JPH09313610A - 音発生装置、音発生空間及び音 - Google Patents

音発生装置、音発生空間及び音

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JPH09313610A
JPH09313610A JP8234947A JP23494796A JPH09313610A JP H09313610 A JPH09313610 A JP H09313610A JP 8234947 A JP8234947 A JP 8234947A JP 23494796 A JP23494796 A JP 23494796A JP H09313610 A JPH09313610 A JP H09313610A
Authority
JP
Japan
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sound
frequency
human
frequency range
khz
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Pending
Application number
JP8234947A
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English (en)
Inventor
Tsutomu Ohashi
力 大橋
Tokue Kawai
徳枝 河合
Emi Nishina
エミ 仁科
Yoshitaka Fuwamoto
義孝 不破本
Reiko Yagi
玲子 八木
Masako Morimoto
雅子 森本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
ATR NINGEN JOHO TSUSHIN KENKYU
ATR Advanced Telecommunications Research Institute International
Original Assignee
ATR NINGEN JOHO TSUSHIN KENKYU
ATR Advanced Telecommunications Research Institute International
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Filing date
Publication date
Application filed by ATR NINGEN JOHO TSUSHIN KENKYU, ATR Advanced Telecommunications Research Institute International filed Critical ATR NINGEN JOHO TSUSHIN KENKYU
Priority to JP8234947A priority Critical patent/JPH09313610A/ja
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  • Measurement And Recording Of Electrical Phenomena And Electrical Characteristics Of The Living Body (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 人間の脳血流を増大させて心身の状態を改善
向上させ、人間をリラックスさせるための音発生装置、
音発生空間及び音を提供する。 【解決手段】 可聴周波数範囲を超える所定の最大周波
数までの第1の周波数範囲の周波数を有しかつ10kH
zを超える第2の周波数範囲においてミクロな時間領域
で変化する非定常である音を発生する音発生装置又は音
発生空間であり、上記音を人間に対して印加することに
より人間の脳血流を増大させる。また、可聴周波数範囲
を超える所定の最大周波数までの第1の周波数範囲の周
波数を有しかつ10kHzを超える第2の周波数範囲に
おいてミクロな時間領域で変化する非定常である音であ
り、上記音を人間に対して印加することにより人間の脳
血流を増大させる。上記最大周波数は好ましくは、15
0kHzである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、人間の脳血流を増
大させるための音発生装置、音発生空間及び音に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、20kHzを超える音声周波数は
人間の可聴範囲を超えるため人間の感覚特性には影響し
ないと考えられている。従って、コンパクトディスク
(CD)やミニディスク(MD)のサンプリング周波数
は44.1kHzに設定され、最高約22kHzまでの
音声信号を録音再生することができるようにこれらの機
器が製造されている。また、デジタルオーディオテープ
レコーダ(DAT)やデジタルコンパクトカセットレコ
ーダ(DCC)のサンプリング周波数は48kHz、4
4.1kHz及び32kHzのいずれかの周波数に設定
することができ、最高約24kHzまでの音声信号を録
音再生することができるようにこれらの機器が製造され
ている。そして、一般に、人間は、これらの機器を用い
て好みの音楽を聞くことにより、自分自身をリラックス
させている。
【0003】一方、人間の脳から発生するα波の強度
は、一般に、ストレスがないことの指標として用いられ
ており、10Hz前後の超低周波信号を発生させてそれ
を聞いたときに、脳波のα波を発生することを利用し
て、当該超低周波信号を発生する装置が開発されて販売
されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
従来例においては、音楽の内容や超低周波信号の周波数
に依存してストレスを解消させる度合いは変化し、かつ
その度合いは比較的小さいという問題点があった。
【0005】本発明の目的は以上の問題点を解決し、人
間の脳血流を増大させて心身の状態を改善向上させ人間
の緊張をといて人間をリラックスさせるための音発生装
置、音発生空間及び音を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係る請求項1記
載の音発生装置は、可聴周波数範囲を超える所定の最大
周波数までの第1の周波数範囲の周波数を有しかつ10
kHzを超える第2の周波数範囲においてミクロな時間
領域で変化する非定常である音を発生し、上記音を人間
に対して印加することにより人間の脳血流を増大させる
ことを特徴とする。
【0007】また、本発明に係る請求項2記載の音発生
装置は、可聴周波数範囲を超える所定の最大周波数まで
の第1の周波数範囲の周波数を有しかつ10kHzを超
える第2の周波数範囲においてミクロな時間領域で変化
する非定常である音を発生し、上記音のうちの上記可聴
周波数範囲の音を人間の聴覚に対して印加するととも
に、上記音のうちの上記可聴周波数範囲を超える周波数
範囲を有する音を人間に対して印加することにより人間
の脳血流を増大させることを特徴とする。
【0008】さらに、請求項3記載の音発生装置は、請
求項1又は2記載の音発生装置において、上記最大周波
数は150kHzであることを特徴とする。
【0009】本発明に係る請求項4記載の音発生空間
は、可聴周波数範囲を超える所定の最大周波数までの第
1の周波数範囲の周波数を有しかつ10kHzを超える
第2の周波数範囲においてミクロな時間領域で変化する
非定常である音を発生する手段を備え、上記音を人間に
対して印加することにより人間の脳血流を増大させるこ
とを特徴とする。
【0010】また、本発明に係る請求項5記載の音発生
空間は、可聴周波数範囲を超える所定の最大周波数まで
の第1の周波数範囲の周波数を有しかつ10kHzを超
える第2の周波数範囲においてミクロな時間領域で変化
する非定常である音を発生する手段を備え、上記音のう
ちの上記可聴周波数範囲の音を人間の聴覚に対して印加
するとともに、上記音のうちの上記可聴周波数範囲を超
える周波数範囲を有する音を人間に対して印加すること
により人間の脳血流を増大させることを特徴とする。
【0011】さらに、請求項6記載の音発生空間は、請
求項4又は5記載の音発生空間において、上記最大周波
数は150kHzであることを特徴とする。
【0012】本発明に係る請求項7記載の音は、可聴周
波数範囲を超える所定の最大周波数までの第1の周波数
範囲の周波数を有しかつ10kHzを超える第2の周波
数範囲においてミクロな時間領域で変化する非定常であ
る音であって、上記音を人間に対して印加することによ
り人間の脳血流を増大させることを特徴とする。
【0013】また、請求項8記載の音は、請求項7記載
の音において、上記最大周波数は150kHzであるこ
とを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明に係
る実施形態について説明する。
【0015】<第1の実施形態>図1は、本発明に係る
第1の実施形態である信号音発生装置のブロック図、及
び当該信号音発生装置によって信号を発生させるための
信号音発生空間である部屋20を示す斜視図である。こ
の実施形態の信号音発生装置は、可聴周波数範囲を超え
る最大周波数までの第1の周波数範囲の周波数を有しか
つ10kHzを超える第2の周波数範囲においてミクロ
な時間領域で非定常である信号を発生し、上記信号を人
間に対して印加することにより人間の脳血流を増大させ
ることを特徴とする。ここで、第1の周波数範囲は、約
20Hzから150kHzまでの周波数範囲である。な
お、第1の実施形態において、図1に示すように、音記
録・再生装置系はまったく同一のものが2系統用意さ
れ、いわゆるステレオフォニックの状態で駆動される。
【0016】図1に示すように、インドネシアのバリ島
における青銅製の打楽器であるガムラン1を演奏するこ
とにより得られる楽器音をマイクロホン2により集音す
る。マイクロホン2は入力された楽器音をアナログ電気
信号に変換し、変換後のアナログ電気信号を前置増幅器
3を介してA/D変換器4に出力する。A/D変換器4
は、入力されたアナログ電気信号を、例えば1920k
Hzのサンプリング周波数でデジタル信号にA/D変換
して磁気記録部11に出力する。
【0017】磁気記録再生装置10は、磁気記録部11
と、磁気記録ヘッド12と、磁気再生ヘッド14と、磁
気再生部15とを備え、磁気テープ13に対してデジタ
ル信号を記録し、又は磁気テープ13に記録されたデジ
タル信号を再生して出力するいわゆるデジタル信号レコ
ーダである。ここで、磁気記録再生装置10は、山崎芳
男博士により考案された従来技術のDATであって、2
00kHzまでにわたる周波数範囲で均一な周波数特性
を有する。磁気記録部11は、A/D変換器4から入力
されたデジタル信号に従って搬送波信号を所定のデジタ
ル変調方式で変調し、変調後の信号を磁気記録ヘッド1
2を用いて、矢印で示される所定の方向16に走行され
ている磁気テープ13に記録する一方、磁気再生部15
は、磁気テープ13に記録された変調信号を磁気再生ヘ
ッド14を用いて再生し、再生された変調信号を上記デ
ジタル変調方式と逆のデジタル復調方式で復調してデジ
タル信号を取り出す。
【0018】当該復調後のデジタル信号は、D/A変換
器5によって元のアナログ信号にD/A変換された後、
再生増幅器6を介して出力され、再生増幅器6からの出
力アナログ信号は、スイッチSW1、22kHzのカッ
トオフ周波数を有する高域通過フィルタ7a及び電力増
幅器8aを介して20kHzから150kHzまでの周
波数範囲の信号を発生できる右側スピーカ9aa及び左
側スピーカ9abに入力されるとともに、スイッチSW
2、22kHzのカットオフ周波数を有する低域通過フ
ィルタ7b及び電力増幅器8bを介して30kHz以下
の信号を発生できる右側スピーカ9ba及び左側スピー
カ9bbに入力される。従って、2つのフィルタ7a,
7bのクロスオーバー周波数は22kHzである。
【0019】上記スピーカ9aa,9ab,9ba,9
bbは、音響的に密閉された遮音室である部屋20内に
載置され、スピーカ9aa,9ab,9ba,9bbは
それぞれ、入力される信号を音に変換して被測定対象の
人間30に対して印加する。
【0020】人間30の例えば12個の頭皮の位置にそ
れぞれ検出電極を設け、当該各検出電極に接続された脳
波検出送信装置32は、各検出電極で検出された脳波を
無線信号に変換してアンテナ33からアンテナ34に向
けて送信する。上記脳波の無線信号はアンテナ34によ
り受信された後、脳波データ受信記録装置31に出力さ
れる。脳波データ受信記録装置31において、受信され
た脳波の無線信号は脳波信号に変換した後、磁気記録装
置に記録され、さらには、上記脳波信号は解析用コンピ
ュータにより解析される一方、CRTディスプレイやペ
ンレコーダなどの出力機器を用いて脳波の変化を記録し
て出力する。一方、人間30の頭部は断層撮影装置用検
出装置42の2つの検出部間によって挟設されて載置さ
れ、断層撮影装置用検出装置42からの検出信号は断層
撮影装置41に送信された後、断層撮影装置41は入力
される検出信号に基づいて所定の断層撮影の解析処理を
実行して解析結果の断層撮影図を内蔵のCRTディスプ
レイ上に表示する。
【0021】以上のように構成された第1の実施形態の
信号音発生装置の各部信号の周波数特性を図26に示
し、ここで、図26(a)はD/A変換器5から出力さ
れる周波数成分の周波数特性を示すグラフであり、図2
6(b)はスピーカ9aa,9ab,9ba,9bbか
ら出力される各周波数成分の周波数特性を示すグラフで
あり、図26(c)は部屋20における背景雑音の周波
数特性を示すグラフである。以上のように構成された第
1の実施形態の信号音発生装置及び部屋20において
は、スイッチSW1,SW2をともにオンとしたとき、
ガムラン1を用いて演奏された楽器音が磁気記録再生装
置10内の磁気テープ13に記録された後、それを再生
したとき、ガムラン1の楽器音と実質的に同一である再
生信号をスピーカ9aa,9ab,9ba,9bbを用
いて人間30に対して印加することができる。ここで、
スイッチSW1,SW2をオン・オフすることにより種
々の周波数成分の楽器音の信号をスピーカ9aa,9a
b,9ba,9bbにより発生させることができる。す
なわち、スイッチSW1のみをオンしたとき、22kH
z以上の高周波成分のみの信号が人間30に対して印加
される一方、スイッチSW2のみをオンしたとき、22
kHz以下の低周波成分のみの信号が人間30に対して
印加される。なお、スイッチSW1,SW2をともにオ
フとしたときは、部屋20の室内の機器類が発生する空
気振動及び電力増幅器8a,8bの無視可能に小さい熱
雑音成分に基づくベースラインの暗騒音成分(以下、暗
騒音成分という。)が人間30に対して印加される。以
下、本実施形態の信号音発生装置及び部屋20を用いて
得られた実験結果について詳述する。
【0022】図3は、本実施形態で用いるガムラン、チ
ェンバロ、及びピアノによって発生された信号の周波数
特性を示すグラフである。ここで、図3の周波数特性
は、各楽器音の30秒の平均パワースペクトルであり、
図3から明らかなように、ガムランの楽器音は100k
Hz以上の周波数成分を含み、なお、ガムランの楽器音
は図3に図示していないが、瞬間的には約150kHz
までの周波数成分を含んでいる。また、チェンバロの楽
器音は低周波成分から約50kHzまでの周波数成分を
含み、ピアノの楽器音は約10kHzまでの周波成分を
含んでいる。
【0023】図4は、茨城県つくば市の山林、ジャワ島
の熱帯雨林、及び東京都の道路沿いにおける環境音の周
波数特性を示すグラフである。図4から明らかなよう
に、東京都の道路沿いでは、約8kHzまでの周波数成
分しか有しないが、茨城県つくば市の山林やジャワ島の
熱帯雨林では、約50kHzまでにわたって高周波成分
及び低周波成分を有している。
【0024】次いで、発明者は、公知の最大エントロピ
ー法(Maximum Entropy Method;MEM)を用いて、磁
気記録再生装置10を用いて記録されたガムランとピア
ノの楽器音についてデジタル信号処理を行って分析し
た。この分析処理では、200kHzのサンプリング周
波数で楽器音の音響信号データをサンプリングし、次い
で、20マイクロ秒毎に2000個のデータを得て、1
00kHzの最大周波数のMEMスペクトルを計算し、
図5乃至図8のMEMスペクトルを時系列データとして
得た。
【0025】本実施形態のガムランと比較例のピアノの
両方で演奏された楽曲“ガンバン・クタ”の同一部分の
MEMスペクトルの時系列アレイが図5乃至図8に示さ
れている。ガムランの楽器音は、図5に示すように、各
周波数スペクトルの間で違いがあるとともに、50kH
zを超える周波数においてダイナミックでかつ複雑な非
定常な構造を含んでいることを注意すべきである。一
方、図6に示すように、10kHzを超える周波数スペ
クトルはピアノで演奏された同一の曲ではほとんど観察
されなかった。これらの結果はFFT解析を使用した結
果と一致していた。
【0026】奏者が鍵盤を押したり、叩いたりしたと
き、図5乃至図8において“アタック”として示し、M
EMスペクトルのパターンはガムランとピアノの両方の
音楽において変化していた。このことは、ピッチの変化
を反映していると考えられる。ガムラン音楽において
は、周波数スペクトルの変化は暫時継続し、また、ミク
ロな時間領域におけるピッチの変化によって生じないゆ
らぎ構造が観察された。ピアノの音楽においては、スペ
クトルにおける変化は、アタック後にすぐに安定化し
た。また、図7に示すように、ガムランの音のトーンは
10kHz未満のより低い周波数範囲において定常性が
観察されたが、10kHz以上のより高い周波数範囲に
おいてはミクロな時間領域において明らかな非定常的な
構造が存在していた。さらに、図8に示すように、ピア
ノの音楽では、トーンについてそのような傾向は無かっ
た。
【0027】以上説明したように、ガムランの音楽にお
いては、50kHzを超える高周波の範囲におけるゆら
ぎ構造が観察され、それは、キーの変化によって生じな
いものであった。西洋クラッシック音楽の典型的な楽器
の一つであるピアノの音楽においては、そのようなゆら
ぎ構造は発見されなかった。さらに、ガムラン楽器のほ
とんどは対になって構成されており、ガムラン楽器の伝
統的な調律方法において、一対の各々のメンバーが僅か
に異なるピッチに調律する。この“離調”技術は、その
ような非定常的構造の原因の1つであると考えられる。
従って、ガムランの楽器音においては、例えば約20H
zから約20kHzまでの可聴周波数範囲及びそれを超
えて150kHzまでのきわめて高い周波数範囲を含
み、しかも、10kHzを超える周波数成分には、1秒
ないし1/10秒以内のミクロな時間領域でゆらぎが存
在しており、すなわち、当該周波数成分においてミクロ
な時間領域で変化する非定常な信号音が存在している。
【0028】次いで、局所的な大脳血流値(以下、r−
CBF値という。)の測定及び脳波のα波の測定につい
て述べる。r−CBF値の測定においては、日立メディ
カル製PCT3600W型陽電子射出断層撮影装置41
を用いて、断層中心間隔7mmで15断層のデータを、
軸交差方向に9mm及び軸方向に6.5mmのFWHM
(Full Width at Half Maximum:半値全幅)でかつ12
0秒の走査撮影で得た。ここで、被測定対象の人間30
に対して、演奏開始後1分後に静脈注射器を用いて15
秒間で30mCi/6mlだけ15O水を静脈に注射し
た。断層撮影後の画像は、米国ミネソタ州ロチェスター
のメイヨ財団のANALYZEシステムで検証され、統
計的分析は、英国のMRCサイクロトン装置の統計パラ
メータ分布図(Statistical Parameter Map;SPM)
を用いて、米国マサチューセッツ州ナティックのマスワ
ーク社のPROMATLABシステムを用いて行った。
後に示す図10及び図11において、各活性領域の最大
現象点の位置は、タライラッハ座標を用いて直交3次元
における立体定位座標値x,y,zにて表示している。
【0029】また、脳波の測定においては、日本光電製
WEE6112型テレメータシステムを含む脳波データ
受信記録装置31を用いて耳たぶを基準にして12個の
頭皮の位置に電極を設けて脳波を測定した。各被験者の
平均値を測定基礎データ値とし、脳内電気活性度マップ
(Brain Electric Activity Map:BEAM)に基づい
た頭皮の後部2/3部位からのα波EEG(Electroenc
ephalogram:脳波)電位を正規化した出力値を測定値と
した。また、以下の図中において、Pは、ANOVA後
のフィッシャーのPLSDのpost hocテスト後
の有意しきい値であり、ここで得られたものと同様の結
果が、全くの偶然によって生起する確率を意味する。r
は相関関数であり、血流の増減と、αEEG電位の増減
との間の関係の強さを表している。Zスコアは、有意し
きい値Pを決定する値であり、規準化された全体のデー
タの分布において得られた観測値の平均値からの隔たり
を意味する。
【0030】また、正規化されたr−CBF値及び正規
化されたα波EEG電位について次の5つの周波数成分
に分割して比較測定している。 (a)全周波成分:スイッチSW1,SW2をともにオ
ンしたときの周波数成分; (b)高周波成分:スイッチSW1のみをオンしたとき
の周波数成分; (c)低周波成分:スイッチSW2のみをオンしたとき
の周波数成分; (d)暗騒音成分のみ:スイッチSW1,SW2をとも
にオフとしたときの周波数成分:及び (e)仮想的な全周波成分(図14及び図15):上記
低周波成分と、電子的に発生させた定常的な白色雑音を
上記高周波成分の時間平均周波数スペクトルに近似させ
てろ波して波形成形することにより得られ、10kHz
を超える周波数範囲においてミクロな時間領域で変化す
るゆらぎ構造をもたない仮想的な定常的な高周波成分と
を含む周波数成分。なお、図27に、図1の信号音発生
装置において用いられるガムラン音の高周波成分と、そ
の周波数成分を、電子的に発生させた定常的な白色雑音
を上記高周波成分の時間成分の時間平均スペクトルに近
似させるようにろ波して波形成形することにより得ら
れ、10kHzを超える周波数範囲でミクロな時間領域
で変化するゆらぎ構造をもたない仮想的な定常的な高周
波成分との各周波数特性を示す。さらに、図16及び図
17で示されるα波EEG電位とr−CBF値との相関
分析においては、活性化した対象部位内での正規化され
たα波EEG電位とr−CBF値との間の相関関係につ
いて調べた。
【0031】図9は、第1の実施形態において低周波成
分のみに対して全周波成分のときの脳血流が有意に増大
するタライラッハ座標(x,y,z)=(4mm,−2
6mm,−8mm)すなわち脳幹に相当する部分10
0、およびタライラッハ座標(x,y,z)=(−16
mm,−18mm,0mm)すなわち左視床部に相当す
る部分200を示す投影図であって、図9(a)は人間
の頭蓋の矢状縫合に沿った投影図(サジタル投影図)で
あり、図9(b)はその冠状縫合に沿った投影図(コロ
ナル投影図)であり、図9(c)はその水平面投影図で
ある。図9から明らかなように、被験者の人間30に対
して低周波成分のみを印加したときに比較して全周波成
分を印加した方が、脳幹と左視床部において有意に脳血
流が増大していることがわかる。
【0032】図10は、第1の実施形態において図9に
対応し、低周波成分のみに対して全周波成分のときの脳
血流が有意に増大する脳幹の位置100を示す断面図で
あって、図10(a)は人間の頭蓋の矢状縫合に沿った
縦断面図(サジタル縦断面図)であり、図10(b)は
その冠状縫合に沿った縦断面図(コロナル縦断面図)で
あり、図10(c)はその横断面図である。図11は、
第1の実施形態において図9に対応し、低周波成分のみ
に対して全周波成分のときの脳血流が有意に増大する、
左視床の位置200を示す断面図であって、図11
(a)は人間の頭蓋の矢状縫合に沿った縦断面図(サジ
タル縦断面図)であり、図11(b)はその冠状縫合に
沿った縦断面図(コロナル縦断面図)であり、図11
(c)はその横断面図である。図10及び図11から明
らかなように、被験者の人間30に対して低周波成分の
みを印加したときに比較して全周波成分を印加した方
が、左視床部において有意に脳血流が増大していること
がわかる。
【0033】図12は、第1の実施形態において各周波
数成分に対する正規化されたr−CBF値を示すグラフ
であって、図12(a)は脳幹の位置におけるr−CB
F値を示すグラフであり、図12(b)は左視床部の位
置におけるr−CBF値を示すグラフである。図12
(a)から明らかなように、被験者の人間30に対し
て、低周波成分のみ、高周波成分のみ、又は暗騒音成分
のみを印加したときに比較して全周波成分を印加した方
が、脳幹の位置におけるr−CBF値が増大しており、
脳幹の位置において脳血流が増大していることがわか
る。また、図12(b)から明らかなように、被験者の
人間30に対して、低周波成分のみ、高周波成分のみ、
又は暗騒音成分のみを印加したときに比較して全周波成
分を印加した方が、左視床部の位置におけるr−CBF
値が増大しており、左視床部の位置において脳血流が増
大していることがわかる。
【0034】図13は、第1の実施形態において各周波
数成分に対する正規化されたα波EEG電位を示すグラ
フである。図13から明らかなように、被験者の人間3
0に対して、低周波成分のみ、高周波成分のみ、又は暗
騒音成分のみを印加したときに比較して全周波成分を印
加した方が、α波EEG電位が増大していることがわか
る。
【0035】図14は、第1の実施形態において各周波
数成分に対する正規化されたr−CBF値を示すグラフ
であって、図14(a)は脳幹の位置におけるr−CB
F値を示すグラフであり、図14(b)は左視床の位置
におけるr−CBF値を示すグラフである。図14から
明らかなように、10kHzを超える周波数範囲におい
てミクロな時間領域で変化するゆらぎ構造をもたない仮
想的な全周波成分、又は暗騒音成分のみを印加したとき
に比較して全周波成分を印加した方が(a)脳幹及び
(b)左視床の位置におけるr−CBF値が増大してお
り、(a)脳幹及び(b)左視床において脳血流が増大
していることがわかる。それに対して、10kHzを超
える周波数範囲においてミクロな時間領域で変化するゆ
らぎ構造をもたない仮想的な全周波成分を印加した場合
には、全周波成分を印加した場合及びベースラインであ
る暗騒音成分を印加した場合よりも(a)脳幹及び
(b)左視床においてr−CBF値が減少しており、
(a)脳幹及び(b)左視床において脳血流が減少して
いることがわかる。
【0036】図15は、第1の実施形態において各周波
数成分に対する正規化されたα波EEG電位を示すグラ
フである。図15から明らかなように、被験者の人間3
0に対して、10kHzを超える周波数範囲においてミ
クロな周波数領域で変化するゆらぎ構造をもたない仮想
的な全周波成分、又は暗騒音成分のみを印加したときに
比較して全周波成分を印加した方が、α波EEG電位が
増大していることがわかる。それに対して、上記仮想的
な全周波成分を印加しても、α波EEG電位は、ベース
ラインである暗騒音成分を印加した場合に比較して増大
しない。
【0037】図16は、第1の実施形態においてα波E
EG電位とr−CBF値とが有意に相関する部位と、脳
血流が有意に増大する部位とを示す、タライラッハ座標
の各zに対する横断面図である。ここで、図16(a)
はz=−4mmのときの横断面図であり、図16(b)
はz=0mmのときの横断面図であり、図16(c)は
z=4mmのときの横断面図である。図16から明らか
なように、α波EEG電位とr−CBF値とが有意に相
関する部位300と、脳血流のみが有意に増大する部位
101とがともに左視床部においてほぼ重なって位置し
ており、左視床部の位置において脳血流が増大すれば、
α波EEG電位が増大することが裏付けられる。
【0038】図17は、第1の実施形態において左視床
部の位置における正規化されたα波EEG電位に対する
r−CBF値の相関関係を示すグラフである。図17か
ら明らかなように、α波EEG電位が増大するにつれ
て、r−CBF値が増大しており、正の相関があり、そ
の有意しきい値はきわめてちかいことがわかる。すなわ
ち、左視床部の位置において脳血流が増大すれば、α波
EEG電位が増大することがわかる。
【0039】脳視床部は脳深部にある神経核の集合体
で、視聴覚を含む全身からの感覚入力信号を処理して大
脳皮質へ中継する拠点として重要な役割を果たしてい
る。また、視床は大脳皮質や大脳辺縁系などからの信号
を受信して統合し、視床下部などを介して内分泌系や自
律神経系などの全身の制御系を統括する基幹的な拠点と
しても重要な役割を果たしており、人間の緊張をとくリ
ラクゼイションとストレスとの制御に密接にかかわって
いる。リラックス状態の指標として広く知られている脳
波α波のペースメーカーの候補のひとつとしても、視床
は注目されている。さらに、視床は大脳辺縁系の一部を
なしており、その局所的な脳血流値は感情の変動に関係
して増加すると報告されている。最近の研究では、多く
の精神分裂病患者で局所的な異常が視床の外側部に共通
して見られることが報告されており、視床の働きがそこ
なわれることにともなってさまざまな精神分裂病症状が
発生すると説明されている。このように、視床の血流を
さかんにして、その活性を高めることは、人間の緊張を
とき人間をリラックスさせてストレスを解消させ、心身
の状態を向上させ、またはそれらを良好に維持するうえ
できわめて有効である。
【0040】また、脳幹には、呼吸、血圧、血糖調節な
ど、生命の維持に直接かかわる最も重要な生命機能の中
枢が集中的に分布している。脳死の判定においても、脳
幹の活動状況の評価が決定的な鍵を握っている。また、
全身臓器の活動を制御する自律神経系の中枢、摂食、性
行動など生物にとって基本的な行動の中枢、睡眠、覚醒
などの概日周期の中枢なども脳幹に存在している。脳全
体の活動水準も、脳幹の網様体賦活系が調節的な役割を
になっていると考えられている。さらに、快感や覚醒の
神経回路があつまっている内側前脳束(medial forebra
in bundle(MFB))をはじめ、脳全体に分布するモ
ノアミン系の重要な神経路が脳幹の神経核から派生して
おり、情動のはたらきに重要な役割をはたすと考えられ
ている。このように、脳幹の血流をさかんにし、その活
性を高めることは人間のこころの快適性とからだの健康
を向上させ、またはそれらを良好に維持するうえできわ
めて有効である。
【0041】ガムランの楽器音を聞くことによって、自
然の快適環境を擬似的に設定することができ、図4に示
すように、現在の都市の音環境では著しく欠乏している
可聴周波数領域を超える高周波成分を印加することによ
り、左視床及び/又は脳幹の血流を増大させ、人間の脳
をストレスのないα波支配型の状態に導き、音知覚を快
適化する効果(ハイパーソニック効果)を得ることがで
きる。従って、人間30の緊張をとき人間をリラックス
させることができ、ストレスを解消させることができ、
こころの快適性を高めることができ、からだの健康を良
好に維持することができる。
【0042】以上説明したように、ガムランの楽器音の
ように、20kHzまでの可聴周波数範囲及びそれを超
えて150kHzまでのきわめて高い周波数範囲を含
み、しかも、10kHzを超える周波数成分において、
1秒ないし1/10秒以内のミクロな時間領域でゆらぎ
が存在しており、すなわち、当該周波数成分においてミ
クロな時間領域で変化する非定常な信号音が存在してい
る音を人間30に対して印加することにより、α波EE
G電位を増大させることができ、人間30の緊張をとい
て人間30をリラックスさせてストレスを解消させるこ
とができ、人間30のこころの快適性を高めることがで
き、からだの健康を良好に維持することができる。
【0043】<第2の実施形態>図2は、本発明に係る
第2の実施形態である信号音発生装置の部分ブロック
図、及び当該信号音発生装置によって信号を発生させる
ための部屋20aを示す斜視図であり、図2において
は、第1の実施形態との異なる部屋20a内の構成のみ
を示す。従って、電力増幅器8a,8bよりも前の構成
は第1の実施形態と同様である。
【0044】第2の実施形態では、部屋20a内で、右
側スピーカ9aa及び左側スピーカ9abが設けられる
とともに、人間30の聴覚のみに対して楽器音を印加す
るための右側イヤホン9ca及び左側イヤホン9cbが
それぞれ人間30の右耳及び左耳に挿入装着される。こ
こで、右側イヤホン9caは、電力増幅器8aの右側出
力端子に接続され22kHz以上の高周波信号音を発生
する高周波信号音発生部9caaと、電力増幅器8bの
右側出力端子に接続され22kHz以下の低周波信号音
を発生する低周波信号音発生部9cbaとを備える。一
方、左側イヤホン9cbは、電力増幅器8aの左側出力
端子に接続され22kHz以上の高周波信号音を発生す
る高周波信号音発生部9cabと、電力増幅器8bの左
側出力端子に接続され22kHz以下の低周波信号音を
発生する低周波信号音発生部9cbbとを備える。以上
のシステムは、第1の実施形態と同様に同一の仕様のも
のが2系統準備され、いわゆるステレオフォニックの状
態で使用されている。電力増幅器8aの高周波成分の出
力信号は、スイッチSW3を介してスピーカ9aa,9
abに出力されるとともに、スイッチSW3を介してイ
ヤホン9ca,9cbの高周波信号音発生部9caa,
9cabに出力される。一方、電力増幅器8bの低周波
成分の出力信号は、イヤホン9ca,9cbの低周波信
号音発生部9cba,9cbbに出力される。従って、
当該第2の実施形態においては、22kHz以上の高周
波成分及び/又は22kHz以下の低周波成分を人間3
0の両耳の聴覚のみに印加する一方、22kHz以上の
高周波成分を人間30の全体に印加することができる。
【0045】第2の実施形態のr−CBF値の測定にお
いては、GE横河メディカル社製アドバンス(Adva
nce)型陽電子射出断層撮影装置41を用いて、断層
中心間隔4.25mmで35断層のデータを、軸交差方
向及び軸方向に4.2mmのFWHM(Full Width Hal
f Maximum:半値全幅)でかつ90秒の走査撮影で得
た。ここで、被測定対象の人間30に対して、演奏開始
と同時に自動静脈注射器を用いて40秒間で10mCi
/10mlだけ15O水を静脈に注射した。断層撮影後の
画像は、米国ミネソタ州ロチェスターのメイヨ財団のA
NALYZEシステムで検証され、統計的分析は、英国
のMRCサイクロトン装置の統計パラメータ分布図(St
atistical Parameter Map;SPM)を用いて、米国マ
サチューセッツ州ナティックのマスワーク社のPROM
ATLABシステムを用いて行った。
【0046】図18は、第2の実施形態において各周波
数成分に対する正規化されたα波EEG電位を示すグラ
フである。第2の実施形態においては、被験者の人間3
0に対して、以下のように信号音を印加する。 (a)イヤホン9ca,9cbの低周波信号音発生部9
cba,9cbbを介して低周波成分のみを印加する
(イヤホン9ca,9cbからの低周波成分のみ)。 (b)スイッチSW3をイヤホン9ca,9cb側に切
り換え、イヤホン9ca,9cbの高周波信号音発生部
9caa,9cabを介して高周波成分を印加するとと
もに、イヤホン9ca,9cbの低周波信号音発生部9
cba,9cbbを介して低周波成分を印加する(イヤ
ホン9ca,9cbからの高周波成分+イヤホン9c
a,9cbからの低周波成分)。 (c)スイッチSW3をイヤホン9ca,9cb側に切
り換え、電子的暗騒音成分のみをイヤホン9ca,9c
bの高周波信号音発生部9caa,9cab及び低周波
信号音発生部9cba,9cbbを介して印加する(電
子的暗騒音のみ)。 (d)スイッチSW3をスピーカ9aa,9ab側に切
り換え、スピーカ9aa,9abを介して高周波成分を
印加するとともに、イヤホン9ca,9cbの低周波信
号音発生部9cba,9cbbを介して低周波成分を印
加する(スピーカ9aa,9abからの高周波成分+イ
ヤホン9ca,9cbからの低周波成分)。
【0047】図18から明らかなように、上記(a)、
(b)及び(c)の場合に比較して、上記(d)の場合
の方が、α波EEG電位が増大していることがわかる。
【0048】図19は、第2の実施形態においてイヤホ
ン9ca,9cbから可聴域音のみを印加したときに対
して、イヤホン9ca,9cbから可聴域音を印加しか
つスピーカ9aa,9abから高周波成分を印加した方
がr−CBF値が有意に増大する脳の部分400,40
1,402を示す投影図であって、図19(a)は人間
の頭蓋の矢状縫合に沿った投影図(サジタル投影図)で
あり、図19(b)はその冠状縫合に沿った投影図(コ
ロナル投影図)であり、図19(c)はその水平面投影
図である。図19から明らかなように、右脳に位置する
角回に属する部位400、後部帯状回に属する部位40
1、及び後部帯状回の境界(プレキュネアス)の位置4
02の3つの部位に脳血流が統計的に有意に増大してい
ることがわかる。
【0049】図20は、第2の実施形態において脳の角
回の位置における各周波数成分に対する正規化されたr
−CBF値を示すグラフであり、図21は、第2の実施
形態において脳の後部帯状回の位置における各周波数成
分に対する正規化されたr−CBF値を示すグラフであ
り、図22は、第2の実施形態において脳の後部帯状回
の境界(プレキュネアス(precuneus))の位置におけ
る各周波数成分に対する正規化されたr−CBF値を示
すグラフである。図20乃至図22から明らかなよう
に、脳の角回の部位、後部帯状回内の部位、及び後部帯
状回の境界の部位の3つの部位において、暗騒音成分の
みを印加した場合、イヤホン9ca,9cbから低周波
成分のみを印加した場合、及びイヤホン9ca,9cb
から低周波成分と高周波成分を印加した場合に比較し
て、イヤホン9ca,9cbから低周波成分を印加しか
つスピーカ9aa,9abから高周波成分を印加したと
きの方が脳血流が統計的に有意に増大していることがわ
かる。
【0050】図23は、第2の実施形態において図19
に対応し、r−CBF値が有意に増大するタライラッハ
座標(x,y,z)=(28mm,−54mm,28m
m)すなわち脳の角回に相当する位置400を示す断面
図であって、図23(a)は人間の頭蓋の矢状縫合に沿
った縦断面図(サジタル縦断面図)であり、図23
(b)はその冠状縫合に沿った縦断面図(コロナル縦断
面図)であり、図23(c)はその横断面図である。ま
た、図24は、第2の実施形態において図19に対応
し、r−CBF値が有意に増大するタライラッハ座標
(x,y,z)=(14mm,−34mm,32mm)
すなわち脳の後部帯状回内の位置401を示す断面図で
あって、図24(a)は人間の頭蓋の矢状縫合に沿った
縦断面図(サジタル縦断面図)であり、図24(b)は
その冠状縫合に沿った縦断面図(コロナル縦断面図)で
あり、図24(c)はその横断面図である。さらに、図
25は、第2の実施形態において図19に対応し、r−
CBF値が有意に増大するタライラッハ座標(x,y,
z)=(10mm,−30mm,44mm)すなわち脳
の後部帯状回の境界(プレキュネアス)の位置402を
示す断面図であって、図25(a)は人間の頭蓋の矢状
縫合に沿った縦断面図(サジタル縦断面図)であり、図
25(b)はその冠状縫合に沿った縦断面図(コロナル
縦断面図)であり、図25(c)はその横断面図であ
る。
【0051】図20及び図23に示すように、脳血流の
増大が見られた右側の脳の角回に相当する部位は、空間
の認知や身体の部位の認知などの関連する部位であると
いわれている。また、図21及び図24に示すように、
脳血流の増大が見られた後部帯状回に属する部位は、大
脳辺縁系の一部をなし、情動と行動とのインターフェー
スを担当しているといわれている。さらに、図22及び
図25に示すように、脳血流の増大が見られた後部帯状
回の境界(プレキュネアス)に属する部位は、大脳にお
ける連合機能を含む多くの種々の機能を含む部位である
といわれている。
【0052】以上説明したように、第2の実施形態にお
いては、イヤホン9ca,9cbの低周波信号音発生部
9cba,9cbbを介して低周波成分を印加するとと
もに、スピーカ9aa,9abを介して高周波成分を印
加したとき(イヤホン9ca,9cbからの低周波成分
+スピーカ9aa,9abからの高周波成分)の方が、
α波EEG電位が増大し、かつ脳の角回の部位、後部帯
状回内の部位、及び後部帯状回の境界の部位の3つの部
位において脳血流が増大していることが明らかである。
低周波成分については、聴覚に直接に印加するととも
に、高周波成分については、被験者の人間30に対して
聴覚のみならず、身体全体に印加することにより、α波
EEG電位を増大させることができるとともに、脳血流
を増大させることができ、人間30の緊張をといて人間
30をリラックスさせてストレスを解消させることがで
きる。
【0053】<変形例>以上の実施形態においては、楽
器音を発生させるために、ガムラン1を用いて発生又は
ガムラン1の楽器音を録音して再生しているが、本発明
はこれに限らず、約20Hzから20kHzまでの可聴
周波数範囲及びそれを超えて150kHzまでのきわめ
て高い周波数範囲を含み、しかも、10kHzを超える
周波数成分において1秒ないし1/10秒以内のミクロ
な時間領域でゆらぎが存在しており、すなわち、当該周
波数成分においてミクロな時間領域で変化する非定常な
音が存在している信号の信号音を例えばシンセサイザー
などにおいて用いられるアナログ信号合成処理又はデジ
タル信号合成処理によって発生させてもよい。また、上
記楽器音の周波数成分は、約20Hzから20kHzま
での可聴周波数範囲及びそれを超えて100kHzまで
の周波数を有してもよい。
【0054】以上の実施形態においては、ガムランの楽
器音を記録した後再生して、当該楽器音を発生する信号
音発生装置について述べているが、本発明はこれに限ら
ず、以下のように、種々の物体が振動することによって
発生する空気の振動が伝搬する音波、すなわち音を発生
する装置であってもよい。 (a)ガムランに限らず、打楽器、弦楽器、管楽器、鍵
盤楽器などの楽器によって発生される音、(b)シンセ
サイザーなど電子的に楽器音を発生する電子楽器装置に
よって発生される音、(c)物体を振動させることによ
って物理的に又は機械的に発生される音、(d)人や鳥
獣などの動物や植物によって発生される音、(e)例え
ば、滝や河川など自然の地形などの自然環境によって発
生される音、(f)アナログ信号処理又はデジタル信号
処理などの信号処理により電気的に発生される音。
【0055】以上の実施形態においては、音を発生する
空間として部屋20,20aを例示しているが、本発明
はこれに限らず、屋内の空間や、例えば列車、自動車、
航空機や船舶などの乗り物、もしくは、例えば、庭園、
公園、森林などの屋外の空間など、音を発生する空間で
あればよい。以上の実施形態においては、低周波成分を
22kHz以下の周波数成分としているが、当該低周波
成分は例えば26kHz以下約20Hzまでの周波数成
分、もしくは、22kHz乃至20kHz以下約20H
zまでの周波数成分であってもよい。
【0056】
【発明の効果】以上詳述したように本発明に係る請求項
1記載の音発生装置によれば、可聴周波数範囲を超える
所定の最大周波数までの第1の周波数範囲の周波数を有
しかつ10kHzを超える第2の周波数範囲においてミ
クロな時間領域で変化する非定常である音を発生し、上
記音を人間に対して印加することにより人間の脳血流を
増大させる。従って、当該音を上述のように人間に対し
て印加することにより、α波EEG電位を増大させ、人
間の緊張をといて人間をリラックスさせてストレスを解
消させ、こころの快適性を高め、からだの健康を向上さ
せ、あるいはそれを良好に維持することができる。
【0057】また、本発明に係る請求項2記載の音発生
装置においては、可聴周波数範囲を超える所定の最大周
波数までの第1の周波数範囲の周波数を有しかつ10k
Hzを超える第2の周波数範囲においてミクロな時間領
域で変化する非定常である音を発生し、上記信号音のう
ちの上記可聴周波数範囲の信号音を人間の聴覚に対して
印加するとともに、上記音のうちの上記可聴周波数範囲
を超える周波数範囲を有する音を人間に対して印加する
ことにより人間の脳血流を増大させる。従って、当該音
を上述のように人間に対して印加することにより、α波
EEG電位を増大させ、人間をリラックスさせてストレ
スを解消させ、こころの快適性を高め、からだの健康を
向上させ、あるいはそれを良好に維持することができ
る。
【0058】本発明に係る請求項4記載の音発生空間に
おいては、可聴周波数範囲を超える所定の最大周波数ま
での第1の周波数範囲の周波数を有しかつ10kHzを
超える第2の周波数範囲においてミクロな時間領域で変
化する非定常である音を発生する手段を備え、上記音を
人間に対して印加することにより人間の脳血流を増大さ
せる。従って、当該音を上述のように人間に対して印加
することにより、α波EEG電位を増大させ、人間をリ
ラックスさせてストレスを解消させ、こころの快適性を
高め、からだの健康を向上させ、あるいはそれを良好に
維持することができる。
【0059】また、本発明に係る請求項5記載の音発生
空間においては、可聴周波数範囲を超える所定の最大周
波数までの第1の周波数範囲の周波数を有しかつ10k
Hzを超える第2の周波数範囲においてミクロな時間領
域で変化する非定常である音を発生する手段を備え、上
記音のうちの上記可聴周波数範囲の音を人間の聴覚に対
して印加するとともに、上記音のうちの上記可聴周波数
範囲を超える周波数範囲を有する音を人間に対して印加
することにより人間の脳血流を増大させる。従って、当
該音を上述のように人間に対して印加することにより、
α波EEG電位を増大させ、人間をリラックスさせてス
トレスを解消させ、こころの快適性を高め、からだの健
康を向上させ、あるいはそれを良好に維持することがで
きる。
【0060】本発明に係る請求項7記載の音において
は、可聴周波数範囲を超える所定の最大周波数までの第
1の周波数範囲の周波数を有しかつ10kHzを超える
第2の周波数範囲においてミクロな時間領域で変化する
非定常である音であって、上記音を人間に対して印加す
ることにより人間の脳血流を増大させる。従って、当該
音を上述のように人間に対して印加することにより、α
波EEG電位を増大させ、人間をリラックスさせてスト
レスを解消させ、こころの快適性を高め、からだの健康
を向上させ、あるいはそれを良好に維持することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る第1の実施形態である信号音発
生装置のブロック図、及び当該信号音発生装置によって
信号を発生させるための部屋を示す斜視図である。
【図2】 本発明に係る第2の実施形態である信号音発
生装置の部分ブロック図、及び当該信号音発生装置によ
って信号を発生させるための部屋を示す斜視図である。
【図3】 本実施形態で用いるガムラン、チェンバロ及
びピアノによって発生された信号の周波数特性を示すグ
ラフである。
【図4】 茨城県つくば市の山林、ジャワ島の熱帯雨
林、及び東京都の道路沿いにおける環境音の周波数特性
を示すグラフである。
【図5】 本実施形態で用いるガムランの100kHz
までのMEMスペクトルを示すグラフである。
【図6】 比較例であるピアノの100kHzまでのM
EMスペクトルを示すグラフである。
【図7】 本実施形態で用いるガムランの20kHzま
でのMEMスペクトルを示すグラフである。
【図8】 比較例であるピアノの20kHzまでのME
Mスペクトルを示すグラフである。
【図9】 第1の実施形態において低周波成分のみに対
して全周波成分のときの脳血流が有意に増大する脳の部
分を示す投影図であって、(a)は人間の頭蓋の矢状縫
合に沿った投影図(サジタル投影図)であり、(b)は
その冠状縫合に沿った投影図(コロナル投影図)であ
り、(c)はその水平面投影図である。
【図10】 第1の実施形態において図9に対応し、低
周波成分のみに対して全周波成分のときの脳血流が有意
に増大する脳幹の位置を示す断面図であって、(a)は
人間の頭蓋の矢状縫合に沿った縦断面図(サジタル縦断
面図)であり、(b)はその冠状縫合に沿った縦断面図
(コロナル縦断面図)であり、(c)はその横断面図で
ある。
【図11】 第1の実施形態において図9に対応し、低
周波成分のみに対して全周波成分のときの脳血流が有意
に増大する、左視床の位置を示す断面図であって、
(a)は人間の頭蓋の矢状縫合に沿った縦断面図(サジ
タル縦断面図)であり、(b)はその冠状縫合に沿った
縦断面図(コロナル縦断面図)であり、(c)はその横
断面図である。
【図12】 第1の実施形態において各周波数成分に対
する正規化されたr−CBF値を示すグラフであって、
(a)は脳幹の位置におけるr−CBF値を示すグラフ
であり、(b)は左視床の位置におけるr−CBF値を
示すグラフである。
【図13】 第1の実施形態において各周波数成分に対
する正規化されたα波EEG電位を示すグラフである。
【図14】 第1の実施形態において各周波数成分に対
する正規化されたr−CBF値を示すグラフであって、
(a)は脳幹の位置におけるr−CBF値を示すグラフ
であり、(b)は左視床の位置におけるr−CBF値を
示すグラフである。
【図15】 第1の実施形態において各周波数成分に対
する正規化されたα波EEG電位を示すグラフである。
【図16】 第1の実施形態においてα波EEG電位と
r−CBF値とが有意に相関する部位と、脳血流が有意
に増大する部位とを示す、タライラッハ座標の各zに対
する横断面図であり、(a)はz=−4mmのときの横
断面図であり、(b)はz=0mmのときの横断面図で
あり、(c)はz=4mmのときの横断面図である。
【図17】 第1の実施形態において左視床の位置にお
ける正規化されたα波EEG電位に対するr−CBF値
の相関関係を示すグラフである。
【図18】 第2の実施形態において各周波数成分に対
する正規化されたα波EEG電位を示すグラフである。
【図19】 第2の実施形態においてイヤホンから可聴
域音のみを印加したときに対して、イヤホンから可聴域
音を印加しかつスピーカから高周波成分を印加した方が
r−CBF値が有意に増大する脳の部分を示す投影図で
あって、(a)は人間の頭蓋の矢状縫合に沿った投影図
(サジタル投影図)であり、(b)はその冠状縫合に沿
った投影図(コロナル投影図)であり、(c)はその水
平面投影図である。
【図20】 第2の実施形態において脳の角回の位置に
おける各周波数成分に対する正規化されたr−CBF値
を示すグラフである。
【図21】 第2の実施形態において脳の後部帯状回の
位置における各周波数成分に対する正規化されたr−C
BF値を示すグラフである。
【図22】 第2の実施形態において脳の後部帯状回の
境界(プレキュネアス)の位置における各周波数成分に
対する正規化されたr−CBF値を示すグラフである。
【図23】 第2の実施形態において図19に対応し、
r−CBF値が有意に増大する脳の角回の位置を示す断
面図であって、(a)は人間の頭蓋の矢状縫合に沿った
縦断面図(サジタル縦断面図)であり、(b)はその冠
状縫合に沿った縦断面図(コロナル縦断面図)であり、
(c)はその横断面図である。
【図24】 第2の実施形態において図19に対応し、
r−CBF値が有意に増大する脳の後部帯状回の位置を
示す断面図であって、(a)は人間の頭蓋の矢状縫合に
沿った縦断面図(サジタル縦断面図)であり、(b)は
その冠状縫合に沿った縦断面図(コロナル縦断面図)で
あり、(c)はその横断面図である。
【図25】 第2の実施形態において図19に対応し、
r−CBF値が有意に増大する脳の後部帯状回の境界
(プレキュネアス)の位置を示す断面図であって、
(a)は人間の頭蓋の矢状縫合に沿った縦断面図(サジ
タル縦断面図)であり、(b)はその冠状縫合に沿った
縦断面図(コロナル縦断面図)であり、(c)はその横
断面図である。
【図26】 図1の信号音発生装置の各部信号の周波数
特性を示すグラフであって、(a)はD/A変換器から
出力される周波数成分の周波数特性を示すグラフであ
り、(b)はスピーカから出力される各周波数成分の周
波数特性を示すグラフであり、(c)は部屋における背
景雑音の周波数特性を示すグラフである。
【図27】 図1の信号音発生装置において用いられる
ガムラン音の高周波成分と、その周波数成分を、電子的
に発生させた定常的な白色雑音を上記高周波成分の時間
成分の時間平均スペクトルに近似させるようにろ波して
波形成形することにより得られ、10kHzを超える周
波数範囲でミクロな時間領域で変化するゆらぎ構造をも
たない仮想的な定常的な高周波成分との各周波数特性を
示すグラフである。
【符号の説明】
1…ガムラン、 2…マイクロホン、 3…前置増幅器、 4…A/D変換器、 5…D/A変換器、 6…再生増幅器、 7a…高域通過フィルタ(HPF)、 7b…低域通過フィルタ(LPF)、 8a,8b…電力増幅器、 9aa,9ba…右側スピーカ、 9ab,9bb…左側スピーカ、 9ca…右側イヤホン、 9cb…左側イヤホン、 9caa…右側イヤホン9caの高周波信号音発生部、 9cba…右側イヤホン9caの低周波信号音発生部、 9cab…左側イヤホン9cbの高周波信号音発生部、 9cbb…左側イヤホン9cbの低周波信号音発生部、 10…磁気記録再生装置、 11…磁気記録部、 12…磁気記録ヘッド、 13…磁気テープ、 14…磁気再生ヘッド、 15…磁気再生部、 20,20a…部屋、 30…人間、 31…脳波データ受信記録装置、 32…脳波検出送信装置、 33,34…アンテナ、 41…断層撮影装置、 42…断層撮影用検出装置、 SW1,SW2,SW3…スイッチ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 仁科 エミ 東京都杉並区荻窪2−29−19 (72)発明者 不破本 義孝 千葉県千葉市花見川区幕張町5丁目451 (72)発明者 八木 玲子 神奈川県茅ケ崎市十間坂1−1−15 (72)発明者 森本 雅子 東京都中野区東中野1−35−14−306

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 可聴周波数範囲を超える所定の最大周波
    数までの第1の周波数範囲の周波数を有しかつ10kH
    zを超える第2の周波数範囲においてミクロな時間領域
    で変化する非定常である音を発生し、上記音を人間に対
    して印加することにより人間の脳血流を増大させること
    を特徴とする音発生装置。
  2. 【請求項2】 可聴周波数範囲を超える所定の最大周波
    数までの第1の周波数範囲の周波数を有しかつ10kH
    zを超える第2の周波数範囲においてミクロな時間領域
    で変化する非定常である音を発生し、上記音のうちの上
    記可聴周波数範囲の音を人間の聴覚に対して印加すると
    ともに、上記音のうちの上記可聴周波数範囲を超える周
    波数範囲を有する音を人間に対して印加することにより
    人間の脳血流を増大させることを特徴とする音発生装
    置。
  3. 【請求項3】 上記最大周波数は150kHzであるこ
    とを特徴とする請求項1又は2記載の音発生装置。
  4. 【請求項4】 可聴周波数範囲を超える所定の最大周波
    数までの第1の周波数範囲の周波数を有しかつ10kH
    zを超える第2の周波数範囲においてミクロな時間領域
    で変化する非定常である音を発生する手段を備え、上記
    音を人間に対して印加することにより人間の脳血流を増
    大させることを特徴とする音発生空間。
  5. 【請求項5】 可聴周波数範囲を超える所定の最大周波
    数までの第1の周波数範囲の周波数を有しかつ10kH
    zを超える第2の周波数範囲においてミクロな時間領域
    で変化する非定常である音を発生する手段を備え、上記
    音のうちの上記可聴周波数範囲の音を人間の聴覚に対し
    て印加するとともに、上記音のうちの上記可聴周波数範
    囲を超える周波数範囲を有する音を人間に対して印加す
    ることにより人間の脳血流を増大させることを特徴とす
    る音発生空間。
  6. 【請求項6】 上記最大周波数は150kHzであるこ
    とを特徴とする請求項4又は5記載の音発生空間。
  7. 【請求項7】 可聴周波数範囲を超える所定の最大周波
    数までの第1の周波数範囲の周波数を有しかつ10kH
    zを超える第2の周波数範囲においてミクロな時間領域
    で変化する非定常である音であって、上記音を人間に対
    して印加することにより人間の脳血流を増大させること
    を特徴とする音。
  8. 【請求項8】 上記最大周波数は150kHzであるこ
    とを特徴とする請求項7記載の音。
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