JP3916052B2 - キャブの前窓ロック装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建設機械等のキャブに設けられる前窓をロックするための前窓ロック装置の技術分野に属するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、建設機械等のキャブに設けられる前窓のなかには、キャブ前面の窓用開口部を閉じる閉鎖位置と、キャブ天井部に収納されて窓用開口部を開く開放位置とに開閉移動自在に構成されたものがあるが、このものにおいて、建設機械が使用されていないときには防犯のために前窓を閉鎖位置でロックしておく必要があり、また前窓を開けているときには前窓が不意に落下しないように前窓を開放位置にロックしておく必要がある。そこで、従来、前窓を閉鎖、開放の各位置にロックするためのロック装置が設けられているが、このようなロック装置として、例えば実開平4−134710号公報に示される如く、前窓側に出没自在なロックピンを設ける一方、キャブ側に、前窓が閉鎖、開放の各位置に位置したときにロックピンが嵌入可能な嵌入孔を設け、該嵌入孔にロックピンを嵌入せしめることで前窓を各位置にロックできるようにしたものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、前記公報のものは、ロックピンと嵌入孔との位置合せが難しく、ロック操作に手間取るという問題がある。
そこで、前窓が閉鎖、開放の各位置に達したことに伴って自動的なロックを行うロック装置が提唱される。しかるにこの場合、閉鎖、開放の各位置の前窓をそれぞれロックする閉用、開用の各ロック装置の解除操作を、簡単に行えるように構成する必要がある。また、前記自動的なロックは、前窓が閉鎖、開放の各位置に達していない状態では行われないことになるため、万一作業者が自動ロックされる手前の位置で前窓の開閉移動を停止させてしまったような場合、実際には自動ロックされていないのに作業者はロックされたと思い込んでしまうことがあるが、この場合には開放状態の前窓が振動等で不用意に落下してしまう惧れがあり、この様な不具合を回避するための配慮が必要であって、これらに本発明が解決しようとする課題があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の如き実情に鑑み、これらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、キャブ前面の窓用開口部を閉じる閉鎖位置とキャブ天井部に収納されて窓用開口部を開く開放位置とに開閉移動自在な前窓と、該前窓を前記閉鎖、開放の各位置でそれぞれロックするための閉用、開用の各ロック装置と、前窓を開閉移動させるときに把持するべく前窓に設けられるハンドルとを備えたキャブにおいて、前記閉用、開用の各ロック装置は、前窓を閉鎖、開放の各位置に位置せしめたことに伴い前窓側に設けたロック体がキャブ側に設けたロック受体に係合することで前窓を各位置に自動的にロックする構成とする一方、閉用、開用の各ロック装置のロックをそれぞれ解除するための閉ロック装置用、開ロック装置用の各解除レバーを、前記ハンドルを把持した手の指で操作できる部位に配すると共に、閉ロック装置用、開ロック装置用の解除レバーは、前窓が閉鎖位置のときに、開ロック装置用解除レバーが上側に位置し、閉ロック装置用解除レバーが下側に位置する状態で上下に並列するようにして配されていることを特徴とするキャブの前窓ロック装置である。
そして、この様にすることにより、閉ロック装置用、開ロック装置用の解除レバーの操作を、ハンドルを把持したままの手の指のワンタッチ操作で行うことができることになって、操作性に優れると共に、開用ロック装置をロック解除した直後に前窓が不意に滑り落ちてしまうような不具合を、確実になくすことができる。
さらに、前窓の位置と、操作するべき解除レバーとの位置が一致することになって、オペレータがどちらの解除レバーを操作するべきか容易に認識することができるという利点がある。
【0005】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図面において、1は油圧ショベル等の建設機械のキャブであって、該キャブ1の前面には、窓用開口部1aが開設されている。また、2は前窓であって、該前窓2は、上下左右の窓枠2aにガラス板等の透明板2bを組付けて構成されるものであるが、上下の窓枠2aの左右端部にはガイドローラ3が取り付けられており、そして該ガイドローラ3が、キャブ1の前面部から天井部に亘って敷設された逆L字形状の左右のガイドレール4に転動自在にガイドされることで、前窓2は、前記窓用開口部1aを閉じる閉鎖位置と、キャブ1の天井部に収納されて窓用開口部1aを開く開放位置とに開閉移動できるように構成されている。
【0006】
一方、5は前記前窓2を開閉移動させるときに作業員が把持するべく窓枠2aに取付けられるハンドルであって、本実施の形態では、右(キャブ1の内部側から見て右、以下同様)側窓枠2aの上部には右側ハンドル5Aが、左(キャブ1の内部から見て左、以下同様)側窓枠2aの上部には左側ハンドル5Bが、また下側窓枠2aの左部には下側ハンドル5Cがそれぞれ取り付けられている。
【0007】
さらに、前窓2の上側窓枠2aには、前窓2を前記閉鎖、開放の各位置にロックするための閉用、開用の各ロック装置6、7と、該閉用、開用のロック装置6、7のロックをそれぞれ解除するための閉ロック装置用、開ロック装置用の解除レバー8、9と、これら各ロック装置6、7と各解除レバー8、9とをそれぞれ連結する閉用、開用の連結ロッド10、11等からなる自動ロック装置12が取り付けられているが、該自動ロック装置12は、前窓2の上部側視界を損なわないように、上側窓枠2aよりも下方に垂下しないように配設されている。また、上記閉ロック装置用、開ロック装置用の解除レバー8、9は、前記右側ハンドル5Aを把持した右手の親指で操作できる部位に配されていると共に、前窓2が閉鎖位置のときに、開ロック装置用解除レバー9が上側に位置し、閉ロック装置用解除レバー8が下側に位置する状態で上下に並列するようにして配されている。
【0008】
一方、13、14はキャブ1側に取付ブラケット13a、14aを介して取付けられる閉用、開用のロック受体であって、これらロック受体13、14は、図8に示す如くコ字形状をしているが、閉用ロック受体13は、前窓2が閉鎖位置になったときに前記閉用ロック装置6に係合するよう窓用開口部1aの上方部位に固設されており、また開用ロック受体14は、前窓2が開放位置になったときに開用ロック装置7に係合するようキャブ1の天井部後側部位に固設されている。
【0009】
次いで、前記閉用ロック装置6の構造について説明すると、該閉用ロック装置6を構成するケース体15には、前窓2の開閉移動に伴って前記閉用ロック受体13が出入り自在に嵌入できる嵌入溝15aが形成されている。
また、16は上記ケース体15側に軸16aを介して揺動自在に軸支される閉用ロックプレートであって、該閉用ロックプレート16は、前記嵌入溝15aに嵌入しようとする閉用ロック受体13に当接する当接片16bと、嵌入溝15aに嵌入した閉用ロック受体13の抜け止めをするロック片16cと、後述する閉用ストッパ17の爪部17bが係止する係止受部16dとが形成されている。そしてこのロックプレート16は、上記ロック片16cが嵌入溝15a内に突出するロック姿勢(図9(A)に実線で示す)と、当接片16bが嵌入溝15a内に突出する待機姿勢(図9(A)に一点鎖線で示す)とに揺動変姿するように構成されていると共に、後述するスプリング18により常時待機姿勢側に付勢されている。
さらに、上記閉用ストッパ17は、ケース体15側に軸17aを介して揺動自在に軸支されているが、該閉用ストッパ17は、前記閉用ロックプレート16がロック姿勢のときに該閉用ロックプレート16の係止受部16dに係止する爪部17bが形成されていると共に、前記閉ロック装置用解除レバー8に閉用連結ロッド10を介して連結されている。そしてこの閉用ストッパ17は、爪部17bが前記ロック姿勢の開用ロックプレート16の係止受部16dに係止する係止姿勢(図9(B)に実線で示す)と、爪部17bの上端が開用ロックプレート16の下面に当接する待機姿勢(図9(B)に一点鎖線で示す)とに揺動変姿するように構成されていると共に、前記スプリング18により常時係止姿勢側に付勢されているが、さらに閉用ストッパ17を上記待機姿勢を越えて反係止姿勢側に揺動させることで、閉用ロックプレート16に干渉しない解除姿勢(図9(B)に二点鎖線で示す)に変姿できるように構成されている。
またさらに、前記スプリング18は、閉用ロックプレート16と閉用ストッパ17とのあいだに介装されていて、前述したように、該スプリング18の付勢力により、閉用ロックプレート16は待機姿勢側に常時付勢される一方、閉用ストッパ17は係止姿勢側に常時付勢されるようになっている。
【0010】
そして、前窓2が開放位置に位置している状態では、閉用ロック装置6の閉用ロックプレート16および閉用ストッパ16は、共に待機姿勢に保持されている(図7参照)。
この状態から前窓2を閉じると、該前窓2が閉鎖位置に達する直前に、ケース体15の嵌入溝15aの出入口15bから閉用ロック受体13が嵌入する。該嵌入溝15aに嵌入した閉用ロック受体13は、閉用ロックプレート16の当接片16bに当接して押圧し、これにより閉用ロックプレート16は前記スプリング18の付勢力に抗してロック姿勢側に揺動する。そして、前窓2が閉鎖位置に位置した時点で、閉用ロック受体13が嵌入溝15aの溝底部に達すると共に、閉用ロックプレート16はロック姿勢となり、該ロック姿勢のロック片16cが閉用ロック受体13に係合することで閉用ロック受体13の相対移動をロックするように設定されている。また、閉用ストッパ17は、閉用ロックプレート16がロック姿勢に変姿することに伴い、スプリング18の付勢力を受けて、爪部17bが閉用ロックプレート16の係止受部16dに係止する係止姿勢に揺動変姿するようになっており、該係止姿勢の閉用ストッパ17によって閉用ロックプレート16をロック姿勢に保持できるように構成されている。而して、前窓2が閉鎖位置に位置することに連携して、閉用ロックプレート16が閉用ロック受体13に係合して該閉用ロック受体13の相対移動を規制するロック姿勢に揺動変姿すると共に、閉用ストッパ17が係止姿勢に変姿して閉用ロックプレート16を上記ロック姿勢に保持し、これにより閉用ロック装置6による閉鎖位置の前窓2のロックがなされるように構成されている(図6参照)。
一方、前窓2を開ける場合には、前記閉用ロック装置6のロックを解除することになるが、この場合には、後述するように閉ロック装置用解除レバー8を右方向の解除位置側に操作すると、閉用連結ロッド10が右方向に移動して、閉用ストッパ17を解除姿勢側に揺動せしめる。これにより、閉用ロックプレート16の係止受部16dと閉用ストッパ17の爪部17bとの係止が外れて、閉用ロックプレート16は、待機姿勢側への揺動が許容された状態となる。この状態で前窓2を開放側に移動させると、閉用ロック受体13が嵌入溝15aの出入口15b側に相対移動して嵌入溝15aから抜け出ると共に、閉用ロックプレート16は待機姿勢に変姿揺動する。そして、前記待機姿勢に揺動変姿した閉用ロックプレート16は、スプリング18の付勢力により該待機姿勢に保持される。
【0011】
また、開用ロック装置7は、前述した閉用ロック装置6と形状は異なるが構造および作用は略同様のものであるため簡単に説明すると、該開用ロック装置7のケース体19には、嵌入溝20aを備えた固定プレート20が固設されていると共に、当接片21bとロック片21cと係止受部21dとを備えた開用ロックプレート21が軸21aを介して揺動自在に軸支されており、さらに爪部22bを備えた開用ストッパ22が軸22aを介して揺動自在に軸支されているが、該開用ストッパ22は、開用連結ロッド11を介して開ロック装置用解除レバー9に連結されている。そして、上記開用ロックプレート21は、前述した閉用ロックプレート16と同様にロック姿勢(図10に実線で示す)、待機姿勢(図10に一点鎖線で示す)に揺動変姿すると共に、スプリング23の付勢力により待機姿勢側に常時付勢される一方、開用ストッパ22は、閉用ストッパ17と同様に係止姿勢(図10に実線で示す)、待機姿勢(図10に一点鎖線で示す)および解除姿勢(図10に二点鎖線で示す)に揺動変姿すると共に、スプリング24の付勢力により係止姿勢側に常時付勢されている。
【0012】
そして、前窓2が閉鎖位置に位置している状態では、開用ロック装置7の開用ロックプレート21および開用ストッパ22は、共に待機姿勢に保持されている(図6参照)。
この状態から前窓2を開くと、該前窓2が開放位置に位置することに連携して、開用ロックプレート21が嵌入溝20aに嵌入した開用ロック受体14に係合して該開用ロック受体14の相対移動を規制するロック姿勢に変姿すると共に、開用ストッパ22が係止姿勢に揺動変姿して開用ロックプレート21を上記ロック姿勢に保持し、これにより開用ロック装置7による開放位置の前窓2のロックがなされるように構成されている(図7参照)。
一方、前窓2を閉じる場合には、後述するように開ロック装置用解除レバー9を右方向の解除位置側に操作すると、開用連結ロッド11が右方向に移動して開用ストッパ22を解除姿勢に変姿せしめ、これにより開用ロックプレート21は、待機姿勢側への揺動が許容された状態となる。この状態で前窓2を閉鎖側に移動させると、開用ロック受体14が嵌入溝20aから抜け出ると共に、開用ロックプレート21は待機姿勢に揺動変姿する。
【0013】
一方、前記閉ロック装置用、開ロック装置用の両解除レバー8、9は、支軸25を介して前窓2の上側窓枠2aに揺動自在に軸支されているが、これら閉ロック装置用、開ロック装置用の解除レバー8、9には、閉用、開用の連結ロッド10、11の右端部に折曲形成される連結部10a、11aがそれぞれスライド移動自在に嵌合される長孔8a、9aが開設されている。そして、これら両解除レバー8、9は、オペレータによって操作されていないときには、レバー用スプリング26の付勢力により非操作位置に位置していて、上下に並列状に重なり合う状態となっているが、これら閉ロック装置用、開ロック装置用の解除レバー8、9は、閉用、開用のストッパ17、22に対して略同様に作用するため、閉ロック装置用の解除レバー8を例にとって以下に説明する。
【0014】
前記閉ロック装置用解除レバー8は、前述したようにオペレータが操作していない状態では非操作位置に位置しているが、該閉ロック装置用解除レバー8が非操作位置に位置している状態で、閉用ストッパ17が係止姿勢のときには、閉用連結ロッド10の連結部10aが長孔8aの左部に位置し(図11(A)に実線で示す)、また閉用ストッパ17が待機姿勢のときには、連結部10aが長孔8aの右部に位置する(図11(A)に一点鎖線で示す)ように設定されている。このものにおいて、前窓2が閉鎖位置に位置している状態では、前述したように閉用ストッパ17は係止姿勢になっているから、閉用連結ロッド10の連結部10aは長孔8aの左部に位置している。
この状態から前窓2を開ける場合には、まず閉用ロック装置6のロックを解除するべく閉ロック装置用解除レバー8を右方向の解除位置側に操作すると、連結部10aは長孔8aの左部に位置した状態で閉ロック装置用解除レバー8と共に右方向に移動し(図11(A)に二点鎖線で示す)、これにより閉用連結ロッド10が右方向に移動して閉用ストッパ17を解除姿勢に揺動変姿せしめる。而して、閉用ロックプレート16の待機姿勢側への揺動が許容されて、前窓2を開放位置側に移動させることができることになるが、該前窓2を少なくとも閉用ロック受体13が嵌入溝15aから抜け出るまで閉鎖位置側に移動させてから、閉ロック装置用解除レバー8から手を放すと、閉ロック装置用解除レバー8はレバー用スプリング26の付勢力により左方向に揺動して、自動的に非操作位置に復帰する。この場合、閉用連結ロッド10は閉ロック装置用解除レバー8と共に左方向に移動するが、該閉用連結ロッド10の左方への移動は、閉用ストッパ17が閉用ロックプレート16の下面に接当する待機姿勢になった時点で規制されることになり、而して、閉ロック装置用解除レバー8が非操作位置に復帰した状態では、閉用ストッパ17が待機姿勢になっていると共に、閉用連結ロッド10の連結部10aは長孔8aの右部に位置している。
【0015】
而して、閉ロック装置用解除レバー8は、オペレータが解除側に操作していない状態では、閉用ストッパ17が係止姿勢であっても待機止姿勢であっても、常に非操作位置に位置している。そして、閉用ロック装置6のロックを解除するときに、オペレータが閉ロック装置用解除レバー8を解除位置側に操作することになるが、これは開ロック装置用解除レバー9も同様であり、しかも、閉用、開用両解除レバー8、9の解除側への操作方向は同一方向となるように設定されている。而してオペレータは、閉用、開用の何れのロック装置6、7のロックを解除する場合にも、常に非操作位置の閉ロック装置用、開ロック装置用の解除レバー8、9を解除側に操作すれば良いことになるが、この場合、ロック状態のロック装置6または7の解除レバー8または9のみを解除側に操作しても良いが、待機状態のロック装置6または7の解除レバー8または9を解除側に操作してもストッパ17または22およびロックプレート16または21の待機姿勢は保持されるから、両解除レバー8、9を同時に解除側に操作するようにしても良い。
尚、図中、27は閉ロック装置用解除レバー8の揺動をガイドするガイド部材である。
【0016】
ところで、前記閉ロック装置用、開ロック装置用の解除レバー8、9の操作は、閉用、開用のストッパ17、22を付勢するスプリング18、24、およびレバー用スプリング26の付勢力に抗して行うことになるため、閉用、開用のロック装置6、7のロックを解除する場合に、両解除レバー8、9を同時に操作すると、一方の解除レバー8または9のみを操作する場合に比して、操作力は重くなる。そこで、本実施の形態では、少しでも操作力を軽くしたい場合には、ロック解除する方の解除レバー8または9のみを操作すれば良く、またロック解除する方の解除レバー8、9を選択するのが面倒な場合には、両解除レバー8、9を同時に操作しても良いように構成されている。
【0017】
さらに、前窓2の上側窓枠2aの左右方向一端部(本実施の形態では右側端部)には、左右方向を向くガイド筒体28が取り付けられており、該ガイド筒体28には、左右方向スライド移動自在なラッチロックピン29が挿通されている。そしてこのラッチロックピン29は、該ラッチロックピン29に固着される摘み部29aを把持して左右方向にスライド移動せしめることにより、ラッチロックピン29の一端側が前窓2の左右側部から突出するロック位置と、前窓2の左右側部よりも内方側に没入するロック解除位置とに変位するようになっている。さらに、前記ガイド筒体28には、ラッチロックピン29がロック位置、ロック解除位置に位置したときに摘み部29aを軸回り方向に回動させることで係合する係合溝28a、28bが開設されており、該係合溝28aまたは28bに摘み部29aを係合せしめることで、ロック位置、ロック解除位置のラッチロックピン29を固定して不用意に移動してしまうことがないように構成されている。
【0018】
一方、キャブ1側には、前窓2が閉鎖位置、開放位置に位置したときに、前記ロック位置のラッチロックピン29が嵌入する嵌入孔30が形成されている。そして、前窓2を閉鎖位置、開放位置に位置せしめたときに、摘み部29aを操作してラッチロックピン29をロック位置にスライド移動して嵌入孔30に嵌入させることにより、前窓2は、該ラッチロックピン29によるロックと、前述した自動ロック装置12によるロックとの二重のロックがなされる構造になっている。
【0019】
叙述の如く構成されたものにおいて、閉鎖、開放の各位置に位置している前窓2を開閉する場合には、閉ロック装置用、開ロック装置用の各解除レバー8、9を解除位置側に操作すると、閉用、開用の各ロック装置6、7のロックが解除されて前窓2を開閉できることになるが、この場合、前記解除レバー8、9の操作は、第一ハンドル5Aを把持したままの手の親指のワンタッチ操作で行うことができるから、操作性に優れると共に、開用ロック装置7をロック解除した直後に前窓2が不意に滑り落ちてしまうような不具合を、確実になくすことができる。
しかも、前記閉ロック装置用、開ロック装置用の各解除レバー8、9は、オペレータが操作していない状態では常に非操作位置に位置しており、ロック装置6、7のロックを解除するときに解除側に操作すれば良いことになるが、該解除側への操作方向は同一方向であるから、オペレータが操作方向を迷うようなことがなく、更なる操作性の向上に寄与できる。
そのうえ、前記解除レバー8、9の解除側への操作は、前述したように、ロック解除する方の解除レバー8または9のみを操作しても、あるいは両解除レバー8、9を同時に操作しても良いように構成されているが、さらにこれら解除レバー8、9は、前窓2が閉鎖位置のときに、開ロック装置用解除レバー9が上側に位置し、閉ロック装置用解除レバー8が下側に位置する状態で上下に並列するようにして配されている。これにより、前窓2の位置と、操作するべき解除レバー8または9との位置が一致することになって、ロック解除する方の解除レバー8または9のみを操作する場合に、オペレータがどちらの解除レバー8または9を操作するべきか間違えることなく容易に認識できるという利点がある。
【0020】
また、前記閉用、開用のロック装置6、7は、共に前窓2側に取り付けられているため、キャブ1の天井後部にロック装置を配設した場合のように、開放位置の前窓2の後方に更にロック装置の配設スペースを確保する必要がなく、その分前窓2の上下寸法を大きく設定できることになって、作業時における前方視界の拡大に寄与できる。また、ロック装置6、7を組付ける場合にも、キャブ1に組付けるよりも前窓2に組付ける方が簡単であり、また、前窓2に組み付けたロック装置6、7は、キャブ1の室内側からカバー31で覆うことができるから、外観上にも優れる。
【0021】
さらにこのものにおいて、閉鎖、開放の各位置の前窓2は、自動ロック装置12とラッチロックピン29とにより二重にロックされる構造になっていて、各位置でのロックを確実なものとすることができる。しかも、前記ラッチロックピン29のロック操作、つまり前窓2側から突出するラッチロックピン29をキャブ1側の嵌入孔30に嵌入させる操作は、ロック装置6、7による自動ロックがなされた後に行うことになるから、自動ロックが確実になされているか否かを確認できると共に、自動ロックにより前窓2は閉鎖、開放の各位置に位置決めされた状態になっているため、面倒な位置合せを行わなくても、ラッチロックピン29と嵌入孔30とは自然に位置合わせされた状態になっており、而して、ラッチロックピン29のロック操作についても、簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】キャブの概略斜視図である。
【図2】キャブの外部側から見た前窓の正面図である。
【図3】図2のX−X拡大断面図である。
【図4】キャブの内部側から見た前窓の平面図である。
【図5】前窓の側面図である。
【図6】(A)、(B)は前窓が閉鎖位置のときの自動ロック装置の平面図、側面図である。
【図7】(A)、(B)は前窓が開放位置のときの自動ロック装置の平面図、側面図である。
【図8】開用、閉用のロック受体の斜視図である。
【図9】(A)、(B)は開用ロック装置の作動を示す図である。
【図10】閉用ロック装置の作動を示す図である。
【図11】(A)、(B)は閉用解除レバー、開用解除レバーの作動を示す図である。
【符号の説明】
1 キャブ
1a 窓用開口部
2 前窓
5 ハンドル
6 閉用ロック装置
7 開用ロック装置
8 閉ロック装置用解除レバー
9 開ロック装置用解除レバー
12 自動ロック装置
13 閉用ロック受体
14 開用ロック受体
16 閉用ロックプレート
17 閉用ストッパ
21 開用ロックプレート
22 開用ストッパ
29 ラッチロックピン
30 嵌入孔

Claims (1)

  1. キャブ前面の窓用開口部を閉じる閉鎖位置とキャブ天井部に収納されて窓用開口部を開く開放位置とに開閉移動自在な前窓と、該前窓を前記閉鎖、開放の各位置でそれぞれロックするための閉用、開用の各ロック装置と、前窓を開閉移動させるときに把持するべく前窓に設けられるハンドルとを備えたキャブにおいて、前記閉用、開用の各ロック装置は、前窓を閉鎖、開放の各位置に位置せしめたことに伴い前窓側に設けたロック体がキャブ側に設けたロック受体に係合することで前窓を各位置に自動的にロックする構成とする一方、閉用、開用の各ロック装置のロックをそれぞれ解除するための閉ロック装置用、開ロック装置用の各解除レバーを、前記ハンドルを把持した手の指で操作できる部位に配すると共に、閉ロック装置用、開ロック装置用の解除レバーは、前窓が閉鎖位置のときに、開ロック装置用解除レバーが上側に位置し、閉ロック装置用解除レバーが下側に位置する状態で上下に並列するようにして配されていることを特徴とするキャブの前窓ロック装置。
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