JP3919343B2 - 受信機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディジタル携帯電話等の無線通信において使用される受信機に関し、特に、ローカル発振器の周波数精度要求を緩和する手段に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、無線通信におけるディジタル携帯電話等の無線機の技術が進歩し、機器の小型化と共に種々の要求を実現するため機器の性能向上が図られている。特に、ディジタル方式の受信機においては、後述するようにローカル発振器の周波数誤差がBER(Bit Error Rate, ビット誤り率)特性や同期特性に直接影響を及ぼすので、高い精度が要求される。
【0003】
図3は、従来の一般的なディジタル携帯電話の受信機の構成例を示すブロック図である。この図に示す受信機は、アンテナ1と、システムのサービスバンド帯域を通過させるRFバンドパスフィルタ2と、RF受信信号を第1の中間周波数に変換して所望の帯域制限を加えるための第1ミキサ3とPLL回路による出力周波数可変の第1ローカル信号発振器40と第1IFバンドパスフィルタ50と、前記第1の中間周波数を第2の中間周波数に変換して所望の帯域制限を加えるための第2ミキサ11と出力周波数一定の第2ローカル信号発振器12と第2IFバンドパスフィルタ13と、変調波を復調してディジタルデータを出力する復調器14とが接続され受信機が構成される。
【0004】
また、第1ローカル信号発振器40としてのPLL回路は、位相比較器403と、ループフィルタ402と、VCO(電圧制御発振器)401と、分周器405とをループ状に接続すると共に、前記位相比較器403に基準信号としてのTCXO(温度補償型水晶発振器)404を接続し、信号を前記VCO401から出力するように構成している。
【0005】
この図に示される受信機は、まず、アンテナ1で受信されたRF信号がRFバンドパスフィルタ2に入力されて必要な帯域制限を受けるが、ここで言う必要な帯域とは該ディジタル受信機が受信可能なバンド幅であり、通常使用されるシステムのサービスバンド帯域に一致する。システムのサービスバンド帯域は、例えば、PCD800MHz方式携帯電話においては16MHzである。
RFバンドパスフィルタ2により帯域制限を受けたRF受信信号は、第1ミキサ3と第1ローカル発振器40とにより周波数変換を施される。この第1ローカル発振器4は後述する理由により高い周波数精度が要求されるためPLL(位相ロックループ)回路で構成するのが一般的である。
【0006】
ここで、PLL回路について簡単に説明すれば、位相比較器403がTCXO404出力の基準周波数frと分周器405出力の比較周波数fdとの位相差に応じたパルス幅を出力すると、ループフィルタ402が該パルス出力を平滑して得る直流分電圧をVCO401に出力する。VCO401はこの直流電圧に応じた周波数を出力するが、該出力を分周器405を介して位相比較器403へ帰還させることにより、frとfdとは同一周波数、同一位相になるように動作する。なお、分周器405の機能はVCO401出力fvcoをN分割するが、このNを変えることでfrのステップでVCO401の出力を変化させることができる。
【0007】
次に、第1ミキサ出力信号は、システムの1チャネル帯域(PDC800MHz方式携帯電話では約25kHz)をもつ第1IFバンドパスフィルタ50により帯域制限され、このとき、第1ローカル信号発振器40を適切に可変するこによ
りここでチャネル分離が行われ第1IF信号50aとなる。
該第1IF信号50aは、第2ミキサ11と出力周波数一定の第2ローカル発振器12と第2IFバンドパスフィルタ13とにより周波数変換および帯域制限が施され、復調器14が動作可能な周波数である第2IF信号13aとなる。第2バンドパスフィルタ13の帯域幅すなわち第2IF信号13aの帯域幅もシステムの1チャネル帯域(PDC800MHz方式携帯電話では約25kHz)であり、これら2つのチャネル帯域フィルタ50、13とによって受信特性が決定される。ただし、復調器14がベースバンドで動作する場合には第2IF信号をベースバンド信号とする必要があるので、このときは第2IFバンドパスフィルタ13はローパスフィルタとする必要がある。
第2IFバンドパスフィルタ出力信号13aは、復調器14においてシステムの変調方式(PDC800MHz方式携帯電話ではπ/4QPSK)に応じて復調され、データ信号となる。
【0008】
ここで、第1ローカル信号発振器40としてPLL回路が必要となる理由について説明する。図3に示される受信機において、第1ローカル信号発振器40の周波数に誤差がある場合、まず、受信信号の中心周波数が上述した2つのチャネル帯域フィルタ50、13の中心周波数からずれるために、該フィルタの減衰特性により受信信号レベルが減衰して受信特性(BER特性)が劣化する。また、復調器においてキャリア周波数オフセットが生じるために同期特性が劣化する。
例えば、 PDC800MHz方式携帯電話において受信特性および同期特性への具体的な影響を考えると、BER特性が10-2を得るためにEb/Bo(1ビット当たりの信号エネルギーとノイズとの比)の劣化を0.5dB程度に抑えるための許容周波数誤差は約3kHzである。この値を発振周波数940MHzの第1ローカル発振器40における周波数精度に換算すると、約3ppmとなる。
高周波においてこのような高い周波数精度を単体の発振器で達成するのは技術的に困難であるので、従来の受信機においてはPLL回路を使用することが不可欠であった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、受信機において、上述した理由により出力周波数を可変するローカル信号発振器として周波数精度の高いPLL回路を使用すると、PLL回路が高価なVCO等を必要とするため、結果として受信機のコスト増を招き、また、回路規模も大きくなるので受信機の小型化がしにくいなどの問題があった。
本発明は上述した従来の受信機の問題点を解決するためになされたものであって、ローカル信号発振器に要求される高い周波数精度を緩和できるような構成にすると共に、PLL回路を不要とし小型で安価な受信機を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係わる受信機の請求項1記載の発明は、受信RF信号を第1のIF信号に周波数変換するための第1ローカル信号発振器の周波数誤差を検出すると共に、該検出誤差情報に基づいて前記第1のIF信号を第2のIF信号に周波数変換するための第2ローカル信号発振器の出力周波数を制御して、前記第1ローカル信号発振器の周波数誤差に係わる受信機特性の劣化を補償するように構成する。
本発明に係わる受信機の請求項2記載の発明は、受信RF信号を第1のIF信号に変換するための第1ミキサに接続したシステムのサービス帯域のみを通過させるIFフィルタ手段と、アナログ信号をディジタル信号に変換するための第1のA/D変換器と、第2のIF信号に変換するための第2ミキサとを直列に接続すると共に、前記第1ミキサに接続した第1ローカル信号発振器の周波数誤差帯域のみを通過させるRFフィルタ手段と、アナログ信号をディジタル信号に変換するための第2のA/D変換器と、前記第1ローカル信号発振器の周波数誤差を検出する周波数誤差検出回路と、該検出誤差情報に基づいて発振周波数を補正して前記第2ミキサに出力する第2ローカル信号発振器とを直列に接続し、前記第1ローカル信号発振器の周波数誤差に係わる受信機特性の劣化を補償するように構成する。
本発明に係わる受信機の請求項3記載の発明は、受信RF信号を第1のIF信号に変換するための第1ミキサに接続したシステムのサービス帯域のみを通過させるIFフィルタ手段と、アナログ信号をディジタル信号に変換するための第1のA/D変換器と、第2のIF信号に変換するための第2ミキサとを直列に接続し、第1ローカル信号源発振器に接続され該第1ローカル信号源発振器の出力周波数をてい倍する周波数てい倍器を前記第1ミキサに接続すると共に、前記第1ローカル信号源発振器の周波数誤差帯域のみを通過させるRFフィルタ手段と、アナログ信号をディジタル信号に変換するするための第2のA/D変換器と、前記第1ローカル信号源発振器の周波数誤差を検出する周波数誤差検出回路と、該検出誤差情報に基づいて発振周波数を補正して前記第2ミキサに出力する第2ローカル信号発振器とを直列に接続し、前記第1ローカル信号源発振器の周波数誤差に係わる受信機特性の劣化を補償するように構成する。
本発明に係わる受信機の請求項4記載の発明は、請求項2及び請求項3に記載の受信機において、前記周波数誤差検出回路を、検出すべき周波数誤差成分を含む信号と余弦波発振器の出力信号とを入力とし、且つ、出力に第1のローパスフィルタが接続された第1ミキサと、前記検出すべき周波数誤差成分を含む信号と正弦波発振器の出力信号とを入力とし、且つ、出力に第2のローパスフィルタが接続された第2ミキサとからなる直交復調器と、該直交復調器出力信号から前記第1ローカル信号発振器の周波数誤差を計算する周波数誤差計算手段とにより構成する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図示した実施の形態例に基づいて本発明を詳細に説明する。図1は本発明に係わる受信機の実施の形態例を示す機能ブロック図である。この例に示す受信機は、アンテナ1と、システムのサービスバンド帯域のみを通過させる第1のRFバンドパスフィルタ2と、RF受信信号を第1の中間周波数に変換して所望の帯域制限を加えるための第1ミキサ3と、システムのサービスバンド帯域のみを通過させる広帯域IFバンドパスフィルタ5と、アナログ信号をディジタル信号に変換するための第1のA/D変換器7と、第2ミキサ(ディジタルミキサ)11dと、ローパスフィルタ13dと、復調器14とを直列に接続し、前記第1ミキサに周波数変動幅(周波数精度)△ fLをもつ出力周波数一定の第1ローカル信号発振器4を接続すると共に、前記第1ローカル信号発振器4における出力周波数の周波数変動幅ΔfLのみを通過させる第2のRFバンドパスフィルタ6と、アナログ信号をディジタル信号に変換するための第2のA/D変換器8と、前記第1ローカル信号発振器4の周波数変動幅ΔfLを検出する周波数誤差検出回路15と、検出した周波数誤差情報に基づいて発振周波数を補正して前記第2ミキサ11dに出力する周波数可変の第2ローカル信号発振器(ディジタル発振器)12dとを直列に接続して受信機を構成する。
【0012】
図1に示される受信機においては、アンテナ1により受信されたRF信号が第1のRFバンドパスフィルタ2に入力されて必要な帯域制限を受けるが、ここで言う必要な帯域とは通常使用されるシステムのサービスバンド帯域であり、例えば、PDC800MHz方式携帯電話においては16MHzである。
第1のRFバンドパスフィルタ2において帯域制限を受けたRF受信信号は、第1ミキサ3と周波数変動幅(周波数精度) ΔfLをもつ第1ローカル信号発振器4とシステムのサービスバンド帯域のみを通過させる広帯域IFバンドパスフィルタ5とにより周波数変換および帯域制限を施され、第1IF信号5aとなる。このとき、第1ローカル信号発振器4の周波数変動幅ΔfLの影響により、第1IF信号5aの周波数は中心周波数からΔfLシフトした信号となっている。
【0013】
この第1IF信号5aは第1のA/D変換器7によりアナログからディジタルの第1IF信号7aに変換され、第2ミキサ11dと出力周波数可変の第2ローカル信号発振器12dとにより周波数変換を施されるが、この第2ローカル信号発振器12dは後述する第1ローカル信号発振器4の周波数誤差ΔfLに係わる周波数補正が行われている。
さらに、第2ミキサ11dの出力信号はベースバンドフィルタ(ローパスフィルタ)13dにより帯域制限されると共に、該ベースバンドフィルタ13dの帯域幅がシステムの1チャネルの帯域(PDC800MHz方式携帯電話では約25KHz)に設定されているので、第2ローカル信号発振器12dの出力周波数を受信各チャネル信号ごとに適切に可変することによりチャネル分離が行われる。チャネル分離された狭帯域(チャネル帯域)ディジタル信号は、復調器14においてシステムの変調方式(例えば、PDC800MHz方式携帯電話ではπ/4QPSK)に応じて復調され、データ信号となる。
【0014】
ここで、第2ローカル信号発振器12dの出力周波数補正について説明すると、第1ローカル信号発振器4の出力信号(第1ローカル信号)は、その出力信号の周波数変動幅ΔfLのみを通過させる第2のRFバンドパスフィルタ6に入力される。第2のRFバンドパスフィルタ6により帯域制限された第1ローカル信号6aは、第2のA/D変換器8においてディジタル第1ローカル信号8aに変換される。第2のA/D変換器8は、図示されていない高精度クロック発生器から出力するサンプリングクロックを用いてサンプリングを行う。
サンプリング定理によれば、バンドパスサンプリングを行う場合は、入力信号の帯域幅の2倍以上のサンプリングクロックを必要とするから、サンプリングクロック周波数を
fs=n×ΔfL (n≧2:nは整数) (1)
とする必要がある。
【0015】
A/D変換されたディジタル第1ローカル信号8aは、周波数誤差検出回路15に入力されると共に該周波数誤差検出回路15においてディジタル第1ローカル信号8aに含まれる周波数誤差ΔfLを検出し、その結果に基づいて第2ローカル信号発振器12dの出力周波数の補正値を決定するので、第2ローカル信号発振器12dは第2ミキサ11dに入力するディジタル化された第1IF信号7aに含まれる周波数誤差ΔfLを補償するように出力周波数を補正して第2ミキサ11dに出力する。
【0016】
次に、本発明に係わる上述した周波数誤差検出回路15について詳しく説明する。図2は周波数誤差検出回路15の実施の形態例を示す機能ブロック図である。
この図に示す周波数誤差検出回路15は、前記ディジタル第1ローカル信号8
aと余弦波発振器(ディジタル発振器)203の出力信号とが入力し出力に第1ディジタルローパスフィルタ205が接続される第1ディジタルミキサ201と、前記ディジタル第1ローカル信号8aと正弦波発振器(ディジタル発振器)204の出力信号とが入力し出力に第2ディジタルローパスフィルタ206が接続される第2ディジタルミキサ202とからなる直交復調器20と、該直交復調器出力信号から前記第1ローカル信号発振器4の周波数誤差を計算する周波数誤差計算手段207とにより構成する。
【0017】
この例に示される周波数誤差検出回路15は、周波数誤差ΔfLを含むディジタル第1ローカル信号8aが直交復調器20に入力され、該直交復調器20が同相出力Ikと直交出力Qkとを出力し、この情報から周波数誤差計算手段207が前記周波数誤差ΔfLを検出する。以下、この動作について説明するために、図2を参照しつつ、まず、 IkとQkを導出する。
ディジタル第1ローカル信号8aを
cos 2π(fL + ΔfL)k / fs (2)
ただし、 fL :正しい第1ローカル発振周波数
ΔfL :第1ローカル発振周波数の誤差
fs :サンプリング周波数
k :サンプル番号
と表し、また、余弦波発振器203の出力信号を
cos 2π(fL)k / fs (3)
正弦波発振器204の出力信号を
sin 2π(fL)k / fs (4)
と表せば、図2に示したようにディジタル第1ローカル信号8aは、第1ミキサ201と第2ミキサ202においてそれぞれ(3)式の余弦波或いは(4)式の正弦波と掛け算された後、ローパスフィルタ205、206により高周波成分が除去されるので、IkとQkはそれぞれ
Ik = cos 2π(ΔfL)k / fs (5)
Qk = sin 2π(ΔfL)k / fs (6)
となる。
【0018】
得られたIkとQkとから、周波数誤差計算手段207において、例えば下記の計算によりΔfLを求める。まず、(5)式と(6)式とを用いてQkとIkとの比を取れば tan 2π(ΔfL)k / fs = Qk / Ik (7)
となる。左辺よりΔfLを取り出すため
(ΔfL)k / fs = (2π)-1tan-1Qk / Ik (8)
と変形する。
一方、(8)式左辺をkに着目して
(ΔfL) / fs = (ΔfL)(k+1) / fs − (ΔfL)k / fs
と表わせば、(8)式右辺の関係を用いて
を得る。
(9)式の右辺は既知であるので、(9)式によりサンプリング周波数fsで正規化された誤差周波数ΔfLの値が得られる。この値を用いて第2ローカル発振器12dの周波数を補正するようにする。
【0019】
以上説明したように第2ローカル信号発振器12d出力の周波数を補正して第2ミキサ11dに出力することにより、第1ローカル発振器4の周波数にΔfLの範囲で誤差が生じて第1IF信号5aの周波数がΔfLシフトしても、第2ローカル信号発振器12dの出力周波数がΔfLの周波数シフトを打ち消すように動作するので、第2ミキサ11dの出力信号がチャネル帯域フィルタ(ローパスフィルタ13d)の中心周波数からずれることはなく、また、復調器14に於いてキャリア周波数オフセットが発生することもないので、受信特性(BER特性)や同期特性の劣化を防ぐことができる。
【0020】
次に、本発明に係わる受信機の他の変形実施例を図4に示す機能ブロック図に
基づいて詳細に説明する。
図4に示すように、この変形実施例の受信機は、アンテナ1と、システムのサービスバンド帯域のみを通過させる第1のRFバンドパスフィルタ2と、RF受信信号を第1の中間周波数に変換して所望の帯域制限を加えるための第1ミキサ3と、システムのサービスバンド帯域のみを通過させる広帯域IFバンドパスフィルタ5と、アナログ信号をディジタル信号に変換するための第1のA/D変換器7と、第2ミキサ(ディジタルミキサ)11dと、ローパスフィルタ13dと、復調器14とを直列に接続し、周波数変動幅(周波数精度)△fLをもつ出力周波数一定の第1ローカル信号源発振器60と該第1ローカル信号源発振器60の出力周波数をてい倍した信号を出力する周波数てい倍器61を前記第1ミキサ3に接続すると共に、前記第1ローカル信号源発振器60における出力周波数の周波数変動幅ΔfLのみを通過させる第2のRFバンドパスフィルタ6と、アナログ信号をディジタル信号に変換するための第2のA/D変換器8と、前記A/D変換器8からの出力をもとに前記第1ローカル信号源発振器60の周波数変動幅ΔfLを検出する周波数誤差検出回路15と、検出した周波数誤差情報に基づいて発振周波数を補正して前記第2ミキサ11dに出力する周波数可変の第2ローカル信号発振器12dとを直列に接続して受信機を構成する。
【0021】
前記の構成の受信機は、上述の図1の受信機における第1ローカル信号発振器4を第1ローカル信号源発振器60に置き換え、該第1ローカル信号源発振器60と第1ミキサ3との間に周波数てい倍器61を挿入し、前記第1ローカル信号源発振器60の出力を第2のRFバンドパスフィルタ6に接続する構成にしたものであり、他の構成及び動作は図1の受信機と同一である。
従って、図4の受信機の動作説明は、第1ローカル信号及び第2ローカル信号を生成し、それぞれ第1ミキサ3と第2ミキサ11dに供給する動作説明のみとする。
【0022】
図4に示す受信機において、前記第1ローカル信号源発振器60は周波数変動幅(即ち周波数精度)がΔfLの発振器であり、その出力信号を周波数てい倍器61でN倍の周波数にてい倍して第1ミキサ3へ出力する。
一方、前記第1ローカル源発振器60の出力信号は、その出力信号の周波数変動幅ΔfLのみを通過させる第2バンドパスフィルタ6に入力される。第2バンドパスフィルタ6で帯域制限された第1ローカル源信号6cは第2のA/D変換器8でディジタル第1ローカル源信号8cに変換される。第2のA/D変換器8では、図示されていない高精度のクロック発生器から出力されるサンプリングクロックでサンプリングを行う。
A/D変換されたディジタル第1ローカル源信号8cは、周波数誤差検出回路15に入力される。該周波数誤差検出回路15において前記ディジタル第1ローカル源信号8cの周波数誤差を検出し、その結果に基づいて第2ローカル信号発振器12dの出力周波数の補正値を決定するので、第2ローカル信号発振器12dは、第2ミキサ11dに入力するディジタル化された第1IF信号7aに含まれる周波数誤差を補償するように出力周波数を補正して第2ミキサ11dに出力する。ただし、前述のように第1ローカル信号源発振器60の出力をNてい倍して第1ミキサ3にローカル信号を入力しているので、補正すべき誤差周波数はN×ΔfLである。
【0023】
以上説明したように、図4の受信機において第1ローカル信号源発振器60の周波数にΔfLの範囲で誤差が生じて第1IF信号5aの周波数がΔfLシフトしても、第2ローカル信号発振器12dの出力が周波数補正によってΔfLの周波数シフトを打ち消すように動作するので、図1の受信機同様に、受信特性(BER特性)や同期特性の劣化を防ぐことができるとともに、更に、所望の第1ローカル信号の1/Nの周波数の第1ローカル信号源発振器60の出力の周波数誤差を検出するように構成したので、該出力信号をディジタル化する第2のA/D変換器8は、低い周波数の入力信号に対応するA/D変換器を使用することができる。
【0024】
第1ローカル信号発振器への要求精度の具体的な例として、例えば、(1)式より第2のA/D変換器8のサンプリングクロックfsを1MHz、n=32とした場合、ΔfLは約30kHzまで補正できることになる。
従って、発振周波数940MHzの第1ローカル発振器の周波数精度は約30ppmに緩和されることになり、この周波数精度は単体の発振器(水晶発振器等)で実現できるので、PLL回路を用いる必要はなくなる。
【0025】
なお、以上の説明において、第2ローカル信号発振器12dと余弦波発振器203と正弦波発振器204とは出力周波数誤差が無いものとしているが、このようなディジタル型の信号発振器はサンプリング周波数を上げることにより、PLL回路と同程度かそれ以上の周波数精度が保証されるので、周波数誤差を無視することができる。
【0026】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したように、第1ローカル信号発振器の周波数誤差を検出すると共に、該検出誤差情報に基づいて第2ローカル信号発振器(ディジタル発振器)の出力周波数を補正して、前記第1ローカル信号発振器の周波数誤差に係わる受信機特性の劣化を補償するように構成したので、前記第1ローカル発振器に要求される周波数精度を大幅に緩和することができ、従って、VCO等の高価な構成部品を使用するPLL回路が不要となり、受信機のコスト低減と小型化をすすめる上で著効を奏する。
また、変形実施例においては、第1ローカル信号源発振器の出力周波数をてい倍して第1ローカル信号とし、この第1ローカル信号源発振器の周波数誤差を検出するように構成したので、該第1ローカル信号源発振器の出力信号をディジタル化する第2のA/D変換器は、低い周波数の入力信号に対応する小型で安価なA/D変換器を使用することができ、より一層受信機のコスト低減と小型化に貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる受信機の実施の形態例を示す機能ブロック図
【図2】本発明に係わる受信機において使用する周波数誤差検出回路の実施の形態例を
示す機能ブロック図
【図3】従来のディジタル携帯電話にける受信機の構成例を示す機能ブロック図
【図4】本発明に係わる受信機の他の変形実施の形態例を示す機能ブロック図
【符号の説明】
1・・アンテナ、 2・・第1のRFバンドパスフィルタ、
3・・第1ミキサ、 4・・第1ローカル信号発振器、
5・・広帯域IFバンドパスフィルタ、
5a・・第1IF信号、 7a・・ディジタル第1IF信号、
6・・第2のRFバンドパスフィルタ、
6a・・帯域制限された第1ローカル信号、
6c・・帯域制限された第1ローカル源信号、 7・・第1のA/D変換器、
8・・第2のA/D変換器、 8a・・ディジタル第1ローカル信号、
8c・・ディジタル第1ローカル源信号、
11d・・第2ミキサ(ディジタルミキサ)、11・・第2ミキサ 、
12・・第2ローカル信号発振器
12d・・第2ローカル信号発振器(ディジタル発振器)、
13・・第2IFバンドパスフィルタ、 13a・・第2IF信号
13d・・ディジタルローパスフィルタ、 14・・復調器、
15・・周波数誤差検出回路、 20・・直交復調器、
40・・第1ローカル信号発振器、
50・・第1IFバンドパスフィルタ、 50・・第1IF信号、
60・・第1ローカル信号源発振器、 61・・周波数てい倍器、
201、202・・・直交復調器における第1、第2ミキサ、
203・・余弦波発振器(ディジタル発振器)、
204・・正弦波発振器(ディジタル発振器)、
205、206・・直交復調器における第1、第2ローパスフィルタ、
207・・周波数誤差計算回路、 401・・VCO(電圧制御発振器)、
402・・ループフィルタ、 403・・位相比較器、
404・・TCXO(温度補償型水晶発振器)、 405・・分周器
Claims (4)
- 受信RF信号を第1のIF信号に周波数変換するための第1ローカル信号発振器の周波数誤差を検出すると共に、該検出誤差情報に基づいて前記第1のIF信号を第2のIF信号に周波数変換するための第2ローカル信号発振器の出力周波数を制御して、前記第1ローカル信号発振器の周波数誤差に係わる受信機特性の劣化を補償するように構成したことを特徴とする受信機。
- 受信RF信号を第1のIF信号に変換するための第1ミキサに接続したシステムのサービス帯域のみを通過させるIFフィルタ手段と、アナログ信号をディジタル信号に変換するための第1のA/D変換器と、第2のIF信号に変換するための第2ミキサとを直列に接続すると共に、前記第1ミキサに接続した第1ローカル信号発振器の周波数誤差帯域のみを通過させるRFフィルタ手段と、アナログ信号をディジタル信号に変換するための第2のA/D変換器と、前記第1ローカル信号発振器の周波数誤差を検出する周波数誤差検出回路と、該検出誤差情報に基づいて発振周波数を補正して前記第2ミキサに出力する第2ローカル信号発振器とを直列に接続し、前記第1ローカル信号発振器の周波数誤差に係わる受信機特性の劣化を補償するように構成したことを特徴とする受信機。
- 受信RF信号を第1のIF信号に変換するための第1ミキサに接続したシステムのサービス帯域のみを通過させるIFフィルタ手段と、アナログ信号をディジタル信号に変換するための第1のA/D変換器と、第2のIF信号に変換するための第2ミキサとを直列に接続し、前記第1ミキサに周波数てい倍器を介して第1ローカル信号源発振器を接続すると共に、前記第1ローカル信号源発振器の周波数誤差帯域のみを通過させるRFフィルタ手段と、アナログ信号をディジタル信号に変換するするための第2のA/D変換器と、前記第1ローカル信号源発振器の周波数誤差を検出する周波数誤差検出回路と、該検出誤差情報に基づいて発振周波数を補正して前記第2ミキサに出力する第2ローカル信号発振器とを直列に接続し、前記第1ローカル信号源発振器の周波数誤差に係わる受信機特性の劣化を補償するように構成したことを特徴とする受信機。
- 前記の周波数誤差検出回路が、検出すべき周波数誤差成分を含む信号と余弦波発振器の出力信号とを入力とし、且つ、出力に第1のローパスフィルタが接続された第1ミキサと、前記検出すべき周波数誤差成分を含む信号と正弦波発振器の出力信号とを入力とし、且つ、出力に第2のローパスフィルタが接続された第2ミキサとからなる直交復調器と、該直交復調器出力信号から前記第1ローカル信号発振器の周波数誤差を計算する周波数誤差計算手段とにより構成したことを特徴とする請求項2または請求項3記載の受信機。
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