JP3920120B2 - 超音波診断装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は超音波診断装置に関し、特に各データ処理モジュールの動作制御に関する。
【0002】
【従来の技術】
超音波診断装置においては、超音波の送受波で得られたデータが段階的に処理され、その結果として超音波画像が形成される。そのような段階的な処理を行うために、超音波診断装置内には複数のデータ処理モジュールが搭載されている。各データ処理モジュールには、主制御部(ホストコントローラ)からデータ処理に必要なパラメータ情報が提供される。ここで、パラメータ情報は、1又は複数のパラメータ値によって構成される。複数のデータ処理モジュールに対して共通のパラメータ値もあるが、一部のデータ処理モジュールにだけ用いられるパラメータ値もある。パラメータ値としては、超音波診断のレンジ(深さ)、走査面を構成するビーム本数、送信繰り返し周波数、などがある。装置の動作条件(動作モード、送受波条件、画像形成条件など)を変更すると、上記のパラメータ情報の内容が変更されるので、ホストコントローラから各データ処理モジュールへ新しいパラメータ情報が提供される。そして、各データ処理モジュールでは、今まで利用していたパラメータ情報に代えて、送られてきたパラメータ情報を用いて、データ処理を行う。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の超音波診断装置においては、動作条件の変更時に、各データ処理モジュールの動作を一旦停止させ(送受信停止)、全部のデータ処理モジュールが停止したことを確認した後に、各データ処理モジュールに新しいパラメータ情報を与えて、それが完了してから、各データ処理モジュールの動作を再開させていた(送受信再開)。
【0004】
よって、動作条件の変更の都度、送受信が停止し、リアルタイム性あるいは計測の継続性が確保できないという問題があった。
【0005】
一方、超音波診断装置には、データ処理の途中段階でデータを記憶装置に記憶し、ユーザーの再生操作に従って、その記憶装置からデータを読み出して、もとの途中段階からデータ処理を行わせ、これにより、記憶された過去のデータを画像表示する機能を備えたものがある。近年の記憶装置の低廉化を背景として、そのための記憶装置の記憶容量も増大している。しかし、上記のように動作条件を変更するには、記憶装置をリセットさせて、最初から入れ直さなければならない。
【0006】
本発明の目的は、動作条件の切換時において送受信を継続できるようにすることにある。
【0007】
本発明の他の目的は、各データ処理モジュールにおいて、参照するパラメータ情報の更新を適切なタイミングで行えるようにすることにある。
【0008】
本発明の他の目的は、動作条件を変更して動作条件変更前にも記憶装置に記憶されたデータが消失されることなく、必要に応じて再生できるようにすることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
(1)上記目的を達成するために、超音波の送受波により得られたデータを段階的に処理する超音波診断装置において、前記段階的な処理に対応して設けられた複数のデータ処理モジュールと、動作条件が変更された場合に、前記各データ処理モジュールに対してパラメータ情報を出力する主制御部と、を含み、前記複数のデータ処理モジュールの内で、少なくとも1つのデータ処理モジュールは、前記主制御部から出力されたパラメータ情報が格納され、これにより複数のパラメータ情報が使用順で格納されるメモリと、上流側から出力された切換タイミング信号を検出するタイミング検出手段と、前記切換タイミング信号の検出に基づき、前記メモリに格納された複数のパラメータ情報の内で、それまで選択されていたパラメータ情報に代えて次順位のパラメータ情報を選択することにより、データ処理において使用するパラメータ情報を更新する選択手段と、前記選択手段により選択されたパラメータ情報を使用して、前記上流側から出力されたデータを処理して出力する処理手段と、前記選択手段により選択されたパラメータ情報を使用したデータ処理結果として下流側へデータを出力する場合に、当該下流側へ切換タイミング信号を出力するタイミング信号出力手段と、を含むことを特徴とする。
【0010】
上記構成によれば、新しいパラメータ情報は、主制御部から各データ処理モジュールに順次又は一斉に提供される。少なくとも1つのデータ処理モジュールにおいて、パラメータ情報の切換は、切換タイミング信号の検出を契機としてなされる。つまり、上流側から、動作条件変更後におけるデータが出力されると、それと同時に又はその直前に切換タイミング信号が出力され、それが検知されると、パラメータ情報が更新される。主制御部がパラメータ情報の切換タイミングを一括制御するのではなく、データ処理モジュール同士が相互に連携して切換タイミングの情報を渡しあう(リレーを行う)ので、主制御部に負担は生じない。このように、各処理モジュール自身がパラメータ情報の切換タイミングを自己判定する。
【0011】
望ましくは、動作条件の変更時で前記複数のデータ処理モジュールが動作を中断停止することなく継続的に動作する。この構成によれば、リアルタイム性あるいは継続性を確保でき、超音波診断の便宜を図れる。なお、一連のデータ処理過程における全部のデータ処理モジュールに上記構成を採用するのが望ましい。但し、その場合、例えば、先頭のデータ処理モジュールについては、主制御部が切換タイミング信号を直接的に与えるようにしてもよく、また、最後尾のデータ処理モジュールについては、上記のタイミング信号出力手段は不要となる。
【0012】
望ましくは、前記タイミング信号出力手段は、更新後のパラメータ情報を用いたデータ処理結果として先頭のデータが出力される時に、当該先頭のデータと一緒に前記切換タイミング信号を出力する。切換タイミング信号の他に、同期信号などの制御情報を伝送するようにしてもよい。
【0013】
望ましくは、前記段階的な処理における途中位置から取り出されるデータについて記憶及び再生を行う記憶再生モジュールを含み、前記記憶再生モジュールは、前記途中位置から取り出されたデータ及び切換タイミング信号を記憶する第1記憶部と、再生モードにおいて、前記第1記憶部からデータ及び切換タイミング信号を読み出して前記途中位置に戻す再生部と、を含む。
【0014】
望ましくは、前記切換タイミング信号は、各動作条件を識別するためのシーケンス番号によって構成される。
【0015】
望ましくは、前記記憶再生モジュールは、前記第1記憶部から読み出されるデータを処理するために必要なパラメータ情報を格納する第2記憶部と、前記第1記憶部からの切換タイミング信号の読み出しに応じて、前記第2記憶部からパラメータ情報を読み出し、それを前記途中位置よりも下流側にあるデータ処理モジュールに提供する提供部と、を含む。もちろん、各データ処理モジュール自身に、少なくとも第1記憶部におけるデータの記憶期間以上にわたって、過去に利用されたパラメータ情報を常に蓄積しておくこともできる。
【0016】
(2)また、上記目的を達成するために、本発明は、超音波の送受波により得られたデータを段階的に処理する超音波診断装置において、前記段階的な処理に対応して設けられた複数のデータ処理モジュールと、動作条件が変更された場合に、前記各データ処理モジュールに対してデータ処理で用いるパラメータ情報を出力する主制御部と、を含み、前記各データ処理モジュール相互間において、上流側から下流側へ、パラメータ情報の更新タイミングを表す切換タイミング信号をリレー渡しすることを特徴とする。
【0017】
また、上記目的を達成するために、本発明は、超音波の送受波により得られたデータを段階的に処理する超音波診断装置において、前記段階的な処理に対応して設けられ、パラメータ情報を参照してデータ処理を行う複数のデータ処理モジュールと、前記段階的な処理の途中位置に設けられ、その途中位置から取り出されたデータを記憶し、その記憶されたデータを読み出して前記途中位置へ戻す記憶再生モジュールと、を含み、前記記憶再生モジュールには、前記記憶されるデータに対応付けられつつ、パラメータ情報の更新を表す情報が記憶されることを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
図1には、本発明に係る超音波診断装置の好適な実施形態が示されており、図1はその全体構成を示すブロック図である。
【0020】
プローブ10は、体表面上に当接して用いられ、あるいは、体腔内に挿入して用いられる超音波探触子である。プローブ10には複数の振動素子からなるアレイ振動子が設けられている。このアレイ振動子によって超音波ビームが形成され、その超音波ビームが電子走査される。電子走査方式としては、電子リニア走査や電子セクタ走査などをあげることができる。
【0021】
本実施形態の超音波診断装置においては、プローブ10から表示部20にかけて、複数のデータ処理モジュール(データ処理部)がデータ処理の各段階に対応して設けられている。それらの複数のデータ処理モジュールは、具体的には、送受信部12、ビーム処理部14、走査変換部16、画像処理部18などである。もちろん、各データ処理部は一例であって、これ以外にも各種のデータ処理部を搭載することができる。例えば、ドプラ情報を処理するデータ処理部を加えるようにしてもよい。
【0022】
各データ処理部について説明すると、送受信部12は、送信ビームフォーマー及び受信ビームフォーマーとして機能する。具体的には、送受信部12は、アレイ振動子に対して複数の送信信号を供給し、また、アレイ振動子からの複数の受信信号に対して整相加算処理などを実行する。ちなみに、図1において、受信信号すなわちデータ(エコーデータ)の流れが太字の矢印100によって表されており、一方、各データ処理部間における制御情報の流れが細い矢印102で表されている。
【0023】
ビーム処理部14は、整相加算後の受信信号に対して、たとえば二次元断層画像(Bモード画像)を形成するための各種の信号処理を実行する回路である。その信号処理には、例えばノイズ除去、平滑化、対数変換などの処理が含まれる。
【0024】
走査変換部16は、いわゆるデジタルスキャンコンバータとして機能するものであり、走査変換部16は座標変換機能や補間機能などを有している。
【0025】
画像処理部18は、超音波画像を表示するための各種の画像処理を実行するモジュールである。これにより形成された超音波画像は表示部20に表示される。そのような超音波画像は二次元断層画像、二次元ドプラ画像、三次元超音波画像などである。
【0026】
主制御部22はホスト制御部として機能し、図1に示される各構成の動作制御を行っている。本実施形態においては、主制御部22から、送受信部12、ビーム処理部14、走査変換部16及び画像処理部18へデータ処理において必要なパラメータ情報が提供されている。このパラメータ情報は1又は複数のパラメータ値によって構成されるものであり、そのパラメータ値は、例えば診断深さ、1走査面を構成するビーム本数、送信繰り返し周波数などである。各データ処理部に対して同一のパラメータ情報が提供されてもよいし、互いに異なるパラメータ情報が提供されてもよい。いずれにしても、それらのパラメータ情報はデータ処理にあたってリファレンスとなる情報であり、装置の動作条件が変更されると、新しいパラメータ情報が利用される。入力部24は、キーボードやトラックボールなどによって構成され、本実施形態においては、この入力部24を用いてユーザーが所望の動作条件を設定することができる。例えば、診断深さや送受波エリアなどを設定することが可能であり、また送信周波数や送信繰り返し周波数などについても自在に設定することができる。
【0027】
記憶再生部26は、本実施形態においてビーム処理部14と走査変換部16との間における途中位置に設けられている。この記憶再生部26はいわゆるシネメモリユニットとして機能するものであり、ビーム処理部14から出力されるデータをリングバッファ方式に従って格納し、必要に応じてその格納されたデータを繰り返し再生し得る機能を具備している。この記憶再生部26の動作についても主制御部22によって制御される。
【0028】
本実施形態においては、上述したように複数のデータ処理部がシリーズ接続されているが、各データ処理部においては、データ処理で実際に利用するパラメータ情報の更新タイミングについてそれぞれ個別的に決定される。このため、上流側のデータ処理部から所定の情報が下流側のデータ処理部に提供され、その情報に従ってパラメータ情報の更新タイミングが決定される。以下に、その方式について具体的に図面を参照しつつ説明する。
【0029】
図2には、送受信部12の具体的な構成例が示されている。
【0030】
メモリ30には複数のパラメータ情報108が格納される。この格納にあたってはスタック方式を用いてもよい。このパラメータ情報は上述したように動作条件の切り換えの都度、主制御部から提供されるものである。メモリ30上には概念的にレジスタA及びレジスタBが構成されており、それぞれのレジスタにパラメータ情報が格納される。本実施形態においては、各レジスタがいわゆるピンポン方式によって交互に利用されている。すなわち、一方のレジスタに格納されたパラメータ情報が、現在使用しているパラメータ情報である場合には、他方のレジスタに格納されているパラメータ情報は次に利用されるパラメータ情報である。
【0031】
ピンポン方式の他にダブルバッファー方式も考えられる。レジスタAとレジスタBをダブルバッファー構成とし、まず主制御部よりレジスタBに次に使用するパラメータ情報を書き込んでおき、動作条件の切替が発生すると、レジスタBの内容をレジスタAに転送し、レジスタAのパラメータ情報にて処理を行う。動作条件の変更があっても、この処理部にてパラメータの変更が必要ないときには、レジスタBに書き込みを行わないため、動作条件の切替が発生しても同じパラメータ情報がレジスタBからレジスタAに転送され、パラメータ情報の変更は行われない。
【0032】
処理部34は、この送受信部12において送信器及び受信器として機能し、上述したようにプローブ10に設けられたアレイ振動子に対して複数の送信信号を供給し、また、アレイ振動子から出力される複数の受信信号に対して整相加算処理などを実行する。そして、整相加算後の受信信号を出力データとして出力する。
【0033】
その場合において、処理部34は、メモリ30上に格納された2つのパラメータ情報の内で、制御部32によって選択されたパラメータ情報を参照し、そのパラメータ情報を利用して送信処理及び受信処理を実行する。
【0034】
制御部32は、送受信部12内のローカルな制御部として機能し、その制御部32には、主制御部から切換タイミング信号112及びコントロール信号110が入力されている。ここで、切換タイミング信号112は、利用するパラメータ情報を更新するタイミングを規定する信号である。
【0035】
この制御部32は、制御情報116Bの出力機能を有している。その制御情報116Bは、本実施形態において、切換タイミング信号及びフレーム同期信号を含んでいる。ここで、フレーム同期信号は送受波が行われるフレーム(走査面)のスタート信号であり、また、切換タイミング信号は、本実施形態において動作条件の変更の順番を表すシーケンス番号として構成されている。そして、制御部32は、この送受信部12において、実際に使用するパラメータ情報が更新され、当該パラメータ情報を利用して処理を行った場合における先頭のデータが出力される時に(あるいはその直前に)、後続のビーム処理部14へ切換タイミング信号を出力する。
【0036】
また、この送受信部12内において、使用するパラメータ情報の更新タイミングについてさらに説明する。図1に示した主制御部22は、入力部24を用いてユーザーが動作条件の変更を行うと、それに伴って、新しいパラメータ情報を一斉に各データ処理部へ配信する。図2に示されるように、送受信部12においても、新しいパラメータ情報108がメモリ30に入力され、それが、現在使用していない方のレジスタに格納される。そして、図1に示した主制御部22から、図2に示した制御部32に対して切換タイミング信号112が出力されると、フレーム同期信号に同期したタイミングで、使用対象となるレジスタが切換えられる。すなわちその時点から新しいパラメータ情報がデータ処理に利用されることになる。そして、その新しいパラメータ情報を用いてデータ処理を行った結果における先頭のデータの出力タイミングに同期して、制御部32から制御情報116Bのひとつとして切換タイミング信号112が出力される。
【0037】
図3には、以上説明した送受信部12における動作がタイミングチャートとして示されている。ここで、符号112−1、112−2、112−3はそれぞれ切換タイミング信号が発生した時点を示している。最初に切換タイミング信号112−1が発生すると、レジスタAが選択され、そこに格納されているパラメータ情報#1が使用対象となる。そして、切換タイミング信号112−2の発生に先だって、パラメータ情報#2が主制御部から配信され、それがレジスタBに格納される。その後に切換タイミング信号112−2が発生すると、その直後のフレーム同期の立ち上がり時点において、レジスタの選択対象がレジスタAからレジスタBに変更される。これによって、パラメータ情報#2を用いてデータ処理が遂行されることになる。以下同様に、レジスタAには前もってパラメータ情報#3が格納され、その後に切換タイミング信号112−3が入力されると、次のフレーム同期の立ち上がりタイミングにおいて、使用レジスタがレジスタBからレジスタAへ変更される。
【0038】
この送受信部12においては、以上のように、パラメータ情報の選択の更新タイミングは主制御部22によって支配されている。ただし、パラメータ情報の更新にあたって、送受信の動作は停止されておらず、すなわち送受信がそのまま継続している。
【0039】
図4には、図1に示したビーム処理部14の具体的な構成例が示されている。ちなみに、各図において同様の機能をもった構成には同一符号を付してある。図4において、メモリ30は図2に示したメモリ30に相当し、主制御部22から出力されるパラメータ情報108が非使用状態にある一方のレジスタに格納され、他方のレジスタからパラメータ情報が読み出され、それによって処理部34においてビーム処理が遂行される。ここで、処理部34は例えば複数の信号処理器などによって構成されるものである。制御部32は、上流側からの制御情報116Aを受けて、ビーム処理部14内における各構成の動作制御を行っている。ここで、制御部32は、制御情報116Aに含まれる切換タイミング信号の検出機能、制御情報116Aに含まれるフレーム同期信号の検出機能、メモリ30におけるレジスタ選択機能、及び、下流側への制御情報116Bの出力機能などを具備している。ここで、フレーム同期に関する情報についてはデータ処理部間において授受させることなく別途供給するようにしてもよい。ちなみに、コントロール信号110は、主制御部22から出力された動作制御信号である。
【0040】
制御部32は、主制御部22から、動作条件の変更に伴って新しいパラメータ情報108がメモリ30に入力されると、その新しいパラメータ情報を非使用のレジスタに格納する制御を行う。その一方において、使用中のレジスタに格納されたパラメータ情報を処理部34に出力する制御を行う。もちろん、処理部34が自らパラメータ情報の参照を行うようにしてもよい。上流側の送受信部12から切換タイミング信号が送られてくると、制御部32によってそれが検出され、その検出後におけるフレーム同期の立ち上がり時点において、パラメータ情報の選択の更新が判定される。すなわち、処理部34によって参照されるレジスタが切換えられることになる。そして、処理部34により新しいパラメータ情報を用いてデータ処理を行った結果の先頭のデータが出力されるタイミングで、制御部32から後段の走査変換部16へ、制御情報116Bのひとつとして切換タイミング信号が出力される。もちろん制御情報116Bとして必要であれば上述したようにフレーム同期信号やその他の属性信号も出力される。
【0041】
したがって、このビーム処理部14においては、前もって新しいパラメータ情報が格納され、上流側から与えられる切換タイミング信号に従って使用するパラメータ情報を切り換えることができる。すなわち、ビーム処理部14における信号処理は何ら中断せず、動作条件の変更に際してもそのまま処理を継続的に行うことができる。仮に、使用するパラメータ情報の更新タイミングについて主制御部22側で制御を行おうとすると、各データ処理部における処理の進行度合いなどを常に把握する必要などが生じ、極めて煩雑である。このため、従来においては仕方なく送受信の停止などの制御がなされていたが、本実施形態においてはそのような問題を解消して、リアルタイム性を確保できるという利点がある。
【0042】
図5には、走査変換部16の具体的な構成例が示されている。基本的な構成は図4に示したものと同一である。ただし、本実施形態においては、記憶再生部26から出力される再生されたデータが走査変換部16に入力されることに鑑み、記憶再生部26から出力されるパラメータ情報118がメモリ30に書込可能に構成されている。これについては後に詳述する。
【0043】
図6には、画像処理部18の具体的な構成例が示されている。図5に示した構成との相違は、制御部32において制御情報の出力機能を具備していない点だけである。
【0044】
よって、通常の超音波診断を実行している場合においては、動作条件が変更されると、それに即応してただちに主制御部22から各データ処理部に対してパラメータ情報が出力され、それが各データ処理部において格納される。そして、上流側のデータ処理部から切換タイミング信号が供給された時点で、各データ処理部がフレームに同期しつつパラメータ情報を変更する。すなわちパラメータ情報の更新を行う。よって各データ処理部ごとに個別的に適切な更新タイミングを判定しているので、主制御部22における制御の負荷を大幅に軽減することができる。もちろん、上述したように以上の処理を行うにあたっても超音波の送受信を継続的に行うことができるという利点がある。本実施形態においては、送受信部12から画像処理部18までの一連のデータ処理部がそれぞれ上記のパラメータ情報の更新方式を具備しているので、合理的で円滑な動作制御を行える。そうではなく、少なくとも1つのデータ処理部について上記方式が適用されるようにしてもよい。
【0045】
次に、図7には、図1に示した記憶再生部26の具体的な構成例が示されている。記憶再生部26は、記憶部42、記憶部44、記憶部46を有している。図7においては各記憶部が別々の記憶部として示されているが、もちろんそれらは一体的に同一のメモリ上に構成されるようにしてもよい。それらの記憶部42,44,46についてのデータの書込制御を行うために書込みコントローラ54が設けられている。また各記憶部42,44,46からのデータの読み出し制御を行うために再生コントローラ56が設けられている。記憶部42,44は本実施形態においてリングバッファを構成している。すなわち、常に一定期間に亘るデータが時系列順で格納されており、具体的には、記憶部44には一連のビームデータ50が格納されている。このビームデータ50は走査面を構成する1本の超音波ビームに相当するデータである。そして、各ビームデータ50に対応づけつつ記憶部42にはアトリビュートデータ48が格納されている。このアトリビュートデータ48は、例えば、フレーム同期情報、シーケンス番号としての切換タイミング信号、ビームモード、フレームモードなどの各種の属性データによって構成される。それらの情報は、ビーム処理部14からの制御情報、あるいは主制御部からの情報である。特に、ビームデータに対応づけてシーケンス番号が格納されているため、すなわち動作条件の変更を表す情報が格納されているため、データの再生時においてそのシーケンス番号を利用して走査変換部16などにおいて必要なパラメータ情報を容易に特定することも可能となる。
【0046】
記憶部46には、各シーケンス番号に対応付けられつつ時系列順で複数のパラメータ情報52が格納される。ちなみに、このパラメータ情報52は走査変換部16及び画像処理部18においてデータ再生時に用いられる情報であるが、走査変換部16と画像処理部18とで異なるパラメータ情報が用いられる場合には、記憶部46において各シーケンス番号に対応付けてパラメータ情報セットが格納される。図8を用いて、図7に示した記憶再生部26の動作について説明する。
【0047】
図8において、符号200は、データ再生の開始タイミングを表している。まずその開始タイミングにおいて、図7に示した再生コントローラ56の作用により走査変換部16及び画像処理部18における2つのレジスタにパラメータ情報がそれぞれ格納される。ここでは、シーケンス番号0に対応するパラメータ情報iが走査変換部16及び画像処理部18のレジスタAに格納され、シーケンス番号1に対応するパラメータ情報i+1が走査変換部16及び画像処理部18のレジスタBに格納されている。すなわち再生コントローラ56の作用によって記憶再生部26の後段に設けられているデータ処理部に対してパラメータ情報の事前書込がなされる。
【0048】
その後に、フレーム同期信号の立ち上がりタイミングを迎えると、その時点から再生コントローラ56によってビームデータが順番に読み出される。これと同時に、走査変換部16及び画像処理部18においては、使用するレジスタとしてレジスタAが選択される。
【0049】
ビームデータの読み出しに伴って、アトリビュートデータ48、あるいは、そのアトリビュートデータ48内の情報によって構成される制御情報が走査変換部16に入力される。すなわち、ビーム処理部14から出力される制御情報と同様の情報が記憶再生部26から走査変換部16に与えられることになる。よって、走査変換部16においては、制御部32が切換タイミング信号としてシーケンス番号の変更を検知すると、それに伴って処理部34においてフレーム同期のタイミングで使用するレジスタを切り換える。これが図8においてレジスタAからレジスタBへの切換えとして表されている。その一方において、図7に示した再生コントローラ56においてもビームデータの読み出しに伴って、別途読み出されるアトリビュートデータを参照しており、特にそのアトリビュートデータ48に含まれるシーケンス番号を検出している。
【0050】
シーケンス番号の変更が検出されると、走査変換部16及び画像処理部18における使用レジスタの切換の後に再生コントローラ56の作用によって次のパラメータ情報i+2が読み出され、そのパラメータ情報i+2が空きレジスタAに格納される。そして、このような過程が順次繰り返されることになる。
【0051】
上記の実施形態においては、記憶再生部26の内部に、後のデータ再生で必要なパラメータ情報の格納を行ったが、もちろん走査変換部16及び画像処理部18のそれぞれにおいて過去に使用したパラメータ情報を蓄積しておいて、データ再生時に必要なパラメータ情報を利用するようにしてもよい。また、上記の実施形態の説明においては、パラメータ情報が複数のパラメータ値によって構成される場合に、それらの全部が置換されるものであったが、もちろん部分的にパラメータ値が置換されるような場合にも本発明を適用することができる。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば動作条件の変更があってもそのまま各データ処理モジュールの動作を継続させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る超音波診断装置の好適な実施形態を示すブロック図である。
【図2】 図1に示す送受信部の具体的な構成例を示すブロック図である。
【図3】 図2に示す構成の動作を示すタイミングチャートである。
【図4】 図1に示したビーム処理部の具体的な構成例を示すブロック図である。
【図5】 図1に示した走査変換部の具体的な構成例を示すブロック図である。
【図6】 図1に示した画像処理部の具体的な構成例を示すブロック図である。
【図7】 図1に示した記憶再生部の具体的な構成例を示すブロック図である。
【図8】 記憶再生部の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【符号の説明】
10 プローブ、12 送受信部、14 ビーム処理部、16 走査変換部、18 画像処理部、20 表示部、22 主制御部、26 記憶再生部。

Claims (8)

  1. 超音波の送受波により得られたデータを段階的に処理する超音波診断装置において、
    前記段階的な処理に対応して設けられた複数のデータ処理モジュールと、
    動作条件が変更された場合に、前記各データ処理モジュールに対してパラメータ情報を出力する主制御部と、
    を含み、
    前記複数のデータ処理モジュールの内で、少なくとも1つのデータ処理モジュールは、
    前記主制御部から出力されたパラメータ情報が格納され、これにより複数のパラメータ情報が使用順で格納されるメモリと、
    上流側から出力された切換タイミング信号を検出するタイミング検出手段と、
    前記切換タイミング信号の検出に基づき、前記メモリに格納された複数のパラメータ情報の内で、それまで選択されていたパラメータ情報に代えて次順位のパラメータ情報を選択することにより、データ処理において使用するパラメータ情報を更新する選択手段と、
    前記選択手段により選択されたパラメータ情報を使用して、前記上流側から出力されたデータを処理して出力する処理手段と、
    前記選択手段により選択されたパラメータ情報を使用したデータ処理結果として下流側へデータを出力する場合に、当該下流側へ切換タイミング信号を出力するタイミング信号出力手段と、
    を含むことを特徴とする超音波診断装置。
  2. 請求項1記載の装置において、
    動作条件の変更時で前記複数のデータ処理モジュールが動作を中断停止することなく継続的に動作することを特徴とする超音波診断装置。
  3. 請求項1記載の装置において、
    前記タイミング信号出力手段は、更新後のパラメータ情報を用いたデータ処理結果として先頭のデータが出力される時に、当該先頭のデータと一緒に前記切換タイミング信号を出力することを特徴とする超音波診断装置。
  4. 請求項1記載の装置において、
    前記段階的な処理における途中位置から取り出されるデータについて記憶及び再生を行う記憶再生モジュールを含み、
    前記記憶再生モジュールは、
    前記途中位置から取り出されたデータ及び切換タイミング信号を記憶する第1記憶部と、
    再生モードにおいて、前記第1記憶部からデータ及び切換タイミング信号を読み出して前記途中位置に戻す再生部と、
    を含むことを特徴とする超音波診断装置。
  5. 請求項1記載の装置において、
    前記切換タイミング信号は、各動作条件を識別するためのシーケンス番号によって構成されることを特徴とする超音波診断装置。
  6. 請求項4記載の装置において、
    前記記憶再生モジュールは、
    前記第1記憶部から読み出されるデータを処理するために必要なパラメータ情報を格納する第2記憶部と、
    前記第1記憶部からの切換タイミング信号の読み出しに対応して、前記第2記憶部からパラメータ情報を読み出し、それを前記途中位置よりも下流側にあるデータ処理モジュールに提供する提供部と、
    を含むことを特徴とする超音波診断装置。
  7. 超音波の送受波により得られたデータを段階的に処理する超音波診断装置において、
    前記段階的な処理に対応して設けられた複数のデータ処理モジュールと、
    動作条件が変更された場合に、前記各データ処理モジュールに対してデータ処理で用いるパラメータ情報を出力する主制御部と、
    を含み、
    前記各データ処理モジュール相互間において、上流側から下流側へ、パラメータ情報の更新タイミングを表す切換タイミング信号をリレー渡しすることを特徴とする超音波診断装置。
  8. 超音波の送受波により得られたデータを段階的に処理する超音波診断装置において、
    前記段階的な処理に対応して設けられ、パラメータ情報を参照してデータ処理を行う複数のデータ処理モジュールと、
    前記段階的な処理の途中位置に設けられ、その途中位置から取り出されたデータを記憶し、その記憶されたデータを読み出して前記途中位置へ戻す記憶再生モジュールと、
    を含み、
    前記記憶再生モジュールには、前記記憶されるデータに対応付けられつつ、パラメータ情報の更新を表す情報が記憶されることを特徴とする超音波診断装置。
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