JP3911859B2 - 電子写真装置用無端ベルトおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真装置に使用される無端ベルトおよびその製造方法に関する。更に詳しくは、蛇行防止用のリブを有し、安定走行可能であると共に耐久性に優れた電子写真装置用の無端ベルトおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真式画像形成方法は、即時に高品質の画像が得られることから、近年では、複写機やプリンター等において広く利用されている。そして、その中核となる感光体として、性状がフレキシブルで装置内での配設の自由度が大きい等の理由から無端ベルト状電子写真感光体が広く使用されている。
無端ベルト状感光体20は、合成樹脂フィルム上に、金属層を積層し、その上に電荷発生層、電荷輸送層等の感光体層を形成した感光体シートを所定の寸法に裁断し、図3に示すようにその両端部を超音波融着機等を用いて融着して環状に形成して作成され、画像形成装置として用いられている。21は帯電器、22は露光用光学系、23は現像器、24はクリーナー、25は転写電荷器、26は転写用の用紙である。
また、電子写真装置においては、中間転写ベルト30が使用される。中間転写ベルト30は、図4に示すように感光ドラム20a上に現像器23によって現像された画像を一旦中間転写ベルト30上に転写して、これを用紙26に再度転写するものである。
【0003】
しかして、無端ベルト状電子写真感光体20あるいは中間転写ベルト30は走行中に横方向の力が加わって蛇行が発生する問題がある。
このため、無端ベルト状感光体20等は、図5に示すようにその裏面の側縁に沿ってゴム状の柔軟材料からなるリブ材を接合してガイド用のリブ31を形成し、該リブ31をロール32の溝33に嵌合して走行させることによって蛇行を防止する方法がとられている。
しかし、可撓性フィルム状の基材28にガイド用リブ31を接合すると、図6に示すようにロール32を廻る際に屈曲し、外周の基材28に引張り力が発生する。これを長く繰り返すと基材28あるいはその上に形成された感光体にクラックが発生し、画像欠陥が生じる問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、耐久性に優れ長期の使用においても蛇行することなく安定して走行させることができる電子写真装置用無端ベルトを提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明はかかる観点から鋭意検討を行った結果なされたもので、
(イ) 環状に形成された可撓性フィルム状の基材の内面に柔軟性材料からなるガイド用リブを接合する無端ベルトの製造方法において、ガイド用リブを湾曲させた状態でその内側面に非伸縮性帯状体を添設し、その外側面に可撓性フィルム状の基材を添付することを特徴とする電子写真装置用無端ベルトの製造方法、および
(ロ)環状に形成された可撓性フィルム状の基材の内面に柔軟性材料からなるガイド用リブを接合する無端ベルトの製造方法において、ガイド用リブの外周面に可撓性フィルム状の基材を接合した後、基材側を外側として湾曲し、ガイド用リブの内側面に非伸縮性帯状体を添設することを特徴とする電子写真装置用無端ベルトの製造方法、を提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明無端ベルト1は、図1に示すように、可撓性フィルム状の基材2を環状に形成する。なお、本発明においてシートとフィルムは同義語として使用され膜厚による識別は行わないものとする。
無端ベルトを電子写真感光体に使用する例について述べれば、可撓性フィルム状の基材2として導電性支持体が用いられ、導電性支持体上に感光体層が積層形成される。
【0007】
導電性支持体としては、二軸延伸フィルムに金属層を積層したものが好ましく、二軸延伸フィルムの材質としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の線状ポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等が挙げられるが、機械的強度、寸法安定性等の点から線状ポリエステル樹脂、特に、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
なお、樹脂フィルムの厚みは、通常、50〜150μm程度である。
【0008】
また、導電性支持体を構成する金属蒸着層の金属としては、銅、ニッケル、亜鉛、アルミニウム等が挙げられるが、中でも、アルミニウムが好ましい。
なお、金属蒸着層の厚みは、通常、400〜1000Å程度であり、前記樹脂フィルムへの蒸着は、前記金属を電熱加熱溶融蒸着法、イオンビーム蒸着法、イオンプレーティング法等の公知の蒸着法でなされる。また、金属層としては、アルミニウム箔、ニッケル箔等の金属箔や、これ等金属を積層したラミネートフィルムを用いることができる。この場合の金属箔は5μm以下が好ましい。
【0009】
導電性支持体と感光体層の間には通常使用されるような公知のバリアー層を設けることができる。バリアー層としては、例えば、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、セルロース類、ゼラチン、デンプン、ポリウレタン、ポリイミド、ポリアミド等の有機層が使用され、必要に応じて酸化チタン、酸化アルミニウム等の無機粒子を添加してもよい。
感光体層は、電荷発生物質と電荷輸送物質を含む単層型であってもよく、また、電荷発生層と電荷輸送層を積層した機能分離型であってもよい。
【0010】
機能分離型感光体について述べれば、電荷発生層に用いられる電荷発生物質としては、公知の電荷発生物質がいずれも使用でき、フタロシアニン、アゾ色素、キナクリドン、多環キノン、ピリリウム塩、チアピリリウム塩、インジゴ、チオインジゴ、アントアントロン、ピラントロン、シアニン等の各種有機顔料、染料等が挙げられる。中でも無金属フタロシアニン、銅塩化インジウム、塩化ガリウム、錫、オキシチタニウム、亜鉛、バナジウム等の金属、又はその酸化物、塩化物の配位したフタロシアニン類が好ましい。
【0011】
電荷発生層のバインダーとしては、ポリビニルブチラールなどのポリアセタール、ポリ酢酸ビニル、フェノキシ樹脂等の樹脂を用いることができる。
電荷発生層の膜厚としては、通常0.1〜1μm、好ましくは0.15〜0.6μmが好適である。またここで使用される電荷発生物質の含有量は、バインダー樹脂100重量部に対して20〜300重量部、好ましくは50〜200重量部の範囲で用いられる。
【0012】
電荷輸送層中の電荷輸送材料としては、各種ピラゾリン誘導体、オキサゾール誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、アリールアミン等の低分子化合物を使用することができる。
これらの電荷輸送材料とともにバインダー樹脂が配合される。好ましいバインダー樹脂としては例えばポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等のビニル重合体、およびその共重合体、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリエーテル、ポリケトン、フェノキシ、エポキシ、シリコーン樹脂等が挙げられ、またこれらの部分的架橋硬化物も使用される。
更に電荷輸送層には酸化防止剤、増感剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。電荷輸送層の膜厚は、10〜40μm、好ましくは10〜30μmの厚みで使用されるのが良い。
こうして得られた感光体シートは所定の寸法に裁断した後両端部を接合する。接合方法としては、接着剤による接合であっても、ヒートシールバーあるいは超音波による融着装置による溶着であってもよい。
【0013】
本発明無端ベルトを中間転写ベルトとして用いるときは、可撓性フィルム状の基材1の樹脂組成物は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂またはゴムのいずれかに限定されることはないが、熱可塑性樹脂あるいは熱可塑性エラストマーが連続押し出し成形が可能であるため製造コストの点で望ましい。
熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン(高密度、中密度、低密度、直鎖状低密度)、プロピレンエチレンブロックまたはランダム共重合体、ゴムまたはラテックス成分例えばエチレン・プロピレン共重合体ゴム、スチレン・ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体、またはその水素添加誘導体、ポリブタジエン、ポリイソブチレン、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアセタール、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、変性ポリフェニレンエーテル、ポリイミド、液晶性ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリビスアミドトリアゾール、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、アクリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、エチレンテトラフロロエチレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素ゴム、アクリル酸アルキルエステル共重合体、ポリエステルエステル共重合体、ポリエーテルエステル共重合体、ポリエーテルアミド共重合体、オレフィン共重合体、ポリウレタン共重合体、の1種またはこれらの混合物からなるものが使用される。
【0014】
特に中間転写ドラム被覆用として好ましい樹脂は、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、エチレンテトラフロロエチレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂やフッ素ゴムがトナー等からの汚れを防止するためにも好ましく、また、ポリカーボネートやポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステルエステル共重合体、ポリエーテルエステル共重合体等のエステル系熱可塑性樹脂ないし熱可塑性エラストマーが耐電気特性において電気抵抗値の変動が少なく安定のため好ましい。
【0015】
また、これらの材料に導電性フィラーを加え、電気抵抗を調整してもよい。導電性フィラーとしては、カーボンブラック、グラファイト、カーボン繊維、金属粉、導電性金属酸化物、有機金属酸化物、有機金属化合物、有機金属塩、導電性高分子等から選ばれる少なくとも1種またはこれら数種の混合物からなるものが好ましい。その中でも特にカーボンブラックが好ましい。カーボンブラックとしては、アセチレンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラックがある。フィルムの外観を損なわないためにも分散性に優れたアセチレンブラックが好ましい。
【0016】
カーボンブラックの配合量は、カーボンブラックの種類により異なるが、アセチレンブラックの場合、熱可塑性樹脂100重量部に対して3〜25重量部が好ましく、ケッチェンブラックの場合には1〜10重量部が好ましい。上記範囲未満では導電性に乏しく、上記範囲以上では製品の外観が悪くなり、また材料強度が低下して好ましくない。
樹脂組成物には、本発明の目的を阻害しない限りにおいて、通常の樹脂組成物に配合される各種の付加的成分を含むことができる。このような成分としては、酸化防止剤、滑剤、離型剤などがある。
【0017】
これ等の中間転写ベルト用材料はTダイあるいは環状ダイを用いてフラット・シートとしてこれを所定の寸法に切断した後両端部を接合することによって得ることができる。接合は、無端ベルト状感光体について述べた手段を利用することができる。
また、環状ダイを用いて内部マンドレル方式で筒状に成形し、これを所定の長さで切断することによってシームレスチューブとすることもできる。
【0018】
こうして得られた所定の幅をもつ可撓性フィルム状の基材2の内周面にその側縁に沿って図1、図2に示すようにガイド用リブ3が接合される。
ガイド用リブ3を形成する材質としては柔軟性があり、耐屈曲性のある材料であれば特に制限はないが、JIS K7215(A型)による硬度が60度以下、好ましくは50度以下のエラストマーが好ましく、具体的には、ネオプレンゴム、ウレタンゴム、ブチルゴム、シリコーンゴム等が好ましい。
【0019】
中でも基材2への接着性、電気絶縁性、耐湿・耐溶剤・耐オゾン・耐熱等の環境性等よりシリコーンゴムが良い。シリコーンゴムとしては、常温硬化型、熱可流型のいずれであってもよい。また、成形方法もいかなる成形法であってもよく、射出成形、押出成形、カレンダー成形、注型成形等目的に応じた方法で成形される。
【0020】
ガイド用リブ3の断面形状は特に制限はないが一般には、断面形状を方形、直方形、三角形、台形とされる。
本発明においてかかる柔軟性のガイド用リブ3は滑性の改良された滑性材料によって被覆することができる。被覆の材質としては、前述のリブ本体4の材質と同様の柔軟性材料に無機または有機の粉体を添加することによって得ることができる。
【0021】
無機または有機の粉末としては、例えば、α−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、α−酸化鉄、窒化ケイ素、窒化ホウ素、酸化チタン、二酸化ケイ素、酸化スズ、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二硫化モリブデン、酸化タングステン、炭化ケイ素、酸化クロムグラファイト、ポリエチレン粉末等を単独で、あるいは複数組み合わせて用いられる。添加量は1〜60重量%、好ましくは5〜50重量%が一般的である。
【0022】
これ等の中でも、リブ体としてシリコーンゴムを使用し、その表面をシリコーン系のスリップコーティング剤で被覆したものが好ましく、シリコーン系のスリップコーティング剤は東芝シリコーン社のシリコーン・スリップコーティング剤HSシリーズを使用することができる。
ガイドの幅は蛇行防止効果、耐久性、装置のコンパクト性等より1〜10mmが望ましい。ガイドの厚みも同様の理由により0.1〜2mmが望ましい。
ガイド用リブ3は、基材1の側縁に沿って接合される。力の均等化を図るために両側縁に設けることが望ましい。
【0023】
基材2内面に対するガイド用リブ3の接合は、ガイド用リブ3の内面側の長さが基材側の長さより若干短くなるように、すなわち、可撓性フィルムの両端を接合しない状態においても自然に丸まるような状態にする。
その手段としては、長尺状のガイド用リブ3を予め成形し、図2(A)に示すように接合用ロール5の外周を回してガイド用リブ3がロール5外周に沿って湾曲した状態とし、その外面に基材2を接合することができる。
【0024】
また、予め成形したガイド用リブ3を湾曲した状態でその内側面に非伸縮性の細巾の帯状体7を添設し、図2(B)に示すように帯状体7の添設されたガイト用リブ3の外面に基材2を接合することができる。
なお、ガイド用リブ3を基材2に接合した後湾曲させ、湾曲した状態でガイド用リブ3の内側面に非伸縮性の帯状体7を添設してもよい。
非伸縮性帯状体7としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド等の熱可塑性樹脂フィルムを二軸延伸し、これを細巾にスリットしたものが好ましい。基材2に対するガイド用リブ3の接合は、基材2が平坦な状態でガイド用リブ3と接合し、その後基材2の両端部を接合してもよく、また基材2の両端部を接合して環状とした後ガイド用リブを接合してもよい。
【0025】
本発明無端ベルト1は、図3に示す無端ベルト状電子写真感光体20として、あるいは、図4に示す中間転写ベルト30として使用することができる。
本発明無端ベルト1の駆動用あるいは案内用ロールとしては、図5に示すように溝33を有するロール32、あるいは図7に示すように両端にテーパーリング34,34を有するロール35を用いることができる。
【0026】
【発明の効果】
本発明は、ガイド用リブの内側面の長さが基材側の面の長さより若干短くなるように接合したから、無端ベルトとして使用する場合、ロールを通過する度に基材に張力が発生するようなことがなく、従って、基材の耐久性に優れ、またガイド用リブの接合も安定し、剥離のおそれがなく、長期に安定して使用し得る無端ベルトが得られるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明無端ベルトの一部切欠き斜視図。
【図2】(A)、(B)は夫々本発明無端ベルトの製造法を示す斜視図。
【図3】電子写真装置の無端ベルト状感光体の例を示す側面図。
【図4】電子写真装置の中間転写ベルトを示す側面図。
【図5】ガイド用リブ付無端ベルトを示す一部切欠き斜視図。
【図6】従来のガイド用リブ付無端ベルトの屈曲を示す側面図。
【図7】ガイド用リブ付無端ベルトを駆動するロールを示す側面図。
【符号の説明】
1 無端ベルト
2 基材
3 ガイド用リブ
5,6 ロール
20 無端ベルト状感光体
30 中間転写ベルト
Claims (4)
- 環状に形成された可撓性フィルム状の基材の内面に柔軟性材料からなるガイド用リブを接合する無端ベルトの製造方法において、ガイド用リブを湾曲させた状態でその内側面に非伸縮性帯状体を添設し、その外側面に可撓性フィルム状の基材を添付することを特徴とする電子写真装置用無端ベルトの製造方法。
- 環状に形成された可撓性フィルム状の基材の内面に柔軟性材料からなるガイド用リブを接合する無端ベルトの製造方法において、ガイド用リブの外周面に可撓性フィルム状の基材を接合した後、基材側を外側として湾曲しガイド用リブの内側面に非伸縮性帯状体を添設することを特徴とする電子写真装置用無端ベルトの製造方法。
- 無端ベルトが、無端ベルト状電子写真感光体であることを特徴とする、請求項1または2に記載の電子写真装置用無端ベルトの製造方法。
- 無端ベルトが、中間転写用ベルトであることを特徴とする、請求項1または2に記載の電子写真装置用無端ベルトの製造方法。
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