JP3911202B2 - 植物の開花時期を促進するEhd1遺伝子およびその利用 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、植物の開花時期を促進するEhd1遺伝子およびその利用に関する。
【0002】
【従来の技術】
イネの出穂期(開花時期)は主に日長に依存する感光性とそれ以外の要因(基本栄養成長性あるいは感温性)によって決定されている。この出穂期に関する遺伝解析は古くから行われ、これまでSe1座(第6染色体)、E1座(第7染色体)、E2座(不明)、E3座(第3染色体)、あるいはEf1 座(第10染色体)等の出穂期関連遺伝子が突然変異や品種に内在する変異を利用して見い出されている。近年、DNAマーカーがイネの遺伝解析に利用されるようになって、出穂期のような複雑な遺伝に従う形質の遺伝解析(量的形質遺伝子座(QTL)のマッピング)が進展した。それらの背景のもと、イネの感光性に関与する遺伝子の単離が進められてきた(Yano et al., Plant Cell 12:2473-2484, 2000; Takahashi et al., PNAS 98:7922-7927, 2001)。しかしながら、依然として多くの出穂期関連遺伝子が単離同定されずに残されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、植物の開花を調節する新規な遺伝子を提供することにある。また、本発明は、該遺伝子を利用して植物の開花時期を改変することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
Ehd1遺伝子座は、日本型イネ品種「台中65号」と西アフリカ地域の栽培種であるO. glaberrima Steud.(IRGC104038)との交雑後代を利用して検出された出穂期関連QTLの一つであり、第10染色体長腕に座乗することが明らかとなっていた。また「台中65号」の遺伝的背景をもつEhd1領域(IRGC104038の対立遺伝子)の準同質遺伝子系統を用いた解析から、Ehd1遺伝子座は出穂促進に関与することが明らかとなっていた。また、これまでの遺伝学的な研究によって、Ehd1遺伝子座は、単一の遺伝子座(旧名 Ef(t))としてRFLPマーカーC234とG37の間に位置づけられ、C1369とは共分離することが判明していた。しかしながら、この連鎖解析の精度では、マップベースクローニングによる遺伝子の単離・同定は困難であった。
【0005】
本発明者らは、マップベースクローニングに不可欠な大規模分離集団によるEhd1領域の詳細な連鎖解析を行った。連鎖解析用の集団は台中65号とIRGC104038の戻し交雑後代世代を用いた。戻し交雑後代からEhd1領域がヘテロ型となり、他のゲノム領域の大部分が台中65号型に置換された個体を選抜した。選抜個体の自殖後代2500個体(F2集団相当)から、Ehd1を挟み込むCAPSマーカーC1286およびG37を利用して、Ehd1近傍に生じた組み換え染色体をもつ個体を選抜した。Ehd1遺伝子座の遺伝子型の決定は、F3世代の後代検定によって行った。連鎖解析の結果、Ehd1はRFLPマーカーC814AとC234の間に位置づけられ、それぞれのマーカーと8個体および2個体の組み換え個体が同定できた。
【0006】
Ehd1遺伝子を挟み込むRFLPマーカーの塩基配列が公開されたゲノム塩基配列情報に含まれていることが判明し、Ehd1候補ゲノム領域の塩基配列を公開された塩基配列データから入手した。候補ゲノム領域の塩基配列情報を利用し、新たなCAPSマーカーを作出して候補遺伝子領域の絞り込みを行った。その結果、Ehd1の候補領域はCAPSマーカー26-28と12-14に挟み込まれる約16kbであることが明らかとなった。この候補領域の塩基配列に対して遺伝子予測ならびに類似性検索を行ったところ、3種類の予測遺伝子の存在が明らかとなった。そのうちの一つはアラビドプシスのtwo-component response regulator(ARR)遺伝子と類似性を示した。他の2種類の予測遺伝子は、イネのESTと高い類似性を示したものの機能が判明した既知の遺伝子との類似性は見い出されなかった。これらの予測遺伝子はいずれもEhd1の候補から除外することができなかったため、3種類の予測遺伝子をEhd1の候補として形質転換による機能の証明を行った。
【0007】
形質転換には、機能のあるEhd1対立遺伝子を持っていると推定されるインド型品種Kasalath由来のゲノムDNAから作成されたBACライブラリーからEhd1候補遺伝子を含むBACクローンKBM128G10を選抜し、使用した。BACクローンKBM128G10よりARR様候補遺伝子およびイネESTと高い類似性を示す予測遺伝子のひとつを含む 11.5kb BamHI 断片およびARR様候補遺伝子以外の二つの予測遺伝子を含む7.6kb KpnI断片を切り出し、それぞれをTi-プラスミドベクターpPZP2H-lacに組み込み、アグロバクテリウムを介して台中65号に導入した。再分化植物体は速やかに短日条件のグロースチャンバーに移して育成し、出穂までの所要日数を調査した。形質転換当代では、11.5kb BamHI断片を導入した個体のほとんどがベクターのみよりも早く出穂した。一方、7.6kb KpnI断片を導入した個体の到穂日数は、ベクターのみの個体と同程度であった。また11.5kb BamHI断片を導入したほとんどの個体においてKasalath由来のARR様候補遺伝子の転写が認められた。これらの結果から、Ehd1の候補は11.5kb BamHI断片に含まれるARR様候補遺伝子に絞り込むことができた。
【0008】
さらに、導入遺伝子の出穂促進を確認するために、出穂が早くなった形質転換当代のなかからコピー数の少ない個体を選抜し、その自殖後代を短日条件で栽培して、到穂日数を調査した。3種類の後代集団において、それぞれ早生個体と晩生個体とが分離した。早生個体はすべて導入したKasalath由来のARR様候補遺伝子を保持し、それらの到穂日数は台中65号の遺伝的背景にO. glaberrimaのEhd1遺伝子を置換した準同質遺伝子系統T65(Ehd1)とほぼ同じであった。一方、台中65号の到穂日数は晩生個体と同様であった。以上の結果から、ARR様候補遺伝子がEhd1遺伝子であることが証明された。
【0009】
イネ品種 O.glaberrima (IRGC104038)、Kasalath、日本晴および台中65号について、Ehd1 領域約7.6kbのゲノム塩基配列を解析し、それぞれの予測翻訳産物のアミノ酸配列を比較したところ、IRGC104038と台中65号間では7個、Kasalathと台中65号間では2個、日本晴と台中65号間では1個のアミノ酸が置換していることが判明した。そのうち、219番目のアミノ酸であるグリシンからアルギニンへの置換が唯一、台中65号のみに起っている変異であった。このグリシンは既知のARR遺伝子ファミリー間で高度に保存されていた。これらのことから、このアミノ酸変異が台中65号由来のEhd1の機能低下に関与していることが推測された。
【0010】
以上のことから、新たに単離・同定されたEhd1遺伝子は、植物の開花の促進に利用でき、また、Ehd1遺伝子の機能の低下を導くDNAは、植物の開花の遅延に利用できるものと考えられる。
【0011】
即ち、本発明は、植物の開花時期を促進するEhd1遺伝子およびその利用に関し、より具体的には、
〔1〕植物の開花を促進する機能を有する植物由来のタンパク質をコードする、下記(a)から(d)のいずれかに記載のDNA、
(a)配列番号:3、6または9に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA、
(b)配列番号:1、2、4、5、7または8に記載の塩基配列のコード領域を含むDNA、
(c)配列番号:3、6または9に記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加したアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするDNA、
(d)配列番号:1、2、4、5、7または8に記載の塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNA、
〔2〕イネ由来である、〔1〕に記載のDNA、
〔3〕下記(a)から(d)のいずれかに記載のDNA、
(a)〔1〕または〔2〕に記載のDNAの転写産物と相補的なアンチセンスRNAをコードするDNA、
(b)〔1〕または〔2〕に記載のDNAの転写産物を特異的に開裂するリボザイム活性を有するRNAをコードするDNA、
(c)植物細胞における発現時に、RNAi効果により、〔1〕または〔2〕に記載のDNAの発現を抑制するRNAをコードするDNA、
(d)植物細胞における発現時に、共抑制効果により、〔1〕または〔2〕に記載のDNAの発現を抑制するRNAをコードするDNA、
〔4〕植物の開花を促進するために用いる、〔1〕または〔2〕に記載のDNA、
〔5〕植物の開花を遅延するために用いる、〔3〕に記載のDNA、
〔6〕〔1〕から〔5〕のいずれかに記載のDNAを含むベクター、
〔7〕〔1〕から〔5〕のいずれかに記載のDNAまたは〔6〕に記載のベクターを保持する形質転換植物細胞、
〔8〕〔7〕に記載の形質転換植物細胞を含む形質転換植物体、
〔9〕〔8〕に記載の形質転換植物体の子孫またはクローンである、形質転換植物体、
〔10〕〔8〕または〔9〕に記載の形質転換植物体の繁殖材料、
〔11〕〔8〕に記載の形質転換植物体の製造方法であって、〔1〕から〔5〕のいずれかに記載のDNAまたは〔6〕に記載のベクターを植物細胞に導入し、該植物細胞から植物体を再生させる工程を含む方法、
〔12〕〔1〕または〔2〕に記載のDNAを植物体の細胞内で発現させることを特徴とする、植物の開花を促進する方法、
〔13〕植物体の細胞内における、内因性の〔1〕または〔2〕に記載のDNAの発現を抑制することを特徴とする、植物の開花を遅延する方法、
〔14〕〔3〕に記載のDNAを植物に導入することを特徴とする、〔13〕に記載の方法、
〔15〕植物がイネである、〔12〕から〔14〕のいずれかに記載の方法、
を提供するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明は、植物の開花を促進する機能を有する植物由来のEhd1タンパク質をコードするDNAを提供する。
【0013】
本発明において、Ehd1タンパク質をコードするDNAが由来する植物としては、例えばイネ、シロイヌナズナ、ダイズ、トウモロコシ、オオムギ、コムギ、アサガオなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0014】
また、上記DNAが導入されることで開花が促進される植物としては、特に制限はなく、例えば、有用農作物や鑑賞用植物等を挙げることができる。具体的には、有用農作物としては、例えばイネなどの単子葉植物や、ダイズ等の双子葉植物が挙げられる。また、観賞用植物としては、例えばキク、アサガオ、ポインセチア、コスモス等の花卉植物が挙げられる。
【0015】
本発明において開花とは通常、花が咲くことを指すが、イネを含むイネ科植物等においては出穂を意味する。本発明において開花の促進とは、開花時期を早めることを指す。また、開花の遅延とは、開花時期を遅らせることを指す。
【0016】
また、本発明のDNAが上記植物の開花を促進する日長条件としては、自然日長条件、長日条件、短日条件などが例示できるが、好ましくは短日条件である。本発明において、長日条件とは、1日の日照時間が14時間以上になる条件である。本実施例では明期を15時間、暗期を9時間に設定したが、この条件に限定されるものではない。また、短日条件とは、1日の日照時間が11時間以下になる条件である。本実施例では明期を10時間、暗期を14時間に設定したが、これに制限されない。
【0017】
また、本発明において、Ehd1タンパク質をコードするDNAとしては、例えば配列番号:1、2、4、5、7または8に記載の塩基配列のコード領域を含むDNAや配列番号:3、6または9に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNAが挙げられる。
【0018】
また、本発明は、配列番号:3、6または9に記載のアミノ酸配列からなるEhd1タンパク質と構造的に類似しており、植物の開花を促進する機能を有するタンパク質をコードするDNAを包含する。
【0019】
あるDNAが植物の開花を促進する機能を有するタンパク質をコードするか否かは、例えば、該DNAが導入された植物の開花が促進するか否か、または、該DNAの発現を抑制するDNAが導入された植物の開花が遅延するか否かを観察することで検証することができる。
【0020】
このようなDNAには、例えば、配列番号:3、6または9に記載のアミノ酸配列において1もしくは複数のアミノ酸が置換、欠失、付加および/または挿入されたアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする変異体、誘導体、アリル、バリアントおよびホモログが含まれる。
【0021】
アミノ酸配列が改変されたタンパク質をコードするDNAを調製するための当業者によく知られた方法としては、例えば、site-directed mutagenesis法(Kramer W & Fritz H-J: Methods Enzymol 154: 350, 1987)が挙げられる。また、自然界においても、塩基配列の変異によりコードするタンパク質のアミノ酸配列が変異することは起こり得る。このように、Ehd1タンパク質のアミノ酸配列において1もしくは複数のアミノ酸が置換、欠失、付加、および/または挿入されたアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするDNAであっても、天然型のEhd1タンパク質(配列番号:3、6または9)と同等の機能を有するタンパク質をコードする限りは、本発明のEhd1タンパク質をコードするDNAに含まれる。また、たとえ塩基配列が変異していても、その変異がタンパク質中のアミノ酸の変異を伴わないこと(縮重変異)があるが、このような縮重変異体も本発明のEhd1タンパク質をコードするDNAに含まれる。
【0022】
配列番号:3、6または9に記載のアミノ酸配列からなるEhd1タンパク質と機能的に同等なタンパク質をコードするDNAを調製するために、当業者によく知られた他の方法としては、ハイブリダイゼーション技術(Southern EM: J Mol Biol 98: 503, 1975)やポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術(Saiki RK, et al: Science 230: 1350, 1985、Saiki RK, et al: Science 239: 487, 1988)を利用する方法が挙げられる。すなわち、Ehd1領域のゲノム塩基配列(配列番号:1、4もしくは7)、Ehd1 cDNAの塩基配列(配列番号:2、5もしくは8)、または、その一部をプローブとして、また、Ehd1領域のゲノム塩基配列、Ehd1 cDNAの塩基配列に特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドをプライマーとして、イネや他の植物からEhd1タンパク質をコードするDNAと高い相同性を有するDNAを単離することは、当業者にとって通常行い得ることである。このように、ハイブリダイゼーション技術やPCR技術によって単離し得るEhd1タンパク質と同等の機能を有するタンパク質をコードするDNAもまた、本発明のEhd1タンパク質をコードするDNAに含まれる。
【0023】
このようなDNAを単離するためには、好ましくはストリンジェントな条件下でハイブリダイゼーション反応を行う。本発明においてストリンジェントなハイブリダイゼーション条件とは、6M 尿素、0.4% SDS、0.5×SSCの条件またはこれと同等のストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件を指す。よりストリンジェンシーの高い条件、例えば、6M 尿素、0.4% SDS、0.1×SSCの条件下では、より相同性の高いDNAを単離できると期待される。高い相同性とは、アミノ酸配列全体で少なくとも50%以上、好ましくは70%以上、さらに好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上の配列の同一性を指す。
【0024】
アミノ酸配列や塩基配列の同一性は、カーリンおよびアルチュールによるアルゴリズムBLAST(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:2264-2268, 1990、Proc Natl Acad Sci USA 90: 5873, 1993)を用いて決定できる。BLASTのアルゴリズムに基づいたBLASTNやBLASTXと呼ばれるプログラムが開発されている(Altschul SF, et al: J Mol Biol 215: 403, 1990)。BLASTNを用いて塩基配列を解析する場合は、パラメーターは、例えばscore=100、wordlength=12とする。また、BLASTXを用いてアミノ酸配列を解析する場合は、パラメーターは、例えばscore=50、wordlength=3とする。BLASTとGapped BLASTプログラムを用いる場合は、各プログラムのデフォルトパラメーターを用いる。これらの解析方法の具体的な手法は公知である(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)。
【0025】
本発明のDNAには、ゲノムDNA、cDNAおよび化学合成DNAが含まれる。ゲノムDNAおよびcDNAの調製は、当業者にとって常套手段により行うことが可能である。ゲノムDNAは、例えば、Ehd1タンパク質をコードするDNAを有するイネ品種からゲノムDNAを抽出し、ゲノミックライブラリー(ベクターとしては、例えば、プラスミド、ファージ、コスミド、BAC、PACなどが利用できる)を作製し、これを展開して、本発明のEhd1タンパク質をコードするDNA(例えば、配列番号:1、2、4、5、7または8)を基に調製したプローブを用いてコロニーハイブリダイゼーションあるいはプラークハイブリダイゼーションを行うことで調製できる。また、本発明のEhd1タンパク質をコードするDNA(例えば、配列番号:1、2、4、5、7または8)に特異的なプライマーを作製し、これを利用したPCRを行って調製することも可能である。cDNAは、例えば、Ehd1タンパク質をコードするDNAを有するイネ品種から抽出したmRNAを基にcDNAを合成し、これをλZAPなどのベクターに挿入してcDNAライブラリーを作製し、これを展開して、上記と同様にコロニーハイブリダイゼーションあるいはプラークハイブリダイゼーションを行うことで、またPCRを行うことにより調製できる。
【0026】
本発明のEhd1タンパク質をコードするDNAは、例えば、植物の開花を促進するために用いることができる。開花が促進された形質転換植物体を作製するには、上記DNAを適当なベクターに挿入して、後述する方法で、これを植物細胞に導入し、これにより得られた形質転換植物細胞を再生させる。本発明は、このような植物の開花を促進させる方法を提供する。
【0027】
本発明は植物の開花を遅延させる方法もまた提供する。開花が遅延した形質転換植物体は、例えばEhd1タンパク質をコードするDNAの発現を抑制するDNAを適当なベクターに挿入して、後述する方法で、これを植物細胞に導入し、これにより得られた形質転換植物細胞を再生させることによって作製できる。「Ehd1タンパク質をコードするDNAの発現の抑制」には、これらDNAの転写の抑制およびタンパク質への翻訳の抑制が含まれる。また、DNAの発現の完全な停止のみならず発現の減少も含まれる。また、翻訳されたタンパク質が植物細胞内で本来の機能を発揮しないことも含まれる。
【0028】
植物における特定の内在性遺伝子の発現を抑制する方法としては、アンチセンス技術を利用する方法が当業者に最もよく利用されている。植物細胞におけるアンチセンス効果は、電気穿孔法で導入したアンチセンスRNAが植物においてアンチセンス効果を発揮することをエッカーらが示したことで初めて実証された(Ecker JR & Davis RW: Proc Natl Acad Sci USA 83: 5372, 1986)。その後、タバコやペチュニアにおいてもアンチセンスRNAの発現により標的遺伝子の発現が低下した例が報告されており(van der Krol AR, et al: Nature 333: 866, 1988)、現在では、アンチセンス技術は植物における遺伝子発現を抑制させる手段として確立している。
【0029】
アンチセンス核酸が標的遺伝子の発現を抑制する作用としては、以下のような複数の要因が存在する。すなわち、三重鎖形成による転写開始阻害、RNAポリメラーゼによって局部的に開状ループ構造が作られた部位とのハイブリッド形成による転写阻害、合成の進みつつあるRNAとのハイブリッド形成による転写阻害、イントロンとエクソンとの接合点におけるハイブリッド形成によるスプライシング阻害、スプライソソーム形成部位とのハイブリッド形成によるスプライシング阻害、mRNAとのハイブリッド形成による核から細胞質への移行阻害、キャッピング部位やポリ(A)付加部位とのハイブリッド形成によるスプライシング阻害、翻訳開始因子結合部位とのハイブリッド形成による翻訳開始阻害、開始コドン近傍のリボソーム結合部位とのハイブリッド形成による翻訳阻害、mRNAの翻訳領域やポリソーム結合部位とのハイブリッド形成によるペプチド鎖の伸長阻害、および核酸とタンパク質との相互作用部位とのハイブリッド形成による遺伝子発現阻害などである。このようにアンチセンス核酸は、転写、スプライシングまたは翻訳など様々な過程を阻害することで、標的遺伝子の発現を抑制する(平島および井上: 新生化学実験講座2 核酸IV 遺伝子の複製と発現 (日本生化学会編, 東京化学同人) pp.319-347, 1993)。
【0030】
本発明で用いられるアンチセンス配列は、上記のいずれの作用により標的遺伝子の発現を抑制してもよい。一つの態様としては、遺伝子のmRNAの5'端近傍の非翻訳領域に相補的なアンチセンス配列を設計すれば、遺伝子の翻訳阻害に効果的と考えられる。また、コード領域もしくは3'側の非翻訳領域に相補的な配列も使用することができる。このように、遺伝子の翻訳領域だけでなく非翻訳領域の配列のアンチセンス配列を含むDNAも、本発明で利用されるアンチセンスDNAに含まれる。使用されるアンチセンスDNAは、適当なプロモーターの下流に連結され、好ましくは3'側に転写終結シグナルを含む配列が連結される。このようにして調製されたDNAは、公知の方法を用いることで、所望の植物へ形質転換できる。アンチセンスDNAの配列は、形質転換される植物が持つ内在性遺伝子またはその一部と相補的な配列であることが好ましいが、遺伝子の発現を有効に抑制できる限りにおいて、完全に相補的でなくてもよい。転写されたRNAは、標的遺伝子の転写産物に対して好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上の相補性を有する。アンチセンス配列を用いて標的遺伝子の発現を効果的に抑制するには、アンチセンスDNAの長さは少なくとも15塩基以上であり、好ましくは100塩基以上であり、さらに好ましくは500塩基以上である。通常用いられるアンチセンスDNAの長さは5kbよりも短く、好ましくは2.5kbよりも短い。
【0031】
内在性遺伝子の発現の抑制は、また、リボザイムをコードするDNAを利用して行うことも可能である。リボザイムとは触媒活性を有するRNA分子のことを指す。リボザイムには種々の活性を有するものが存在するが、中でもRNAを切断する酵素としてのリボザイムに焦点を当てた研究により、RNAを部位特異的に切断するリボザイムの設計が可能となった。リボザイムには、グループIイントロン型やRNase Pに含まれるM1 RNAのように400ヌクレオチド以上の大きさのものもあるが、ハンマーヘッド型やヘアピン型と呼ばれる40ヌクレオチド程度の活性ドメインを有するものもある(小泉誠および大塚栄子: 蛋白質核酸酵素, 35: 2191, 1990)。
【0032】
例えば、ハンマーヘッド型リボザイムの自己切断ドメインは、G13U14C15という配列のC15の3'側を切断するが、その活性にはU14とA9との塩基対形成が重要とされ、C15の代わりにA15またはU15でも切断され得ることが示されている(Koizumi M, et al: FEBS Lett 228: 228, 1988)。基質結合部位が標的部位近傍のRNA配列と相補的なリボザイムを設計すれば、標的RNA中のUC、UUまたはUAという配列を認識する制限酵素的なRNA切断リボザイムを作出することができる(Koizumi M, et al: FEBS Lett 239: 285, 1988、小泉誠および大塚栄子: 蛋白質核酸酵素 35: 2191, 1990、 Koizumi M, et al: Nucl Acids Res 17: 7059, 1989)。例えば、Ehd1タンパク質をコードするDNA(配列番号:2、5または8)中には、標的となり得る部位が複数存在する。
【0033】
また、ヘアピン型リボザイムも本発明の目的に有用である。このリボザイムは、例えばタバコリングスポットウイルスのサテライトRNAのマイナス鎖に見出される(Buzayan JM: Nature 323: 349, 1986)。ヘアピン型リボザイムからも、標的特異的なRNA切断リボザイムを作出できることが示されている(Kikuchi Y & Sasaki N: Nucl Acids Res 19: 6751, 1991、菊池洋: 化学と生物 30: 112, 1992)。
【0034】
標的を切断できるように設計されたリボザイムは、植物細胞中で転写されるように、カリフラワーモザイクウイルスの35Sプロモーターなどのプロモーターおよび転写終結配列に連結される。このとき、転写されたRNAの5'端や3'端に余分な配列が付加されていると、リボザイムの活性が失われることがあるが、こういった場合は、転写されたリボザイムを含むRNAからリボザイム部分だけを正確に切り出すために、リボザイム部分の5'側や3'側にシスに働く別のトリミングリボザイムを配置させることも可能である(Taira K, et al: Protein Eng 3: 733, 1990、Dzianott AM & Bujarski JJ: Proc Natl Acad Sci USA 86: 4823, 1989、Grosshans CA & Cech TR: Nucl Acids Res 19: 3875, 1991、Taira K, et al: Nucl Acids Res 19: 5125, 1991)。また、このような構成単位をタンデムに並べ、標的遺伝子内の複数の部位を切断できるようにすることで、より効果を高めることもできる(Yuyama N, et al: Biochem Biophys Res Commun 186: 1271, 1992)。このように、リボザイムを用いて本発明における標的遺伝子の転写産物を特異的に切断することで、該遺伝子の発現を抑制することができる。
【0035】
内在性遺伝子の発現の抑制は、さらに、標的遺伝子配列と同一もしくは類似した配列を有する二本鎖RNAを用いたRNA interferance(RNAi)によっても行うことができる。RNAiとは、標的遺伝子配列と同一もしくは類似した配列を有する二重鎖RNAを細胞内に導入すると、導入した外来遺伝子および標的内在性遺伝子の発現がいずれも抑制される現象のことを指す。RNAiの機構の詳細は明らかではないが、最初に導入した二本鎖RNAが小片に分解され、何らかの形で標的遺伝子の指標となることにより、標的遺伝子が分解されると考えられている。RNAiは植物においても効果を奏することが知られている(Chuang CF & Meyerowitz EM: Proc Natl Acad Sci USA 97: 4985, 2000)。例えば、植物体におけるEhd1タンパク質をコードするDNAの発現をRNAiにより抑制するためには、Ehd1タンパク質をコードするDNA(配列番号:2、5または8)またはこれと類似した配列を有する二本鎖RNAを目的の植物へ導入し、得られた植物体から野生型植物体と比較して開花が遅延した植物を選択すればよい。RNAiに用いる遺伝子は、標的遺伝子と完全に同一である必要はないが、少なくとも70%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上の配列の同一性を有する。また、配列の同一性は上述した手法により決定できる。
【0036】
内在性遺伝子の発現の抑制は、標的遺伝子配列と同一もしくは類似した配列を有するDNAの形質転換によって起こる共抑制によっても達成できる。「共抑制」とは、植物に標的内在性遺伝子と同一もしくは類似した配列を有する遺伝子を形質転換により導入すると、導入した外来遺伝子および標的内在性遺伝子の発現がいずれも抑制される現象のことを指す。共抑制の機構の詳細は明らかではないが、少なくともその機構の一部はRNAiの機構と重複していると考えられている。共抑制は植物においても観察される(Smyth DR: Curr Biol 7: R793, 1997、Martienssen R: Curr Biol 6: 810, 1996)。例えば、Ehd1タンパク質をコードするDNAが共抑制された植物体を得るためには、Ehd1タンパク質をコードするDNAまたはこれと類似した配列を有するDNAを発現できるように作製したベクターDNAを目的の植物へ形質転換し、得られた植物体から野生型植物体と比較して開花が遅延した植物を選択すればよい。共抑制に用いる遺伝子は、標的遺伝子と完全に同一である必要はないが、少なくとも70%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上の配列の同一性を有する。また、配列の同一性は上述した手法により決定できる。
【0037】
本発明は、本発明のDNAを植物細胞に導入し、該植物細胞から植物体を再生させる工程を含む形質転換植物体の製造方法を提供する。
【0038】
本発明において、植物細胞が由来する植物としては、特に制限はない。また、植物細胞の形質転換に用いられるベクターは、該細胞内で挿入遺伝子を発現させることが可能なものであれば特に制限はない。例えば、植物細胞内で恒常的に遺伝子を発現させるためのプロモーター(例えば、カリフラワーモザイクウイルスの35Sプロモーター)を有するベクターや、外的な刺激により誘導的に活性化されるプロモーターを有するベクターを用いることもできる。ここで言う「植物細胞」には、種々の形態の植物細胞、例えば、懸濁培養細胞、プロトプラスト、葉の切片、カルスなどが含まれる。
【0039】
植物細胞へのベクターの導入には、ポリエチレングリコール法、電気穿孔法(エレクトロポレーション法)、アグロバクテリウムを介する方法、パーティクルガン法など、当業者に公知の種々の方法を用いることができる。アグロバクテリウム(例えば、EHA101)を介する方法においては、例えば、超迅速単子葉形質転換法(特許第3141084号)を用いることが可能である。また、パーティクルガン法においては、例えば、バイオラッド社のものを用いることが可能である。形質転換植物細胞からの植物体の再生は、植物細胞の種類に応じて当業者に公知の方法で行うことが可能である(Toki S, et al: Plant Physiol 100: 1503, 1995)。
【0040】
例えば、イネにおいて形質転換植物体を作出する手法については、ポリエチレングリコールを用いてプロトプラストへ遺伝子導入し、植物体(インド型イネ品種が適している)を再生させる方法(Datta SK: In Gene Transfer To Plants (Potrykus I and Spangenberg, Eds) pp.66-74, 1995)、電気パルスによりプロトプラストへ遺伝子導入し、植物体(日本型イネ品種が適している)を再生させる方法(Toki S, et al: Plant Physiol 100: 1503, 1992)、パーティクルガン法により細胞へ遺伝子を直接導入し、植物体を再生させる方法(Christou P, et al: Biotechnology 9: 957, 1991)、およびアグロバクテリウムを介して遺伝子を導入し、植物体を再生させる方法(Hiei Y, et al: Plant J 6: 271, 1994)など、いくつかの技術が既に確立し、本願発明の技術分野において広く用いられている。本発明においては、これらの方法を好適に用いることができる。
【0041】
ゲノム内に本発明のDNAが導入された形質転換植物体がいったん得られれば、該植物体から有性生殖または無性生殖により子孫を得ることができる。また、該植物体やその子孫あるいはクローンから繁殖材料(例えば、種子、果実、切穂、塊茎、塊根、株、カルス、プロトプラストなど)を得て、それらを基に該植物体を量産することも可能である。
【0042】
【実施例】
以下、本発明を実施例により、さらに具体的に説明するが本発明はこれら実施例に制限されるものではない。
[実施例1] 短日条件下におけるEhd1遺伝子の出穂促進作用
Ehd1遺伝子座は、日本型イネ品種「台中65号」と西アフリカ地域の栽培種であるO. glaberrima Steud.(IRGC104038)との交雑後代を利用して検出された出穂期関連QTLの一つであり、第10染色体長腕に座乗することが明らかとなっていた(Doi et al., Breeding Science 49: 395-399, 1999)(図1)。O. glaberrima(IRGC104038)のEhd1遺伝子は出穂促進作用をもち、台中65号の対立遺伝子に対して優性に作用することが明らかとなっていた。本実施例においては、台中65号の遺伝的背景にO. glaberrimaのEhd1遺伝子を置換した準同質遺伝子系統[T65(Ehd1)]と台中65号を異なる日長条件下で栽培し、それらの到穂日数を調査した。T65(Ehd1)は台中65号と比較して自然条件では7日、長日条件下で14日、短日条件下では33日出穂が早くなった(図2)。これらの結果から、Ehd1遺伝子は出穂を促進する機能を有し、その出穂促進作用は短日条件下でより顕著になることが明らかとなった。
【0043】
[実施例2] 高精度連鎖解析
これまでの遺伝学的な研究によって、Ehd1遺伝子座は、単一の遺伝子座(旧名 Ef(t))としてRFLPマーカーC234とG37の間に位置づけられ、C1369とは共分離することが判明していた(土井・田口・吉村 日本育種学会第94回講演会講演要旨p104、1998)。しかしながら、この連鎖解析の精度では、マップベースクローニングによる遺伝子の単離・同定は困難であった。本実施例においては、マップベースクローニングに不可欠な大規模分離集団によるEhd1領域の詳細な連鎖解析を行った。連鎖解析用の集団は台中65号とIRGC104038の戻し交雑後代世代を用いた。戻し交雑後代からEhd1領域がヘテロ型となり、他のゲノム領域の大部分が台中65号型に置換された個体を選抜した。選抜個体の自殖後代2500個体(F2集団相当)から、Ehd1を挟み込むCAPS (Cleaved Amplified Polymorphic Sequence)マーカーC1286 ( プライマー5'- CCAATGAAGGGTAAGTATCG -3'(配列番号:13)および5'- TGTGCTTAAGATACACGGTAGTTCA -3'(配列番号:14)、制限酵素NruI)およびG37 ( プライマー5'- CTGCAGCTTCCACCATGGCA -3'(配列番号:15)および5'- CAAGGGTGCATTCATTGCACCTCCTCTAGCCATGGCCTAATGATGCA -3'(配列番号:16)、制限酵素EcoT22I)を利用して、Ehd1近傍に生じた組み換え染色体をもつ個体を選抜した。Ehd1遺伝子座の遺伝子型の決定は、F3世代の後代検定によって行った。すなわち選抜個体(F2)の自殖後代48個体を九州大学の実験圃場において栽培し、各系統内の到穂日数の分離状況からEhd1の遺伝子型を判定した。連鎖解析の結果、Ehd1はRFLPマーカーC814AとC234の間に位置づけられ、それぞれのマーカーと8個体および2個体の組み換え個体が同定できた(図3)。
【0044】
[実施例3] 候補遺伝子領域の特定
Ehd1遺伝子を挟み込むRFLPマーカーの塩基配列が公開されたゲノム塩基配列情報に含まれていることが判明し、Ehd1候補ゲノム領域の塩基配列を公開された塩基配列データから入手した(GenBank アクセッション番号 AC027038)。候補ゲノム領域の塩基配列情報を利用し、新たなCAPSマーカーを作出して候補遺伝子領域の絞り込みを行った。Ehd1はCAPSマーカー26-28(プライマー5-' ACGCTGCAACAAAGAGCAGA -3'(配列番号:17)および5'- TTGTTGACGAAAGCCCATTG -'(配列番号:18)、制限酵素MspI)および12-14(プライマー5'- GGAGATCATGCTCACGGATG -3'(配列番号:19)および5'- CAAGCAAACACGGAGCGACT -3'(配列番号:20)、制限酵素BamHI)とそれぞれ2および1個の組み換えが検出され、マーカー13-15(プライマー5'- CCTTGCATCCGTCTTGATTG -3'(配列番号:21)および5'- GGGCAAATTCCCTCCAGAGT -3'(配列番号:22)、制限酵素MspI)、19-21(プライマー5'- TTTGGATACGTACCCCTGCAT -3'(配列番号:23)および5'- GCGCAATCGCATACACAATAA -3'(配列番号:24)、制限酵素MspI)および23-25(プライマー5'- GAGCCCGAGCCCATGTATAG -3'(配列番号:25)および5'- TGGCTAAGATGGAGGGACGA -3'(配列番号:26)、制限酵素MboI)とは共分離した。したがってEhd1の候補領域はCAPSマーカー26-28と12-14に挟み込まれる約16kbであることが明らかとなった。この候補領域の塩基配列に対してGENSCAN(http://genes.mit.edu/GENSCAN.html)による遺伝子予測ならびに類似性検索を行ったところ、3種類の予測遺伝子の存在が明らかとなった。そのうちの一つはアラビドプシスのtwo-component response regulator(ARR)遺伝子と類似性を示した。他の2種類の予測遺伝子は、イネのESTと高い類似性を示したものの機能が判明した既知の遺伝子との類似性は見い出されなかった。これらの予測遺伝子はいずれもEhd1の候補から除外することができなかったため、3種類の予測遺伝子をEhd1の候補として形質転換による機能の証明を行った。
【0045】
[実施例4] Ehd1候補遺伝子の機能証明
形質転換には、機能のあるEhd1対立遺伝子を持っていると推定されるインド型品種Kasalath由来のゲノムDNA断片を用いた。すなわち、KasalathのゲノムDNAから作成されたBACライブラリー(Baba et al., Bulletin of the NIAR 14: 41-49, 2000)に対して、Ehd1近傍の塩基配列を増幅するプライマー対10-12(5'- ATTGGGCCAAACTGCAAGAT -3'(配列番号:27)および5'- ACGAGCCTAATGGGGGAGAT -3'(配列番号:28))によるスクリーニングを行い、Ehd1候補遺伝子を含むBACクローンKBM128G10を選抜した。BACクローンKBM128G10よりARR様候補遺伝子およびイネESTと高い類似性を示す予測遺伝子のひとつを含む 11.5kb BamHI 断片およびARR様候補遺伝子以外の二つの予測遺伝子を含む7.6kb KpnI断片(図3)を切り出し、それぞれをTi-プラスミドベクターpPZP2H-lac(Fuse et al. Plant Biotechnology 18: 219-222, 2001)に組み込み、アグロバクテリウムを介して台中65号に導入した。再分化植物体は速やかに短日条件(10時間明)のグロースチャンバーに移して育成し、出穂までの所要日数を調査した。形質転換当代(T0)では、11.5kb BamHI断片を導入した個体(18個体)のほとんどがベクターのみ(6個体)よりも早く出穂した(図4)。一方、7.6kb KpnI断片を導入した個体(6個体)の到穂日数は、ベクターのみの個体(5個体)と同程度であった(図4)。また11.5kb BamHI断片を導入した個体については、Kasalath由来のARR様候補遺伝子の発現を、遺伝子特異的マーカー(プライマー5'- GAGATCAACGGCCACCGAAG -3'(配列番号:29)および5'- GTCGAGAGCGGTGGATGACA -3'(配列番号:30)、制限酵素DdeI)を用いてRT-PCRによって確認したところ、ほとんどの個体においてKasalath由来のARR様候補遺伝子の転写が認められた(図5)。これらの結果から、Ehd1の候補は11.5kb BamHI断片に含まれるARR様候補遺伝子に絞り込むことができた。さらに、導入遺伝子の出穂促進を確認するために、出穂が早くなった形質転換当代のなかからコピー数の少ない個体を選抜し、その自殖後代を短日条件で栽培して、到穂日数を調査した。3種類の後代集団において、それぞれ早生個体(41〜70日)と晩生個体(81日以上)とが分離した。早生個体はすべて導入したKasalath由来のARR様候補遺伝子を保持し、それらの到穂日数は準同質遺伝子系統T65(Ehd1)とほぼ同じであった。一方、台中65号の到穂日数は晩生個体と同様に81日以上となった(表1)。以上の結果から、ARR様候補遺伝子が短日条件で出穂を早める機能を有し、Ehd1であることが証明された。
【0046】
【表1】
*は導入遺伝子を保有しないことを意味する。
【0047】
[実施例5] Ehd1候補遺伝子の塩基配列解析
イネ品種 O.glaberrima (IRGC104038)、Kasalath、日本晴および台中65号について、Ehd1 領域約7.6kbのゲノム塩基配列を解析した(台中65号には200bp以上のTAリピートが存在し、その正確な数は同定できていない)。この領域には、Kasalathと比較して日本晴・台中65号では60箇所以上、IRGC104038では140箇所以上の塩基置換および挿入・欠失が見い出された(図6)。また、IRGC104038のcDNAの全長を決定し、ゲノム塩基配列と比較したところ、Ehd1 は6個のエクソンからなり、転写領域の全長は1316bp、341アミノ酸からなるタンパク質をコードしていることが予測された(図7)。予測転写領域内の塩基配列の違いをKasalathと比較すると、日本晴では4つの1塩基置換および2塩基挿入、台中65号では5つの1塩基置換および2塩基挿入、IRGC104038では14個の1塩基置換と4塩基欠失および3塩基欠失が見い出された。IRGC104038、Kasalath、日本晴および台中65号の予測翻訳産物のアミノ酸配列を比較したところ、IRGC104038と台中65号間では7個、Kasalathと台中65号間では2個、日本晴と台中65号間では1個のアミノ酸が置換していることが判明した(図7)。そのうち、219番目のアミノ酸であるグリシン(G:IRGC104038、Kasalath、日本晴)からアルギニン(R:台中65号)への置換が唯一、台中65号のみに起っている変異であった(図7)。このグリシンは既知のARR遺伝子ファミリー間で高度に保存されていた。これらのことから、このアミノ酸変異が台中65号由来のEhd1の機能低下に関与していることが推測された。
【0048】
O.glaberrima (IRGC104038)、Kasalath、日本晴および台中65号のEhd1領域のゲノム塩基配列をそれぞれ配列番号:1、4、7および10に、cDNAの塩基配列をそれぞれ配列番号:2、5、8および11に、これらDNAがコードするタンパク質のアミノ酸配列をそれぞれ配列番号:3、6、9および12に示す。
【0049】
[実施例6] Ehd1候補遺伝子の発現解析
台中65号のEhd1領域をIRGC104038由来の染色体断片に置換したT65(Ehd1)について、Ehd1遺伝子の1日の発現の変化を調べた。実験温室(茨城県つくば市)において12月下旬(日出6時50分、日没16時30分、短日条件)に播種し、4週間育成した両系統から3時間おきに24時間にわたって葉を採取した。これらの材料より全RNAを抽出し、Ehd1遺伝子について、プライマー(センス鎖5'- TGGATCACCGAGAGCTGTGG -3'(配列番号:31)、アンチセンス鎖5'- ATTTCCTTGCATCCGTCTTG -3'(配列番号:32))を用いてRT-PCR解析を行なった。その結果、この遺伝子の転写産物が明け方頃(3時、6時)に多く蓄積し、日没後真夜中まで(18時、21時)は検出困難なレベルまで減少する傾向があることが判明した(図8)。このような遺伝子発現レベルの概日変動は感光性に関与している遺伝子にしばしば観察される現象であり、このEhd1遺伝子が光シグナルの伝達になんらかの形で関与していることが推測された。以上の結果から、マップベースクローニング法により同定した候補遺伝子がイネの出穂促進遺伝子Ehd1であると判断した。
【0050】
【発明の効果】
従来、イネの品種改良における開花時期(出穂期)の改変は(1)交雑による早生・晩生系統の選抜、(2)放射線や化学物質による突然変異誘起などによって行われてきた。これらの作業は長期間を要することや変異の程度や方向性を制御できないことなどの問題があった。本発明により、単離したEhd1遺伝子の利用による植物の開花時期の新しい改変法を確立することができた。したがって、Ehd1遺伝子の機能が消失した植物品種、例えばイネの台中65号にこの遺伝子をセンス鎖で形質転換することにより、イネの短日での出穂(開花)の促進を図ることができる。一方、Ehd1遺伝子の機能が保持されている植物品種、例えばイネの日本晴あるいはKasalath、にアンチセンス方向にEhd1遺伝子を導入すること等により、内因性のEhd1遺伝子の発現を抑制することで開花を遅延させることができる。この変化は、短日条件だけでなく、長日条件あるいは自然日長条件においても生じると予測されることから、栽培条件における開花時期の調節に有効である。形質転換に要する期間は交配による遺伝子移入に比較して極めて短期間であり、他の形質の変化を伴わないで開花時期の改変が可能となる。単離した開花促進遺伝子Ehd1を利用することにより、イネなどの植物の開花時期を容易に変化させることができ、異なる地域に適応した植物品種育成に貢献できると考えられる。
【0051】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 Ehd1遺伝子の染色体上での位置を示す図である。
【図2】 O. glaberrimaのEhd1遺伝子の準同質遺伝子系統[T65(Ehd1)]とその繰り返し親(台中65号)の短日、長日および自然条件下での到穂日数を示す図である。短日および長日条件は九州大学の屋外の日長調節装置内で移植を行わずに栽培した。自然条件は九州大学(福岡市)での早期栽培(5月2日は種、6月14日移植)の結果を示す。
【図3】 Ehd1領域の高精度連鎖地図および物理地図を示す図である。Aは2500個体の分離集団とRFLPマーカーを用いて作成した連鎖地図である。地図上の記号はRFLPマーカー、地図下の数値は各マーカー間で検出された組み換え数を示す。Bは塩基配列情報に基づき作成したCAPSマーカーによる詳細な連鎖地図である。Cは候補ゲノム領域内の予測遺伝子と形質転換に用いたゲノムDNA断片を示す。
【図4】 Kasalathの11.5kb BamHI断片および7.6kb KpnI断片を台中65号に導入した形質転換当代(TO)の短日条件(10時間日長)での到穂日数の頻度分布を示す図である。
【図5】 形質転換当代個体のKasalath ARR様遺伝子の発現の有無を示す写真である。各個体から全RNAを抽出し、逆転写後PCR増幅した産物をDdeIで消化した。Kasalath、台中65号由来のmRNAに対応する産物のサイズをKおよびTで示した。
【図6】 Ehd1遺伝子の構造と塩基配列多型を示す図である。
【図7】 Ehd1タンパクのアミノ酸配列の比較を示す図である。台中65号のみに見出された変異アミノ酸の位置を矢印で示した。台中65号、日本晴、Kasalath、IRGC104038のアミノ酸配列をそれぞれ、配列番号:12、9、6、3に記載している。
【図8】 Ehd1 mRNAの蓄積量の日変化を示す写真および図である。播種後4週間の台中65号(T)およびO. glaberrima Steud.(IRGC104038)のEhd1遺伝子の準同質遺伝子系統T65(Ehd1)(N)の葉より全RNAを抽出し、RT-PCR解析を行った。PCR反応は30サイクル行った。
Claims (10)
- イネの開花を促進する機能を有するイネ由来のタンパク質をコードする、下記(a)から(d)のいずれかに記載のDNA。
(a)配列番号:3、6または9に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA。
(b)配列番号:1、2、4、5、7または8に記載の塩基配列からなるDNA。
(c)配列番号:1、2、4、5、7または8に記載の塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするイネ由来の DNA であって、配列番号:3、6または9に記載のアミノ酸配列と 95% 以上の同一性を示すアミノ酸配列を有し、イネの開花を促進する機能を有するタンパク質をコードするDNA。 - 下記(a)から(d)のいずれかに記載のDNA。
(a)請求項1に記載のDNAの転写産物と相補的なアンチセンスRNAをコードするDNA。
(b)請求項1に記載のDNAの転写産物を特異的に開裂するリボザイム活性を有するRNAをコードするDNA。
(c)イネ細胞における発現時に、RNAi効果により、請求項1に記載のDNAの発現を抑制するRNAをコードするDNA。
(d)イネ細胞における発現時に、共抑制効果により、請求項1に記載のDNAの発現を抑制するRNAをコードするDNA。 - イネの開花を促進するために用いる、請求項1に記載のDNA。
- 請求項1から3のいずれかに記載のDNAを含むベクター。
- 請求項1から3のいずれかに記載のDNAまたは請求項4に記載のベクターを保持する形質転換イネ細胞。
- 請求項5に記載の形質転換イネ細胞を含む形質転換イネ。
- 請求項6に記載の形質転換イネの子孫またはクローンである、形質転換イネ。
- 請求項6または7に記載の形質転換イネの繁殖材料。
- 請求項6に記載の形質転換イネの製造方法であって、請求項1から3のいずれかに記載のDNAまたは請求項4に記載のベクターをイネ細胞に導入し、該イネ細胞からイネを再生させる工程を含む方法。
- 請求項1に記載のDNAをイネの細胞内で発現させることを特徴とする、イネの開花を促進する方法。
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