JP3919604B2 - 組電池の電池管理方法とシステム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
組電池で駆動する電池機器システムに於いて、残容量表示や充電や機器のパワーセーブや電池セルのバランス調整等を行う電池管理方法とシステム、およびその方法を保存した記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
組電池機器システムとは、組電池と電池管理手段をケースに収めた電池パックの形態が基本であるが、ノートパソコンやビデオカメラやハイブリッドカーのように組電池とセット本体が通信を行い電池の管理を行う形態も含まれる。従来電池で駆動する機器の中でも、携帯電話やデジタルスチルカメラ等は電池1個の単セル電圧で駆動できるが、ビデオカメラやノートパソコン等は、電池電圧の高いリチウムイオン電池を使用しても単セル電圧では不足である。そこで単セルを複数個直列に接続して組電池にして所望の電池電圧を得ている。また従来の電池管理手段では、電池残容量を算出して液晶等の表示装置に表示して、使用者が機器の電源を切ったり、充電したりする管理に使用されている。あるいは電池残容量が少なくなってくると、自動的に液晶の明るさを落として、パワーセーブする電池管理を行っている機器も存在する。いずれも電池残容量を求めて、その情報に基づいて電池管理を行う方法である。
【0003】
その電池残容量の算出は、従来から単セル電池の場合、電池セルの電圧から電池残容量に変換する電圧方法や電池に出入りする電流を積算する電流積算方法がある。あるいは電圧方法と電流方法を組み合わせた方法がある。組電池の場合は組電池全体を一つのセルと見なして、組電池全体の電圧や組電池全体に出入りする電流を検出して、単セル電池と同様な方法が実施されている。
【0004】
また、直列接続した組電池では各電池セルの電圧バランスが崩れる問題がある。電圧のバランスの崩れる原因としては、電池セルを組電池に組上げた時、最初から電池セルの電圧が異なっている場合や、各電池セルの電池容量が異なっている場合が上げられる。電池セルの電圧バランスが崩れると、充電時、電圧の高い電池セルが過充電になったり、他の電池セルが充電不足になる問題がある。また放電時は電池電圧の低い電池セルが過放電になったり、他の電池セルの電池容量が残ったまま組電池全体では放電終止電圧になる問題がある。いずれにしても、結果的に組電池の使用可能容量が低下する。そこで従来は各電池セルの電圧を独立して検出して、各電圧に所定電圧以上の差が生じた時、電圧の高い電池セルを放電して電圧の低い電池セルの電圧に合わせるコントロールを行っている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
通常電池セルを直列接続して組電池にする場合、基本的にほぼ同じ容量の電池セルを使用すると共に、全ての電池セルの電圧がほぼ同じになるように、いわゆるセルバランスをとって組上げている。従って組電池の電池残容量を算出する上で、新品電池の間は、従来の電池残容量算出方法であっても問題のない場合が多い。しかし何度も繰り返し充放電を繰り返していると、劣化等で各電池セルの容量が不均一になり、各電池セルの電圧も不均一になる。すると充電時、組電池全体では正常な充電電圧であっても、電池容量の大きな電池セルでは充電電圧が不足して満充電まで達しないで、組電池としては充電不足のまま満充電になってしまう問題がある。また放電時、組電池全体の放電終止電圧に到達した時、まだ電池容量が残っている電池セルが有り、組電池としては容量を使い切らない内に終止電圧になってしまう問題がある。従って当然組電池の実残容量は算出値より少なく、従来の算出方法を用いている組電池機器システムの残容量表示の精度は大幅に低下する。
【0006】
その上、充電時、電池容量の小さな電池セルは過充電になるので、安全性が低下したり、リチウムイオンセルを使った組電池では過電圧保護回路が作動し、組電池の電流を遮断して、機器が使用できなくなる大きな問題が発生する。そのために従来、各電池セルの電圧バランスが崩れてくると、スイッチと放電抵抗で構成する閉回路を各電池セルに設けて、高い電圧の電池セルを、低い電圧の電池セルの電圧になるまで放電する等のセルバランス調整をする管理方法が数種類ほど提案されている。例えば、実願平5−47535、特願8−200260、特願平9−346550、特願10−32887、特願平11−61307等が特許あるいは実用新案として出願されている。しかし、いずれの方法も、各電池セルの電圧を一致させる調整方法である。ところが、電池容量バランスの崩れた各電池セルの電圧を同一にしても、各電池セルの残容量や満充電するまでの充電可能容量は同一にならないので、組電池の残容量表示精度には大きな誤差が発生する。さらには組電池を充放電すると、直列接続した各電池セル電池に流れる電流は同じであるから、充電した時は過充電になる電池セルが発生し、放電した時は過放電になる電池セルが発生する大きな問題も解消できていない。
【0007】
従って本発明の目的とするところは、複数の電池セルが直列接続された組電池において、セルバランスが崩れた時も、組電池全体の正確な残容量を算出して残容量表示やコントロールを行い、機器使用者あるいは機器が自動的に組電池の制御を正確に行える管理方法、あるいはシステム、あるいは方法を記録した記録媒体を提供する事を目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
直列接続した複数の電池セルからなる組電池と組電池管理手段で構成する組電池機器システムにおいて、上記目的を達成するために、本発明は、組電池管理手段が次の技術的手段を有する。それは、複数の電池セルのセル残容量算出手段と、求めた複数のセル残容量の中から組電池の残容量として使用するセル残容量を選択するセル残容量選択手段、あるいは複数の電池セルのセル充電可能容量算出手段と、複数の充電可能容量の中から組電池の充電可能容量として使用するセル充電可能容量を選択するセル充電可能容量選択手段と、組電池機器システムの制御手段である。すなわち本発明は、従来のように組電池全体の電圧と、出入りする電流の管理、あるいは各電池セルの電圧だけを管理するのではなく、各電池セルの残容量を管理する事で、組電池の残容量表示あるいは組電池機器システムのコントロールを行う方法である。あるいはその方法を構成するシステム、あるいはその方法を記録した記録媒体である特徴がある。
【0009】
さらに本発明は、電池セルの残容量を算出する手段として、本発明者が、特願2001−173443にて特許出願した電池の残容量変換方法を採用した。従来は、組電池におけるセルバランスの崩れた各電池セルの残容量算出が極めて困難であったが、特願2001−173443による電池の残容量変換方法を使えば容易に電池セルの残容量を算出できる特徴がある。
【0010】
また本発明は、各電池セルに独立して設けるセルバランス調整用の閉回路に流れた電気量を、組電池全体に流れた電気量に加算あるいは減算して各電池セルに流れた電気量にして、セル残容量算出手段あるいはセル充電可能容量算出手段の精度を高める特徴がある。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態1を、図1のブロック図を用いて詳細に説明する。先ずn個の電池セルを直列接続して組電池にする。図1では、nは3個として説明するが、nは2個以上であれば説明の趣旨は変わらない。各電池セル1〜3にはそれぞれセル残容量算出手段4〜6を並列に接続する。また各セル残容量算出手段4〜6はそれぞれセル残容量選択手段7に入力する。さらにセル残容量選択手段は制御手段8に入力する。そして組電池への電流の入出力は陽極9と陰極10を通して行う。セル残容量算出手段4〜6とセル残容量選択手段7と制御手段8の動作プログラムはマイコン11に収める。
【0012】
セル残容量算出手段4〜6は、本発明者が特願2001−173443にて特許出願した電池の残容量変換方法を用いる。それを図2で説明する。セル残容量算出手段4〜6は各電池セル1〜3の残容量をそれぞれ独立して算出する手段であるが、その構成は同じで良く、また一つのセル残容量算出手段4をマルチプレクサ等で、電池セル1〜3を切り替えて使用しても良い。すなわち残容量算出手段4〜6をセル電圧取得手段12と開放電圧対残容量変換手段13と電流最小値特定手段14と電流積算手段15と電流取得手段16で構成する。電流取得手段16は電池セル1〜3に直列に接続した電流検出抵抗17の両端に発生する電圧を検出する、電流検出の一つの方法を用いた。
【0013】
そしてその動作フローを図3に示す。先ずステップ1、以降(S1)と表示するが、電源オン(S1)するとマイコン11がオン(S2)する。次に電流取得手段16で流れる電流を検出する(S3)。次に電流最小値特定手段14を使って電流最小値を特定する(S4)。
【0014】
次に電池電圧取得手段12を使って電池セル1〜3の開放電圧を取得する(S5)。一般に開放電圧とは、電池の陽極と負極を結ぶ電気回路をオープンにした時、すなわち電池に出入りする電流がゼロの場合の電圧である。但し電流が微小であればある程、電圧は開放電圧に近づくので、電流が最小値以下になった時の電圧を開放電圧と規定しても良い。例えば携帯電話であれば、待受け時の微小な電流のみが流れる状態、あるいはノートパソコンであれば、電源はオフしてもセル電圧を取得してメモリーするだけの微小な電流のみが流れる状態がある。
その時のセル電圧を開放電圧と見なす事ができる。
【0015】
次に開放電圧対残容量変換手段13を使って、取得した電池セル1〜3の開放電圧(S5)を残容量に変換する(S6)。開放電圧対残容量変換手段13は、あらかじめ電池セル1〜3が劣化していない初期の時の電池特性を測定して、開放電圧対残容量のデータを取得し、変換テーブル18にして、ROM等の不揮発性メモリーに保存する。
【0016】
次に電流が最小値を超えて流れ始めると(S7)、変換して得た電池セル1〜3の残容量(S6)を初期値(S8)にし、電流積算手段5を使って、流れる電流を積算して、流れた電気量Qをカウントする(S9)。ところで本明細書の中では、放電電流をプラス、充電電流をマイナスで計算する。
【0017】
次に電池セル1〜3の残容量の初期値(S8)からカウントした電気量Q(S9)を減算あるいは加算する(S10)。こうして電池セル1〜3の残容量は初期値(S8)を電気量Q(S9)で減算あるいは加算しながら新しい残容量に更新する(S11)。
【0018】
ここまでの動作フロー(S1)〜(S11)は各電池セル1〜3について、それぞれ独立に実施する。従って3個の残容量が得られる。電池セル1〜3の残容量をそれぞれCr(1)〜Cr(3)と表示する。
【0019】
次にセル残容量選択手段7で、Cr(1)〜Cr(3)の中からもっとも残容量の少ない電池セル残容量を選んで(S12)、組電池の残容量を確定する(S13)。
【0020】
次に確定した組電池残容量(S13)を制御手段8に入力する。制御手段8は液晶ディスプレイ等に残容量表示を行う。機器使用者は組電池の残容量を確認して、機器の電源を切ったり、電池を交換する等の電池管理を行う事ができる。
【0021】
次に組電池の充電をコントロールする実施の形態2を説明する。電池セル1〜3と組電池管理手段20の構成は実施の形態1で示した図2と同じである。また図3に示す動作フローのステップ(S1)〜(S11)は同じなので、(S11)以降を図4に示す。さて各電池セル1〜3の満充電における残容量すなわち容量は、組電池に組み上げた時から同じであるとは限らない。また劣化などの要因で各容量のバラツキは拡大する。そこで各電池セルの容量を区別してCf(1)〜Cf(3)と表示し、充電可能容量をCp(1)〜Cp(3)と表示すると(1)式の関係が成立する。
【0022】
【数1】
Cp(m) =Cf(m) − Cr(m) ,m=1〜3 … (1)
【0023】
そしてセル充電可能容量選択手段21は(1)式でCp(m)を求めて、その中でもっとも少ないCp(min)を選択する(S16)。次にそのCp(min)を組電池の充電可能容量であると確定する(S17)。次に制御手段8を用いて、組電池をCp(min)だけ充電する(18)。するといずれの電池セル1〜3も過充電する事なく、組電池を最大容量まで充電する事ができる。
【0024】
前記したごとく、各電池セル1〜3の各容量Cf(m)は同じだとは限らない。さらには劣化によって各電池セルの容量が変化すると、従来の電池残容量算出方法では、組電池に組まれた電池セル1〜3の劣化度を算出する事ができないのでCf(m)を求める事ができない。従来の電圧方法や電流積算方法はCf(m)が基準値あるいは初期値になるので、Cf(m)が求まらない現状では、各電池セル1〜3の実残容量や実充電可能容量を求めるのは不可能と言える。
【0025】
そこで。各電池セルのCf(m)を求め、また補正する方法である実施の形態3を図5の動作フロー図を使って説明する。図5は特願2001−173443に示した容量劣化度の算出方法である。先ず電流最小値以下を検出する(S13)と、電池セル1〜3の各開放電圧Vnを取得し(S5)、セル残容量Crn0に変換する(S6)。ここでVnのごとく下付きの符号nは電流最小値以下を検出した回数を示し、Crn0は劣化していない時の電池セルのn回目のセル残容量を示す。
【0026】
次にステップ13に戻るが、組電池に流れる電流が電流最小値を超える電流であると、Crn0を初期値にして(S8)、組電池に流れる電気量Qnをカウントする(S9)。再び電流最小値を検出する(S13)まで、電気量Qnはカウントアップされ続ける(S9)。再び電流最小値以下を検出する(S13)と、開放電圧V(n+1)を取得し(S5)、セル残容量Cr(n+1)0に変換する(S6)。ところで、セル残容量Crn0と残容量Cr(n+1)0は、開放電圧対残容量変換手段13、すなわち図3のテーブル18を参照して、開放電圧VnとV(n+1)から変換した残容量である(S6)。テーブル18から求めるセル残容量は、電池セルが劣化していない基準電池セルの残容量である。一方電気量Qnは、電圧Vnを取得して(S5)から、再び電圧V(n+1を取得する(S5)までの間に実際に使用した容量である。従って電池セルが劣化した比率を示すセル劣化度αcの基本式は(2)式で表される。
【0027】
【数2】
αc = ( Crn0 Cr(n+1)0)/Qn … (2)
【0028】
式(1)の劣化度αcでは、劣化していないセルであればαcは1で、劣化する程大きくなる扱いにしている。また放電時の電気量Qnはプラスで充電時の電気量Qnはマイナスで扱っている。但しQnが非常に小さいと、VnとV(n+1)の差も小さくなって、セル電圧取得手段12で電圧差を判別できなくなる恐れがある。そこでQnは所定量以上の場合だけ採用する必要がある。電池セルの劣化は徐々に進む傾向があり、頻繁にセル劣化度αcを更新する必要がないので、Qnが十分に大きくてセル劣化度αcが正確に求まる時だけ、本実施例を実施すれば良い。
【0029】
図5のフローには示していないが、こうして求まったセル劣化度αcが1でない場合は、ステップ6のセル残容量Crn0をαcで割って補正して実残容量Crnを求める。またステップ8の初期値も、セル残容量Cn0をセル実残容量に更新する。補正は(3)式で表される。mはそれぞれの電池セル1〜3について独立に算出する事を示す。
【0030】
【数3】
Crn(m) = Crn0(m)/αc(m),m=1〜3 … (3)
【0031】
また実容量Cfはセルの劣化を考慮した満充電時のセル実残容量とし、基準電池の満充電時のセル残容量を容量Cf0とすると、Cfは(4)式で表される。
【0032】
【数4】
Cf(m) = Cf0(m)/αc(m) ,m=1〜3 … (4)
【0033】
通常電池セル1〜3を接続して組電池にする時、一つ々々の電池セル1〜3の容量Cf0は実測していない。しかしできるだけ均一にするために同一生産ロットの中の電池セルを組み合わせる。従って放電カーブや充電カーブなどの電池特性はほぼ相似になっている。従ってその生産ロットの平均的な特性を実測して、あらかじめ標準容量Cf0(avr)を決定しておけば、Cf(m)は(4)式のCf0(m)をCf0(avr)で置換えて式(2)と式(4)で補正して求める事ができる。
【0034】
このように各電池セル1〜3の満充電時の実容量が、劣化等の要因で変化しても求まるので、セル残容量とセル充電可能容量が算出できる。従って制御手段8で、組電池の正確な残容量と充電可能容量が液晶ディスプレイ等に表示できる。また電池セル1〜3の過充電を防いで安全性を高める事ができる。
【0035】
次に制御手段8が電池セル1〜3のセルバランスを取る実施の形態4を図6のブロック図を用いて説明する。各電池セル1〜3に並列にスイッチ19〜21とバランス抵抗22〜24を直列に接続して閉回路25〜27を図2に追加した構成である。
【0036】
次に、制御回路8が電池セル1〜3の実残容量を使ってバランスを取る場合の動作フローになるように、図3を変更した図7について説明する。図7は図3のステップ9から以降を示す。先ず電池セル1〜3の残容量算出の結果(S11)からセル残容量が最少の残容量Cr(min)を選択した(S12)。例えばそれが電池セル1であるとすると、他の電池セル2、3の残容量Cr(2)、Cr(3)はCr(1)よりも多い。そこで制御手段8を使ってスイッチ20、とスイッチ21をオンする。すると閉回路26ではバランス抵抗23を介して電池セル2に単独の電流が流れて、Cr(2)を消費する。電池セル3に於いても、閉回路27ではCr(3)が消費されるのは同様である。Cr(2)とCr(3)はそれぞれCr(1)と等しくなるまで放電し、ほぼ等しくなったところで(S22)、スイッチ20とスイッチ21をオフして閉回路26、27での放電をストップする(S23)。
【0037】
ところでスイッチ20、21がオンしている間、ステップ20では閉回路26、27に流れる電流をカウントして電流積算も行い、その電気量をステップ11で更新したセル残容量から減算する(S21)。それをステップ11に戻して、閉回路に流れる電気量も含めたセル残容量に更新する。このようにセル残容量Cr(2)、Cr(3)、Cr(1)が等しくなるようにコントロールすると、組電池が放電終止電圧に達した時、電池セル1〜3の残容量は等しくゼロになると共に、各電池セル1〜3の電圧も等しく終止電圧になって正常なセルバランスが確保できる。
【0038】
次に、制御回路8が、電池セル1〜3の実充電可能容量を使ってセルバランスを取る場合の動作フローになるように図7を変更した図8について説明する。先ず電池セル1〜3のセル充電可能容量算出の結果(S15)から最大のセル充電可能容量Cp(max)を選択した(S16)。例えばそれが電池セル1であるとすると、他の電池セル2、3の充電可能容量Cp(2)、Cp(3)はCp(1)よりも少ない。そこで制御手段8を使ってスイッチ20、とスイッチ21をオンする(S19)。すると閉回路26ではバランス抵抗23を介して電池セル2に単独の電流が流れて、Cr(2)を消費する。電池セル3に於いても、閉回路27ではCr(3)が消費されるのは同様である。Cr(2)とCr(3)はCp(2)とCp(3)がCp(1)と等しくなるまで放電し、ほぼ等しくなった(S22)ところでスイッチ20とスイッチ21をオフ(S23)して閉回路26、27での放電をストップする。
【0039】
またステップ20では電流をカウントして電流積算も行い、その電気量をステップ11で更新したセル残容量から減算する(S21)。それをステップ11に戻して、閉回路に流れた電気量も含めてセル残容量を更新するのは放電の場合と同様である。このようにセル充電可能容量Cp(2)、Cp(3)、Cp(1)が等しくなるようにコントロールすると、組電池が満充電に達した時、電池セル1〜3も等しく満充電になるので、過充電になる電池セルは発生しない。従って充電における正常なセルバランスが確保できる。
【0040】
次に制御手段8が組電池機器システムの消費電力を自動的にコントロールする実施の形態5を説明する。例えばビデオカメラであれば、組電池の残容量が残り少なくなってくると、液晶のバックライトを消灯する等のパワーセーブを行う。また電池モーターとガソリンエンジンで駆動するハイブリッドカーであれば、組電池の残容量が少なくなってくると、電池モーター駆動からガソリンエンジン駆動に切り替えるコントロールを行う。これらの機器コントロールの自動化は周知の技術なので、図面を使った詳細な説明は省略する。
【0041】
【発明の効果】
従来のように組電池全体の電圧と出入りする電流の管理、あるいは各電池セルの電圧による残容量を管理するのではなく、特願2001−173443による残容量算出手段4〜6を用いて求めた各電池セル1〜3の残容量を管理する。従ってセルバランスの崩れた組電池であっても、正確な組電池の実残容量で組電池の残容量表示あるいは組電池機器システムのコントロールを行う。その結果セルバランスが崩れるにつれて、組電池全体の管理精度が低下して行く問題点を解決する効果がある。
【0042】
また本発明者が特願2001−173443にて特許出願した電池の残容量変換方法を採用する事で、従来不可能とされていたセルバランスの崩れた組電池における電池セル1〜3の残容量を正確に求める事が可能になり、電池機器システムの電源管理を正確にできるようになる効果は大きい。
【0043】
また制御手段8がセル残容量を算出し、残容量表示を行う事で、機器使用者が電源管理を正確に実施できる効果がある。
【0044】
また制御手段8がセル充電可能容量に基づいて制御手段8が充電をコントロールする。従って過充電になる電池セルが発生する事なく充電できるので安全性に対する効果が大きい。
【0045】
またセル残容量算出手段が算出したセル残容量を使用し、正確なセルバランスの崩れ量が算出できる。そして制御手段8が、その崩れ量分だけセルの残容量あるいは充電可能容量を調整するので、電圧だけで調整する従来の方法より、精度のよいセルバランスが確保できる効果は大きい。
【0046】
さらに各電池セル1〜3に独立して設けるセルバランス調整用の閉回路25〜27に流れた電気量を、組電池全体に流れた電気量に加算あるいは減算して各電池セル1〜3に流れた電気量にすると、セル残容量算出手段あるいはセル充電可能容量算出手段の精度を高める効果がある。
【0047】
また制御手段8が、組電池機器システムの消費電力を自動的に変化させるので、機器の使用時間を延ばせる効果がある。
【0048】
また正確な組電池管理方法を電池機器システムに構成するので、機器の電源管理の精度が格段に良くなる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1の組電池管理方法のブロック図である。
【図2】実施の形態1の組電池管理方法のブロック図である。
【図3】実施の形態1の組電池管理方法のフローチャートである。
【図4】実施の形態2の組電池管理方法のフローチャートである。
【図5】実施の形態3の組電池管理方法のフローチャートである。
【図6】実施の形態4の組電池管理方法のブロック図である。
【図7】実施の形態4の組電池管理方法のフローチャートである。
【図8】実施の形態4の組電池管理方法のフローチャートである。
【符号の説明】
1,2,3は電池セル
4,5,6はセル残容量算出手段
7はセル残容量選択手段
8は制御手段
9は陽極
10はは陰極
11はマイコン
12はセル電圧取得手段
13は開放電圧対残容量変換手段
14は電流最小値取得手段
15は電流積算手段
16は電流取得手段
17は電流検出抵抗
18は変換テーブル
19,20,21はスイッチ
22,23,24はバランス抵抗
25,26,27は閉回路
Claims (2)
- 直列接続した複数の電池セルからなる組電池と電池管理手段で構成する組電池機器システムに於いて、該電池管理手段が、セル残容量算出手段あるいはセル充電可能容量算出手段と、セル残容量選択手段あるいはセル充電可能容量選択手段と、該組電池機器システムのコントロールをする制御手段を有し、該セル残容量算出手段は複数の該電池セルの残容量を該電池セルに出入りする電流をカウントして電気量Qを求める電流積算手段と、電流最小値特定手段と、セル電圧を取得するセル電圧取得手段と、該電池セルの開放電圧を該電池セルの残容量に変換する開放電圧対残容量変換手段を有し、該電流最小値特定手段が、電流最小値以下に特定した時、該セル電圧取得手段で該電池セルの電圧を取得し、該電圧を該開放電圧対残容量変換手段で該電池セルの残容量に変換し、次に電流が該電流最小値を超えた時、該開放電圧対残容量変換手段によって得られた該残容量を初期値にすると共に、該電流積算手段を使用して積算した電気量Qを、該初期値に加算あるいは減算して該電池セルの該残容量を更新してセル残容量とし、求めた複数の該セル残容量の内から該組電池の残容量に使用する該セル残容量を選択し、該充電可能容量選択手段は該セル充電可能容量算出手段を用いて算出した複数のセル充電可能容量の内から該組電池の該セル充電可能容量を選択し、該制御手段は選択した該セル残容量あるいは該セル充電可能容量を使用して該組電池機器システムのコントロールを行う組電池管理方法。
- 該セル残容量算出手段あるいは該セル充電可能容量算出手段が、セルバランス調整用の閉回路に流れる電流を積算し、該組電池全体に流れる電流を積算して得られる電気量に加算あるいは減算して該セルに流れた電気量とする請求項1の組電池管理方法。
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