JP3908993B2 - X線ct装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はX線CT装置に関し、更に詳しくは、被検体を挟んで相対向するようにX線管及びX線検出器を備え、X線検出器の検出信号に基づき被検体のCT断層像を再構成するX線CT装置に関する。
【0002】
X線CT装置を使用した診断では、IEC規格に従い、被検体のCT撮影による被曝線量値(CTDIw:Computed Tomography Dose Index)を表示することを推奨している。以下、具体的に説明する。
【0003】
【従来の技術】
図11,図12は従来技術を説明する図(1).(2)であり、図11(A)は走査ガントリ部30の要部構成図を示している。図において、40はX線管、50はX線のスライス厚Tを制御するコリメータ、90は多数のX線検出素子がチャネルCHの方向に配列するX線検出器、そして、60は不図示の撮影テーブル(クレイドル)の先端部に取り付けられたCT線量測定用の基準ファントム(CT dosimetry phantom)である。このような構成により、従来は、予め、基準ファントム60を使用した線量の測定値を基に、被検体のCT撮影による被曝線量値を一律に表示していた。以下、具体的に説明する。
【0004】
図12は基準ファントム60を説明する図であり、図12(A)は身体用ファントム60Bの斜視図を示している。図において、ファントム60Bのボディー61は、均質なアクリル樹脂(PPMA:polymethylmethacrylate)の円柱様体からなっており、その直径φは、被検体の典型的な胴部サイズを代表するようなφ=32cm、及びその厚さは14cm以上となっている。更に、このファントム60Bには、ボディー61のz軸(被検体体軸CLbに相当)と平行な中央部c及びその外周から各1cm内側の計4箇所pに、線量を測定するための夫々実効長が10cmのペンシル型イオンチェンバ(pencil ionisation chamber)62が挿入されている。
【0005】
図12(B)は頭部用ファントム60Hの斜視図を示しており、その直径φは、被検体の典型的な頭部サイズを代表するようなφ=16cmとなっている。その他の構成については上記ファントム60Bと同様である。
【0006】
図11(A)に戻り、このようなX線CT装置の出荷時には、予め基準ファントム60B(60Hも同様)を使用して該装置の規格化されたCT被曝線量値CTDIwを求めておく。その方法を具体的に言うと、まず、X線管40,X線検出器90を含むX線撮影系(ガントリ)を基準ファントム60Bの回りに1回転させた時の線量プロフィールD(z)をファントム60Bに挿入した各位置c,pのイオンチェンバ62により測定する。
【0007】
図11(B)に線量プロフィールD(z)の例を示す。線量プロフィールD(z)は、ガントリ1回転のスキャンによりイオンチェンバ62で検出されたz軸に沿った線量を表す。中央のスライス厚Tの所で高い線量を示すが、実際のX線ファンビームXLFBにはz軸方向に多少の広がりがあるため、その線量プロフィールD(z)にも図示の様な広がりがある。但し、実際上は、実効長100mmのペンシル型イオンチェンバ62を使用することで、有効長100mm分の測定を行っている。
【0008】
これらの測定結果を基に、z軸方向の規格化された単位長当たりのCT線量値(CTDI:Computed Tomography Dose Index)は(1)式により与えられる。
【0009】
【数1】
【0010】
ここで、T:スライス厚
D(z):線量プロフィール(dose profile)
次に、z軸方向の単位長及び1mAs当たりの規格化された平均線量nCTDIwは、ファントム60Bの中央部cと周辺部pにおける各CTDIw値を所定の割合で加算(加重平均)することにより(2)式で与えられる。
【0011】
【数2】
【0012】
ここで、 C:X線源の放射線量(mAs)
CTDI100,c:ファントム中心部cの厚さ100mmに制限されたCT DI値
CTDI100,p:ファントム周辺部pの厚さ100mmに制限された4つ のCTDI値の平均値
そして、従来のX線CT撮影で使用される被検体体軸方向の単位長当たりの平均線量CTDIwは、nCTDIwにC(=mAs)を掛けたものとして、(3)式で与えられる。
【0013】
【数3】
【0014】
ここで、C:X線源の放射線量(mAs)
更に、CT撮影のスライス厚T及びスライス数Nを考慮した場合の1撮影当たりの線量DLP(Dose-Length Product)は(4)式で表される。
【0015】
【数4】
【0016】
ここで、i:各シリアルスキャンシーケンス
T:各スライス厚
N:スライス数
また、ヘリカルスキャンの場合の線量DLPは(5)式で表される。
【0017】
【数5】
【0018】
ここで、T:公称スライス厚(cm)
A:管電流(mA)
t:トータルのX線曝射時間
このような規格の下で、従来は、被検体の体型(大人,幼児,やせ型,標準型,肥満型等)によらず、予め身体用及び頭部用の各基準ファントム60B,60Hを使用して測定したCTDIw値に基づき、被検体のCT被曝線量を一律に表示していた。即ち、被検体の頭部を撮影した場合は、頭部用ファントム60Hを使用して測定した正規化線量値nCTDIwを基に、また胴体部を撮影した場合は、胴体用ファントム60Bを使用して測定した正規化線量値nCTDIw値を基に、被検体のCT被曝線量値CTDIw,DLPを求めて画面に表示していた。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来方式によるCT被曝線量には、患者毎に異なるような体型(被検体サイズ)の情報が何ら反映されていないため、特にサイズの小さい幼児や子供等を撮影した場合には、そのCT被曝線量が実際よりも低く見積もられる傾向にあり、非常に危険であった。
【0020】
本発明は上記従来技術の問題点に鑑みなされたもので、その目的とする所は、被検体の体型に応じた被曝線量を提供できるX線CT装置を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】
上記の課題は例えば図1の構成により解決される。即ち、本発明(1)のX線CT装置は、被検体100を挟んで相対向するようにX線管40及びX線検出器90を備え、X線検出器の検出信号に基づき被検体のCT断層像を再構成するX線CT装置において、異なるサイズの線量検出用ファントム60につき、予め検出され、作成されたサイズ対線量の関係を規定した情報を記憶している記憶手段1と、被検体を少なくとも1方向からスカウトスキャンして得た各チャネルの投影データに基づき該被検体体軸に垂直な断面のサイズ情報を求めるサイズ情報演算手段2と、前記求めたサイズ情報に基づき、前記サイズ対線量の関係を規定した情報を参照して、被検体のCT撮影による被曝線量を求める線量演算手段3とを備えるものである。
【0022】
本発明(1)によれば、被検体を少なくとも1方向からスカウトスキャンして得た各チャネルの投影データに基づき該被検体体軸に垂直な断面のサイズ情報を求めることが可能なため、被検体の体型に応じた被曝線量を提供できると共に、スカウト撮影による被検体の被曝線量が少ない。
【0023】
本発明(2)では、上記本発明(1)において、サイズ情報抽出手段2は、被検体をスカウトスキャンして得た各チャネルの投影データから撮影テーブル20の線減弱分を除去する手段と、前記除去後の投影データから所定の閾値を下回るようなチャネルデータを抽出する手段と、前記抽出した各チャネルデータと、X線管のビーム強度を表す基準データとに基づき、被検体断面につき予め規定された平均の線減弱係数を使用して、被検体断面の線透過経路長tを求める手段とを備えるものである。
【0024】
本発明(2)によれば、被検体断面につき予め規定された平均の線減弱係数を使用することにより、被検体を少なくとも1方向からスカウトスキャンするだけで、各チャネルの投影データに基づき被検体断面のサイズ情報が、容易に、より正確に求まる。
【0025】
本発明(3)では、上記本発明(2)において、サイズ情報演算手段2は、前記求めた線透過経路長tのうちの最大のものを検出して被検体断面のサイズを特定するための第1の軸長aとする手段を更に備えるものである。従って、一般に楕円形となるような、被検体断面の形状を特定するための第1の軸長aを容易に検出できる。
【0026】
本発明(4)では、上記本発明(3)において、サイズ情報演算手段2は、前記抽出したチャネルデータの個数mにX線検出器のチャネルピッチΔCPを掛けたものを被検体断面のサイズを特定するための第2の軸長bとする手段を更に備えるものである。従って、前記第1の軸長aに直交するような第2の軸長bを容易に検出でき、被検体断面の形状(サイズ)を正確に特定できる。
【0027】
本発明(5)では、上記本発明(4)において、線量演算手段3は、被検体断面のサイズを特定する短軸長の情報a(又はb)に基づき、サイズ対線量の関係を規定した情報を参照して、対応するmAs当りの線量nCTDIwを求める手段と、前記求めた線量nCTDIwを被検体断面の楕円率で補正する手段と、前記補正後の線量nCTDIw’にCT撮影で採用されるmAsを乗算して被検体体軸方向の単位長当たりの線量CTDIwを求める手段とを備えるものである。従って、被検体の実際のCT撮影前に、該CT撮影を行った場合の各被検体断面の被曝線量CTDIwを適正に推定できる。
【0028】
本発明(6)では、上記本発明(5)において、線量演算手段3は、前記求めた各単位長当たりの線量CTDIwを被検体体軸の方向に加算して被検体のCT撮影当りの被曝線量DLPを求める手段を更に備えるものである。従って、被検体の実際のCT撮影前に、該CT撮影を行った場合の被検体の被曝線量DLPを適正に推定できる。
【0029】
また本発明(7)のX線CT装置は、被検体を挟んで相対向するようにX線管及びX線検出器を備え、X線検出器の検出信号に基づき被検体のCT断層像を再構成するX線CT装置において、被検体を少なくとも1方向からスカウトスキャンして得た各チャネルの投影データに基づき該被検体体軸に垂直な断面のサイズ情報を求めるサイズ情報演算手段2と、前記求めた所定のサイズ情報に基づき、該被検体を所定の管電流でCTスキャンした場合に得られるであろうCT断層像についてのCT値の標準偏差値σ’から、目標の標準偏差値σを得るための管電流を求める管電流演算手段4とを備えるものである。
【0030】
本発明(7)によれば、被検体を少なくとも1方向からスカウトスキャンしただけで、該スカウト像データから被検体断面のサイズ情報を正確に抽出できると共に、このサイズ情報に基づき、CTイメージについて所要のS/N値(即ち、CT値雑音の標準偏差値σ)を得るための基準となる最適の管電流(mA又はmAs)を自動的に設定できる。
【0031】
本発明(8)では、上記本発明(7)において、入力された目標の線量値DoseからCT断層像についてのCT値の目標の標準偏差σを求める手段を更に備えるものである。
【0032】
本発明(8)においては、もし技師が被検体の被曝線量を優先して、目標の線量値Doseを入力すると、該線量Doseに対応する目標の標準偏差σが自動的に求められ、これに基づきCT撮影のための管電流が決定される。従って、被検体の許容被曝線量を優先した制御が容易に行える。
【0033】
本発明(9)では、上記本発明(7)において、前記求めた目標の標準偏差値σを得るための管電流を、被検体断面の前記所定のサイズ情報と各サイズ情報との比に応じて変更する手段を更に備えるものである。
【0034】
本発明(9)によれば、上記本発明(7)で決定された基準となる管電流(mA又はmAs)が、被検体断面の各サイズ情報に応じて更に変更可能であるため、CTイメージの所要のS/N値を維持しつつ、かつ被検体の被曝線量を最小限にできる。
【0035】
また、本発明(10)の線量測定方法は、被検体を挟んで相対向するようにX線管及びX線検出器を備え、X線検出器の検出信号に基づき被検体のCT断層像を再構成するX線CT装置の線量測定方法であって、被検体を少なくとも1方向からスカウトスキャンして得た各チャネルの投影データと、X線管のビーム強度を表す基準データとに基づき、被検体断面につき予め規定された平均の線減弱係数を使用して、被検体体軸に垂直な断面の線透過経路長を求めるステップを備えるものである。従って、被検体を少なくとも1方向からスカウトスキャンするだけで、被検体断面の正確なサイズ情報(即ち、被検体の体型を表す情報)が得られる。
【0036】
本発明(11)では、上記本発明(10)において、前記求めた線透過経路長のうちの最大のものを検出して被検体断面のサイズを特定するための第1の軸長とするステップと、前記求めた線透過経路長の個数にX線検出器のチャネルピッチを掛けたものを被検体断面のサイズを特定するための第2の軸長とするステップと、前記第1,第2の軸長の一方で、サイズ対線量の関係を規定した所定の情報を参照して、対応する線量を求めるステップとを備える。
【0037】
本発明(12)では、上記本発明(11)において、前記求めた線量を第1,第2の軸長の比よりなる楕円率で補正するステップと、前記補正後の線量に基づき被検体のCT撮影による被曝線量を求めるステップと、前記求めた被曝線量を表示するステップとを備える。従って、一般に楕円形となるような被検体断面のサイズに応じた線量を正確に求められる。
【0038】
本発明(13)では、上記本発明(12)において、前記被曝線量を表示後の技師に、CT撮影に係るスキャンパラメータの入力を促すステップと、前記入力後のスキャンパラメータに基づき被検体の被曝線量を演算するステップと、前記求めた被曝線量を表示するステップとを備える。従って、技師は、被検体の予測被曝線量を参考にしつつ、CT撮影に関するスキャンパラメータを容易に適正に設定できる。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に従って本発明に好適なる実施の形態を詳細に説明する。なお、全図を通して同一符号は同一又は相当部分を示すものとする。
【0040】
図2は実施の形態によるX線CT装置の要部構成図で、該装置は、X線ファンビームXLFBにより被検体100のアキシャル/ヘリカルスキャン・読取等を行う走査ガントリ部30と、被検体100を載せて体軸CLbの方向に移動させる撮影テーブル20と、前記走査ガントリ部30及び撮影テーブル20の制御を行うと共に、X線撮影技師が各種の設定・操作を行う遠隔の操作コンソール部10とを備える。
【0041】
走査ガントリ部30において、40は回転陽極型のX線管、40AはX線管の管電圧kV、管電流mA等を制御するX線管制御部、50はX線のスライス厚を制限するコリメータ、50Aはコリメータ制御部、90はチャネルCH方向に並ぶ多数(n=1000程度)のX線検出素子が体軸CLb方向の例えば2列L1,L2に配列されているX線検出器(マルチディテクタ)、91はX線検出器90の検出信号に基づき被検体100の投影データg1(X,θ),g2(X,θ)を生成し、収集するデータ収集部(DAS)、35はこれらX線撮影系に係る各機器を体軸CLbの回りに回転自在に支持するガントリ、35Aはガントリ35の回転制御部である。
【0042】
操作コンソール部10において、11はX線CT装置の主制御・処理(スキャン制御、CT断層像の再構成、X線被曝量表示に関する各種処理)を行う中央処理装置、11aはそのCPU、11bはCPU11aが使用するRAM,ROM等からなる主メモリ(MM)、12はキーボードやマウス等を含む指令やデータの入力装置、13はスキャン計画情報、CT断層像、X線被曝量に関する各種情報を表示するための表示装置(CRT)、14はCPU11aと走査ガントリ部30及び撮影テーブル20等との間で各種制御信号CSやモニタ信号MSのやり取りを行う制御インタフェース、15はデータ収集部91からの投影データを一時的に蓄積するデータ収集バッファ、16はスキャン(投影)データやCT断層像のデータを最終的に蓄積・格納すると共に、X線CT装置の運用に必要な各種アプリケーションプログラムや各種演算/補正用のデータファイル等を格納している2次記憶装置(ハードディスク装置等)である。
【0043】
CT撮影の基本的な動作を概説すると、X線管40からのX線ファンビームXLFBは被検体100を透過してX線検出器90の検出列L1,L2に一斉に入射する。データ収集部91はX線検出器90の各検出出力に対応する投影データg1(X,θ),g2(X,θ)を生成し、これらをデータ収集バッファ15に格納する。ここで、XはX線検出器90の検出チャネル1〜n、θは体軸CLbの周りのビュー角を表す。更に、ガントリ35が僅かに回転した各ビュー角θで上記同様の投影を行い、こうしてガントリ1回転分の投影データを収集・蓄積する。また同時に、アキシャル/ヘリカルスキャン方式に従って撮影テーブル20を体軸CLb方向に間欠的/連続的に移動させ、こうして被検体100の所要撮影領域についての全投影データを収集・蓄積する。そして、CPU11aは、上記全スキャンの終了後、又はスキャン実効に追従(並行)して、得られた投影データに基づき被検体100のCT断層像を再構成し、これを表示装置13に表示する。本実施の形態では、被検体のスカウトスキャンで得られた投影データを利用して、被検体のCT撮影による被曝線量を推定し、画面に表示可能となっている。以下、詳細に説明する。
【0044】
図9は実施の形態による線量変換テーブル作成処理のフローチャート、図10は該処理のイメージ図であり、予め各種サイズ(直径φ)の基準となるファントム60を使用してファントム直径φ−線量nCTDIwの線量変換テーブルを作成する処理を示している。
【0045】
図9において、ステップS111では撮影テーブル(クレイドル)20の先端部に基準ファントム(例えば60B)を装着する。そのイメージを図10(A)に示す。ステップS112では技師がスキャンパラメータ(管電圧kV,管電流mA,X線曝射時間s等)を設定する。ステップS113では基準ファントム60Bのスキャン(1スライス分)を行い、ステップS114では各イオンチェンバ62からの収集データD(z)に基づき、上記(2)式に従ってz軸方向の単位長及び1mAs当たりの規格化された平均線量nCTDIwを求める。ステップS115では全サイズφの基準ファントムについて測定を終了したか否かを判別し、終了でない場合はステップS111に戻り、他のサイスの基準ファントム(例えば60H)をセットして上記同様の測定を行う。好ましくは、上記ファントム60B,60Hの以外にも、直径φ=10〜60cmをカバーするような各種サイズの基準ファントム60が用意され、線量測定に供される。そして,やがて、ステップS115の判別で、全サイズの基準ファントムの測定を終了すると、ステップS116では、各ファントムサイズφの対応に線量値nCTTDIwを関係付けた線量変換テーブルを作成する。
【0046】
図10(B)に一例の線量変換テーブルのグラフ図を示す。縦軸は上記(2)式の線量値nCTDIw、横軸はファントム直径φである。但し、この縦軸は線減弱無しの場合の最大線量値nCTDIw=1に正規化して、各線量値nCTDIwが1/10〜1/1000になる場合をプロットしている。図において、特性μaはアクリル樹脂の基準ファントム60に対するものであり、nCTDIwの各実測値が黒点でプロットされている。これらの中間の各値は、各基準ファントムの線減弱係数μaが一定であることにより、計算で補間されている。
【0047】
なお、特性μbは骨に対するものであり、実際に骨ファントムを使用して測定したものではないが、骨の線減弱係数μbが既知(水の2倍程度)であることから、計算により特性μbを求められる。同様にして、任意の物質μm(<μa)に対する特性μmを計算可能である。但し、本実施の形態では、人体の線減弱係数の平均値がアクリル樹脂の線減弱係数μaに等しいものとして扱っている。
【0048】
図3〜図5は実施の形態によるX線CT撮影処理のフローチャート(1)〜(3)であり、予め取得した被検体のスカウト像データに基づき、続くCT撮影を行った場合の被検体の予測被曝線量値を、該被検体の体型(大人,子供,肥満,痩せ型等)に応じてより正確に提供可能な場合を示している。また、図6は線量推定処理のイメージ図、図7はスキャン計画情報設定処理のイメージ図である。
【0049】
図3にメイン処理を示す。ステップS11では技師が被検体のスカウトスキャンのためのスキャンパラメータ(管電圧kV,管電流mA等)を設定する。通常はデフォルト値が使用される。ステップS12では被検体100のスカウトスキャンを行う。図6(A)にスカウトスキャンのイメージを示す。スカウトスキャンとは、ガントリ(X線撮影系40,50,90)35を所定のビュー角(例えば図示の如くθ=0°)に固定したままで、撮影テーブル20を被検体体軸CLbの方向に一定速度で移動させ、被検体100の透視映像(レントゲン像)を得るスキャンを言う。ステップS13ではこうして得られたスカウト像データ(投影データ)に基づき、引き続き被検体100をCT撮影した場合における該被検体の被曝線量を、その体型に応じてより正確に推定する。以下、この処理を具体的に説明する。
【0050】
図4に被曝線量推定処理を示す。ステップS31では上記ステップS12で取得したスカウト像データから体軸CLbに垂直な方向のラインデータ(投影データ)を抽出する。図6(B)にスカウト像データのイメージを示す。また図6(C)にはラインデータを示す。この図6(C)において、横軸は検出チャネルCH1〜n、縦軸は投影データg(X,θ=0)である。この投影データは、被検体100を透過しないような左右両端部でその値が大きく(即ち、線量の減衰が無く)、また被検体100を透過した中央部ではその値が小さい(即ち、線量の減衰が大きい)。通常、このような端部のチャネルCH1又はnは、X線管40の射出ビーム強度を測定するためのレファレンスチャネルとされており、ここでは、X線管40の射出ビーム強度を検出した投影データをI0、被検体100を透過したビームの投影データをIとする。
【0051】
ステップS32では上記ラインデータから撮影テーブル20による線減弱量分を差し引く。従って、被検体100の体型に応じた投影データが得られる。なお、撮影テーブル20による線減弱量については、予め撮影テーブル20のみのスカウトスキャンを行うことで、得られた各ラインデータをz軸の対応に記憶装置16に記憶してある。
【0052】
ステップS33では、ラインデータから閾値THを下回る各チャネルデータgjを抽出して、端から順に番号j=1〜mを付する。閾値THは、例えば、
TH=I0−ΔI
により得られる。ここで、ΔI:一定である。
【0053】
ステップS34では各チャネルデータgjの対応に被検体の断面の高さtjを求める。これを具体的に言うと、まず被検体100を透過した後の線量Ijは(6)式で表せる。
【0054】
【数6】
【0055】
ここで、μa:アクリルの線減弱係数
tj:断面の高さ(即ち、X線の透過線路長)
但し、ここでは、人体の線減弱係数の平均値をアクリル樹脂の線減弱係数μaに等しいとして扱っている。上記(6)式を断面の高さtjについて解くと、(7)式の関係となる。
【0056】
【数7】
【0057】
図6(D)に高さtjの系列で表される被検体断面のプロフィールを示す。図において、高さtjの系列(j=1〜m)が、X線検出素子のチャネルピッチΔCPの間隔で配列しており、その全体は被検体断面の形状を表している。
【0058】
ステップS35では被検体断面の最大の高さaを、
a=max(tj )
により求める。max(tj)は、高さtj(j=1〜m)の内の最大のものを検出する処理を表す。ステップS36では被検体断面の最大の幅bを、
b=(m−1)×ΔCP
により求める。ここで、ΔCP:X線検出器のチャネルピッチである。
【0059】
ステップS37では被検体断面の楕円率γを(長軸長/短軸長)の関係により求める。即ち、図示の如くa<bの場合は、γ=b/aにより求め、またa>bの場合は、γ=a/bにより求める。なお、長頭形の頭部撮影等ではa>bとなる場合がある。また、常に楕円率γ≧1となる。
【0060】
ステップS38では短軸長a(又はb)を直径φとして図10(B)の線量変換テーブル(特性μa)を参照し、対応する正規化線量nCTDIwを求める。図10(B)の特性μaによれば、直径a(即ち、被検体の基本サイズ)が小さい程、正規化被曝線量nCTDIwが大きく、また直径aが大きい程、正規化被曝線量nCTDIwが小さく、こうして実際の被曝状況をよく表している。
【0061】
ステップS39では上記求めた正規化線量nCTDIwを楕円率γ(≧1)により補正する。例えば、補正後の正規化線量nCTDIw’を、
nCTDIw’=(1/γ)×nCTDIw
により求める。こうすれば、直径aの円を基準として、楕円率γが大きい程、被曝線量nCTDIw’は小さくなるように補正され、これは実際の被曝状況をよく表している。
【0062】
テップS40では被検体100の単位長当たりの被曝線量CTDIwiを(8)式により求める。
【0063】
【数8】
【0064】
ここで、nCTDIw'i:補正後の正規化線量
ステップS41では、被検体の1撮影当たりの被曝線量DLPを求める。即ち、アキシャルスキャンの場合は1撮影当たりの被曝線量DLPを(9)式により求める。
【0065】
【数9】
【0066】
また、ヘリカルスキャンの場合は1撮影当たりの被曝線量DLPを(10)式により求める。
【0067】
【数10】
【0068】
図3に戻り、ステップS14では続くCTスキャンのためのスキャン計画画面を表示する。図7にスキャン計画画面13Aの表示例を示す。ステップS15では技師がCTスキャンのためのスキャン計画情報を設定する。CTイメージQを取得するための一例のスキャン計画情報は以下の通りである。
【0069】
スキャンタイプ[Scan Type]=アキシャルスキャン
z軸上のスキャン開始位置[Start Loc]=z1
z軸上のスキャン終了位置[End Loc]=z10
撮像枚数[NO.of Images]=10枚
被検体のスライス厚[Thick]=1mm
ガントリのチルト角度[Gantry Tilt]=0
X線管の管電圧[kV]=120kV
X線管の管電流[mA]=280mA
更に、この画面13A上で技師が「Show Localizer」アイコンをクリックすると、表示エリア13bには被検体のスカウト像100Aが表示され、その上にアキシャルスキャンのための各スライス位置を示す線が重ねて表示される。図の太線はスキャン開始位置及び終了位置、点線は中間の各スライス位置を表す。技師は、画面上の各線をカーソル等により直接に操作することで、スライス位置を微調整可能である。
【0070】
一方、下側の「推定線量」の欄には、上記ステップS13の処理で求められた被検体被曝の推定線量DLP,CTDIが表示されている。また「確定線量」の欄には、続くCT撮影の完了後に、確定した被曝線量DLP,CTDIが表示される。この場合に、1撮影シーケンスを通してmAsが一定の場合は「推定線量」=「確定線量」となるが、被検体断面のサイズに応じてmAsを自動的に変える(即ち、後述の「auto mA」モードの)場合は、CT撮影の完了後に、「確定線量」が求められる。
【0071】
ここで、CT断層像の画像雑音と線量の関係について説明しておく。図8はCT断層像の画像雑音と線量の関係を説明する図であり、例えば均質なアクリル樹脂からなる基準ファントム60BをCTスキャンして画像再構成した場合のCT断層像を示している。基準ファントム60Bは均質なアクリル樹脂からなっており、そのCT値は(11)式で求められる.
【0072】
【数11】
【0073】
ここで、μw:水の線減弱係数
μm:アクリル樹脂の線減弱係数
基準ファントム60Bは均質なアクリル樹脂からなるため、得られたCT値も均一のはずである。しかし、実際にはファントム60Bを透過するX線光子数の時間的、空間的な揺らぎによって、再構成したCT値にも光子雑音に起因する揺らぎが生じ、これがCT断層像の画像雑音となって表れる。特に、X線CT装置のように、被検体の被曝をできるだけ少なくしたい撮影系のCT断層像では、被検体を透過するX線光子(フォトン)数の時間的、空間的な揺らぎ(光子雑音)が画像雑音の主要因となっている。
【0074】
今、CT値の信号成分が線量(光子数の平均値)に比例し、かつCT値の雑音成分(標準偏差SD)が、ポアソン過程に従って、線量の平方根に比例するとすると、CT断層像の信号対雑音比(S/N)は(12)式で表される。
【0075】
【数12】
【0076】
ここで、a:定数
Dose:線量
従って、画像雑音Nと線量Doseとの間には(13)式の関係がある。
【0077】
【数13】
【0078】
ここで、k:定数(=Q・K)
また、基準ファントム60Bにおける各位置c,pの画像雑音NをCT値についての標準偏差σc,σpで評価すると、標準偏差σc,σpと線量Dosec,Dosepとの間には(14)式の関係がある。
【0079】
【数14】
【0080】
ここで、Q:装置構成によって決まる係数
K:再構成関数によって決まる係数
一方、基準ファントム60B内における各位置c,pの線量CTDI100,c,CTDI100,pは各位置のイオンチェンバ62により測定可能であるから、各イオンチェンバ62の測定データを収集し、各位置c,pの線量値CTDI100,c,CTDI100,pを求めると、(15)式の関係が得られる。
【0081】
【数15】
【0082】
また、CT断層像における各位置c,pの標準偏差σc,σpを夫々の近傍画素の各CT値から求める。図8の挿入図(a)に標準偏差σを求める処理のイメージを示す。例えば注目画素P(x,y)を囲む5×5のブロック画素CTi(i=1〜25)につきCT値の標準偏差σ(x,y)を(16)式により求め、これを注目画素位置の1画素当りの標準偏差σpxとする。
【0083】
【数16】
【0084】
なお、このσpxは、注目画素位置を1画素づつずらすことで、全CT断層像について求めることが可能である。そして、このような処理を基準ファントム60Bの各位置c.pの対応に行い、イオンチェンバ62の線量検出領域c,pにつきある程度の広がりがある場合には、夫々に求めた標準偏差σpxの平均をとって各位置c,pの標準偏差σc,σpとする。そして、これら各位置の測定結果を上記(15)式により対応付け、最終的には(17)式によって、画像雑音の標準偏差σを対応位置の線量Doseに関係付ける。
【0085】
【数17】
【0086】
従って、上記(17)式の関係より、次の(18)式の関係が得られ、この関係に従い、予め装置固有の係数パラメータQ・Kを求めておく。
【0087】
【数18】
【0088】
なお、上記(18)式から、次の(19)式の関係が得られる。
【0089】
【数19】
【0090】
この(19)式によれば、再構成されたCT断層像のある画素位置に付いて求めたCT値の標準偏差σpxから、対応画素位置の線量CTDIpxを求められる。
【0091】
このような状況の下で、上記図3のステップS16では、予め取得した被検体100のスカウト像データに基づいて、続くCTスキャンのためのmAsの設定処理を行う。
【0092】
図5に被検体の体型に応じたmAs設定処理のフローチャートを示す。ステップS51では上記求めた被検体断面のサイズ情報(projection_area)に基づき、該被検体を所定のmAs(デフォルト値又は設定値)でCTスキャンした場合に得られるであろうCT断層像のCT値についての1画素当たりの標準偏差σpxを、
σpx=f(projection_area)
の関係により求める。ここで、記号(projection_area)は、図6(D)に示すような被検体断面の基準となるサイズ(例えば、最大の高さa)を表す。この基準となるサイスは、被検体の体型をよく表すような1の断面の情報により、又は複数断面の情報の平均により得られる。また、記号f( )は、予め多数のσpxと(projection_area)との関係を測定した結果の統計的処理に基づき、規定された関数(又はテーブル)を表す。
【0093】
ステップS52では標準偏差σpxを上記求めた楕円率γ(≧1)で補正する。即ち、補正後の標準偏差σ'pxを、
σ'px=γ×σpx
により求める。
【0094】
ステップS53では、上記ステップS15の処理で技師により入力されたデータに従って処理分岐する。例えば、技師が被検体の被曝線量を優先して図7の目標被曝線量「Target Dose」を入力した場合は、ステップS54に進み、この線量Doseで得られる目標の標準偏差σtargetを(20)式により求める。
【0095】
【数20】
【0096】
また、技師がCT断層像のS/Nを優先して図7の目標標準偏差「Target Img S.D.」を入力した場合は、上記ステップS54の処理をスキップして、該入力された目標の標準偏差σtargetを有効とする。ステップS55ではCTスキャンで採用する最適のmAsscanを(21)式の関係により求める。
【0097】
【数21】
【0098】
また、上記ステップS53の判別で、技師が管電流mAを入力した場合はこのmAを有効とする。そして、この処理を抜ける。
【0099】
図3に戻り、技師が、図7の「auto mA」アイコンをクリックすると、該アイコンが点灯し、「auto mA」モードになる。「auto mA」モードでは、上記ステップS16で設定された基準となるmAsが、被検体100の各断面サイズに応じて自動的に変更されることになる。
【0100】
こうして,ステップS17では設定確認ボタン「CONFIRM」の入力を待ち、「CONFIRM」が入力されない場合はステップS13に戻る。ステップS13では、直前で設定(変更)されたmAsに従って被検体の被曝線量を再度推定し、これをステップS14で画面に表示する。こうして、技師は、被検体の被曝線量とCT画像の品質について、最適のスキャン計画の設定が可能となる。
【0101】
そして、やがて「CONFIRM」が入力されると、ステップS18では「auto mA」モードか否かを判別する。「auto mA」モードの場合はステップS19で被検体断面のサイズに応じてX線管40の管電流mAを変更する。即ち、上記ステップS16の処理で設定された基準となるmAsに対応する被検体断面の面積をSoptとすると、変更後のmAs’を、例えば、
mAs’=f(Si/Sopt )×mAs i=1〜N
により求める。ここで、Si:被検体各断面の面積である。これにより、Si>Soptのスキャン面ではmAs(又はmA)が増加し、逆にSi<Soptのスキャン面ではmAs(又はmA)が減少し、こうして、CT画像には必要なS/N値が得られると共に、被検体100の被曝線量を最小限に抑えることが可能となる。また、上記ステップS18の判別で「auto mA」モードでない場合は上記ステップS19の処理をスキップする。
【0102】
ステップS20では被検体100のCTスキャンを行う。ステップS21では各ビュー角θの投影データを収集・蓄積する。ステップS22では所要撮影領域についての全スキャン完了か否かを判別し、完了でない場合はステップS18に戻る。こうして、やがて、全スキャンを完了すると、ステップS23では被検体100のCT断層像を再構成する。
【0103】
ステップS24では被検体の「確定線量」を求める。但し、「auto mA」モードでない場合は「推定線量」をそのまま「確定線量」とする。また「auto mA」モードの場合は、確定線量CTDIwiを(22)式により求める。
【0104】
【数22】
【0105】
ここで、Ci(mAsi)は被検体100の断面積Siに応じて変更されている。またアキシャルスキャンの確定線量DLPを(23)式により求める。
【0106】
【数23】
【0107】
またヘリカルスキャンの確定線量DLPを(24)式により求める。
【0108】
【数24】
【0109】
ここで、管電流Ai(即ち、mAi)は被検体100の断面積Siに応じて変更されている。ステップS25では上記「確定線量」と共に被検体100のCT断層像を表示装置13に表示する。
【0110】
なお、上記実施の形態では、CT線量測定用の基準ファントム60としてボディー部の材料がアクリル樹脂のものを使用したが、これに限らない。ボディー部の材料は均質であれば良く、他の物質による基準ファントム等を使用しても良い。
【0111】
また、上記実施の形態では、CT断層像の画像雑音をCT値についての標準偏差σで評価したがこれに限らない。CT断層像の画像雑音をCT値についての分散σ2で評価しても良い。
【0112】
また、上記実施の形態では、スカウトスキャンのビュー角を被検体100の真上(0°)に固定したが、これに限らない。このビュー角は何度に固定しても良く、例えば、被検体100の真横(90°又は270°)に固定しても良い。
【0113】
また、上記実施の形態では、被検体断面の楕円率γを(長軸長)/(短軸長)により、常に、γ≧1となるように求めたが、これに限らない。例えば、常にγ=b/aにより求めても良い。この場合はγ≧1又はγ<1となり得る。
【0114】
また、上記実施の形態では、人体の平均の線減弱係数がアクリル樹脂の線減弱係数μaに等しいとして扱ったが、これに限らない。実際上、人体の断面構造は、骨、脂肪、筋肉細胞、肺空間等の各組織が複雑に入り混ざった構造をしており、その正確な線減弱過程は、線透過経路に沿っての積分となる。しかし、人体の頭部、胸部又は腹部等に置ける各組織(骨,臓器等)の配分については、人によらず概ね一様であるから、予め標準体型の頭部、胸部又は腹部等に対する各平均の線減弱係数なるものを統計的に求めておくことが可能である。
【0115】
図10(B)において、特性μCは肺(空洞部)の割合が多い胸部の平均の線減弱係数μCによるもの、また特性μHは骨の割合が多い頭部の平均の線減弱係数μHによるもの、を夫々表している。この場合に、被検体の頭部をスキャンするか、又は胸部をスキャンするかは、技師(CT装置)において既知の事項であるから、これらの各特性μH,μCを使い分けることが可能である。そして、これらの特性μH,μCを利用することで、被検体断面のサイズをより正確に検出可能となる。
【0116】
また、上記実施の形態では、図10(B)に示すようなサイズ対線量の関係を線量変換テーブルの形で保持し、これを利用したが、これに限らない。サイズ対線量の関係を関数式の形で保持し、これを利用しても良い。
【0117】
また、上記実施の形態では、走査ガントリ35上にX線管40及び円弧状のX線検出器90を搭載して被検体100の回りに回転させるような所謂第3世代のCTガントリへの適用例を示したが、これに限らない。本発明は、図示しないが、被検体100の回りに円形のX線検出器を固定すると共に、X線管40を搭載した走査ガントリ35を被検体体軸の周りに回転させて被検体100の断層撮影を行うような所謂第4世代のCTガントリにも適用可能であることは明らかである。
【0118】
また、上記実施の形態による被検体の線量推定方法や管電流(mAs)の決定/制御方法を、コンピュ−タに実効させるためのコンピュ−タ実効可能なプログラムとして、CD−ROM等に記録し、又は通信回線を使用したオンライン配信により、ユーザに提供可能である。
【0119】
また、上記本発明に好適なる実施の形態を述べたが、本発明思想を逸脱しない範囲内で各部の構成、制御、処理及びこれらの組み合わせの様々な変更が行えることは言うまでも無い。
【0120】
【発明の効果】
以上述べた如く本発明によれば、被検体の体型に応じた被曝線量を提供できるため、X線CT撮影の安全性改善に寄与するところが極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理を説明する図である。
【図2】実施の形態によるX線CT装置の要部構成図である。
【図3】実施の形態によるX線CT撮影処理のフローチャート(1)である。
【図4】実施の形態によるX線CT撮影処理のフローチャート(2)である。
【図5】実施の形態によるX線CT撮影処理のフローチャート(3)である。
【図6】実施の形態による線量推定処理のイメージ図である。
【図7】実施の形態によるスキャン計画情報設定処理のイメージ図である。
【図8】CT断層像の画像雑音と線量の関係を説明する図である。
【図9】実施の形態による線量変換テーブル作成処理のフローチャートである。
【図10】実施の形態による線量変換テーブル作成処理のイメージ図である。
【図11】従来技術を説明する図(1)である。
【図12】従来技術を説明する図(2)である。
【符号の説明】
10 操作コンソール部
20 撮影テーブル(クレイドル)
30 走査ガントリ部
35 ガントリ
40 X線管
50 コリメータ
60 CT線量測定用ファントム
61 ボディー
62 ペンシル型イオンチェンバ
90 X線検出器
Claims (6)
- 被検体を挟んで相対向するようにX線管及びX線検出器を備え、X線検出器の検出信号に基づき被検体のCT断層像を再構成するX線CT装置において、
異なるサイズの線量検出用ファントムにつき、予め検出され、作成されたサイズ対線量の関係を規定した情報を記憶している記憶手段と、
被検体を少なくとも1方向からスカウトスキャンして得た各チャネルの投影データに基づき該被検体体軸に垂直な断面のサイズ情報を求めるサイズ情報演算手段と、
前記求めたサイズ情報に基づき、前記サイズ対線量の関係を規定した情報を参照して、被検体のCT撮影による被曝線量を求める線量演算手段とを備えることを特徴とするX線CT装置。 - サイズ情報抽出手段は、被検体をスカウトスキャンして得た各チャネルの投影データから撮影テーブルの線減弱分を除去する手段と、
前記除去後の投影データから所定の閾値を下回るようなチャネルデータを抽出する手段と、
前記抽出した各チャネルデータと、X線管のビーム強度を表す基準データとに基づき、被検体断面につき予め規定された平均の線減弱係数を使用して、被検体断面の線透過経路長を求める手段とを備えることを特徴とする請求項1に記載のX線CT装置。 - サイズ情報演算手段は、前記求めた線透過経路長のうちの最大のものを検出して被検体断面のサイズを特定するための第1の軸長とする手段を更に備えることを特徴とする請求項2に記載のX線CT装置。
- サイズ情報演算手段は、前記抽出したチャネルデータの個数にX線検出器のチャネルピッチを掛けたものを被検体断面のサイズを特定するための第2の軸長とする手段を更に備えることを特徴とする請求項3に記載のX線CT装置。
- 線量演算手段は、被検体断面のサイズを特定する短軸長の情報に基づき、サイズ対線量の関係を規定した情報を参照して、対応するmAs当りの線量nCTDIwを求める手段と、
前記求めた線量nCTDIwを被検体断面の楕円率で補正する手段と、
前記補正後の線量nCTDIw’にCT撮影で採用されるmAsを乗算して被検体体軸方向の単位長当たりの線量CTDIwを求める手段とを備えることを特徴とする請求項4に記載のX線CT装置。 - 線量演算手段は、前記求めた各単位長当たりの線量CTDIwを被検体体軸の方向に加算して被検体のCT撮影当りの被曝線量DLPを求める手段を更に備
えることを特徴とする請求項5に記載のX線CT装置。
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