JP3915153B2 - 3−ヒドロキシメチル−1,6−ヘキサンジオールの製造方法 - Google Patents
3−ヒドロキシメチル−1,6−ヘキサンジオールの製造方法 Download PDFInfo
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- Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
- Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、1,2,4−ブタントリカルボン酸(以下BTCと略すこともある)及び/又は1, 2, 4−ブタントリカルボン酸トリアルキルを液相中で水素化して3−ヒドロキシメチル−1, 6−ヘキサンジオール(以下HMHDと略す)を製造する方法に関するものである。
HMHDは、1分子中に3個のヒドロキシ基を有する化合物であり、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリアミド及びポリウレタン等の合成用出発原料として有用な化合物である。
【0002】
【従来の技術】
HMHDの製造方法としては、R.Paul等が文献Bull.Soc.Chim.Fr.,672,1954)において、2,3−ジヒドロフランにアクロレインを環化付加させ、得られた不飽和エーテルを加水分解した後、ラネーニッケルを触媒として水素化反応して得ることを提案しているが、収率も低く実用的ではない。また、K.Freudenberg等は、1,2, 4−ブタントリカルボン酸トリエチルをLiAlH4 で水素化し、HMHDを収率55%で得ている〔Ann.,584,54(1953)〕。しかし、LiAlH4 を用いた還元は等量反応であり、還元後の後処理工程が複雑であるという問題点もあった。
【0003】
カルボン酸エステルの液相中での水素化反応では、一般に銅系の触媒が用いられている。たとえば、高級アルコールの製造にはCu−Zn−Al系の酸化物(米国特許5,345,005号)やCu−Zn−Ti系の酸化物(特公平7−68153号)、1,6−ヘキサンジオールの製造にはCu−Cr系の酸化物(特開平6−329567号)やCu−Zn系の酸化物(特開平7−233108号)を触媒として用いていることが報告されている。しかし、このような銅触媒でも、モノアルコールまたはジアルコールの製造に使用されているのみであって、トリアルコールの製造に適用した例は知られていない。しかも銅系の触媒ではその耐酸性の低さからエステルの形態にしなければ液相反応での反応原料として使用できないという問題点とともに、銅系触媒ではその低い触媒活性のために高温、高圧条件下で操作する必要があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は1, 2, 4−ブタントリカルボン酸及び/又は1, 2, 4−ブタントリカルボン酸トリアルキルを比較的穏和な条件下で高活性、高選択的に水素化反応して3−ヒドロキシメチル−1,6−ヘキサンジオールを製造する方法を提供する。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、1, 2, 4−ブタントリカルボン酸及び1, 2, 4−ブタントリカルボン酸トリアルキルを、Ru、Pt及びSnを担体に担持してなる担持触媒を用いて液相中で水素化反応して3−ヒドロキシメチル−1,6−ヘキサンジオールを製造する方法を提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
1,2,4−ブタントリカルボン酸およびその誘導体(反応原料):
本発明で使用される1, 2, 4−ブタントリカルボン酸はα−メチレングルタロニトリルにシアン化水素を付加して得られた1, 2, 4−トリシアノブタンを加水分解して得られる。また、これをアルコールでエステル化することで1, 2, 4−ブタントリカルボン酸トリエステルが容易に合成できる。このとき使用されるアルコールとしてはメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の1級アルコール、2−プロパノール、2ーブタノール等の2級アルコール、2,2−ジメチルエタノール等の3級アルコールを使用できる。好ましくはメタノールが使用される。
【0007】
触媒:
上述1, 2, 4−ブタントリカルボン酸及び/又は1, 2, 4−ブタントリカルボン酸トリアルキルを、担持触媒を用いて水素化反応することによりHMHDが得られる。ここで用いる触媒としては、Ru、Pt及びSn成分を担体に担持してなる担持触媒でる。Ru、Pt及びSnを担持させる担体としては活性炭、けいそう土、シリカ、チタニア、ジルコニア等を単独あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。この中で、坦持された金属の安定性からジルコニア、活性炭が好ましい。Ru、PtおよびSn化合物をこれら担体と接触させる方法に特に制限はないが、通常の場合浸漬法が採用される。例えば上記触媒成分の金属化合物を溶解可能な溶媒、例えば水に溶解して溶液とし、この溶液中に担体を浸漬して含浸担持させる。その後必要に応じて焼成、還元を行う。焼成は、通常100〜600℃で行われる。また、還元処理としては気相還元法、或いは液相還元法のいずれの方法で行うことができる。例えば水素ガスを用いて還元する場合、100〜600℃、好ましくは150〜500℃の温度で行われる。ここで用いられる還元剤としては、水素以外に一酸化炭素、アンモニア、ヒドラジン、ホルムアルデヒド、又はメタノール等が挙げられる。また窒素、アルゴン等の不活性ガスで希釈した状態で用いても良い。反応に使用する触媒量は、反応原料100重量部に対して、0.1〜100重量部、好ましくは5〜50重量部であることが望ましいが、反応温度、または反応圧力等の諸条件に応じ、実用的な反応速度が得られる範囲内において任意に選択できる。高活性な本担持触媒を使用することにより、穏和な反応条件で反応が可能である。
【0008】
上記担持触媒は、それを単独で用いても前記の反応原料の水素化活性を充分有するものであるが、目的物のHMHDを高収率で得るためには、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属の酸化物、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、窒素含有塩基、窒素含有塩基の塩を助触媒として反応系に存在させることが望ましい。アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物とは、LiOH、NaOH、Mg(OH)2 、Ca(OH)2 等のアルカリ金属、アルカリ土類金属の水酸化物であり、アルカリ金属の酸化物、アルカリ土類金属の酸化物とは、Na2 O、K2 O、CaO、SrO等のアルカリ金属、アルカリ土類金属の酸化物である。アルカリ金属塩、アルカリ金属金属塩とは、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の硝酸、塩酸、硫酸との鉱酸塩、酢酸、シュウ酸等の有機酸塩、アセチルアセトンの塩でありLiNO3 、LiCl、LiOAc、Mg(NO3 )2 、MgCl2 、MgSO4 、NaOAc、CsOAc、Mg(Oac)2 、Ca(Oac)2 、 Sr(OAc)2 、Ba(OAc)2 、シュウ酸マグネシウム、マグネシウムアセチルアセトネート等が挙げられる(Acはアセチル基である)。
【0009】
また、窒素塩基、窒素含有塩基の塩とは、アンモニア、有機アミン、及びそれらの塩、あるいはピロール、ピロリジン、ピリジン、インドール、キノリン等の窒素含有複素環化合物及びその塩であり、例えば酢酸アンモニウム、トリエチルアミン、ピリジン、ピロリン、Nーメチルピロリジン等が挙げられる。
アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物または窒素塩基化合物を反応系に存在させる方法としては、反応系にこれらの化合物を直接添加すればよい。添加量は担持触媒100重量部に対して、通常0.1〜100重量部好ましくは1〜50重量部である。
【0010】
またアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物については、上記の反応系に直接添加する方法の他、これらを金属成分として触媒成分とともに担体に担持する方法も可能である。担体に担持させる方法は、前述の触媒成分の担持方法と同じように、アルカリ金属化合物等の水溶液を担体に含浸させる方法が採用される。担持後は乾燥し、必要に応じて、焼成、還元を行う。アルカリ金属またはアルカリ土類金属の担持量は、触媒100重量部に対して、0.1〜100重量部、好ましくは1から50重量部である。
【0011】
水素化反応:
本発明での接触水素化反応での反応温度は、低すぎると反応速度が低下し、高すぎると、HMHDの分子内脱水反応が進行することから、通常100〜250℃程度、好ましくは130〜220℃程度である。また、反応圧力は、通常1〜35MPa、好ましくは3〜15MPaである。
【0012】
反応方式としては液相懸濁反応あるいは固定相反応のいずれも採用できる。また、反応は無溶媒でも行えるが、HMHDの選択性を上げるには溶媒を用いたほうが好ましい。かかる溶媒としては水素化反応時に水素化されない液状の溶媒が選ばれる。例えば、水;メタノール、エタノール、2−プロパノールのような飽和アルコール;グライム、ジグライム、テトラヒドロフラン、ジオキサンのようなエーテル類などが用いられる。このうち、特に水がポリエステル等の高沸生成物を抑制する点で好ましい。
【0013】
本発明の方法に従って水素化反応を行った後、触媒をろ別し、その後蒸留により分留精製を行えば比較的容易にHMHDを得ることができる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する
【0014】
【実施例】
実施例1
50重量%硝酸200gに、活性炭〔三菱化学製 CX−2(商品名):粒径10〜20メッシュ篩パス〕を80g加え、95℃で3時間加熱処理を実施した。次いで、濾過し、400mlの水で5回洗い、加熱減圧乾燥(約2mmHg、80℃で5時間)を実施した。
【0015】
RuCl3 ・3H2 0、H2 PtCl6 ・6H2 O、SnCl2 ・2H2 Oのそれぞれ所定量を5Nの塩酸6.96mlに溶解し、上記硝酸処理した活性炭を8.55g加え良く振った。その後、エバポレートにより溶媒を除去し、アルゴン流通下150℃で2時間乾燥した。この乾燥物を水素ガス流通下450℃で2時間還元し、6重量%Ru−3.5重量%Pt−5重量%Sn/85.5重量%活性炭の担持触媒を得た。
【0016】
200ml容量の誘導攪拌式オートクレーブ内に水20g、1,2,4−ブタントリカルボン酸5g、上記担持(還元)触媒2gをそれぞれアルゴン下で仕込み、水素1MPa下で180℃まで昇温し、同温度で水素を10MPa迄に昇圧し、10MPa一定圧で3時間反応を行って3−ヒドロキシメチル−1,6−ヘキサンジオールを製造した。転換率、収率を表1に示す。
【0017】
実施例2
反応温度を170℃にし、担持触媒の量を3gとした他は実施例1と同様に反応を行ってHMHDを製造した。結果を表1に示す。
実施例3
助触媒としてLiOAcを2ミリモル加え、反応時間を4時間にした他は実施例1と同様に反応を行ってHMHDを製造した。結果を表1に示す。
【0018】
比較例1
H2 PtCl6 ・H2 Oを加えない他は実施例1と同様に担持触媒を調製し、6重量%Ru−5重量%Sn/89重量%活性炭を得た。この担持触媒を用い、実施例1と同様の方法で4時間反応を行った。結果を表1に示す。
実施例4
反応原料として、1,2,4−ブタントリカルボン酸トリメチル(以下MBTCと略す)を5g、溶媒としてテトラヒドロフラン30gをそれぞれ用い、実施例1と同様の方法で4時間反応を行った。結果を表1に示す。
【0019】
実施例5
助触媒としてLiOAcを2ミリモル加えた他は実施例4と同様の方法で反応を行った。結果を表1に示す。
比較例2
比較例1の担持触媒を用い実施例4と同様の方法で反応を行った。結果を表1に示す。
【0020】
比較例3
200mlの誘導攪拌式オートクレーブ内に、テトラヒドロフラン32g、MBTC18.7g、水素流通下300℃で還元した CuO−ZnO−Al2 03 (東洋CCI製触媒 C18−1;商品名)9.5gをそれぞれアルゴン下で仕込み、水素1MP下で180℃まで昇温した。180℃で水素を20MPaに昇圧し、20MPaの一定圧で7時間反応を行った。結果を表1に示す。
【0021】
【表1】
【0022】
【発明の効果】
本発明によれば1, 2, 4−ブタントリカルボン酸及び/又は1, 2, 4−ブタントリカルボン酸トリアルキルを、Ru、Pt及びSnを含む担持触媒を用いて、液相中比較的穏和な条件で水素化することにより3−ヒドロキシメチル−1,6−ヘキサンジオールを効率よく製造することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、1,2,4−ブタントリカルボン酸(以下BTCと略すこともある)及び/又は1, 2, 4−ブタントリカルボン酸トリアルキルを液相中で水素化して3−ヒドロキシメチル−1, 6−ヘキサンジオール(以下HMHDと略す)を製造する方法に関するものである。
HMHDは、1分子中に3個のヒドロキシ基を有する化合物であり、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリアミド及びポリウレタン等の合成用出発原料として有用な化合物である。
【0002】
【従来の技術】
HMHDの製造方法としては、R.Paul等が文献Bull.Soc.Chim.Fr.,672,1954)において、2,3−ジヒドロフランにアクロレインを環化付加させ、得られた不飽和エーテルを加水分解した後、ラネーニッケルを触媒として水素化反応して得ることを提案しているが、収率も低く実用的ではない。また、K.Freudenberg等は、1,2, 4−ブタントリカルボン酸トリエチルをLiAlH4 で水素化し、HMHDを収率55%で得ている〔Ann.,584,54(1953)〕。しかし、LiAlH4 を用いた還元は等量反応であり、還元後の後処理工程が複雑であるという問題点もあった。
【0003】
カルボン酸エステルの液相中での水素化反応では、一般に銅系の触媒が用いられている。たとえば、高級アルコールの製造にはCu−Zn−Al系の酸化物(米国特許5,345,005号)やCu−Zn−Ti系の酸化物(特公平7−68153号)、1,6−ヘキサンジオールの製造にはCu−Cr系の酸化物(特開平6−329567号)やCu−Zn系の酸化物(特開平7−233108号)を触媒として用いていることが報告されている。しかし、このような銅触媒でも、モノアルコールまたはジアルコールの製造に使用されているのみであって、トリアルコールの製造に適用した例は知られていない。しかも銅系の触媒ではその耐酸性の低さからエステルの形態にしなければ液相反応での反応原料として使用できないという問題点とともに、銅系触媒ではその低い触媒活性のために高温、高圧条件下で操作する必要があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は1, 2, 4−ブタントリカルボン酸及び/又は1, 2, 4−ブタントリカルボン酸トリアルキルを比較的穏和な条件下で高活性、高選択的に水素化反応して3−ヒドロキシメチル−1,6−ヘキサンジオールを製造する方法を提供する。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、1, 2, 4−ブタントリカルボン酸及び1, 2, 4−ブタントリカルボン酸トリアルキルを、Ru、Pt及びSnを担体に担持してなる担持触媒を用いて液相中で水素化反応して3−ヒドロキシメチル−1,6−ヘキサンジオールを製造する方法を提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
1,2,4−ブタントリカルボン酸およびその誘導体(反応原料):
本発明で使用される1, 2, 4−ブタントリカルボン酸はα−メチレングルタロニトリルにシアン化水素を付加して得られた1, 2, 4−トリシアノブタンを加水分解して得られる。また、これをアルコールでエステル化することで1, 2, 4−ブタントリカルボン酸トリエステルが容易に合成できる。このとき使用されるアルコールとしてはメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の1級アルコール、2−プロパノール、2ーブタノール等の2級アルコール、2,2−ジメチルエタノール等の3級アルコールを使用できる。好ましくはメタノールが使用される。
【0007】
触媒:
上述1, 2, 4−ブタントリカルボン酸及び/又は1, 2, 4−ブタントリカルボン酸トリアルキルを、担持触媒を用いて水素化反応することによりHMHDが得られる。ここで用いる触媒としては、Ru、Pt及びSn成分を担体に担持してなる担持触媒でる。Ru、Pt及びSnを担持させる担体としては活性炭、けいそう土、シリカ、チタニア、ジルコニア等を単独あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。この中で、坦持された金属の安定性からジルコニア、活性炭が好ましい。Ru、PtおよびSn化合物をこれら担体と接触させる方法に特に制限はないが、通常の場合浸漬法が採用される。例えば上記触媒成分の金属化合物を溶解可能な溶媒、例えば水に溶解して溶液とし、この溶液中に担体を浸漬して含浸担持させる。その後必要に応じて焼成、還元を行う。焼成は、通常100〜600℃で行われる。また、還元処理としては気相還元法、或いは液相還元法のいずれの方法で行うことができる。例えば水素ガスを用いて還元する場合、100〜600℃、好ましくは150〜500℃の温度で行われる。ここで用いられる還元剤としては、水素以外に一酸化炭素、アンモニア、ヒドラジン、ホルムアルデヒド、又はメタノール等が挙げられる。また窒素、アルゴン等の不活性ガスで希釈した状態で用いても良い。反応に使用する触媒量は、反応原料100重量部に対して、0.1〜100重量部、好ましくは5〜50重量部であることが望ましいが、反応温度、または反応圧力等の諸条件に応じ、実用的な反応速度が得られる範囲内において任意に選択できる。高活性な本担持触媒を使用することにより、穏和な反応条件で反応が可能である。
【0008】
上記担持触媒は、それを単独で用いても前記の反応原料の水素化活性を充分有するものであるが、目的物のHMHDを高収率で得るためには、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属の酸化物、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、窒素含有塩基、窒素含有塩基の塩を助触媒として反応系に存在させることが望ましい。アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物とは、LiOH、NaOH、Mg(OH)2 、Ca(OH)2 等のアルカリ金属、アルカリ土類金属の水酸化物であり、アルカリ金属の酸化物、アルカリ土類金属の酸化物とは、Na2 O、K2 O、CaO、SrO等のアルカリ金属、アルカリ土類金属の酸化物である。アルカリ金属塩、アルカリ金属金属塩とは、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の硝酸、塩酸、硫酸との鉱酸塩、酢酸、シュウ酸等の有機酸塩、アセチルアセトンの塩でありLiNO3 、LiCl、LiOAc、Mg(NO3 )2 、MgCl2 、MgSO4 、NaOAc、CsOAc、Mg(Oac)2 、Ca(Oac)2 、 Sr(OAc)2 、Ba(OAc)2 、シュウ酸マグネシウム、マグネシウムアセチルアセトネート等が挙げられる(Acはアセチル基である)。
【0009】
また、窒素塩基、窒素含有塩基の塩とは、アンモニア、有機アミン、及びそれらの塩、あるいはピロール、ピロリジン、ピリジン、インドール、キノリン等の窒素含有複素環化合物及びその塩であり、例えば酢酸アンモニウム、トリエチルアミン、ピリジン、ピロリン、Nーメチルピロリジン等が挙げられる。
アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物または窒素塩基化合物を反応系に存在させる方法としては、反応系にこれらの化合物を直接添加すればよい。添加量は担持触媒100重量部に対して、通常0.1〜100重量部好ましくは1〜50重量部である。
【0010】
またアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物については、上記の反応系に直接添加する方法の他、これらを金属成分として触媒成分とともに担体に担持する方法も可能である。担体に担持させる方法は、前述の触媒成分の担持方法と同じように、アルカリ金属化合物等の水溶液を担体に含浸させる方法が採用される。担持後は乾燥し、必要に応じて、焼成、還元を行う。アルカリ金属またはアルカリ土類金属の担持量は、触媒100重量部に対して、0.1〜100重量部、好ましくは1から50重量部である。
【0011】
水素化反応:
本発明での接触水素化反応での反応温度は、低すぎると反応速度が低下し、高すぎると、HMHDの分子内脱水反応が進行することから、通常100〜250℃程度、好ましくは130〜220℃程度である。また、反応圧力は、通常1〜35MPa、好ましくは3〜15MPaである。
【0012】
反応方式としては液相懸濁反応あるいは固定相反応のいずれも採用できる。また、反応は無溶媒でも行えるが、HMHDの選択性を上げるには溶媒を用いたほうが好ましい。かかる溶媒としては水素化反応時に水素化されない液状の溶媒が選ばれる。例えば、水;メタノール、エタノール、2−プロパノールのような飽和アルコール;グライム、ジグライム、テトラヒドロフラン、ジオキサンのようなエーテル類などが用いられる。このうち、特に水がポリエステル等の高沸生成物を抑制する点で好ましい。
【0013】
本発明の方法に従って水素化反応を行った後、触媒をろ別し、その後蒸留により分留精製を行えば比較的容易にHMHDを得ることができる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する
【0014】
【実施例】
実施例1
50重量%硝酸200gに、活性炭〔三菱化学製 CX−2(商品名):粒径10〜20メッシュ篩パス〕を80g加え、95℃で3時間加熱処理を実施した。次いで、濾過し、400mlの水で5回洗い、加熱減圧乾燥(約2mmHg、80℃で5時間)を実施した。
【0015】
RuCl3 ・3H2 0、H2 PtCl6 ・6H2 O、SnCl2 ・2H2 Oのそれぞれ所定量を5Nの塩酸6.96mlに溶解し、上記硝酸処理した活性炭を8.55g加え良く振った。その後、エバポレートにより溶媒を除去し、アルゴン流通下150℃で2時間乾燥した。この乾燥物を水素ガス流通下450℃で2時間還元し、6重量%Ru−3.5重量%Pt−5重量%Sn/85.5重量%活性炭の担持触媒を得た。
【0016】
200ml容量の誘導攪拌式オートクレーブ内に水20g、1,2,4−ブタントリカルボン酸5g、上記担持(還元)触媒2gをそれぞれアルゴン下で仕込み、水素1MPa下で180℃まで昇温し、同温度で水素を10MPa迄に昇圧し、10MPa一定圧で3時間反応を行って3−ヒドロキシメチル−1,6−ヘキサンジオールを製造した。転換率、収率を表1に示す。
【0017】
実施例2
反応温度を170℃にし、担持触媒の量を3gとした他は実施例1と同様に反応を行ってHMHDを製造した。結果を表1に示す。
実施例3
助触媒としてLiOAcを2ミリモル加え、反応時間を4時間にした他は実施例1と同様に反応を行ってHMHDを製造した。結果を表1に示す。
【0018】
比較例1
H2 PtCl6 ・H2 Oを加えない他は実施例1と同様に担持触媒を調製し、6重量%Ru−5重量%Sn/89重量%活性炭を得た。この担持触媒を用い、実施例1と同様の方法で4時間反応を行った。結果を表1に示す。
実施例4
反応原料として、1,2,4−ブタントリカルボン酸トリメチル(以下MBTCと略す)を5g、溶媒としてテトラヒドロフラン30gをそれぞれ用い、実施例1と同様の方法で4時間反応を行った。結果を表1に示す。
【0019】
実施例5
助触媒としてLiOAcを2ミリモル加えた他は実施例4と同様の方法で反応を行った。結果を表1に示す。
比較例2
比較例1の担持触媒を用い実施例4と同様の方法で反応を行った。結果を表1に示す。
【0020】
比較例3
200mlの誘導攪拌式オートクレーブ内に、テトラヒドロフラン32g、MBTC18.7g、水素流通下300℃で還元した CuO−ZnO−Al2 03 (東洋CCI製触媒 C18−1;商品名)9.5gをそれぞれアルゴン下で仕込み、水素1MP下で180℃まで昇温した。180℃で水素を20MPaに昇圧し、20MPaの一定圧で7時間反応を行った。結果を表1に示す。
【0021】
【表1】
【0022】
【発明の効果】
本発明によれば1, 2, 4−ブタントリカルボン酸及び/又は1, 2, 4−ブタントリカルボン酸トリアルキルを、Ru、Pt及びSnを含む担持触媒を用いて、液相中比較的穏和な条件で水素化することにより3−ヒドロキシメチル−1,6−ヘキサンジオールを効率よく製造することができる。
Claims (5)
- 1, 2, 4−ブタントリカルボン酸および1, 2, 4−ブタントリカルボン酸トリアルキルから選ばれた化合物を、Ru、Pt及びSnを担体に担持してなる担持触媒を用い液相中で水素化反応して3−ヒドロキシメチル−1, 6−ヘキサンジオールを製造する方法。
- 担体として、硝酸処理した活性炭を用いることを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 反応溶媒として水を用いることを特徴とする請求項1に記載の方法。
- アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属の酸化物、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、窒素含有塩基および窒素含有塩基の塩より選ばれた助触媒の存在下に水素化反応することを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 水素化反応が反応温度100〜250℃、反応圧力1〜35MPaの範囲で行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33345796A JP3915153B2 (ja) | 1996-12-13 | 1996-12-13 | 3−ヒドロキシメチル−1,6−ヘキサンジオールの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33345796A JP3915153B2 (ja) | 1996-12-13 | 1996-12-13 | 3−ヒドロキシメチル−1,6−ヘキサンジオールの製造方法 |
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JPH10175897A JPH10175897A (ja) | 1998-06-30 |
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