JP3916152B2 - 太陽光発電瓦 - Google Patents

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  • Photovoltaic Devices (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、発電性能に優れ、かつデザイン性や施工性に優れた屋根瓦一体型の太陽光発電瓦の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、陶器瓦とシリコン発電基板を内蔵する太陽光発電セルとを一体化した太陽光発電瓦の実用化研究が進められているが、多くはアモルファスシリコンを発電素子としたもの(特許文献1を参照)であり、発電効率が低いため多数の太陽光発電セルを搭載する必要があり設備,建設費が高くなることから普及の障害となっていた。
【0003】
また、シリコン発電基板には、発電効率がアモルファスタイプの約2倍に達する結晶質シリコン(多結晶質および単結晶質)の利用も考えられている(特許文献1を参照)が、発電効率の温度依存性が強く、70℃程度に曝されると発電量が低下してしまうという問題があった。
【0004】
さらに、これらの太陽光発電瓦では、あらかじめ瓦と太陽光発電セルとを組み付けた屋根瓦一体型として工場から出荷されるのが通例(特許文献1を参照)であって、施工現場までの運搬における、太陽光発電セルの破損防止のための養生費用や運搬費用がコストアップになる上、現場での瓦葺き施工には熟練が要求され、またセル個々の電力取出し用ケーブルの結線作業が必要になるなど施工作業性やコスト面で解決すべき問題が多かった。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−6255号公報:段落〔0005〕、〔0007、〔0015〕。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、発電効率の高い結晶質シリコン発電基板を太陽光発電瓦に適用可能とすること、施工現場までの運搬を簡便化すること、現場での瓦葺き施工に特別な熟練が要求されないこと、太陽光発電セルの組み付け容易であること、などを可能とする太陽光発電瓦を提供する。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の問題は、一方側のアンダラップ部と他方側の桟山部との間に谷部を有する瓦本体の表面において、その谷部を挟んだ両側部に、結晶系シリコン発電基板を内蔵する太陽光発電セルの両側端部を、バネ弾性によって係合する係合金具部材によって係合させ固定する係合部を凸状に形成し、該太陽光発電セルを、前記谷部との間に通風空間を設けて、着脱自在に配設可能としたことを特徴とする本発明の太陽光発電瓦によって、解決することができる。
【0008】
この場合、前記係合部と太陽光発電セルの両側端部を固定するための係合金具部材が、太陽光発電セルの端部が嵌着される横向きに開口した凹部を形成するコ字状屈曲部とそれに続く下垂部と外方に折返される先端係止部とからなる屈曲弾性金属板材であって、その先端係止部が前記瓦本体側の係合部側面に設けた係止凹部に係止することによって、前記太陽光発電セルを着脱自在に配設可能としたものである形態に、好ましく具体化できる。
【0009】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の太陽光発電瓦に係る実施形態について、図1〜3を参照しながら説明する。
本発明の太陽光発電瓦の特徴とするところは、第1に、一方側のアンダラップ部11と他方側の桟山12の間に位置する谷部13を挟む陶器瓦本体1、すなわち広く用いられている桟瓦を対象とし、その表面の両側部分に、結晶系シリコン発電基板を内蔵する平板状の太陽光発電セル2を固定可能とする凸状の係合部15a、15bを形成した点にある。
【0010】
第2に、前記太陽光発電セル2の両側端部を前記係合部15a、15bに係合させ固定するための係合金具部材3(左側を3a、右側を3bで示す)準備した点にある。
【0011】
第3に、配設される太陽光発電セル2は、その外周部分が係合部15a、15bによって支えられるので、瓦本体1の谷部13の表面との間に通風空間14を設けた状態で、着脱自在に配設され得るようにした点にある。この通風空間の厚さは、中央部分において少なくとも10mm以上になるよう設定するのがよい。
【0012】
次に、この係合金具部材3の好ましい実施形態について、図2、3を用いて説明する。
この係合金具部材3は、以下説明する形状の屈曲弾性金属板材であって、太陽光発電セル2の端部が嵌着される横向きに開口した凹部を形成する断面コ字状の屈曲部31と、それに続く下垂部32と、その下端部から外方に折返される折返し係止部33とから一体に形成されている屈曲弾性金属板材である。
【0013】
そして、図2に示すように、係合金具部材3の断面コ字状の屈曲部31と太陽光発電セル2の端部とを嵌め着けて組み付ける。図では、1方側端部のみを示しているが、この実施形態では太陽光発電セル2の左右両端部に係合金具部材3を組み付けるものである。次いで、折返し係止部33を内方に押し付けながら、瓦本体1の係合部15内側に沿って押し込めば、図3に示すように、係合金具部材3の折返し係止部33の先端が前記係合部15側面に設けた係止凹部16に弾段状態に係止する。かくして、前記太陽光発電セルは先の図1に示す前記係合部15a、15間に、通風空間14を設けて配設されるのである。
【0014】
なお、このために、係合金具部材3は、適宜なバネ弾性を有する金属板から形成されるのがよく、前記太陽光発電セル2は係合部15に弾段状態に係合、固定されるよう、前記係合部15側面相互間の間隔、係止凹部16の位置、太陽光発電セル2の横幅寸法、係合金具部材3の折返し係止部33の外方への張出し寸法などを設定するのがよい。
【0015】
また、本発明では、図3に示すように、通風空間14の厚さは、係合部15の高さと係合金具部材3の寸法(高さ)などによって、適宜に調整可能である。
さらに、本発明の係合金具部材3では、その断面コ字状の屈曲部31の開口の方向を逆転させることにより、太陽光発電セル2の左右両端部のいずれにも嵌着させることができるという左右両用の利点が得られる。
また、太陽光発電セル2を前記係合部15から取り外すには、太陽光発電セル2を左右どちらかに引き寄せて、反対側の屈曲弾性金属板材3を係合部15から離脱させれば、全体を容易に取り外すことが可能である。
【0016】
以上説明したように、本発明の太陽光発電瓦では、太陽光発電セル2を前記瓦本体1に対して簡単に着脱可能に配設できるので、太陽光発電セル2を配設していない状態の太陽光発電瓦、すなわち前記瓦本体1と太陽光発電セル2とを別々に包装し、従来の手法によって施工現場に運搬することができるから、特に養生費用や運搬コストが嵩むことがないという利点が得られる。
【0017】
さらに、本発明も太陽光発電瓦は、発電効率の高い多結晶質または単結晶質のシリコン発電基板を応用するものであるが、太陽光発電セル2と、瓦本体1との間には通風空間14を設けているので、その外周から適宜に空気が出入りすることによる適度な通風により太陽光発電セル2の温度上昇が防止できから、発電効率が低下するのを防ぐことができるという利点が得られる。同時に、この空間の一部は太陽光発電セル2の裏面に設けられる端子ボックスが納められる場所として利用できる利点もある。さらに、図1例示の本発明では、この通風空間14が頭部に向けて直接開口しているので、侵入した雨水を容易に排水できるという利点も有しているのである。
【0018】
【発明の効果】
本発明の太陽光発電瓦は、以上説明したように構成されているので、発電効率の高い結晶質シリコン発電素子が太陽光発電瓦に適用可能となり、施工面積を従来のアモルファスの場合の約1/2することができ、また、施工現場まで太陽光発電瓦の運搬に特別な養生が不要となり、さらに施工現場での瓦葺き作業に特別な熟練が要求されないうえ、太陽光発電セルの組み付け容易になるなどコストダウンに大きく寄与できるという優れた効果がある。よって本発明は、従来の問題点を解消した発電性能に優れ、かつデザイン性や施工性に優れた屋根瓦一体型の太陽光発電瓦として工業的価値はきわめて大なるものがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の太陽光発電瓦を説明するための要部斜視図。
【図2】本発明の係合部と太陽光発電瓦の位置関係を示す要部断面図。
【図3】係合部と係合金具部材の係合関係を示す要部断面図。
【符号の説明】
1 瓦本体、11 アンダラップ部、12 桟山、13 谷部、14 通風空間、15、15a、15b 係合部、2 太陽光発電セル、3、3a、3b 係合金具部材、31 屈曲部、32 下垂部、33 折返し係止部。

Claims (2)

  1. 一方側のアンダラップ部と他方側の桟山部との間に谷部を有する瓦本体の表面において、その谷部を挟んだ両側部に、結晶系シリコン発電基板を内蔵する太陽光発電セルの両側端部を、バネ弾性によって係合する係合金具部材によって係合させ固定する係合部を凸状に形成し、該太陽光発電セルを、前記谷部との間に通風空間を設けて、着脱自在に配設可能としたことを特徴とする太陽光発電瓦。
  2. 前記係合部と太陽光発電セルの両側端部を固定するための係合金具部材が、太陽光発電セルの端部が嵌着される横向きに開口した凹部を形成するコ字状屈曲部とそれに続く下垂部と外方に折返される先端係止部とからなる屈曲弾性金属板材であって、その先端係止部が前記瓦本体側の係合部側面に設けた係止凹部に係止することによって、前記太陽光発電セルを着脱自在に配設可能としたものである請求項1に記載の太陽光発電瓦。
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