JP3911180B2 - ステント - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、血管の狭窄部の拡張、動脈瘤の開口部の閉塞、前立腺肥大部の尿道拡張による尿道確保等のために体腔内に用いるステントに関する。より詳しくは、本件発明は湾曲した体内管路に挿入・留置し易い、軸方向に対して螺旋(スパイラル)を形成し、かつスパイラル上の連続した凸部が円筒状壁部の曲面上に配置されるので、凸部全体がステントの内方向に斜めの凹面となる円弧状を形成し、体腔内で操作する際に引っかかりの少ない柔軟なステントに関する。
【0002】
【従来の技術】
血管形成術や他の体内管路の治療、あるいは血管の欠陥部分を治療するため、予め拡張時の大きさが決められたバルーンを備えたカテーテルが用いられている。このカテーテルの収縮時のバルーンの円筒部分にステントを被せるように配置して、体内にカテーテルを挿入し、治療部分にバルーンを位置させ、このバルーンに流体を送りこむことによりバルーンを拡張させ、この拡張の力によってステントを拡張するものである。ところが、このステントが軸方向に屈曲し難い場合、ステントは曲がった体内管路を通過し難いという問題があった。また、図7に示すように、特開平2−174859号公報 (米国特許USP5195984の7図)に示されるステントのようにステンレスの細長い部材がステントの軸方向と円周方向に配置されて環状体を形成し、この環状体をステントの軸方向に並べて隣り合う環状体の凸部同士を軸方向に平行なコネクタ部材で連結したパターンを形成しているので、曲げられた場合環状体の連結部分で蝶番のように折れ曲がり、環状体の凸部が突出するような形で曲がりを形成することになり、この凸部の突出部分が曲がった体内管路に引っかかりやすいものであった。更にこの凸部の突出部分は長軸方向に直線状であるため直角方向の力が働くとチュウリップの花びらが開いて外側に反った先端のように外向きに反って曲がりやすくなり引っかかり易くなるという欠点があった。
また、図8に示すように特表2000−5101328号公報(国際公開番号WO98/14137)の図6に示されるステントは、ワイヤを波形に折り曲げて帯状のものを形成し、これを円柱に螺旋状に巻きつけ、螺旋体の端と端をステントの軸方向に平行な蛇行したワイヤの両端に固定している。 このようなステントは、 波形の凸部の面が円筒体に接線方向で接しているので、ステントは円筒体から接線方向に飛び出した形状をしている。また、 螺旋体の端と端を固定するために軸方向に伸びたワイヤは、 ワイヤ同士が重なる部分が出るため、 この重なり部分はワイヤの直径の2倍の厚さとなり、さらに波形凸部を外方に突出させる働きをしている。 このステントを血管等の曲がりくねった体内管路に入れると、その波形凸部が体内管路の内壁に引っかかり易いものであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、曲がった体内管路でも滑らかに挿入でき、体内管路での引っ掛かりを少なくした、体内管路に留置し易いステントを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明のステントは、先端と基端を有する円筒状壁部からなるステントであって;該円筒状壁部は、該円筒状壁部の曲面に沿った底面を持つ断面形状の細長い部材が、リボン状体で円筒状壁部を螺旋状に覆うように配置され;
該リボン状体は、該細長い部材が凸状に張り出した部分と凸状に張り出していない部分を有し、該凸状に張り出した部分はその中心線が、該円筒体の中心軸と平行で該円筒状壁部表面を通る長軸線に対して角度を有し、かつ該凸状に張り出した部分は該円筒状壁部の曲面を構成するよう設けられており;
隣接する該リボン状体の細長い部材同士を連結する、細長い部材で形成された連結部材を有し、該連結部材は、該リボン状体が円筒を一周する距離に対して少なくとも1本あるが、該細長い部材の該凸状に張り出した部分の少なくとも2個は該連結部材で連結されていないことを特徴とするものである。
【0005】
また、 本発明のステントは、第1のリボン状体の凸状に張り出した部分とこれに隣接する第2のリボン状体の凸状に張り出していない部分が該リボン状体の凸状に張り出した部分の中心線方向に互いに入り込むことによって該細長い部材が密度の高い円筒状壁部を構成することを特徴とする。
【0006】
ここで、該細長い部材の該凸状に張り出した部分は、菱形又は楕円形の一部であり、菱形又は楕円形の短軸と交わる部分が隣接する該交わる部分と互いに細長い部材で結合し、全体的に数珠玉のような形態のリボン状体を形成していることを特徴とする。
【0007】
該細長い部材の該凸状に張り出した部分は、連続的な波形又は連続的なジグザク形をしたリボン状体を形成していることを特徴とする。
【0008】
該連結部材は、該リボン状体の螺旋長手方向に沿って全周360度に対して60から180度の間隔で設けられることを特徴とする。
【0009】
該円筒状壁部は、金属又はプラスチックの円筒状壁部の壁面に複数の開口部を設けてなることを特徴とする。
該リボン状体の凸状に張り出した部分の中心線が、該円筒状壁部の中心軸と平行な壁部表面を通る長軸線に対して20から70度の角度を有することを特徴とする。
以下、本発明を図面を参照しながら詳細に説明するが、本発明は図に示した態様に限定されるものではない。
【0010】
本発明のステントの好適実施例を図1に展開図で示す。展開図の縦軸は、円筒状壁部の円周であり、円筒体の半径をrとすれば、長さは2πrである。横軸は、円筒状壁部の長軸方向である。矢印はステントの体内管路への挿入方向を示している。
本発明のステントは、 全体形状として先端1と基端2を有する円筒状壁部3で構成され、ステントのパターンが円筒状壁部の曲面を構成するように設けられている。
【0011】
パターンは細長い部材4で構成されるが、 細長い部材4は、その断面のうちステントの中心軸側に向く底面が円筒状壁部の曲面に沿った曲率を持つ曲線であるが、 それ以外の部分は、断面全体として長方形、 正方形、 これらの面取りまたはR付け形状、 楕円形、 円形、異形状等の種々の形状の線状部材が使用できる。
【0012】
細長い部材4で形成されるパターンの特徴は、細長い部材が凸状に張り出した部分5と凸状に張り出していない部分6を有する。凸状に張り出した部分5と凸状に張り出していない部分6は、図1に示すように波形であってもよいし、 図5に示すようにジグザグ形であってもよいし、図6に示すように楕円であってもよいし、 図示しない菱形であってもよいし、 異形であってもよい。細長い部材が凸状に張り出した部分5と凸状に張り出していない部分6は、 それぞれランダムな形がつながっていてもよいが、 ほぼ同一形状が連続的につながったパターンで形成されればステントを拡張した場合にも血管壁等が均質に支持されるので好ましい。
【0013】
図1の展開図において、AとA’、BとB’、CとC’、DとD’、EとE’ならびにFとF’は、各々連結している。図1の例は2種類のリボン状体が並んだ状態で螺旋状に巻かれたパターンを採っているが、これに限定されず、3種類のリボン状体を並べた状態で螺旋状に巻いたパターンであっても良いし、1種類を螺旋状に巻いたパターンとしても良い。この揚合は、後述の隣接するリボン状態が互いに入り込む構成としてもよく、螺旋を寝かせて巻くことにより、凸状に張り出した部分5と凸状に張り出していない部分6の振幅を変えなくても、 リボン状体が重なったパターンを形成できる。
【0014】
図2は、ステントを、 円筒状壁部3を形成した側面から見た展開図を示す。この例は、第1のリボン状体21の凸状に張り出した部分5と、これに隣接する第2のリボン状体22の凸状に張り出していない部分6が、凸状に張り出した部分5の中心線10の方向に互いに入り込む構成を採っているので、細長い部材が密度の高い壁部を構成することが出来、ステントが拡張された場合にも血管壁等が充分支持できる。2〜3種類のリボン状体を螺旋状に巻いたパターンとすると互いに入り込む距離を大きく取ることが出来、細長い部材の円筒状壁部での密度を高くできる。
【0015】
ここで、該細長い部材の該波形凸状に張り出した部分5は、図2で点線で示すその中心線10が円筒状壁部の中心軸と平行な壁部表面を通る長軸線に対して角度を有するように設けられている。図7で示した従来例のステントでは凸部が該円筒体の中心軸と同じ方向であるので、 ステント全体が血管等に沿って曲げられた場合凸部が突出し体内管路に引っかかる欠点があるが、 本発明のステントはこのような欠点がない。本発明のステントの凸状に張り出した部分5は、 後述するように全体が円筒状壁部の曲面に沿った円弧状体を形成しているのでさらにこの欠点が改善される。
【0016】
該細長い部材の該波形凸状に張り出した部分5は、その中心線10が、該円筒体の中心軸と平行な壁部表面の長軸線と20から70度、さらに好ましくは30から60度の角度を有することが、凸状に張り出している部分全体を円弧状体とする上で望ましい。このような形態を取ることにより、該細長い部材の凸状に張り出した部分5は、該円筒状壁部の円周の曲がりに沿った円弧状体を形成する。
【0017】
このことを図2のステントを側面から見た展開図で説明する。図2では、螺旋長手方向は斜め右上に45度に延びた細線8で示され、1本のリボン状体が円筒体の中心軸方向と45度で交わる場合に、螺旋のピッチ80は円筒状壁部の長軸線上で2πrとなるので、波形凸状に張り出した部分9全体は、細線8に対して90度の角度で位置する。この場合の螺旋の巾11は、点線10で示した長さであり、
【0018】
【数1】
Figure 0003911180
螺旋の巾と楕円の円周との比は約0.58となる。したがって、波形凸状に張り出した部分は、円筒状壁部に沿った円弧状体で、 その円周長の0.58倍以上を占める。
【0019】
図2で示すリボン状態が1種類で形成され、1本のリボン状態が重なるようにしたパターンを取った時の波形凸状に張り出した部分9の長さは、螺旋の巾11より図示するように長いので、波型凸状に張り出した部分9は、蟹が足で獲物を抱えているように、楕円を波形凸状に張り出した部分で抱えているように円筒体を抱える形態になる。このような形態をそれぞれの波形凸状に張り出した部分が取ることによつて、バルーンからステントが脱落せず、波形凸状に張り出した部分がバルーンに巻き付いているので、蛇行血管への挿入に対してステントが体内管路に引っかかることが少ない。
【0020】
また、波形凸状に張り出した部分が、点線で示す中心線10の方向で円筒体を切断した断面が示す楕円形の円周長の半分もない短いパターンであってもよく、その場合でも全体が円弧状体の形態をしているので、反対方向には反り難くなり、蛇行血管への挿入に対してステントが体内管路に引っかかり難くなることは明白である。
【0021】
次に、隣接する該リボン状体の該細長い部材同士を結合する細長い部材で形成された連結部材7が、該リボン状体の螺旋8方向に対して角度を持って設けられている。また、該連結部材7は、該ステントの拡張・縮径の際のステントの直径の変化に伴う該細長い部材の変形前後において、該リボン状体の中心線10の距離が実質的に同じになるように連結されている。また、該連結部材7は該リボン状体の一周(360度)に対して少なくとも1本設けられているが、該細長い部材の該波形凸状に張り出した部分の少なくとも2個は該連結部材7で連結されていないパターンとすることがステントの柔軟性の確保に好ましい。
【0022】
次に、連結部材7は、図3の連結部材17で示されるように、 曲線であってもよいし、連結部材7で示されるように直線であっても良い。曲線であればステント全体の柔軟性に寄与することができるが、直線であればステントの径の拡張・縮径に伴うステント長の変化を実質的起こさないようにできるので主たる個所で直線であるのが好ましい。また連結部材7の設けられる位置である連結個所は、図1の連結部材7では、隣接するリボン状体同士の波形が並列的なパターンで同じ向きに並んでおり、この波形の頂部同士を該細長い部材で形成された該連結部材7で連結した例が開示されている。この連結部材7の波形の頂部同士の連結に代えて、図4に示しているように波形の変曲点同士を連結しても同じ作用効果が得られる。また、この連結部材の波形の頂部同士の連結に変えて、波形の底部同士(反対側からみれば頂部同士)を連結しても同様の作用効果が得られる。図4に示す変曲点同士の連結がステントの径の拡張・縮径に伴う凸状に張り出した部分や凸状に張り出していない部分の変形に好ましい。
【0023】
さらに、本発明のステントの円筒状壁部にはカバー部材を被覆することもできる。カバー部材は、生物学的に不活性な、または適合性のある材料の膜であり、柔軟でステントの拡張・縮径を妨げず、ステントの外面を被覆して血管内を円滑に移動させたり、血管修復を補助したり、生体適合性を付与したり、 膜内に含有される薬剤を除放したりすることができる。膜の材料は多孔性ポリウレタン、 テフロン(登録商標)、 フッ素樹脂等が例示され、 生体分解性または生体吸収性の材料で作られていても良い。カバー部材を有する場合も上記の本発明のステントの作用効果は変わらない。
【0024】
本発明のステントの製造方法は、上記した該細長い部材のパターンを、先端と基端を有するステンレス製等の円筒体の壁表面に張り付けて、このパターン以外の壁部をレーザエッチング、化学エッチング等のエッチング技術で溶かして開口部を形成することができる。あるいは、円筒体の壁部を、コンピュータに記憶させたパターン情報に基づいてレーザカット技術により、パターン通りに切断することによって開口部を形成することもできる。このレーザーカット技術はプラスチック製円筒体の壁部にも利用することができる。ステントの円筒体の壁部を構成する材料は、 銀、 タンタル、 ステンレス鋼、金、チタン等の金属板、形状記憶合金等の金属、または種々の高分子からなるプラスチック材料または生体分解性または生体吸収性プラスチックなどが用いられる。
【0025】
次に、使用法であるが、本発明のステントをバルーンカテーテルのバルーンの円筒部分に被せて固定し、体内血管に挿入したガイディングカテーテルの基端から挿入し、目的部位の血管、例えば狭窄部位までステントを導入する。次に、バルーンに流体を加圧して導入することによってバルーンは所定の径まで拡張される。このとき、バルーンの拡張に伴ってステントも拡張される。ステントが所定の径まで拡張したら、バルーン内の流体を抜いてバルーンを萎ませる。その後バルーンカテーテルを抜去し、ガイディングカテーテルを抜去し、イントロデユーサを抜去して血管閉塞部の拡張手技は終了する。
【0026】
次に、本発明のステントは、凸状に張り出した部分と凸状に張り出していない部分とを1セットとして一波長とした場合、拡張時には拡張倍率だけ波形の波長が伸びるだけで螺旋の周回回数は変わらないので、拡張された場合であっても従来の螺旋形ステントのようにステント長が短くなることがなく、ステント長は変わらない。
【0027】
また、本発明のステントは、曲がった血管内をステントが通るとき、ステントの細長い部材のパターンは全体的に螺旋形態をなしているので、滑らかな曲線を描いて曲がり、かつ曲がり方が柔軟である。
【0028】
また、本発明のステントは、細長い部材で形成された連結部材が螺旋のピッチを常にほぼ一定に保つように構成するので、曲がった血管内においてステントが曲がってもステントの長さは伸びることはなく、常にほぼ一定の長さを保っている。
【0029】
さらに、本発明のステントは、曲がった血管内においても、凸状に張り出した部分自体が円弧状体であるので、常にステントの外側に対しては丸まった背を向けているので、血管内での操作上引っかかることがない。これは真っ直ぐ薄い板の場合は、厚みが薄い方のどちら側にも同じように曲がるが、曲がり癖を持った薄い板は曲がった方向にはさらに大きく曲げやすいが、曲った方向とは反対方向、即ち曲がりを矯正する方向には曲げ難いことからも理解し得るものである。
【0030】
以下に実施例により本発明を具体的に説明するが、 本発明はこれに限定されるものではない。
【0031】
【実施例】
(実施例1)
本発明のステントの実施例1を図1に図示する。
実施例1のステントは、図1に展開図を図示するように、先端1と基端2を有するステンレス製円筒状壁部3を有し、該円筒状壁部はステンレス製の細長い部材4から構成され、該細長い部材は波形が凸状に張り出した部分5と凸状に張り出していない部分6を繰り返し有するリボン状体で円筒状壁部に蝶旋状に巻きついている。図1の例では、リボン状体の波形が凸状に張り出した部分5と、これに隣接する該リボン状体の該波形が凸状に張り出していない部分6が、互いに入り込むことによって該細長い部材の密度の高い壁部を構成している。
また、 第1のリボン状体の凸状に張り出した部分5は、隣接する第1のリボン状体の凸状に張り出していない部分6を経て、 第2のリボン状体の凸状に張り出した部分51と連結部材7で連結されている。この連結位置は、 ステントが拡張された場合でも、 収縮された場合でも、 リボン状体の螺旋のピッチが変らないので、ステント長も実質的に変らない。 したがってステントの拡張、 収縮前後における長さの計算は全く不要である。
【0032】
(実施例2)
別の実施例を図5に展開図として図示する。この実施例2と前記実施例1との違いは、前記実施例1が波形の連続模様を基本のパターンにしているのに対し、この実施例2は、ジグザグ形の連続模様を基本のパターンとしている。また、実施例2のジグザグパターンは1本のリボン状体が巻かれた状態と同じである。AとA’、BとB’・・・GとG’ならびにHとH’はそれぞれ繋がった状態で円筒状壁部を形成する。したがって、この実施例2も実施例1と同様の作用効果を有する。
【0033】
(実施例3)
本発明のステントの別の実施例を図6によって説明する。この実施例3と前記実施例1との違いは、前記実施例1が波形の連続模様を基本のパターンにしているのに対し、この実施例3は、楕円形の縁13が該細長い部材で形成されており、楕円形に囲まれた部分は開口部14となっている。また、楕円形の縁の短軸との交点同士15、25を該細長い部材で形成された棒部材16で結合し、この結合の繰り返しにより全体的に数珠玉のような連続模様18をした基本パターンの形態を取っている。その他は、前記実施例1の波形の連続模様の基本パターンと同じである。ここで、この実施例3のリボン状部材(基本パターン)同士は、隣り合う前記結合部材同士を該細長い部材で形成された連結部材7で結合することによって、前記実施例1と同様の作用効果が得られる。
【0034】
(実施例4)
本発明のステントの別の実施例について説明する。この実施例4と前記実施例3との違いは、前記実施例3が楕円形の縁部分が該細長い部材で形成されているのに対し、この実施例4は、菱形の縁部分が該細長い部材で形成されている点以外は、同じである。従って、この実施例4も実施例3と同様の作用効果を有する。
【0035】
(実施例5)
本発明をさらに柔軟にした別の実施例について説明する、 この実施例5と前述の実施例1との違いは、 実施例1の連結部材が直線状であるのに対し、 実施例5は図3に示すU字形状を有する蛇行した連結部材17を有する。 その他の構成は同じである。実施例5も実施例1と同じ作用効果を持ち、 さらに円筒体の長軸線方向の曲げに対して柔軟であるという作用効果を持つ。連結部材はU字形状以外にW字形状、N字形状、波形、 ジグザグ形状であっても良い。また、 実施例2〜4において実施例5で示した蛇行した連結部材を用いれば、 実施例5と同様の長軸方向の曲げに柔軟な作用効果を有するようになる。
【0036】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明のステントは、該細長い部材が、凸状に張り出した部分と凸状に張り出していない部分が連続するリボン状体で螺旋状に形成され、該リボン状体の該凸状に張り出した部分とこれに隣接する該リボン状体の該凸状に張り出していない部分が互いに入り込む構造とすれば、該細長い部材の密度の高い壁部が構成されている。 したがってステントが拡張された状態でも、拡張倍率だけ凸状に張り出した部分と凸状に張り出していない部分が伸びるだけで螺旋の周回回数は変わらず、従来の螺旋形ステントのようにステント長が短くなることがなく、ステント長は拡張の前後によって変わらない。
【0037】
また、本発明のステントは、隣接するリボン状体の細長い部材同士を結合する細長い部材で形成された連結部材が該リボン状体の長手方向に対して交差する角度で設けられ、該連結部材は該ステントの直径の変化に伴う細長い部材の変形前後において該リボン状体の中心軸間の距離は実質的に同じであるので、曲がった血管内においてステントが曲がってもステントの長さは伸びることはなく、常にほぼ一定の長さを保っている。
【0038】
また、本発明のステントは、連結部材はリボン状体の一周に対して少なくとも1本あり、細長い部材の凸状に張り出した部分はその中心線が該円筒体の中心軸と平行な該円筒状壁部表面を通る長軸線に対して交差する角度を有し、該細長い部材の該凸状に張り出した部分の少なくとも2個、好ましくは3個は該連結部材で連結されていないので、ステントの細長い部材のパターンの螺旋形態も加わって、曲がった血管をステントが通るとき、滑らかな曲線を描いて曲がり、かつ曲がりは柔軟である。
【0039】
また、本発明のステントは、該円筒状壁部の曲面の曲がりに沿った円弧状体を形成しているので、常にステントの外側に対しては丸まった背を向け、血管内での操作上引っかかることがない。
【0040】
また、本発明のステントは、細長い部材の凸状に張り出した部分は、その中心線が円筒状壁部の中心軸と平行な円筒状壁部表面の長軸線と20から70度、さらに好ましくは30から60度の角度とすることにより、曲がった血管内においても、凸状に張り出した部分全体が円弧状体を示すため引っ掛かりを防ぐことができる。
【0041】
また、本発明のステントは、リボン状態が円筒状壁部を螺旋状に覆うように配置され、該連結部材が、リボン状体の螺旋方向に沿って全周360度のうち60から180度の間隔で設けられることにより、曲がった血管をステントが通るとき、滑らかな曲線を描いて曲がり、かつその曲がりが柔軟である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例を示す展開図である。
【図2】 本発明の実施例の該凸状に張り出した部分の形態を示す側面から見た展開図である。
【図3】 本発明の別の実施例を示す展開図である。
【図4】 本発明の実施例の別の連結部材を示す部分展開図である。
【図5】 本発明の別の実施例を示す展開図である。
【図6】 本発明の別の実施例を示す部分展開図である。
【図7】 従来技術のステントを示す斜視図である。
【図8】 従来技術のステントを示す斜視図である。
【符号の説明】
1 基端
2 先端
3 円筒状壁部
4 細長い部材
5、51 凸状に張り出した部分
6 凸状に張り出していない部分
7、17 連結部材
8 螺旋の長手方向(細線)
9 波形凸状に張り出した部分
10 中心線
11 螺旋の巾
14 開口部
15、25 交点
16 棒部材
18 連続模様
21 第1のリボン状体
22 第2のリボン状体
80 螺旋のピッチ

Claims (7)

  1. 先端と基端を有する円筒状壁部からなるステントであって;
    ステントのパターンが該円筒状壁部の曲面を構成するように設けられ、かつ細長い部材で構成されており、該細長い部材は、リボン状体および連結部材からなり;
    該リボン状体は、該円筒状壁部を螺旋状に覆うように配置され、かつ凸状に張り出した部分と凸状に張り出していない部分を有し、該凸状に張り出した部分は、その中心線が、該円筒体の中心軸と平行で該円筒状壁部表面を通る長軸線に対して角度を有し、かつ該凸状に張り出した部分は該円筒状壁部の曲面を構成するよう設けられており;
    該リボン状体がなす螺旋の巾が、該凸状に張り出した部分の中心線と該円筒状壁部表面を通る長軸線との角度に沿って該円筒体を切断することで形成される楕円の円周長の0.58倍以上であり;
    該連結部材は、隣接する2つの周を形成するリボン状体同士を連結するが、該リボン状体の該凸状に張り出した部分の少なくとも2個は該連結部材で連結されていないことを特徴とするステント。
  2. 第1のリボン状体の凸状に張り出した部分とこれに隣接する第2のリボン状体の凸状に張り出していない部分が該リボン状体の凸状に張り出した部分の中心線方向に互いに入り込むことによって該細長い部材が密度の高い円筒状壁部を構成する請求項1に記載のステント。
  3. リボン状体の該凸状に張り出した部分は、連続的な波形又は連続的なジグザク形をしたリボン状体を形成していることを特徴とする請求項1または2に記載のステント。
  4. リボン状体の該凸状に張り出した部分は、菱形又は楕円形の一部であり、菱形又は楕円形の短軸または長軸と交わる部分が隣接する該交わる部分と互いに細長い部材で結合し、全体的に数珠玉のような形態のリボン状体を形成していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のステント。
  5. 該連結部材は、該リボン状体の螺旋長手方向に沿って全周360度に対して60から180度の間隔で設けられることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のステント。
  6. 該円筒状壁部は、金属又はプラスチックの円筒状壁部の壁面に複数の開口部を設けてなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のステント。
  7. 該リボン状体の凸状に張り出した部分の中心線が、該円筒体の中心軸と平行な壁部表面を通る長軸線に対して20から70度の角度を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のステント。
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