JP3917542B2 - 設計支援装置、設計支援方法および設計支援プログラム - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、製品のモジュール設計支援に関する。
【0002】
【従来の技術】
製品を構成する部品をモジュール化して取り扱うことは、開発コスト削減の観点から重要である。これまでに、機能・構造的な制約と、部品ごとのライフサイクルオプション(リユース、アップグレードなどの資源循環方法を指す)から適当なモジュール構成案を生成する方法が報告されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
また、指定した部品のライフサイクルオプションに基づいてシミュレーションを行い、環境負荷やコストを最小にするモジュール構成を生成する方法も報告されている(例えば、非特許文献2参照)。
【0004】
【非特許文献1】
Sand, et.al., Proc.ASME DETC, DAC-21064,(2001)
【0005】
【非特許文献2】
Umeda, et.al., Artificial Intelligence for Engineering Design, Analysis and Manufacturing, Vol.14, No.2, (2000), PP149.
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記文献で開示されている手法は、リユースやアップグレードすべき部品をあらかじめ入力する必要があり、部品ごとに適当なライフサイクルオプションを人間が考えるために手間を要するという問題点があった。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、設計上流段階で入手可能な情報だけを用いて、簡易且つ迅速に製品のモジュール構成案を生成することのできる設計支援装置、設計支援方法および設計支援プログラムを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、製品に対する顧客からの要求(顧客要求)と、製品を劣化させる要因(製品価値劣化要因)と、製品の使用期間、各部品の耐用寿命や、既存部品を構成する材料に関する情報(例えば、リサイクル可能性の有無・質量・環境負荷・コスト・耐用寿命など)などの設計上流段階で入手可能な情報を用いて、製品を構成する各部品について、製品ライフサイクルにおける各種特性の有無を求め、同じあるいは類似する特性を有する部品の組合せを求めることにより、製品を構成する部品のもつ製品ライフサイクルにおける特性に基づき、モジュールとすべき部品の組合せを容易に求めることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0010】
図1は、本実施形態に係る設計支援装置のハードウエア的な構成例を示したもので、バス1に表示装置2、入力装置3、出力装置4、演算装置5、外部記憶装置6、可搬記憶媒体ドライブ装置7、メモリ8が接続されて構成されている。
【0011】
本実施形態に係る様々な手段に関するプログラムが、外部記憶装置6に予め記憶され、必要に応じて、例えばライフサイクルオプション割り当て手段9、クラスタリング手段10に関するプログラム(ライフサイクルオプション割り当てプログラム、クラスタリングプログラム)がメモリ8に読み込まれて動作する。
【0012】
後述する、品質、製品、部品の調査データ(調査品質機能展開(QFD:Quality Function Deployment)マトリクスなど)や、部品表データなどは、予め入力装置3あるいは可搬記憶媒体ドライブ装置7から入力されて、外部記憶装置6に記憶されている。また、上記各プログラムを実行した結果なども外部記憶装置6に格納される。
【0013】
演算装置5は、メモリ8内のプログラムを実行することで、入出力制御や各種演算処理などを行う。入力装置3としてはマウス、キーボード、出力装置4としてはプリンタ、表示装置2としてはディスプレイなどが使用される。可搬記憶媒体ドライブ装置7はフロッピーディスクドライブ、光ディスクドライブなどにより構成される。
【0014】
図1に示した構成の設計支援装置では、その対象となる、ある単世代の製品について、モジュールとして統合すべき部品の組合せを、各部品のライフサイクルオプションを考慮して求めるものである。すなわち、同じあるいは類似するライフサイクルオプションを有する部品の組合せを求めるものである。
【0015】
部品のライフサイクルオプションとは、部品のもつ特性であり、本実施形態では、例えば、機能を向上させるアップグレード性、機能を維持するメンテナンス性、他の製品で部品を再利用するリユース性、分離・解体後に材料として再生するリサイクル性、の4種類の特性をとり上げるが、部品のライフサイクルオプションはこれに限ったものではない。また、上記4種類の特性のうち少なくとも2種類の特性を用いればよい。
【0016】
アップグレード性の観点においては、当該製品に対する顧客からの要求と、当該製品の価値を劣化させる要因とに基づき、当該製品を構成する各部品をアップグレードすべきか否かを判断する。この場合、設計変更の可能性の高い、すなわち、顧客からの要求と製品価値劣化とに密接な関係を有する部品ほど選択される可能性が高くなる。
【0017】
メンテナンス性の観点においては、当該製品に対する顧客からの要求と、当該製品の使用期間(製品耐用寿命と製品価値寿命のうち短い方)、当該製品を構成する部品の耐用寿命に基づき、当該製品を構成する各部品について、その機能を現状維持するか否かを判断する。この場合、機能はそのまま維持する部品あるいは同じ機能の部品と交換する可能性の高い部品、すなわち、顧客からの要求に関係するとともに、耐用寿命が製品の使用期間よりも長い部品ほど、あるいは、単に耐用寿命が製品の使用期間より短い部品ほど選択される可能性が高くなる。
【0018】
なお、耐用寿命とは、要求された故障率より小さい故障率を維持している期間であり、信頼性工学に基づいて定められる。価値寿命とは、ユーザにとって、価値を維持している期間であり、市場調査などによって定められる。
【0019】
製品が使用済み製品となる期間(使用期間)は、上記の寿命のうち短い方の寿命で規定される。
【0020】
リユース性の観点においては、当該製品を構成する各部品から排出される環境負荷(例えば、CO2)とコストと各部品の耐用寿命を基に、当該製品を構成する各部品について、その部品をリユース(再利用)するか否かを判断する。具体的には、各部品から排出されるCO2の相対値(当該製品を構成する全部品から排出されるCO2の総排出量に対する当該部品のCO2の排出量の比率)と、当該部品のコストの相対値(当該製品を構成する全部品の総額に対する当該部品の額の比率)と当該部品の耐用寿命と、製品の使用期間とに基づき、当該製品を構成する各部品について、その部品をリユース(再利用)するか否かを判断する。この場合、再利用する可能性の高い部品、すなわち、高価格で、しかも、その製造過程で排出される環境負荷が多く、さらに耐用寿命の長い部品ほど選択される可能性が高くなる。
【0021】
リサイクル性の観点においては、当該製品を構成する各部品の複雑度と当該部品のリサイクル不能率とに基づき、当該製品を構成する各部品についてリサイクルするか否かを判断する。この場合、リサイクル容易な部品、すなわち、部品を構成する材料の種類が少なく、しかもリサイクルのできる材料を多く含む部品ほど選択される可能性が高くなる。
【0022】
ライフサイクルオプション割り当て手段9は(ライフサイクルオプション割り当てプログラムを実行することにより)、対象製品を構成する部品の中から、アップグレードすべき部品、メンテナンスすべき部品、リユースすべき部品、リサイクルすべき部品を選択する。その結果は、例えば、図10に示すようなマトリクス形式でまとめる。
【0023】
メンテナンスすべき部品を選択するために、ここでは、品質機能展開(QFD)マトリクス(QFD PhIマトリクス、QFD PhIIマトリクス)を用いる。このマトリクスは、市場調査に基づいて、要求品質iの項目やその重要度を設定し、それを品質特性や部品に展開する方法である。例えば、QFD PhIマトリクスは、図3に示すように、顧客要求(i)と製品特性あるいは品質特性(j)の相関関係をマトリクスに記述し、それらを重み付けして畳み込むことで、相対的に重要な製品特性を特定するものである。
【0024】
図3の例では、対象製品として例えば洗濯機の場合を示している。顧客要求iとして“きれいに洗いたい”、“静かに運転して欲しい”、“省スペースが良い”、“服を傷めないで欲しい”、“早く洗濯したい”、“一度にたくさん洗いたい”、“製品は安い方が良い”、“運転コストも安い方が良い”、といった内容がオペレータ側で設定され、これらの要求項目に対して、それぞれの重要度(pi)を予め設定する。そして、“洗い音(dB)”、“標準運転時間(分)”、“定価(円)”など、オペレータ側(計画者側)で設定した製品特性(品質特性)jそれぞれと顧客要求iとの相関度(要素値αij)をマトリックスの該当欄にオペレータ(計画者)が数字で入力していく。製品特性jについて、顧客要求iに対応する予め設定された重要度piと、入力した相関度αijを乗算したものを全てのiについて足し合わせたものが、製品特性jの得点となる。製品特性j毎の得点の総和に対する製品特性jの得点の比率を求めたものが、製品特性jの相対重要度である。
【0025】
QFD PhIIマトリクスは、製品特性(j)と部品(k)の相関関係を記述したもので、このマトリクス上の各要素値αjkは、予め設定された値である。部品kについて、製品特性jの相対重要度と、当該部品kの各製品特性との相関度を表す要素値αjkを乗算したものを全てのjについて足し合わせたものが、部品kの得点となる。部品k毎の得点の総和に対する部品kの得点の比率を求めたものが、部品kの相対重要度である。
【0026】
結局、部品kの相対重要度は、次式(1)から算出される。
【0027】
【数1】
【0028】
次に、図2に示すフローチャートを参照して、図1に示した構成の設計支援装置の処理動作について説明する。
【0029】
ここでは、「部品1」から「部品10」までの部品で構成される仮想的な製品を例にとり説明する。
【0030】
まず、ライフサイクルオプション割り当て手段9に対応するライフサイクルオプション割り当てプログラムを演算装置5が実行することにより、対象製品を構成する部品の中から、アップグレードすべき部品、メンテナンスすべき部品、リユースすべき部品、リサイクルすべき部品を選択する(ステップS1〜ステップS4)。
【0031】
以下、上記ステップS1〜ステップS4について、説明する。
【0032】
(ステップS1)
製品価値を喪失する要因(価値劣化要因)に関する各部品の製品全体からみた影響度(相対影響度qk)を算出して、これらを基に、アップグレードすべき部品を選択する。各部品についての製品全体に対する価値劣化影響度qkを算出する。このために、ここでは、上記QFDマトリクスと同様に、ユーザにとって製品価値を喪失する原因となるいくつかの価値劣化要因xと、そのそれぞれの各品質特性jへの影響度qxを予め設定し、この価値劣化要因xと品質特性jとの相関度αxjを表すマトリクス(図7参照)と、品質特性jと部品kとの相関度αjkを表すマトリクス(図8参照)を用いる。図7に示すマトリクスは、QFDPhIマトリクスに対応し、図8に示すマトリクスは、QFD PhIIマトリクスに対応する。
【0033】
価値劣化要因としては、「製品デザインの流行性」、「性能の向上」、「新機能の追加」などがある。
【0034】
図7,8に示すマトリクスにより、例えば、価値劣化要因「製品デザインの流行性」と、デザインの流行性に左右されやすい品質特性・部品との相関関係や、価値劣化要因「性能の向上」と、性能の向上が著しい(機能の陳腐化をまねき易い)品質特性・部品との相関関係などを、各価値劣化要因の影響度を表す相関度で表すことができる。
【0035】
価値劣化要因xと各価値劣化要因の品質特性・部品への影響度qxも市場調査により予め設定することができる。
【0036】
図7に示すマトリクスでは、例えば、デザインの流行に非常に左右されやすい(すなわち、「製品デザインの流行性」に非常に関係する)品質特性jに対しては、相関度αxjの値は「9」が入力される。デザインの流行に少し左右される(すなわち、「製品デザインの流行性」に少し関係する)品質特性jに対しては、相関度αxjの値は「1」が入力される。これらの中間的な相関度を有する品質特性jに対しては、相関度αxjの値は「3」が入力される。
【0037】
ここでは、価値劣化要因xとして「価値劣化要因1」〜「価値劣化要因4」が設定され、そのそれぞれに対し、各価値劣化要因の影響度qxが設定されている。また、品質特性jとして「品質特性1」〜「品質特性8」が設定されている。このマトリクス上に入力された要素値αxjにより、各品質特性jに対応する得点と、その品質特性jの相対影響度が算出される。すなわち、製品特性jについて、価値劣化要因xに対応する予め設定された影響度と、入力した相関度αxjを乗算したものを全てのxiについて足し合わせたものが、製品特性jの得点となる。製品特性j毎の得点の総和に対する製品特性jの得点の比率を求めたものが、製品特性jの相対影響度である。
【0038】
図8に示すマトリクスは、各品質特性jと部品kとの相関関係を表したもので、図6と同様に、対象製品を構成する部品kとしての「部品1」〜「部品10」のそれぞれと、上記各品質特性jとの相関度αjkが設定されている。このマトリクス上の各要素値αjkは、予め設定された値である。品質特性jと非常に関係する部品kに対しては相関度αjkの値は「9」が入力され、少し関係する部品kに対しては相関度αjkの値は「1」が入力され、これらの中間的な相関度を有する品質特性jに対しては、相関度αxjの値は「3」が入力される。
【0039】
部品kについて、製品特性jの相対影響度と、当該部品kの各製品特性との相関度を表す要素値αjkを乗算したものを全てのjについて足し合わせたものが、部品kの得点となる。部品k毎の得点の総和に対する部品kの得点の比率を求めたものが、部品kの相対影響度である。結局、相対影響度qkは、次式(2)から算出される。
【0040】
【数2】
【0041】
以上のようにして各部品についての、相対影響度qkが算出される。相対影響度qkを、アップグレードすべき部品を選択するため予め定められた閾値qTHと比較して、相対影響度qkが閾値qTH以上である(あるいは閾値qTHより大きい)である部品kをアップグレードすべき部品として選択する。
【0042】
(ステップS2)
前述したQFDマトリクスを用いて、要求品質に関する各部品の製品全体からみた重要度(相対重要度pk)を算出する。
【0043】
図5は、対象製品(上記仮想的な製品)についてのQFD PhIマトリクスを示したものである。ここでは、顧客要求iとして「要求品質1」〜「要求品質5」が設定され、そのそれぞれに対し、各要求品質に対する重要度piが設定されている。また、品質特性jとして「品質特性1」〜「品質特性8」が設定されている。このマトリクス上に入力された要素値αijにより、各品質特性jに対応する得点と、その相対重要度が算出される。なお、ここで品質特性jとは、前述した洗濯機を例とした場合の製品特性jに相当するもので、対象製品の各種機能を表したものである。
【0044】
図6は、対象製品(上記仮想的な製品)についてのQFD PhIIマトリクスを示したものである。ここでは、対象製品を構成する部品kとしての「部品1」〜「部品10」のそれぞれと、上記各品質特性jとの相関度αjkが設定されており、さらに、上記算出された各品質特性jについての相対重要度が入力される。このマトリクス上の各列毎に、要素値αjkと先の相対重要度を乗じたものを足し合わせて、その列(部品k)の得点を求めた後、各部品の得点の総和に対する各部品の得点の比率を求めて、当該部品kの相対重要度pkを算出する。結局、部品kの相対重要度pkは、上記式(1)から算出される。
【0045】
各部品kの相対重要度pkと、部品kの耐用寿命LUkと、対象製品の使用期間とからメンテナンスすべき部品を選択する。ここで、各部品kについての耐用寿命LUkを表す情報、製品の使用期間を表す情報は、予め外部記憶装置6に記憶されているものとする。もちろん、これら情報を別途入力するようにしてもよいし、対象製品の部品表データ(図9参照)に含まれていてもよい。
【0046】
▲1▼部品kの相対重要度pkが、メンテナンスすべき部品を選択するための重要度に関する予め定められた閾値pTH以上で(あるいは閾値pTHより大きく)、しかも当該部品kの耐用寿命LUkが製品の使用期間以上である(あるいは製品の使用期間より長い)場合、あるいは、▲2▼部品kの耐用寿命LUkが製品の使用期間以下(あるいは製品の使用期間より短い)場合には(上記▲1▼あるいは▲2▼のいずれか一方を満たすとき)、当該部品kをメンテナンスすべき部品として選択する。
【0047】
ここで、部品表データについて説明する。図9は、対象製品(上記仮想的な製品)の部品表データの一部を示したものである。この部品表では、対象製品を構成する各部品について、当該部品を構成する材料と、当該材料のリサイクル可能性、質量、価格と、当該材料を製造するために発生する環境負荷(ここでは、その一例として二酸化炭素(CO2)排出量)などが表されている。これら以外にも、前述したように、各部品の耐用寿命や、対象製品の使用期間などの情報も含まれていてもよい。なお、各部品の質量は、当該部品を構成する材料の質量の総和に対応する。
【0048】
図9に示した部品表データ上のデータは、CADやライフサイクルアセスメント(LCA)から得ることができる。なお、図9に示すデータを得る手法は、本発明の要旨ではないので、説明は省略する。
【0049】
(ステップS3)
製品全体から排出されるCO2の排出量からみた部品kのCO2の排出量の比率(CO2相対排出量)DCO2k*と、製品全体の価格からみた部品kの価格の比率(相対コスト)COSTk*と、部品kの耐用寿命LUkとから、リユースすべき部品を選択する。
【0050】
製品全体から排出されるCO2の排出量は、図9に示した部品表上の各部品kから排出されるCO2の排出量(部品kを構成する各材料に対応するCO2の排出量の合計値)DCO2kの合計値であり、この合計値に対する部品kのCO2の排出量DCO2kとして、次式(3)から、部品kのCO2相対排出量DCO2k*を得る。
【0051】
【数3】
【0052】
製品全体の価格は、図9に示した部品表上の各部品kの価格(コスト)COSTkの合計値であり、この合計値に対する部品kのコストCOSTkとして、次式(4)から、部品kの相対コストCOSTk*を得る。
【0053】
【数4】
【0054】
部品kのCO2相対排出量DCO2k*と、当該部品kの相対コストCOSTk*との和が、リユースすべき部品を選択するために予め定められた閾値reuseTH以上(あるいは閾値reuseTHより大きく)、しかも、部品kの耐用寿命がLUkが製品の使用期間以上(あるいは、製品の使用期間より長い)とき、当該部品kをリユースすべき部品として選択する。
【0055】
(ステップS4)
各部品kの複雑度COMXkとリサイクル不能率Skを算出し、それらを基に、リサイクルすべき部品を選択する。
【0056】
部品kの複雑度COMXkは、各部品kを構成する材料の種類の数(構成材料種類数)NUMkを基に、次式(5)から算出される。
【0057】
【数5】
【0058】
すなわち、図9に示した部品表を参照して、対象製品を構成する部品のうち、最も材料の種類の数が多い部品の構成材料種類数に対する部品kの構成材料種類数NUMkの比率が当該部品kの複雑度COMXkである。
【0059】
部品kのリサイクル不能率は、各部品kの質量MASSkと、各部品kにおけるリサイクル可能材料yのそれぞれの質量MASSkyを基に、次式(6)から算出される。
【0060】
【数6】
【0061】
すなわち、各部品kについて、図9に示した部品表を参照して、その部品を構成する材料のうち「リサイクル可能性」の列に「○」印のついているリサイクル可能材料の質量の和を求める。そして、この和の当該部品kの質量MASSk(当該部品kを構成する各材料の質量の和)に対する比率を1から減算したものが、部品kのリサイクル不能率Skである。リサイクル不能率Skは、部品kの質量のうち、リサイクルできない材料(「リサイクル可能性」の列に「×」印のついている材料)の質量の占める割合ともいえる。
【0062】
部品kの複雑度COMXkと部品kのリサイクル不能率Skを乗じた値が、リサイクルすべき部品を選択するために予め定められた閾値recyclingTH以下(あるいは、recyclingTHより小さい)とき、当該部品kをリシクルすべき部品として選択する。
【0063】
さて、上記ステップS1〜ステップS4により、「部品1」〜「部品10」のうち、ライフサイクルオプションとして挙げられた様々な特性の観点から選択された部品をマトリクス状にまとめたものが、図10に示すライフサイクルオプション情報マトリクスである。
【0064】
図10では、縦方向に、「部品1」〜「部品10」のそれぞれの識別情報としての部品番号「1」〜「10」を並べ、横方向に、ライフサイクルオプション、すなわち、「アップグレード性」、「メンテナンス性」、「リユース性」、「リサイクル性」といった部品の特性を並べたマトリクス上に、各特性の観点から選択された部品については「1」、選択されなかった部品については「0」が入力されている。すなわち図10に示したマトリクス上で、「1」である要素は、その要素の存在する行に対応する部品が、当該要素の存在する列に対応する特性を有することを意味し、「0」である要素は、その要素の存在する行に対応する部品が、当該要素の存在する列に対応する特性を持たないことを意味する。
【0065】
次に、クラスタリング手段8に対応するクラスタリングプログラムを演算装置5が実行することにより、図10に示したようなマトリクスに対し、多変量解析の一手法であるクラスタ分析を行う(図2のステップS5)。
【0066】
図10に示すマトリクスをマトリクスAとすると、例えば、以下に示すアルゴリズムを適用し、部品のクラスタリングを行う。
【0067】
[ステップT0]まずはじめにv=1とする初期化を施す。
【0068】
[ステップT1]マトリクスA(v)の行・列ともに降順にソーティングする。
【0069】
[ステップT2]1行目のマトリクス要素に「1」の存在する列を選択する。
【0070】
[ステップT3]1列目のマトリクス要素に「1」の存在する行を選択する。
【0071】
[ステップT4]選択行・列の交叉する部分をクラスタと見なして削除する。
【0072】
[ステップT6]マトリクスA(v)=0であれば処理を終了する。そうでなければV=V+1としてステップT1の処理に戻る。
【0073】
なお、クラスタリングのアルゴリズム自体は、本願の要旨ではなく、従って、上記のようなアルゴリズムに限定するものではない。関連し合うレコード(ここでは、マトリクス要素「1」)ほど物理的に近接するように集めるための一般的なアルゴリズムを用いればよい。
【0074】
図10に示したマトリクス上のデータをクラスタリングすることにより、同じ(あるいは類似する)ライフサイクルオプションを有する(「1」となっているライフサイクルオプションの項目と、「0」となっているサイクルオプションの項目が同じあるいは類似する)部品の組合せが抽出され、図11に示すような結果が得られる。すなわち、例えば、「部品1」と「部品2」は、図10のマトリクス上にも表れているように、「アップグレード性」、「メンテナンス性」、「リユース性」、「リサイクル性」のそれぞれに対し、「1、1、1、0」という全く同じ特性パターンを有している。同様に、「部品3」と「部品9」は、「0、0、0、0」という全く同じ特性パターンを有し、「部品6」と「部品10」は、「0、0、1、0」という全く同じ特性パターンを有している。
【0075】
従って、本例の場合、図11に示すように、「部品1」と「部品2」、「部品3」と「部品9」、「部品6」と「部品10」、「部品5」と「部品7」と「部品8」は、それぞれ距離が「0」であり、ライフサイクルオプションにおいて、全く同じ特性を有しているので、これら4つの組合せをそれぞれモジュールとして統合すれば良いことを示唆している。
【0076】
なお、上記例では、距離「0」を閾値としても全く同じ特性パターンを有する部品の組合せが得られたが、この場合に限らず、距離の閾値を所望の高さに設定し、同じ特性パターンのみならず、類似するパターンを有する部品の組合せを求めてもよい。この場合、モジュールを構成する部品の数は多くなる。
【0077】
設計者は、この結果をベースにして製品ライフサイクルを考慮したモジュール構成を検討することができるのである。
【0078】
以上説明したように、上記実施形態によれば、製品を構成する各部品について、製品ライフサイクルにおける各種特性(ライフサイクルオプションとしての「アップグレード性」、「メンテナンス性」、「リユース性」、「リサイクル性」など)の有無を求めて、クラスタ分析により、同じあるいは類似する特性を有する部品の組合せを求めることにより、製品を構成する各部品のもつ製品ライフサイクルにおける各種特性(ライフサイクルオプション)に基づき、部品の設計変更や部品交換・リサイクル時に要するコストを削減することのできるモジュールを構成する部品の組合せを容易に求めることができる。
【0079】
例えば、当該製品の価値を劣化させる要因に密接に関連する部品を設計変更の可能性の高い部品として選択し(アップグレード性有り)、製品に対する顧客からの要求に関連するとともに耐用寿命が製品の使用期間よりも長い部品、あるいは、耐用寿命が製品の使用期間よりも短い部品を、機能を維持する可能性の高い部品として選択し(メンテナンス性あり)、高価格でしかも環境負荷が多く、さらに耐用寿命の長い部品を再利用する可能性の高い部品として選択し(リユース性有り)、部品を構成する材料の種類が少なく、しかもリサイクル可能な材料を多く含む部品を、リサイクル容易性の高い部品として選択し(リサイクル性有り)、その結果をまとめたマトリクスを用いてクラスタ分析することにより、同じあるいは類似する特性を有する部品の組合せを求める。
【0080】
なお、上記実施形態では、単世代の製品だけの情報を用いてモジュールを構成する部品の組合わせを求めたが、多世代に亙る製品についても上記同様に適用可能である。
【0081】
また、図10のマトリクスにおいて、ライフサイクルオプションだけでなく、製品の主要機能の項目(例えば、機能Aに関連する部品に「1」、関連しない部品に「0」を入力するなど)を追加すれば、より現実に即した計算結果を得ることができる。
【0082】
例えば、図10のマトリクスに対して、図6のQFD PhIIにおける品質特性と部品との関係を追加してクラスタ分析を行う。例えば、図12に示すように、横方向には、ライフサイクルオプション、すなわち、「アップグレード性」、「メンテナンス性」、「リユース性」、「リサイクル性」といった部品の特性とともに、さらに、図6に示した「品質特性1」〜「品質特性8」を並べ、図6の「部品1」〜「部品10」と、「品質特性1」〜「品質特性8」との相関度が「9」と「3」であるものについては図12の要素値を「1」、相関度が「1」あるいは空欄であるものは上記品質特性とは関連しないとみなし、図12の要素値を「0」と設定する。すなわち、図12のマトリクスでは、「品質特性1」〜「品質特性8」のいずれかと関連する部品に対しては「1」、関連しない部品に対しては「0」が設定されている。「品質特性1」〜「品質特性8」は、対象製品の主要機能である。
【0083】
図12に示したマトリクスに対し、前述同様クラスタリング分析を行うことにより、製品ライフサイクルにおける各種特性と品質特性とが同じかあるいは類似する部品の組合せを求めることができる。すなわち、製品ライフサイクルにおける各種特性が同じかあるいは類似するとともに、関連する主要機能が同じかあるいは類似する部品の組合せを求めることができるのである。
【0084】
本発明の実施の形態に記載した本発明の手法は、コンピュータに実行させることのできるプログラムとして、磁気ディスク(フレキシブルディスク、ハードディスクなど)、光ディスク(CD−ROM、DVDなど)、半導体メモリなどの記録媒体に格納して頒布することもできる。
【0085】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0086】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、設計上流段階で入手可能な情報だけを用いて、製品を構成する部品のもつ製品ライフサイクルにおける特性に基づき、モジュールとすべき部品の組合せを容易に求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係る設計支援装置のハードウエア的な構成例を示した図。
【図2】 設計支援装置の処理動作を説明するためのフローチャート。
【図3】 QFD PhIマトリクスの具体例を示した図。
【図4】 QFD PhIIマトリクスの具体例を示した図。
【図5】 各部品の相対重要度を算出するためのQFD PhIマトリクスを示した図。
【図6】 各部品の相対重要度を算出するためのQFD PhIIマトリクスを示した図。
【図7】 各部品の相対影響度を算出するためのQFD PhIマトリクスを示した図。
【図8】 各部品の相対影響度を算出するためのQFD PhIIマトリクスを示した図。
【図9】 部品表データの一例を示した図。
【図10】 対象製品を構成する各部品についての製品ライフサイクルにおける各種特性の有無を表すマトリクスの一例を示した図。
【図11】 図10に示したデータをクラスタリングした結果を示した図。
【図12】 対象製品を構成する各部品についての、製品ライフサイクルにおける各種特性の有無と、製品の主要機能との関連の有無を表すマトリクスの一例を示した図。
【符号の説明】
1…バス、2…表示装置、3…入力装置、4…出力装置、5…演算装置、6…外部記憶装置、7…可搬記憶媒体ドライブ装置、8…メモリ、9…ライフサイクルオプション割り当て手段、10…クラスタリング手段。
【発明の属する技術分野】
本発明は、製品のモジュール設計支援に関する。
【0002】
【従来の技術】
製品を構成する部品をモジュール化して取り扱うことは、開発コスト削減の観点から重要である。これまでに、機能・構造的な制約と、部品ごとのライフサイクルオプション(リユース、アップグレードなどの資源循環方法を指す)から適当なモジュール構成案を生成する方法が報告されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
また、指定した部品のライフサイクルオプションに基づいてシミュレーションを行い、環境負荷やコストを最小にするモジュール構成を生成する方法も報告されている(例えば、非特許文献2参照)。
【0004】
【非特許文献1】
Sand, et.al., Proc.ASME DETC, DAC-21064,(2001)
【0005】
【非特許文献2】
Umeda, et.al., Artificial Intelligence for Engineering Design, Analysis and Manufacturing, Vol.14, No.2, (2000), PP149.
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記文献で開示されている手法は、リユースやアップグレードすべき部品をあらかじめ入力する必要があり、部品ごとに適当なライフサイクルオプションを人間が考えるために手間を要するという問題点があった。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、設計上流段階で入手可能な情報だけを用いて、簡易且つ迅速に製品のモジュール構成案を生成することのできる設計支援装置、設計支援方法および設計支援プログラムを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、製品に対する顧客からの要求(顧客要求)と、製品を劣化させる要因(製品価値劣化要因)と、製品の使用期間、各部品の耐用寿命や、既存部品を構成する材料に関する情報(例えば、リサイクル可能性の有無・質量・環境負荷・コスト・耐用寿命など)などの設計上流段階で入手可能な情報を用いて、製品を構成する各部品について、製品ライフサイクルにおける各種特性の有無を求め、同じあるいは類似する特性を有する部品の組合せを求めることにより、製品を構成する部品のもつ製品ライフサイクルにおける特性に基づき、モジュールとすべき部品の組合せを容易に求めることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0010】
図1は、本実施形態に係る設計支援装置のハードウエア的な構成例を示したもので、バス1に表示装置2、入力装置3、出力装置4、演算装置5、外部記憶装置6、可搬記憶媒体ドライブ装置7、メモリ8が接続されて構成されている。
【0011】
本実施形態に係る様々な手段に関するプログラムが、外部記憶装置6に予め記憶され、必要に応じて、例えばライフサイクルオプション割り当て手段9、クラスタリング手段10に関するプログラム(ライフサイクルオプション割り当てプログラム、クラスタリングプログラム)がメモリ8に読み込まれて動作する。
【0012】
後述する、品質、製品、部品の調査データ(調査品質機能展開(QFD:Quality Function Deployment)マトリクスなど)や、部品表データなどは、予め入力装置3あるいは可搬記憶媒体ドライブ装置7から入力されて、外部記憶装置6に記憶されている。また、上記各プログラムを実行した結果なども外部記憶装置6に格納される。
【0013】
演算装置5は、メモリ8内のプログラムを実行することで、入出力制御や各種演算処理などを行う。入力装置3としてはマウス、キーボード、出力装置4としてはプリンタ、表示装置2としてはディスプレイなどが使用される。可搬記憶媒体ドライブ装置7はフロッピーディスクドライブ、光ディスクドライブなどにより構成される。
【0014】
図1に示した構成の設計支援装置では、その対象となる、ある単世代の製品について、モジュールとして統合すべき部品の組合せを、各部品のライフサイクルオプションを考慮して求めるものである。すなわち、同じあるいは類似するライフサイクルオプションを有する部品の組合せを求めるものである。
【0015】
部品のライフサイクルオプションとは、部品のもつ特性であり、本実施形態では、例えば、機能を向上させるアップグレード性、機能を維持するメンテナンス性、他の製品で部品を再利用するリユース性、分離・解体後に材料として再生するリサイクル性、の4種類の特性をとり上げるが、部品のライフサイクルオプションはこれに限ったものではない。また、上記4種類の特性のうち少なくとも2種類の特性を用いればよい。
【0016】
アップグレード性の観点においては、当該製品に対する顧客からの要求と、当該製品の価値を劣化させる要因とに基づき、当該製品を構成する各部品をアップグレードすべきか否かを判断する。この場合、設計変更の可能性の高い、すなわち、顧客からの要求と製品価値劣化とに密接な関係を有する部品ほど選択される可能性が高くなる。
【0017】
メンテナンス性の観点においては、当該製品に対する顧客からの要求と、当該製品の使用期間(製品耐用寿命と製品価値寿命のうち短い方)、当該製品を構成する部品の耐用寿命に基づき、当該製品を構成する各部品について、その機能を現状維持するか否かを判断する。この場合、機能はそのまま維持する部品あるいは同じ機能の部品と交換する可能性の高い部品、すなわち、顧客からの要求に関係するとともに、耐用寿命が製品の使用期間よりも長い部品ほど、あるいは、単に耐用寿命が製品の使用期間より短い部品ほど選択される可能性が高くなる。
【0018】
なお、耐用寿命とは、要求された故障率より小さい故障率を維持している期間であり、信頼性工学に基づいて定められる。価値寿命とは、ユーザにとって、価値を維持している期間であり、市場調査などによって定められる。
【0019】
製品が使用済み製品となる期間(使用期間)は、上記の寿命のうち短い方の寿命で規定される。
【0020】
リユース性の観点においては、当該製品を構成する各部品から排出される環境負荷(例えば、CO2)とコストと各部品の耐用寿命を基に、当該製品を構成する各部品について、その部品をリユース(再利用)するか否かを判断する。具体的には、各部品から排出されるCO2の相対値(当該製品を構成する全部品から排出されるCO2の総排出量に対する当該部品のCO2の排出量の比率)と、当該部品のコストの相対値(当該製品を構成する全部品の総額に対する当該部品の額の比率)と当該部品の耐用寿命と、製品の使用期間とに基づき、当該製品を構成する各部品について、その部品をリユース(再利用)するか否かを判断する。この場合、再利用する可能性の高い部品、すなわち、高価格で、しかも、その製造過程で排出される環境負荷が多く、さらに耐用寿命の長い部品ほど選択される可能性が高くなる。
【0021】
リサイクル性の観点においては、当該製品を構成する各部品の複雑度と当該部品のリサイクル不能率とに基づき、当該製品を構成する各部品についてリサイクルするか否かを判断する。この場合、リサイクル容易な部品、すなわち、部品を構成する材料の種類が少なく、しかもリサイクルのできる材料を多く含む部品ほど選択される可能性が高くなる。
【0022】
ライフサイクルオプション割り当て手段9は(ライフサイクルオプション割り当てプログラムを実行することにより)、対象製品を構成する部品の中から、アップグレードすべき部品、メンテナンスすべき部品、リユースすべき部品、リサイクルすべき部品を選択する。その結果は、例えば、図10に示すようなマトリクス形式でまとめる。
【0023】
メンテナンスすべき部品を選択するために、ここでは、品質機能展開(QFD)マトリクス(QFD PhIマトリクス、QFD PhIIマトリクス)を用いる。このマトリクスは、市場調査に基づいて、要求品質iの項目やその重要度を設定し、それを品質特性や部品に展開する方法である。例えば、QFD PhIマトリクスは、図3に示すように、顧客要求(i)と製品特性あるいは品質特性(j)の相関関係をマトリクスに記述し、それらを重み付けして畳み込むことで、相対的に重要な製品特性を特定するものである。
【0024】
図3の例では、対象製品として例えば洗濯機の場合を示している。顧客要求iとして“きれいに洗いたい”、“静かに運転して欲しい”、“省スペースが良い”、“服を傷めないで欲しい”、“早く洗濯したい”、“一度にたくさん洗いたい”、“製品は安い方が良い”、“運転コストも安い方が良い”、といった内容がオペレータ側で設定され、これらの要求項目に対して、それぞれの重要度(pi)を予め設定する。そして、“洗い音(dB)”、“標準運転時間(分)”、“定価(円)”など、オペレータ側(計画者側)で設定した製品特性(品質特性)jそれぞれと顧客要求iとの相関度(要素値αij)をマトリックスの該当欄にオペレータ(計画者)が数字で入力していく。製品特性jについて、顧客要求iに対応する予め設定された重要度piと、入力した相関度αijを乗算したものを全てのiについて足し合わせたものが、製品特性jの得点となる。製品特性j毎の得点の総和に対する製品特性jの得点の比率を求めたものが、製品特性jの相対重要度である。
【0025】
QFD PhIIマトリクスは、製品特性(j)と部品(k)の相関関係を記述したもので、このマトリクス上の各要素値αjkは、予め設定された値である。部品kについて、製品特性jの相対重要度と、当該部品kの各製品特性との相関度を表す要素値αjkを乗算したものを全てのjについて足し合わせたものが、部品kの得点となる。部品k毎の得点の総和に対する部品kの得点の比率を求めたものが、部品kの相対重要度である。
【0026】
結局、部品kの相対重要度は、次式(1)から算出される。
【0027】
【数1】
【0028】
次に、図2に示すフローチャートを参照して、図1に示した構成の設計支援装置の処理動作について説明する。
【0029】
ここでは、「部品1」から「部品10」までの部品で構成される仮想的な製品を例にとり説明する。
【0030】
まず、ライフサイクルオプション割り当て手段9に対応するライフサイクルオプション割り当てプログラムを演算装置5が実行することにより、対象製品を構成する部品の中から、アップグレードすべき部品、メンテナンスすべき部品、リユースすべき部品、リサイクルすべき部品を選択する(ステップS1〜ステップS4)。
【0031】
以下、上記ステップS1〜ステップS4について、説明する。
【0032】
(ステップS1)
製品価値を喪失する要因(価値劣化要因)に関する各部品の製品全体からみた影響度(相対影響度qk)を算出して、これらを基に、アップグレードすべき部品を選択する。各部品についての製品全体に対する価値劣化影響度qkを算出する。このために、ここでは、上記QFDマトリクスと同様に、ユーザにとって製品価値を喪失する原因となるいくつかの価値劣化要因xと、そのそれぞれの各品質特性jへの影響度qxを予め設定し、この価値劣化要因xと品質特性jとの相関度αxjを表すマトリクス(図7参照)と、品質特性jと部品kとの相関度αjkを表すマトリクス(図8参照)を用いる。図7に示すマトリクスは、QFDPhIマトリクスに対応し、図8に示すマトリクスは、QFD PhIIマトリクスに対応する。
【0033】
価値劣化要因としては、「製品デザインの流行性」、「性能の向上」、「新機能の追加」などがある。
【0034】
図7,8に示すマトリクスにより、例えば、価値劣化要因「製品デザインの流行性」と、デザインの流行性に左右されやすい品質特性・部品との相関関係や、価値劣化要因「性能の向上」と、性能の向上が著しい(機能の陳腐化をまねき易い)品質特性・部品との相関関係などを、各価値劣化要因の影響度を表す相関度で表すことができる。
【0035】
価値劣化要因xと各価値劣化要因の品質特性・部品への影響度qxも市場調査により予め設定することができる。
【0036】
図7に示すマトリクスでは、例えば、デザインの流行に非常に左右されやすい(すなわち、「製品デザインの流行性」に非常に関係する)品質特性jに対しては、相関度αxjの値は「9」が入力される。デザインの流行に少し左右される(すなわち、「製品デザインの流行性」に少し関係する)品質特性jに対しては、相関度αxjの値は「1」が入力される。これらの中間的な相関度を有する品質特性jに対しては、相関度αxjの値は「3」が入力される。
【0037】
ここでは、価値劣化要因xとして「価値劣化要因1」〜「価値劣化要因4」が設定され、そのそれぞれに対し、各価値劣化要因の影響度qxが設定されている。また、品質特性jとして「品質特性1」〜「品質特性8」が設定されている。このマトリクス上に入力された要素値αxjにより、各品質特性jに対応する得点と、その品質特性jの相対影響度が算出される。すなわち、製品特性jについて、価値劣化要因xに対応する予め設定された影響度と、入力した相関度αxjを乗算したものを全てのxiについて足し合わせたものが、製品特性jの得点となる。製品特性j毎の得点の総和に対する製品特性jの得点の比率を求めたものが、製品特性jの相対影響度である。
【0038】
図8に示すマトリクスは、各品質特性jと部品kとの相関関係を表したもので、図6と同様に、対象製品を構成する部品kとしての「部品1」〜「部品10」のそれぞれと、上記各品質特性jとの相関度αjkが設定されている。このマトリクス上の各要素値αjkは、予め設定された値である。品質特性jと非常に関係する部品kに対しては相関度αjkの値は「9」が入力され、少し関係する部品kに対しては相関度αjkの値は「1」が入力され、これらの中間的な相関度を有する品質特性jに対しては、相関度αxjの値は「3」が入力される。
【0039】
部品kについて、製品特性jの相対影響度と、当該部品kの各製品特性との相関度を表す要素値αjkを乗算したものを全てのjについて足し合わせたものが、部品kの得点となる。部品k毎の得点の総和に対する部品kの得点の比率を求めたものが、部品kの相対影響度である。結局、相対影響度qkは、次式(2)から算出される。
【0040】
【数2】
【0041】
以上のようにして各部品についての、相対影響度qkが算出される。相対影響度qkを、アップグレードすべき部品を選択するため予め定められた閾値qTHと比較して、相対影響度qkが閾値qTH以上である(あるいは閾値qTHより大きい)である部品kをアップグレードすべき部品として選択する。
【0042】
(ステップS2)
前述したQFDマトリクスを用いて、要求品質に関する各部品の製品全体からみた重要度(相対重要度pk)を算出する。
【0043】
図5は、対象製品(上記仮想的な製品)についてのQFD PhIマトリクスを示したものである。ここでは、顧客要求iとして「要求品質1」〜「要求品質5」が設定され、そのそれぞれに対し、各要求品質に対する重要度piが設定されている。また、品質特性jとして「品質特性1」〜「品質特性8」が設定されている。このマトリクス上に入力された要素値αijにより、各品質特性jに対応する得点と、その相対重要度が算出される。なお、ここで品質特性jとは、前述した洗濯機を例とした場合の製品特性jに相当するもので、対象製品の各種機能を表したものである。
【0044】
図6は、対象製品(上記仮想的な製品)についてのQFD PhIIマトリクスを示したものである。ここでは、対象製品を構成する部品kとしての「部品1」〜「部品10」のそれぞれと、上記各品質特性jとの相関度αjkが設定されており、さらに、上記算出された各品質特性jについての相対重要度が入力される。このマトリクス上の各列毎に、要素値αjkと先の相対重要度を乗じたものを足し合わせて、その列(部品k)の得点を求めた後、各部品の得点の総和に対する各部品の得点の比率を求めて、当該部品kの相対重要度pkを算出する。結局、部品kの相対重要度pkは、上記式(1)から算出される。
【0045】
各部品kの相対重要度pkと、部品kの耐用寿命LUkと、対象製品の使用期間とからメンテナンスすべき部品を選択する。ここで、各部品kについての耐用寿命LUkを表す情報、製品の使用期間を表す情報は、予め外部記憶装置6に記憶されているものとする。もちろん、これら情報を別途入力するようにしてもよいし、対象製品の部品表データ(図9参照)に含まれていてもよい。
【0046】
▲1▼部品kの相対重要度pkが、メンテナンスすべき部品を選択するための重要度に関する予め定められた閾値pTH以上で(あるいは閾値pTHより大きく)、しかも当該部品kの耐用寿命LUkが製品の使用期間以上である(あるいは製品の使用期間より長い)場合、あるいは、▲2▼部品kの耐用寿命LUkが製品の使用期間以下(あるいは製品の使用期間より短い)場合には(上記▲1▼あるいは▲2▼のいずれか一方を満たすとき)、当該部品kをメンテナンスすべき部品として選択する。
【0047】
ここで、部品表データについて説明する。図9は、対象製品(上記仮想的な製品)の部品表データの一部を示したものである。この部品表では、対象製品を構成する各部品について、当該部品を構成する材料と、当該材料のリサイクル可能性、質量、価格と、当該材料を製造するために発生する環境負荷(ここでは、その一例として二酸化炭素(CO2)排出量)などが表されている。これら以外にも、前述したように、各部品の耐用寿命や、対象製品の使用期間などの情報も含まれていてもよい。なお、各部品の質量は、当該部品を構成する材料の質量の総和に対応する。
【0048】
図9に示した部品表データ上のデータは、CADやライフサイクルアセスメント(LCA)から得ることができる。なお、図9に示すデータを得る手法は、本発明の要旨ではないので、説明は省略する。
【0049】
(ステップS3)
製品全体から排出されるCO2の排出量からみた部品kのCO2の排出量の比率(CO2相対排出量)DCO2k*と、製品全体の価格からみた部品kの価格の比率(相対コスト)COSTk*と、部品kの耐用寿命LUkとから、リユースすべき部品を選択する。
【0050】
製品全体から排出されるCO2の排出量は、図9に示した部品表上の各部品kから排出されるCO2の排出量(部品kを構成する各材料に対応するCO2の排出量の合計値)DCO2kの合計値であり、この合計値に対する部品kのCO2の排出量DCO2kとして、次式(3)から、部品kのCO2相対排出量DCO2k*を得る。
【0051】
【数3】
【0052】
製品全体の価格は、図9に示した部品表上の各部品kの価格(コスト)COSTkの合計値であり、この合計値に対する部品kのコストCOSTkとして、次式(4)から、部品kの相対コストCOSTk*を得る。
【0053】
【数4】
【0054】
部品kのCO2相対排出量DCO2k*と、当該部品kの相対コストCOSTk*との和が、リユースすべき部品を選択するために予め定められた閾値reuseTH以上(あるいは閾値reuseTHより大きく)、しかも、部品kの耐用寿命がLUkが製品の使用期間以上(あるいは、製品の使用期間より長い)とき、当該部品kをリユースすべき部品として選択する。
【0055】
(ステップS4)
各部品kの複雑度COMXkとリサイクル不能率Skを算出し、それらを基に、リサイクルすべき部品を選択する。
【0056】
部品kの複雑度COMXkは、各部品kを構成する材料の種類の数(構成材料種類数)NUMkを基に、次式(5)から算出される。
【0057】
【数5】
【0058】
すなわち、図9に示した部品表を参照して、対象製品を構成する部品のうち、最も材料の種類の数が多い部品の構成材料種類数に対する部品kの構成材料種類数NUMkの比率が当該部品kの複雑度COMXkである。
【0059】
部品kのリサイクル不能率は、各部品kの質量MASSkと、各部品kにおけるリサイクル可能材料yのそれぞれの質量MASSkyを基に、次式(6)から算出される。
【0060】
【数6】
【0061】
すなわち、各部品kについて、図9に示した部品表を参照して、その部品を構成する材料のうち「リサイクル可能性」の列に「○」印のついているリサイクル可能材料の質量の和を求める。そして、この和の当該部品kの質量MASSk(当該部品kを構成する各材料の質量の和)に対する比率を1から減算したものが、部品kのリサイクル不能率Skである。リサイクル不能率Skは、部品kの質量のうち、リサイクルできない材料(「リサイクル可能性」の列に「×」印のついている材料)の質量の占める割合ともいえる。
【0062】
部品kの複雑度COMXkと部品kのリサイクル不能率Skを乗じた値が、リサイクルすべき部品を選択するために予め定められた閾値recyclingTH以下(あるいは、recyclingTHより小さい)とき、当該部品kをリシクルすべき部品として選択する。
【0063】
さて、上記ステップS1〜ステップS4により、「部品1」〜「部品10」のうち、ライフサイクルオプションとして挙げられた様々な特性の観点から選択された部品をマトリクス状にまとめたものが、図10に示すライフサイクルオプション情報マトリクスである。
【0064】
図10では、縦方向に、「部品1」〜「部品10」のそれぞれの識別情報としての部品番号「1」〜「10」を並べ、横方向に、ライフサイクルオプション、すなわち、「アップグレード性」、「メンテナンス性」、「リユース性」、「リサイクル性」といった部品の特性を並べたマトリクス上に、各特性の観点から選択された部品については「1」、選択されなかった部品については「0」が入力されている。すなわち図10に示したマトリクス上で、「1」である要素は、その要素の存在する行に対応する部品が、当該要素の存在する列に対応する特性を有することを意味し、「0」である要素は、その要素の存在する行に対応する部品が、当該要素の存在する列に対応する特性を持たないことを意味する。
【0065】
次に、クラスタリング手段8に対応するクラスタリングプログラムを演算装置5が実行することにより、図10に示したようなマトリクスに対し、多変量解析の一手法であるクラスタ分析を行う(図2のステップS5)。
【0066】
図10に示すマトリクスをマトリクスAとすると、例えば、以下に示すアルゴリズムを適用し、部品のクラスタリングを行う。
【0067】
[ステップT0]まずはじめにv=1とする初期化を施す。
【0068】
[ステップT1]マトリクスA(v)の行・列ともに降順にソーティングする。
【0069】
[ステップT2]1行目のマトリクス要素に「1」の存在する列を選択する。
【0070】
[ステップT3]1列目のマトリクス要素に「1」の存在する行を選択する。
【0071】
[ステップT4]選択行・列の交叉する部分をクラスタと見なして削除する。
【0072】
[ステップT6]マトリクスA(v)=0であれば処理を終了する。そうでなければV=V+1としてステップT1の処理に戻る。
【0073】
なお、クラスタリングのアルゴリズム自体は、本願の要旨ではなく、従って、上記のようなアルゴリズムに限定するものではない。関連し合うレコード(ここでは、マトリクス要素「1」)ほど物理的に近接するように集めるための一般的なアルゴリズムを用いればよい。
【0074】
図10に示したマトリクス上のデータをクラスタリングすることにより、同じ(あるいは類似する)ライフサイクルオプションを有する(「1」となっているライフサイクルオプションの項目と、「0」となっているサイクルオプションの項目が同じあるいは類似する)部品の組合せが抽出され、図11に示すような結果が得られる。すなわち、例えば、「部品1」と「部品2」は、図10のマトリクス上にも表れているように、「アップグレード性」、「メンテナンス性」、「リユース性」、「リサイクル性」のそれぞれに対し、「1、1、1、0」という全く同じ特性パターンを有している。同様に、「部品3」と「部品9」は、「0、0、0、0」という全く同じ特性パターンを有し、「部品6」と「部品10」は、「0、0、1、0」という全く同じ特性パターンを有している。
【0075】
従って、本例の場合、図11に示すように、「部品1」と「部品2」、「部品3」と「部品9」、「部品6」と「部品10」、「部品5」と「部品7」と「部品8」は、それぞれ距離が「0」であり、ライフサイクルオプションにおいて、全く同じ特性を有しているので、これら4つの組合せをそれぞれモジュールとして統合すれば良いことを示唆している。
【0076】
なお、上記例では、距離「0」を閾値としても全く同じ特性パターンを有する部品の組合せが得られたが、この場合に限らず、距離の閾値を所望の高さに設定し、同じ特性パターンのみならず、類似するパターンを有する部品の組合せを求めてもよい。この場合、モジュールを構成する部品の数は多くなる。
【0077】
設計者は、この結果をベースにして製品ライフサイクルを考慮したモジュール構成を検討することができるのである。
【0078】
以上説明したように、上記実施形態によれば、製品を構成する各部品について、製品ライフサイクルにおける各種特性(ライフサイクルオプションとしての「アップグレード性」、「メンテナンス性」、「リユース性」、「リサイクル性」など)の有無を求めて、クラスタ分析により、同じあるいは類似する特性を有する部品の組合せを求めることにより、製品を構成する各部品のもつ製品ライフサイクルにおける各種特性(ライフサイクルオプション)に基づき、部品の設計変更や部品交換・リサイクル時に要するコストを削減することのできるモジュールを構成する部品の組合せを容易に求めることができる。
【0079】
例えば、当該製品の価値を劣化させる要因に密接に関連する部品を設計変更の可能性の高い部品として選択し(アップグレード性有り)、製品に対する顧客からの要求に関連するとともに耐用寿命が製品の使用期間よりも長い部品、あるいは、耐用寿命が製品の使用期間よりも短い部品を、機能を維持する可能性の高い部品として選択し(メンテナンス性あり)、高価格でしかも環境負荷が多く、さらに耐用寿命の長い部品を再利用する可能性の高い部品として選択し(リユース性有り)、部品を構成する材料の種類が少なく、しかもリサイクル可能な材料を多く含む部品を、リサイクル容易性の高い部品として選択し(リサイクル性有り)、その結果をまとめたマトリクスを用いてクラスタ分析することにより、同じあるいは類似する特性を有する部品の組合せを求める。
【0080】
なお、上記実施形態では、単世代の製品だけの情報を用いてモジュールを構成する部品の組合わせを求めたが、多世代に亙る製品についても上記同様に適用可能である。
【0081】
また、図10のマトリクスにおいて、ライフサイクルオプションだけでなく、製品の主要機能の項目(例えば、機能Aに関連する部品に「1」、関連しない部品に「0」を入力するなど)を追加すれば、より現実に即した計算結果を得ることができる。
【0082】
例えば、図10のマトリクスに対して、図6のQFD PhIIにおける品質特性と部品との関係を追加してクラスタ分析を行う。例えば、図12に示すように、横方向には、ライフサイクルオプション、すなわち、「アップグレード性」、「メンテナンス性」、「リユース性」、「リサイクル性」といった部品の特性とともに、さらに、図6に示した「品質特性1」〜「品質特性8」を並べ、図6の「部品1」〜「部品10」と、「品質特性1」〜「品質特性8」との相関度が「9」と「3」であるものについては図12の要素値を「1」、相関度が「1」あるいは空欄であるものは上記品質特性とは関連しないとみなし、図12の要素値を「0」と設定する。すなわち、図12のマトリクスでは、「品質特性1」〜「品質特性8」のいずれかと関連する部品に対しては「1」、関連しない部品に対しては「0」が設定されている。「品質特性1」〜「品質特性8」は、対象製品の主要機能である。
【0083】
図12に示したマトリクスに対し、前述同様クラスタリング分析を行うことにより、製品ライフサイクルにおける各種特性と品質特性とが同じかあるいは類似する部品の組合せを求めることができる。すなわち、製品ライフサイクルにおける各種特性が同じかあるいは類似するとともに、関連する主要機能が同じかあるいは類似する部品の組合せを求めることができるのである。
【0084】
本発明の実施の形態に記載した本発明の手法は、コンピュータに実行させることのできるプログラムとして、磁気ディスク(フレキシブルディスク、ハードディスクなど)、光ディスク(CD−ROM、DVDなど)、半導体メモリなどの記録媒体に格納して頒布することもできる。
【0085】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0086】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、設計上流段階で入手可能な情報だけを用いて、製品を構成する部品のもつ製品ライフサイクルにおける特性に基づき、モジュールとすべき部品の組合せを容易に求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係る設計支援装置のハードウエア的な構成例を示した図。
【図2】 設計支援装置の処理動作を説明するためのフローチャート。
【図3】 QFD PhIマトリクスの具体例を示した図。
【図4】 QFD PhIIマトリクスの具体例を示した図。
【図5】 各部品の相対重要度を算出するためのQFD PhIマトリクスを示した図。
【図6】 各部品の相対重要度を算出するためのQFD PhIIマトリクスを示した図。
【図7】 各部品の相対影響度を算出するためのQFD PhIマトリクスを示した図。
【図8】 各部品の相対影響度を算出するためのQFD PhIIマトリクスを示した図。
【図9】 部品表データの一例を示した図。
【図10】 対象製品を構成する各部品についての製品ライフサイクルにおける各種特性の有無を表すマトリクスの一例を示した図。
【図11】 図10に示したデータをクラスタリングした結果を示した図。
【図12】 対象製品を構成する各部品についての、製品ライフサイクルにおける各種特性の有無と、製品の主要機能との関連の有無を表すマトリクスの一例を示した図。
【符号の説明】
1…バス、2…表示装置、3…入力装置、4…出力装置、5…演算装置、6…外部記憶装置、7…可搬記憶媒体ドライブ装置、8…メモリ、9…ライフサイクルオプション割り当て手段、10…クラスタリング手段。
Claims (3)
- 製品を構成する複数の部品を組み合わせてなるモジュールの設計支援装置であって、
前記製品の価値を劣化させる複数の要因と前記製品の複数の品質特性との間の相関度、及び前記複数の品質特性と前記製品の複数の部品との間の相関度に基づき、各部品の製品価値劣化への影響度を算出し、前記複数の部品のうち、該影響度が予め定められた閾値以上である部品をアップグレード性有りの特性を有する部品として選択する第1の選択手段と、
前記製品に対する顧客からの複数の要求項目と前記複数の品質特性との間の相関度、及び前記複数の品質特性と前記複数の部品との間の相関度に基づき、各部品の重要度を算出し、前記複数の部品のうち、前記重要度が予め定められた閾値以上で且つ耐用寿命が前記製品の使用期間よりも長い部品、及び耐用寿命が前記製品の使用期間よりも短い部品をメンテナンス性有りの特性を有する部品として選択する第2の選択手段と、
前記製品からの環境負荷の排出量に対する各部品からの前記環境負荷の排出量の比率、前記製品の価格に対する各部品の価格の比率、及び各部品の耐用寿命を基に、前記複数の部品のうち、相対的に高価格・環境負荷が多い・耐用寿命の長い部品を、リユース性有りの特性を有する部品として選択する第3の選択手段と、
各部品を構成する材料の種類の数、及び各部品の質量に対する該部品中のリサイクル可能材料の質量の比を基に、前記複数の部品のうち、相対的に材料の種類が少ない・リサイクル可能な材料を多く含む部品を、リサイクル性有りの特性を有する部品として選択する第4の選択手段と、
前記第1乃至第4の選択手段で選択された特性を基に、前記複数の部品から、同じあるいは類似する特性を有する部品の組合せを求める手段と、
を具備したことを特徴とする設計支援装置。 - 製品を構成する複数の部品を組み合わせてなるモジュールの設計支援装置における設計支援方法であって、
前記製品の価値を劣化させる複数の要因と前記製品の複数の品質特性との間の相関度、及び前記複数の品質特性と前記製品の複数の部品との間の相関度に基づき、各部品の製品価値劣化への影響度を算出し、前記複数の部品のうち、該影響度が予め定められた閾値以上である部品をアップグレード性有りの特性を有する部品として選択する第1の選択ステップと、
前記製品に対する顧客からの複数の要求項目と前記複数の品質特性との間の相関度、及び前記複数の品質特性と前記複数の部品との間の相関度に基づき、各部品の重要度を算出し、前記複数の部品のうち、前記重要度が予め定められた閾値以上で且つ耐用寿命が前記製品の使用期間よりも長い部品、及び耐用寿命が前記製品の使用期間よりも短い部品をメンテナンス性有りの特性を有する部品として選択する第2の選択ステップと、
前記製品からの環境負荷の排出量に対する各部品からの前記環境負荷の排出量の比率、前記製品の価格に対する各部品の価格の比率、及び各部品の耐用寿命を基に、前記複数の部品のうち、相対的に高価格・環境負荷が多い・耐用寿命の長い部品を、リユース性有りの特性を有する部品として選択する第3の選択ステップと、
各部品を構成する材料の種類の数、及び各部品の質量に対する該部品中のリサイクル可能材料の質量の比を基に、前記複数の部品のうち、相対的に材料の種類が少ない・リサイクル可能な材料を多く含む部品を、リサイクル性有りの特性を有する部品として選択する第4の選択ステップと、
前記第1乃至第4の選択ステップで選択された特性を基に、前記複数の部品から、同じあるいは類似する特性を有する部品の組合せを求めるステップと、
を含む設計支援方法。 - 製品を構成する複数の部品を組み合わせてなるモジュールの設計支援プログラムであって、
コンピュータに、
前記製品の価値を劣化させる複数の要因と前記製品の複数の品質特性との間の相関度、及び前記複数の品質特性と前記製品の複数の部品との間の相関度に基づき、各部品の製品価値劣化への影響度を算出し、前記複数の部品のうち、該影響度が予め定められた閾値以上である部品をアップグレード性有りの特性を有する部品として選択する第1の選択ステップと、
前記製品に対する顧客からの複数の要求項目と前記複数の品質特性との間の相関度、及び前記複数の品質特性と前記複数の部品との間の相関度に基づき、各部品の重要度を算出し、前記複数の部品のうち、前記重要度が予め定められた閾値以上で且つ耐用寿命が前記製品の使用期間よりも長い部品、及び耐用寿命が前記製品の使用期間よりも短い部品をメンテナンス性有りの特性を有する部品として選択する第2の選択ステップと、
前記製品からの環境負荷の排出量に対する各部品からの前記環境負荷の排出量の比率、前記製品の価格に対する各部品の価格の比率、及び各部品の耐用寿命を基に、前記複数の部品のうち、相対的に高価格・環境負荷が多い・耐用寿命の長い部品を、リユース性有りの特性を有する部品として選択する第3の選択ステップと、
各部品を構成する材料の種類の数、及び各部品の質量に対する該部品中のリサイクル可能材料の質量の比を基に、前記複数の部品のうち、相対的に材料の種類が少ない・リサイクル可能な材料を多く含む部品を、リサイクル性有りの特性を有する部品として選択する第4の選択ステップと、
前記第1乃至第4の選択ステップで選択された特性を基に、前記複数の部品から、同じあるいは類似する特性を有する部品の組合せを求めるステップと、
を実行させる設計支援プログラム。
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