JP3919619B2 - スピーカ用振動板及びスピーカ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スピーカユニットに係り、詳細には所望する音質にコントロール可能なスピーカ用振動板の構造及び該振動板を用いたスピーカに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の一般的なスピーカユニットを図7を用いて説明する。
【0003】
図7は従来のスピーカユニットの構成を示す断面概略図である。
【0004】
65は一般的なスピーカユニットで、図7で示すように、振動部70、磁気回路部80およびスピーカフレーム85などにより構成されている。
【0005】
振動部70は、振動板71、ボイスコイルボビン72、ボイスコイル73、エッジ74およびダンパ75などにより構成されている。
【0006】
振動板71は、ボイスコイル73に入力された電気入力信号から機械振動に変換された振動を入力信号に応じた音声として放射するもので、略円錐台形状をしており、材料にはパルプや樹脂などが用いられる。
【0007】
振動板71は、小径部(中央部)がボイスコイルボビン72の円筒の先端部に接着固定されており、大径部(開口部)にはエッジ74の内周部に接着固定され、エッジ74の外周部がスピーカフレーム85の開口面に接着固定されている。また、振動板71が固定されたボイスコイルボビン72の略中央部の外周がダンパ75の内周部と接着固定されており、ダンパ75の外周部はスピーカフレーム85の接着面に接着固定されている。従って、振動板71はエッジ74とダンパ75により懸吊状態でスピーカフレーム85に保持されている。
【0008】
ダンパ75は振動板71がボイスコイルボビン72の振動に追従して動くように振動板71を支える支持部材で、円環形状をしており断面が波状に形成されている。材料には樹脂や混紡などが用いられる。
【0009】
エッジ74は振動板71の支持部材で、薄い円環形状をしており、材料にはウレタン材などが用いられ成形加工により形成される。
【0010】
磁気回路部80は、ヨーク81、マグネット82、およびトッププレート83などにより構成されている。
【0011】
スピーカフレーム85は、振動部70および磁気回路部80などを保持する部材で、円錐台形状に近い形状をしており、胴体部には振動板71の振動により発生する背圧を調整するための孔などが設けられている。スピーカフレーム85の内側には振動部70が保持され、スピーカフレーム85の後端部には磁気回路部80が固定される。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述の振動板71では、単一の材料または異種類の材料をブレンドした部材で振動板全体が形成されるので、所望する音質にコントロールできる幅が狭く、理想とする音の追求に限界があった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述の問題を解決するもので、所望する音質にコントロール可能なスピーカ用振動板の構造及び該振動板を用いたスピーカを提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は上述の目的を達成するもので、剛性の高いコア部品を部分的にインサートして樹脂成形された振動板を有し、前記コア部品は樹脂外に延在され、ボイスコイルボビンへの取付部が形成されていることを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明は、図7に示す従来例のスピーカユニットに構成される振動板の構造に関するものである。振動板から放射される音は、振動板の材質、形状および振動板と関連する部品との関係などにより左右されるが、一般的に、小径部(中央部)近傍が高音発生部となり、大径部(開口部)方向へいくほど高音から低音となる傾向にある。本発明は所望する音域の音を強調するために当該箇所を強化するものである。以下に、本発明の第1乃至第3の実施の形態を図1乃至図7を用いて振動板を主に説明する。尚、振動板以外については従来例と略同じであるので、同じ構成については同じ符号を付し説明は省略または簡略説明とする。
【0020】
先ず、本発明の第1の実施の形態を図1、図2および図7(従来のスピーカユニットの構成を示す断面概略図を参照)を用いて説明する。
【0021】
図1は本発明の第1の実施の形態に係る振動板の要部を示す概略拡大図である。図2は本発明の第1の実施の形態と一部が異なるスピーカ用振動板の要部を示す概略拡大図である。
【0022】
10は一般的なスピーカ用振動板(以降振動板と言う)で、ボイスコイル73に入力された電気入力信号から機械振動に変換された振動を入力信号に応じた音声として放射する部品で、略円錐台(漏斗)形状をしており、コア部材20と樹脂部35などにより構成されている。
【0023】
コア部材20は、振動板10の補強部材で振動板10の小径部(中央部)近傍から大径部(開口部)の途中までの形状に略近い形状に形成されている。コア部材20の材料には、軽くて剛性がありしかも加工性に優れた材料、例えば、アルミニュウム系の金属が用いられプレス加工などにより形成される。
【0024】
樹脂部35は、振動板10全体を形成する部材であり、例えば、ポリプロピレン、ABS、パルプ入り樹脂、発泡樹脂および異種部材混入樹脂などの中から最も適応した部材が用いられる。振動板10は、所定の位置にコア部材20を位置決めし、例えば、異種部材混入樹脂を用いてインサート樹脂成形加工により形成される。
【0025】
尚、振動板10は小径部の取付部36がボイスコイルボビン72の円筒の先端部に接着固定されており、大径部にはエッジ74の内周部が接着固定され、エッジ74の外周部がスピーカフレーム85の開口面に接着固定されている。また、振動板10が固定されたボイスコイルボビン72の略中央部の外周が、ダンパ75の内周部と接着固定されており、ダンパ75の外周部はスピーカフレーム85の接着面に接着固定されている。従って、振動板10はエッジ74とダンパ75により懸吊状態でスピーカフレーム85に保持されている。
【0026】
以上説明したように本発明の第1の実施の形態に係る振動板10によれば、音の強調を所望する音域発生部位(本例では、小径部近傍から大径部の途中までの高/中音発生部)に補強用のコア部材20をインサートすることにより、所望する高/中音を強調した音を放音させることができる。
【0027】
また、本例では高/中音発生部位にコア部材20をインサートしたが、その他に、高音/中音/低音それぞれの発生部位だけでもよく、または、全面に設けたり、複数箇所に設けることもできる。
【0028】
尚、本例の振動板10では、コア部材20全体がインサートされるように設けたが、その他に、例えば図2で示す振動板11のように高音発生部位のコア部材22に延在してボイスコイルボビン72への取付部23を設けることにより、振動板10の高音をさらに強調した音を放音させることができる。
【0029】
次に、本発明の第2の実施の形態を図3および図4を用いて説明する。
【0030】
図3は本発明の第2の実施の形態に係るスピーカ用振動板の要部を示す概略拡大図である。図4は本発明の第2の実施の形態と一部が異なるスピーカ用振動板の要部を示す概略拡大図である。尚、第2の実施の形態は第1の実施の形態の一部を変更したもので、その他については第1の実施の形態と略同じであるので、変更点を重点に説明し、同じ構成については同じ符号を付し説明を省略または簡略化する。
【0031】
振動板12は、コア部材25と第1樹脂部40および第2樹脂部50などにより構成されている。
【0032】
コア部材25は、振動板12の補強部材で振動板12の小径部(中央部)近傍の形状に略近い形状に形成されている。コア部材25の材料には、軽くて剛性がありしかも加工性に優れた材料、例えば、アルミニュウム系の金属が用いられプレス加工などにより形成される。
【0033】
第1樹脂部40および第2樹脂部50は、振動板12全体を形成する部材であり、例えば、ポリプロピレン、ABS、パルプ入り樹脂、発泡樹脂および異種部材混入樹脂などの中から最も適応した部材が選ばれて用いられる。振動板12は、所定の位置にコア部材25を位置決めし、例えば、2種類の第1樹脂部40と第2樹脂部50とを部分的に使い分けてインサート樹脂成形加工(2色成形に準ずる加工)により形成される。
【0034】
以上説明したように本発明の第2の実施の形態に係る振動板12によれば、全体を形成する樹脂部材に、物性の異なる2種類の第1樹脂部40と第2樹脂部50とを部分的に使い分けることにより、コア部材25との組合わせが増えるので、音質の調整できる幅が広がり、所望する音に近づけることができる。
【0035】
尚、本例の振動板12では、コア部材25全体がインサートされるように設けたが、その他に、例えば図4で示す振動板13のように高音発生部位のコア部材22に延在してボイスコイルボビン72への取付部23を設けることにより、振動板12の高音をさらに強調した音を放音させることができる。
【0036】
次に、本発明の第3の実施の形態を図5および図6を用いて説明する。
【0037】
図5は本発明の第3の実施の形態に係るスピーカ用振動板の要部を示す概略拡大図である。図6は本発明の第3の実施の形態と一部が異なるスピーカ用振動板の要部を示す概略拡大図である。尚、第3の実施の形態は第2の実施の形態の一部を変更したもので、その他については第2の実施の形態と略同じであるので、変更点を重点に説明し、同じ構成については同じ符号を付し説明を省略または簡略化する。
【0038】
振動板14は、コア部材30と第1樹脂部40および第2樹脂部50などにより構成されている。コア部材30は、振動板14の小径部(中央部)近傍から大径部(開口部)近傍までの形状に略近い形状に形成されている。コア部材30の材料には、軽くて剛性がありしかも加工性に優れた材料、例えば、アルミニュウム系の金属が用いられプレス加工などにより形成される。その他については、第2の実施の形態の振動板12と略同じである。
【0039】
以上説明したように本発明の第3の実施の形態に係る振動板14によれば、コア部材30を振動板14の全面にインサートすることにより、重量感のある音を放音させることができる。その他に、本発明の第2の実施の形態と同じ効果を得ることができる。
【0040】
尚、本例の振動板14では、コア部材30全体がインサートされるように設けたが、その他に、例えば図6で示す振動板15のコア部材32ように高音発生部位に延在してボイスコイルボビン72への取付部33を設けることにより、振動板14の高音をさらに強調した音を放音させることができる。
【0041】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、所望する音質にコントロール可能なスピーカ用振動板の構造及び該振動板を用いたスピーカを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るスピーカ用振動板の要部を示す概略拡大図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態と一部が異なるスピーカ用振動板の要部を示す概略拡大図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係るスピーカ用振動板の要部を示す概略拡大図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態と一部が異なるスピーカ用振動板の要部を示す概略拡大図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態に係るスピーカ用振動板の要部を示す概略拡大図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態と一部が異なるスピーカ用振動板の要部を示す概略拡大図である。
【図7】従来のスピーカユニットの構成を示す断面概略図である。
【符号の説明】
10,11,12,13,14,15,71・・振動板
20,22,30,32・・コア部材
23,33,36,51・・取付部
35・・樹脂部
40・・第1樹脂部
50・・第2樹脂部
65・・スピーカユニット
70・・振動部
72・・ボイスコイルボビン
73・・ボイスコイル
74・・エッジ
75・・ダンパ
80・・磁気回路部
81・・ヨーク
82・・マグネット
83・・トッププレート
85・・スピーカフレーム

Claims (1)

  1. 剛性の高いコア部品を部分的にインサートして樹脂成形された振動板を有し、
    前記コア部品は樹脂外に延在され、ボイスコイルボビンへの取付部が形成されていることを特徴とするスピーカ。
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