すべてのパスを見つける。次いで、ステップS22において、GLSテーブルを参照して、上記各パスに対して全リンクウェイトを計算する。さらに、ステップS23において、上記計算された各パスの全リンクウェイトのパスのうち最小のリンクウェイトのパスを選択する。そして、ステップS24において、発信元無線局はGLSテーブル内のルーティング情報に基づいて上記選択されたパスを介して宛先無線局と通信し、元のメインルーチンに戻る。
さらに、本実施形態に係る各ノード無線局の残留電力を考慮したルーティング方法について以下に説明する。
現在、アドホック無線ネットワーク内の移動装置において消費される電力を低減させる多くの取り組みが進行中であり、本発明者らの残留電力を考慮したルーティング方法は各ノード無線局のバッテリ電力の最適利用を保証することができる。本発明者らの提案する方法は、各ノード無線局のバッテリ使用を分散させてネットワークの寿命を延ばすだけでなく、輻輳が著しい場合のネットワークトラフィックの分散も保証する。データ通信の効率を高める場合、通常は最短パスアルゴリズムが使用される。ここで、最短パスアルゴリズムが単独使用される場合には、その最短パスにおける中間ノード無線局はそれらの近傍ノード無線局より格段に早く電力を消耗する。図12及び図13を参照してトポロジーについて考察する。
図12は、従来例に係る図1のアドホック無線ネットワークにおいて最短パスアルゴリズムのみに従って電力既知ルーティングをしないときの各ノード無線局の充電池の在留電力状態を示す図である。また、図13は、本実施形態に係る図1のアドホック無線ネットワークにおいて最短パスアルゴリズムに従って電力既知ルーティングをしたときの各ノード無線局の充電池の在留電力状態を示す図である。
図12では、パケット信号はノード無線局N1からノード無線局N3へと送信される。最短パスアルゴリズムは、最良のパスとしてN1→N6→N3を選択するものとする。最短パスアルゴリズムは中間ノード無線局としてノード無線局N6だけを繰返し選択することから、発信元無線局N1及び宛先ノード無線局N6(この場合は固定されている)を度外視して、中間ノード無線局N6のバッテリ電力は著しく減耗していくことが観察されるであろう。すなわち、図12(a),(b),(c)から明らかなように、フェーズP1,P2,P3とも同一のパスを辿ることになる。
次に、本発明者らが提案する、残留電力を考慮したルーティング方法を使用するルート選択のためのアルゴリズムについて説明する。図13は、データパケットがこの方法を使用して同一の宛先無線局から宛先無線局へ転送されるケースを表している。図13(a)のフェーズP1の後、中間ノード無線局N6のバッテリは(例えば)10%減耗し、よって、フェーズP2ではノード無線局N6は考慮されない。ノード無線局N6の保有電力はノード無線局N2の電力を下回ることから、代替パスN1→N2→N3が選択される(図13(b))。次に、図13(c)のフェーズP3を見ると、ノード無線局N2及びN6の双方が電力を例えば10%減耗している。次のデータパケットセットの送信に際しては、これらの両中間ノード無線局は拒絶され、ノード無線局N3及びN6より遙かに高いバッテリ電力を保有する中間ノード無線局N5及びN4が選択され、パスはN1→N5→N4→N3となる。これにより、電力が最適使用されるだけでなく、発信元無線局から宛先無線局まで異なるパスを選択してネットワークトラフィックを自動的に平衡化しかつこれを均等に分散させるという本アルゴリズムの特性が示される。
以上説明したように、本実施形態では、指向性アンテナを使用して制御トラフィック及び電力消費を最適化するアドホック無線ネットワークのための電力を意識したルーティング方法を提案している。この方法は主として電力の減耗を最適化し、かつ効果的なスループットを維持しながらネットワーク内の全ノード無線局間でほぼ均一な電力使用を維持することができる。
変形例.
以上の実施形態においては、上記電池の全容量電力から上記残留電力を減算した使用済み電力を含むように表されたリンクウェイトをそれぞれ計算しているが、本発明はこれに限らず、上記リンクウェイトは、上記に代えて、上記電池の全容量電圧から上記電池の残留電圧を減算した使用済み電圧を含むように表してもよい。すなわち、電力を電圧で表してもよい。
以上詳述したように、本発明に係る無線ネットワークのルーティング方法及び無線通信システムによれば、発信無線局から宛先無線局までのパスの各リンクにおいて、上記リンク状態テーブルを参照して、上記電池の全容量電力から上記残留電力を減算した使用済み電力を含むように表されたリンクウェイトをそれぞれ計算し、計算された線形和の合計である全リンクウェイトを計算し、計算された全リンクウェイトが最小であるパスを選択して無線信号をルーティングする。それ故、動的なアドホック無線ネットワークにおいて、各ノード無線局のバッテリの残留電力値又は残留電圧値を考慮してパケット信号を最適にルーティングすることができ、従来技術に比較して、無線通信システム全体のバッテリエネルギーを有効的にかつ効率的に使用することができる。
本発明に係る実施形態であるアドホック無線ネットワークを構成する複数の無線局1−1乃至1−9の平面配置図である。 図1の各無線局1の内部構成を示すブロック図である。 図1の可変ビームアンテナ101のセクタービームパターンの一例を示す図である。 図1のアドホック無線ネットワークにおいて用いられるパケットデータのフォーマットを示す図である。 図2のデータベースメモリ154において格納される方位角及び信号強度レベルテーブル(ASテーブル)の一例を示す表である。 図2のデータベースメモリ154に格納される隣接リンク状態テーブル(NLSテーブル)の一例を示す図である。 図2のデータベースメモリ154に格納されるグローバルリンク状態テーブル(GLSテーブル)の一例を示す図である。 図1のアドホック無線ネットワークにおいて用いられるトーン信号とパケット信号の送受信処理を示すタイミングチャートである。 図1のアドホック無線ネットワークにおいて用いられる各無線局での放射パターンの種類と無線通信プロトコルを示すタイミングチャートである。 図2の無線局1の管理制御部105によって実行されるパケット送受信制御処理を示すフローチャートである。 図10のサブルーチンであるルーティング及び通信処理(ステップS12)の処理を示すフローチャートである。 従来例に係る図1のアドホック無線ネットワークにおいて最短パスアルゴリズムのみに従って電力既知ルーティングをしないときの各ノード無線局の充電池の在留電力状態を示す図である。 本実施形態に係る図1のアドホック無線ネットワークにおいて最短パスアルゴリズムに従って電力既知ルーティングをしたときの各ノード無線局の充電池の在留電力状態を示す図である。
符号の説明
1,1−1乃至1−9,N1乃至N6…ノード無線局、
101…可変ビームアンテナ、
102…サーキュレータ、
103…指向制御部、
104…パケット送受信部、
105…トラヒックモニタ部、
106…回線制御部、
107…上位レイヤ処理装置、
130…パケット受信部、
131…高周波受信機、
132…復調器、
133…受信バッファメモリ、
140…パケット送信部、
141…送信タイミング制御部、
142…送信バッファメモリ、
143…変調器、
144…高周波送信機、
151…管理制御部、
152…検索エンジン、
153…更新エンジン、
154…データベースメモリ、
155…クロック回路、
160…拡散符号発生器。

Claims (4)

  1. 複数の無線局を備え、各無線局間で無線通信を行う無線ネットワークのルーティング方法において、
    上記各無線局から無線通信可能な隣接無線局と、当該各無線局から当該隣接無線局への方位角のデータと、当該隣接無線局が所有する電池の残留電力とを上記各無線局毎に格納するリンク状態テーブルを上記各無線局の記憶手段に保存するステップと、
    上記リンク状態テーブルを含む無線信号を所定の送信周期で周期的に送信するステップと、
    上記送信された無線信号を受信したとき、自局の記憶手段に保存されたリンク状態テーブルのデータを更新するステップと、
    発信無線局から宛先無線局までのパスの各リンクにおいて、上記リンク状態テーブルを参照して、上記電池の全容量電力から上記残留電力を減算した使用済み電力を含むように表されたリンクウェイトをそれぞれ計算し、計算された線形和の合計である全リンクウェイトを計算し、計算された全リンクウェイトが最小であるパスを選択して無線信号をルーティングするステップとを含むことを特徴とする無線ネットワークのルーティング方法。
  2. 上記リンクウェイトは、上記に代えて、上記電池の全容量電圧から上記電池の残留電圧を減算した使用済み電圧を含むように表されたことを特徴とする請求項1記載の無線ネットワークのルーティング方法。
  3. 複数の無線局を備え、各無線局間で無線通信を行う無線ネットワークの無線通信システムにおいて、
    上記各無線局から無線通信可能な隣接無線局と、当該各無線局から当該隣接無線局への方位角のデータと、当該隣接無線局が所有する電池の残留電力とを上記各無線局毎に格納するリンク状態テーブルを、上記各無線局において保存する記憶手段と、
    上記リンク状態テーブルを含む無線信号を所定の送信周期で周期的に送信する送信手段と、
    上記送信された無線信号を受信したとき、自局の記憶手段に保存されたリンク状態テーブルのデータを更新する更新手段と、
    発信無線局から宛先無線局までのパスの各リンクにおいて、上記リンク状態テーブルを参照して、上記電池の全容量電力から上記残留電力を減算した使用済み電力を含むように表されたリンクウェイトをそれぞれ計算し、計算された線形和の合計である全リンクウェイトを計算し、計算された全リンクウェイトが最小であるパスを選択して無線信号をルーティングするルーティング手段とを備えたことを特徴とする無線通信システム。
  4. 上記リンクウェイトは、上記に代えて、上記電池の全容量電圧から上記電池の残留電圧を減算した使用済み電圧を含むように表されたことを特徴とする請求項3記載の無線通信システム。
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