JP3911212B2 - 連続式人工ゼオライト製造装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フライアッシュ等の石炭灰、天然パーライトの焼成物など人工ゼオライトの原料粉末にアルカリ水溶液を添加してスラリー化し、これを連続的に熱水処理し、効率良くNa型又はK型の人工ゼオライトを製造する装置に関する。特に、熱水処理を格別簡易な設備で効率よく実行し、製品を安定して割安に製造し得ると共に、その加熱保持及び冷却の制御を予め定められた仕様書通りに正確に行うことにより、完成された人工ゼオライトの品質、特に陽イオン交換能力(CEC)を十分高くすることができるようにした人工ゼオライトの製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、人工ゼオライトの需要が高まり、その製造装置たるプラントが各所で建設されつつある。従来の人工ゼオライトの製造方法及び装置の例としては、例えば特開平6−321525号公報(改質石炭灰の製造方法)に示されるものの例がある。この方法は、その公報の特許請求の範囲に記載の通り、「石炭灰にアルカリ水溶液を添加し、撹拌しながらスラリー化して温度90〜100℃にて熱水処理した後に、該スラリー温度70℃以下の条件にて脱液機により余剰のアルカリ水溶液と生成結晶物を分離精製することを特徴とする改質石炭灰の製造方法」である。
【0003】
この方法は、100℃以上の高温、例えば130℃で熱水処理すると、必然的に加圧処理が必要で設備が大型となり運転費も高くなることを避けるため、100℃以下の低温で処理するようにしたものである。現在実際プラント建設されて稼働され、人工ゼオライト、特に石炭灰の改質設備として注目され、一つの見本となっている。
【0004】
しかしながら、実際建設され、見本となっている上記プラントにあっては、実際稼働すると、次のような不具合いが散見される。まず、バッチ処理であり、固液比、即ち1kgの原料粉末に対して3〜4リットルのアルカリ水溶液を混合するため、スラリー容量が大であり、1回当り10トンの人工ゼオライトを製造するには最低40トンのタンクが必要であり、必ずしも設備を小型化できない。又大型釜によるバッチ処理であるので、自ずと最大処理能力に限界が生ずる。
【0005】
さらに、完成された人工ゼオライトの品質が安定せず、高品質の人工ゼオライト、即ち陽イオン交換容量CEC(meq/100g)を高くできないという問題点がある。その理由について示すと、一般に人工ゼオライトの熱水処理では次表1に示すように、一定の反応温度で一定時間保持することにより最高のCECが得られることが知られている。また識者の知見では、投入及び排出を含め昇温、降温は直線的温度変化であることを予定して、反応時間の1/2内とすべきであることが教示されている。いわば台形的制御が基本構成となっている。オーバ反応は好ましくない。特に、冷却は急冷が望まれる。
【0006】
【表1】
にも拘わらず、従来の低温釜型の人工ゼオライト製造装置では、投入時間、加熱時間、排出時間が反応に大きく影響し、反応誤差、即ち最大反応及び最小反応の偏差が余りにも大きく、上記教示の枠を超え、品質を劣化しているのである。
【0007】
また、従来、上記バッチ式の欠点を除去し、効率アップを図ることを目的として特開2002―37622号公報(人工ゼオライトの製造方法及び人工ゼオライトの製造装置)が提案されている。この方法及び装置は、人工ゼオライトの原料をアルカリ水溶液に混入して成るスラリーを長尺の横置き型の反応管内に連続的に送り込み、人工ゼオライトを連続的に製造することを試みたものである。
【0008】
しかしながら、この公報による人工ゼオライトの製造装置では、原料粉末の物理的性状に関連して実用上少なからずの問題点が有る。
【0009】
第1に、反応管が横型とされている点が問題である。何故なら、例えば石炭灰がフライアッシュである場合、粉末は、蒿比重0.8〜1.0で粒径は0.2mm〜1μ以下であり、各粒径によって、アルカリ水溶液中での沈澱速度に相当大きな差があり、反応管内を流れるスラリー中で、大径粒子の沈澱を生じる可能性がある。そこで、大径粒子の沈澱を生じさせないためには、勢い流速を1m/s程度に上昇させなければならない点である。前述したように、反応時間は、130〜140℃でも30分必要であり、流速を1m/sとすれば、この間にスラリーは、1800m(4m×450本)進むので、例えば管径10cmにて、長さ1800mの管長が必要となるという点である。これは、平面上で蛇行させようとも相当長大な設備となる。保守、点検、メンテナンス、加えて毎日の運転の開始、終了時におけるスラリー交換作業等を考慮すると、実施が実際困難となることが予測される。
【0010】
第2に、段状に蛇行された横型の反応管では、スラリーを上から下に、又は下から上に流すにしろ前記粒径に応じた各粒子の反応時間の制御が困難であり、粒径に応じて大きな反応誤差が生じるという点である。この誤差は、流速を降下させると更に大となる。反応誤差が大となると当然に全体としてCECが低くなり、品質劣化する。
【0011】
第3に、近年、人工ゼオライトを塩共存下の下に効率よく反応させる方式が提案されているが、アルカリ水溶液として海水等の塩共存下溶液を用いる場合、管路を鉄やステンレス、銅等の金属で作ることができない。テフロン(登録商標)コーティングや琺瑯ならば対応可能と考えられるが、管路が長きに過ぎ、接続部分での被膜処理が困難でその実施が困難と考えられる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
以上の通り、従来のバッチ式に代わる連続式の人工ゼオライト製造装置は、反応装置を連続した長大な反応管を必要とするため、管長大で設備が大がかりなものとなると共に、原料粉末の粒径に応じて愛昧な反応誤差を生じ、品質劣化するという問題点があった。
【0013】
そこで、本発明は、連続式でありながら設備を極めて簡易化でき、運転、保守、点検、メンテナンスが容易で、運転コストを一層低減することができ、しかも粒径に応じた粒子の遅れをうまく制御して、より高品質の人工ゼオライトを効率良く製造することができる連続式人工ゼオライト製造装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決することのできる本発明の人工ゼオライト製造装置は、アルカリ水溶液中に原料粉末を混合して原料スラリーを生成し、単位時間当り一定量のスラリーを連続的に出力するスラリー供給装置と、
前記スラリーを貯溜可能な箱形又はドラム形の反応容器と、該容器の一端又は他端に夫々設けられたスラリー入口及びスラリー出口と、前記容器内部を上部又は下部の通路部分を残して縦方向に仕切る多数の仕切り板と、これら仕切り板により仕切られ形成される多数の連続した上下蛇行流路と、前記入口から投入される原料スラリー中の原料粉末の内最大粒径の粉末の沈澱速度より速い速度で前記流路を上下に蛇行しながら流されるスラリーを常時指定の温度に加熱保持する加熱装置とを備えて成る反応装置と、
前記反応装置の出口から出力される反応後のスラリーと前記反応装置の入口に入力される反応前のスラリーとを向流させ、両スラリー温度を相互に交換し合う向流式の熱交換装置と、
前記熱交換装置から出力されるスラリーからアルカリ水溶液を分離し、分離されたアルカリ水溶液を前記スラリー供給装置へ返還するアルカリ水溶液返還手段と、を備えて構成したことを特徴とする。
【0015】
スラリー供給装置から一定量を連続して供給するには、定量ポンプを用いること等で容易に対応できる。一定径の配管から同圧で吐出するだけでも良い。原料粉末としては、フライアッシュや天然パーライトの焼成物を粉砕して得られる粒径1mm以下の粉末等を用いることができる。粉末粒子は、これをアルカリ水溶液に混入した場合の沈澱速度vcm/sを計測した上で選択する必要が有る。
【0016】
例えば、フライアッシュの粒径は0.2mm〜1μm以下の様々な分布を有し、粒径0.1mmのフライアッシュの沈澱速度は3〜5cm/s位であるのに対し、粒径0.1μmのフライアッシュの沈澱速度は0.005cm/sと相当遅い。従って、このフライアッシュを搬送する流速Vcm/sは、必ず5cm/s以上としなければならない。逆に、流速VをV1として定める場合、この流速V1で搬送できる値として、原料の粒径を制限しなければならない。実用的な見地から見れば原料ゼオライトの最大粒径は1mmが限度であり、これ以上の粒径原料は、流速を無闇に上昇させなければならないので、本発明には適用し難い。反応容器は、基本的には長方形状の箱形又はドラム形として構成される。分割構成して平面U字形状等に配置されることも有る。
【0017】
反応容器の一端又は他端にスラリー入口及びスラリー出口を設け、容器内部を多数の仕切り板を用いて仕切り、長尺の上下蛇行流路を形成する。連続した流路を形成するため前段流路の下端と次段流路の上端に位置する仕切り板の端部には、穴や隙間等によりスラリー通路を設ける。従って、スラリー入口から投入された原料スラリーは、多数の仕切り板で形成された流路を上下に蛇行しながらスラリー出口へ向う。原料粉末は、アルカリ水溶液の流れに対し、上方への流れに対しては遅れ、下方への流れに対しては進む。粒子の沈澱速度をv、流速をVとするとき、上下蛇行流路に対する粒子の流れに対する遅延率δは、次式1で示される。
【0018】
【数1】
式1において、具体的な値で示すと、v=5cm/s、V=10cm/sのとき、δ=33%となる。V=15cm/sとすればδ=12.5%である。人工ゼオライトの生成反応は、粒子分子の分解と再結合に起因するものであるから、大径粒子において遅延時間が発生するのは、まさに好都合である。従って、原料粉末の最大粒径のものについての沈澱速度vを計測し、それに合わせて流速Vを定めれば、粒子の流れに対する遅延率δを制御できる。流路を上下に形成する最大の利点である。流速Vを最大粒径粒子の沈澱速度vより大としなければならない点を式で示すと、次式2が成立する。
【0019】
【数2】
式2において、流速Vを余りに大とすると、所要の反応時間を確保するのに必要な流路総長Lが大となる。従って、この限りにおいて流速Vは小さい方が良い。これらのことから、流速Vは、沈澱速度vの1.5〜3倍の範囲で定められる。
【0020】
反応装置には、反応容器中のスラリーを安定して反応温度に保持するために加熱装置が付属される。この加熱装置は、蒸気2重釜や電気或いは蒸気式のヒータの投入等、通常手段によって容易に構成できる。また、入出力スラリーの熱交換を行ない、入力スラリーの温度を反応温度近くまで昇温できる。従って、加熱装置は、実質的には保温装置に近く、熱的容量は極めて小さいもので良い。
【0021】
以上示した反応装置の構成において、流路の断面面積をSm2、流速をVcm/s、時間当りのスラリー処理量をQm3/H、反応時間をt分、流路総長をLm、とすると、これらの間には、次式3、4が成立する。
【0022】
【数3】
【数4】
式3及び式4において、具体例を示すと、例えば時間当り1トンのフライアッシュを製造するとき、固液比4の場合、5m3のスラリーが処理されなければならない。最大粒径0.3mmであれば、沈澱速度5cm/sであるので、流速Vは、例えば10cm/sに設定する。この場合の遅延率δは33%である。反応温度100℃にて、150分加熱反応させるとするとき、これらの関係を表2に示す。断面積Sは、同一処理を行う反応管に比べ、容易に大形対応できる点が異なる。また、断面積Sは、仕切り板同士の間隔(スリット間隔)で自由に設定できる。例えば1m幅の5cmスリットでは、S=500cm2となり、これは直径25cmの管に相当する。即ち、本発明の反応装置は、格別容易、安価に設計できる。しかも、設計材料の自由度が高く、さらに保守、点検、修理が容易である。
【0023】
【表2】
表2に示すように、設計上の外観的特徴としては、箱形のものと、ドラム形のものの例が挙げられる。要は、所要容量の容器を、仕切り板を用いて流路断面積Sで等分し、多数の上下流路を形成し、例えば総長900mの流路を形成した形となる。
【0024】
熱交換装置は、反応後のスラリーと反応前のスラリーとを向流させ、両スラリー温度を相互に交換する。スラリー原料は50〜70℃に予熱したものを反応温度に上昇させて反応装置に入力するのが好ましい。また、反応後のスラリーは、可能な限り急冷するのが好ましい。従って本発明では、両スラリーを向流させ、熱交換するので、反応後スラリーを素速く急冷でき、熱効率向上に加えて、品質を向上することができる。
【0025】
アルカリ水溶液返還手段では、反応後の冷却されたスラリーからアルカリ水溶液を分離し、分離したアルカリ水溶液をリサイクルする。化学成分の約1/3量は消耗されるが、残り2/3量のアルカリ水溶液がリサイクルされる。脱液処理後のスラリーは、ケーキ状になり、洗浄処理される。洗浄処理は、海水や工業用水に数回通し、遠心分離されれば良いとされている。しかし、完全な洗浄を行うには、洗浄回数を多くすれば良いというものでは無い。人工ゼオライトは徐放出性を有し、含有アルカリを即座に洗い流すことはできない。回数は3回程度で十分である。寧ろ、漬け込み時間を24時間以上として徐放出除去する方が効果的である。
【0026】
以上により、本発明の人工ゼオライト製造装置によれば、所要容量Qの箱形又はドラム形の容器を多数の仕切り板を用いて断面積S単位で区切り、総長Lの上下蛇行流路を構成する。従って、反応装置を、容易に製造することができ、保守、点検、メンテナンスが極めて容易である。また、生産量や設備条件等に応じ、容易に対応できる。
【0027】
また、本発明の人工ゼオライト製造装置によれば、反応前後のスラリーを熱交換する向流式の熱交換装置を付属させるので、反応後のスラリーを、1分間程度の短い時間で室温まで急冷でき、熱効率の向上のみならず、ゼオライト品質向上に大きく寄与することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の一実施の形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る人工ゼオライト製造装置の配置図である。図2〜図6は、各部の詳細を示す。
【0029】
図1において、本発明の一実施の形態に係る人工ゼオライト製造装置は、フライアッシュ等の原料1を苛性ソーダ水溶液と混合してスラリー化し、これを熱水処理し、Na型の人工ゼオライト2を製造するものである。製造工場の土間3には、撹拌器付の撹拌タンク4、5と、蒸気ボイラ6、苛性ソーダの原液タンク7、2〜4規定の苛性ソーダ水溶液を貯溜するNaOHタンク8、水タンク9、等が配置されている。撹拌タンク4、5とポンプ類とでスラリー供給装置が構成される。塩共存下による効率的反応を実証するため、海水タンク10が配置されることも有る。各タンク間は、鋼管、或いは樹脂製のパイプ類で接続され、各パイプには、適宜水ポンプ、或いはスラリーポンプが配置される。フライアッシュ1の搬送には、クレーンやコンベヤ、或いはショベルカー等が用いられる。
【0030】
前記タンク5の後段には、熱交換装置11及び反応装置12が配置される。熱交換装置11から出力された反応後のスラリーは、次いでタンク5、タンク4で熱交換し、バッファタンク13に移される。バッファタンク13に次いでは、遠心分離機14が配置され、遠心分離されたケーキは洗浄タンク15で洗浄され、乾燥されてNa型の人工ゼオライト2が製造されるようになっている。遠心分離機14の代りにデカンタが用いられることもある。
【0031】
図2に示すように、反応装置12は、2重の反応容器16を有し、この容器16の一端又は他端にスラリー入口管17及びスラリー出口管18を備えている。容器16の壁面内部には、沸点が100℃より高い油19が充填され、蒸気ヒータ20で100℃に加熱保持されるようになっている。加熱用の油としては、リサイクル油として、テンプラ油等も利用できる。
【0032】
前記容器16の内部には、入口管17から出口管18にかけて、等間隔、例えば5cmピッチで2種の仕切り板21、22が配置されている。2種の仕切り板21、22は、図6に詳細に示すように、水位WLに対する固定の仕方が異なり、前段仕切り板21は、下端に通路を有し、後段仕切り板22は、上端に通路を有する。スラリーは、矢印で示すように、各通路を通って、上下に蛇行し、入口から出口に向う。仕切り板21、22の上下に切込み溝や穴を設け、通路構成してもよい。前段仕切り板21の上端には、加振器23が配置され、仕切り板21を介してスラリーを加振するようになっている。加振器23を容易に設置できるのも1つの特徴である。
【0033】
以上の構成の反応装置12において、100℃に加熱されたスラリーは、スラリー入口管17から入力され、各仕切り板21、22で仕切られた上下方向の流路を通り、上下蛇行しながら出口に向い、スラリー出口管18から出力される。
【0034】
図6に示すように、粒子の沈澱速度をvcm/s、流速をVcm/sとするとき、原料粒子1aの進行速度は、下降のときはV+vとなり、上昇のときはV−vとなるので、式1が成立する。フライアッシュを人工ゼオライトとする場合の運転条件を表3に示す。
【0035】
【表3】
表3において、沈澱速度vcm/sのフライアッシュを流速Vcm/sで流すと、粒子は33%遅延することが示されている。この点から、基準反応時間150分は、120分程度に縮小し、大径粒子の反応のみは150分とするよう条件設定することもできる。本例では、この方式に従い、反応時間120分とする。ブラックボックスBXとは、図2の左下端に示すように、初段流路の下端にて、流速Vに乗れずに沈澱した粒子、即ち、粒径が相当粗く、沈澱速度vが速きにすぎるものを、装置進行前に除去する装置である。装置内を目詰まりさせないために必要な装置である。この部分のみを故意に流速低下させ、例えば4cm/sとして、0.1mm以上の粒子を完全に取り除くこともできる。取り除いた粒子は、破砕し、再投入できる。次表4に、装置定数として、生産量計算表を示す。
【0036】
【表4】
反応装置12の形状は、箱形とし、縦2m、横1m、スリット間隔(仕切り板21、22の間隔)5cmとしている。流路総長Lmは、式3から、流速10cm/s、反応時間120分として、720mであるので、上下通路数Nは360必要であり、これにスリット間隔5cmを乗じて装置長さC=18mとされている。これを3分割して、6m×3台とされる。装置長さCmは、実際には仕切り板21、22の厚みの総和を加算しなければならない。
【0037】
表4に示されるように、縦、横2m×1mで、スリット間隔5cmの反応装置12を用いれば日量28.8トンの人工ゼオライトを製造することができる。流速Vの変更でも生産量を変化できる。
【0038】
図5に示すように、熱交換装置11は、3本の向流式熱交換器24(24−1、24−2、24−3)を備えて成る。各熱交換器24は、図4に示すように、両端にヘッダ25を有し、その間を多数の細管26で接続して成る。また、前記細管26間に形成される空間を内部通路27とし、その通路両端に流体の出入口を備えて成る。ヘッダ25側の出入口を25(IN)、25(OUT)とし、内部通路27側の出入口を27(IN)、27(OUT)とする。両出入口25(IN)、25(OUT)、27(IN)、27(OUT)を出入りする流体の進行方向は、対向方向とされ、向流式とされる。
【0039】
図1及び図5において、反応前のスラリーは、撹拌タンク4、5を経て、第1の熱交換器24−1のヘッダ入口25(IN)へ入力され、出口25(OUT)から出力され、次いで、第2段、第3段の熱交換器24−2、24−3へ移される。一方、反応後のスラリーは、第3段の熱交換器24−3の内部通路27についての入口27(IN)から入力され出口27(OUT)から出力され、次いで第2段、第1段の熱交換器24−2、24−1へと逆方向に移される。これにより、反応前のスラリーは、例えば60℃から反応温度近くまで昇温される。一方、反応後のスラリーは、反応温度から、反応前の入力スラリー温度より高い温度まで急冷される。急冷速度は、数十秒程度である。
【0040】
前記第3の熱交換器24−3に次いでは、スラリーを反応温度まで上昇させるための温水槽28が設けられている。温水槽28は、蒸気ヒータ等により、100℃の温水が貯溜されている。従って、反応前スラリーは反応温度まで上昇されて反応装置へ入る。
【0041】
また、反応後のスラリーは、第1の熱交換器24−1から出力されて後、図1に示した撹拌タンク5、4で熱交換され、タンク温度を上昇させると共に40℃程度まで冷却され、冷水冷却されて、常温に近い温度になる。
【0042】
以上の構成の熱交換装置11により、反応前後のスラリーは向流式の熱交換器24によって相互に熱交換され、追加の加温又は冷却によって高速に反応温度へ加温され又は室温へ冷却される。所要のエネルギーは、温水槽28で加温する分と、冷却水による放熱分であり、熱効率は80%以上節約できる。
【0043】
図7に、スラリーの温度変化を示す。スラリーは、撹拌タンク4、5で撹拌されながら30℃、50℃、最終的には70℃まで温度上昇される。次いで熱交換装置11を介して反応温度である100℃まで一気に上昇され、反応温度で120分〜150分加熱保持されて後、室温まで急冷される。このように、本例では、予定通りの反応温度での保持を行った後急冷できるので、完成される。人工ゼオライトのCECを安定して向上できる。表5に、熱量計算を示す。
【0044】
【表5】
表5に示すように、表4の設計に従った場合、フライアッシュ3.6トン/Hを製造するのに全熱量144万kcal/Hを必要とする。しかるに本発明の人工ゼオライト製造装置では、高効率の向流式熱交換装置11を使っているので、内108万kcal以上の熱量を回収でき、1kgのフライアッシュを製造するのに23.3kcalの熱量で済む。
【0045】
以上示したように、本発明の人工ゼオライト製造装置によれば、撹拌タンク4、5を主体として構成されたスラリー供給装置でスラリーを生成し、熱交換装置11を介して箱形の反応装置12で反応させ、再度熱交換装置11を介して出力することができる。ここに、熱交換装置は向流式とされ、入出力スラリーを相互に熱交換するので、熱効率が良く、急冷可能で高品質の人工ゼオライトを製造することができる。
【0046】
冷却されて出力された反応後のスラリーは、遠心分離機14を用いて脱液され、脱液された苛性ソーダは、NaOHタンク8へ回収されてリサイクルされる。3回程度の繰り返し利用が可能である。脱液された原料はケーキとなり、その後洗浄タンク15を用いて洗浄され、再度脱液されて、乾燥処理し、Na型人工ゼオライトとされる。Ca、Mg、Fe等他のイオンとイオン置換されて、他の型の人工ゼオライトとされることもある。
【0047】
箱形の反応装置12は、箱形容器に仕切り板21、22を立てただけの構造であり、設計容易のみならず、円滑な流路を作れるので、これで製造される人工ゼオライトの品質を安定させる効果がある。また、管路によるものと比べて各スリットで区切られる断面積は、任意に大面積とすることができるのが1つの特徴である。例えば、直径100mmの管路の断面積は、78.5cm2であるが、1m幅の5cmスリットの断面積は500cm2であり、設計上特別有利である。さらに、上面開放状態で設計できるので、加振器23の作動においても性能をみながらの調節もでき、保守、点検、メンテナンスにおいても有利である。
【0048】
また、海水タンク10の海水を用いて人工ゼオライトを高活性下で反応させることがある。この場合、アルカリ性の高温海水は、各種の金属を侵す性質があり、反応装置を通常の金属で設計することができない。この場合でも、本発明の反応装置12は、テフロン(登録商標)その他のFRP製とすることや樹脂コーティングをすることで、容易に対応できる。
【0049】
以上示した実施の形態では、反応装置12が箱形の例で示したが、反応装置12の形状は、他の形状、例えばドラム形であっても良い。ドラム形の場合、長尺ドラムの内部を、上下通路を残して縦に仕切った形となる。また、ドラム形の例から見れば明らかなように、容器16を圧力容器とし、100℃より上の高温、高圧で処理できるようにすることもできる。例えば、図2に示したような反応装置をスッポリとドラム形の圧力容器中に挿入した形のものの例がある。また、ドラム内側を縦方向に仕切り、その外側を2重釜構造とした形のものの例がある。後者の場合、ドラム上部にエア溜りが生じ、流れが阻止されるので、各仕切り部の上面を同圧で連通する圧力室を設け、流れを円滑にする等の工夫が必要である。高温、高圧で処理すれば、表1で示したように時間短縮でき、容器長さを数分の1まで短く、コンパクトに形成することができる。また、アルカリ所要量が相当節約できるとされている。
【0050】
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜設計的変更を加えることができ、各種態様で実施できる。
【0051】
【発明の効果】
以上の通り、本発明は、特許請求の範囲に記載の通りの構成を有するので、箱形又はドラム形等の形で構成された反応容器の内部を上下通路を残して縦方向に多数の仕切り板を用いて仕切り、上下に蛇行した長尺の通路を容易に作ることができ、保守、点検、メンテナンス性に優れた人工ゼオライト製造装置とすることができる。
【0052】
また、本発明の反応装置には、反応前後のスラリーを熱交換する向流式の熱交換装置を有するので、熱効率が向上し、かつ安定して高品質の人工ゼオライトを製造することができる。
【0053】
さらに、本発明の反応装置は、容器内部を縦方向に仕切り板で仕切っただけの構造であるので、樹脂コーティングを行うことが容易であり、FRP製の仕切り板等を用いることができ、海水仕様等に容易に対応できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る人工ゼオライト製造装置の概要を示す配置図である。
【図2】反応装置の縦断面図である。
【図3】反応装置の平面図である。
【図4】向流式熱交換装置の熱交換器の向流構造を示す断面図である。
【図5】向流式熱交換装置の向流内容を示す配置図である。
【図6】図2に示す反応装置の部分拡大断面図である。
【図7】本発明で得られる反応特性を示す時間及び温度の線図である。
【符号の説明】
1 原料
1a 原料粒子
2 Na型人工ゼオライト
3 工場土間
4、5 撹拌タンク
6 蒸気ボイラ
7 原液タンク
8 NaOHタンク
9 水タンク
10 海水タンク
11 熱交換装置
12 反応装置
13 バッファタンク
14 遠心分離機
15 洗浄タンク
16 容器
17 スラリー入口管
18 スラリー出口管
19 油
20 蒸気ヒータ
21、22 仕切り板
23 加振器
24 熱交換器
25 ヘッダ
25(IN) ヘッダ入口
25(OUT) ヘッダ出口
26 細管
27 内部通路
27(IN) 内部通路入口
27(OUT) 内部通路出口
28 温水槽
BX ブラックボックス
Claims (1)
- アルカリ水溶液中に原料粉末を混合して原料スラリーを生成し、単位時間当り一定量のスラリーを連続的に出力するスラリー供給装置と、
前記スラリーを貯溜可能な箱形又はドラム形の反応容器と、該容器の一端又は他端に夫々設けられたスラリー入口及びスラリー出口と、前記容器内部を上部又は下部の通路部分を残して縦方向に仕切る多数の仕切り板と、これら仕切り板により仕切られ形成される多数の連続した上下蛇行流路と、前記入口から投入される原料スラリー中の原料粉末の内最大粒径の粉末の沈澱速度より速い速度で前記流路を上下に蛇行しながら流されるスラリーを常時指定の温度に加熱保持する加熱装置とを備えて成る反応装置と、
前記反応装置の出口から出力される反応後のスラリーと前記反応装置の入口に入力される反応前のスラリーとを向流させ、両スラリー温度を相互に交換し合う向流式の熱交換装置と、
前記熱交換装置から出力されるスラリーからアルカリ水溶液を分離し、分離されたアルカリ水溶液を前記スラリー供給装置へ返還するアルカリ水溶液返還手段と、を備えて構成したことを特徴とする連続式人工ゼオライト製造装置。
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