JP3914008B2 - 胎教装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、母体を通して胎児に音楽を効果的に聴かせる胎教装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
人の胎児は、妊娠5〜6ヶ月で聴力が発生し、8ヶ月ではおおむね3kHzまでの音に対して聴覚をもつようになると報告されている。また、母親の独特の話し方のテンポ・抑揚などの響き、母親の歌う歌などは、胎児の健康な発育を促進し、出生後の言語能力や音感発達に好影響をもつと言われている。近年、この知見を積極的に利用するために、胎児に音楽を聴かせることによる胎教についての研究が進んでおり、その成果の一端として、子宮内血流音のように脈動性のある音楽や、30〜45のテンポ(1分あたりの4分音符数)を持つ音楽が胎児の健やかな成長に有効と言われている。
【0003】
胎児に母体外部から音楽を聞かせる胎教装置としては、これまでに、本発明者らが先に行なった実用新案登録出願「実願平3−111931号(実開平5―53650号公報“胎教用装置”)」や、特許出願「特開2000―262623号公報“胎教装置”」をはじめ、各種の装置が開発されている。これらの従来装置は、いずれも、胎児に音楽を聞かせる装置自体に関するものであって、どんな音楽を聞かせれば効果的であるかというソフト面については何も触れていない。
【0004】
また、これらの従来装置では、音楽ソースと胎児の聞く音楽との関係についての配慮が不足しているように見える。即ち、胎児が聴いている音楽は、スピーカなどの電気音響変換器を通して母体に伝えられ、母体内の体液・組織を通して胎児に伝わった音楽であり、通常、高域特性が減衰している。しかも胎児は、聴覚能力の限界から3kHz以下の周波数音を主に聴いている。これに対し、母親(ないし試験者)が胎児に聴かせていると思い込んでいる音は、成人に感度のよい20Hz〜20kHzに広がる音楽であって、胎児の感じる音楽とは全く異なっている。また音の強弱・音色・伸び・ビート・残響・ゆらぎなどにより曲全体に与えられている音楽の曲想も、母親と胎児とへの伝わり方は大きく異なっていると考えられる。さらに、音響変換器での共鳴現象などがあれば、体外から伝播した音は、胎児にとっては特定周波数が異常に強調された音になり、騒音となって聴こえてしまう場合も考えられる。
【0005】
また胎児は、母体体内の動脈血流音を常時聴いている。この動脈血流音は、25〜1kHzで高周波ほど低レベルとなる。胎児の聴く音のレベルによっては、音楽の内で低音域の部分が動脈血流音でマスキングされ、胎児にとっては意味のない音になる可能性もある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このように、母親が音楽を聴いて、胎児に良い影響を与えるような印象をもったとしても、同じ音楽を胎児に聴かせた場合、本当に発育に良い影響を与える音楽として聴こえているとは限らない。即ち、同じ音楽ソースであっても、両者にそれぞれ聴こえる音楽は全く別物になると考える必要があり、胎児の聴く音(「胎聴音」という)についての特別な配慮が必要である。
【0007】
本発明の課題は、広い分野から有効な胎教用音楽ソースを容易に選択できるようにするとともに、、胎児が良好な音響特性で音楽を聴くことのできるようにする胎教装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、胎教装置から胎内に放射する胎教用音楽信号の音響特性を、胎児が聴いているであろう音(胎聴音)によって客観的に把握可能にすることにより、好適な胎教用音楽ソースの選択を容易にし、また胎教用音楽ソースの周波数特性を有効な周波数領域に制限することにより、胎児にとって騒音となりうる成分をできる限り抑制するものである。そのため、たとえば胎児が胎内で普段聴いている音(胎聴音)の周波数特性あるいは胎児の聴覚能力上の周波数特性などを考慮して原音楽信号の周波数特性が修正される。それにより、音楽中で胎児に強い刺激となる異常な高さの音や、音響変換器で生じうる強い共鳴音など、胎児にとっては不快で不必要な音成分を除去することができる。
【0009】
本発明は、以下の各項のように構成できる。
(1)母体を通して胎児に音楽を聴かせる胎教装置であって、母体の腹部に取り付ける音響信号発生装置と、母親が音楽を直接聴くためのスピーカと、音響信号発生装置に胎教用音楽信号を供給する第1のチャンネル及びスピーカに母親用音楽信号を供給する第2のチャンネルからなる2チャンネル構造の音楽信号供給装置とを備え、該音楽信号供給装置の第1のチャンネルは、胎教用音楽ソースと、胎教用音楽ソースからの再生信号の3kHz以上の周波数領域をカットオフするフィルタとを有し、第2のチャンネルは、母親用音楽ソースを有して、第1のチャンネルの胎教用音楽ソースと第2のチャンネルの母親用音楽ソースとは独立しており、かつ同期して再生することを特徴とする胎教装置の構成。
(2)前項1において、第1のチャンネルの胎教用音楽ソースは、テンポが30〜45(4分音符数/分)の音楽であることを特徴とする胎教装置の構成。
(3)前項1または前項2において、第2のチャンネルの母親用音楽ソースは胎聴音の音楽ソースとその胎聴音の音楽ソースの曲全体を解析して得られた音響的な特性図のデータを含むものであり、第2のチャンネルは表示器を備えて、胎聴音の音楽ソースの再生時にその特性図のデータを表示器に表示することを特徴とする胎教装置の構成。
(4)前項3において、特性図のデータは、曲平均音響レベル、短平均音響レベル、短平均周波数特性、周波数帯域の音圧レベルの時間変化、パターン分析図のいずれかであることを特徴とする胎教装置の構成。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明による胎教装置の1実施の形態と、胎教用音楽信号を作成するための基本となる胎聴音測定方法とを示す説明図である。
【0011】
図1において、1は母体の模擬人体、2はマイクロホン、3は増幅器、4は録音器、5は周波数分析器、8は音楽信号供給装置、9は2チャンネルの音楽再生装置、10aは胎教用音楽ソース、10bは母親用音楽ソース、11a,11bは信号増幅器、12はバンドパスフィルタBPF、13は電力増幅器、14は音響信号発生装置、15a,15bは音響変換器、16は振動板、17は固定バンド、18はスピーカである。
【0012】
模擬人体1は、音響的に母体に類似の構造、材質をもつものとする。簡素には、皮膚に等価な音響インピーダンス(密度×音速)をもつゴム体で母体類似寸法により作成した胴体の内部に水を封じこめたものとすることができる。水の代わりに、体内組織(筋肉・子宮・骨など)に略等しい特性を持つ擬似組織体を入れてあれば、より正確な胎聴音を測定できる。
【0013】
マイクロホン2は、例えば水中マイクロホンであって、胎児の頭がある位置に配置される。マイクロホン2で採取した音は、増幅器3によって増幅され、録音器4で録音される。この時マイクロホン2で採取された音は、胎児が聴く音に相当するので、以後、「胎聴音」と呼ぶことにする。
【0014】
周波数分析器5は、録音器4に収録された胎聴音の再生信号について、その周波数特性を分析し、結果を表示する。通常は、短い時間間隔で連続したオクターブバンド毎の平均音響レベルをデシベル(dB)表示する(以下、短平均音響レベルという)。周波数分析器5には、各オクターブバンドの短平均時間音響レベルを出力して記録し、一曲全体に亘って平均を取った平均音響レベル(以下、曲平均音響レベル)を記録・表示できる機能を持たせることが望ましい。
【0015】
音楽信号供給装置8は、胎児や母親に聴かせるための音楽を再生できる装置であり、たとえば胎教用に修正された周波数特性をもつ音楽信号と、それに並行して母親に聴かせるための、無修正の原音楽信号とを同時に出力することが可能なものである。
【0016】
音楽再生装置9は、複数チャンネルの音楽信号を再生、あるいは録音再生可能な装置であり、アナログ式でもディジタル式でもよい。具体的には、カセットテープやCD,CD−ROM,CD−R,CD−RW,MD,DVD,MO,Zip,メモリカードなどのリムーバル記録媒体を用いる録音再生装置、あるいは大容量のHDDやSDRAMなどの内部メモリを用いて記憶再生する装置、たとえばパソコンであってよく、小型・高密度の収録ができ、低電力で再生できる媒体を用いて、可搬式の装置として携帯しやすくすることが望ましい。
【0017】
図示の音楽再生装置9は、上側と下側の2チャンネルの音源(ソース)を持つ。上側のチャンネルは胎教用音楽ソース10aであり、再生された胎教用音楽信号は、信号増幅器11aで増幅された後、周波数特性が調節可能なバンドパスフィルタ12を通して電力増幅器13で電力増幅され、音響信号発生装置14の音響変換器15a,15bに印加される。
【0018】
音響変換器15a,15bは、振動板16に一体に取り付けられて、図示省略されている腹帯内に収納されており、振動板16は固定バンド17で模擬人体1に装着されている。音響変換器15a,15bが胎教用音楽信号により駆動されると、振動板16が振動して、音響信号が模擬人体1内に放射される。振動板16は、胎聴音の周波数特性にしたがって、3kHz以下の音成分が主に発生されるように、その材質や厚さ・寸法を調節して作成される。
【0019】
次に、音楽再生装置9の下側のチャンネルには、上側チャンネルとは別な音楽の母親用音楽ソース10bが録音されている。下側チャンネルの母親用音楽ソース10bは、上側チャンネルの胎教用音楽ソース10aと同期して再生され、その再生信号は、信号増幅器11bで増幅されてスピーカ18から出力される。スピーカ18からの出力音量は、胎聴音に影響しない程度の小さな音であることが望ましい。そのため、スピーカ18の代わりにイアホンやヘッドホンを用いても良い。
【0020】
図2は、胎教用音楽ソース10aに録音された音源と、マイクロホン2で測定した胎聴音の関係を音圧波形で比較した例を示す波形図である。胎教用音楽ソース10aの音源波形の周波数成分の内、比較的高周波の成分は、バンドパスフィルタ12や振動板16により減衰されるため、マイクロホン2で採取される胎聴音は、比較的低周波の成分に偏った波形となる。音源に基準の周波数発生器(図示せず)を用いて、胎聴音と音圧波形を比較することによって、音源から胎聴音への伝播効率が測定できる。これは、後述する胎教装置を使うときに胎聴音のレベルを決める際の元データとなる。スピーカや振動板に異常な共振があれば胎聴音の波形が異常増大するので、原因を調べて異常共振を除き、良好な音響特性を持つ胎教装置とすることができる。
【0021】
次に、図1の装置を用いて音楽ソースを選定する方法について説明する。
(1)模擬人体1に振動板16・音響変換器15a,15bを収納した腹帯を固定バンド17で取りつけ、胎児の位置に対向するように配置する。仮に音楽を再生して、短平均時間音圧レベルが各オクターブ帯域で1dB程度(最大3dB)の小さな変化しか発生しない取り付け位置の範囲と、固定バンド17の緊縛強さの範囲、腹帯の材質などを確認する。
(2)一般市民用の各種ジャンルの音楽の中から、音楽ソースを選択する。音楽の種類は問わないが、経験的によいと言われている30〜45のテンポを持つ音楽とする。このテンポは、胎児(心拍数が約150拍/分程度)よりも、母体の心拍数(70〜80拍/分)に関連が深いので(母体心拍数の約1/2にあたる)、音楽のテンポは35〜40がより好ましい。勿論、一般市民用音楽から選定する以外に、胎児に適する胎聴音を与えるように、専用に作曲・編曲することも可能である。
(3)音楽ソースを上側チャンネルの胎教用音楽ソース10aで再生して振動板16を駆動し、マイクロホン2〜録音器4で胎聴音を録音する。次に、録音した胎聴音を周波数分析器5で分析して、短平均時間音響レベルを観測する。3kHzを超える音が残っている場合は、バンドパスフィルタ12の特性を調節して、高周波成分をカットする。また特定の周波数範囲を強調したいときは、その周波数の上下で高周波成分と低周波側成分をカットあるいは減衰させる。
(4)演奏中の胎聴音は、録音器4で録音する。一曲の演奏が終わったとき、曲全体の短平均時間音響レベルを解析して胎聴音の特性図を作成する。胎聴音の特性図としては、前述した曲平均音響レベルを用いることができる。図3は胎聴音の特性図の一例を示している。図中の棒グラフは曲平均音響レベルを示し、折れ線グラフは後述する母体大動脈血流音の例を示す。このような曲平均音響レベル以外にも、短平均音響レベルの値、全周波数帯域の音圧レベルの時間変化、その周波数特性、音の分析に用いられている方法(声紋の鑑定に用いられるパターン分析図など)を用いることもできる。
【0022】
胎児は、成人と同じ聴覚・曲想を持つとは限らないので、特性図は必ずしも解析に適する数量的な表現にこだわる必要はない。例えば胎聴音の短平均周波数特性をいくつかのパターンに分類して、一曲におけるパターン全体を画面の各区画の色・形の集合として表現してもよいし、曲の短平均音響レベルをいくつかのオクターブバンドを代表させて図形の表情変化(チャーノフの顔グラフ)などで表現したものであってもよい。この場合、後述する胎教装置で表示する場合に、今曲全体のどの部分を表現しているのかが容易にわかる時間表示などを付加しておくことが望ましい。
(5)上記の操作を多数の曲について行なうことにより、音楽の曲毎に可視化された特性図(曲平均音響レベル、声紋のパターンなど)が得られるので、これらの曲の特性図の相違と胎児への影響との関連について客観的な分析を行なう。つまり、どのような特性図を持つ曲が胎教に適するかまたは適さないかは、音楽を聴かせたときの胎児の反応(例えば胎児心拍数の変化、胎動の頻度・大きさなど)から知ることができるので、特性図を胎児の反応に関連付けて検討することにより、科学的な検証のもとで有効な曲を選定することができる。
【0023】
また母親(妊婦)も、曲に対する胎動の変化などによって胎児の反応を直接感じることができるので、多数の胎教用の音楽を特性図によって分類表示しておき、自分の胎児に適切と感じられる音楽を自分で試行して確かめ、特性図に関連付けることにより、有効な曲を選定することができる。このような方法によって、胎児が聴く音(胎聴音)に基づいた音楽の選定が可能となる。
【0024】
図4は、このような方法で選定された音楽を用いて胎児に音楽を聴かせる胎教装置の適用例を示す説明図である。図4において、20は妊婦、21は表示器である。ほかの図1と同じ要素は、同じ番号を用いて示されている。
【0025】
図4の胎教装置は、図1のものと略同等の音響効果を持たせて胎児に音楽を聴かせられるものであればよく、必ずしも同じものである必要はない。各種ある胎教装置で共通に使われている信号増幅器11a,11b、音響変換器15a,15bなどは、図1に示した装置で胎聴音の測定を行なってみて、同じ音楽ソースについて、胎聴音の短平均周波数特性が同等(各オクターブバンドのレベル差が±1dB以内が好ましく、最大±3dB以内)でありさえすれば、共通して使うことができる。しかし、同じ装置を使う場合でも、音響変換器部分の構造や形状・材質が異なるものを使用するとき、例えば振動板16の材質や厚さ・寸法を変更するときは、同等の胎聴音が得られるかどうかを確かめておく必要がある。 図1の方法で選定された音楽を胎児に聴かせる胎教を実施するか、胎教の試験を行なうには、次のようにする。
(1' )振動板16の取り付け位置のように可変範囲のあるものは、図1での音楽選定時に求めた許容範囲の中で、妊婦20に正確に取り付ける。また胎教試験において、試験専用の計測を行なう場合は、必要な計測器を妊婦に装着してもらう。
(2' )上側チャンネルの胎教用音楽ソース10aに選定された音楽を収録し、選定時と同じバンドパスフィルタ12の設定で音楽を再生する。このとき、下側チャンネルの母親用音楽ソースに別の音楽を収録している場合には、スピーカ18から出力される下側チャンネルの音楽を、妊婦には聞こえて、胎聴音には影響しないような音量で再生する。また下側チャンネルに胎聴音信号とその特性データを収録してもよく、その場合は、上下チャンネルを同時に再生して、表示器21に現在再生中の胎聴音の特性図と再生中の曲中の位置などを表示する。
【0026】
下側チャンネルに音楽を収録する時は、妊婦の好む音楽を胎聴音とは別に収録できるので、妊婦は、自己の情操に好ましい音楽を聞きながら、胎教を行なうことができる。一方、下側チャンネルに胎聴音信号を収録するときは、胎児が聞いている音楽が可視化されて表示されるので、胎児の反応と胎聴音との相互関係を試験する場合に、関連を認識しやすい利点がある。
【0027】
図5は、本発明の胎教装置の他の適用例を示す説明図である。
【0028】
図5において、上側チャンネルの胎教用音楽ソース10aには,選定された音楽がセットされ、下側チャンネルの母親用音楽ソース10bには,図1の方法で採取された胎聴音がそのまま録音されている。22は胎聴音波形の表示装置である。表示装置22は、図2の胎聴音波形を連続して表示する。しかし、簡素化が必要な場合には、適当な閾値を設けて、単に音圧レベルの大小を表示するだけにしてもよい。下側チャンネルの母親用音楽ソース10bから再生された音楽は、スピーカ18からも出力されるので、胎児が聴いている音と同じものを母親(試験者)も聴けるようになっている。つまり本適用例では、胎聴音とその胎聴音の元になった音源とを一体に収録して再生できるようにしている。これによって、母親は、胎児の聴いている音を自分で確認できるので、錯覚を生じることなく、安心して胎教装置を使用することができ、また試験者は、録音された胎聴音を試験時に出力して利用できるので、胎児の影響と胎聴音の関係を各種の分析装置を用いて検討・解析することができる。
【0029】
図1では、胎聴音を模擬人体1の内部で水中マイクロホンにより検出する方法が説明されたが、他の方法として、振動板16の振動を光センサーや加速度センサーで検出する方法がある。この方法は、振動板から胎児の位置までの音響伝播特性が予め判明しているとき、実際の母体や、類似形状の人体で発生する音楽の特性を、模擬人体を用いずに測定できる利点がある。
【0030】
【発明の効果】
(1)実際に胎児が聴いている音楽の特性を可視化して把握でき、胎教用音楽の効果を評価する客観的な試験が可能になる。
(2)胎教に有効な音楽ソースを、一般市民用の音楽など広いジャンルの中から容易に選択できる。
(3)選択された胎教用の音楽ソースに対応する胎聴音の音楽を、妊婦自身や他の試験者などが聞くことができるので、胎教中の音楽ソースの内容が容易に判別できる。
(4)妊婦の情操安定のための音楽を、胎教用の音楽と同時に演奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による胎教装置と胎聴音測定方法の1実施の形態を示す説明図である。
【図2】本発明による音源波形と胎聴音波形の一例を示す波形図である。
【図3】本発明による胎教用音楽の曲平均音響レベルの一例を示す特性図である。
【図4】本発明による胎教装置の一つの適用例を示す説明図である。
【図5】本発明による胎教装置の他の適用例を示す説明図である。
【符号の説明】
1:母体の模擬人体
2:マイクロホン
3:増幅器
4:録音器
5:周波数分析器
8:音楽信号供給装置
9:2チャンネルの音楽再生装置
10a:胎教用音楽ソース
10b:母親用音楽ソース
11a,11b:信号増幅器
12:バンドパスフィルタBPF
13:電力増幅器
14:音響信号発生装置
15a,15b:音響変換器
16:振動板
17:固定バンド
18:スピーカ
20:妊婦
21:表示器
22:表示装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、母体を通して胎児に音楽を効果的に聴かせる胎教装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
人の胎児は、妊娠5〜6ヶ月で聴力が発生し、8ヶ月ではおおむね3kHzまでの音に対して聴覚をもつようになると報告されている。また、母親の独特の話し方のテンポ・抑揚などの響き、母親の歌う歌などは、胎児の健康な発育を促進し、出生後の言語能力や音感発達に好影響をもつと言われている。近年、この知見を積極的に利用するために、胎児に音楽を聴かせることによる胎教についての研究が進んでおり、その成果の一端として、子宮内血流音のように脈動性のある音楽や、30〜45のテンポ(1分あたりの4分音符数)を持つ音楽が胎児の健やかな成長に有効と言われている。
【0003】
胎児に母体外部から音楽を聞かせる胎教装置としては、これまでに、本発明者らが先に行なった実用新案登録出願「実願平3−111931号(実開平5―53650号公報“胎教用装置”)」や、特許出願「特開2000―262623号公報“胎教装置”」をはじめ、各種の装置が開発されている。これらの従来装置は、いずれも、胎児に音楽を聞かせる装置自体に関するものであって、どんな音楽を聞かせれば効果的であるかというソフト面については何も触れていない。
【0004】
また、これらの従来装置では、音楽ソースと胎児の聞く音楽との関係についての配慮が不足しているように見える。即ち、胎児が聴いている音楽は、スピーカなどの電気音響変換器を通して母体に伝えられ、母体内の体液・組織を通して胎児に伝わった音楽であり、通常、高域特性が減衰している。しかも胎児は、聴覚能力の限界から3kHz以下の周波数音を主に聴いている。これに対し、母親(ないし試験者)が胎児に聴かせていると思い込んでいる音は、成人に感度のよい20Hz〜20kHzに広がる音楽であって、胎児の感じる音楽とは全く異なっている。また音の強弱・音色・伸び・ビート・残響・ゆらぎなどにより曲全体に与えられている音楽の曲想も、母親と胎児とへの伝わり方は大きく異なっていると考えられる。さらに、音響変換器での共鳴現象などがあれば、体外から伝播した音は、胎児にとっては特定周波数が異常に強調された音になり、騒音となって聴こえてしまう場合も考えられる。
【0005】
また胎児は、母体体内の動脈血流音を常時聴いている。この動脈血流音は、25〜1kHzで高周波ほど低レベルとなる。胎児の聴く音のレベルによっては、音楽の内で低音域の部分が動脈血流音でマスキングされ、胎児にとっては意味のない音になる可能性もある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このように、母親が音楽を聴いて、胎児に良い影響を与えるような印象をもったとしても、同じ音楽を胎児に聴かせた場合、本当に発育に良い影響を与える音楽として聴こえているとは限らない。即ち、同じ音楽ソースであっても、両者にそれぞれ聴こえる音楽は全く別物になると考える必要があり、胎児の聴く音(「胎聴音」という)についての特別な配慮が必要である。
【0007】
本発明の課題は、広い分野から有効な胎教用音楽ソースを容易に選択できるようにするとともに、、胎児が良好な音響特性で音楽を聴くことのできるようにする胎教装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、胎教装置から胎内に放射する胎教用音楽信号の音響特性を、胎児が聴いているであろう音(胎聴音)によって客観的に把握可能にすることにより、好適な胎教用音楽ソースの選択を容易にし、また胎教用音楽ソースの周波数特性を有効な周波数領域に制限することにより、胎児にとって騒音となりうる成分をできる限り抑制するものである。そのため、たとえば胎児が胎内で普段聴いている音(胎聴音)の周波数特性あるいは胎児の聴覚能力上の周波数特性などを考慮して原音楽信号の周波数特性が修正される。それにより、音楽中で胎児に強い刺激となる異常な高さの音や、音響変換器で生じうる強い共鳴音など、胎児にとっては不快で不必要な音成分を除去することができる。
【0009】
本発明は、以下の各項のように構成できる。
(1)母体を通して胎児に音楽を聴かせる胎教装置であって、母体の腹部に取り付ける音響信号発生装置と、母親が音楽を直接聴くためのスピーカと、音響信号発生装置に胎教用音楽信号を供給する第1のチャンネル及びスピーカに母親用音楽信号を供給する第2のチャンネルからなる2チャンネル構造の音楽信号供給装置とを備え、該音楽信号供給装置の第1のチャンネルは、胎教用音楽ソースと、胎教用音楽ソースからの再生信号の3kHz以上の周波数領域をカットオフするフィルタとを有し、第2のチャンネルは、母親用音楽ソースを有して、第1のチャンネルの胎教用音楽ソースと第2のチャンネルの母親用音楽ソースとは独立しており、かつ同期して再生することを特徴とする胎教装置の構成。
(2)前項1において、第1のチャンネルの胎教用音楽ソースは、テンポが30〜45(4分音符数/分)の音楽であることを特徴とする胎教装置の構成。
(3)前項1または前項2において、第2のチャンネルの母親用音楽ソースは胎聴音の音楽ソースとその胎聴音の音楽ソースの曲全体を解析して得られた音響的な特性図のデータを含むものであり、第2のチャンネルは表示器を備えて、胎聴音の音楽ソースの再生時にその特性図のデータを表示器に表示することを特徴とする胎教装置の構成。
(4)前項3において、特性図のデータは、曲平均音響レベル、短平均音響レベル、短平均周波数特性、周波数帯域の音圧レベルの時間変化、パターン分析図のいずれかであることを特徴とする胎教装置の構成。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明による胎教装置の1実施の形態と、胎教用音楽信号を作成するための基本となる胎聴音測定方法とを示す説明図である。
【0011】
図1において、1は母体の模擬人体、2はマイクロホン、3は増幅器、4は録音器、5は周波数分析器、8は音楽信号供給装置、9は2チャンネルの音楽再生装置、10aは胎教用音楽ソース、10bは母親用音楽ソース、11a,11bは信号増幅器、12はバンドパスフィルタBPF、13は電力増幅器、14は音響信号発生装置、15a,15bは音響変換器、16は振動板、17は固定バンド、18はスピーカである。
【0012】
模擬人体1は、音響的に母体に類似の構造、材質をもつものとする。簡素には、皮膚に等価な音響インピーダンス(密度×音速)をもつゴム体で母体類似寸法により作成した胴体の内部に水を封じこめたものとすることができる。水の代わりに、体内組織(筋肉・子宮・骨など)に略等しい特性を持つ擬似組織体を入れてあれば、より正確な胎聴音を測定できる。
【0013】
マイクロホン2は、例えば水中マイクロホンであって、胎児の頭がある位置に配置される。マイクロホン2で採取した音は、増幅器3によって増幅され、録音器4で録音される。この時マイクロホン2で採取された音は、胎児が聴く音に相当するので、以後、「胎聴音」と呼ぶことにする。
【0014】
周波数分析器5は、録音器4に収録された胎聴音の再生信号について、その周波数特性を分析し、結果を表示する。通常は、短い時間間隔で連続したオクターブバンド毎の平均音響レベルをデシベル(dB)表示する(以下、短平均音響レベルという)。周波数分析器5には、各オクターブバンドの短平均時間音響レベルを出力して記録し、一曲全体に亘って平均を取った平均音響レベル(以下、曲平均音響レベル)を記録・表示できる機能を持たせることが望ましい。
【0015】
音楽信号供給装置8は、胎児や母親に聴かせるための音楽を再生できる装置であり、たとえば胎教用に修正された周波数特性をもつ音楽信号と、それに並行して母親に聴かせるための、無修正の原音楽信号とを同時に出力することが可能なものである。
【0016】
音楽再生装置9は、複数チャンネルの音楽信号を再生、あるいは録音再生可能な装置であり、アナログ式でもディジタル式でもよい。具体的には、カセットテープやCD,CD−ROM,CD−R,CD−RW,MD,DVD,MO,Zip,メモリカードなどのリムーバル記録媒体を用いる録音再生装置、あるいは大容量のHDDやSDRAMなどの内部メモリを用いて記憶再生する装置、たとえばパソコンであってよく、小型・高密度の収録ができ、低電力で再生できる媒体を用いて、可搬式の装置として携帯しやすくすることが望ましい。
【0017】
図示の音楽再生装置9は、上側と下側の2チャンネルの音源(ソース)を持つ。上側のチャンネルは胎教用音楽ソース10aであり、再生された胎教用音楽信号は、信号増幅器11aで増幅された後、周波数特性が調節可能なバンドパスフィルタ12を通して電力増幅器13で電力増幅され、音響信号発生装置14の音響変換器15a,15bに印加される。
【0018】
音響変換器15a,15bは、振動板16に一体に取り付けられて、図示省略されている腹帯内に収納されており、振動板16は固定バンド17で模擬人体1に装着されている。音響変換器15a,15bが胎教用音楽信号により駆動されると、振動板16が振動して、音響信号が模擬人体1内に放射される。振動板16は、胎聴音の周波数特性にしたがって、3kHz以下の音成分が主に発生されるように、その材質や厚さ・寸法を調節して作成される。
【0019】
次に、音楽再生装置9の下側のチャンネルには、上側チャンネルとは別な音楽の母親用音楽ソース10bが録音されている。下側チャンネルの母親用音楽ソース10bは、上側チャンネルの胎教用音楽ソース10aと同期して再生され、その再生信号は、信号増幅器11bで増幅されてスピーカ18から出力される。スピーカ18からの出力音量は、胎聴音に影響しない程度の小さな音であることが望ましい。そのため、スピーカ18の代わりにイアホンやヘッドホンを用いても良い。
【0020】
図2は、胎教用音楽ソース10aに録音された音源と、マイクロホン2で測定した胎聴音の関係を音圧波形で比較した例を示す波形図である。胎教用音楽ソース10aの音源波形の周波数成分の内、比較的高周波の成分は、バンドパスフィルタ12や振動板16により減衰されるため、マイクロホン2で採取される胎聴音は、比較的低周波の成分に偏った波形となる。音源に基準の周波数発生器(図示せず)を用いて、胎聴音と音圧波形を比較することによって、音源から胎聴音への伝播効率が測定できる。これは、後述する胎教装置を使うときに胎聴音のレベルを決める際の元データとなる。スピーカや振動板に異常な共振があれば胎聴音の波形が異常増大するので、原因を調べて異常共振を除き、良好な音響特性を持つ胎教装置とすることができる。
【0021】
次に、図1の装置を用いて音楽ソースを選定する方法について説明する。
(1)模擬人体1に振動板16・音響変換器15a,15bを収納した腹帯を固定バンド17で取りつけ、胎児の位置に対向するように配置する。仮に音楽を再生して、短平均時間音圧レベルが各オクターブ帯域で1dB程度(最大3dB)の小さな変化しか発生しない取り付け位置の範囲と、固定バンド17の緊縛強さの範囲、腹帯の材質などを確認する。
(2)一般市民用の各種ジャンルの音楽の中から、音楽ソースを選択する。音楽の種類は問わないが、経験的によいと言われている30〜45のテンポを持つ音楽とする。このテンポは、胎児(心拍数が約150拍/分程度)よりも、母体の心拍数(70〜80拍/分)に関連が深いので(母体心拍数の約1/2にあたる)、音楽のテンポは35〜40がより好ましい。勿論、一般市民用音楽から選定する以外に、胎児に適する胎聴音を与えるように、専用に作曲・編曲することも可能である。
(3)音楽ソースを上側チャンネルの胎教用音楽ソース10aで再生して振動板16を駆動し、マイクロホン2〜録音器4で胎聴音を録音する。次に、録音した胎聴音を周波数分析器5で分析して、短平均時間音響レベルを観測する。3kHzを超える音が残っている場合は、バンドパスフィルタ12の特性を調節して、高周波成分をカットする。また特定の周波数範囲を強調したいときは、その周波数の上下で高周波成分と低周波側成分をカットあるいは減衰させる。
(4)演奏中の胎聴音は、録音器4で録音する。一曲の演奏が終わったとき、曲全体の短平均時間音響レベルを解析して胎聴音の特性図を作成する。胎聴音の特性図としては、前述した曲平均音響レベルを用いることができる。図3は胎聴音の特性図の一例を示している。図中の棒グラフは曲平均音響レベルを示し、折れ線グラフは後述する母体大動脈血流音の例を示す。このような曲平均音響レベル以外にも、短平均音響レベルの値、全周波数帯域の音圧レベルの時間変化、その周波数特性、音の分析に用いられている方法(声紋の鑑定に用いられるパターン分析図など)を用いることもできる。
【0022】
胎児は、成人と同じ聴覚・曲想を持つとは限らないので、特性図は必ずしも解析に適する数量的な表現にこだわる必要はない。例えば胎聴音の短平均周波数特性をいくつかのパターンに分類して、一曲におけるパターン全体を画面の各区画の色・形の集合として表現してもよいし、曲の短平均音響レベルをいくつかのオクターブバンドを代表させて図形の表情変化(チャーノフの顔グラフ)などで表現したものであってもよい。この場合、後述する胎教装置で表示する場合に、今曲全体のどの部分を表現しているのかが容易にわかる時間表示などを付加しておくことが望ましい。
(5)上記の操作を多数の曲について行なうことにより、音楽の曲毎に可視化された特性図(曲平均音響レベル、声紋のパターンなど)が得られるので、これらの曲の特性図の相違と胎児への影響との関連について客観的な分析を行なう。つまり、どのような特性図を持つ曲が胎教に適するかまたは適さないかは、音楽を聴かせたときの胎児の反応(例えば胎児心拍数の変化、胎動の頻度・大きさなど)から知ることができるので、特性図を胎児の反応に関連付けて検討することにより、科学的な検証のもとで有効な曲を選定することができる。
【0023】
また母親(妊婦)も、曲に対する胎動の変化などによって胎児の反応を直接感じることができるので、多数の胎教用の音楽を特性図によって分類表示しておき、自分の胎児に適切と感じられる音楽を自分で試行して確かめ、特性図に関連付けることにより、有効な曲を選定することができる。このような方法によって、胎児が聴く音(胎聴音)に基づいた音楽の選定が可能となる。
【0024】
図4は、このような方法で選定された音楽を用いて胎児に音楽を聴かせる胎教装置の適用例を示す説明図である。図4において、20は妊婦、21は表示器である。ほかの図1と同じ要素は、同じ番号を用いて示されている。
【0025】
図4の胎教装置は、図1のものと略同等の音響効果を持たせて胎児に音楽を聴かせられるものであればよく、必ずしも同じものである必要はない。各種ある胎教装置で共通に使われている信号増幅器11a,11b、音響変換器15a,15bなどは、図1に示した装置で胎聴音の測定を行なってみて、同じ音楽ソースについて、胎聴音の短平均周波数特性が同等(各オクターブバンドのレベル差が±1dB以内が好ましく、最大±3dB以内)でありさえすれば、共通して使うことができる。しかし、同じ装置を使う場合でも、音響変換器部分の構造や形状・材質が異なるものを使用するとき、例えば振動板16の材質や厚さ・寸法を変更するときは、同等の胎聴音が得られるかどうかを確かめておく必要がある。 図1の方法で選定された音楽を胎児に聴かせる胎教を実施するか、胎教の試験を行なうには、次のようにする。
(1' )振動板16の取り付け位置のように可変範囲のあるものは、図1での音楽選定時に求めた許容範囲の中で、妊婦20に正確に取り付ける。また胎教試験において、試験専用の計測を行なう場合は、必要な計測器を妊婦に装着してもらう。
(2' )上側チャンネルの胎教用音楽ソース10aに選定された音楽を収録し、選定時と同じバンドパスフィルタ12の設定で音楽を再生する。このとき、下側チャンネルの母親用音楽ソースに別の音楽を収録している場合には、スピーカ18から出力される下側チャンネルの音楽を、妊婦には聞こえて、胎聴音には影響しないような音量で再生する。また下側チャンネルに胎聴音信号とその特性データを収録してもよく、その場合は、上下チャンネルを同時に再生して、表示器21に現在再生中の胎聴音の特性図と再生中の曲中の位置などを表示する。
【0026】
下側チャンネルに音楽を収録する時は、妊婦の好む音楽を胎聴音とは別に収録できるので、妊婦は、自己の情操に好ましい音楽を聞きながら、胎教を行なうことができる。一方、下側チャンネルに胎聴音信号を収録するときは、胎児が聞いている音楽が可視化されて表示されるので、胎児の反応と胎聴音との相互関係を試験する場合に、関連を認識しやすい利点がある。
【0027】
図5は、本発明の胎教装置の他の適用例を示す説明図である。
【0028】
図5において、上側チャンネルの胎教用音楽ソース10aには,選定された音楽がセットされ、下側チャンネルの母親用音楽ソース10bには,図1の方法で採取された胎聴音がそのまま録音されている。22は胎聴音波形の表示装置である。表示装置22は、図2の胎聴音波形を連続して表示する。しかし、簡素化が必要な場合には、適当な閾値を設けて、単に音圧レベルの大小を表示するだけにしてもよい。下側チャンネルの母親用音楽ソース10bから再生された音楽は、スピーカ18からも出力されるので、胎児が聴いている音と同じものを母親(試験者)も聴けるようになっている。つまり本適用例では、胎聴音とその胎聴音の元になった音源とを一体に収録して再生できるようにしている。これによって、母親は、胎児の聴いている音を自分で確認できるので、錯覚を生じることなく、安心して胎教装置を使用することができ、また試験者は、録音された胎聴音を試験時に出力して利用できるので、胎児の影響と胎聴音の関係を各種の分析装置を用いて検討・解析することができる。
【0029】
図1では、胎聴音を模擬人体1の内部で水中マイクロホンにより検出する方法が説明されたが、他の方法として、振動板16の振動を光センサーや加速度センサーで検出する方法がある。この方法は、振動板から胎児の位置までの音響伝播特性が予め判明しているとき、実際の母体や、類似形状の人体で発生する音楽の特性を、模擬人体を用いずに測定できる利点がある。
【0030】
【発明の効果】
(1)実際に胎児が聴いている音楽の特性を可視化して把握でき、胎教用音楽の効果を評価する客観的な試験が可能になる。
(2)胎教に有効な音楽ソースを、一般市民用の音楽など広いジャンルの中から容易に選択できる。
(3)選択された胎教用の音楽ソースに対応する胎聴音の音楽を、妊婦自身や他の試験者などが聞くことができるので、胎教中の音楽ソースの内容が容易に判別できる。
(4)妊婦の情操安定のための音楽を、胎教用の音楽と同時に演奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による胎教装置と胎聴音測定方法の1実施の形態を示す説明図である。
【図2】本発明による音源波形と胎聴音波形の一例を示す波形図である。
【図3】本発明による胎教用音楽の曲平均音響レベルの一例を示す特性図である。
【図4】本発明による胎教装置の一つの適用例を示す説明図である。
【図5】本発明による胎教装置の他の適用例を示す説明図である。
【符号の説明】
1:母体の模擬人体
2:マイクロホン
3:増幅器
4:録音器
5:周波数分析器
8:音楽信号供給装置
9:2チャンネルの音楽再生装置
10a:胎教用音楽ソース
10b:母親用音楽ソース
11a,11b:信号増幅器
12:バンドパスフィルタBPF
13:電力増幅器
14:音響信号発生装置
15a,15b:音響変換器
16:振動板
17:固定バンド
18:スピーカ
20:妊婦
21:表示器
22:表示装置
Claims (4)
- 母体を通して胎児に音楽を聴かせる胎教装置であって、母体の腹部に取り付ける音響信号発生装置と、母親が音楽を直接聴くためのスピーカと、音響信号発生装置に胎教用音楽信号を供給する第1のチャンネル及びスピーカに母親用音楽信号を供給する第2のチャンネルからなる2チャンネル構造の音楽信号供給装置とを備え、
該音楽信号供給装置の第1のチャンネルは、胎教用音楽ソースと、胎教用音楽ソースからの再生信号の3kHz以上の周波数領域をカットオフするフィルタとを有し、第2のチャンネルは、母親用音楽ソースを有して、第1のチャンネルの胎教用音楽ソースと第2のチャンネルの母親用音楽ソースとは独立しており、かつ同期して再生するように構成されていることを特徴とする胎教装置。 - 請求項1において、第1のチャンネルの胎教用音楽ソースは、テンポが30〜45(4分音符数/分)の音楽であることを特徴とする胎教装置。
- 請求項1または請求項2において、第2のチャンネルの母親用音楽ソースは胎聴音の音楽ソースとその胎聴音の音楽ソースの曲全体を解析して得られた音響的な特性図のデータを含むものであり、第2のチャンネルは表示器を備えて、胎聴音の音楽ソースの再生時にその特性図のデータを表示器に表示することを特徴とする胎教装置。
- 請求項3において、特性図のデータは、曲平均音響レベル、短平均音響レベル、短平均周波数特性、周波数帯域の音圧レベルの時間変化、パターン分析図のいずれかであることを特徴とする胎教装置。
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