JP3919432B2 - 信号受信装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、データ信号とインパルスレスポンス推定のための既知のPN信号とを多値化した受信信号から主波のみを取り出す信号受信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、受信性能劣化対策として、信号受信装置にインパルスレスポンス推定器と最尤系列推定型等化器を備え、最尤系列推定の原理により最適なデータ列を検出し、受信性能の向上を図ることが行われている。
【0003】
図5は、従来の信号受信装置の構成例を示すブロック図である。同図に示す信号受信装置500は、アンテナ502、基準周波数発生器504、乗算器506、ローパスフィルタ(LPF)508、インパルスレスポンス推定器510、データ信号レプリカ生成器512、減算器514、2乗値算出器516、最尤系列推定型等化器(MLSE)518を備えて構成される。なお、変調方式には2値位相変調方式(BPSK:Binary Phase Shift Keying )が用いられているものとする。
【0004】
信号送信装置(図示せず)からは所定のデータフレームが送信される。信号受信装置502は、このデータフレームを受信するものであるが、受信信号には、直接波の他に、信号伝搬路の状況に応じて、該直接波に対して所定のシンボル時間長遅延し、且つ振幅が減少した遅延波を含むことがある。あるいは、受信機がビルの影に位置すると直接波が受信できなくなるため、直接波よりも遅延波のいずれかの方が受信感度が高くなる場合もある。このため、そのまま各シンボルの判定を行うと、判定に誤りが生じる場合がある。そこで、信号受信装置502では、最尤系列推定の原理により、受信信号に主波(受信感度が最大のパス。直接波を含む)それ以外の遅延波等が含まれている場合であっても、受信信号から元のデータフレームを復元可能とする。
【0005】
詳細な説明は、文献「笹岡秀一編、移動通信、オーム社」に記載されているので省略するが、要するに、信号送信装置からは、図6に示すように、送受対象のデータ信号に所定間隔でトレーニング信号としてのPN信号を挿入したデータフレームを送信する。乗算器506は、アンテナ502が受信した信号に、局発信号発生器504からの基準周波数信号を乗算し、ベースバンド信号に変換する。
【0006】
インパルスレスポンス推定器510は、LPF508によって雑音除去及び波形整形されたベースバンド信号からPN信号を抽出し、主波のPN信号と遅延波等のPN信号との時間差及び振幅差をインパルスレスポンス推定値として導出する。
【0007】
データ信号レプリカ生成器512は、このインパルス推定値と最尤系列推定型等化器518によって検出されたデータ信号(復元されたデータ)とに基づいて、データ信号のレプリカを生成する。減算器514は、LPF508からのベースバンド信号からデータ信号のレプリカを減算する。2乗値算出器516は、減算器514によって算出された値の2乗値を算出する。最尤系列推定型等化器518は、2乗値算出器514によって算出された値に基づいて、最適なデータを検出する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図6に示したように、送受対象のデータに所定間隔でPN信号を挿入する方法では、PN信号の送受のためだけに多くの時間が占有され、データの伝送速度の低下(スループットの低下)を招くという問題があった。
【0009】
本発明は、上記従来の問題点を解決するものであり、その目的は、データの伝送速度の低下を防止することが可能な信号受信装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の信号受信装置は、データ信号とインパルスレスポンス推定のための既知のPN信号とを多値化した受信信号から直接波のみを取り出すものであり、データ信号とインパルスレスポンス推定のための既知のPN信号とを多値化した受信信号から直接波のみを取り出す信号受信装置であって、前記PN信号を発生するPN信号発生手段と、前記受信信号をベースバンド信号に変換する信号変換手段と、前記データ信号に基づいて、該データ信号のレプリカを生成するデータ信号レプリカ生成手段と、前記データ信号のレプリカと前記ベースバンド信号と前記PN信号とに基づいて、インパルスレスポンス推定値を導出するインパルスレスポンス推定手段と、前記データ信号、前記インパルスレスポンス推定値及び前記PN信号とに基づいて、前記受信信号のレプリカを生成する受信信号レプリカ生成手段と、前記ベースバンド信号から前記受信信号のレプリカを減算する第1の減算手段と、前記第1の減算手段によって算出された値の2乗値を算出する2乗値算出手段と、前記2乗値に基づいて前記データ信号を導出する最尤系列推定型等化手段とを備える。
【0011】
また、本発明の信号受信装置は、データ信号とインパルスレスポンス推定のための既知のPN信号とを多値化した受信信号から直接波のみを取り出すものであり、前記PN信号を発生するPN信号発生手段と、前記多値化した信号を受信する第1及び第2の受信手段と、該第1及び第2の受信手段の出力値を加算する加算手段と、前記加算手段によって算出された値に基づいて前記データ信号を導出する最尤系列推定型等化手段とを備え、前記第1及び第2の受信手段のそれぞれが、前記受信信号をベースバンド信号に変換する信号変換手段と、前記最尤系列推定型等化手段によって導出された前記データ信号に基づいて、該データ信号のレプリカを生成するデータ信号レプリカ生成手段と、前記データ信号のレプリカと前記ベースバンド信号と前記PN信号とに基づいて、インパルスレスポンス推定値を導出するインパルスレスポンス推定手段と、前記データ信号、前記インパルスレスポンス推定値及び前記PN信号とに基づいて、前記受信信号のレプリカを生成する受信信号レプリカ生成手段と、前記ベースバンド信号から前記受信信号のレプリカを減算する第1の減算手段と、前記減算手段によって算出された値の2乗値を出力値として出力する2乗値算出手段とを備える。
【0012】
特に、前記第1及び第2の受信手段は、前記2乗値算出手段によって算出された値に前記受信信号の受信レベルに対応する重み付けをする重み付け手段を更に備えることが好ましい。
【0013】
また、これらの場合において、前記インパルスレスポンス推定手段は、前記ベースバンド信号を遅延させる遅延手段と、前記最尤系列推定型等化手段によって導出された前記データ信号に基づいて、データ信号のレプリカを生成するデータ信号レプリカ生成手段と、前記遅延手段からのベースバンド信号から前記データ信号のレプリカを減算する第2の減算手段と、前記第2の減算手段によって算出された値と前記PN信号とに基づいて前記インパルスレスポンス推定値を導出するインパルスレスポンス推定値導出手段とを備えることが好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図示した一実施形態に基いて本発明を詳細に説明する。図1は、本発明において、信号送信装置と信号受信装置との間で送受されるデータフレームの構成を示す図である。従来は、図6に示したように、送受対象のデータに所定間隔でPN信号を挿入することによってデータフレームを構成している。しかし、本発明では、図1に示すように、データフレームの先頭はPN信号のみであるが、このPN信号の後はPN信号とデータ信号とを多値化したものになっている。このため、PN信号の送受のためだけに多くの時間が占有されることがなく、データの伝送速度の低下を防止することが可能になっている。
【0015】
図2は、本発明の信号受信装置に対し、データフレームを送信する信号送信装置の構成の一例を示すブロック図である。同図に示す信号送信装置100は、マッピング部102、PN発生器104、マッピング部106、加算器108、ローパスフィルタ(LPF)110、基準周波数発生器112、乗算器114、アンテナ116を備えて構成される。
【0016】
マッピング部102は、送信対象のデータをマッピングする。送信対象のデータは、0と1からなる所定のデータ列であり、マッピング部102は、例えばデータ信号が0のときに+1、1のときに−1に変換する。
【0017】
PN発生器104は、既知のPN信号を発生する。マッピング部106は、マッピング部102と同様に、PN発生器104が発生したPN信号をマッピングするものであり、例えばPN信号が0のときに+1、1のときに−1に変換する。
【0018】
加算器108は、マッピングされたデータ信号とPN信号とを加算する。LPF110は、加算器108からの信号の雑音成分を除去するとともに、波形整形を行う。乗算器114は、このLPF110からの信号に基準周波数発生器112からの基準周波数を乗算することによって変調する。この変調された信号がアンテナ116から送信される。
【0019】
図3は、本発明の信号受信装置の構成の一例を示すブロック図である。同図に示す信号受信装置200は、アンテナ202、基準周波数発生器204、乗算器206、ローパスフィルタ(LPF)208、PN発生器210、インパルスレスポンス推定器212、受信信号レプリカ生成器222、減算器224、2乗値算出器226、最尤系列推定型等化器(MLSE)228を備えて構成される。 乗算器206は、アンテナ202が受信した信号に、基準周波数発生器204からの基準周波数信号を乗算し、ベースバンド信号に変換する。
【0020】
インパルスレスポンス推定器212は、このベースバンド信号に基づいて、インパルスレスポンス推定値を導出するものである。このインパルスレスポンス推定器212は、遅延器214、データ信号レプリカ生成器216、減算器218、マッチドフィルタ220を備えて構成されている。
【0021】
遅延器214は、LPF208からのベースバンド信号を遅延させる。後述する減算器218には、遅延器214からのベースバンド信号とデータ信号レプリカ生成部216からのデータ信号レプリカとが入力されるが、このデータ信号レプリカは遅延器214からのベースバンド信号に含まれるデータ信号に対応するレプリカである必要がある。そこで、遅延器214は、ベースバンド信号を遅延させることによって、減算器218に、ベースバンド信号とこのベースバンド信号に含まれるデータ信号とのレプリカとが同時に入力されるようにする。
【0022】
データ信号レプリカ生成器216は、最尤系列推定型等化器228によって導出されたデータ信号のレプリカを生成する。減算器218は、遅延器214からのベースバンド信号からデータ信号レプリカ生成部216からのデータ信号レプリカを減算する。この減算は、ベースバンド信号からデータ信号成分を取り除き、PN信号成分を抽出することに相当する。
【0023】
マッチドフィルタ220は、減算器218からのPN信号成分とPN発生器210からの既知のPN信号とに基づいて、直接波のPN信号と遅延波のPN信号との時間差及び振幅差を導出し、インパルスレスポンス推定値として出力する。
【0024】
受信信号レプリカ生成部222は、マッチドフィルタ220からのインパルスレスポンス推定値、PN発生器210からの既知のPN信号及び最尤系列推定型等化器228によって導出されたデータ信号とに基づいて、受信信号のレプリカを生成する。
【0025】
具体的には、受信信号レプリカ生成部222は、PN信号とデータ信号とを多値化した信号を生成するとともに、インパルスレスポンス推定値に基づいて、この多値化した信号から直接波と遅延波を生成し、これらを重畳することにより、受信信号のレプリカを生成する。
【0026】
減算器224は、LPF208からのベースバンド信号から受信信号レプリカ生成部222からの受信信号レプリカを減算する。2乗値算出器226は、この減算値の2乗値を算出する。
【0027】
最尤系列推定型等化器228は、2乗値算出器226からの2乗値を入力し、この2乗値が最小になるようにビタビアルゴリズムによる算出処理を行い、生き残りパスを決定することにより、データ信号を導出する。このようにして、データ信号とPN信号を多値化したデータフレームからデータ信号を導出することが可能となる。
【0028】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。図4は、本発明の信号受信装置の構成の変形例を示すブロック図である。同図に示す信号受信装置300は、受信機301、401、PN発生器410、加算器428、最尤系列推定型等化器429を備えて構成されている。
【0029】
受信機301は、アンテナ302、基準周波数発生器304、乗算器306、ローパスフィルタ(LPF)308、インパルスレスポンス推定器312、受信信号レプリカ生成器322、減算器324、2乗値算出器326、重み付け部327を備えて構成される。一方、受信機401は、アンテナ402、基準周波数発生器404、乗算器406、ローパスフィルタ(LPF)408、インパルスレスポンス推定器412、受信信号レプリカ生成器422、減算器424、2乗値算出器426、重み付け部427を備えて構成される。
【0030】
これらのうち、アンテナ302、402、基準周波数発生器304、404、乗算器306、406、LPF308、408、インパルスレスポンス推定器312、412、受信信号レプリカ生成器322、422、減算器324、424、2乗値算出器326、426は、それぞれ図1に示した信号受信装置100のアンテナ202、基準周波数発生器204、乗算器206、ローパスフィルタLPF)08、PN発生器210、インパルスレスポンス推定器212、受信信号レプリカ生成器222、減算器224、2乗値算出器226と同様の構成であるため、その説明は省略する。
【0031】
受信機301の重み付け部327は、2乗値算出器326によって算出された2乗値に対し、アンテナ302によって受信された信号の受信レベルに対応する重み付けを行う。同様に受信機401の重み付け部427は、2乗値算出器426によって算出された2乗値に対し、アンテナ402によって受信された信号の受信レベルに対応する重み付けを行う。
【0032】
例えば、受信機301のアンテナ302によって受信された信号の受信レベルが受信機401のアンテナ402によって受信された信号の受信レベルの2倍であった場合には、受信機301の重み付け部327は、2乗値算出器326が算出した2乗値を2倍すればよい。
【0033】
加算器428は、これら重み付け部327、427からの信号を加算する。最尤系列推定型等化器429は、加算器428によって算出された加算値を入力し、この加算値が最小になるようにビタビアルゴリズムによる算出処理を行い、生き残りパスを決定することにより、データ信号を導出する。
【0034】
このようにして、データ信号とPN信号を多値化したデータフレームからデータ信号を導出することが可能となる。また、2乗値算出器327、427によって算出された2乗値に受信レベルに対応する重み付けを行うことにより、最尤系列推定型等化器429によるデータ信号の導出をより確からしいものとすることができる。
【0035】
以上、本発明の一実施形態を図面に沿って説明した。しかしながら本発明は前記実施形態に示した事項に限定されず、特許請求の範囲の記載に基いてその変更、改良等が可能であることは明らかである。例えば、上記の実施形態においては、インパルスレスポンス推定器をマッチドフィルタを用いて構成したが、RLSアルゴリズムやLMSアルゴリズム等の他のアルゴリズムを適用した手段であってもよい。
【0036】
【発明の効果】
以上の如く本発明によれば、PN信号とデータ信号とを多値化した信号を受信し、この信号からデータ信号を導出することができるため、データの伝送速度の低下を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明において、信号送信装置と信号受信装置との間で送受されるデータフレームの構成を示す図である。
【図2】本発明の信号受信装置に対し、データフレームを送信する信号送信装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図3】本発明に係る信号受信装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図4】本発明に係る信号受信装置の構成の変形例を示すブロック図である。
【図5】従来の信号受信装置の構成例を示すブロック図である。
【図6】従来のデータフレームの構成を示す図である。
【符号の説明】
200 信号受信装置
202 アンテナ
204 基準周波数発生器
206 乗算器
208 LPF
210 PN発生器
212 インパルスレスポンス推定器
214 遅延器
216 データ信号レプリカ生成器
218 減算器
220 マッチドフィルタ
222 受信信号レプリカ生成器
224 減算器
226 2乗値算出器
228 最尤系列推定型等化器

Claims (4)

  1. データ信号とインパルスレスポンス推定のための既知のPN信号とを多値化した受信信号から主波のみを取り出す信号受信装置であって、
    前記PN信号を発生するPN信号発生手段と、
    前記受信信号をベースバンド信号に変換する信号変換手段と、
    前記データ信号に基づいて、該データ信号のレプリカを生成するデータ信号レプリカ生成手段と、
    前記データ信号のレプリカと前記ベースバンド信号と前記PN信号とに基づいて、インパルスレスポンス推定値を導出するインパルスレスポンス推定手段と、
    前記データ信号、前記インパルスレスポンス推定値及び前記PN信号とに基づいて、前記受信信号のレプリカを生成する受信信号レプリカ生成手段と、
    前記ベースバンド信号から前記受信信号のレプリカを減算する第1の減算手段と、
    前記第1の減算手段によって算出された値の2乗値を算出する2乗値算出手段と、
    前記2乗値に基づいて前記データ信号を導出する最尤系列推定型等化手段と、
    を備えることを特徴とする信号受信装置。
  2. データ信号とインパルスレスポンス推定のための既知のPN信号とを多値化した受信信号から主波のみを取り出す信号受信装置であって、
    前記PN信号を発生するPN信号発生手段と、
    前記多値化した信号を受信する第1及び第2の受信手段と、
    該第1及び第2の受信手段の出力値を加算する加算手段と、
    前記加算手段によって算出された値に基づいて前記データ信号を導出する最尤系列推定型等化手段とを備え、
    前記第1及び第2の受信手段のそれぞれが、
    前記受信信号をベースバンド信号に変換する信号変換手段と、
    前記最尤系列推定型等化手段によって導出された前記データ信号に基づいて、該データ信号のレプリカを生成するデータ信号レプリカ生成手段と、
    前記データ信号のレプリカと前記ベースバンド信号と前記PN信号とに基づいて、インパルスレスポンス推定値を導出するインパルスレスポンス推定手段と、
    前記データ信号、前記インパルスレスポンス推定値及び前記PN信号とに基づいて、前記受信信号のレプリカを生成する受信信号レプリカ生成手段と、
    前記ベースバンド信号から前記受信信号のレプリカを減算する第1の減算手段と、
    前記減算手段によって算出された値の2乗値を出力値として出力する2乗値算出手段と、
    を備えることを特徴とする信号受信装置。
  3. 前記第1及び第2の受信手段は、
    前記2乗値算出手段によって算出された値に前記受信信号の受信レベルに対応する重み付けをする重み付け手段を更に備えることを特徴とする請求項2に記載の信号受信装置。
  4. 前記インパルスレスポンス推定手段は、
    前記ベースバンド信号を遅延させる遅延手段と、
    前記最尤系列推定型等化手段によって導出された前記データ信号に基づいて、データ信号のレプリカを生成するデータ信号レプリカ生成手段と、
    前記遅延手段からのベースバンド信号から前記データ信号のレプリカを減算する第2の減算手段と、
    前記第2の減算手段によって算出された値と前記PN信号とに基づいて前記インパルスレスポンス推定値を導出するインパルスレスポンス推定値導出手段と、
    を備えることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の信号受信装置。
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