JP3913902B2 - つけ睫毛 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はつけ睫毛に関し、特に光沢を伴って美しい色を有する、または光沢を有すると共に見る角度によって様々な色に見える、意匠性の高いつけ睫毛に関する。
【0002】
【従来の技術】
つけ睫毛は、幹糸の上に人毛やナイロン毛を付けて作った人工睫毛で添付の接着剤を用いて睫毛の生え際沿いに貼りつけるものである。従来からつけ睫毛は、形、長さ、密度の異なる種々のものが市販されているが、色については黒色のものが主流であった。
【0003】
そして、最近つけ睫毛使用者の好みの多様化に応じて、ブルー、グリーン、パープル、ピンク、茶色等の黒色以外の色を着色されたものが求められ、その発売がなされるようになっている。これらのつけ睫毛は睫毛の色のおしゃれを楽しみ、好みのメーキャップを可能とするものである。
これら従来の様々に着色されたつけ睫毛は、漂白された人毛等のつけ睫毛材料を染色して製造されたものであり、何れも単色であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の着色されたつけ睫毛は、上記のように単色である。これに対し、つけ睫毛の使用者の要求は、好みのおしゃれ、メーキャップを実現するため、さらに多様化し、高度化をしている。
すなわち、つけ睫毛は、具備する色は単色であるが優れた光沢を有するもの、及び具備する色が単色ではないもの、特に具備する色が様々に変化するものが求められるに至っている。
【0005】
以上より、具備する色は単色であるが優れた光沢を有するもの、及び具備する色が単色ではないもの、特にそれを見る角度によっていろいろな色に見える光輝感が得られる、意匠的に優れたつけ睫毛を提供することが本発明の課題である。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、以下の手段によって、光沢を有する等の意匠的に優れたつけ睫毛、特に見る角度によりいろいろな色に見えるつけ睫毛が得られることを見出し、本発明に至った。
請求項1記載の発明は、つけ睫毛において、睫毛部分上に金属からなる層又は金属化合物からなる層を設けてなり、該金属化合物からなる層は、厚さが部分的に異なり、最大厚と最小厚の差異が100Å以上であることを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、つけ睫毛において、睫毛部分上に、金属からなる層と、金属化合物からなる層を順次設けてなることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項2記載のつけ睫毛において、前記金属化合物からなる層は厚さが部分的に異なり、最大厚と最小厚の差異100Å以上であることを特徴とする。
【0008】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3の何れか一項記載のつけ睫毛において、前記金属はチタンであり、前記金属化合物は酸化チタンであることを特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項1乃至4の何れか一項記載のつけ睫毛において、前記金属からなるは、さが300Å以上であり、前記金属化合物からなる層は、最大厚400〜5000Åであることを特徴とする。
【0009】
請求項6記載の発明は、請求項1乃至5の何れか一項記載のつけ睫毛において、前記金属化合物からなる層は、スパッタリング処理により形成されたものであることを特徴とする。
請求項1記載の発明によれば、薄膜を設けることにより、つけ睫毛の睫毛部分は、金属からなる層の具備する反射や屈折等の光学的な特性に由来する性質を具備することが可能となる。
【0010】
従って、光沢の具備等、見る者の目に優れた意匠的効果を与えることのできるつけ睫毛を提供することが可能となる。
また、金属化合物からなる層内に層厚の異なる部分が分布しており、見る者の視点を変えることにより、異なる層厚の干渉色が見えることとなり、色がいろいろに変化して見える。更に層厚の差異を100Å以上とすることで干渉色の変化は人の目にも十分認識できる程度のものとなり、その意匠的な効果は十分なものとなる。
従って、つけ睫毛の使用者の求めに合致した、優れた意匠性を具備するつけ睫毛の提供が可能となる。
請求項2記載の発明によれば、可視光の反射率が大きな金属の層と、可視光の屈折率が高く、透明な金属化合物の層を順次積層して設けることが可能となる。
【0011】
よって、つけ睫毛は、金属からなる層表面による反射と金属化合物からなる層との界面での反射とからなる光学的な干渉作用を具備することができ、その結果干渉光を発生させ、光沢と特有の干渉色とを有して、意匠的に優れたつけ睫毛を提供することが可能となる。従って、つけ睫毛の使用者の求めに合致した、優れた意匠性を具備するつけ睫毛の提供が可能となる。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、金属化合物からなる層内に層厚の異なる部分が分布しており、見る者の視点を変えることにより、異なる層厚の干渉色が見えることとなり、色がいろいろに変化して見える。更に層厚の差異を100Å以上とすることで干渉色の変化は人の目にも十分認識できる程度のものとなり、その意匠的な効果は十分なものとなる。
【0013】
従って、つけ睫毛の使用者の求めに合致した、優れた意匠性を具備するつけ睫毛の提供が可能となる。
請求項4記載の発明によれば、金属として可視光の反射率の高いチタンを使用することができ、金属化合物としては可視光の屈折率が高く表面での反射が大きい酸化チタンを使用することが可能となる。
【0014】
従って、つけ睫毛は、それぞれの表面や界面による高水準の反射からなる光学的な干渉作用を具備することができ、干渉光を強く発生させて強い干渉色を有し、また、見る角度によっていろいろな色に見える光輝感が得られる、意匠的に優れたつけ睫毛を提供することが可能となる。更に、金属からなる層及び金属化合物からなる層形成の基本となる金属原料が共通しており、例えばスパッタリング法を選択して金属からなる層及び金属化合物からなる層の形成を行う場合に、同一装置を使用して効率よく両層の形成をする事が可能となる。
【0015】
請求項5記載の発明によれば、金属からなる層の反射特性を十分なものとすることが可能となり、また、金属からなる層と金属化合物からなる層との作用による干渉光の発生効果を十分に得ることが可能となる。更に、金属からなる層及び金属化合物からなる層の各層を設けることによっても、つけ睫毛としての形状的な特徴や多数回に使用に対する信頼性を損なうことはない。
【0016】
従って、つけ睫毛は、それぞれの層による高水準の反射からなる光学的な干渉作用を具備することができ、干渉光を強く発生させて強い干渉色を有し、また見る角度によっていろいろな色に見える光輝感が得られ、更に形状的な特徴と信頼性を損なうことのない、意匠的に優れたつけ睫毛を提供することが可能となる。
請求項6記載の発明によれば、スパッタリング処理はつけ睫毛の睫毛部分の必要な部分に選択的に、所望の厚さ分布を伴って強固に固着する薄膜を容易に形成することができる。
【0017】
よって、睫毛部分の必要な部位にある金属化合物からなる層内に、層厚の異なる部分を分布させることができ、見る者にとっては、その視点を変えることにより、異なる層厚の干渉色が見えることとなり、つけ睫毛の色がいろいろに変化して見える。従って、見る角度によっていろいろな色に見える光輝感が得られ、更に形状的な特徴と信頼性を損なうことのない、意匠的に優れたつけ睫毛を提供することが可能となる。
【0018】
また、金属からなる層と金属化合物からなる層とで基本となる金属原料を共通させ、金属化合物からなる層をその金属の酸化物等の化合物から構成することにより、同一装置を使用して金属からなる層及び金属化合物からなる層の形成を行うことが可能となり、効率の良い両層の形成が可能となる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明者らは上記したように、鋭意検討を重ねた結果、つけ睫毛に可視光を反射させる作用を有する薄膜層を設けることにより、優れた意匠性のつけ睫毛が得られることを見出した。
そして、特に第一層が反射、その上の第二層が表面反射の作用を具備する二層構造からなる薄膜を設けること、すなわち、可視光の反射率の大きい金属をコートした後に、屈折率が大きく実質的に透明な金属化合物層をコートして薄膜を形成することにより、干渉光を発生させ、光沢を有すると共に干渉色による美しい色を持つ睫毛が得られることを見出した。
【0020】
更に、前記第二層中に層厚の分布を形成することにより、見る角度によっていろいろな色に見えるつけ睫毛が得られることを見出した。
本発明は、以上の知見に基づいてなされたもので、つけ睫毛において、睫毛部分上に薄膜コート処理を行なうこと、特に金属から成る第一層と、金属化合物から成る第二層とを順次設けることによって薄膜層を設け、更に該第二層に適当な層厚の分布を持たせることにより、光沢を有した優れた色を具備するつけ睫毛、更に見る角度によっていろいろな色に見えるつけ睫毛を提供するものである。
【0021】
以下、本発明にかかるつけ睫毛について詳述する。
図1は、本発明にかかる第一の実施形態であるつけ睫毛の睫毛部分の構成を説明する横断面図である。図1に示すように、本発明にかかる第一実施形態であるつけ睫毛1は、睫毛部分2に、薄膜層3を設けて成る。
本発明のつけ睫毛を構成する薄膜コート処理をする前のつけ睫毛は、本発明の第一実施形態及び次の第二実施形態及びそれらの変形例の何れにおいても同様のものであり、本発明のために睫毛の形状を具備する人工睫毛を専用に作ってそれを使用してもよいが、通常市販されている従来のつけ睫毛をそのまま使用することも可能である。
【0022】
その材質については、特に従来のつけ睫毛を用いる場合、人毛が一般的であるが、ポリエステル、ナイロン、塩化ビニル、フロロカーボン等の合成品でも良い。
薄膜層3は、チタン、銀、金、鉄、アルミニウム、コバルト、ニッケル、ジルコニウム、バナジウム、マンガン、タングステン、亜鉛、スズ、マグネシウム、ケイ素及びステンレス等の金属、又は酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化ビスマス、酸化タングステン、酸化セリウム、酸化鉄、酸化ニッケル酸化コバルト、酸化サマリウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化スズ、酸化ケイ素及び二酸化ケイ素等の金属酸化物、窒化アルミニウム、窒化ケイ素(Si3 4 )及び窒化ホウ素(BN)等の窒化物、炭化ケイ素(SiC)等の炭化物、フッ化マグネシウム(MgF2 )及びフッ化ランタン(LaF3 )等のフッ化物等の金属化合物からなる。
【0023】
薄膜層3が上記の金属からなる場合、つけ睫毛の睫毛部分は細い銀色の針金のような形態となり、特有の金属光沢を有して、優れた意匠性を具備することができる。
そして、これらの金属化合物を薄膜層3としてつけ睫毛の睫毛部分にコートして固着させる方法であるが、金属化合物をコートする処理方法であればいかなる方法でも使用可能である。この場合、睫毛部分とコートされる薄膜層3との間の接着強度が高いこと、及び薄膜層3のコート処理時における温度上昇が上記材質のつけ睫毛1の睫毛部分2を変形させたり、傷めたりして、その特性を低下させることが無い程度のものであることが必要となる。
【0024】
その場合、例えば、PVDであっても、CVDであっても良く、睫毛部分2の表面上で、上記金属からなる光反射膜として薄膜層3を形成できれば良い。すなわち、ゾル−ゲル法を利用した金属薄膜の形成方法や、鏡製品の製造に利用される銀鏡反応を含む化学メッキ法でも良い。
このとき、図1に示されるような睫毛部分2の全表面に第一層を設けたものではなく、意匠的な効果等を考慮し、本発明にかかる第一の実施形態であるつけ睫毛の変形例として、未形成の部分を一部残して第一層の形成を行い、金属色と共に黒色などの薄膜コート処理をする前のつけ睫毛1の地の色の部分が共存したつけ睫毛を得ることも可能である。
【0025】
そのような場合には、ゾル−ゲル法を利用した形成方法や、化学メッキ法は、通常は、睫毛部分の全表面に第一層を形成してしまうことになり、好ましくない。かかる場合は、例えば上記のPVD又はCVDを利用した金属薄膜の形成方法の使用が好ましい。
PVD処理法には、例えば、蒸着法、ガス中蒸発法、スパッタリング法及びイオンプレーティング法等が含まれる。
【0026】
蒸着法には、例えば、化学蒸着法、同時蒸着法、フラッシュ蒸着法、単純蒸着法及び分子線蒸着法等が含まれる。
スパッタリング法には、例えばDCスパッタリング法、RFスパッタリング法、イオンビームスパッタリング法、マグネトロンスパッタリング法及びSガン法等が含まれる。
【0027】
尚、金属から成る薄膜層3の厚さは、特に規定されないが、適当な光の反射を得るために300Å以上が好ましく、反射膜としての性能をより十分なものとするためには1000Å程度が特に望ましい。例えば、5000Å以上などあまり厚くしても反射性能の向上効果がなく、製造コストの上昇もあって好ましくない。また、その厚さが300Åを下回ると薄すぎて反射膜として特性が十分で無くなってしまう。
【0028】
また、薄膜層3が上記の金属酸化物、窒化物、炭化物及びフッ化物等の金属化合物からなる場合、それらは薄膜層3の状態で実質的に透明であり、特にコート処理前の睫毛の材料として黒色の人毛等の材料を使用すれば、入射する光を屈折させて、黒色の睫毛部分2上に微妙ではあるが目に見える程度の干渉による特有の色を発生させ、つけ睫毛1に優れた意匠性を付与することができる。
【0029】
上記の金属化合物の中では、屈折率が高く、薄膜層3を形成した場合に表面での光反射が大きいものが光沢感があるため好ましく、かかる観点から特に酸化チタンが好ましい。
この金属化合物からなる薄膜層3を睫毛部分2にコートする方法としては、上記の金属化合物をコート可能な処理方法であればいかなる方法でも使用可能である。この場合、睫毛部分2とコートされる薄膜層3との間の接着強度が高いこと、及び薄膜層3のコート処理時における温度上昇が上記材質のつけ睫毛1の睫毛部分2を変形させたり、傷めたりして、その特性を低下させることが無い程度のものであることが必要となる。
【0030】
具体的には、例えば、薄膜層3が金属からなる場合と同様のPVDであっても、CVDであっても良く、睫毛部分2の表面上で、上記金属化合物からなる薄膜層3を形成できれば良い。すなわち、薄膜層3が金属からなる場合と同様のゾル−ゲル法を利用した形成方法や、化学メッキ法でも良い。尚、PVDの一つであるイオンプレーティング法は、金属酸化物の膜を形成するのには適さない。
【0031】
このとき、図1に示されるように睫毛部分2の全表面に薄膜層3を設けたものではなく、意匠的な効果等を考慮し、本発明にかかる第一実施形態であるつけ睫毛の別の変形例として、図2の横断面図に示されるようなもの、すなわち、つけ睫毛1aの睫毛部分2a上に未形成部分5を一部残して金属化合物からなる薄膜層3aの形成を行い、黒色などの薄膜コート処理をする前のつけ睫毛の地の色の部分を残したものを得ることも可能である。
【0032】
そのような場合には、以下に説明するように、更に薄膜層3aの層厚が部分的に異なるようにすることが好ましく、そのためには、上記のゾル−ゲル法を利用した形成方法や、化学メッキ法は、通常は、睫毛部分2aの全表面に薄膜層3aを形成してしまうことになり、好ましくない。かかる場合は、例えば上記のPVDを利用した金属化合物薄膜の形成方法が適し、例えば、蒸着法、ガス中蒸発法、スパッタリング法及びイオンプレーティング法等が使用可能である。
【0033】
蒸着法には、例えば、化学蒸着法、同時蒸着法、フラッシュ蒸着法、単純蒸着法及び分子線蒸着法等が含まれる。
スパッタリング法には、例えばDCスパッタリング法、RFスパッタリング法、イオンビームスパッタリング法、マグネトロンスパッタリング法及びSガン法等が含まれる。
【0034】
つけ睫毛形成における薄膜層3aの固着強度、信頼性を考慮すると、蒸着法よりもスパッタリング法を利用することが好ましい。
スパッタリング法を利用した、金属化合物からなり層厚が部分的に異なる薄膜層3aの形成方法を説明する。
薄膜層3aのコート処理には、つけ睫毛1aを固定して、一方向からコート処理することが好ましい。一方向から処理することにより、睫毛部分2a上に積層される薄膜層3aの層厚は、スパッタの垂直方向で最も厚く、垂直方向から角度が傾くにつれて薄膜層3aの厚さは薄くなる。すなわち、薄膜層3aは層厚が部分的に異なることになる。
【0035】
その結果、角度を変えて見ることにより、黒色などの薄膜コート処理をする前のつけ睫毛の地の色の上で、異なる厚さの干渉色を見ることになり、発色程度は弱いが、目で確認できる程度に色がいろいろに変化して見える。このとき層厚は発現する色に影響し、スパッタの垂直方向の最大厚で400〜5000Å程度が好ましい。また、膜厚の差異の程度は色の変化に影響し、色の変化が目で見て分かるように、最大厚と最小厚の差が100Å以上であることが望ましい。
【0036】
尚、特に一方向から行なう処理方法によらず、例えばコート処理される睫毛部分2aを適当に回転させる等して多方向から処理を行なっても、薄膜層3aが、最大厚と最小厚の差が100Å以上となるように層厚分布を有して構成されるような方法であるならば、上記と同様の干渉色の変化効果がつけ睫毛で得られ、使用可能である。その場合、薄膜層3aの未形成部分を睫毛部分2a上に残さず、睫毛部分2a上の全面に100Å以上の層厚分布をもって薄膜層3aを形成してもよい。
【0037】
他のPVD処理法についても同様の理由より、一方向からコート処理すること、または上記と同様の層厚の分布をもって構成されるような方法に従い、睫毛部分2a上に薄膜層3aを形成することが好ましい。
尚、スパッタリング法等のPVD処理法において、一方向からコート処理をしようとする場合、それぞれの処理装置のサンプル台にコート処理される前のつけ睫毛を固定する必要があるが、処理前のつけ睫毛は通常はサンプル台の装着面に平行に装着する。つけ睫毛の幹糸に接着剤を付けて固定すれば十分である。このとき、既にカールしている状態のつけ睫毛をそのカールしたままの状態でサンプル台に装着し、コート処理をすると、睫毛部分の根元と先端部分の薄膜層の層厚が変化し、干渉色が異なって得られるようになり、更にユニークな意匠性を有する別の変形例にかかるつけ睫毛が得られる。
【0038】
次に、上記処理法によって形成される薄膜層3,3aの層の厚さの効果について説明する。
干渉させる薄膜層3,3aの厚さは、つけ睫毛が金色に見えることを求める場合は約900Å、赤色は約1100Å、紫色は約1300Å、青色は約1500Å、緑色は約1700Åとすることが望ましい。更に層厚を厚くしても繰り返し色が発現し、再び緑色に見える層厚は約2400Åである。層厚をさらに厚くしていっても干渉色は生じうるが、発色は段々と劣っていく。
【0039】
また、スパッタリング法等を利用して、図2に示すように一方向から薄膜層3aを積層し、スパッタ等の処理手段の垂直方向の厚さを1700Åとした場合、これを睫毛部分2aの正面である処理手段の側から観察すると、つけ睫毛1aの睫毛部分2aの円弧の頂点6(睫毛部分の中心付近)は緑色に見える。そして観察位置を正面から左右に徐々に傾けると、睫毛部分2aは、緑色から青色、紫色、赤色及び黄色と順次色が変化して見える。すなわち、見る角度によって非常に広い範囲の多様な色に見える。
【0040】
また、つけ睫毛を斜め方向から見た場合、並んで配置されている睫毛部分の一本一本は見える角度が異なるために色のグラデーションとして観察される。
尚、得られた薄膜層3,3aを更に保護してその強度を高めるためには、薄膜層3の上から更にクリアラッカー等の透明な保護材を設けることも可能である。次に、図3は、本発明にかかる第二の実施形態であるつけ睫毛の睫毛部分の構成を説明する横断面図である。図3に示すように、本発明にかかる第二実施形態であるつけ睫毛11は、睫毛部分12に、金属から成る第一層13と、金属化合物から成る第二層14とを順次設けてなる。
【0041】
第一層13はその表面で光の、特に可視光の反射をさせることが目的である。第一層13を構成する金属としては、上記の本発明にかかる第一実施形態であるつけ睫毛1の薄膜層3を構成する金属と同様の金属が使用可能である。これらの金属に中で、チタンが第一層13を構成する場合に高い可視光の反射作用を有して特に好ましい。
【0042】
そして、これらの金属を第一層13としてつけ睫毛11の睫毛部分12にコートして固着させる方法であるが、上記の本発明にかかる第一実施形態であるつけ睫毛1の金属からなる薄膜層3をコート処理する場合と同様に、金属をコートする処理方法であれば、いかなる方法でも使用可能である。この場合、睫毛部分12とコートされる第一層13との間の接着強度が高いこと、及び第一層13のコート処理時における温度上昇が上記材質のつけ睫毛11の睫毛部分12を変形させたり、傷めたりして、その特性を低下させることが無い程度のものであることが必要となる。
【0043】
その場合、例えば、上記の本発明にかかる第一実施形態であるつけ睫毛1の金属からなる薄膜層3をコート処理する場合と同様のPVDであっても、CVDであっても良く、睫毛部分の表面上で、上記金属からなる反射膜を形成できれば良い。すなわち、ゾル−ゲル法を利用した金属薄膜の形成方法や、鏡製品の製造に利用される銀鏡反応を含む化学メッキ法でも良い。
【0044】
このとき、図3に示されるような睫毛部分の全表面に第一層を設けたものではなく、意匠的な効果等を考慮し、本発明にかかる第二の実施形態であるつけ睫毛の変形例として、図4の横断面図に示されるように未形成の部分15を一部残して第一層13a及び第二層14aの形成を行い、黒色などの薄膜コート処理をする前のつけ睫毛の地の色の部分を残したものを得ることも可能である。
【0045】
そのような場合には、ゾル−ゲル法を利用した金属薄膜の形成方法や、鏡製品の製造に利用される銀鏡反応を含む化学メッキ法は、通常は、睫毛部分の全表面に第一層を形成してしまうことになり、好ましくない。かかる場合は、例えば上記のPVD又はCVDを利用した金属薄膜の形成方法の使用が好ましい。
尚、反射層である金属から成る第一層13の厚さは、特に規定されないが、適当な光の反射を得るために300Å以上が好ましく、反射膜としての性能をより十分なものとするためには1000Å程度が望ましい。例えば、5000Å以上などあまり厚くしても反射性能を考慮する場合効果がなく、製造コストの上昇もあって好ましくない。また、その厚さが300Åを下回ると薄すぎて反射膜として特性が十分で無くなってしまう。
【0046】
次に、第二層14は干渉光を作るための膜であり、金属化合物からなり、第一層13上に形成された場合に実質的に透明である。
第二層14を構成する金属化合物としては、上記の本発明にかかる第一実施形態であるつけ睫毛1の薄膜層3を構成する金属化合物と同様の金属酸化物、窒化物、炭化物及びフッ化物等の金属化合物が使用可能である。
【0047】
これらの金属化合物の中で、屈折率が高く、第二層14を形成した場合に表面での光反射が大きいものが干渉光を強く発生させるため好ましく、かかる観点から特に酸化チタンが好ましい。
この金属化合物からなる第二層14を睫毛部分12にコートする方法としては、上記の金属化合物をコート可能な処理方法であればいかなる方法でも使用可能である。この場合、睫毛部分12上の第一層13とその上にコートされる第二層14との間の接着強度が高いこと、及び第二層14のコート処理時における温度上昇が上記材質のつけ睫毛11の睫毛部分12を変形させたり、傷めたりして、その特性を低下させることが無い程度のものであることが必要となる。
【0048】
具体的には、例えば、金属からなる第一層の場合と同様のPVDであっても、CVDであっても良く、睫毛部分12の上の第一層13の表面上で、上記金属化合物からなる第二層14を形成できれば良い。すなわち、金属からなる第一層13の場合と同様のゾル−ゲル法を利用した形成方法や、化学メッキ法でも良い。尚、PVDの一つであるイオンプレーティング法は、金属酸化物の膜を形成するのには適さない。
【0049】
得られた金属化合物膜である第二層14は強固なものであるが、更に保護してその強度を高めるためには、第二層14の上から更にクリアラッカー等の透明な保護材を設けることも可能である。
このとき、意匠的な効果を考慮し、本発明にかかる第二の実施形態であるつけ睫毛の変形例として、図3に示されるように睫毛部分12の上の第一層13の全表面に第二層14を設けたものではなく、図4の横断面図に示されるようなつけ睫毛11aの睫毛部分12a上に未形成部分15を一部残して第一層13a上に金属化合物からなる第二層14aの形成を行い、黒色などの薄膜コート処理をする前のつけ睫毛の地の色の部分を残したものを得ることも可能である。
【0050】
また、本発明にかかる第二の実施形態であるつけ睫毛の別の変形例として、図5の横断面図に示されるようなつけ睫毛11bの睫毛部分12b上の全面にコート処理された第一層13bの上に、未形成部分17を一部残して金属化合物からなる第二層14bの形成を行い、第一層13bの有する金属表面を一部そのまま残したものを得ることも可能である。
【0051】
これらのような場合には、以下に説明するように、更に第二層14a,14bの層厚が部分的に異なるようにすることが好ましく、そのためには、上記のゾル−ゲル法を利用した形成方法や、化学メッキ法は、通常は、睫毛部分12aの上の第一層13a,13bの全表面に第二層を形成してしまうことになり、好ましくない。かかる場合は、例えば上記のPVDを利用した金属化合物薄膜の形成方法が適し、例えば、蒸着法、ガス中蒸発法、スパッタリング法及びイオンプレーティング法等が使用可能である。尚、イオンプレーティング法は、金属酸化物の膜を形成するのには適さない。
【0052】
蒸着法には、例えば、化学蒸着法、同時蒸着法、フラッシュ蒸着法、単純蒸着法及び分子線蒸着法等が含まれる。
スパッタリング法には、例えばDCスパッタリング法、RFスパッタリング法、イオンビームスパッタリング法、マグネトロンスパッタリング法及びSガン法等が含まれる。
【0053】
つけ睫毛形成における第二層14a,14bの固着強度、信頼性を考慮すると、蒸着法よりもスパッタリング法を利用することが好ましい。
得られた金属化合物膜である第二層14a,14bは強固なものであるが、更に保護してその強度を高めるためには、第二層の上から更にクリアラッカー等の透明な保護材を設けることも可能である。
【0054】
さらに、スパッタリング法を利用した第二層14a,14bの形成方法を説明する。
第二層14a,14bのコート処理には、第一層13a,13bが既にコート処理されたつけ睫毛11a,11bを固定して、一方向からコート処理することが好ましい。一方向から処理することにより、睫毛部分12a,12bの第一層13a,13b上に積層される第二層14a,14bの層厚は、スパッタの垂直方向で最も厚く、垂直方向から角度が傾くにつれて第二層14a,14bの厚さは薄くなる。
【0055】
その結果、角度を変えて見ることにより、異なる厚さの干渉色を見ることになり、色がいろいろに変化して見える。その時、第二実施形態の変形例であるつけ睫毛11aでは、一部が黒色等の使用する睫毛部分12aの色であり、第二実施形態の別の変形例であるつけ睫毛11bでは、一部が金属からなる第一層13bの色であり、それぞれ異なって優れた意匠性を有する。
【0056】
また、このとき第二層14a,14bの層厚は発現する色に影響し、スパッタの垂直方向の最大厚で400〜5000Å程度が好ましい。そして、膜厚の差異の程度は色の変化に影響し、色の変化が目で見て分かるように、最大厚と最小厚の差が100Å以上であることが望ましい。
尚、特に一方向から行なう処理方法によらず、例えばコート処理される睫毛部分2aを適当に回転させる等して多方向から処理を行なっても、第二層14a,14bが、最大厚と最小厚の差が100Å以上となるように層厚分布を有して構成されるような方法であるならば、上記と同様の干渉色の変化効果がつけ睫毛で得られ、使用可能である。その場合、第二層14a,14bの未形成部分を残さず、睫毛部分12a上の全面に100Å以上の層厚分布をもって形成してもよい。
【0057】
これに対して、前述したとおり、化学メッキ法等の化学的処理法では、均一に第二層が形成されてしまうため、このような色の変化は小さい。
他のPVD処理法についても同様の理由より、一方向から処理すること、または上記と同様の層厚の分布をもって構成されるような方法に従い、睫毛部分の第一層上に第二層をコートすることが好ましい。
【0058】
尚、スパッタリング法等のPVD処理法において、一方向からコート処理をしようとする場合、それぞれの処理装置のサンプル台に第一層の既に設けられたコート処理される前のつけ睫毛を固定する必要があるが、処理前のつけ睫毛は通常はサンプル台の装着面に平行に装着する。つけ睫毛の幹糸に接着剤を付けて固定すれば十分である。このとき、既にカールしている状態のつけ睫毛をそのカールしたままの状態でサンプル台に装着し、コート処理をすると、睫毛部分の根元と先端部分の第二層の層厚が変化し、干渉色が異なって得られるようになり、更にユニークな意匠性を有する更に別の変形例であるつけ睫毛が得られる。
【0059】
また、スパッタリング法を利用して、本発明にかかる第二実施形態及びその変形例である、睫毛部分上に、金属から成る第一層13,13a,13bと、金属化合物から成る第二層14,14a,14bとを順次設けてなるつけ睫毛1,11a,11b製造しようとする場合、例えば、チタン金属をターゲットとして使用して第一層13,13a,13bを形成した後に、スパッタリング装置内に酸素を送り込んで同様に若しくは処理されるつけ睫毛を適当に回転させる等してスパッタコート処理を行なうならば、チタン金属と酸素が反応して酸化チタンになり、酸化チタンからなる第二層14,14a,14bがチタンからなる第一層13,13a,13b上に形成される。
【0060】
この場合、金属ターゲットを交換しなくても良いのでコート処理は効率的である。また、第一層13,13a,13bのコート処理の後から送り込むガスを上記酸素の代わりに窒素やアセチレンとすることにより、窒化物や炭化物からなる第二層14,14a,14bを第一層13,13a,13b上に形成することができる。
【0061】
そして更に、スパッタリング処理方法を使用するターゲットを交換できる機構にすることにより、第二層を構成する金属化合物を、第一層を構成する金属と異なる金属元素からなるものとすることできる。例えば、第一層を構成する金属をアルミニウムとし、第二層を構成する金属化合物を酸化チタンとすることが可能であり、アルミニウム膜の有する高い光反射効果を利用して、より明るい色に発色することが可能となる。
【0062】
次に、上記処理法によって形成される第二層14,14a,14bの層の厚さの効果について説明する。
干渉させる第二層14,14a,14bの厚さは、つけ睫毛11,11a,11bが金色に見えることを求める場合は約900Å、赤色は約1100Å、紫色は約1300Å、青色は約1500Å、緑色は約1700Åとすることが望ましい。更に層厚を厚くしても繰り返し色が発現し、再び緑色に見える層厚は約2400Åである。層厚をさらに厚くしていっても干渉色は生じうるが、発色は段々と劣っていく。
【0063】
スパッタリング法等を利用して一方向から第二層14a,14bを積層し、スパッタ等の処理手段の垂直方向の厚さを1700Åとした場合、これを睫毛部分12a,12bの正面である処理手段の側から観察すると、つけ睫毛の睫毛部分の円弧の頂点16,18(睫毛部分の中心付近)は緑色に見える。そして観察位置を正面から左右に徐々に傾けると、睫毛部分12a,12bは、緑色から青色、紫色、赤色及び黄色と順次色が変化して見える。すなわち、見る角度によって非常に広い範囲の多様な色に見える。
【0064】
以上より、本発明にかかる実施形態であるつけ睫毛は、光沢を有した美しい色、若しくは光沢を有してつけ睫毛の部位によりさまざまな色が見えるいわゆるレインボーカラーを有して意匠的に優れ、また機械的な耐久性に優れ、更に染料等の着色料を利用しないため光による褪色の懸念もない。
次に本発明を実施例を挙げてさらに詳細に説明する。
【0065】
【実施例】
(実施例1)
以下に説明するように、つけ睫毛であって、睫毛部分上に、チタンから成る第一層と、酸化チタンから成る第二層とを順次設けてなる、図4に示されるものと同様の構造のつけ睫毛を製造した。
【0066】
先ず、市販の人毛製のつけ睫毛をスライドガラスに貼り付け、イオンビームスパッタ装置(日新電気株式会社製)でアルゴンガスを用いて、6×10-3Paの圧力条件下で、チタンを1000Å堆積し、第一層を成膜した。
次に、酸素ガスを全圧力1.1×10-2Paになるまで導入し、酸化チタン膜をスライドガラスが緑色になるまで約2000Åの厚さに堆積し、第二層を成膜した。
【0067】
製造されたつけ睫毛をまぶたに使用すると、緑、ブルー、紫、金色に見える部位があり、見る角度を変えることによりそれらの色は変化した。
また、つけ睫毛の光沢は、上記第一及び第二層の成膜処理によりつけ睫毛自体のそれより向上していた。
本実施例にかかるつけ睫毛を、睫毛をカールするためのビューラーで100回挟んでその機械的な耐久性を調べた。その結果、第一層及び第二層の何れの層においても全く剥離は生ぜず、機械的な耐久性に問題はなかった。
【0068】
(実施例2)
酸素ガスの代わりに窒素ガスを使用した以外は上記第一実施例と同様の方法により、チタンからなる第一層と、窒化チタンからなる第二層を順次設けてなる、図4に示されるものと同様の構造のつけ睫毛を製造した。
このとき、第一層の厚さは700Åであり、第二層の厚さは約2000Åであった。
【0069】
本実施例にかかるつけ睫毛は、第一実施例にかかるつけ睫毛と同様の見栄えと機械的耐久性を有していた。
(実施例3)
以下に説明するように、つけ睫毛であって、睫毛部分上に、ステンレスから成る第一層と、酸化亜鉛から成る第二層とを順次設けてなる、図4に示されるものと同様の構造のつけ睫毛を製造した。
【0070】
先ず、市販の人毛製のつけ睫毛をスライドガラスに貼り付け、イオンビームスパッタ装置(日新電気株式会社製)でアルゴンガスを用いて、6×10-3Paの圧力条件下で、ステンレスを800Å堆積し、第一層を成膜した。
次に、ターゲットを亜鉛に変え、酸素ガスを全圧力1.1×10-2Paになるまで導入し、酸化亜鉛膜をスライドガラスが緑色になるまで約2000Åの厚さに堆積し、第二層を成膜した。
【0071】
製造されたつけ睫毛をまぶたに使用すると、緑、ブルー、紫、金色に見える部位があり、見る角度を変えることによりそれらの色は変化した。
また、つけ睫毛の光沢は、上記第一及び第二層の成膜処理によりつけ睫毛自体のそれより向上していた。
本実施例にかかるつけ睫毛を、睫毛をカールするためのビューラーで100回挟んでその機械的な耐久性を調べた。その結果、第一層及び第二層の何れの層においても全く剥離は生ぜず、機械的な耐久性に問題はなかった。
【0072】
(実施例4)
以下に説明するように、つけ睫毛であって、睫毛部分上に、蒸着法により堆積されたアルミニウムから成る第一層と、スパッタリング法による酸化チタンから成る第二層とを順次設けてなる、図4に示されるものと同様の構造のつけ睫毛を製造した。
【0073】
先ず、市販の人毛製のつけ睫毛をスライドガラスに貼り付け、通常の蒸着法に従い、アルミニウムを1000Å堆積し、第一層を成膜した。
次に、イオンビームスパッタ装置(日新電気株式会社製)を用い、ターゲットをチタンとし、酸素ガスを全圧力1.1×10-2Paになるまで導入し、酸化チタン膜をスライドガラスが緑色になるまで約2000Åの厚さに堆積し、第二層を成膜した。
【0074】
製造されたつけ睫毛をまぶたに使用すると、緑、ブルー、紫、金色に見える部位があり、見る角度を変えることによりそれらの色は変化した。また第一層を構成するアルミニウムの効果により発色はより明るいものであった。
また、つけ睫毛の光沢は、上記第一及び第二層の成膜処理によりつけ睫毛自体のそれより向上しており、非常に優れていた。
【0075】
本実施例にかかるつけ睫毛を、睫毛をカールするためのビューラーで100回挟んでその機械的な耐久性を調べた。その結果、第一層及び第二層の何れの層においても全く剥離は生ぜず、機械的な耐久性に問題はなかった。
(実施例5)
以下に説明するように、つけ睫毛であって、睫毛部分上に、アルミニウムから成る第一層と、酸化アルミニウムから成る第二層とを何れも蒸着法により順次設けてなる、図4に示されるものと同様の構造のつけ睫毛を製造した。
【0076】
先ず、市販の人毛製のつけ睫毛をスライドガラスに貼り付け、アルゴンガスを用いて、通常の蒸着法に従い、アルミニウムを800Å堆積し、第一層を成膜した。
次に、酸素ガスを導入し、酸化アルミニウム膜をスライドガラスが緑色になるまで約2000Åの厚さに堆積し、第二層を成膜した。
【0077】
製造されたつけ睫毛をまぶたに使用すると、緑、ブルー、紫、金色に見える部位があり、見る角度を変えることによりそれらの色は変化した。また第一層を構成するアルミニウムの効果により発色はより明るいものであった。
また、つけ睫毛の光沢は、上記第一及び第二層の成膜処理によりつけ睫毛自体のそれより向上しており、非常に優れていた。
【0078】
本実施例にかかるつけ睫毛を、睫毛をカールするためのビューラーで100回挟んでその機械的な耐久性を調べた。その結果、第一層及び第二層の何れの層においても全く剥離は生ぜず、機械的な耐久性に問題はなかった。
(実施例6)
以下に説明するように、つけ睫毛であって、睫毛部分上に、アルミニウムから成る第一層と、酸化チタンから成る第二層とを何れも蒸着法により順次設けてなる、図4に示されるものと同様の構造のつけ睫毛を製造した。
【0079】
先ず、市販の人毛製のつけ睫毛をスライドガラスに貼り付け、アルゴンガスを用いて、通常の蒸着法に従い、アルミニウムを800Å堆積し、第一層を成膜した。
次に、使用する金属をアルミニウムからチタンに変え、このチタンを使用して酸素ガスを導入し、酸化チタン膜をスライドガラスが緑色になるまで約2000Åの厚さに堆積し、第二層を成膜した。
【0080】
製造されたつけ睫毛をまぶたに使用すると、緑、ブルー、紫、金色に見える部位があり、見る角度を変えることによりそれらの色は変化した。また第一層を構成するアルミニウムの効果により発色はより明るいものであった。
また、つけ睫毛の光沢は、上記第一及び第二層の成膜処理によりつけ睫毛自体のそれより向上しており、非常に優れていた。
【0081】
本実施例にかかるつけ睫毛を、睫毛をカールするためのビューラーで100回挟んでその機械的な耐久性を調べた。その結果、第一層及び第二層の何れの層においても全く剥離は生ぜず、機械的な耐久性に問題はなかった。
【0082】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、光沢の具備等、見る者の目に優れた意匠的効果を与えることのできるつけ睫毛を提供することが可能となる。
また、異なる層厚の干渉色が見えることとなり、色がいろいろに変化して見える。更に干渉色の変化は人の目にも十分認識できる程度のものとなり、その意匠的な効果は十分なものとなる。
従って、つけ睫毛の使用者の求めに合致した、優れた意匠性を具備するつけ睫毛の提供が可能となる。
請求項2記載の発明によれば、光沢と特有の干渉色とを有して、意匠的に優れたつけ睫毛を提供することが可能となる。
【0083】
従って、つけ睫毛の使用者の求めに合致した、優れた意匠性を具備するつけ睫毛の提供が可能となる。
請求項3記載の発明によれば、異なる層厚の干渉色が見えることとなり、色がいろいろに変化して見える。更に干渉色の変化は人の目にも十分認識できる程度のものとなり、その意匠的な効果は十分なものとなる。
【0084】
従って、つけ睫毛の使用者の求めに合致した、優れた意匠性を具備するつけ睫毛の提供が可能となる。
請求項4記載の発明によれば、干渉光を強く発生させて強い干渉色を有し、また、見る角度によっていろいろな色に見える光輝感が得られる、意匠的に優れたつけ睫毛を提供することが可能となる。
【0085】
更に、例えばスパッタリング法を選択して金属からなる層及び金属化合物からなる層の形成を行う場合に、同一装置を使用して効率よく両層の形成をする事が可能となる。
請求項5記載の発明によれば、干渉光を強く発生させて強い干渉色を有し、また見る角度によっていろいろな色に見える光輝感が得られ、更に形状的な特徴と信頼性を損なうことのない、意匠的に優れたつけ睫毛を提供することが可能となる。
【0086】
請求項6記載の発明によれば、睫毛部分の必要な部位にある金属化合物からなる層内に、層厚の異なる部分を分布させることができ、見る者にとっては、その視点を変えることにより、異なる層厚の干渉色が見えることとなり、つけ睫毛の色がいろいろに変化して見える。従って、見る角度によっていろいろな色に見える光輝感が得られ、更に形状的な特徴と信頼性を損なうことのない、意匠的に優れたつけ睫毛を提供することが可能となる。
【0087】
また、同一装置を使用して金属からなる層及び金属化合物からなる層の形成を行うことが可能となり、効率の良い両層の形成が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる第一の実施形態であるつけ睫毛の睫毛部分の構成を説明する横断面図である。
【図2】本発明にかかる第一実施形態であるつけ睫毛の別の変形例の睫毛部分の構成を説明する横断面図である。
【図3】本発明にかかる第二の実施形態であるつけ睫毛の睫毛部分の構成を説明する横断面図である。
【図4】本発明にかかる第二の実施形態であるつけ睫毛の変形例の睫毛部分の構成を説明する横断面図である。
【図5】本発明にかかる第二の実施形態であるつけ睫毛の別の変形例の睫毛部分の構成を説明する横断面図である。
【符号の説明】
1,1a,11,11a,11b つけ睫毛
2,2a,12,12a,12b 睫毛部分
3,3a 薄膜層
5,15,17 未形成部分
6,16,18 頂点
13,13a,13b 第一層
14,14a,14b 第二層

Claims (6)

  1. 睫毛部分上に金属からなる層又は金属化合物からなる層を設けてなり、
    該金属化合物からなる層は、厚さが部分的に異なり、最大厚と最小厚の差異が100Å以上であることを特徴とするつけ睫毛。
  2. 睫毛部分上に、金属からなる層と、金属化合物からなる層を順次設けてなることを特徴とするつけ睫毛。
  3. 前記金属化合物からなる層は厚さが部分的に異なり、最大厚と最小厚の差異100Å以上であることを特徴とする請求項2記載のつけ睫毛。
  4. 前記金属はチタンであり、
    前記金属化合物は酸化チタンであることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項記載のつけ睫毛。
  5. 前記金属からなるは、さが300Å以上であり、
    前記金属化合物からなる層は、最大厚400〜5000Åであることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項記載のつけ睫毛。
  6. 前記金属化合物からなる層は、スパッタリング処理により形成されたものであることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項記載のつけ睫毛。
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