JP3913236B2 - 循環流動炉、及びその運転方法 - Google Patents
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Description
一般的な流動床炉の構成につき図6を参照して説明する。図6は循環流動炉50を示す図であって、ライザ53の底部には流動媒体が充填されており、ライザ下部の一次空気導入口59より導入される一次空気により流動媒体が流動化した流動層52が形成されている。この流動層52に投入された汚泥等の被処理物は、流動媒体と混合流動しながら乾燥、燃焼し、未燃分と流動媒体を含む燃焼排ガスが二次空気の導入によりフリーボード51へ導かれ、ここで未燃分が燃焼される。この後、燃焼排ガスはサイクロン55にて流動媒体が捕集され、ダウンカマー56、シールポット57、流動媒体戻し管58を経てライザ53に返送される。
従来より用いられている脱硫処理は、湿式法、半乾式法及び乾式法とに大別される。湿式法は排ガス経路に脱硫塔を設け、この脱硫塔にてアルカリスラリー及びアルカリ溶液等の吸収剤を排ガスに噴霧して硫黄酸化物を除去する方法であり、高効率な脱硫が可能な一方で設備コストや処理コストが高い。
一方、代表的な乾式法の一つとして、石灰石や消石灰等の脱硫材を炉内に投入して、下記反応式(1)、(2)により硫黄酸化物を除去する方法がある。
CaCO3 → CaO+CO2 …(1)
CaO+SO2+0.5O2 → CaSO4 …(2)
また、特許文献2(特開2002−130641号公報)には、硫黄酸化物を含む有害ガスを低減可能である廃棄物焼却炉が開示されている。図6に示すように、圧力計60によりフリーボード51の懸濁密度を監視し、一次空気、二次空気及び外部循環域で導入される循環用空気の3種の空気吹き込みバランスにより、懸濁密度を4〜16kg/m3にコントロールするとともに、石灰石を汚泥とともにライザ51内に供給して炉内脱硫を行なっている。これは、前記吹き込みバランスに維持することにより炉内温度の均一化が図れ、安定した高温燃焼が達成できるものである。
2Cr2O3+4CaO+3O2 → 4CaCrO4 …(3)
従って、本発明は上記従来技術の問題点に鑑み、脱硫材の投入量を抑えることができ、安価でかつ脱硫効率が高い循環流動炉、及びその運転方法を提供することを目的とする。
被処理物を炉内循環する流動媒体と混合し、脱硫材の存在下で燃焼させるライザを備え、燃焼により発生した硫黄酸化物を前記脱硫材により除去する循環流動炉の運転方法において、
ライザ下部より導入する一次空気流量を制御して一次空塔速度を1.4m/s〜6.0m/sの範囲内とするとともに、流動媒体循環量を制御して炉内差圧を3.5kPa〜20kPaの範囲内とし、ライザ下部の流動媒体の流動を活発化させて脱硫を促進することを要旨とする。
このように、一次空塔速度及び炉内差圧を上記範囲内に設定することにより、ライザ下部の流動状態が活発化され、脱硫材と硫黄酸化物含有ガスとの固気接触が良好となり、脱硫反応が促進される。従って、脱硫材の投入量を減少することができ、ランニングコストを低減することができるとともに、6価クロム等の有害ガスの発生を抑制することができる。
図4によれば、一次空塔速度が1.4m/s以上の時に脱硫率が増加することが判る。また不図示の試験結果より一次空塔速度が6m/s以上で脱硫率は殆ど変化を示さなかった。さらに、未燃分燃焼のためにライザ内滞留時間4秒以上を確保しようとすると、空塔速度6m/s以上では炉高が24m以上必要となり、景観、コスト面で支障をきたしてしまう。
従って、一次空塔速度を上記範囲内とすることにより脱硫率の向上が達成できる。このとき一次空塔速度増加により炉出口の排ガス中に含有されるCO、NOx濃度を測定したところ、これらの濃度は大きく変化しなかったことから、他の排ガス性状を悪化させることはないことが判った。
また、図5に示されるように、炉内差圧を増加することにより脱硫率が大幅に増加することが判る。炉内差圧は、ライザ床部と頂部との圧力差であり、ライザ内を循環・浮遊している流動媒体量、つまり懸濁密度を表す。炉内差圧ΔPと懸濁密度ρの関係は以下の通りである。
ΔP(mmAq)= ρ(kg/m3)×h(m)
このとき、hは炉高である。
炉内差圧の増加、即ち懸濁密度の増加により、脱硫材の運動・分散が促進し、脱硫材と硫黄酸化物含有ガスとの固気接触が強まるため、脱硫率が大幅に上昇するものと考えられる。さらに、図から明らかなように、炉内差圧が3.5kPa以上の時に脱硫率が増加し、また不図示の試験結果より炉内差圧が20kPa以上で脱硫率は殆ど変化を示さず、さらに懸濁密度が大きくなるとブロアの電力消費量が増加し、ランニングコストが増加するため、炉内差圧を3.5kPa〜20kPaの範囲内とすることが好適であることが判る。
燃焼排ガス中に含有される硫黄酸化物濃度を検出し、該検出された硫黄酸化物濃度が排出基準値以上である場合に一次空気流量を制御して一次空塔速度を増加する第1のステップと、流動媒体循環量を制御して炉内差圧を増加する第2のステップと、を有し、
前記硫黄酸化物濃度が排出基準値以下となるまで前記第1及び第2のステップを段階的に順次行なうことを特徴とする。
また、流動媒体循環量を制御して炉内差圧を増加させることにより、炉下部の懸濁密度が上昇するため、流動媒体の激しい流動に促され、脱硫材の流動も活発化し、その結果、脱硫反応を促進させることができる。また、流動媒体の追加投入は、脱硫材追加投入よりも低コストで脱硫率を上げることができる。
燃焼排ガス中の硫黄酸化物濃度に基づき、前記第1のステップ及び前記第2のステップを順次段階的に行なうことにより排ガス中の硫黄酸化物濃度を確実に排出基準値以下まで抑制することができ、かつ安定した運転が可能となる。
一般に、循環流動炉の通常運転時には脱硫材を被処理物に混合してライザ内に導入している。これは、被処理物に混入せずにライザの途中から炉内へ投入すると粒径の小さい脱硫材は炉下部に取り込まれることなく飛散してしまい、脱流効果を発揮できないためである。しかし、被処理物投入口に同時に脱硫材を入れると、脱硫材が炉内に導入されるのに時間がかかってしまう。
従って、上記したようにライザに設けた脱硫材投入口よりライザ内に脱硫材を直接投入することにより、早い応答が期待できることとなる。
このように、前記第3のステップにより脱硫材を直接投入することにより、該脱硫材と硫黄酸化物含有ガスとの接触効率が向上し、脱硫率を上げることができる。
ライザ下部より導入する一次空気流量を制御する第1の制御手段と、流動媒体循環量を制御して炉内差圧を調整する第2の制御手段と、を設け、
前記第1の制御手段により一次空塔速度を1.4m/s〜6.0m/sの範囲内とするとともに、前記第2の制御手段により炉内差圧を3.5kPa〜20kPaの範囲内に調整するコントローラを設け、ライザ下部の流動媒体の流動を活発化させて脱硫を促進することを特徴とする。
燃焼排ガス中に含有される硫黄酸化物濃度を検出する検出手段を設け、
該検出された硫黄酸化物濃度が排出基準値以上である場合に、ライザ下部より導入する一次空気流量を制御して一次空塔速度を増加する第1の制御手段と、流動媒体循環量を制御して炉内差圧を増加する第2の制御手段と、を前記検出手段の検出値に基づき段階的に順次作動させるコントローラを設けたことを特徴とする。
さらに、前記第1の制御手段及び前記第2の制御手段の作動後に硫黄酸化物濃度が排出基準値以下とならない場合に、前記ライザに設けた脱硫材投入口より該ライザ内に前記脱硫材を直接投入する第3の制御手段を設けたことを特徴とする。
さらにまた、前記ライザの下部に、下方に縮径する絞り部を設けたことを特徴とし、これによりライザ下部の空塔速度を上昇させることができ、前記脱硫材の流動を活発化させ、より一層の脱硫効率の向上が達成できる。
また、一次空塔速度及び炉内差圧の制御によっても硫黄酸化物濃度が排出基準値以下とならない場合には、脱硫材を炉内に直接投入することにより、硫黄酸化物含有ガスと脱硫材とが固気接触し易く、効率の良い脱硫を行なうことができる。
さらに、燃焼排ガス中の硫黄酸化物濃度に基づき、一次空塔速度、炉内差圧及び脱硫材の直接投入を順次段階的に行なうことにより排ガス中の硫黄酸化物濃度を確実に排出基準値以下まで抑制することができ、かつ安定した運転が可能となる。
図1において循環流動炉10は、炉底に充填された砂等の流動媒体が流動化している流動層とその上部に位置するフリーボードからなるライザ11と、該ライザ11の上部から排ガス管を介して接続され、フリーボードから吹き上げられた流動媒体を捕集するとともに、流動媒体を分離した排ガスを排出口12より外部へ排出するようにしたサイクロン13と、流動媒体を返送するダウンカマー14と、炉内未燃ガスのサイクロン13への吹き抜けを防止するシールポット15と、シールポット15の流動媒体を流動層内へ返送する流動媒体戻し管16と、を主要構成とする。
さらに前記二次空気導入口21の上方には被処理物投入口が設けられ、被処理物投入ホッパ23にて受け入れた被処理物が、供給フィーダ22により適宜量ずつ炉内に投入されるようになっている。同様に、ライザ11には脱硫材投入口、及び流動媒体投入口が設けられ、脱硫材ホッパ25から脱硫材フィーダ24を介して脱硫材を、流動媒体ホッパ27から流動媒体フィーダ26を介して流動媒体を、夫々炉内に投入する構成となっている。予め設定された量の脱硫材を前記被処理物投入ホッパ23に投入するようにし、炉内に投入前の被処理物に脱硫材を混合した後にこれらを同時に炉内に投入し、脱硫を行ないながら燃焼処理するようになっている。
本実施例における第1の制御手段は、一次空塔速度を制御する手段である。これは、前記コントローラ30で検出されたSOx濃度に基づき、前記一次空気流量調整弁34を開閉制御することにより、前記ライザ11の底部から導入する一次空気空塔導入量を調整し、一次空塔速度を制御する。前記一次空塔速度は1.4m/s〜6.0m/sの範囲内とする。これにより、ライザ底部の流動媒体の流動が活発化し、被処理物の燃焼により発生した硫黄酸化物含有ガスと、脱硫材との固気接触が促進され、脱硫反応が進み脱硫効率が向上する。
第3の制御手段は脱硫材の炉内への直接投入である。これは、前記コントローラ30で検出されたSOx濃度に基づき、前記脱硫材フィーダ24を制御して所定量の脱硫材を炉内に直接投入するようにする。本実施例において、前記脱硫材には例えば、石灰石(CaCO3)や消石灰(Ca(OH)2)等のCa系固体脱硫材を用いることが好適である。
また、本実施例において、前記ライザ11の下部を、下方に向けて縮径するテーパ形状とすることが好ましく、これによりライザ下部の空塔速度を増加させることができ、より一層流動媒体の流動化が活発化され、脱硫率の向上が可能となる。
さらに、前記脱硫材の粒径を、前記流動媒体の粒径と略同径とすると良く、これにより前記サイクロン13にて脱硫材が流動媒体とともに捕集され、炉内を循環するため、脱硫材の追加投入量を減少することができる。好適には、前記脱硫材の粒径を、流動媒体の粒径の±100μm以下とすると良い。
図2において、循環流動炉10の被処理物投入ホッパ23から供給フィーダ23を介してライザ11内に被処理物を投入し(S1)、循環流動炉の運転を開始する。このとき、前記被処理物に脱硫材を混入し、同時に炉内に投入すると良い。
そして、通常運転を行いながら(S2)、前記SOx分析計33にて排ガス中のSOx濃度を検出し(S3)、前記コントローラ30によりこの濃度が排出基準値以上か否かを判定し(S4)、基準値以上である場合には該コントローラ30により前記一次空気流量調整弁34を開閉制御して一次空塔速度を増加する(S5)。このとき、前記一次空塔速度の上限値は、未燃分を含む排ガスの炉内滞留時間によって設定すると良い。
さらに、SOxの検出を行い、SOx濃度が排出基準値以上であるか否かを判定し(S6)、基準値以上である場合には前記コントローラ30により流動媒体フィーダ24を制御して流動媒体の追加投入を行ない、前記圧力計31、32で検出される炉内圧力から導出される炉内差圧を増加する(S7)。このとき、前記炉内差圧の上限値は、ブロア動力費により設定される。
このように、第1の制御手段、第2の制御手段及び第3の制御手段を段階的に順次行なうことにより、排ガス中のSOx濃度を確実に排出基準値以下まで抑制することができ、かつ安定した運転が可能となる。
また、前記第1の制御手段により、所定閾値まで一次空塔速度を増加した後、前記第2の制御手段を作動して所定閾値まで炉内差圧を増加し、さらに前記第1の制御手段により前記所定閾値から増加上限値まで一次空塔速度を増加する、などのように、SOx濃度を監視しながら交互に行なうようにしても良い。
このように前記第1の制御手段及び前記第2の制御手段に夫々閾値を設けて運転制御することにより、炉内状態の急激な変化を回避することができ、安定した燃焼処理を行なうことが可能となる。
11 ライザ
13 サイクロン
20 一次空気導入口
22 被処理物供給フィーダ
24 脱硫材フィーダ
26 流動媒体フィーダ
30 コントローラ
31、32 圧力計
33 SOx分析計
34 一次空気流量調整弁
35 二次空気流量調整弁
Claims (6)
- 被処理物を炉内循環する流動媒体と混合し、脱硫材の存在下で燃焼させるライザを備え、燃焼により発生した硫黄酸化物を前記脱硫材により除去する循環流動炉の運転方法において、
燃焼排ガス中に含有される硫黄酸化物濃度を検出し、該検出された硫黄酸化物濃度が排出基準値以上である場合に一次空気流量を制御して一次空塔速度を増加する第1のステップと、流動媒体循環量を制御して炉内差圧を増加する第2のステップと、を有し、
前記硫黄酸化物濃度が排出基準値以下となるまで前記第1及び第2のステップを段階的に順次行なうことを特徴とする循環流動炉の運転方法。 - 前記第1のステップ及び前記第2のステップにより硫黄酸化物濃度が排出基準値以下とならない場合に、前記ライザに設けた脱硫材投入口より該ライザ内に前記脱硫材を直接投入する第3のステップを設けたことを特徴とする請求項1記載の循環流動炉の運転方法。
- 被処理物を炉内循環する流動媒体と混合して燃焼するライザと、該ライザ内に脱硫材を投入して脱硫を行なう脱硫手段と、を備えた循環流動炉において、
燃焼排ガス中に含有される硫黄酸化物濃度を検出する検出手段を設け、
該検出された硫黄酸化物濃度が排出基準値以上である場合に、ライザ下部より導入する一次空気流量を制御して一次空塔速度を増加する第1の制御手段と、流動媒体循環量を制御して炉内差圧を増加する第2の制御手段と、を前記検出手段の検出値に基づき段階的に順次作動させるコントローラを設けたことを特徴とする循環流動炉。 - 前記第1の制御手段及び前記第2の制御手段の作動後に硫黄酸化物濃度が排出基準値以下とならない場合に、前記ライザに設けた脱硫材投入口より該ライザ内に前記脱硫材を直接投入する第3の制御手段を設けたことを特徴とする請求項3記載の循環流動炉。
- 前記脱硫材の粒径を前記流動媒体の粒径と略同径としたことを特徴とする請求項3記載の循環流動炉。
- 前記ライザの下部に、下方に縮径する絞り部を設けたことを特徴とする請求項3記載の循環流動炉。
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