JP3918572B2 - 流量式充填方法および流量式充填装置 - Google Patents

流量式充填方法および流量式充填装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、流量式充填方法および流量式充填装置に係り、特に、充填終了時の流量パルスの取り込みを正確なタイミングで終わらせることができる流量式充填方法および流量式充填装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
流量式充填装置は、充填液を貯留する充填液タンクから容器内に液体を充填するノズルに至る充填液通路内に流量計を設け、充填液バルブを開放したときに前記充填液通路内を流れる充填液の流量を、前記流量計により測定しつつ容器内に所定量の液体の充填を行う。
【0003】
前記流量式充填装置では、充填液バルブの閉鎖指令が出されてから実際に充填液バルブが閉じて充填が完了するまでに一定の時間差があり、充填液バルブの閉鎖指令を出した後充填が完了するまでの間に相当量の充填液が落下する。そこで、この閉鎖指令後の落下量を予測して、容器内への充填量が、容器内への充填目標値よりも前記予測量だけ少ない量に達した時点で充填液バルブの閉鎖指令を出力するようにしている。
【0004】
前記充填液バルブの閉鎖指令から充填液バルブが完全に閉じるまでの間の、充填液の容器内への落下量は、充填バルブの閉動作の速度が大きく影響し、動作速度が遅ければ前記落下量が大きく、動作速度が速ければ前記落下量が小さい。このような流量式充填装置を例えば薬液の充填に採用しようとすると、薬液の場合には各容器内への充填量が少ないので、充填液バルブの閉鎖速度をできるだけ速くして、前述した充填液バルブの閉鎖指令から充填液バルブが完全に閉じるまでの間の落下量を極力少なくしなければ、正確な充填を行うことができない。
【0005】
ところで、流量式充填装置の流量計は、充填液通路内を通過する液体の流量を検出して流量パルス信号として出力し、コントローラがこの流量パルス信号をカウントして充填量を演算し、所定の充填量に達すると、充填液バルブに閉鎖指令を出力して充填を終了するようになっている。従って、流量式充填装置の場合には、充填液バルブの閉鎖動作の遅れや流量計の計測遅れ等のために、充填液バルブの閉鎖指令を出した後も流量計によってパルスを計測する必要がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前述したように、充填液バルブの閉鎖指令を出した後も流量計によってパルスを計測しているが、薬液の充填のような少量充填を行うために充填液バルブの閉動作の速度を速くすると、充填液バルブを閉じた際の衝撃により、流量計を通過した充填液が流量計側に逆流して流量計の上流へ流れ、それから再度流量計の下流へ流れるというように充填液が流量計を行ったり来たりする現象が生じる。流量計によっては逆流をカウントしない設定が可能であるが、充填時と同じ方向の流れにはパルス信号を発生してしまい、流量計により計測された充填量と、実際に容器内に充填された充填量との間に誤差を生じる場合があるという問題があった。
【0007】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、薬液の充填のような充填量の少ない場合でも、流量計によって正確に充填量を計測することができる流量式の充填方法を提供することを目的とするものである。また、少量の充填でも流量計によって正確な充填量の計測が可能な流量式充填装置を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明に係る流量式充填方法は、充填液通路を通過する充填液の流量に応じて流量計がパルス信号を出力し、制御手段がこのパルス信号から充填量を演算して、所定充填量に達したときに、前記充填液通路を開閉する開閉手段に閉鎖指令を出力するするものであって、特に、パルス信号の計測を終了させるための基準となる流量値を設定し、前記開閉手段に閉鎖信号を出した後、次第に低下する流量が前記基準流量値以下になった時点でパルス信号の計測を終了させるようにしたものである。
【0009】
この発明に係る流量式充填方法では、開閉手段に閉鎖信号を出した後、充填流量が次第に減少し、前記基準流量値以下になったときにパルス信号の計測を終了するので、その後、開閉手段の閉鎖による衝撃によって流量計への逆流が起こった場合等でも、パルス信号の計測は行われず、流量計による測定充填量に誤差が生じることがない。
【0010】
さらに、請求項2に記載の発明に係る流量式充填装置は、充填液が通過する充填液通路と、この充填液通路に設けられ、通過する充填液の流量に応じてパルス信号を出力する流量計と、前記充填液通路を開閉する充填液バルブと、前記流量計が出力するパルス信号から充填量を演算するとともに、前記充填液バルブの作動を制御する制御手段とを備えており、特に、パルス信号の計測を終了させるための基準となる流量値を設定し、前記充填液バルブに閉鎖信号を出した後、次第に低下する流量が前記基準流量値以下になった時点でパルス信号の計測を終了させるようにしたものである。
【0011】
この発明に係る流量式充填装置でも、充填液バルブに閉鎖指令を出した後、前記基準流量値以下になったときにパルス信号の計測を終了するので、その後、充填液バルブの急激な閉鎖による衝撃によって流量計への逆流が起こった場合でも、パルス信号の計測は行われず、流量計による測定充填量に誤差が生じることがない。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面に示す実施の形態により本発明を説明する。図1は本発明の一実施の形態に係る流量式充填装置(全体を符号1で示す)の構成を簡略化して示す図であり、この流量式充填装置1には、薬液充填用の容器(バイアル)4が容器搬送コンベヤ2によって供給され、所定量の薬液が充填される。
【0013】
充填液タンク6内には充填液が貯留され、図示しない圧力手段によって加圧されて充填ノズル8に送られる。この流量式充填装置1には複数の充填ノズル8が設けられており、充填液タンク6から充填液を供給する供給管10にマニホールド12が接続され、前記各充填ノズル8への分岐管14に分岐される。充填液タンク6から各充填ノズル8に至る充填液通路16の一部を構成する各分岐管14に、それぞれ充填液バルブ18が設けられており、これら充填液バルブ18の作動により充填液通路16が開閉される。
【0014】
図2は前記充填液バルブ18の一例を示すもので、充填液通路16の一部にゴム等の可撓性のチューブ18aが設けられ、シリンダ18bによって進退動する押圧体18cと、チューブ18aの背後を支持する支持板18dとによって、このチューブ18aを圧迫することにより前記充填液通路16を閉鎖するようになっている。
【0015】
図3の上部は、このような充填液バルブ18を用いた流量式充填装置1の流量特性の一例を示す図であり、充填液バルブ18が閉じた状態(A)からバルブ開放指令が出されると、シリンダ18bの作動によって押圧体18cが後退を開始し、チューブ18a内を充填液が流れ始め、チューブ18aが次第に開放するにつれて流量が増大し(A〜B)、完全に開放した状態(B)になると流量が最大(F)となる。この状態で容器4内に所定量の充填が行われた後、充填液バルブ18に閉鎖指令が出されると(C)、シリンダ18bの作動により押圧体18cが前進し、チューブ18aを次第に圧迫する。前記閉鎖指令Cからチューブ18aが圧迫されて充填液通路18が完全に閉鎖(D)するまでの間、流量が次第に減少した後充填が完了する。
【0016】
前記各充填液バルブ18の上流側にそれぞれ流量計20が取付けられ、各充填液通路16を流れる充填液の流量に応じてパルス信号を出力する(図3の下部参照)。流量計20の出力するパルス信号は、コントローラ22(図4参照)に送られ、流量パルスカウント部24によってカウントされる。前記流量計20からのパルス信号は常時出力されており、流量パルスカウント部24では、所定時間毎にサンプリングを行う。例えば、10msec毎にサンプリングを行って、そのときのパルス数をカウントする。カウントされたパルス数はCPU26に送られ、そこで充填量が演算される。
【0017】
パルス1個での充填量は予め定められており、パルスの個数に充填量を掛けることによりそのサンプリング時の充填量を演算する。前記CPU26では、サンプリング時に得られた充填量を加算して充填開始から容器4内に充填された総充填量を認識しており、この充填量が所定充填量(充填液バルブ18の閉鎖指令が出された後の落下量を予測し、設定された容器4内への全充填量からこの予測量を引いた量)になった時点で、バルブ指令部28から充填液バルブ18に閉鎖指令を出力する。
【0018】
この流量式充填装置1では、充填液バルブ18に閉鎖指令を出力した後も、予め設定された基準時間T(図5参照)の間、流量計20からの流量パルス信号を計測するようになっており、前記コントローラ22には、この設定された基準時間Tを記憶する基準時間記憶部30が設けられている。また、充填液バルブ18に閉鎖信号を出した後、流量が次第に低下し、この流量が所定値以下になったときにパルス信号の計測を終了するようになっており、このパルス信号の計測を終了する流量を基準流量値L(図6参照)として設定しており、コントローラ22には、この基準流量値Lを記憶する基準流量値記憶部32が設けられている。なお、充填液バルブ18または流量計20が故障しない限り、基準流量値Lまで流量が低下する前に基準時間Tに達することがないように、基準時間Tおよび基準流量値Lが設定されている。
【0019】
前記所定充填量になって閉鎖指令を出力してからの時間をタイマー34で計測し、前記基準時間記憶部30に記憶されている基準時間Tと比較する。また、前記パルス信号から得られる流量も前記基準流量値記憶部32に記憶されている基準流量値Lと比較される。そして、タイマー34で計測した時間が基準時間Tを超えた時点、もしくは基準流量値L以下になった時点で、流量パルスの計測を終了するようになっている。
【0020】
以上の構成に係る流量式充填装置1の作動について説明する。容器搬送コンベヤ2によって容器4が所定の間隔で搬送され、この流量式充填装置1に供給される。充填液タンク6内に貯留された充填液は、加圧手段(図示せず)によって加圧されて充填液通路16(供給管10、マニホールド12および分岐管14)内を通って充填液バルブ18に送液されている。
【0021】
コントローラ22のバルブ指令部28から充填液バルブ18にバルブ開放指令が出されると、充填液バルブ18が開放し充填ノズル8を介して容器4内に液体が充填される。充填液バルブ18は、シリンダ18bの作動により押圧部18cを後退させると、圧迫されていたチューブ18aが拡開して内部の液通路が拡大し流量が増大する(図3のA〜B参照)。充填バルブ18の上流側には流量計20が配置されており、充填液が通過するとその流量に応じてパルス信号を出力する(図3の下部参照)。なお、流量計20は、電磁流量計、質量流量計等があるが、その種類は限定されるものではない。
【0022】
充填液バルブ18のチューブ18aが完全に拡開すると最大流量Fで充填が行われる(図3のB〜C参照)。流量計20から出力されたパルス信号は流量パルスカウント部24でカウントされ、カウントされたパルス数がCPU26に送られて充填量が演算される。充填開始からの容器4内への充填量が加算され、その総充填量が前記所定充填量(設定された全充填量から充填液バルブ18閉鎖指令後の予測落下量を引いた量)に達すると、バルブ指令部28から充填液バルブ18に閉鎖指令が出される。
【0023】
コントローラ22のバルブ指令部28から充填液バルブ18へ閉鎖指令が出された後も、充填液バルブ18が完全に閉鎖するまでは充填液が落下しており、流量計20は流量パルス信号を出力している。閉鎖指令が出されてからの時間をタイマー34で測定し、前記基準時間記憶部30に記憶されている基準時間Tと比較する。また、流量計20から出力されたパルス信号が流量パルスカウント部24でカウントされ、CPU26で流量が演算されており、この流量が前記基準流量値Lと比較される。そして、前記タイマー34によって測定された時間が基準時間Tを越えた時点、もしくは前記流量が基準流量値L以下になった時点(図6のa点)で、流量パルスの取り込みを終了する。この基準時間Tは、各充填液バルブ18が閉鎖指令を出してから実際に閉鎖するまでに充分な時間で、かつ、流量計20が閉鎖指令を出してからの充填液の流れを検出してパルス信号を出力するのに充分な時間であり、使用する装置の条件によって0.7秒など最適な値を設定する必要がある。
【0024】
充填液バルブ18の閉鎖速度を速くしたために、充填液バルブ18閉鎖時の衝撃による逆流等によって液ゆれが発生した場合でも(図6のS、S参照)、基準流量値Lに達した時点ですでに流量パルス信号のカウントを終了しているので、パルス信号をカウントして演算した充填量と、実際に容器4内に充填された充填量との間に誤差が生じることが無く、薬液のような少量の充填を行う場合でも、流量計20により常に正確に充填量を計測することができる。
【0025】
なお、前記実施の形態では、基準時間Tおよび基準流量値Lのいずれかによって流量パルス信号の取り込みを終了させるようにしたが、この構成に限るものではなく、基準流量値だけで流量パルスのカウント終了時期を制御するようにしても良い。また、前記実施の形態では、流量パルス信号の計測を終了させる基準流量値を図6中の流量Lに設定したが、図示の値Lに限るものではなく、例えば、基準流量値をゼロに設定することもできる。この場合には、流量が図6中のbとなった時点でパルスの取り込みを終了させる。
【0026】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1に記載した発明は、充填液通路を通過する充填液の流量に応じて流量計がパルス信号を出力し、制御手段がこのパルス信号から充填量を演算して、所定充填量に達したときに、前記充填液通路を開閉する開閉手段に閉鎖指令を出力する流量式充填方法において、パルス信号の計測を終了させるための基準となる流量値を設定し、前記開閉手段に閉鎖信号を出した後、次第に低下する流量が前記基準流量値以下になった時点でパルス信号の計測を終了させるようにしたので、開閉手段に閉鎖信号を出してから流量が前記基準流量値以下まで低下するとパルス信号の取り込みを終了させるので、充填液バルブを閉じた際の衝撃によって充填液の逆流等が生じた場合でも、その衝撃により発生したパルス信号をカウントしてしまうことはなく、薬液の充填などのように充填量が少なく、開閉手段の閉動作の速度を速くした場合でも、流量計によって正確に充填量を計測することができる。
【0027】
さらに、請求項2に記載の発明は、充填液が通過する充填液通路と、この充填液通路に設けられ、通過する充填液の流量に応じてパルス信号を出力する流量計と、前記充填液通路を開閉する充填液バルブと、前記流量計が出力するパルス信号から充填量を演算するとともに、前記充填液バルブの作動を制御する制御手段とを備えた流量式充填装置において、パルス信号の計測を終了させるための基準となる流量値を設定し、前記充填液バルブに閉鎖信号を出した後、次第に低下する流量が前記基準流量値以下になった時点でパルス信号の計測を終了させるようにしたので、充填液バルブを閉じた際の衝撃によって充填液の逆流等が生じた場合でも、その衝撃により発生したパルス信号をカウントしてしまうことはなく、薬液の充填などのように充填量が少なくとも流量計によって正確に充填量を計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る流量式充填装置の構成を簡略化して示す図である。
【図2】前記流量式充填装置に設けられた充填液バルブの一例を示す図である。
【図3】前記流量式充填装置の流量特性および流量計から出力されるパルス信号を示すグラフである。
【図4】前記流量式充填装置のコントローラを示す構成図である。
【図5】前記流量式充填装置の充填終了時の流量特性の一例を示すグラフである。
【図6】前記流量式充填装置の充填終了時の流量特性の他の例を示すグラフである。
【符号の説明】
L 基準流量値
T 基準時間
16 充填液通路
18 開閉手段(充填液バルブ)
20 流量計
22 制御装置(コントローラ)

Claims (2)

  1. 充填液通路を通過する充填液の流量に応じて流量計がパルス信号を出力し、制御手段がこのパルス信号から充填量を演算して、所定充填量に達したときに、前記充填液通路を開閉する開閉手段に閉鎖指令を出力する流量式充填方法において、
    パルス信号の計測を終了させるための基準となる流量値を設定し、前記開閉手段に閉鎖信号を出した後、次第に低下する流量が前記基準流量値以下になった時点でパルス信号の計測を終了させることを特徴とする流量式充填方法。
  2. 充填液が通過する充填液通路と、この充填液通路に設けられ、通過する充填液の流量に応じてパルス信号を出力する流量計と、前記充填液通路を開閉する充填液バルブと、前記流量計が出力するパルス信号から充填量を演算するとともに、前記充填液バルブの作動を制御する制御手段とを備えた流量式充填装置において、
    パルス信号の計測を終了させるための基準となる流量値を設定し、前記充填液バルブに閉鎖信号を出した後、次第に低下する流量が前記基準流量値以下になった時点でパルス信号の計測を終了させることを特徴とする流量式充填装置。
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