JP3915186B2 - インク容器及びそれを用いたインクジェット記録装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、一端部がインク供給部を有し、前記一端部からそれと略直交する方向に延びる側面部が、該側面部に沿って略板バネ状の弾性機能を発揮するインク容器及びそれを用いたインクジェット記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、インク容器内のインクを記録ヘッドに導き、該記録ヘッドに設けた複数のノズルを記録パターン信号に応じて駆動することにより記録媒体に向かってインクを吐出して記録するインクジェット記録装置は知られており、かかるインクジェット記録装置は、電子機器の出力装置としてのプリンタやファクシミリ等に採用されている。
【0003】
そのようなインクジェット記録装置として、剛性のあるインクカートリッジを記録ヘッドに至るインク供給管にゴム製のシール材を介して接続するもの、また、容器装着部に、記録ヘッドに至るインク供給管が接続された中空針を固定しておき、インク容器の装着時に該中空針でインク容器の容器受け口部を突き刺すことによりインク取り出し口を形成するようにしたものが知られている。後者の場合、インク容器は、柔軟なシート材料からなる袋を、剛性のある箱に収容し、中空針を突き刺すゴム栓を袋の口に装着している。
【0004】
また、特開平6−183023号公報に記載されるように、柔軟なシート材料からなる袋の内部に剛性のある一対の板状部材と該一対の板状部材の間にバネ部材を挟み込むことにより、可撓性の袋の内部に負圧を発生させるインク容器が提案されている。これは、記録ヘッドのノズルに常時負圧を作用させ、ノズルよりインクが漏れ出るのを防止するものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、かかる記録装置において、インクカートリッジとインク供給管との間にゴム製のシール材を介装するものでは、シール材が圧縮されるため、その中の空気も圧縮され、記録ヘッドのノズルからインクが漏れ出ることがある。また、中空針をインク容器に挿入するものでは、その挿入部からインクが漏れ出て、周囲に飛び散るおそれがある。このため、中空針を突き刺すゴム栓およびその周りを強固な構造にしなければならない。上記公報に記載のものでは、記録動作中に記録ヘッドのノズルよりインクが漏れ出るのを防止するため、上記のように複雑な構造をとらなければならなかった。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたもので、記録ヘッドにインクを導くための接続部材に接続する際に、その接続部分や記録ヘッドのノズルからインクが漏れ出るのを防止することができ、また、記録動作中に記録ヘッドのノズルよりインクが漏れ出るのを簡単な構造で防止することができるインク容器及びそれを用いたインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、一端部とこの一端部からそれと略直交する方向に延びる一対の側面部とを有するインクパックと、前記一対の側面部にそれぞれ取り付けられる2つの取付部とこれら2つの取付部を連結する連結部を有するとともに、前記一対の側面部を互いに離れる方向に付勢することで、前記一端部を前記一対の側面部から折れ曲がった緊張状態で保持されるようにするU字形バネ部材とを備え、前記一端部が、記録ヘッドにインクを導 く中空針状の接続部材が突き刺さるインク供給部となるインク容器であって、前記連結部は、前記インクパックの前記一端部と反対側の他端部を超えて前記2つの取付部を連結するものであり、前記一端部が前記接続部材によって押圧されたときに、前記一端部が凹むことによる体積変化よりも、前記側面部が外方に膨出することによる体積変化の方が大きくなるように、前記2つの取付部が、中央において最も間隔が広く、両端に向かって徐々に間隔を狭めるように湾曲した形状であることを特徴とする。
【0008】
請求項1の発明によれば、インクパックの一端部が接続部材によって押圧されたときに、前記一端部が凹むことによる体積変化よりも、前記側面部が外方に膨出することによる体積変化の方が大きくなるように、前記インクパックの各側面部に取り付けられる(U字形バネ部材の)2つの取付部が、中央において最も間隔が広く、両端に向かって徐々に間隔を狭めるように湾曲した形状とされていることから、前記一端部が前記接続部材によって押圧されたときに、内部のインクの負圧状態が高められる。よって、インク供給部である一端部が記録ヘッドと接続される際に、接続のために作用する外力により前述したように容器内部のインクの負圧状態が高められ、接続部分よりインクが漏れ出るおそれがない。また、記録ヘッドのノズルからも、インクが漏れ出るおそれがない。
また、U字形バネ部材を用いるという簡単な構造で、側面部に沿って略板バネ状の弾性機能が発揮される。また、これによって、インクパック内が常時負圧状態になり、記録ヘッドのノズルに対して負圧を作用させることができ、記録動作時にノズルからインクが漏れ出ることを防止することができる。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1のインク容器において、前記インクパックが、変形可能な柔軟性を有するシート材料により袋状に形成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明によれば、前記インクパックが、柔軟性を有するシート材料により袋状に形成され、変形可能である。
【0011】
そして、請求項3の発明は、請求項2のインク容器において、前記インクパックが、シート材料を折り返し重ね、折り返し部分を除くコの字状の周辺部を溶着して袋状に形成されるものであり、折り返した部分が前記一端部となることを特徴とする。
【0012】
請求項3の発明によれば、周辺部(溶着部分)においては強度が高くなり、他の部分より変形しにくくなっている。
【0013】
請求項4の発明は、請求項3のインク容器において、前記取付部が、前記インクパックの他端部側を除き前記側面部の外側面の略全体に亘って貼着されている。
【0014】
請求項4の発明によれば、取付部が、側面部の外側面の略全体に亘って貼着され、側面部に沿って発揮される略板バネ状の弾性機能が、側面部の略全体に亘って生ずる。
【0015】
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれかのインク容器において、前記インク供給部は、前記一端部において、前記両側面部を延長した仮想延長部分の間に位置している。
【0016】
請求項5の発明によれば、インク供給部である一端部が、両側面部を延長した仮想延長部分の間に位置しているので、記録ヘッドの接続部材によって押圧される際に、両側面の一端部側の部分が内側に、互いに接近する方向に偏位せしめられるとともに、側面部の中央が外側に湾曲されるのが助長され、容器内部のインクの負圧状態が効果的に高められる。
【0017】
請求項6の発明は、請求項5のインク容器において、前記一端部が、前記側面部とほぼ直交する平坦な部分を有し、前記インク供給部は、前記平坦な部分のほぼ中央に位置している。
【0018】
請求項6の発明によれば、一端部の、側面部とほぼ直交する平坦な部分のほぼ中央にインク供給部が位置しているので、インク供給部を通じての記録ヘッドとの接続が容易になされる。
【0019】
請求項7の発明は、請求項2〜6のいずれかのインク容器において、前記インクパックが、前記一端部を除く周辺を溶着して袋状に形成されたものであり、前記一端部は、中央部分の幅が広く側縁部になるに従って徐々に幅が狭くなっている瞳形状をしているものである。
【0020】
請求項7の発明によれば、一端部は、中央部分の幅が広く側縁部になるに従って徐々に幅が狭くなっている瞳形状をしていることから、一端部が側面部に沿って受ける外力により、前記一端部が凹むことによる体積変化よりも、前記側面部が外方に膨出することによる体積変化の方が十分に大きくなることが助長される。
【0021】
請求項8の発明は、記録媒体にインクを吐出して記録を行う記録ヘッドと、インクを貯留するインク容器と、該インク容器が着脱可能に接続され前記インク容器内のインクを記録ヘッドに導く接続部材とを備えるインクジェット記録装置において、前記インク容器は、一端部とこの一端部からそれと略直交する方向に延びる一対の側面部とを有するインクパックと、前記一対の側面部にそれぞれ取り付けられる2つの取付部とこれら2つの取付部を連結する連結部を有するとともに、前記一対の側面部を互いに離れる方向に付勢することで、前記一端部を前記一対の側面部から折れ曲がった緊張状態で保持されるようにするU字形バネ部材とを備え、前記一端部が、記録ヘッドにインクを導く中空針状の接続部材が突き刺さるインク供給部となるものであり、前記連結部は、前記インクパックの前記一端部と反対側の他端部を超えて前記2つの取付部を連結するもので、前記一端部が前記接続部材によって押圧されたときに、前記一端部が凹むことによる体積変化よりも、前記側面部が外方に膨出することによる体積変化の方が大きくなるように、前記2つの取付部が、中央において最も間隔が広く、両端に向かって徐々に間隔を狭めるように湾曲した形状であることを特徴とする。
【0022】
請求項8の発明によれば、インク容器内のインクを記録ヘッドに導くために、インクパックの一端部に接続部材が接続される際に、前記接続部材によって押圧されたときに、前記一端部が凹むことによる体積変化よりも、前記側面部が外方に膨出することによる体積変化の方が大きくなるように、前記インクパックの各側面部に取り付けられる(U字形バネ部材の)2つの取付部が、中央において最も間隔が広く、両端に向かって徐々に間隔を狭めるように湾曲した形状とされ、その結果、前記押圧力により容器内部のインクの負圧状態が高められる。よって、容器内部のインクの負圧状態が高められた状態で接続されることになるので、接続と同時に負圧状態が接続部分や記録ヘッドに作用することとなり、その接続部分や記録ヘッドのノズルよりインクが漏れ出るおそれがない。
【0023】
請求項9の発明は、請求項8のインクジェット記録装置において、前記接続部材が、前記両側面部を延長した仮想延長部分の間において前記一端部に接続される。
【0024】
請求項9の発明によれば、一端部に記録ヘッドと接続される際に、接続部材が両側面部を延長した仮想延長部分の間において前記一端部に接続されることから、側面部の一端部側の部分が内側に引っ張られ、側面部が座屈状に湾曲しやすくなり、前記側面部の一端部側の部分が互いに接近する方向に偏位せしめられ、側面部の中央が外方に大きく湾曲される。
【0025】
請求項10の発明は、請求項9のインクジェット記録装置において、前記インク容器が、内部にインクが収納されている変形可能な柔軟性を有する袋状に形成されたインクパックを有し、前記接続部材は、中空針状に形成された部分を有し、前記一端部を突き刺し可能である。
【0026】
請求項10の発明によれば、インク容器のインクパックの一端部に接続部材の中空針状に形成された部分が突き刺されることで、接続部材がインク容器に無理なく接続される。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に沿って説明する。
【0028】
本発明に係るインクジェット記録装置の概略構成を示す図1及びインク容器装着部の平面を示す図2において、インクジェット記録装置1は、記録媒体(図示せず)にインクを吐出して記録を行う記録ヘッド2を備え、該記録ヘッド2は、記録媒体の幅方向に沿って往復移動せしめられるキャリッジ3に搭載されている。キャリッジ3には、インクを貯留するインク容器4が着脱可能に装着されるインク容器装着部5が設けられている。
【0029】
前記インク容器装着部5は、合成樹脂材料により成形され、内部にインク貯留室6を有する縦壁部7を備える。縦壁部7は、前壁部分7aと後壁部分7bとを有する2重壁構造に形成され、前記前壁部分7aと後壁部分7bとの間の空間部分がインク貯留室6となっている。
【0030】
また、縦壁部7の下端より後方に延びる下壁部8と、前記縦壁部7の両側縁より後方に延び下端縁が下壁部8に連設される側壁部9,10とを備え、それら壁部7,8,9,10によって、インク容器4が着脱可能に装着される装着凹部11が形成されている。後述する中空針状の接続部材12の第1の部分12aは、装着凹部11の中に全体が収納され、使用者の手指がその針の先端に触れることがないようになっている。
【0031】
さらに、前記インク容器装着部5の縦壁部7には、インク容器4が着脱可能にインク容器装着部5の装着凹部11に装着される際に、前記インク容器4に突き刺さることにより接続され前記インク容器4内のインクを、インク貯留室6を通じて記録ヘッド2に導く中空針状の接続部材12が設けられている。
【0032】
前記接続部材12は、インク容器4に接続される第1の部分12aと、インク容器装着部5の縦壁部7に筒状部材13(例えばインサートナット)を介して貫通して支持される第2の部分12bと、インク貯留室6内に位置する第3の部分12cとを有する。具体的には、前記縦壁部7の後壁部分7bは、上下方向の中間部位に前記接続部材12の第2の部分12bを支持し、前記縦壁部7の前壁部分7aは、前記接続部材12の第2の部分12bの支持位置よりも下方において、記録ヘッド2に接続されるインク供給孔14が形成されている。また、接続部材12は、第3の部分12cの開口端の一部を前壁部分7aの内側壁面に当接させているが、開口端の他の部分はインク貯留室6内に開口している。
【0033】
前記筒状部材13は、縦壁部7の後壁部分7bに貫通状態で熱融着され、該筒状部材13にインク供給管である接続部材12が挿通状態で固定され、前記筒状部材13と縦壁部7との間及び前記筒状部材13と接続部材12との間は、前記縦壁部7の溶融樹脂にて密閉シールされている。そして、前記筒状部材13と縦壁部7との間及び前記筒状部材13と接続部材12との間で溶融樹脂にて密閉シールされている部分は、インクが貯留されているインク貯留室6内に位置している。なお、前記インク供給孔14には、アダプタ21,22を介して、記録ヘッド2が接続されている。記録ヘッド2の上下は、それぞれ上カバー23及び下カバー24にて覆われている。
【0034】
前記インク容器4は、図3に示すように、対向する2つの側面部31a,31bを有し内部にインクが収納されている変形可能な柔軟性を有する袋状のインクパック31と、該インクパック31の前記両側面部31a,31bの外側表面のほぼ全体に亘って設けられ前記両側面部31a,31bを互いに離れる方向に付勢する付勢手段としての板状のバネ部材32とを備える。バネ部材32は、側面形において、図4に示すように、ほぼU字形をしている。インクパック31は、柔軟なシート状材料を用い、端面部31c(一端部)で折り返して重ね、端面部31cを除くコの字状の周辺部31d,31e,31fを溶着して袋状に形成されており、その周辺部31d,31e,31f(溶着部分)においては強度が高くなり、他の部分より変形しにくくなっている。また、バネ部材32の作用でインクパック31の両側面部31a,31bが互いに離れる方向に付勢されることによって、端面部31cは、図4に示すように、両側面部31a,31bから直角に折れ曲がり(つまり、両側面部31a,31bを延長した仮想延長部分の間に位置して)、緊張状態に保持され、その中央にほぼ平坦な部分を形成しており、その平坦な部分の中央を、接続部材12を突き刺して挿通するためのインク供給部としている。
【0035】
そして、インク容器4を装着するとき、バネ部材32の両自由端部の中間位置、即ち端面部31cの平坦な部分の中央を、接続部材12によって両側面部31a,31bに沿う方向(つまりほぼ平行な方向)に、押すようになっている。このようにすることによって、端面部31cが凹み、それによりバネ部材32の両自由端部が互いに接近する方向に引っ張られるとともに、U字形バネ部材32の両辺の中央が互いに間隔を開く方向に座屈させられる。その結果、端面部31cが凹むことによる体積変化よりも、両側面部31a,31bが外方に湾曲することによる体積変化の方が大きくなる。これは、U字形バネ部材32の当初の形状を図4(a)に示すように、その前後方向ほぼ中央において最も間隔を開き、両端に向かい徐々に間隔を狭めるように、予め少し湾曲した形状にしておくことにより、上記のように大きく湾曲しやすくなる。
【0036】
端面部31cは、両端において周辺部31bが接合されていることから、中央部分の幅が広く側縁部になるに従って徐々に幅が狭くなっている瞳形状をなす。このように、両側面部31a,31bの中央部分の間隔よりも両端の周辺部31d,31f間の長さの方が十分大きいことにより、上記のように、前記端面部31cが凹むことによる体積変化よりも、前記側面部31a,31bが外方に膨出することによる体積変化の方が十分に大きくなることが助長される。
【0037】
上記のように、バネ部材32によって、側面部31a,31bが互いに間隔を開くように付勢されていることから、インクパック31内のインクが負圧状態で収納されることになる。
【0038】
また、板状のバネ部材32は、インクパック31の両側面部31a,31bの外側表面にそれぞれ固着される2つの取付部33,33と、該両取付部33,33をインクパック31の他端部である周辺部31eを越えて連結するU字形の連結部34とを有する。
【0039】
前記バネ部材32の取付部33,33は、中央に位置する連結部34との連結部分から複数回屈曲又は湾曲して外側に延びている板バネ状とされていることから、中央部分よりも周辺部分が小さい力で、取付部33,33(側面部31a,31b)間の間隔が離れる方向に付勢されるようになっており、付勢力の大きい中央部分に接続部材6の先端部が突き刺されるようになっている。
【0040】
そして、各取付部33は、左右対称に形成された左右の部分33A,33Aを有し、左右の各部分33Aが、一端部が連結部34に連結されたコの字形状の第1の部分33aと、該第1の部分33aに並設され一端部が第1の部分33aの他端部に連結されているコの字形状の第2の部分33bとを有する。
【0041】
より具体的に説明すると、第1の部分33aは、連結部34に一端部が連結され他端部がインクパック31の端面部31c付近まで直線的に延びる第1の縦線状部33a1と、該縦線状部33a1の他端部に一端部が連結されそれと直交する方向でかつ外方に延びる第1の横線状部33a2と、該第1の横線状部33a2の他端部に一端部が連結され第1の縦線状部33a1と平行にインクパック31の周辺部31e付近まで延びる第2の縦線状部33a3とを有する。また、第2の部分33bは、第1の部分33aにおける第2の縦線状部33a3の他端部に連接部35を介して一端部が連結され他端部が第2の縦線状部33a3と平行にインクパック31の端面部31c付近まで延びる第1の縦線状部33b1と、該縦線状部33b1の他端部に一端部が連結されそれと直交する方向でかつ外方に延びる第1の横線状部33b2と、該第1の横線状部33b2の他端部に一端部が連結され第1の縦線状部33b1と平行にインクパック31の周辺部31e付近まで延びる第2の縦線状部33b3とを有する。上記各部分33a1〜33b3、35は、インクパック31の両側面31a,31bにそれぞれ接着剤または両面テープ等で接着されている。
【0042】
このように、バネ部材32を構成することで、バネ部材32の付勢力が、結合された接続部材12の先端部が位置する中央部分より離れた周辺部分の方が、近い部位即ち中央部分よりも小さくなるように設定されている。即ち、第2の部分33bは第1の部分33aより付勢力が小さく、第1の縦線状部33a1、第1の横線状部33a2、第2の縦線状部33a3、連接部35、第1の縦線状部33b1、第1の横線状部33b2、及び第2の縦線状部33b3の順で付勢力が徐々に小さくなっている。
【0043】
上記のように構成すれば、インク供給部を有する端面部31cに対し、インク容器24内のインクを記録ヘッド2に導くために接続部材12が突き刺されて接続される際には、端面部31cが側面部31a,31bに沿う方向に押圧力を受け、図4(b)に示すように、両側面部31a,31bの端面部31c側の部分が内側に互いに接近する方向に偏位せしめられると共に、側面部31a,31bの中央部分が外方に湾曲されることから、前記端面部31cが凹むことによる体積変化よりも、前記側面部31a,31bの膨出による方が大きい体積変化を生じる。その結果、前記押圧力により内部のインクの負圧状態が高められる。よって、インク供給部を有する端面部31cに対し接続部材12が突き刺されてインク容器24が記録ヘッド2に接続される際に、その接続部分や記録ヘッド2のノズルよりインクが漏れ出るおそれがない。
【0044】
また、前記接続部材12が、記録ヘッド2へのインクの供給のために突き刺されて挿通されるインク供給部は、前記端面部31cにおいて、前記両側面部31a,31bを延長した仮想延長部分の間に位置しているので、インク供給部である端面部31cが記録ヘッド2と接続される際に、図4(b)に示すように、端面部31cが接続部材12によって押圧されることで、両側面部31a,31bの端面部31c側の部分が内側に、互いに接近する方向に無理なく偏位せしめられ、側面部31a,31bの中央部分が外方に湾曲される。
【0045】
さらに、前記端面部31cが、前記側面部31aとほぼ直交する平坦な部分を有し(図4(a)参照)、該平坦な部分のほぼ中央に前記インク供給部が位置しているので、接続部材12が平坦な部分のほぼ中央に位置するインク供給部に、ほぼ直交して無理なくかつ円滑に挿通される(図4(b)参照)。
【0046】
インク容器4から記録ヘッドへ2へのインクの導入は、公知の装置と同様に、記録ヘッド2のノズル側から吸引装置によりインク容器4内のインクを接続部材12を通して吸引する。または、インクパック31に圧力を加えて、インクを押し出すことにより行われる。記録ヘッド2のノズルまでインクが充填された状態において、インクパック31内の負圧状態がノズルまで作用しているから、記録動作時に、ノズルからインクが漏れ出ることもない。
【0047】
インクが消費される前であってインクパック31内にインクが一杯充填されている場合には、バネ部材32の外方への付勢力とも相俟って、図5(a)に示すように、インクパック31全体が膨出した状態にあるが、インクが消費されて、インクの残量が少なくなると、バネ部材32の付勢力が、結合された接続部材6の先端部より離れた周辺部分の方が近い中央部分よりも小さくなるように設定されていることから、図5(b)に示すように、結合された接続部材6の先端部より離れた周辺部分の方から側面部31a,31b間の間隔が狭くなるように形状が変化し、残りのインクが中央部分即ち接続部材6の先端部付近に集められる。なお、このような側面部31a,31b間の間隔が狭くなるような形状の変化は、インクパック31の周辺部31d,31e,31fが溶着により強度が高くなっていることからも助長される。
【0048】
このように、インクパック31内のインクの残量が少なくなっても、そのインクが接続部材6の先端部付近に集められるので、インクパック31内のインクを、残量の大小にかかわらず、最後まで使用することができる。
【0049】
また、前記実施の形態においては、板バネ状の弾性材がインクパックの両側面部の外側表面の略全体に亘って設けられ前記両側面部を互いに離れる方向に付勢するようになっているが、本発明はそれに限定されるものではなく、例えば、両側面部のうち少なくとも一方の側面部略全体に亘って、あるいは側面部の一部分に弾性材を設けるようにすることもできる。さらに付言すれば、弾性材がインクパックの側面部の外側表面に設けられている場合に限らず、内側面に設けられ、あるいはインクパックそのものが上記のような弾性作用をもったものでもよい。
【0050】
【発明の効果】
本発明は、以上に説明したような形態で実施され、以下に述べるような効果を奏する。
【0051】
請求項1の発明は、上記のように、一端部が記録ヘッドの接続部材によって押圧されたときに、前記一端部が凹むことによる体積変化よりも、インクパックの側面部が外方に膨出することによる体積変化の方が大きくなるように、前記インクパックの各側面部に取り付けられる(U字形バネ部材の)2つの取付部を、中央において最も間隔が広く、両端に向かって徐々に間隔を狭めるように湾曲した形状としているので、インク供給部(一端部)に記録ヘッドの接続部材が接続される際に、接続のために作用する外力により容器内部のインクの負圧状態を高め、接続によりその負圧状態を記録ヘッドに作用させることが可能となり、記録ヘッドのノズルよりインクが漏れ出るのを回避することができる。
【0052】
請求項2の発明は、前記インクパックが、柔軟性を有するシート材料により袋状に形成され、変形可能である。
【0053】
請求項3の発明は、周辺部(溶着部分)においては強度が高くなり、他の部分より変形しにくくなっている。
【0054】
請求項4の発明は、取付部を、インクパックの他端部側を除き側面部の外側面の略全体に亘って貼着しているので、側面部の略全体に亘って略板バネ状の弾性機能を発揮することができる。
【0055】
請求項5の発明は、インク供給部が、一端部において、両側面部を延長した仮想延長部分の間に位置するようにしているので、インク供給部である一端部が記録ヘッドと接続される際に、一端部が側面部に沿って受ける外力により、両側面部の一端部側の部分が内側に、互いに接近する方向に偏位せしめられ、両側面部の中央がそれぞれ外側へ湾曲されるのが助長され、容器内部のインクの負圧状態が効果的に高められる。
【0056】
請求項6の発明は、一端部が、側面部とほぼ直交する平坦な部分を有し、インク供給部は、前記平坦な部分のほぼ中央に位置するようにしているので、平坦な部分のほぼ中央に位置するインク供給部を通じての記録ヘッドとの接続を容易に行うことができる。
【0057】
請求項7の発明は、一端部が、中央部分の幅が広く側縁部になるに従って徐々に幅が狭くなっている瞳形状となるようにしているので、一端部が側面部に沿って受ける外力により、前記一端部が凹むことによる体積変化よりも、前記側面部が外方に膨出することによる体積変化の方が十分に大きくなるのが助長される。
【0058】
請求項8の発明は、インク容器内のインクを記録ヘッドに導くために、前記インクパックの一端部に対し接続部材の押圧力を作用させて接続する際に、前記一端部が凹むことによる体積変化よりも、前記インクパックの側面部が外方に膨出することによる体積変化の方が大きくなるように、前記インクパックの各側面部に取り付けられる(U字形バネ部材の)2つの取付部を、中央において最も間隔が広く、両端に向かって徐々に間隔を狭めるように湾曲した形状としているので、一端部に接続部材が接続される際に、前記押圧力により容器内部のインクの負圧状態を高めて、前記接続部分や記録ヘッドのノズルよりインクが漏れ出るのを回避することができる。
【0059】
請求項9の発明は、一端部に記録ヘッドと接続される際に、接続部材が両側面部を延長した仮想延長部分の間において前記一端部に接続されるようにしているので、側面部の一端部(端面部)側の部分を内側に引っ張り、側面部が座屈状に湾曲しやすくすることができる。
【0060】
請求項10の発明は、インク容器のインクパックの一端部に接続部材の中空針状に形成された部分を突き刺さすようにしているので、接続部材を無理なく簡単にインク容器に接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るインクジェット記録装置の概略構成を示す図である。
【図2】 本発明に係るインク容器装着部の平面図である。
【図3】 本発明に係るインク容器の斜視図である。
【図4】 本発明に係るインク容器の状態の変化を示し、(a)は端面部に外力が作用していない状態の説明図、(b)は端面部に外力が作用している状態の説明図である。
【図5】 本発明に係るインク容器の幅方向の横断面を示し、(a)はインク使用の最初の状態を示す図、(b)はインク使用の最後の状態を示す図である。
【符号の説明】
1 インクジェット記録装置
2 記録ヘッド
3 キャリッジ
4 インク容器
5 インク容器装着部
7 縦壁部
7a 前壁部分
7b 後壁部分
12 接続部材
31 インクパック
31a 側面部
31b 溶着部
31c 端面部
32 弾性材
32A 取付部
32B 連結部
Claims (10)
- 一端部とこの一端部からそれと略直交する方向に延びる一対の側面部とを有するインクパックと、前記一対の側面部にそれぞれ取り付けられる2つの取付部とこれら2つの取付部を連結する連結部を有するとともに、前記一対の側面部を互いに離れる方向に付勢することで、前記一端部を前記一対の側面部から折れ曲がった緊張状態で保持されるようにするU字形バネ部材とを備え、前記一端部が、記録ヘッドにインクを導く中空針状の接続部材が突き刺さるインク供給部となるインク容器であって、
前記連結部は、前記インクパックの前記一端部と反対側の他端部を超えて前記2つの取付部を連結するものであり、
前記一端部が前記接続部材によって押圧されたときに、前記一端部が凹むことによる体積変化よりも、前記側面部が外方に膨出することによる体積変化の方が大きくなるように、前記2つの取付部が、中央において最も間隔が広く、両端に向かって徐々に間隔を狭めるように湾曲した形状であることを特徴とするインク容器。 - 前記インクパックは、変形可能な柔軟性を有するシート材料により袋状に形成されていることを特徴とする請求項1記載のインク容器。
- 前記インクパックは、シート材料を折り返し重ね、折り返し部分を除くコの字状の周辺部を溶着して袋状に形成されるものであり、折り返した部分が前記一端部となることを特徴とする請求項2記載のインク容器。
- 前記取付部は、前記インクパックの他端部側を除き前記側面部の外側面の略全体に亘って貼着されていることを特徴とする請求項3記載のインク容器。
- 前記インク供給部は、前記一端部において、前記両側面部を延長した仮想延長部分の間に位置していることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のインク容器。
- 前記一端部は、前記側面部とほぼ直交する平坦な部分を有し、前記インク供給部は、前記平坦な部分のほぼ中央に位置していることを特徴とする請求項5記載のインク容器。
- 前記インクパックは、前記一端部を除く周辺を溶着して袋状に形成されたものであり、前記一端部は、中央部分の幅が広く側縁部になるに従って徐々に幅が狭くなっている瞳形状をしているものであることを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載のインク容器。
- 記録媒体にインクを吐出して記録を行う記録ヘッドと、インクを貯留するインク容器と、該インク容器が着脱可能に接続され前記インク容器内のインクを記録ヘッドに導く接続部材とを備えるインクジェット記録装置において、
前記インク容器は、一端部とこの一端部からそれと略直交する方向に延びる一対の側面部とを有するインクパックと、前記一対の側面部にそれぞれ取り付けられる2つの取付部とこれら2つの取付部を連結する連結部を有するとともに、前記一対の側面部を互いに離れる方向に付勢することで、前記一端部を前記一対の側面部から折れ曲がった緊張状態で保持されるようにするU字形バネ部材とを備え、前記一端部が、記録ヘッドにインクを導く中空針状の接続部材が突き刺さるインク供給部となるものであり、
前記連結部は、前記インクパックの前記一端部と反対側の他端部を超えて前記2つの取付部を連結するもので、前記一端部が前記接続部材によって押圧されたときに、前記一端部が凹むことによる体積変化よりも、前記側面部が外方に膨出することによる体積変化の方が大きくなるように、前記2つの取付部が、中央において最も間隔が広く、両端に向かって徐々に間隔を狭めるように湾曲した形状であることを特徴とするインクジェット記録装置。 - 前記接続部材は、前記両側面部を延長した仮想延長部分の間において前記一端部に接続されることを特徴とする請求項8記載のインクジェット記録装置。
- 前記インク容器は、内部にインクが収納されている変形可能な柔軟性を有する袋状に形成されたインクパックを有し、
前記接続部材は、中空針状に形成された部分を有し、前記一端部を突き刺し可能であることを特徴とする請求項9記載のインクジェット記録装置。
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