JP3913606B2 - パイルウェザーストリップ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば建築用のアルミサッシにおいて、障子と窓枠との間の隙間を塞ぎ、雨風の流れを遮断して気密性及び水密性を向上させるためのパイルウェザーストリップに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、上記のようなパイルウェザーストリップとしては、帯状をなす合成樹脂製の基材と、同基材の長手方向へ延びるように基材上に起毛された一対のパイル列と、両パイル列の間で基材上に立設されたフィルムとを備えるものが挙げられる。前記パイル列は、基材の表面に合成繊維製の複数本のパイル糸を溶着、接着等の方法で植毛するか、もしくはパイル織物を作製し、同パイル織物の裏面に合成樹脂を溶着する等の方法で形成されている。フィルムは、塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン等といった合成樹脂製より形成され、基材の表面に溶着、接着等の方法で接合されている。
【0003】
上記のパイルウェザーストリップはその基材を介して障子又は窓枠に取着され、この状態でパイル列を形成するパイル糸及びフィルムの先端が窓枠又は障子に接触されることにより、障子と窓枠との間の隙間が塞がれる。そして、この隙間を介した風の流れ、雨水の浸入等をパイル列及びフィルムで遮断することにより、アルミサッシの気密性及び水密性の向上が図られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来のパイルウェザーストリップにおいては、フィルムの窓枠又は障子に対する摺動抵抗が大きく、障子の開閉がしにくくなったり、開閉時に擦過音が発生するという問題があった。このため、障子と窓枠との間の隙間を塞ぐものとして不織布を設けたパイルウェザーストリップが考案された。しかし、同パイルウェザーストリップにおいては、不織布がフィルムと比較して空気を通しやすいため所望の気密性を満たせず、さらには耐摩耗性で劣るという問題があった。
【0005】
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、良好な気密性、水密性及び耐摩耗性を維持しつつ、相手部材に対する移動部材の相対移動を擦過音の発生を抑えながら円滑に行うことができるパイルウェザーストリップを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載のパイルウェザーストリップの発明は、帯状をなす基材と、同基材の長手方向へ延びるように基材上に起毛された複数のパイル列と、同パイル列の間で基材上に立設された流体遮断膜とを備え、相手部材と同相手部材に対して相対移動される移動部材との間に介装されてパイル列及び流体遮断膜を相手部材又は移動部材に接触させることにより、移動部材と相手部材との間の隙間を塞ぎ、同隙間を介した流体の流れを遮断するためのパイルウェザーストリップであって、前記流体遮断膜を、不織布の少なくとも一面側に合成樹脂製のフィルムを設けて形成するとともに、前記不織布の表面にエンボス加工が施されていることを特徴とするものである。
【0007】
請求項2に記載のパイルウェザーストリップの発明は、請求項1に記載の発明において、前記不織布の表面の1〜40%の面積にエンボス加工が施されていることを特徴とするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のパイルウェザーストリップを移動部材及び相手部材の一種である建築用のアルミサッシに取付けた一実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0010】
まず、アルミサッシについて説明する。
図3及び図4に示すように、当該アルミサッシは、アルミニウムによって断面凹状に形成された相手部材としての窓枠11と、同窓枠11の内側に収容された移動部材としての障子12とから構成されている。当該障子12は、四角枠状をなすアルミニウム製の框13と、同框13の内側に嵌め込まれた窓ガラス14とから形成されている。
【0011】
前記窓枠11の内周底面にはレール15が突設されている。このレール15と対応する位置となるように、框13の外周面にはガイド溝16が外方へ開口するように凹設されている。図示してはいないが、框13の上面及び下面に設けられたガイド溝16の内底部にはローラがそれぞれ取付けられている。障子12は、框13の下面及び上面に設けられたガイド溝16に窓枠11の下部及び上部に設けられたレール15が入り込むようにして窓枠11の内側に収容される。そして、レール15上でローラを転動させることにより、障子12は窓枠11に対して相対移動され、開閉される。また、窓枠11の側部に設けられたレール15は、障子12を閉塞したときに框13の側面に設けられたガイド溝16に入り込む。
【0012】
上記のアルミサッシにおいて、窓枠11の内面と框13の外面との間には隙間17が形成されている。この隙間17を塞ぐように、パイルウェザーストリップ30が取付けられている。すなわち、前記障子12において、框13の外側面の周縁部にはパイルウェザーストリップ30を取着するための取着凹条18が障子の厚み方向に開口し、かつ框13の各側縁に沿って延びるように形成されている。パイルウェザーストリップ30は当該取着凹条18内に嵌合され、この状態でパイル列32及び流体遮断膜33の先端部を窓枠11の内面に接触させている。そして、パイルウェザーストリップ30のパイル列32及び流体遮断膜33によって隙間17が塞がれ、この隙間17を介した空気、雨水等の流体の流れが遮断される。
【0013】
次に、パイルウェザーストリップ30の構成について説明する。
図1(a),(b)に示すように、パイルウェザーストリップ30は、帯状をなす基材31と、同基材31上で基材31の長手方向へ延びるように起毛された一対のパイル列32と、両パイル列32の間で基材31上に立設された流体遮断膜33とから形成されている。この基材31は、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂等の合成樹脂で形成されている。また、同基材31上には所定の間隔をおいて一対のガイド突条31aがその長手方向へ互いに平行に延びるように突設されている。
【0014】
前記パイル列32は、基材31に用いた合成樹脂と同系の合成繊維よりなる複数本のパイル糸32aから形成されている。そして、同パイル糸32aをU字状に曲げ、その曲げ部分を両ガイド突条31aの間で基材31に接合することにより、パイル糸32aの両側部分で一対のパイル列32が構成される。また、基材31へのパイル糸32aの接合方法としては、接着剤、超音波等を使用した接着、加熱による溶着等が挙げられ、所望に応じて適宜選択される。なかでも、超音波接着は、接合時において、基材31及びパイル糸32aを強固に接合することができるとともに、接合箇所以外の形状の変化を抑えることができることから好ましい。
【0015】
図2(a)〜(c)に示すように、流体遮断膜33は、合成繊維製の不織布よりなる不織布層34と、当該不織布の一面側に設けられた合成樹脂製のフィルムよりなるフィルム層35とを備える一枚のシート材で形成されている。そして、同シート材を断面J字状をなすように曲げた状態で前記パイル糸32aの内側に配設し、その曲げ部分をパイル糸32aとともに基材31に超音波接着で接合することにより、流体遮断膜33がパイル糸32aで両側方から支持された状態で基材31上に立設されている。このため、流体遮断膜33で使用される合成繊維及び合成樹脂には基材31及びパイル糸32aで使用したものと同系のものを使用することが好ましい。なかでも、ナイロン等のポリアミド系樹脂及びポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂は、防水性及び耐摩耗性に優れ、加工性が良好なことから流体遮断膜33の材料としてより好ましい。
【0016】
前記不織布層34にはスパンボンド法、ニードルパンチ法、スパンレース法、レジンボンド法、メルトボンド法等の製法で得られた不織布が使用される。スパンボンド法とは繊維を配列して形成されたウェブを対向配置された一対のローラ間で熱圧着して不織布を製造する方法である。ニードルパンチ法とはウェブに多数の針を突き刺し、繊維同士を絡ませることにより不織布を製造する方法である。スパンレース法とはウェブに高圧の水流をあて、繊維同士を絡ませることにより不織布を製造する方法である。レジンボンド法とはウェブに接着剤を塗布し、繊維同士を接着することによって不織布を製造する方法である。メルトボンド法とは低融点繊維を混ぜてウェブを形成し、同ウェブを加熱して低融点繊維を溶融させることにより、繊維同士を溶着して不織布を製造する方法である。この実施形態ではスパンボンド法で得られた不織布が使用されている。これは、スパンボンド法によればウェブを一対のローラ間で熱圧着して不織布を製造することから、得られる不織布を薄くすることが可能となるためである。
【0017】
不織布層34の一面側にフィルム層35を形成する方法としては、次の3通りの方法が挙げられる。すなわち、(1)不織布の一面側を加熱溶融させることによってフィルム状とする方法、(2)不織布に合成樹脂製のフィルムを貼り付ける方法、(3)不織布に液状のコーティング剤を塗布してこれを硬化させる方法である。そして、不織布層34に使用される不織布の製法、仕様、取付箇所等に応じて(1)〜(3)の方法のうち、少なくとも1つの方法で不織布層34にフィルム層35が積層される。また、(2)に示す方法の場合、フィルムを貼り付ける方法としては、接着剤、超音波、粘着テープ等を使用した接着、加熱による溶着等が挙げられ、いずれの方法を選択してもよい。(3)に示す方法の場合、コーティング剤としては、合成樹脂製のエマルジョン、エラストマー、ラテックス等が挙げられ、いずれを選択してもよい。さらに、当該コーティング剤の合成樹脂には、不織布で使用された合成繊維と同系のものを使用することがより好ましい。
【0018】
この実施形態では(3)に示した方法で不織布層34にフィルム層35が積層されている。これは、不織布層34及びフィルム層35を備える流体遮断膜33を簡易に製造することができるためである。また、(1)〜(3)に示した方法で製造された流体遮断膜33は、窓枠11への摺接時において、不織布層34及びフィルム層35が互いに剥離しにくいため、耐摩耗性の向上が図られている。そして、流体遮断膜33は、不織布層34が外面側、フィルム層35が内面側に配置されるように曲げることにより、不織布層34側で基材31に接合されている。これは、不織布層34が基材31と同系の材料で形成されることから、コーティング剤で形成されるフィルム層35よりも、基材31に強固に接合されるためである。
【0019】
さらに、流体遮断膜33には不織布層34の表面にエンボス加工が施されており、同表面には複数の菱形状をなす凹部36が形成されている。このエンボス加工とは、合成樹脂製のシート材の表面に凹凸状の模様を形成する加工法である。同エンボス加工では、その周面に凹凸状の模様が彫刻された円柱状をなすエンボスローラと、同エンボスローラに対向して配置された円柱状をなすフラットローラとを備えるエンボス加工装置が使用される。そして、当該エンボス加工装置において、加熱軟化されたシート材をエンボスローラ及びフラットローラの間に送り込み、シート材を両ローラ間で加圧することにより、シート材の表面にはエンボスローラの模様に対応した形状をなす模様が刻設される。
【0020】
この実施形態ではスパンボンド法による不織布の製造時において、ウェブを熱圧着する工程でエンボス加工が施される。そして、不織布層34の表面にエンボス加工が施されることにより、不織布層34の表面で繊維の毛羽立ちが抑えられ、かつ窓枠11への摺接面積が低減されており、不織布層34の耐摩耗性の向上と摺動抵抗の軽減が図られている。また、不織布を形成する繊維の毛羽立ちを抑えるには、不織布を長繊維を使用して形成することが好ましい。長繊維を使用した場合、短繊維を使用することと比較して、不織布の表面における繊維の毛羽立ちを抑えることが可能であり、繊維の抜け、切れ落ち等を抑制し、耐摩耗性の向上を図ることができる。
【0021】
上記のようにしてエンボス加工を施す場合、エンボス加工を施す面積は、好ましくは不織布層34の表面の1〜40%である。表面の1%未満とした場合、不織布層34の繊維の毛羽立ちを十分に抑えることができず、耐摩耗性の向上と摺動抵抗の軽減を図ることができなくなるおそれがある。表面の40%より広くエンボス加工を施した場合、不織布層34が硬化してしまい、擦過音の抑制を図ることができなくなるおそれがある。
【0022】
流体遮断膜33の厚みは、好ましくは0.05〜0.4mmである。厚みが0.05mm未満の場合、良好な気密性、水密性及び耐摩耗性を維持することができなくなるおそれがある。厚みが0.4mmを越えると摺動抵抗が大きくなり、障子12の開閉を円滑に行うことができなくなるとともに、擦過音の抑制を図ることができなくなるおそれがある。
【0023】
流体遮断膜33のうち、不織布層34の厚みは、好ましくは0.05〜0.3mmである。厚みが0.05mm未満の場合、所望とする耐摩耗性を維持することができなくなるおそれがある。厚みが0.3mmを越えると摺動抵抗が大きくなり、障子12の開閉を円滑に行うことができなくなるおそれがある。
【0024】
フィルム層35の厚みは、好ましくは流体遮断膜33の厚みの30%以下であり、より好ましくは1〜30%である。具体的にフィルム層35の厚みは、好ましくは0.01〜0.1mmである。フィルム層35の厚みを流体遮断膜33の厚みの1%未満又は0.01mm未満とした場合、良好な気密性、水密性及び耐摩耗性を維持することができなくなるおそれがある。30%より厚い又は0.1mmより厚くした場合、摺動抵抗の軽減と擦過音の抑制を図ることができなくなるおそれがある。
【0025】
また、流体遮断膜33としては、耐候性を有するものが好ましい。流体遮断膜33に耐候性を付与する方法としては、不織布又はフィルムを製造する工程で合成繊維に耐候剤を練り込む方法と、耐候剤を含む加工液を流体遮断膜33に塗布し、流体遮断膜33を被覆する方法とが挙げられる。使用される耐候剤としては、ヒンダードアミン系光安定剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤等が挙げられる。
【0026】
さて、図3及び図4に示したように、上記のパイルウェザーストリップ30は、障子12の框13に形成された取着凹条18に嵌合されて使用される。この状態で同パイルウェザーストリップ30は、取着凹条18の開口から外方へ突出したパイル列32及び流体遮断膜33の先端を窓枠11の内面に接触させる。そして、これらパイル列32及び流体遮断膜33によって窓枠11の内面と框13の外面との間の隙間17が塞がれ、この隙間17を介した空気、雨水等の流体の流れが遮断されることにより、気密性及び水密性が良好に維持される。また、障子12の開閉は、窓枠11にパイル列32及び流体遮断膜33を接触させたまま行われ、同開閉時においても、気密性及び水密性は良好に維持される。
【0027】
前記の実施形態によって発揮される効果について、以下に記載する。
・ 実施形態のパイルウェザーストリップ30は、基材31と、同基材31上で起毛された一対のパイル列32と、両パイル列32の間で基材31上に立設された流体遮断膜33とから形成されている。この流体遮断膜33は、不織布よりなる不織布層34と、不織布層34の一面側に設けられたフィルムよりなるフィルム層35とを備える一枚のシート材から形成されており、フィルムが備える気密性、水密性及び耐摩耗性と、不織布が備える柔軟性とを兼ね備えている。つまり、流体遮断膜33を摺接させながら窓枠11に対して障子12を開閉させるとき、不織布層34の柔軟性によって流体遮断膜33の窓枠11へのあたりが軟らかくなり、擦過音の発生が抑えられ、摺動抵抗が軽減される。また、気密性及び水密性はフィルム層35により維持されるとともに、同フィルム層35が不織布層34を補強することにより、耐摩耗性を維持することができる。従って、パイルウェザーストリップ30を使用することにより、良好な気密性、水密性及び耐摩耗性を維持しつつ、窓枠11に対する障子12の相対移動を擦過音の発生を抑えながら円滑に行うことができる。
【0028】
・ また、流体遮断膜33には不織布層34の表面にエンボス加工が施されており、不織布層34はその表面における毛羽立ちが抑えられている。このため、窓枠11への摺接時において、不織布層34の表面での抜け毛、毛切れ等の発生を抑えることができる。従って、流体遮断膜33の耐摩耗性の向上を図ることができる。
【0029】
・ また、エンボス加工は、不織布層34の表面の1〜40%の面積に施されている。このため、エンボス加工が過少に施されて抜け毛、毛切れ等が発生したり、エンボス加工が過多に施されて不織布層34がフィルム状となり、硬化してしまったり等することを防止することができる。従って、耐摩耗性をより良好に維持しつつ、擦過音の発生を確実に抑えることができる。
【0030】
なお、本実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 図5(b)に示すように、基材31及びパイル列32をパイル織物で構成してもよい。すなわち、基材31は合成繊維製の織物で形成され、パイル列32は、織物である基材31に複数本のパイル糸32aが織り込まれることによって基材31上に起毛される。そして、流体遮断膜33は、断面J字状をなすように曲げた状態でその曲げ部分を、接着剤による接着、加熱溶融による熱溶着、超音波接着等の方法で基材31に接合することにより、基材31上に立設されている。このように、基材31及びパイル列32をパイル織物で構成した場合には、基材31の柔軟性が高まるため、例えば曲面状をなすサッシ等にもパイルウェザーストリップ30を隙間なく取り付けることが可能となる。さらには、パイル糸32aが基材31の繊維に絡むように織り込まれるため、パイル糸32aの抜け落ちを抑制することもできる。加えて、パイル糸32aを織り込む密度を容易に調整することが可能であり、シール性の向上又は摺動抵抗の軽減を簡易に図ることができる。また、パイル糸32aの抜け落ちをさらに効果的に抑制する必要があれば、図5(b)に示したように、基材31の裏面に前に挙げたようなコーティング剤を塗布することによってコーティング層31bを形成してもよい。そして、コーティング層31bを形成した場合には、織物である基材31の繊維の隙間に含浸されたコーティング剤により、パイル糸32aの根本部分を基材31に接合することができるとともに、基材31のほつれも防止することができる。
【0031】
・ 実施形態では流体遮断膜33を断面J字状としたが、これに限らず、例えば図5(a)に示すように断面V字状としてもよい。その他にも断面U字状、L字状等としてもよい。
【0032】
・ 実施形態では不織布層34及びフィルム層35をそれぞれ1層ずつとしたが、これに限らず、例えば1層のフィルム層35を2層の不織布層34で挟み込む等して複数層設けてもよい。あるいは、1層の不織布層34を2層のフィルム層35で挟み込む等して複数層設けてもよい。
【0033】
・ エンボス加工で形成される凹部36は、エンボスローラに彫刻された模様を変更することにより、その形状を変更することが可能である。従って、凹部36は菱形状に限らず、円形状、三角形状、長方形状、織目状、線状等としてもよい。また、凹部36は、障子12の開閉方向に延びる形状とすることにより、摺動抵抗のさらなる軽減を図ることができるため、より好ましい。
【0034】
・ 不織布層34の表面に必ずしもエンボス加工を施す必要はなく、不織布層34にエンボス加工を施さずに流体遮断膜33を形成してもよい。あるいは、不織布層34のみならず、フィルム層35の表面にもエンボス加工を施したり、さらにはフィルム層35の表面のみにエンボス加工を施してもよい。このように、フィルム層35の表面にエンボス加工を施す場合、フィルム層35の表面に形成された凹部により、フィルム層35の窓枠11への摺接面積が低減されるため、摺動抵抗の軽減を図ることができる。
【0035】
・ 例えば、不織布層34にエンボス加工を施すときに合成繊維が溶融するまでフラットローラで加熱することにより、エンボス加工を施す工程でフィルム層35を形成してもよい。他にも、スパンボンド法で不織布を製造するとき、不織布にエンボス加工を施すとともに、このエンボス加工を施すときにフィルム層35を形成してもよい。つまり、不織布を製造する工程でエンボス加工を施し、かつフィルム層35を形成してもよい。
【0036】
・ 図1(a),(b)に示したように、実施形態では基材31の表面からのパイル列32の高さと、流体遮断膜33の高さとはほぼ同じとなっているが、流体遮断膜33の高さは特に限定されず、所望に応じて適宜変更してもよい。つまり、流体遮断膜33の高さは、パイル列32の高さより、高くしてもよいし、また低くしてもよい。例えば、パイル列32及び流体遮断膜33が接触される部材の表面が平坦状でなく、パイル列32が十分に接触できない箇所が発生するのであれば、流体遮断膜33が確実に接触された状態となるようにその高さをパイル列32よりも高くすることが好ましい。あるいは、隙間が狭く、流体遮断膜33が強い力で接触されてしまうようであれば、接触力を弱め、擦過音を軽減させるため、その高さをパイル列32よりも低くすることが好ましい。
【0037】
・ 実施形態では基材31上にパイル列32を2列、流体遮断膜33を1列の合計3列設けたが、これに限らず、例えばパイル列32を4列、流体遮断膜33を2列の合計6列設けたり等してもよい。
【0038】
・ 実施形態では障子12側にパイルウェザーストリップ30を取付けたが、窓枠11側にパイルウェザーストリップ30を取付け、パイル列32及び流体遮断膜33が障子12にその先端を接触させるように構成してもよい。また、アルミサッシ以外に、例えば車両の窓、箪笥、食器棚等の家具、枠等において隙間を塞ぐように設けてもよい。その他にも、公衆電話機のテレホンカード挿入口、自動販売機の紙幣挿入口等で隙間を塞ぐように設けてもよい。
【0039】
さらに、前記実施形態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
(1) 前記流体遮断膜の厚みが0.05〜0.4mmであり、前記フィルムの厚みが流体遮断膜の厚みの30%以下であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のパイルウェザーストリップ。このように構成した場合、気密性、水密性及び耐摩耗性をより良好に維持しつつ、擦過音の発生を確実に抑えることができる。
【0040】
(2) 前記流体遮断膜は、不織布を外面側、フィルムを内面側に配置した状態でJ字状又はV字状に曲げ、その曲げ部分を基材に接合することによって基材上に立設されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のパイルウェザーストリップ。このように構成した場合、流体遮断膜を基材に強固に接合することができる。
【0041】
(3) 前記不織布は、繊維を配列して形成されたウェブを対向配置された一対のローラ間で熱圧着して不織布を製造するスパンボンド法で形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のパイルウェザーストリップ。このように構成した場合、不織布を薄くすることができる。
【0042】
(4) 前記不織布は、ウェブを一対のローラ間で熱圧着するときにその表面にエンボス加工が施されることを特徴とする(3)に記載のパイルウェザーストリップ。このように構成した場合、製造時の不織布にエンボス加工を施すことができる。
【0043】
(5) 前記エンボス加工が施される工程において、エンボス加工が施される表面と反対側の面となる不織布の裏面を熱溶融させることにより、同不織布の裏面を合成樹脂製のフィルムとしたことを特徴とする(4)に記載のパイルウェザーストリップ。このように構成した場合、不織布の製造時にフィルムを積層することができるとともに、不織布層及びフィルム層が互いに剥離することを抑制することができる。
【0044】
(6) 前記フィルムを、シート状をなす不織布の少なくとも一面側に合成樹脂よりなる液状のコーティング剤を塗布してこれを硬化させるか、又は不織布の一面側のみを熱溶融させて硬化させることにより、形成したことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のパイルウェザーストリップ。このように構成した場合、不織布及びフィルムが互いに剥離しにくく、流体遮断膜の耐摩耗性を向上させることができる。
【0045】
(7) 前記基材とパイル列とをパイル織物で構成したことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のパイルウェザーストリップ。このように構成した場合、基材からのパイル列の抜け落ちを抑制することができる。
【0046】
(8) 前記パイル列は、合成繊維製のパイル糸をU字状に曲げ、同パイル糸の曲げ部分を基材に接合することによって基材上に起毛されとともに、前記流体遮断膜は、U字状に曲げられたパイル糸の内側に配設されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のパイルウェザーストリップ。このように構成した場合、基材に流体遮断膜とパイル糸とを一度に接合することができる。
【0047】
【発明の効果】
以上詳述したように、この発明によれば、次のような効果を奏する。
請求項1に記載の発明によれば、良好な気密性、水密性及び耐摩耗性を維持しつつ、相手部材に対する移動部材の相対移動を擦過音の発生を抑えながら円滑に行うことができ、流体遮断膜の耐摩耗性の向上を図ることができる。
【0048】
請求項2に記載の発明によれば、耐摩耗性の向上を図りつつ、擦過音の発生を確実に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)は実施形態のパイルウェザーストリップを示す斜視図、(b)はその断面図。
【図2】 (a)は流体遮断膜の背面図、(b)はその正面図、(c)はその断面図。
【図3】 アルミサッシを示す一部を破断した斜視図。
【図4】 パイルウェザーストリップを取付けた状態を示す断面図。
【図5】 (a)は別形態のパイルウェザーストリップを示す断面図、(b)は別形態のパイルウェザーストリップを示す断面図。
【符号の説明】
11…相手部材としての窓枠、12…移動部材としての障子、17…隙間、30…パイルウェザーストリップ、31…基材、32…パイル列、33…流体遮断膜、34…不織布から形成される不織布層、35…フィルムから形成されるフィルム層、36…エンボス加工により形成される凹部。
Claims (2)
- 帯状をなす基材と、同基材の長手方向へ延びるように基材上に起毛された複数のパイル列と、同パイル列の間で基材上に立設された流体遮断膜とを備え、相手部材と同相手部材に対して相対移動される移動部材との間に介装されてパイル列及び流体遮断膜を相手部材又は移動部材に接触させることにより、移動部材と相手部材との間の隙間を塞ぎ、同隙間を介した流体の流れを遮断するためのパイルウェザーストリップであって、
前記流体遮断膜を、不織布の少なくとも一面側に合成樹脂製のフィルムを設けて形成するとともに、前記不織布の表面にエンボス加工が施されていることを特徴とするパイルウェザーストリップ。 - 前記不織布の表面の1〜40%の面積にエンボス加工が施されていることを特徴とする請求項1に記載のパイルウェザーストリップ。
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