JP3907126B1 - キャパシタ電源の設計支援システム - Google Patents
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Abstract
【課題】負荷の要求に応じキャパシタ電源を構成するキャパシタの直並列数、終止電圧、温度上昇の解析、評価、設計を簡便に行えるようにする。
【解決手段】単位時間毎にキャパシタ電源の電流をキャパシタ電圧、静電容量、内部抵抗と時系列の負荷パターンに基づき求める電流演算手段3と、キャパシタ電源の出力電圧をキャパシタ電圧、内部抵抗と電流に基づき求め、さらに電流の充放電により更新されるキャパシタ電圧をその更新前のキャパシタ電圧、静電容量と電流に基づき求める充放電演算手段4と、キャパシタ電源の内部抵抗による電力損失を電流とキャパシタ電源の内部抵抗に基づき求め、さらにキャパシタ電源の温度上昇を電力損失と所定のパラメータに基づき求める温度演算手段5とを備え、負荷パターンに応じて設計されるキャパシタ電源を評価するための情報を提供する。
【選択図】図1
【解決手段】単位時間毎にキャパシタ電源の電流をキャパシタ電圧、静電容量、内部抵抗と時系列の負荷パターンに基づき求める電流演算手段3と、キャパシタ電源の出力電圧をキャパシタ電圧、内部抵抗と電流に基づき求め、さらに電流の充放電により更新されるキャパシタ電圧をその更新前のキャパシタ電圧、静電容量と電流に基づき求める充放電演算手段4と、キャパシタ電源の内部抵抗による電力損失を電流とキャパシタ電源の内部抵抗に基づき求め、さらにキャパシタ電源の温度上昇を電力損失と所定のパラメータに基づき求める温度演算手段5とを備え、負荷パターンに応じて設計されるキャパシタ電源を評価するための情報を提供する。
【選択図】図1
Description
本発明は、負荷パターンに応じたキャパシタ電源の設計を評価するための情報を提供するキャパシタ電源の設計支援システムに関する。
情報通信機器の高周波化、高速デジタル化に伴って電子回路が複雑化し、回路図の作成段階で電子回路の電気的特性を予測することが困難になった。そのため、回路を設計試作して電気的特性を測定し、その結果に基づきさらに設計試作のやり直しの試行錯誤を繰り返すことが多くなった。
また、回路シミュレータも利用されるようになったが、特にコンデンサが使用される回路については、予測が難しく電子回路の設計効率化の障害となっていた。そこで、このようなコンデンサ使用回路に対しては、周波数特性の入力、等価回路モデル形成、その評価関数の合成、評価関数を最小化する回路定数の決定を行う各ステップによりコンデンサの等価回路モデルを導出する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
1次電池や2次電池、コンデンサなどの蓄電装置に対しては、充電/放電させながら電圧特性の測定、所定周波数領域に対する特性インピーダンススペクトルを測定それぞれ行って、非線形等価回路モデルの特定因子を数値化する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2002−259482号公報
特許第3190313号公報
複数のキャパシタを直並列接続して構成するキャパシタ電源装置は、蓄電密度や性能の向上、大量供給環境の整備に伴い、産業機器や電力貯蔵など様々な用途に普及、拡大をしつつある。しかし、これまでの代表的な蓄電手段である二次電池は、充放電で電圧があまり変動しないのに対し、キャパシタは、充放電に応じて電圧が大きく上下に変動するので、所望の電力量を確保するためにどれだけのキャパシタが必要かが分かりにくい。ゆえに設計が難しいという問題がある。しかも、キャパシタは、二次電池に比べて出力密度が高く、短時間に大電力を充放電する用途への適用が期待されているが、現状においてはどのくらい発熱するかは実際に使用してみないとわからないという問題もあった。
コンデンサの等価回路モデルを導出する従来の方法や、非線形等価回路モデルの特定因子を数値化する従来の方法は、いずれも複雑、煩雑な回路モデルを用いるものであり、キャパシタ電源装置の設計の支援には向いたものとはなっていない。すなわち、前者の方法は、サンプル周波数毎のインピーダンス(Z)を入力し、RC回路及びRL回路とRCL回路のいずれかを等価回路モデルとして形成し、その等価回路モデルの表すインピーダンス(ZM )を定義し、評価関数(Q)を合成して最小化し回路ベクトル(P)を決定するというステップを備え、また、後者の方法は、非線形抵抗器、非線形キャパシタ、及び非線形コイルのうち2個以上の回路素子と定電圧器からなる非線形伝送線モデル、また、伝送線を対置する有限な個数の梯形非線形2端子電池回路のモデルを用いるものである。
しかし、キャパシタ電源の設計では、負荷の電力要求に対して蓄電容量が十分であるか、熱的に許容範囲内で使用できるのか、寿命としてどの程度に考えてよいのかなどの検討、評価が必要であるが、上記従来の方法ではその検討、評価に利用することが難しい。キャパシタ電源の設計としては、負荷に電力を供給し放電するのに伴い、また、負荷からの回生電力で充電するのに伴って、電圧がどのように変動し、充電残量がどの程度になるのか、温度上昇がどの程度になるのか、終止電圧、蓄電残容量、温度上昇の判定評価を行うことが必要である。このような負荷の要求(負荷条件)に応じ無駄のない効率的なキャパシタ電源を設計しようとする場合には、キャパシタ電源特有の検討を行うことが要求される。
例えばプレス機械、NC機械等、製造ラインの工作機械では、所定の工程の加工動作を反復繰り返し実行する。このような機械を駆動するモータ負荷への電力供給に主電源とキャパシタ電源とを併用し、ピークカット電力をキャパシタ電源から給電する場合、一般に蓄電容量は十分足りていても、温度上昇が大きいことがあったり、そのようなことがないように大容量に設計して無駄が大きいことがある。また、瞬低保証装置のような長時間電力貯蔵にキャパシタ電源を用いた場合には、一般に温度上昇は軽微であるが静電容量が足りなくなることがある。
本発明は、上記課題を解決するものであって、負荷の要求に応じキャパシタ電源を構成するキャパシタの直並列数、終止電圧、温度上昇の解析、評価、設計を簡便に行えるようにするものである。
そのために本発明は、負荷パターンに応じて設計されるキャパシタ電源を評価するための情報を提供するキャパシタ電源の設計支援システムであって、時系列の負荷パターンデータ、複数のキャパシタセルを直列接続して構成するモジュールに関するデータとして、モジュール電圧、モジュール静電容量、モジュール内部抵抗、モジュールの直並列数、許容温度、及び発熱・放熱係数のデータを保持する記憶手段と、前記記憶手段に保持されたモジュール電圧、モジュール静電容量、モジュール内部抵抗、及びモジュールの直並列数に基づき前記直並列数のモジュールで構成するキャパシタ電源の電圧、静電容量、及び内部抵抗を求めるキャパシタ電源の演算手段と、時刻を更新しながら時刻を更新しな前記記憶手段に保持された負荷パターンにより要求される電力及びキャパシタ電源の電圧に見合ったキャパシタ電源の電流を求める電流演算手段と、時刻を更新しながら各時刻における前記電流と前記記憶手段に保持された電圧、静電容量、及び内部抵抗に基づき充放電後のキャパシタ電源の電圧を求める充放電演算手段と、時刻を更新しながら各時刻における前記電流と前記内部抵抗に基づき前記内部抵抗による電力損失を求めて前記電力損失と前記記憶手段に保持された発熱・放熱係数に基づき前記キャパシタ電源の温度上昇値を求める温度演算手段とを備え、与えられた時系列の負荷パターンに給電するキャパシタ電源の各時刻における温度上昇値うちの最大値又は前記最大値と前記記憶手段に保持された許容温度との比較情報を出力することを特徴とする。
また、温度上昇関数のデータを保持する記憶手段と、時刻を更新しながら各時刻における前記電流と前記内部抵抗に基づき前記内部抵抗による電力損失の積算値を求めて前記電力損失の積算値と前記記憶手段に保持された温度上昇関数に基づき前記キャパシタ電源の温度上昇値を求める温度演算手段とを備え、与えられた時系列の負荷パターンに給電するキャパシタ電源の温度上昇値又は前記温度上昇値と前記記憶手段に保持された許容温度との比較情報を出力することを特徴とする。
本発明によれば、時系列の負荷パターンに対応して前記時系列にしたがいキャパシタ電源の電流、キャパシタ電圧、出力電圧、電力損失、温度上昇をそれぞれ求めて、キャパシタ電源を評価するための情報として出力されるので、少なくともキャパシタ電圧又は温度上昇の情報から、対象とするキャパシタ電源において、キャパシタ電圧が許容される電圧の変動範囲内にあるか、温度上昇が許容される温度範囲内にあるかを判断することができる。したがって、複数のキャパシタを直列接続したモジュールを構成単位とし、複数のモジュールを直並列に接続してキャパシタ電源を構成する場合に、直列接続数、並列接続数を変えながら、様々な負荷パターンのそれぞれに対応したキャパシタ電源の最適設計を簡便に行うことができる。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1は本発明に係るキャパシタ電源の設計支援システムの実施の形態を説明する図、図2はキャパシタ電源と負荷回路の概要を説明する図、図3はキャパシタデータの構成例を説明する図、図4は負荷データの構成例を説明する図、図5は解析データ及び評価データの構成例を説明する図である。図1において、1はキャパシタデータ、2は負荷データ、3はキャパシタ電流演算部、4はキャパシタ充放電演算部、5はキャパシタ温度演算部、6は評価データ生成処理部、7は解析データ格納・出力部、11はキャパシタ電源、12は充放電制御回路、13はモータ駆動回路、14はモータを示す。
本発明に係るキャパシタ電源の設計支援システムは、キャパシタ電源の設計データと負荷パターンのデータに基づき負荷パターンに応じて設計されるキャパシタ電源を評価するための情報を提供するものであり、時系列の負荷パターンのデータ及びキャパシタ電源の定格仕様を含む設計データに基づいて時系列にキャパシタ電源の電流、電圧、充放電量、電力損失、温度上昇の情報を含む解析データを求め、さらに解析データに基づいてキャパシタ電源の容量設計、評価に関する情報を含む評価データを求めて、それら解析データ及び評価データを出力することにより、時系列の負荷パターンのデータ及びキャパシタ電源の定格仕様を含む設計データに応じた解析データ及び評価データをキャパシタ電源の設計支援データとして提供する。
そのため、本発明に係るキャパシタ電源の設計支援システムは、図1に示すようにキャパシタ電源の定格仕様に関するキャパシタデータ1及び時系列の動作パターンや負荷パターン等の負荷データ2が設計データとして与えられると、これらの設計データに基づき時系列にキャパシタ電流演算部3でキャパシタ電源の充放電電流を求め、続けてキャパシタ充放電演算部4で電圧(原電圧、端子電圧)を求め、さらにキャパシタ温度演算部5で充放電量、電力損失、発熱・放熱量、上昇温度を求め、評価データ生成処理部6でキャパシタ電源の必要蓄電容量及び許容熱容量の評価に関する情報を求めて、それらのデータを解析データ格納・出力部7に格納し、また、表やリスト、波形図、グラフなどに編集して出力する。
設計支援対象のキャパシタ電源と負荷回路は、例えば図2に示すようにキャパシタ電源11から電流ポンプや電圧変換回路を含む充放電制御回路12を通して所定の負荷パターンを有するモータ駆動回路13、モータ14に給電するモータ負荷回路からなる構成概要であり、キャパシタ電源の設計支援システムとしては、それぞれキャパシタ電源11とその負荷回路(充放電制御回路12、モータ駆動回路13、モータ14)に関するデータに基づき、例えばキャパシタ電源11が許容範囲内の終止電圧や蓄電容量、温度上昇となるキャパシタの直並列数の判定を行えるようにするものである。
図2において、キャパシタ電源11に関するデータが、例えばti 時にバンク電圧(キャパシタ電圧、原電圧)vBi、静電容量CB 、内部抵抗rB 、蓄電量wBiであるとすると、キャパシタ電源11から必要電力wli(回生電力の場合には負)を給電するには、出力電圧vtiに対応した所定の電流ii が流れるように充放電制御をしなければならない。このとき、キャパシタ電源内に発生する電力損失は、内部抵抗rB と電流ii より(ii 2 ×rB )として求められ、また、キャパシタ電源のバンク電圧vBiは、内部抵抗rB に電流ii が流れて生じる電圧降下分を出力電圧vtiに加算した(vti+ii ×rB )、キャパシタ電源での蓄電量wBiは、CB ×vBi 2 /2、充放電量Δwciは、(wBi-1−wBi)としてそれぞれ求められる。さらに、発熱量や放熱量は、電力損失に応じた関数に基づき求められ、これら各時ti の値として求めたのが解析データである。なお、キャパシタ電源の蓄電容量WBmaxは、バンクを満充電電圧vBfまで充電したときの(CB ×vBf 2 /2)となる。
キャパシタデータ1は、例えば図3に示すモジュール電圧vM 、セル直列数NS 、モジュール静電容量CM 、モジュール内部抵抗rM 、許容温度Tref 、モジュール直列数NMS、並列数NMP、バンク電圧vB (満充電時の電圧vBf)、バンク静電容量CB 、バンク内部抵抗rB 、モジュール数NM 、さらには発熱・放熱係数、温度上昇関数、熱許容量等の定格仕様を含む、所謂キャパシタ電源の設計データであり、記憶保持するメモリ等に格納される。モジュールは、所定数のセルを直列接続したキャパシタ電源の基本構成単位であり、バンクは、複数個のモジュールを直列接続し、さらにそれらを並列接続してキャパシタ電源を構成するものである。
例えば2.5(V)のセルを25個直列接続してモジュール電圧vM が50(V)のモジュールが構成される。このモジュールを基本構成単位とすると、負荷の使用(開始)電圧vL が650(V)である場合には、13個のモジュールを直列接続するものとして並列数1のバンクが選択、設定される。つまり、モジュール直列数NMSが13、満充電時のバンク電圧(vBf)が650(V)のバンク構成にすることで、バンク静電容量CB はCM /13、バンク内部抵抗rB は13×rM により求められる。並列数NMPが1から2にになれば、それに応じて新たなバンク静電容量CB が2倍、バンク内部抵抗rB が2分の1、モジュール数NM が2倍になる。このようにバンクに関する定格仕様の値は、まず、バンク電圧が決まると共に他の値も決まる。
負荷データ2は、例えば図4に示す使用電圧vL 、キャパシタ電源に対して時系列ti に要求される電力(必要電力)wliを有する負荷パターンのデータであり、記憶保持するメモリ等に格納される。単位時間Δt毎の負荷容量wliでもよいし、経時的に変化する負荷容量の関数でもよい。例えばあるモータ選定ソフトでは、入力される動作パターンからトルクが算出され、その動作パターンの回転数トルクの乗算により負荷パターン(=回転数×トルク)が得られる。さらに、主電源があってキャパシタ電源をピークカットの補助電源とする場合には、この負荷パターンに対して供給電力の条件を入力することにより、負荷パターンが主電源からの供給電力を越える部分としてキャパシタ電源よりピークカットして供給する電力が求められる。このピークカット電力が本実施形態では、必要な負荷データとなる。
キャパシタ電流演算部3は、キャパシタデータ1及び負荷データ2に基づきキャパシタ電源11から必要電力に見合って充放電される電流ii を求めるものであり、時刻更新により解析データの一部として解析データ格納・出力部7に格納されることによりその時系列更新されたキャパシタデータの電圧が次のデータとして使用される。負荷データの各時ti における必要電力wli(=vti×ii )に見合ったキャパシタ電流ii は、
〔数1〕
ii ={vBi±√(vBi 2 −4×rB ×wli)}/(2×rB )
ここで、ii ×vBi=wli+ii 2 ×rB =Δwci
により求められる。
〔数1〕
ii ={vBi±√(vBi 2 −4×rB ×wli)}/(2×rB )
ここで、ii ×vBi=wli+ii 2 ×rB =Δwci
により求められる。
キャパシタ充放電演算部4は、キャパシタ電流演算部3で求めたキャパシタ電源11の電流ii と各データに基づきバンク電圧(キャパシタ電圧、原電圧)、端子電圧を求め時刻更新するものであり、ti 時におけるキャパシタ電源11の端子(出力)電圧vtiは、
〔数2〕
vti=vBi−ii ×rB
電流ii による放電の後(ti+1 時)のキャパシタ電源11のバンク電圧vBi+1は、
〔数3〕
vBi+1=√(vBi 2 −2×ii ×vBi/CB )
ここで、CB ×vBi 2 /2=(CB ×vBi+1 2 /2)+(ii ×vBi)
wBi=wBi+1+Δwci
により求められる。
〔数2〕
vti=vBi−ii ×rB
電流ii による放電の後(ti+1 時)のキャパシタ電源11のバンク電圧vBi+1は、
〔数3〕
vBi+1=√(vBi 2 −2×ii ×vBi/CB )
ここで、CB ×vBi 2 /2=(CB ×vBi+1 2 /2)+(ii ×vBi)
wBi=wBi+1+Δwci
により求められる。
キャパシタ温度演算部5は、キャパシタ電源の温度を内部抵抗rB での電力損失ii 2 ×rB と発熱・放熱係数や温度上昇関数との演算により求め、或いはその積算値である総電力損失Σii 2 ×rB と温度上昇係数(実験値として求まる値、例えば1〜3)との演算により求める。また、総電力損失をジュール熱に変換し、モジュールの比熱を用いて温度上昇の値を算出してもよい。
評価データ生成処理部6は、キャパシタ電源の必要蓄電容量及び許容熱容量の評価に関する情報を求めるものであり、例えば放電量が最も大きい、つまり蓄電残容量(各時における蓄電量)が最も少なくなる電圧の最小値、終止電圧、それらの電圧に対応する蓄電残容量、最大放電量(=キャパシタ電源の蓄電容量−蓄電残容量の最小値)、キャパシタ電源の利用率、温度上昇値、余裕率等を求める。例えばキャパシタ電源の温度に関しては、温度上昇値が温度上昇許容範囲又は上限値に納まるか否かを、温度上昇値の上限値に対する割合や温度上昇値と上限値との差のそれら温度上昇値、上限値に対する割合などを余裕率として求める。
解析データ格納・出力部7は、解析・評価データファイルとして、キャパシタ電源の電圧(バンク電圧)vBi、電流ii 、充放電量Δwci、電力損失ii 2 ×rB 、発熱・放熱量Qti、内部抵抗rB による電圧降下を除いた出力電圧vti、総電力損失Σii 2 ×rB (=∫i2 ×rB di)を含む例えば図5(a)に示す解析データと、バンク電圧の最小値vBmin、必要電力量の最大値Wmax 、キャパシタ電源の利用率η、温度上昇値Tmax 、余裕率γを含む図5(b)に示す評価データを格納し、表やリスト、波形図、グラフなどに編集して出力するものである。解析データは、時系列ti の負荷パターンwliのそれぞれに対応して求められる。
次に、具体的な処理により本実施形態をさらに説明する。図6は本発明に係るキャパシタ電源の設計支援システムにおける処理の例を説明する図である。キャパシタ電源の1基本構成単位であるモジュールのキャパシタデータはデータファイルに既に格納されているとする。図6に示すようにまず、負荷データを入力することにより(ステップS11)、所望の電圧(vL 、vB )の得られるモジュール直列数NMSを求める(ステップS12)。次に、並列数NMPを入力することにより(ステップS13)、キャパシタ電源の各定格値(バンク電圧vB 、バンク静電容量CB 、バンク内部抵抗rB 、モジュール数NM )を求める(ステップS14)。
負荷データの各時ti における必要電力wliに見合ったキャパシタ電流ii を求め(ステップS15)、さらにバンク電圧vBi、出力電圧vti、充放電量Δwci、電力損失ii 2 ×rB 、発熱・放熱量Qti等を求めてキャパシタデータを格納する(ステップS16)。そして、時刻を更新(ti ←ti+1 )して(ステップS17)、全時刻について処理を終了したか否かを判定し(ステップS18)、全時刻について処理を終了するまで、ステップS15に戻って同様の処理を繰り返し実行する。
全時刻について処理を終了すると、バンク電圧の最小値vBminを抽出し(ステップS19)、必要電力量の最大値Wmax (=CB ×vBf 2 /2−CB ×vBmin 2 /2)を求める(ステップS20)。さらに、発熱・放熱に基づき求められる各時の上昇温度から最大値を抽出し、或いは電力損失から温度上昇値を求めて(ステップS21)、キャパシタ電源の利用率η、余裕率γを含めた各処理データを出力する(ステップS22)。さらに、キャパシタ電源の容量増加等の条件変更があるか否かを判定し(ステップS23)、条件変更であれば、ステップS13に戻り新たな並列数を入力して以下同様の処理を繰り返して実行する。また、条件変更では、図6(b)に示すように負荷データやモジュールデータ等を新たに入力し設定し直すようにしてもよい(ステップS11→S12′)。
キャパシタ電源は、モジュールの直列数を増やすと使用開始電圧が高くなると共に電流損失を減らすことができる。また、並列数を増やすと蓄電容量が増加すると共に内部抵抗を減らすことができる。つまり、モータ又は出力側の電力変換装置の耐電圧が許容される範囲で直列数を増やすことができ、体積、重量、コストが許容される範囲で直並列数を増やすことができる。上記の処理によれば、所定の負荷データに対してモジューの直列数、それらの並列数を増減させながら繰り返すことにより、許容範囲内の最適なキャパシタ電源を見いだすことができる。また、初期値を1とし順次増やして上記処理による解析を行えば、許容範囲内におさまったところを最適な設計値とすることもできる。
本実施形態において、負荷データとして、例えば先に述べたようにモータ選定ソフトにより生成された負荷パターンの情報を入力する例をさらに説明する。図7はモータ負荷の回転数、トルク、電力の波形例を示す図、図8は負荷データの一部構成例を示す図、図9は速度(加速度)プロファイルを入力する場合の処理の例を説明する図である。
キャパシタ電源は、負荷パターンによっては放電だけでなく、回生電力により充電されることにより、バンク電圧が上下動する。したがって、負荷パターンにより解析されたバンク電圧が最小値vBminとなったときの満充電からの放電量(WBmax−WBmin=Wmax )がキャパシタ電源として少なくとも必要となる蓄電容量となり、キャパシタ電源の蓄電容量に対する割合が利用率となる。また、温度上昇値は、電力損失の関数、例えば(総電力損失Σii 2 rB ×K+T0 )で求め、この温度上昇値の許容温度に対する割合が余裕率として求めることができる。ここで、Kは1〜3、T0 は1〜5で実験値として求められるものである。したがって、それぞれがキャパシタ電源の評価を行う情報となる。
モータ負荷回路において、例えば図7(a)に示すように一定の加速度n′で加速する加速域A、定速域B、一定の減速度−n′で減速する減速域Cからなる動作パターンが与えられると、負荷特性にしたがって図7(b)に示すトルクτ、さらにそのトルクτに見合った図7(c)に示す負荷電力Pが求めることができる。この負荷電力Pに対して最大供給電力pp とすると、これを越える分がピークカットしてキャパシタ電源から給電する必要電力wliとなる。負荷電力Pは、減速域Cで負になり回生電力としてキャパシタ電源の充電に使用される。キャパシタ電源では、必要電力wliを供給するために放電することにより電圧が降下するが、回生電力を充電に使用して蓄電量が増えることにより電圧が上昇し回復する。
動作パターンを速度で与えるデータの例を示したのが図8(a)であり、この場合には速度の単位時間の変化率(微分)で加速度が求められる。加速度で与えるデータの例を示したのが図8(a)である。複数の異なる種別の負荷を有する場合、負荷の種別により所望の加速度を得るために必要なトルク、そのトルクを得るために必要な電力も異なってくる。負荷の種別を指定することによりそれに対応して必要な電力を求めることができるようにするために設定するトルク・電力変換関数のデータの例を示したのが図8(a)である。
図9に示す速度(加速度)プロファイルを入力する場合の処理の例では、図8(a)、(b)に示す速度或いは加速度プロファイルのデータを入力し(ステップS31)、負荷の種別、モジュールの種別、定格を選択して指定することにより(ステップS32)、図8(c)に示す変換関数に基づき各時刻のトルク、負荷電力を算出し(ステップS33)、その負荷電力から各時刻のキャパシタ電源の必要電力を算出して(ステップS34)、先に説明した処理と同様にキャパシタの解析処理を実行する。
上記のように本実施形態の設計支援システムでは、負荷データ、キャパシタデータ、条件設定に応じて解析データ、評価データを出力することにより、それぞれの負荷とキャパシタ電源との組み合わせが適合するか否かを評価、判定することができるので、負荷データ、キャパシタデータ、条件設定を変数として更新しながら繰り返し解析データ、評価データを出力して、最適なキャパシタ電源の解を求めることができる。
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば上記実施の形態では、モータ負荷回路の負荷パターンを入力したが、モータ負荷回路に限らず複合負荷の給電系統における給電履歴データやシミュレーションデータによる動作パターンや負荷パターン入力し、ピークカットする電力をキャパシタ電源から給電する場合等に適用してもよいことはいうまでもない。
1…キャパシタデータ、2…負荷データ、3…キャパシタ電流演算部、4…キャパシタ充放電演算部、5…キャパシタ温度演算部、6…評価データ生成処理部、7…解析データ格納・出力部、11…キャパシタ電源、12…充放電制御回路、13…モータ駆動回路、14…モータ
Claims (2)
- 負荷パターンに応じて設計されるキャパシタ電源を評価するための情報を提供するキャパシタ電源の設計支援システムであって、
時系列の負荷パターンデータ、複数のキャパシタセルを直列接続して構成するモジュールに関するデータとして、モジュール電圧、モジュール静電容量、モジュール内部抵抗、モジュールの直並列数、許容温度、及び発熱・放熱係数のデータを保持する記憶手段と、
前記記憶手段に保持されたモジュール電圧、モジュール静電容量、モジュール内部抵抗、及びモジュールの直並列数に基づき前記直並列数のモジュールで構成するキャパシタ電源の電圧、静電容量、及び内部抵抗を求めるキャパシタ電源の演算手段と、
時刻を更新しながら各時刻における前記記憶手段に保持された負荷パターンにより要求される電力及びキャパシタ電源の電圧に見合ったキャパシタ電源の電流を求める電流演算手段と、
時刻を更新しながら各時刻における前記電流と前記記憶手段に保持された電圧、静電容量、及び内部抵抗に基づき充放電後のキャパシタ電源の電圧を求める充放電演算手段と、
時刻を更新しながら各時刻における前記電流と前記内部抵抗に基づき前記内部抵抗による電力損失を求めて前記電力損失と前記記憶手段に保持された発熱・放熱係数に基づき前記キャパシタ電源の温度上昇値を求める温度演算手段と
を備え、与えられた時系列の負荷パターンに給電するキャパシタ電源の各時刻における温度上昇値うちの最大値又は前記最大値と前記記憶手段に保持された許容温度との比較情報を出力することを特徴とするキャパシタ電源の設計支援システム。 - 負荷パターンに応じて設計されるキャパシタ電源を評価するための情報を提供するキャパシタ電源の設計支援システムであって、
時系列の負荷パターンデータ、複数のキャパシタセルを直列接続して構成するモジュールに関するデータとして、モジュール電圧、モジュール静電容量、モジュール内部抵抗、モジュールの直並列数、許容温度、及び温度上昇関数のデータを保持する記憶手段と、
前記記憶手段に保持されたモジュール電圧、モジュール静電容量、モジュール内部抵抗、及びモジュールの直並列数に基づき前記直並列数のモジュールで構成するキャパシタ電源の電圧、静電容量、及び内部抵抗を求めるキャパシタ電源の演算手段と、
時刻を更新しながら各時刻における前記記憶手段に保持された負荷パターンにより要求される電力及びキャパシタ電源の電圧に見合ったキャパシタ電源の電流を求める電流演算手段と、
時刻を更新しながら各時刻における前記電流と前記記憶手段に保持された電圧、静電容量、及び内部抵抗に基づき充放電後のキャパシタ電源の電圧を求める充放電演算手段と、
時刻を更新しながら各時刻における前記電流と前記内部抵抗に基づき前記内部抵抗による電力損失の積算値を求めて前記電力損失の積算値と前記記憶手段に保持された温度上昇関数に基づき前記キャパシタ電源の温度上昇値を求める温度演算手段と
を備え、与えられた時系列の負荷パターンに給電するキャパシタ電源の温度上昇値又は前記温度上昇値と前記記憶手段に保持された許容温度との比較情報を出力することを特徴とするキャパシタ電源の設計支援システム。
Priority Applications (1)
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