JP3915426B2 - 誘電体バリア放電ランプ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は誘電体バリア放電ランプに関する。特に、例えば、光化学反応用の紫外線光源として使用される放電ランプの一種で、誘電体バリア放電によってエキシマ分子を形成し、このエキシマ分子から放射される光を利用するいわゆる誘電体バリア放電ランプの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
この発明に関連した技術としては、例えば、特開平2−7353号があり、そこには、放電容器にエキシマ分子を形成する放電用ガスを充填し、誘電体バリア放電(別名オゾナイザ放電あるいは無声放電。電気学会発行改定新版「放電ハンドブック」平成1年6月再版7刷発行第263ページ参照)によってエキシマ分子を形成せしめ、エキシマ分子から放射される光を取り出す放射器、すなわち誘電体バリア放電ランプについて記載されており、従来の低圧水銀放電ランプや高圧アーク放電ランプには無い種々の特長を有しているため有用である。
【0003】
しかし、誘電体バリア放電ランプの高出力化に伴い、放電ギャップ長の増大と封入ガス圧力が増加して、これにより放電開始電圧、通常点灯時の入力電圧も増加している。このため、ランプの点灯装置に含まれる昇圧トランスにその性能を求める要求が強くなっている。
【0004】
ここで、誘電体バリア放電ランプを確実に点灯させるためには、誘電体バリア放電ランプの放電開始電圧よりも十分に大きい電圧を発生できる昇圧トランスを用いなければならない。しかしながら、昇圧トランスにおいて、高い電圧を発生させるためにはそのコイル巻線の数を多くする必要があり、これはトランス自身の大型化を招いてしまう。また、コイルの線径を細くするという方法も考えられるが電気抵抗が増すため、トランスからの発熱を招くという別の問題を発生させる。
このような理由により、誘電体バリア放電ランプを確実に点灯させるための手段として、放電開始電圧より十分大きい電圧を発生できる昇圧トランスを設計するという方法は好ましくなく、放電開始電圧そのものを下げることで確実な点灯を確保する方法が検討されている。
【0005】
このような誘電体バリア放電ランプの放電開始電圧を下げる一つの方法として、放電空間の一部に狭窄部分を設けて、これにより点灯始動性を高めるという方法が提案されている、この技術は、例えば、特開平6−209131号に開示される、
この文献に記載される技術は、誘電体である放電容器の壁そのものを内方に向けて突起を形成するか、あるいは酸化チタンあるいは酸化アルミニウムからなる誘電体材料を放電空間に配置するというものである。つまり、誘電体同士の間で放電空間を介して放電させるにあたり、放電空間の一部を他の部分に対して近距離に設計するという技術思想が開示されるものである。
【0006】
しかしながら、放電容器を構成する誘電体材料そのものは、もともとその厚みにバラツキを有するもので、このバラツキにより放電空間の距離(放電方向の距離)も全放電領域において完全に等しいというものではない。従って、上記先行技術のように、放電空間の一部を局所的に短くさせても、誘電体材料の厚み等のバラツキが原因して、必ずしも所望の設計どおりに放電空間を縮めていることにはならず、これが原因して良好に放電を開始できないという問題が生じる。
誘電体バリア放電ランプを点灯させるために点灯装置において、余裕を持った電圧供給が許される環境であれば問題はないが、装置の小型化や発熱の問題から、できるだけ小さい放電開始電圧で確実に点灯できる構造が強く求められている中においては、このような誘電体材料のバラツキによる特性の違いも大きな影響を及ぼすことになる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、この発明が解決しようとする課題は、放電始動が安定、かつ、確実に達成できる誘電体バリア放電ランプを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、この発明の誘電体バリア放電ランプは、少なくとも一部が誘電体バリア放電の誘電体を兼ねる放電容器と、この放電容器内に充填され誘電体バリア放電によってエキシマ分子を形成する放電用ガスと、この放電容器の外面に配置された一対の電極とよりなる誘電体バリア放電ランプにおいて、前記放電容器の内部には、前記電極に対向する容器の内面部分に対して接触する電気導体(以下、単に「導体」ともいう)を有することを特徴とする。
【0009】
また、前記導体はバネ性であることを特徴とする。
また、前記放電容器の外部には導体保持部材を有し、この記導体とこの導体保持部材の少なくとも一方が磁力を有することで導体を放電容器内の所定位置に保持することを特徴とする。また、前記導体は板状部材よりなり、前記放電容器に内面と90°以内、好ましくは45°以内の角度を形成して配置することを特徴とする。また、前記放電容器は外側管と内側管を同軸的に配置した概略二重円筒型であって、前記電極うち一方は外側管の外面に配置するとともに他方の電極は内側管の外面に配置する構成であることを特徴とする。
また、前記導体はリング形状であり、その直径が放電容器の内側管の外径と放電ギャップ長の合計よりも大きいものであって、かつ、放電容器の外側管の内面と内側管の内面に接触することを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1は、この発明の誘電体バリア放電ランプの概略図を示す。
図1(a)は誘電体バリア放電ランプの横断面図によって全体構成を示し、(b)は(a)のA−A’断面図を示す。
誘電体バリア放電ランプ1は、全体形状が円筒状であり、材質は誘電体バリア放電によって誘電体として機能するとともに、真空紫外光を透過する合成石英ガラスから構成される。放電ランプ1は内側管11と外側管12が同軸に配置して二重円筒管を構成するとともに、両端を閉じたことから内側管11と外側管12の間に放電空間13が形成される。放電空間13には誘電体バリア放電によってエキシマ分子を形成するとともに、このエキシマ分子から真空紫外光を放射する放電用ガス、例えばキセノンガスが封入される。
数値例をあげると、放電ランプ1は全長800mm、外径36mm、内側管11の外径は16mm、内側管11と外側管12の肉厚は2mmであり、400Wで点灯させる。
【0011】
外側管12の外面には網状電極14が設けられ、内側管11の内部に他方の電極である内側電極15が設けられる。網状電極14はシームレスに構成され、全体として伸縮性を有することから外側管12への密着性を良くすることができる。内側電極15はパイプ状、あるいは断面において一部に切り欠きを有する概略C字状のものであり内側管11に密着するように設けられる。放電空間13には必要に応じてゲッタが配置される。
【0012】
網状電極14、内側電極15の間には、図示略の交流電源が接続され、これにより放電空間13にエキシマ分子が形成されて真空紫外光を発光する。放電用ガスとしてキセノンガスを使った場合は波長172nmの光を放射する。
【0013】
放電空間13には点灯始動性を改善するための導体16として金属片が、内側管11、外側管12に接触するように配置されている。また、この導体16は内側管11、外側管12の外面に電極が存在する位置に配置されなければならない。
これは、後述するが導体16が誘電体バリア放電の起点となるものであるため、誘電体の外側から電圧が印加させる状態にあることが必要となるからである。
この導体16は、例えば、白金、金、タングステン、鉄、ニッケル、ステンレス、インコネル、りん青銅、タングステン、ベリリウム銅などが適用され、一般に、電気抵抗率で10−4(Ω・cm)以下と言われる金属のみならず、電気抵抗率で10−3〜10(Ω・cm)で定義される半導体も含むものである。また、樹脂やガラス片などの誘電体の表面に蒸着などの手法で導体をコーティングしたものでも良い。
【0014】
図2は図1における導体16が配置される部分を拡大した状態を示す。導体16は、例えばステンレス製の板バネを挿入したものである。
外側電極14と内側電極15の間に電圧が印加されると、誘電体である外側管12と内側管11の外面に各々電位が形成され、この電位が外側管12と内側管11の内面にも形成されることで導体16と誘電体の隙間から放電D1が発生する。そして、この放電D1に誘発されて、放電D2、D3を続発し、その後、放電ギャップ間に放電D4が発生する。この放電D4の発生により、放電空間の全域に放電が生じるようになる。
すなわち、このように導体16を挿入した構造であれば、放電D1を生じさせるに足りる電圧が印加されれば良好に誘電体バリア放電を発生できることになる。
この導体16の長さX(内側電極15の伸びる方向の長さ)は、例えば、20mmであり、放電空間の長さ(長手方向)800mmに比べて極めて小さい。このため、誘電体バリア放電ランプが一度、点灯始動するとその後は、導体16の存在は放電特性に影響を及ぼさない。
導体16は内側管11、外側管12に接するため、バネ材などの弾性力のある材料を用いることが望ましい、バネ材の強い弾性力によって挟圧保持させることによって、ランプに振動や衝撃がかかっても導体16は固定される。また、導体16はバネ材だけでなく、形状等を工夫することで塑性変形などの僅かな弾性力でも内側管11、外側管12に接することができ、接する誘電体に小穴などをあけて固定することで振動や衝撃がかかっても導体16は固定される。
なお、図1に示すランプは全体形状が円筒型であるため、導体16の端部は完全に誘電体と接触していない場合があるが一部において接触していれば問題はない。
【0015】
ここで、本発明者らは、放電空間に誘電体ではなく導体を配置することが良く、また、この導体を放電容器を構成する誘電体から離すのではなく接触させることが点灯始動性という点に効果があることを見出した。その技術的根拠は必ずしも明らかではないが、以下のように推測できる。図3は本発明の放電原理を説明する図面である。
内側電極15と外側電極14の間に交流電圧V0が印可された場合を考える。内側管11、外側管12の厚さをそれぞれd1とし、放電空間13の距離をd2とする。また放電空間13の比誘電率を1とし、内側管11、外側管12の比誘電率をε1とする。ここで放電空間13に物体が介在しない単位領域をAとし、単位領域Aの内側管11、放電空間13、外側管12のキャパシタンスをそれぞれC1、C2、C3とし、それぞれに加わる電圧をΔV1、ΔV2、ΔV3とする。さらに内側管11の放電空間13側の電位をV1、外側管12の放電空間側の電位をV2とする。
Figure 0003915426
次に、放電空間に導体16が介在する単位領域をBとし、単位領域B内の内側管11、外側管12のキャパシタンスをそれぞれC4、C5とし、単位領域Bの内側管11、導体16、外側管12に加わる電圧をそれぞれΔV4、ΔV5、ΔV6とする。さらに内側管11の導体16側の電位をV3、外側管12の導体16側の電位をV4とする。
Figure 0003915426
V3とV4は同じ大きさになる。
ここで、V1−V3(=ΔV10)、V2−V4(=ΔV11)を計算すると、
ΔV10=V1−V3=(V0×d2×ε1)/(4×d1+2×d2×ε1)
ΔV11=V2−V4=−(V0×d2×ε1)/(4×d1+2×d2×ε1)
物体の介在しない領域と導体が介在する領域の境界K1、K2では、V1とV3、V2とV4の電位が極めて近い距離で生じるため、局所的に強い電界が発生することになる。この強い電界によって容易に放電を発生させることができ、この放電が放電空間全体の放電の起点となる。ここで放電空間の距離d2を∞としたときのΔV10、ΔV11を計算すると、これらはそれぞれV0/2、−V0/2に収束する。これは、放電空間の距離d2が大きくなっても放電の起点となる局所的な強い電界は安定して得られることをあらわす。
【0016】
一方、放電空間に導体ではなく誘電体を介在させた場合について考えてみる。放電空間に比誘電率ε2の誘電体22が介在する単位領域をCとし、単位領域Cの内側管11、誘電体22、外側管12のキャパシタンスをそれぞれC6、C7、C8とし、それぞれに加わる電圧をΔV7、ΔV8、ΔV9とする。さらに内側管11の誘電体22側の電位をV5、外側管12の誘電体22側の電位をV6とする。
Figure 0003915426
ここで、V1−V5(=Δ12)、V2−V6(=Δ13)を計算すると、
Figure 0003915426
導体ではなく誘電体が介在した場合も導体の場合と同じように局所的に強い電界を得ることができるが、導体の場合よりは小さい。さらに、放電空間の距離d2を∞としたときのΔV12、ΔV13を計算すると、これらはそれぞれ0に収束する。これは、放電空間の距離d2が大きくなると放電の起点となる局所的な電界は小さくなることをあらわす。また、導体の場合は、導体からの初期電子の放出が期待できるが、誘電体の場合はその効果は望めない。
すなわち、放電空間に導体を介在させることは、放電空間に誘電体を介在させる場合に比べて、小さな放電開始電圧で点灯始動できることを意味している。そして、このことは誘電体バリア放電ランプの高出力化に伴う放電ギャップの大型化に伴い効果は一層顕著になる。
なお、この説明図においては、導体16と内側管11、導体16と外側管12のそれぞれが90°の角度を形成している。この角度においても十分な効果は得られるが、可能ならばこの角度は小さいほうが電界が強い領域が増加する事になるため、より良い効果を得ることができる。
【0017】
次に、放電空間に介在させる導体16は、誘電体を構成する内側管11および外側管12に接触することが必要となる。このことは前述の説明からもわかるように、放電起点となるポイントK1、K2間の電位差をより高めるために接触させることが必要であり、仮に、離間させると放電ガスが介在する分だけ、電位差が減衰することになる。
したがって、従来技術で紹介した特開平6−209131号に開示するような突起を形成する構造では、仮にこのような突起を導体によって形成したとしても、本発明のような最小限の電圧印加で放電開始を達成させるという作用効果を期待することはできない。
【0018】
図9に、このような放電原理を証明するための一例を示す。
導体(例えば、白金など)を介在させた場合の放電起点(K1、K2)における電位差ΔV10と、誘電体を介在させた場合の放電起点(K1、K2)における電位差ΔV12を示しており、各々放電空間の距離d2を変化させた場合の値を示している。
なお、誘電体は酸化チタン(誘電率ε=170)と石英ガラス(誘電率ε=3.7)について表記した。
図は縦軸に放電起点の電位差(電圧相対値)を示し(印加電圧V0を1としたときの相対値)、横軸は放電空間の距離d2を示している。また、導体の電位差(電圧相対値)をA、酸化チタンの電位差(電圧相対値)をB、石英ガラスの電位差(電圧相対値)をCとして記載している。
この結果、放電空間に導体を介在させることで誘電体を介在させる場合よりも大きな電位差を生じていることが分かる。また、酸化チタンのような誘電率の高い誘電体を介在させても放電空間d2が大きくなるにしたがい、電位差は導体との差が大きくなっている。
【0019】
さらに、本発明のおいて放電空間の中に配置する導体は電極を構成するものではない。誘電体バリア放電ランプの中には放電空間内に一対の電極のうちの一方を設ける構造も存在するが、本発明にいう導体とはこのようなものではない。
また、放電空間内に不純物を吸着する目的で金属からなるゲッターを配置するものや放電容器の特定部分に直射することを防止するための遮光を目的として金属蒸着膜を施すという構成を採用する誘電体バリア放電ランプが存在するが、これらは、電極が存在していわば放電を生ずる領域からは外れた位置に配置される点で本発明の構造とは異なり、また、本発明の導体は放電容器の電極に対向するべき内面に接触するべき点で構成が完全に異なる。
【0020】
図4は本発明の誘電体バリア放電ランプの他の実施例を示し、図1に示した放電ランプの導体を有する一方の端部の部分拡大図を示す。
この実施例では導体として金属性のバネ部材を使うのではなく、磁性関係を形成する導体を用いている。すなわち、放電空間13に配置する導体16と、この導体16を誘電体(放電容器の外壁)を介して配置する導体保持部材17で磁性関係を形成するものである。
そして、少なくとも一方の磁力を有する材料と、他方の強磁性材料の両者で誘電体を挟んで固定されることになる。
一例をあげると、磁力を有する材料としてサマリウムコバルト磁石、アルニコ磁石などを使うことができ、また、強磁性材料として鉄、ニッケル、ケイ素鋼などを使うことができる。なお、両者が磁力を有する材料であってもそれにより互いに固定保持することができれば適用することができる。
このように放電容器の外部には導体保持部材を有し、放電容器の内部(放電空間)に存在する導体とが磁性関係を有することで導体16を放電容器に内の所定位置に保持することが可能となる。
【0021】
なお、導体16は放電容器の内部(放電空間内)において、放電容器の外壁、すなわち、図においては内側管11、外側管12と接触する必要があるが、好ましくは、図に示すように、導体16と当該外壁が鋭角を形成するように構成することが好ましい。このように構成することで起点となる放電が生じ易くなるからである。この鋭角は90°より小さければ小さほど効果があるが、実用的な意味においては、45°以下、より好ましくは30°以下の場合に放電起点が顕著に生じることが確認されている。
なお、図4のように板状の導体16を傾けて配置した場合には、導体16と誘電体である内側管11、外側管12との接触角は必ずの90°以下の鋭角を形成するものであるが、例えば、板状導体の端部に導電性のペーストなどを塗布して誘電体を接触させた場合などにおいては、導電性ペーストで形成される接触角が90°を越える場合があり、このような場合に比較して導体を鋭角に配置することが有利なことといえる。
【0022】
図5は本発明の誘電体バリア放電ランプの他の実施例を示し、図1に示した放電ランプの導体を有する一方の端部の部分拡大図を示す。
この実施例では導体として金属性のバネ部材や磁性体を使うのではなく、リング状のワイヤー18を用いている。
この実施例で紹介するようなリング状ワイヤーを導体として使用する形態においては、外側管と内側管を同軸に配置した二重管型の誘電体バリア放電ランプにおいて、特に、有効である。すなわち、図に示すように、リング状ワイヤー16を内側管11に設けたワイヤー係止用の窪み19に良好に係止することができ、これにより、リング状ワイヤー16の直径が、内側管11の外径d1と放電ギャップ長d2の合計より大きいという関係を有すれば当該ワイヤ16は内側管11と外側管12のいずれにも接触することができ、また、このような構成を極めて簡単に組み立てられることができる。
リング状ワイヤーについて、一例をあげると、ニッケル、タングステン、白金、ステンレスなどを使うことができる。
なお、完全なリング状でなく一部に切断部を有する概略C字形状であってもよく、また、真円形状でなくても楕円形状、方形状に近い形状であっても足り、さらには、円弧を形成する部分がバネ性を有していれば本実施例と同様の作用効果を奏することができる。
また、図2に示す実施例では導体自体の弾性力により保持しており、図4に示す実施例では磁力により導体を保持しているが、この実施例における導体は導体自身の重力により保持されることになる。
【0023】
図6も本発明の誘電体バリア放電ランプの他の実施例を示し、図5と同様に二重管型の誘電体バリア放電ランプであって、図1に示した放電ランプの導体を有する一方の端部の部分拡大図を示す。この実施例では導体16として、例えばφ0.4mmの白金製のワイヤを用いたものである。導体16は内側管11に巻きつけ、一端を半円形に曲げて外側管12の内表面と接している。白金製のワイヤは強い弾性力はないが、塑性変形する範囲の弱い弾性力で外側管と接している。しかし、この程度の保持力であればランプに振動や衝撃が掛かった場合、導体16が移動してしまうために、この導体16を保持する固定具20および固定具20を支持する突起21を設け固定する。固定具20は導体16と別部材であっても一体であっても良い。突起21は例えば、石英ガラス板に小穴をあけ、固定具20を通して固定し、内側管11に溶着しても良い。このような構造において導体16が放電基点を生ずるための放電現象は前述の実施例に示すものと同じである。この構造の特長は、導体16を放電空間内において固定するための機構を、導体16そのものに対して配慮する必要がないので、導体16は放電起点という観点からのみ形状を形成することができる。
【0024】
また、前記までの実施例において、誘電体バリア放電ランプは、例えば商用周波数の50Hz程度から、数MHz〜数GHz、さらにそれ以上にして点灯させてもエキシマ光を得ることができる。
【0025】
次に、この発明の誘電体バリア放電ランプを使った光源装置について説明する。図7は光源装置30を示し、金属ブロック31、壁部32、光取出窓33によって全体箱状に形成される。誘電体バリア放電ランプ1は金属ブロック31の凹部に嵌め込むように配置され、その放射光が光取出窓33を介して放射される。金属ブロック31には光センサー部35が設けられ、その放射光量などが測定されるとともに、冷却水用パイプ36も設けられている。また、壁部32に不活性ガスの導入口34aと排出口35bが形成されている。
このような光源装置の構造は、一般的なものであり、例えば、特許第2836058号等に開示されており、詳細な説明は省略する。
このような構造の光源装置において、誘電体バリア放電ランプは、放電空間に設けられた導体16が金属ブロック31に対向するように配置することができる。すなわち、誘電体バリア放電ランプはその外周面から紫外光が放射状に放射されるものであるが、光透過窓33に直進する紫外光は、その減衰率も低く利用効率が高いので、このような方向に遮光の原因となる導体を配置しないことが有利な場合があるからである。
【0026】
また、光透過窓33は、誘電体バリア放電ランプ1に向けて垂線を引いた場合に導体16に衝突しないような関係で設計することもできる。
この場合も導体16による部分的な遮光の影響を受けないようにするために有効である。特に光透過窓33から均一な放射を得たいときに好ましい設計である。
【0027】
次に、本発明の効果を示す実験結果について説明する。
実験は、図1に示した構造の誘電体バリア放電ランプであって、全長800mm、外径36mm、内側管11の外径は16mm、内側管11と外側管12の肉厚は2mmであり、放電ギャップ長8mm、放電用ガスとしてキセノンを53kPa封入したランプであって、定常点灯時には4KV(ゼロ−ピーク間)を使って実験を行った。測定は、ランプ1として放電空間内に何も配置しないもの、ランプ2として放電空間内に誘電体として石英小片を配置したもの、ランプ3として放電空間内に導体、図2に示す板バネを配置したものの3種類の誘電体バリア放電ランプに対して、印加電圧を漸次上昇させた場合の放電開始電圧を測定した。また、測定は、各ランプに対して30回程度行った。
【0028】
この結果、ランプ1は放電開始電圧が7〜8KV(ゼロ−ピーク間電圧:以下同じ)であり、ランプ2は放電開始電圧が4.5〜5.5KVであり、ランプ3は2.5〜3.0KVの範囲に散らばるというものであった
この結果は、放電空間内に導体を配置した本発明の誘電体バリア放電ランプが著しく低い電圧印加により放電を開始できることを示すだけでなく、より驚くべくことは、定常点灯時の印加電圧よりも低い電圧で放電を開始できるということである。これは従来の常識を大きく覆すことでもある。この実験では定常点灯時の印加電圧が4KVであるため所定の放射光量を獲得するためにはこの電圧を印加する必要があるが、従来の誘電体バリア放電ランプのように、この定常点灯時印加電圧を越えるより高い電圧の印加は必要ない。
このことは昇圧トランスの小型化を導くなどその効果は極めて大きい。
【0029】
さらに、もう一つの効果として、上記実験は各ランプに対して30回の点灯始動を試みたものであるが、従来のランプ1、2が1.0kVのバラツキを有しているのに対し、本発明のランプ3は0.5kVのバラツキである点、本願発明の誘電体バリア放電ランプは設定した放電開始電圧で確実に点灯始動できることがわかる。
【0030】
また、誘電体バリア放電ランプを調光する場合、一般には、印加する高周波電圧の振幅を変化させる方法や、印加する高周波電圧の周波数を変化させる方法が存在する。しかしながら、前者の場合は放射光のムラの発生という点で調光範囲に制限があり、また、後者の場合であっても昇圧トランスの飽和という問題から満足に調光ができるというものではない。
また、図8に示すように、ランプへの電圧供給を定期的に休止する方法も考えられる。このような場合、従来の誘電体バリア放電ランプであれば図8(a)に示すように電圧印加の毎に高い放電開始電圧を印加する必要があり、電源を構成する電子部品の耐圧性を考慮する必要があり、また、誘電体バリア放電ランプに対しても放電開始毎に高い電圧を印加することで高い負荷を与えることになる。
これに対し、本発明の誘電体バリア放電ランプは、前述のように通常点灯時と同じ、あるいはそれ以下の電圧を印加することで放電を開始することができるので、上記の問題を伴うことなく定期的な休止を設ける点灯方法により放電ランプの調光をすることができる。
【0031】
【発明の効果】
上記したように、本発明によれば、低い電圧印加で確実に点灯始動できる誘電体バリア放電ランプを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の誘電体バリア放電ランプの概略図である。
【図2】本発明の誘電体バリア放電ランプの部分拡大図である。
【図3】本発明の誘電体バリア放電ランプの部分拡大図である。
【図4】本発明の誘電体バリア放電ランプの部分拡大図である。
【図5】本発明の誘電体バリア放電ランプの部分拡大図である。
【図6】本発明の誘電体バリア放電ランプの部分拡大図である。
【図7】本発明の誘電体バリア放電ランプを使った光源装置の一例である。
【図8】本発明の誘電体バリア放電ランプの効果を説明するための図である。
【図9】本発明の誘電体バリア放電ランプの効果を説明するための図である。
【符号の説明】
1 放電容器
11 内側管
12 外側管
13 放電空間
14 外側電極
15 内側電極
16 導体
17 導体保持部材

Claims (5)

  1. 少なくとも一部が誘電体バリア放電の誘電体を兼ねる放電容器と、この放電容器内に充填され誘電体バリア放電によってエキシマ分子を形成する放電用ガスと、この放電容器の外面に配置された一対の電極とよりなる誘電体バリア放電ランプにおいて、
    前記放電容器の内部には、前記電極に対向する容器の内面部分に対して接触するバネ性の電気導体を有することを特徴とする誘電体バリア放電ランプ。
  2. 少なくとも一部が誘電体バリア放電の誘電体を兼ねる放電容器と、この放電容器内に充填され誘電体バリア放電によってエキシマ分子を形成する放電用ガスと、この放電容器の外面に配置された一対の電極とよりなる誘電体バリア放電ランプにおいて、
    前記放電容器の内部には、前記電極に対向する容器の内面部分に対して接触する電気導体を有し、
    前記放電容器の外部には導体保持部材を有し、前記電気導体とこの導体保持部材の少なくとも一方が磁力を有するとともに他方が磁化される関係にあることで、前記電気導体を放電容器内の所定位置に保持することを特徴とする誘電体バリア放電ランプ。
  3. 少なくとも一部が誘電体バリア放電の誘電体を兼ねる放電容器と、この放電容器内に充填され誘電体バリア放電によってエキシマ分子を形成する放電用ガスと、この放電容器の外面に配置された一対の電極とよりなる誘電体バリア放電ランプにおいて、
    前記放電容器の内部には、前記電極に対向する容器の内面部分に対して接触する電気導体を有し、
    前記電気導体は板状部材よりなり、前記放電容器に内面と90°以内の角度を形成して配置することを特徴とする誘電体バリア放電ランプ。
  4. 少なくとも一部が誘電体バリア放電の誘電体を兼ねる放電容器と、この放電容器内に充填され誘電体バリア放電によってエキシマ分子を形成する放電用ガスと、この放電容器の外面に配置された一対の電極とよりなる誘電体バリア放電ランプにおいて、
    前記放電容器の内部には、前記電極に対向する容器の内面部分に対して接触する電気導体を有し、
    前記放電容器は外側管と内側管を同軸的に配置した概略二重円筒型であって、前記電極うち一方は外側管の外面に配置するとともに他方の電極は内側管の外面に配置する構成であることを特徴とする誘電体バリア放電ランプ。
  5. 前記電気導体はリング形状であり、その直径が放電容器の内側管の外径と放電ギャップ長の合計よりも大きいものであって、
    かつ、放電容器の外側管の内面と内側管の内面に接触することを特徴とする請求項4の誘電体バリア放電ランプ。
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