JP3908555B2 - 超音波診断装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、超音波診断装置に係り、特に造影剤映像化技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
超音波診断に用いられる造影剤(微小気泡)は、超音波照射により破壊され、照射音圧が高いほど破壊されやすい。造影効果を継続させるためには、音圧を下げて造影剤の破壊を抑制しながら映像化するなどの工夫が必要である(リアルタイムパフュージョンイメージング、RPI)。
【0003】
RPIで受信エコーから送信基本波のセカンドハーモニック成分が抽出される場合を考える。音圧が高い場合には、セカンドハーモニック成分には、組織の非線形伝搬の成分も含まれる。
【0004】
RPIのように音圧を下げた状態では、組織で発生する非線形伝搬成分は非常に低く、映像化に充分ではなく、造影剤流入前の段階では、組織画像はほとんどとらえることができず、造影剤流入してからやっと造影剤に由来するハーモニック成分が見え始める。
【0005】
つまり、造影剤を使った超音波検査では、造影効果を継続させるために音圧を下げると、組織の非線形伝搬成分は非常に低いので、造影剤流入前にはほとんど組織画像は映らず、逆に、造影剤流入前から組織の非線形伝搬成分が映るように音圧を高くすると、造影効果が瞬間的に消えてしまう。特に、音軸上の最大ピーク負音圧を基本周波数の平方根で正規化した出力基準を表す指標であるMI値(Mechanical Index)が0.1程度の極低音圧駆動時には、この問題は顕著である。
【0006】
この問題に対して、従来のカラードップラ系を利用して、基本波でBモードを作成し組織(背景)画像として、ドップラー画像(パルスインバージョンドップラも含む)を造影画像として表示することも考えられるが、組織と造影用に独立した送受信が必要であり、そのため循環器で特に重要なフレームレートが低下し、リアルタイム性の特徴を享受できない。また、組織用の送信で無駄に造影剤を破壊・影響する可能性もある。
【0007】
また、低MIでハーモニック成分だけで画像を生成すると、染影しても画像の輝度が暗く染影領域を確認し難いことがある。単純に輝度を上げるためにゲインを上げれば、ノイズ画像中に浮き出してきてしまう。最高輝度の部分をより明るくするためにダイナミックレンジを狭くしても、比較的輝度の高い部分のみが強調され、染影を正しく評価出来ない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、超音波診断装置において、低パワー送信で且つ高いフレームレートを維持する条件のもとで、造影効果の映像化と、造影剤流入前後にわたる組織形態の映像化とを両立することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明による超音波診断装置は、被検体に基本周波数を略帯域中心とした超音波を送信し、前記被検体からの超音波エコーに基づいて受信信号生成する送受信手段と、前記基本周波数に対する基本波成分とハーモニック成分の抽出割合を可変可能に構成された非対称な周波数通過特性を有するフィルタ手段と、前記フィルタ手段の出力に基づいて表示画像を生成する表示画像生成手段を備えることを特徴とする。
【0010】
【発明の実施形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1に、本実施形態に係る超音波診断装置の構成を示している。11は、一次元または二次元的に配列された典型的には圧電効果を有する複数の振動素子(電気/音響変換素子)を備えた超音波プローブであり、図示しないコネクタを介して、ホストCPU14を中心として構成された装置本体12に装着される。なお、1つ又は近隣の数個の振動素子は、1つのチャンネルを構成している。ここでは1つ振動素子が1つのチャンネルを構成するものと仮定する。この超音波プローブ11の各振動素子には、パルサ/プリアンプユニット15から、MIが0.6以下の送信条件で、送信パルス電圧が印加される。振動素子は、その電気的な振動を機械的な振動に変換する。これにより振動素子から基本周波数ω1を中心とした帯域を有する超音波が発生する。パルサ/プリアンプユニット15は、送信パルス電圧の印加タイミングに関して、チャンネル間で時間差を与える。この時間差(遅延時間)は、複数の振動素子から発生した超音波を集束するとともに、その集束超音波を偏向するために設けられている。この遅延時間を変化することにより、焦点距離及び偏向角(送信方位)を任意に変化することが可能である。
【0011】
装置本体12に接続されたプローブ11から、被検体に超音波が送信される。その超音波はエコーとしてプローブ11に返ってきて、各振動素子で電気的信号に変換される。このエコーには、基本周波数を中心とした帯域の基本波成分と、基本周波数の整数倍、ここでは2倍の高調数を中心とした帯域のハーモニック成分とが含まれる。造影剤(微小気泡)が被検体に注入されている場合には、その非線形振動によりハーモニック成分が発生する。基本周波数ω1を中心とした基本波成分と、その整数倍(2以上)のハーモニック成分を持つ造影剤のエコー同じプローブ11で受信される。
【0012】
この電気的信号は、パルサ/プリアンプユニット15、受信遅延回路16、位相検波ユニット19を経由して、受信信号としてハーモニックユニット17に送られる。この位相検波(直交検波)により、キャリア成分は位相を持った直流成分になる。尚、この位相検波処理はハーモニックユニット17内で行うようにしても良い。受信遅延回路16は、受信の際のビームフォーミング(整相加算処理)を行い、超音波ビームの方向・集束を制御するためのものであり、複数のビームを形成し並列同時受信をするために複数の回路セットから構成されていても良い。受信信号は、信号処理に適したサンプリング周波数でサンプリングされ、ディジタル信号に変換され、そしてビーム形成される。
【0013】
ハーモニックユニット17は、受信信号に含まれる基本周波数の整数倍(ここでは2倍)を略中心としたハーモニック成分からハーモニック画像データを生成し、それとともに、同じ受信信号に含まれる基本周波数を略中心とした基本波成分から基本波画像データを生成する。これらハーモニックユニット17で生成された2種の画像データ、つまりハーモニック画像データと基本波画像データとは、表示ユニット18で1フレームの表示データに変換され、モニタ13に同時に表示される。
【0014】
本実施形態で特徴的なのは、同じ受信信号から、基本周波数の整数倍を略中心としたハーモニック成分と、基本周波数を略中心とした基本波成分とを抽出し、それぞれからハーモニック画像データと基本波画像データとを生成し、同時表示することにある。
【0015】
造影剤流入後のハーモニック画像でその染影を適当に視認でき、しかも造影効果を継続的に維持できる程度に調整された低パワー送信では、造影剤流入前には、組織のハーモニック成分は非常に低く、従ってほとんど組織形態を視認できないという問題が生じていたが、本実施形態では、ハーモニック画像とともに、ハーモニック成分よりも数十倍又は数百倍程度信号強度が高い基本波成分を使って基本波画像を生成し、表示するので、造影剤流入の前段階から、その基本波画像で組織形態を確認することができる。しかもこれら2種の画像データを、同じ受信信号から生成するので、フレームレートの低下は生じない。さらに、造影効果による輝度上昇は、ハーモニック画像と基本波画像との両方で生じるので、ハーモニック画像のみで映像化する場合に比べて、染影部分の視認性が向上する。
【0016】
本実施形態では、上記ハーモニックユニット17によるハーモニック画像データの生成と基本波画像データとの生成手法を、それに対応した送受信手法とともに、複数種類提供する。これらいずれか一の手法を採用してもよいし、これら手法の全て又は任意の組み合わせで装置に装備させておき、適宜選択的に使用することが可能にしてもよい。以下に各手法について順番に説明する。
【0017】
(フィルタ/フィルタ法)
図2には、このフィルタ/フィルタ法に対応したハーモニックユニット17の構成例を示している。受信遅延回路16で生成された受信信号は、中心周波数f1、f2をそれぞれミキシングして位相検波された後、基本波フィルタ21とハーモニックフィルタ22とに分配される。ハーモニックフィルタ22は、RF信号上での対応周波数特性を模式的に表した図3に示すように、基本周波数の整数倍の高周波数を中心又は略中心とした通過帯域とするフィルタ特性を備え、受信信号から、基本周波数の整数倍の高周波数を中心又は略中心とした帯域でハーモニック成分を抽出する。抽出したハーモニック成分に基づいて振幅情報が抽出され、ハーモニック画像生成回路24でハーモニック画像データが生成される。同様に、基本波フィルタ21は、基本周波数を中心又は略中心とした通過帯域とするフィルタ特性を備え、受信信号から、基本周波数を中心又は略中心とした帯域で基本波成分を抽出する。抽出した基本波成分に基づいて基本波画像生成回路22で基本波画像データが生成される。尚、処理回路は1つとして、画像生成回路24と基本波生成回路22と同等処理を時分割で切換えて行うようにしても良い。
【0018】
ここで、重要なのはそれぞれの成分を抽出後に、別系統に設けたハーモニック画像生成回路24と基本波画像生成回路22とで独立に画像を生成することである。画像生成の際のパラメータとしては、ゲイン、ダイナミックレンジ、カラーマップ等がある。基本波に比較して、信号強度的には、ハーモニック成分のほうが低いため、同一の画像パラメータで画像を生成すると、造影効果が目立たなくなる。画像で一番見たいものは、ハーモニック(造影エコー)である。独立に画像を生成し、両者の強度等の相対関係を変更・逆転し、あるいはハーモニックのカラーマップをカラーとし基本波画像のマップをグレイスケールとする。基本波画像は、あくまでハーモニック画像を得るための走査のガイドや背景画像用に生成し、表示することが重要である。
【0019】
このフィルタ/フィルタ法では、ハーモニックフィルタ22の出力には残留基本波成分が若干混じり、基本波フィルタ21の出力には残留ハーモニック成分が若干混じるものの、各超音波走査線に対してそれぞれ1レートの超音波の送信およびエコーの受信でよく、以下の手法に比較し、フレームレートが最も速い。
【0020】
(フェーズインバージョン(**以下全て**)/フィルタ法)
このパルスインバージョン/フィルタ法は、パルスインバージョン法で残留基本波成分を原理的には含まないでハーモニック成分を抽出し、基本波成分の抽出にはフィルタ法を採用するものである。パルスインバージョン法では、各超音波走査線に対してそれぞれ2レートで超音波の送信およびエコーの受信が行われる。その一方のレートでは、図5(a)に示すように、正極波形で超音波を送信し、他方のレートでは、図5(b)に示すように、負極波形で超音波を送信する。図6(a)には、正極レートで受信した受信信号のスペクトルを、また図6(b)には、負極レートで受信した受信信号のスペクトルをそれぞれ示している。周知の通り、非線形現象は、基本波の二乗として近似され得る。基本波を、a(t)sinωtと表すと、非線形性は、(a(t)sinωt)として近似される。従って、ハーモニック成分は、正負の両レートでともに正極で生じ、逆に、基本波成分は送信極性に依存して正負反転して発生する。
【0021】
図4に示すようにこの正負2レートの受信信号を加算器25で加算することにより、図7(a)に示すように基本波成分を除去するとともに、ハーモニック成分を略2倍に増強して抽出することが可能となる。なお、加算器25の後段に、基本周波数の整数倍の高周波数を中心又は略中心とした帯域又は任意帯域を通過域とするフィルタを配置して、画像化する帯域を制御するようにしてもよい。一方、基本波成分は、フィルタ/フィルタ法と同様に、正レートの受信信号からフィルタ法により抽出される。
【0022】
(パルスインバージョン法)
上記パルスインバージョン/フィルタ法では、基本波成分はフィルタ法で抽出するが、基本波成分もパルスインバージョン法により抽出するようにしてもよい。
【0023】
ハーモニック成分は常に正極性で生じることを利用して正負2レートの受信信号を加算器25で加算することで基本波成分を除去し、ハーモニック成分を抽出していたが、基本波成分の場合、送信極性に依存して生じることから、図8,図9に示すように、正負2レートの受信信号を減算器26で減算することでハーモニック成分を除去し、基本波成分を抽出するようにしてもよい。
【0024】
なお、減算器26の後段に、基本周波数を中心又は略中心とした帯域又は任意帯域を通過域とするフィルタを配置して、画像化する帯域を制御するようにしてもよい。
【0025】
(パルスモジュレーション法)
周知の通り、ハーモニック成分は基本波成分に比べて強度が低い。MIが0.1以下の送信条件では、基本波成分は若干発生するが、ハーモニック成分はほとんど生じない。この性質を利用してハーモニック成分を抽出する手法が、パルスモジュレーション法である。
【0026】
パルスモジュレーション法では、各超音波走査線に対して2レートで送受信を行う。一方のレートでは、図11(a)に示すように、比較的高い振幅(高い音圧)で、例えばMIが0.6以下の送信条件で送信し、他方のレートでは、図11(b)に示すように、比較的低い振幅(低い音圧)で、例えばMIが0.1以下の送信条件で送信する。
【0027】
比較的高い振幅のレートの受信信号のスペクトルを図12(a)に示し、比較的低い振幅のレートの受信信号のスペクトルを図12(b)に示している。比較的高い振幅のレートではその受信信号には基本波成分とともにハーモニック成分が含まれるが、比較的低い振幅のレートではその受信信号には基本波成分は強度は低いものの含まれるが、ハーモニック成分はゼロに等価なほど低い。
【0028】
図10に示すように、振幅規格化後減算回路27で、比較的低い振幅のレートの受信信号を、低レートに対する高レートの送信音圧比で規格化(送信音圧比を乗算して基準振幅を揃えること)し、比較的高い振幅のレートの受信信号から減算することにより、図13(a)に示すように、原理的に基本波成分を除去し、ハーモニック成分を抽出することができる。
【0029】
一方、基本波成分は、フィルタ/フィルタ法と同様に、比較的高い振幅のレートの受信信号からフィルタ法により抽出される。または、規格化後の比較的低い振幅のレートの受信信号に対して、フィルタ21を通すようにしてもよい。
【0030】
(バランス変更法)
図14にはバランス変更法に対応したハーモニックユニット17の構成例を示す。上述の手法では、受信信号からハーモニック成分と基本波成分とをそれぞれ個々に抽出し、画像生成処理についても別々のパラメータを使ってそれぞれの画像データを生成するものである。
【0031】
これに対して、バランス変更法は、図15(a)に示す基本波成分の帯域を減衰し、ハーモニック成分の帯域を相対的に増幅する特性を備えるフィルタ28に、受信信号を通すことにより、図15(b)に示すように、ハーモニック成分と基本波成分の強度相対関係を調整し、造影エコーを目立たせる状態で取り出すことができる。フィルタ28は、非対称な周波数通過特性を有する複素ディジタルフィルタを使用する。基本波成分とハーモニック成分の通過割合は、操作パネル上のキーボード40やボリューム等を用いて任意に変更することができる。操作者が、基本波成分とハーモニック成分の割合にかかるパラメータを操作パネルのキーボード40等から変更すると、フィルタコントローラ41の制御のもとでこのパラメータに応じたフィルタ係数がフィルタ28に設定されて基本波成分とハーモニック成分の通過割合が変わる。
【0032】
このバランス変更法では、フィルタ/フィルタ法と同様に、各超音波走査線に対してそれぞれ1レートの超音波の送受信でよく、高いフレームレートを確保することが可能である。
【0033】
また、バランス変更法は、パルスインバージョン法にも適用することができ、つまり、一方のエコー信号の基本波成分の帯域を減衰し、ハーモニック成分の帯域を相対的に増幅する特性を備えるフィルタを通して基本波の強度がハーモニック成分に比較して小さくなるように消え残してから、加算する。
【0034】
以上のようにバランス変更法以外の手法では、基本波画像データとハーモニック画像データとが個別に生成される。従って、画像表示に関しても、様々なバリエーションを設けることが可能である。ここでは、代表的な表示態様として、第1〜第8の8種の表示モードについて説明する。これら第1〜第8の8種の表示モードは操作者により任意に選択可能である。
【0035】
図16には、表示ユニット18の構成を示している。基本波画像データは、フレームメモリ30、グレイスケール用のルックアップテーブル(LUT)31によりグレイスケールで表現された基本波画像データ(以下、FGと表記する)に変換され、画像処理部32に送られる。また、ハーモニック画像データは、フレームメモリ33、グレイスケール用のルックアップテーブル34によりグレイスケールで表現されたハーモニック画像データ(以下、HGと表記する)に変換され、画像処理部32に送られるとともに、カラー用のルックアップテーブル35によりカラー表現されたハーモニック画像データ(以下、HCと表記する)に変換され、同様に、画像処理部32に送られる。
【0036】
画像処理部32では、これら3種の画像データFG,HG,HCから、操作者により指定された表示モードに対応する表示データを生成する。この表示データは、出力段のフレームメモリ36で走査変換を受けてさらにディジタルアナログ変換器(DAC)37を通してモニタ13に出力される。
【0037】
以下、表示モードについて順番に説明する。
(第1表示モード)
図17に示すように、第1表示モードでは、画像処理部32により、グレイスケール基本波画像データFGと、グレイスケールのハーモニック画像データHGとが、画素ごとに加算され、1フレームの合成画像データC1が生成される。この合成画像データC1は、それ1枚で、1フレームの表示データに変換される。
【0038】
造影剤流入前にあっては、基本波画像で組織形態を視認でき、また造影剤流入後はハーモニック画像でその流入の様子を良好に視認することができる。
【0039】
また、グレイスケールの基本波画像データFGとハーモニック画像データHGとを加算することにより、図19(a)に示すように、グレイスケールのハーモニック画像データHGを単独で表示する場合よりも、造影効果による輝度上昇を効果的に増強させることが可能となる。つまり、図19(b)に示すように、ハーモニック成分の造影効果による上昇分に、基本波成分の造影効果による上昇分が上乗せされて表示されるので、輝度上昇は増強され、造影範囲の視認性が向上する。
【0040】
(第2表示モード)
図18に示すように、第2表示モードでは、画像処理部32により、グレイスケールの基本波画像データFGと、カラーのハーモニック画像データHCとが、部分的に合成され、1フレームの合成画像データC2が生成される。具体的には、カラーのハーモニック画像データHCの画素輝度が0又はその近似値を超えているとき、その画素の画素値としてハーモニック画像データの画素輝度を選択し、ハーモニック画像データの画素輝度が0又はその近似値を超えていないとき、その画素の画素値として基本波画像データの画素輝度を選択する。換言すると、ハーモニック成分が発生している領域では、ハーモニック画像を表示し、ハーモニック成分が発生していない領域では、基本波画像を表示する。
【0041】
このようにグレイスケールの基本波画像データFGとカラーのハーモニック画像データHCとを部分的に合成することにより、ハーモニック成分(造影剤)の分布の空間的な広がりの様子をカラーで良好に視認することができ、また造影剤流入前又は流入後であってもハーモニック成分が発生していない領域では、基本波成分で組織形態を視認することができる。又、ハーモニック成分と基本波成分で色が異なるため、両者を容易に識別することができる。
【0042】
(第3表示モード)
図20に示すように、第3表示モードでは、画像処理部32により、グレイスケールの基本波画像データFGと、グレイスケールのハーモニック画像データHGとが、フレームに並列に配置される。
【0043】
このようにグレイスケールの基本波画像データFGとハーモニック画像データHGとを並列で同時に表示することにより、造影剤分布(ハーモニック成分)を組織形態(基本波成分)とともに観察することができる。従って、造影剤流入前にあっては、主に基本波画像で組織形態を確認することができ、また造影剤流入後では、基本波画像とハーモニック画像との両方で造影効果を確認することができる。
【0044】
(第4表示モード)
図21に示すように、第4表示モードでは、画像処理部32により、グレイスケールの基本波画像データFGと、カラーのハーモニック画像データHCとが、フレームに並列に配置される。
【0045】
このようにグレイスケールの基本波画像データFGとカラーのハーモニック画像データHCとを並列で同時に表示することにより、造影剤分布(ハーモニック成分)を組織形態(基本波成分)とともに観察することができる。従って、造影剤流入前にあっては、主に基本波画像で組織形態を確認することができ、また造影剤流入後では、基本波画像とハーモニック画像との両方で造影効果を確認することができる。
【0046】
(第5表示モード)
図22に示すように、第5表示モードでは、画像処理部32により、グレイスケール基本波画像データFGと、グレイスケールのハーモニック画像データHGとの画素加算による合成画像データC1が生成され、その合成画像データC1と、グレイスケールの基本波画像データFGとが、フレームに並列に配置される。
【0047】
このように合成画像データC1と、グレイスケールの基本波画像データFGとを並列で同時に表示することにより、第1表示モードの効果に加えて、組織形態の視認性を向上させることができる。
【0048】
(第6表示モード)
図23に示すように、第6表示モードでは、画像処理部32により、グレイスケール基本波画像データFGと、カラーのハーモニック画像データHCとの部分的合成による合成画像データC2が生成され、その合成画像データC2と、グレイスケールの基本波画像データFGとが、フレームに並列に配置される。
【0049】
このように合成画像データC2と、グレイスケールの基本波画像データFGとを並列で同時に表示することにより、第2表示モードの効果に加えて、組織形態の視認性を向上させることができる。
【0050】
(第7表示モード)
図24に示すように、第7表示モードでは、画像処理部32により、グレイスケール基本波画像データFGと、グレイスケールのハーモニック画像データHGとの画素加算による合成画像データC1が生成され、その合成画像データC1と、カラーのハーモニック画像データHCとが、フレームに並列に配置される。
【0051】
このように合成画像データC1と、カラーのハーモニック画像データHCとを並列で同時に表示することにより、第1表示モードの効果に加えて、ハーモニック成分の空間分布、つまり造影剤の分布の広がりの視認性を向上させることができる。
【0052】
(第8表示モード)
図25に示すように、第8表示モードでは、画像処理部32により、グレイスケール基本波画像データFGと、カラーのハーモニック画像データHCとの部分的合成による合成画像データC2が生成され、その合成画像データC2と、カラーのハーモニック画像データHCとが、フレームに並列に配置される。
【0053】
このように合成画像データC2と、カラーのハーモニック画像データHCとを並列で同時に表示することにより、第2表示モードの効果に加えて、ハーモニック成分の空間分布、つまり造影剤の分布の広がりの視認性を向上させることができる。
【0054】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することが可能である。さらに、上記実施形態には種々の段階が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されてもよい。
【0055】
【発明の効果】
本発明によれば、超音波診断装置において、低パワー送信で且つ高いフレームレートを維持する条件のもとで、造影効果の映像化と、造影剤流入前後にわたる組織形態の映像化とを両立することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る超音波診断装置の構成を示すブロック図。
【図2】フィルタ法に対応した図1のハーモニックユニットの構成を示すブロック図。
【図3】図2の基本波フィルタのフィルタ特性とハーモニックフィルタのRF信号上でのフィルタ特性とを示す図。
【図4】フィルタ法とパルスインバージョン法との併用に対応した図1のハーモニックユニットの他の構成を示すブロック図。
【図5】図4の第1レートの送信波形と第2レートの送信波形を示す図。
【図6】図5の第1レートの受信信号のスペクトルと第2レートの受信信号のスペクトルを示す図。
【図7】図4の加算器の出力信号スペクトルと、図4の基本波フィルタの出力信号スペクトルとを示す図。
【図8】パルスインバージョン法に対応した図1のハーモニックユニットの他の構成を示すブロック図。
【図9】図8の加算器の出力信号スペクトルと、減算器の出力信号スペクトルとを示す図。
【図10】フィルタ法と振幅変化法との併用に対応した図1のハーモニックユニットの他の構成を示すブロック図。
【図11】図10の第1レートの送信波形と第2レートの送信波形を示す図。
【図12】図10の第1レートの受信信号のスペクトルと第2レートの受信信号のスペクトルを示す図。
【図13】図10の振幅規格化後減算器の出力信号スペクトルと、基本波フィルタの出力信号スペクトルとを示す図。
【図14】バランス変更法に対応した図1のハーモニックユニットの他の構成を示すブロック図。
【図15】図14のバランス調整フィルタのフィルタ特性と、バランス調整フィルタの出力信号スペクトルとを示す図。
【図16】図1の表示ユニットの構成を示すブロック図。
【図17】図16の画像処理部の第1表示モードに対応した処理を模式的に示す図。
【図18】図16の画像処理部の第2表示モードに対応した処理を模式的に示す図。
【図19】図17の第1表示モードの効果を模式的に示す図。
【図20】図16の画像処理部の第3表示モードに対応した処理を模式的に示す図。
【図21】図16の画像処理部の第4表示モードに対応した処理を模式的に示す図。
【図22】図16の画像処理部の第5表示モードに対応した処理を模式的に示す図。
【図23】図16の画像処理部の第6表示モードに対応した処理を模式的に示す図。
【図24】図16の画像処理部の第7表示モードに対応した処理を模式的に示す図。
【図25】図16の画像処理部の第8表示モードに対応した処理を模式的に示す図。
【符号の説明】
11…超音波プローブ、
12…装置本体、
13…モニタ、
14…ホストCPU、
15…パルサ/プリアンプユニット、
16…受信遅延回路、
17…ハーモニックユニット、
18…表示ユニット、
19…検波ユニット。

Claims (3)

  1. 被検体に基本周波数を略帯域中心とした超音波を送信し、前記被検体からの超音波エコーに基づいて受信信号生成する送受信手段と、
    前記基本周波数に対する基本波成分とハーモニック成分の抽出割合を可変可能に構成された非対称な周波数通過特性を有するフィルタ手段と、
    前記フィルタ手段の出力に基づいて表示画像を生成する表示画像生成手段を備えることを特徴とする超音波診断装置。
  2. 前記フィルタ手段は、ディジタル複素フィルタにより構成されていることを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
  3. 前記ハーモニック成分と基本波成分の比率を調整するためのパラメータを入力する入力手段と、
    前記入力手段への入力に基づいて前記ディジタル複素フィルタの係数を変更する手段とを備えたことを特徴とする請求項2記載の超音波診断装置。
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