JP3917850B2 - 結合回路 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば、複同調回路における一次側同調回路のコイルと二次側同調回路のコイルとを結合させるための結合回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
複同調回路等のように一次側回路と二次側回路とを結合させる従来の結合回路の構成を図5に示す。絶縁基板11上に一次側コイル12と二次側コイル13とが対向して取り付けられる。また、一次側コイル12の近傍にはバラクタダイオード13、二次側コイル13の近傍にはバラクタダイオード15がそれぞれ取り付けられる。そして、絶縁基板11上に形成した導体パターン(図示せず)等によって各コイル12(13)とバラクタダイオード14(15)とが並列接続され、一次側同調回路と二次側同調回路が構成される。
【0003】
一次側コイル12と二次側コイル13とは対向しているので、互いに誘導結合し、一次側同調回路と二次側同調回路とによって図6の複同調回路が構成される。そして、複同調回路としての所定の周波数レスポンスを得るために、コイル同士の互いの位置関係(間隔など)を調節して結合量を調整していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の構成では、コイル同士の間隔等を調節するので結合量のばらつきが伴う。また、間隔調節によって各コイルの形状変形が避けられず、インダクタンス値の変化が伴う。そのため同調周波数が変化する。つまり、結合量と同調周波数とを両立させることが困難であった。
【0005】
また、所望の結合量が得られるようにするには、コイルの取り付け位置が限定されるので、周辺回路を含めた部品配置の設計に自由度が無かった。
【0006】
そこで、この発明では、部品配置上の制約が無く、均一な結合量が得られ、周波数調整が容易な結合回路を提供する。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の結合回路は、絶縁基板と、前記絶縁基板上に互いに結合しない状態で取り付けられた導線を巻き回した空芯状の一次側及び二次側コイルと、前記絶縁基板上に形成され、一端が前記一次側コイルの一端に接続されると共に他端が接地された帯状の第一の導体パターンと、前記絶縁基板上に形成され、一端が前記二次側コイルの一端に接続されると共に他端が接地された帯状の第二の導体パターンとを備え、前記第一の導体パターンと前記第二の導体パターンとをそれらの長さ方向に沿って互いに対向させると共に結合させて複同調回路を構成した。
【0008】
また、前記第一の導体パターンと前記第二の導体パターンとを前記絶縁基板の同一面上で渦巻状に形成した。
【0009】
また、前記第一の導体パターンと前記第二の導体パターンとを前記絶縁基板の同一面上でジグザグ状に形成した。
【0010】
また、前記第一の導体パターン及び第二の導体パターンはそれぞれ前記絶縁基板の表面に形成された表面パターンと裏面に形成された裏面パターンとが表裏導通用のスルーホールによって順次連続的に接続されて構成され、前記第一の導体パターンの表面パターンと前記第二の導体パターンの裏面パターン、及び前記第一の導体パターンの裏面パターンと前記第二の導体パターンの表面パターンを前記絶縁基板を挟んで対向させると共に順次交差させた。
【0011】
また、前記第一の導体パターンと前記第二の導体パターンとをそれぞれ前記スルーホールで屈曲させたジグザグ状に形成した。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の結合回路の構成を示す。絶縁基板1上には導線を螺旋状に巻き回して形成した一次側コイル2と二次側コイル3とが互いに電磁的に結合しないように比較的離間するか、又は中心軸の方向が互いに直角となるような配置で取り付けられる。また、一次側コイル2の近傍には一次側バラクタダイオード4やその他の部品(図示すぜ)、二次側コイル3の近傍には二次側バラクタダイオード5やその他の部品(図示せず)がそれぞれ取り付けられる。
【0013】
また、絶縁基板1上には渦巻状となって互いに対向する帯状の第一の導体パターン6と第二の導体パターン7とが形成される。そして、第一の導体パターン6の一端が一次側コイル2の一端に接続され、第二の導体パターン7の一端が二次側コイル3の一端に接続される。第一の導体パターン6の他端と第二の導体パターン7の他端同士は互いに接続されると共に絶縁基板1上の接地導体(図示せず)に接続される。この場合、第一の導体パターン6、第二の導体パターン7を絶縁基板1の上面(一次側コイル2、二次側コイル3の取り付け面)に形成した場合は、第一の導体パターン6、第二の導体パターン7の他端同士は絶縁基板1の下面に設けられた接地導体にスルーホールを介して接続される。
【0014】
そして、一次側コイル2の他端が絶縁基板1上に形成した配線用導体パターン(図示せず)によって一次側バラクタダイオード4の一端に接続され、二次側コイル3の他端が絶縁基板1上に形成した配線用導体パターン(図示せず)によって二次側バラクタダイオード5の一端に接続される。一次側バラクタダイオード4、二次側バラクタダイオード5の他端は接地される。
【0015】
この結果、第一の導体パターン6と第二の導体パターン7とが互いに電磁結合し、図2に示す等価回路の複同調回路が構成される。第一の導体パターン6と第二の導体パターン7との間の結合量は、各導体パターンの形状が固定であり、また、互いの位置関係も固定であるので、不変である。従って、所望の結合量が得られるように、第一の導体パターン6、第二の導体パターンの形状及び位置関係を決定しておけば、結合量の調整は不要となる。また、同調周波数の調整は一次側コイル2のインダクタンス調整と二次側コイル3のインダクタンス調整のみで済む。
【0016】
図3は各導体パターン6,7を絶縁基板1の上面で互いに対向した状態でジグザグ状に形成した例である。この場合は、第一の導体パターン6、第二の導体パターン7をそれぞれ一次側コイル2、二次側コイル3の取り付け面に形成しても、各他端同士を絶縁基板1の上面において接地できる。
【0017】
また、図4では、第一の導体パターン6及び第二の導体パターン7は、それぞれ絶縁基板1の表面(上面)に形成した表面パターンと裏面(下面)に形成した裏面パターンとをスルーホールによって連続的に接続されて構成されている。
すなわち、絶縁基板1の表面には第一の導体パターン6を構成する表面パターン6a、6c、6eと、第二の導体パターン7を構成する表面パターン7b、7dとが交互にしかも並行して形成される。
また、絶縁基板1の裏面には第一の導体パターン6を構成する裏面パターン6b、6dと、第二の導体パターン7を構成する裏面パターン7a、7c、7eとが交互にしかも並行して形成される。
【0018】
そして、第一の導体パターン6に係わる表面パターン6a、6c、6eと、第二の導体パターン7に係わる裏面パターン7a、7c、7eとが一つずつ絶縁基板1を挟んで交差し、同様に、第一の導体パターン6に係わる裏面パターン6b、6dと第二の導体パターン7に係わる表面パターン7b、7dとが一つずつ絶縁基板1を挟んで交差するようになっている。
【0019】
第一の導体パターン6に係わる表面パターン6a、6c、6eと、裏面パターン6b、6dとは表裏導通用のスルーホール1aによって交互に連続して接続され、第一の導体パターン6はスルーホール1aで屈曲したジグザグ状に形成される。そして、最初の表面パターン6aは一次コイル2に接続され、最後の表面パターン6eがスルーホール1bに接続される。同様に、第二の導体パターン7に係わる裏面パターン7a、7c、7eと、表面パターン7b、7dとが表裏導通用のスルーホール1aによって交互に連続して接続され、第二の導体パターン7はスルーホール1aで屈曲したジグザグ状に形成される。そして、最初の裏面パターン7aは二次コイル3に接続され、最後の裏面パターン7eがスルーホール1bに接続される。スルーホール1bは接地される。
【0020】
以上の構成によれば、第一の導体パターン6と第二の導体パターン7とは互いの交差しながらねじれる構成となるので、互いの表面パターン同士、及び裏面パターン同士が互いに並行となり、結合が強められる。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の結合回路は、絶縁基板と、前記絶縁基板上に互いに結合しない状態で取り付けられた導線を巻き回した空芯状の一次側及び二次側コイルと、前記絶縁基板上に形成され、一端が一次側コイルの一端に接続されると共に他端が接地された帯状の第一の導体パターンと、絶縁基板上に形成され、一端が二次側コイルの一端に接続されると共に他端が接地された帯状の第二の導体パターンとを備え、第一の導体パターンと第二の導体パターンとをそれらの長さ方向に沿って互いに対向させたので、結合量はばらつきが無く一定となるのでその調整が不要となる。更に、複同調回路を構成したので、同調周波数の調整のみでよい。また、コイルのインダクタンスは小さくて済むので専有面積を少なくできる。また、コイル同士は結合に関係がないようにすることが出来るので、その配置の自由度が大きくなる。
【0022】
また、第一の導体パターンと第二の導体パターンとを絶縁基板の同一面上で渦巻状に形成したので、それぞれのインダクタンスが大きくなると共に結合量が大きくなり、コイルを一層小さくできる。
【0023】
また、第一の導体パターンと第二の導体パターンとを絶縁基板の同一面上でジグザグ状に形成したので、各導体パターンをコイル取り付け面に形成してもそれらの他端同士を絶縁基板取の上面で接地可能となり、片面銅張りの絶縁基板を使用できる。
【0024】
また、第一の導体パターン及び第二の導体パターンはそれぞれ絶縁基板の表面に形成された表面パターンと裏面に形成された裏面パターンとが表裏導通用のスルーホールによって順次連続的に接続されて構成され、第一の導体パターンの表面パターンと第二の導体パターンの裏面パターン、及び第一の導体パターンの裏面パターンと第二の導体パターンの表面パターンを絶縁基板を挟んで対向させると共に順次交差させたので、絶縁基板の表裏の面積を有効に使用してに互いの結合を得ることが出来る。
【0025】
また、第一の導体パターンと第二の導体パターンとをそれぞれスルーホールで屈曲させたジグザグ状に形成したので、互いの表面パターン同士、及び裏面パターン同士が互いに並行となり、結合が一層強められる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の結合回路の構成図である。
【図2】本発明の結合回路の等価回路図である。
【図3】本発明の結合回路の他の構成図である。
【図4】本発明の結合回路のさらに他の構成図である。
【図5】従来の結合回路の構成図である。
【図6】従来の結合回路の等価回路図である。
【符号の説明】
1 絶縁基板
1a、1b スルーホール
2 一次側コイル
3 二次側コイル
4 一次側バラクタダイオード
5 二次側バラクタダイオード
6 第一の導体パターン
6a、6c、6e 表面パターン
6b、6d 裏面パターン
7 第二の導体パターン
7a、7c、7e 裏面パターン
7b、7c 表面パターン

Claims (5)

  1. 絶縁基板と、前記絶縁基板上に互いに結合しない状態で取り付けられた導線を巻き回した空芯状の一次側及び二次側コイルと、前記絶縁基板上に形成され、一端が前記一次側コイルの一端に接続されると共に他端が接地された帯状の第一の導体パターンと、前記絶縁基板上に形成され、一端が前記二次側コイルの一端に接続されると共に他端が接地された帯状の第二の導体パターンとを備え、前記第一の導体パターンと前記第二の導体パターンとをそれらの長さ方向に沿って互いに対向させると共に結合させて複同調回路を構成したことを特徴とする結合回路。
  2. 前記第一の導体パターンと前記第二の導体パターンとを前記絶縁基板の同一面上で渦巻状に形成したことを特徴とする請求項1に記載の結合回路。
  3. 前記第一の導体パターンと前記第二の導体パターンとを前記絶縁基板の同一面上でジグザグ状に形成したことを特徴とする請求項1に記載の結合回路。
  4. 前記第一の導体パターン及び第二の導体パターンはそれぞれ前記絶縁基板の表面に形成された表面パターンと裏面に形成された裏面パターンとが表裏導通用のスルーホールによって順次連続的に接続されて構成され、前記第一の導体パターンの表面パターンと前記第二の導体パターンの裏面パターン、及び前記第一の導体パターンの裏面パターンと前記第二の導体パターンの表面パターンを前記絶縁基板を挟んで対向させると共に順次交差させたことを特徴とする請求項1に記載の結合回路。
  5. 前記第一の導体パターンと前記第二の導体パターンとをそれぞれ前記スルーホールで屈曲させてジグザグ状に形成したことを特徴とする請求項4に記載の結合回路。
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