JP3907026B2 - プレスロール装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、経糸整経機等の経糸が巻き取られるビームの巻取糸にプレスロールを当接させるプレスロール装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、図13に示すような経糸整経機は、経糸1が巻き取られるワーパースビーム2と、経糸1をワーパースビーム2にガイドするガイドロール3が設けられていた。そして、ワーパースビーム2に巻き取られた経糸1である巻取糸1aに、プレスロール4が当接していた。プレスロール4は、L字形のプレスロールアーム5に保持され、プレスロールアーム5の基端は、プレスロール4に対して平行なプレスロールシャフト6に回転自在に取り付けられていた。プレスロールアーム5の途中には、フリクションバー7の先端部が枢支され、フリクションバー7の基端部は、ディスクブレーキ8に適度な強さで保持されており、巻取糸1aの巻き径の増大にともない、プレスロール4が巻取糸1aに対して加圧するところの、いわゆる消極式加圧機構を構成していた。また、ガイドロール3には、ガイドロール3の回転数を検出する回転数検出センサ9が近接して取り付けられていた。
【0003】
このような経糸整経機は、プレスロール4の位置をディスクブレーキ8の摩擦力により保持し、巻取糸1aの巻径の増大に伴い、巻取糸1aの表面に対して加圧するとともに、ディスクブレーキ8の摩擦力に対して巻取糸1aの押圧力によりプレスロール4の位置を徐々に後退させていた。そして回転数検出センサ9で、ガイドロール3の回転数を検出し、これをもとに経糸1の測長を行なっていた。
【0004】
また、図14に示すように、プレスロール装置としてプレスロール4をエアシリンダ11により巻取糸1aに常時押し付けるところの、いわゆる積極式加圧機構を用いるものもあった。これは、プレスロール4を保持するプレスロールアーム5に、エアシリンダアーム10がプレスロールシャフト6を介して所定角度に連結固定され、エアシリンダアーム10の先端にはエアシリンダ11が設けられていた。また、プレスロールアーム5にプレスロール4の回転数を検出する回転数検出センサ9が取り付けられていた。
【0005】
このようなプレスロール装置は、エアシリンダ11によりプレスロール4を一定の加圧力で巻取糸1aに押しつけていた。そして回転数検出センサ9で、プレスロール4の回転数を検出し、これを基に経糸1の測長を行なっていた。
【0006】
さらに、図13と異なって、図15に示すように、回転数検出センサ9はプレスロールアーム5に取り付けられ、プレスロール4の回転数から経糸1を測長するとともに、プレスロール4はディスクブレーキ8により巻取糸1aに対する加圧力を加えているものもあった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の技術においては、経糸1の測長信号を得る手段として図13に示すようにガイドロール3によるものと、図14、図15に示すようにプレスロール4によるものの2種類があった。ここで、ガイドロール3による経糸1の測長の問題点は、ガイドロール3は経糸1によって接触回転するが、経糸1の速度や張力の変動等があると経糸1の走行にガイドロール3が追従できず、経糸1がガイドロール3とスリップし、測長不良が発生することであった。特に、低張力の巻取り時や、スタート直後の加速時はスリップが顕著に現れていた。
【0008】
一方、プレスロール4による経糸1の測長の場合、図14に示すようなエアシリンダ11により積極的に加圧されると、常時十分な摩擦回転力を得ることができ、測長不良が発生しない。しかし、図14に示すエアシリンダ11による積極式加圧機構は、プレスロール4が巻取糸1aに常時加圧接触するため、巻取糸1aの局部的な硬軟に合わせてプレスロール4が動き、巻取糸1aの断面が多角形となるいわゆる多角形巻きの問題が発生し易いという問題もあった。また、プレスロール4、ワーパースビーム2及び巻取糸1aの偏心や真円度不良により、巻取糸1aに接するプレスロール4は回転にともない振動が発生し、プレスロールは巻取糸1aに均等に接しなくなり、これによっても多角形巻となる。
【0009】
他方、図15に示すようにプレスロール4に対して、ディスクブレーキ8の摩擦力による消極式加圧機構により加圧力を与える場合、巻径の増大にともない、プレスロール4と巻取糸1a間の加圧力が増大し、巻取糸1aからプレスロール4に加わる押圧力が所定の力以上になると、プレスロール4及びフリクションバー 7が瞬間的に後退する。この機構の場合、プレスロール4は一時的には定点に位置し、巻取糸1aは、一定の位置にあるプレスロール4で加圧接触されるので、多角形巻が発生しない。しかし、この消極的加圧機構は、巻径の増大によりプレスロール4及びフリクションバー7が後退する際、過剰に後退する場合があり、プレスロール4と巻取糸1a間に隙間Dが発生することがあった。このため回転不良が生じ、測長不良が発生していた。なお、巻径が増大するにつれてこの隙間は解消されるが、それまでプレスロール4の回転不良が発生し、上述のようにプレスロール4の回転数から経糸1の測長を行なった場合に測長不良が発生していた。
【0010】
この発明は、上記従来の技術の問題点に鑑みてなされたもので、経糸をワーパースビームに真円に近い形状で巻き取り、多角形巻を防止するとともに、プレスロールの回転数を確実に検出して正確に経糸の測長を行なうことができるプレスロール装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この発明は、ワーパースビームの巻取糸表面に当接するプレスロールと、上記プレスロールが回転自在に取り付けられている保持部材と、上記プレスロールが上記巻取糸に当接する位置で上記保持部材を保持する摩擦保持機構と、上記保持部材を介して、上記プレスロールを上記巻取糸表面側に押圧する加圧機構が設けられ、上記保持部材と上記摩擦保持機構が所定の位置で係合し、その係合部には上記プレスロールが上記巻取糸側へ移動可能とする遊びが設けられているプレスロール装置である。
【0012】
また、上記プレスロールに対して平行に設けられ回動自在に軸支されたプレスロールシャフトを設け、上記保持部材は、上記プレスロールシャフトに固定され先端部には上記プレスロールが回転自在に取り付けられているプレスロールアームからなり、上記摩擦保持機構の一部が上記プレスロールアームに係合し、上記加圧機構は、上記プレスロールシャフトに一端が固定され上記プレスロールアームを介して上記プレスロールを上記巻取糸側に押圧するものである。
【0013】
また、上記保持部材は、直線運動自在に設けられ先端部に上記プレスロールが回転自在に取り付けられているプレスロールアームからなり、上記摩擦保持機構の一部が上記プレスロールアームに係合し、上記加圧機構は、上記プレスロールアームを介して上記プレスロールを上記巻取糸側に押圧するものである。
【0014】
また、上記保持部材と上記摩擦保持機構の係合部は、上記保持部材と上記摩擦保持機構の一方の部材に、上記プレスロールが上記巻取糸側へ移動する方向に長く形成されている長穴が設けられ、他方の部材に上記長穴に嵌合されるピンが形成されているプレスロール装置である。または、上記保持部材と上記摩擦保持機構の係合部は、上記保持部材と上記摩擦保持機構の所定の部材同士が当接してなり、この当接部は、上記プレスロールが上記巻取糸側へ移動可能に形成されているプレスロール装置である。さらに、上記保持部材と上記摩擦保持機構の係合部には、上記保持部材と上記摩擦保持機構の相対的位置関係を、互いに引きつける方向に付勢する復帰機構が設けられているプレスロール装置である。
【0015】
またこの発明は、ワーパースビームの巻取糸表面に当接するプレスロールと、上記プレスロールが回転自在に取り付けられている保持部材と、上記プレスロールが上記巻取糸に当接する位置で上記保持部材を保持する摩擦保持機構と、上記摩擦保持機構の摩擦保持を制御する摩擦保持解除指令手段からなり、この摩擦保持解除指令手段は、上記巻取糸の巻径増大にともない上記プレスロールが上記巻取糸に押されて後退する前に、上記摩擦保持機構の作動の一時的な解除をおこなうとともに、その後の摩擦保持再開を繰り返し行なうプレスロール装置である。
【0016】
さらに、上記保持部材を介して上記プレスロールを上記巻取糸に押圧する加圧機構が設けられ、上記加圧機構は、少なくとも上記摩擦保持機構の作動の一時的な解除時に上記プレスロールを上記巻取糸に接触させるように作動するプレスロール装置である。
【0017】
またこの発明は、ワーパースビームの巻取糸表面に当接するプレスロールと、上記プレスロールが回転自在に取り付けられている保持部材と、上記プレスロールが上記巻取糸に当接する位置で上記保持部材を保持する摩擦保持機構と、上記摩擦保持機構の摩擦保持を制御する摩擦保持解除指令手段と、上記保持部材を介して上記プレスロールを上記巻取糸に押圧する加圧機構が設けられ、上記摩擦保持解除指令手段は、上記巻取糸と上記プレスロール間の隙間発生検出部を含むとともに上記摩擦保持機構の作動の一時的な解除を行い、上記加圧機構は、少なくとも上記摩擦保持機構の作動の一時的な解除時に上記プレスロールを上記巻取糸に接触させるように作動するプレスロール装置である。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。図1〜図4はこの発明の第一実施形態を示すもので、この実施形態のプレスロール装置20は図示しない整経機の一部に設けられ、図示しないクリールから引き出された経糸1が、ガイドロール3にガイドされ、ワーパースビーム2に巻き取られている。ワーパースビーム2に巻き取られた巻取糸1aの表面には、プレスロール22が押しつけられている。プレスロール22の両端部は、プレスロール22の保持部材であるL字形のプレスロールアーム24の先端部に回転自在に取り付けられ、プレスロールアーム24のこの端部にはさらにプレスロール22の回転数を検出する回転数検出センサ26が取り付けられている。また、プレスロールアーム24の基端部は、プレスロール22の長手方向に対して平行に設けられている回転自在なプレスロールシャフト28に固定されている。
【0019】
プレスロールアーム24の中間付近には、プレスロール22の反対側に延出するフリクションバー30の先端部が係合している。プレスロールアーム24には、図2に示すようにプレスロールアームピン32が側方に突出して設けられ、フリクションバー30の先端部にはフリクションバー30の長手方向に長い長穴34が形成され、長穴34にプレスロールアームピン32が差し込まれ、長穴34内を遊び量Wを有して摺動可能に取り付けられている。長穴34の内壁面にはフリクションバー30の先端部分に貫通する透孔36が形成され、透孔36内には有底筒状の係合部当接ピン38が摺動可能に設けられている。そして、フリクションバー30の先端面は、板部材40がボルト42で固定され係合部当接ピン38が抜け落ちないようにしている。さらに、係合部当接ピン38の内側にはコイル状の係合部当接バネ44が嵌挿され、係合部当接バネ44の端部が板部材40に当接して、係合部当接ピン38をプレスロールアームピン32側に付勢している。そして、図3に示すように、係合部当接バネ44に抗して長穴34に沿ってプレスロールアームピン32がフリクションバー30の先端側へ移動可能に設けられている。フリクションバー30の他端部は、摩擦保持機構の一部をなすディスクブレーキ46に一定の力で保持され、ディスクブレーキ46は整経機のフレームに固定されている。
【0020】
そして、プレスロールシャフト28には、一対のプレスロールアーム24の間にエアシリンダアーム48の一端部が固定され、エアシリンダ50は常時作動し、その力は係合部においてディスクブレーキ46の摩擦保持力による力より弱く作用し、しかも、巻取糸1aを適宜の圧力で押圧可能な付勢力に調節されている。さらにこのエアシリンダ50による付勢力は、係合部において係合部当接バネ44の付勢力よりも大きい。これにより、フリクションバー30を動かすことなくプレスロールアーム24とプレスロール22を、ワーパースビーム2の巻取糸1aに押しつけ可能となっている。
【0021】
次に、このプレスロール装置20の動作作用について説明する。まず、経糸1をワーパースビーム2に巻付けワーパースビーム2を回転させて、経糸1をガイドロール3でガイドしながら巻き取る。このときワーパースビーム2の巻取糸1aの表面にプレスロール22がエアシリンダ50の付勢力で押圧され当接させられている。このプレスロール22は、プレスロールアーム24を介してフリクションバー30により巻取糸1aの巻取表面に当接した位置で保持される。この保持は、ディスクブレーキ46を作動させて、フリクションバー30を摩擦保持することによりなされている。
【0022】
そして、ワーパースビーム2への経糸1の巻取が進行し、巻取糸1aの巻径の増大とともに、プレスロール22が巻取糸1aから受ける押圧力が増大し、プレスロールアーム24とフリクションバー30の係合部において、ディスクブレーキ46がフリクションバー30を保持している摩擦保持力以上に大きくなると、フリクションバー30がスリップして後退し、従ってプレスロール22も後退する。
【0023】
さらに詳しく説明すると、ディスクブレーキ46によりフリクションバー30を保持している間は、図2に示すようにプレスロールアーム24のブレスロールアームピン32が、フリクションバー30の長穴34の図面上の左側の内壁に当接し、巻取糸1aからの押圧力により、フリクションバー30を図面左方向に付勢している。そして、プレスロール22が受ける押圧力が増大し、ディスクブレーキ46によりフリクションバー30を摩擦保持しきれなくなると、フリクションバー30が後退しプレスロール22も後退する。このとき、ディスクブレーキ46の摩擦保持力が静止摩擦から、より摩擦力の小さい動摩擦に移行するため、プレスロール22の後退量が巻取糸1aの巻径の増大分より大きく後退してしまう場合がある。
【0024】
この場合、プレスロール22と巻取糸1aの間に隙間が発生するが、図3に示すように、プレスロール22は、エアシリンダ50によってワーパースビーム2側に付勢されているので、長穴34による係合部での遊び量Wにより、係合部当接バネ44が圧縮されプレスロール22は速やかに巻取糸1a側に移動し、巻取糸1aを押しつける。このときの移動量Lは、図3に示すように上記遊び量Wの範囲内で生じるように設定されている。そして再び巻取糸1aの巻径の増大に伴って、プレスロール22が押圧され、プレスロールアームピン32が、フリクションバー30の長穴34の左側内壁に当接し、その作用力がフリクションバー30の摩擦保持力以上となるまで、フリクションバー30はディスクブレーキ46により元の位置に保持されている。以上の動作を繰り返し、プレスロール22は常に巻取糸1a表面に当接し、巻取糸1aがほぼ真円となるように整え、多角形巻きに巻かれるのを防止する。
【0025】
ここで、プレスロールアームピン32が嵌合したフリクションバー30の長穴34の遊び量は、発生が予想されるプレスロール22と巻取糸1aの隙間(実験的に求めたもので、本実施形態では2mm)以上を解消できる十分な遊びに設定されている。また、長穴34の遊び量は、プレスロールシャフト28からどれだけ離れた位置にあるかによっても異なるもので、発生が予想されるプレスロール22と巻取糸1aの隙間を、解消可能な量である。また、係合部当接バネ44は、スタート時の係合状態への復帰機能として作用するもので、ワーパースビーム2のドッフィング時、ディスクブレーキ46が開放されエアシリンダ50の付勢力によりプレスロール22がワーパースビーム2の糸巻面に当接された時に、係合部当接バネ44によりフリクションバー30とプレスロールアームピン32が図2の状態で当接するようにしている。そして、経糸1の巻き始めからディスクブレーキ46による摩擦保持力が作用するようにして、多角形巻きを防止している。
【0026】
この実施形態のプレスロール装置20によれば、摩擦保持機構により、プレスロール22が一時的に固定された位置で巻取糸1aに当接するため、多角形巻きを防止し確実に真円に近い形状に巻き取ることができる。そして、巻取糸1aの巻径の増大にともなって、プレスロール22が移動するとともに、その移動量が行き過ぎた場合にも、常に巻取糸1a表面にプレスロール22が当接することから、プレスロール22は確実にワーパースビーム2の回転に追従し、プレスロール22の回転数を検出して確実に経糸1の測長を行なうことができる。
【0027】
なお、プレスロールアームピン32と、フリクションバー30の長穴34の遊びは上記以外でも良く、発生が予想されるプレスロールと巻取糸との隙間を解消できる量より少なくても良い。この場合、発生した隙間は、エアシリンダの加圧力により全てなくすることはできないが、従来技術の場合より、プレスロールの回転不良は改善される。
【0028】
次にこの発明の第二実施形態について図5に基づいて説明する。ここで、上述の実施の形態と同様の部材は同一の符号を付して説明を省略する。このプレスロール装置52は、プレスロールアーム24の中間付近に、フリクションバー30の先端部30aが当接される当接部である係合凹部54が形成されている。そして係合凹部54の底部54aにフリクションバー30の端部30aが当接し、フリクションバー30とプレスロールアーム24を連結し互いに引き寄せる引っ張りバネである係合部当接バネ56が取り付けられている。
【0029】
次に、このプレスロール装置52の動作作用について説明する。まず巻取糸1aの巻径の増大とともに、プレスロール22が受ける押圧力が増大し、ディスクブレーキ46がフリクションバー30に与える摩擦保持力以上に大きくなると、プレスロール22及びフリクションバー30が後退する。この移動の際にプレスロール22と巻取糸1aの間に隙間が発生した場合、プレスロールアーム24に対してフリクションバー30は、係合凹部54に当接しているだけなので、係合部当接バネ56に逆らってプレスロールアーム24をエアシリンダ50によって押し出し、速やかにプレスロール22が巻取糸1aに押しつけられる。このとき、プレスロールアーム24の係合凹部54の底部54aと、フリクションバー30の端部30aの間に隙間が生じるが、エアシリンダ50が常時作動しているので、プレスロール22は巻取糸1aから離れることはない。
【0030】
そして、巻取糸1aの巻径の増大とともにプレスロール22は図面上で左側に移動し、フリクションバー30の端部30aとプレスロールアーム24の係合凹部54の底部54aが当接し、ディスクブレーキ46による巻取糸1aの加圧力が増大する。そして、以上の動作を繰り返し、プレスロール22は常に巻取糸1a表面に当接し、巻取糸1aが真円となるように整え、多角形巻きになるのを防止する。
【0031】
この実施形態の場合も、エアシリンダ50は常時作動し、係合凹部54においては、ディスクブレーキ46の摩擦保持力より弱い力であって、巻取糸1aを適宜の圧力で押圧可能な付勢力に調節されている。
【0032】
この実施形態のプレスロール装置52によれば、上記実施形態と同様の効果を有し、そして構造が簡単で部品点数が少ないため、組立が簡単でコストが安価である。
【0033】
次にこの発明の第三実施形態について図6、図7に基づいて説明する。ここで、上述の実施の形態と同様の部材は同一の符号を付して説明を省略する。このプレスロール装置58は、プレスロールアーム24の中間付近に、プレスロール22とは反対側に延出するフリクションバー30の先端部が軸支されている。フリクションバー30の他端部は、摩擦保持機構であるディスクブレーキ46に一定の力で摩擦保持されている。このフリクションバー30の中間付近には、ロードセル等の加圧力検出器60が設けられている。そしてこの実施形態には、図7に示すように加圧力設定器70、加圧力検出器60、比較器72からなる摩擦保持解除指令手段74が設けられている。
【0034】
次に、このプレスロール装置58の動作作用について説明する。ディスクブレーキ46の作動により、フリクションバー30には摩擦保持力が作用する。フリクションバー30に作用する摩擦保持力により、巻取糸1aの巻径の増大に伴い、巻取糸1aとプレスロール22間に加圧力が発生する。前記加圧力に関連する力は、フリクションバー30に押圧力として作用し、その値は加圧力検出器60で検出される。フリクションバー30に作用する前記押圧力が前記摩擦保持力より大きくなると、フリクションバー30は後退し、プレスロール22は後退することになる。そこで本実施形態では、フリクションバー30に作用する前記押圧力が前記摩擦保持力より大きくなる前に、ディスクブレーキ46の作動を解除し、プレスロール22への十分に大きくなっていない押圧力により、プレスロール22を後退させるものである。このため、加圧力設定器70には、前記摩擦保持力よりも小さな値が設定されている。なお、加圧力設定器70の設定値を大きな値とすることにより、巻取糸1aを硬く巻くことが可能であるが、ディスクブレーキ46の作動の解除時に、プレスロール22が大きく後退し、巻取糸1a間に隙間が発生する恐れがあるので、いくらか小さめの値に設定する。
【0035】
そして、加圧力検出器60により検出された加圧力を比較器72において加圧力設定器70の設定値と比較し、この設定値と一致した時に、ディスクブレーキ駆動回路76に一時解除信号が伝えられる。そしてディスクブレーキ46は短時間だけ摩擦保持を解除し、フリクションバー30が巻取糸1aの押圧力によりわずかに後退し、再びディスクブレーキ46を作動させる。なお、ディスクブレーキ46が摩擦保持を一時的解除する方法を採ったが、摩擦保持を一時的に弱める方法でも良い。これを繰り返し、小刻みにプレスロール22を後退させ、巻取糸1aとプレスロール22との間に隙間が発生するのを防止する。なお、エアシリンダ50は、ワーパースビーム2を整経機に設置する際のプレスロール22の仕掛け装置として機能するもので、整経機稼動中は作用しない。
【0036】
この実施形態のプレスロール装置58によれば、大きな後退が生じないようにして、小刻みにプレスロール22を後退させるため、プレスロール22にかかる加圧力が所定値以上に大きくならず、プレスロール22が大きく後退し巻取糸1aとの間に隙間が生じることがない。これにより多角形巻を防止し確実に真円に近い形状に巻き取ることができる。そしてプレスロール22は確実にワーパースビーム2の回転に追従し、プレスロール22の回転を検出して確実に経糸1に測長を行なうことができる。
【0037】
次にこの発明の第四実施形態について説明する。この実施形態のプレスロール装置は、上記第三実施形態と構造が同一であるため図6、図7を使用して説明する。この実施形態には、ディスクブレーキ46によりプレスロール22を巻取糸1aに当接させているとともに、エアシリンダ50を常時作動させている。
【0038】
このプレスロール装置の動作作用について説明する。まず、巻取糸1aの巻径の増大とともにプレスロール22が受ける加圧力が増大しフリクションバー30に伝わり、ディスクブレーキ46の摩擦保持力より大きくなると、フリクションバー30が後退する。このとき、フリクションバー30が大きく後退しプレスロール22と巻取糸1aの間に隙間が生じると、エアシリンダ50が常時作動しているので、加圧力検出器60にかかる力は、プレスロール22からの加圧力とは逆方向の加圧力となり、逆方向の力として検知される。従って、加圧力設定器70にこの逆方向の加圧力を設定しておくことにより、摩擦保持解除指令手段74は隙間発生検出部を含むことになり、その加圧力が検出されると、プレスロール22と巻取糸1a間に隙間が発生したことが検出され、摩擦保持解除指令手段74は、ディスクブレーキ駆動回路76を介してディスクブレーキ46の作動を一時的に解除する。これによって、ディスクブレーキ46からフリクションバー30は開放され、プレスロール22はエアシリンダ50により巻取糸1a側に移動し当接する。そして、再びディスクブレーキ46が作動しフリクションバー30を摩擦力により保持する。
【0039】
この実施形態の場合、エアシリンダ50は常時作動し、ディスクブレーキ46の摩擦保持力より弱い力であって、巻取糸1aを適宜の圧力で押圧可能な付勢力に調節されている。
【0040】
この実施形態のプレスロール装置によれば、プレスロール22が過剰に後退しても、直ちににエアシリンダ50により押し戻されるため、プレスロール22と巻取糸1aの間に隙間が瞬間的にしか生じることなく、多角形巻を防止し確実に真円に近い状態に巻き取ることができる。そしてプレスロール22は確実にワーパースビーム2の回転に追従し、プレスロール22の回転を検出して確実に経糸1に測長を行なう。
【0041】
なお、第三実施形態のプレスロール装置の変形例として、プレスロールの加圧機構としてエアシリンダ50を常時作動させるものがある。その場合、まず巻取糸1aの巻径の増大とともにプレスロール22が受ける押圧力はフリクションバー30に伝わり、ロードセル46に検出される。加圧力設定器70には、デスクブレーキ46の作動による摩擦保持力よりも小さい加圧力が設定され、比較器72において、検出された加圧力が上記設定値になったとき、ディスクブレーキ駆動回路76に一時解除信号が伝えられる。そしてディスクブレーキ46は短時間だけ摩擦保持力が解除され、フリクションバー30は巻取糸1aの押圧力により後退する。同時に、エアシリンダ50によりプレスロール22は巻取糸1aに押しつけられるため、第3実施形態と比較し、摩擦保持力の解除時、プレスロール22が大きく後退し、巻取糸1aとプレスロール22との間に隙間が生じても、隙間は瞬時に解消される。そして、再びディスクブレーキ46が作動しフリクションバー30が摩擦力により保持される。
【0042】
この場合もプレスロールが加圧機構として、エアシリンダ50が常時作動し、ディスクブレーキ46の摩擦保持力より弱い力であって、巻取糸1aを適宜の圧力で押圧可能な付勢力に調節されている。
【0043】
次にこの発明の第五実施形態について説明する。この実施形態のプレスロール装置62は、図6に示す実施形態に類似したものである。ディスクブレーキ46の作動により、フリクションバー30には摩擦保持力が作用する。フリクションバー30に作用する摩擦保持力により、巻取糸1aの巻径の増大に伴って巻取糸1aとプレスロール22間に加圧力が発生する。前記加圧力に関連する力は、フリクションバー30に押圧力として作用する。フリクションバー30に作用する前記押圧力が前記摩擦保持力より大きくなると、フリクションバー30は後退し、プレスロール22は後退することになるが、この実施形態ではその前にディスクブレーキ46の作動を解除し、プレスロール22を後退させるものである。
【0044】
この実施形態においては、図8に示すように、プレスロールアーム24の先端に、巻取糸1aとプレスロール22間に発生する加圧力に関連する力を検出するロードセル等の加圧検出器64が取り付けられており、フリクションバー30に作用する押圧力が、ディスクブレーキ46の作動による摩擦保持力を上回らないように、加圧力設定器70の設定値が設定されている。フリクションバー30に作用する前記押圧力が前記摩擦保持力より大きくなると、フリクションバー30は後退し、プレスロール22は後退することになるが、これにより、その前にディスクブレーキ46の作動を解除し、プレスロール22を後退させるものである。なお、エアシリンダ50は、ワーパースビーム2を整経機に仕掛ける際の装置として機能させるものであり、稼働中はプレスロール22の加圧機構としての作動は行わない。この加圧力検出器64は、プレスロール22の軸22aと、ボールベアリング間に設けられ、プレスレスロール軸22aにかかる加圧力を検出するものである。
【0045】
この実施形態のプレスロール装置62によっても、上記第三実施形態とほぼ同様の効果を有するものである。さらに、プレスロール軸22aで巻取糸1aからの押圧力による加圧力を検知しているので、より正確に検知可能であり、より細かな制御を可能にする。
【0046】
次にこの発明の第六実施形態について説明する。この実施形態においては、上記第五実施形態の構成に対し、プレスロール22の加圧機構としてエアシリンダ50を有すると共に、摩擦保持解除指令手段74は、隙間発生検知部を含み、プレスロール22と巻取糸1a間での隙間の発生を検知するものである。隙間の発生の検知は、漸増していた加圧力が、急激に低下することにより検知される。従って、加圧力設定器70には、低い値が設定されている。隙間の発生が検知され、ディスクブレーキ46の作動の一時的な解除の後、加圧力検出器60の検出値が加圧力設定器70に設定された値を超えた後に、比較器72の作動が再開され、設定された加圧力よりも低い値を検出することにより、隙間の発生を検知するものである。隙間の発生を検知した場合、摩擦保持機構であるディスクブレーキ46の作動を一時的に解除することにより、プレスロール22の加圧機構としてエアシリンダ50を動かし、プレスロール22と巻取糸1a間での隙間を解消するものである。そして、この実施形態のプレスロール装置62は、上記第四実施形態とほぼ同様の動作で、同様の作用効果を有するものである。
【0047】
なお、この第五実施形態の変形例として、第三実施形態の変形例のように、プレスロール22の加圧機構としてエアシリンダ50を常時作動させるものがある。摩擦保持機構であるディスクブレーキ46の作動の解除時に、エアシリンダ50によりプレスロール22は巻取糸1aに押しつけられるため、第五実施形態と比較し、摩擦保持力の解除時、プレスロール22が大きく後退し、巻取糸1aとプレスロール22との間に隙間が生じても、隙間は瞬時に解消される。
【0048】
次にこの発明の第七実施形態について説明する。この実施形態のプレスロール装置において、摩擦保持解除指令手段84は、プレスロール22と巻取糸1a間での隙間の発生を検知する隙間発生検知部を含み、隙間の発生を検知した場合、摩擦保持機構であるディスクブレーキ46の作動を一時的に解除することにより、プレスロール22の加圧機構としてエアシリンダ50を動かし、プレスロール22と巻取糸1a間での隙間を解消するものである。図9に示すように、プレスロール22に設けられたプレスロール回転数検出器78、プレスロール22の回転数の変動値の幅を設定する変動値設定器80、比較器72からなる摩擦保持解除指令手段84が設けられている。さらに、この実施形態では、図6と同様の構成で、フリクションバー30に加圧力検出器60を設けない構成であり、プレスロール加圧機構としてエアシリンダ50は常時作動させる。
【0049】
次にこのプレスロール装置の動作作用について説明する。まず、巻取糸1aの巻径の増大とともに、プレスロール22が受ける加圧力が増大し、ディスクブレーキ46によるフリクションバー30の摩擦保持力以上に大きくなると、プレスロール22は後退する。このとき、フリクションバー30が後退する際に後退する距離が過剰でプレスロール22と巻取糸1aの間に隙間が発生した場合、プレスロール22の回転不良が発生し、プレスロール回転数検出器78で回転数の低下が検出される。そして変動値設定器80には、プレスロール回転数の変動値の設定値が設定され、比較器72において、検出されたプレスロール回転数が設定値以上変動した場合、ディスクブレーキ駆動回路76に一時解除信号が伝えられる。これにより、ディスクブレーキ46からフリクションバー30が開放され、プレスロール22はエアシリンダ50により巻取糸1aに押しつけられる。この後、再びディスクブレーキ46を作動させる。従って、プレスロール22と巻取糸1aの間に隙間が生じることなく接触状態を維持し、しかもディスクブレーキ46の摩擦保持力で、プレスロール22は保持される。
【0050】
また、この実施形態のプレスロール装置は、整経機のスタート時の加速時及び停止時の減速時にも、ディスクブレーキ駆動回路76に一時解除信号が伝えられる。これにより、加減速時には、ディスクブレーキ46の作動を停止させ、プレスロール22と巻取糸1aを確実に接触させる。
【0051】
この実施形態のプレスロール装置によれば、上記各実施形態と同様に巻取糸1aを、多角形巻きを防止し確実に真円に近い形状に巻き取ることができ、またプレスロール22はワーパービーム2の回転に追従し、プレスロール22の回転を検出して正確に経糸1の測長を行なうことができる。
【0052】
次にこの発明の第八実施形態について説明する。この実施形態のプレスロール装置は、図10に示すようにワーパースビーム回転検出器86、カウンタ設定器88、カウンタ90からなる摩擦保持解除手段94が設けられている。さらに、この実施形態では、図6と同様の構成で、フリクションバー30に加圧力検出器60を設けない構成である。
【0053】
ディスクブレーキ46の作動により、フリクションバー30には、摩擦保持力が作用し、摩擦保持される。ワーパースビーム2の回転に伴い、巻取糸1aの巻径が増大し、フリクションバー30に作用する摩擦保持力により、巻取糸1aとプレスロール22間に加圧力が発生する。前記加圧力に関連する力は、フリクションバー30に押圧力として作用する。巻取糸1aの巻径の増加量がある値に達する毎に、フリクションバー30に作用する前記押圧力が、ディスクブレーキ46による摩擦保持力を上回り、フリクションバー30は後退し、プレスロール22は後退することになるが、これにより、その前にディスクブレーキ46の作動を解除し、プレスロール22を後退させるものである。本実施形態の動作作用はワーパースビーム2の回転回数をワーパースビーム回転検出器86により検知し、ワーパースビーム2の一回転毎に1パルスをカウンタ90の出力する。カウンタ90がカウンタ設定器88の設定値に達する毎に、巻径の増加量が所値に達する。この時、ディスクブレーキ46による摩擦保持力を一時的に解除して、プレスロール22を後退させるものである。
【0054】
このワーパースビーム2の回転回数の設定は、例えば大きな加圧力でフリクションバー30が大きく後退する前の所定の小さい加圧力となるまでのワーパースビーム回転回数を設定値として設け、カウンタ90において検知されたワーパースビーム回転回数が設定値になったとき、ディスクブレーキ駆動回路76に一時解除信号を伝える。これにより、ディスクブレーキ46は短時間だけ摩擦保持力が解除され、フリクションバー30がわずかに後退し、押圧力が開放された後、再びディスクブレーキ46が作動する。そして、これを繰り返し、小刻みにプレスロール22を後退させ、巻取糸1aとプレスロール22間で大きい隙間の発生を防止する。ここでは、エアシリンダ50は、整経機に設置する際のプレスロール仕掛け装置として機能するもので、整経機稼動中は作用しない。
【0055】
次にこの発明の第九実施形態について説明する。この実施形態のプレスロール装置は、上記第八実施形態と同様の構成で、プレスロール加圧機構としてエアシリンダ50は常時作動させるものである。
【0056】
この実施形態の動作作用は、上記実施形態と同様に、ワーパースビーム2の回転回数をワーパースビーム回転検出器86により検知し、カウンタ設定器88には所定の回転回数の設定値が設けられている。そして、カウンタ90が設定値になったとき、ディスクブレーキ駆動回路76に一時解除信号が伝えられる。これにより、ディスクブレーキ46は短時間だけ摩擦保持力を解除し、フリクションバー30がわずかに後退する。プレスロール22は後退し、巻取糸1aとプレスロール22間の加圧力は解消されるが、同時に、エアシリンダ50によりプレスロール22は巻取糸1aに押しつけられるため、第八実施形態と比較し、摩擦保持力の解除時、プレスロール22が大きく後退し、巻取糸1aとプレスロール22との間に隙間が生じても、隙間は瞬時に解消される。そして再びディスクブレーキ46が作動しフリクションバー30が摩擦力により保持される。
【0057】
次にこの発明の第十実施形態について説明する。この実施形態のプレスロール装置は、図11に示すようにタイマ設定器96とタイマ98からなる摩擦保持解除指令手段100が設けられている。ディスクブレーキ46の作動により、フリクションバー30には、摩擦保持力が作用し、摩擦保持される。スタート後、巻取糸1aの巻径が増大し、フリクションバー30に作用する摩擦保持力により、巻取糸1aとプレスロール22間に加圧力が発生する。前記加圧力に関連する力は、フリクションバー30に押圧力として作用する。時間が経過し、巻取糸1aの巻径が増大すると、フリクションバー30に作用する押圧力が、ディスクブレーキ46による摩擦保持力を上回り、フリクションバー30は後退し、プレスロール22は後退することになるが、本実施形態の動作作用は、その前にディスクブレーキ46の作動を一時的に解除し、プレスロール22を後退させるものである。タイマー設定器96には、スタート後、フリクションバー30に作用する前記押圧力が、ディスクブレーキ46による摩擦保持力を越えるよりも短い時間が設定されている。タイマー設定器96に設定された時間に達する毎に、タイマー98はディスクブレーキ駆動回路76を介して、ディスクブレーキ46の作動を一時的に解除して、プレスロール22を後退させるものである。タイマー設定器96に設定される時間は、スタート直後の巻取糸の糸層の増大が最も速い磁器を基に設定されている。即ち、巻取糸1aの増径に伴い発生するフリクションバー30に作用する押圧力が、ディスクブレーキ46による摩擦保持力を上回りプレスロール22が後退するまでのスタートからの時間よりも短い時間が設定されている。
【0058】
そして、再びディスクブレーキ46を作動させる。これを繰り返し、小刻みにプレスロール22を後退させ、大きい隙間の発生を防止する。ここで、エアシリンダ50は、整経機に設置する際のプレスロール仕掛け装置として機能するもので、整経機稼動中は作用しない。なお、スタート時は、巻取糸1aの糸層の増大が速いので、時間を短く設定し、時間とともに糸層の増大が遅くなるので、間隔を次第に長く設定する設定方法を採っても良い。
【0059】
次にこの発明の第十一実施形態について説明する。この実施形態のプレスロール装置は、上記第十実施形態と同様の構成で、プレスロール加圧機構としてエアシリンダ50を常時作動させるものである。
【0060】
この実施形態の動作作用は、まずタイマ設定器96に、大きな加圧力でフリクションバー30が大きく後退する押圧力が生じるまでの巻取時間より短い時間の設定値を設ける。そしてタイマ98で時間を測定し設定値と同じ値となったとき、ディスクブレーキ46が短時間だけ摩擦保持力を解除し、フリクションバー30をわずかに後退させる。プレスロール22は後退し、巻取糸1aとプレスロール22間の加圧力は解消されるが、同時に、エアシリンダ50によりプレスロール22は巻取糸1aに押しつけられるため、第十実施形態と比較し、摩擦保持力の解除時、プレスロール22が大きく後退し、巻取糸1aとプレスロール22との間に隙間が生じても、隙間は瞬時に解消される。
【0061】
なお、プレスロールシャフト28を中心として揺動運動自在に設けられ、プレスロール22を巻取糸1aに当接させるプレスロールアーム24に変えて、直線運動自在に設けられ、プレスロール22を巻取糸1aに当接させるプレスロールアーム24を用いても良い。この構造について、次の第十二実施形態に示す。プレスロールアーム24は、図12に示すように、アームガイド60により案内され、ワーパースビーム2の軸に直交する方向に直線運動自在に設けられている。プレスロール22が軸支された端部とは反対側の他端部には、加圧機構としてエアシリンダ50のスライド軸が連結されているとともに、さらに第一実施形態と全く同様の係合状態で、摩擦保持機構の一部としてのフリクションバー30が係合されている。プレスロール22が直線運動をして巻取糸1aに当接する点以外の動作作用、及び効果に関しては、第一実施形態と全く同様である。
【0062】
なお、この発明のプレスロール装置は、上記各実施形態に限定されるものではなく、加圧力検出器、回転検出器等の取付け位置等適宜設定可能である。
【0063】
【発明の効果】
この発明のプレスロール装置は、ワーパースビームの多角形巻を防止するとともに、測長不良を起こさず正確に経糸を測長することができる。特に、従来測長不良が発生していた稼動条件でも測長不良の発生がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第一実施形態のプレスロール装置の正面図である。
【図2】この実施形態のプレスロール装置のプレスロールアームとフリクションバー係合部の部分拡大断面図である。
【図3】この実施形態のプレスロール装置のプレスロールアームとフリクションバー係合部の部分拡大断面図である。
【図4】この実施形態のプレスロール装置の斜視図である。
【図5】この発明の第二実施形態のプレスロール装置の正面図である。
【図6】この発明の第三実施形態、第四実施形態、第三実施形態の変形例のプレスロールの正面図である。
【図7】この発明の第三実施形態、第四実施形態、第三実施形態の変形例、第五実施形態、第六実施形態、第五実施形態の変形例のプレスロール装置の摩擦保持機構制御を示すブロック線図である。
【図8】この発明の第五実施形態、第六実施形態、第五実施形態の変形例のプレスロール装置の正面図である。
【図9】この発明の第七実施形態のプレスロール装置の摩擦保機構制御を示すブロック線図である。
【図10】この発明の第八実施形態、第九実施形態のプレスロール装置の摩擦保機構制御を示すブロック線図である。
【図11】この発明の第十実施形態、第十一実施形態のプレスロール装置の摩擦保機構制御を示すブロック線図である。
【図12】この発明の第十二実施形態のプレスロール装置の正面図である。
【図13】従来の技術の、消極式加圧機構でガイドロールに回転数検出センサが取り付けられたプレスロール装置の正面図である。
【図14】従来の技術の、積極式加圧機構でプレスロールアームに回転数検出センサが取り付けられたプレスロール装置の正面図である。
【図15】従来の技術の、消極式加圧機構でプレスロールアームに回転数検出センサが取り付けられたプレスロール装置の正面図である。
【符号の説明】
1 経糸
1a 巻取糸
20 プレスロール装置
22 プレスロール
24 プレスロールアーム
26 回転数検出センサ
30 フリクションバー
32 プレスロールアームピン
34 長穴
60 アームガイド
【発明の属する技術分野】
この発明は、経糸整経機等の経糸が巻き取られるビームの巻取糸にプレスロールを当接させるプレスロール装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、図13に示すような経糸整経機は、経糸1が巻き取られるワーパースビーム2と、経糸1をワーパースビーム2にガイドするガイドロール3が設けられていた。そして、ワーパースビーム2に巻き取られた経糸1である巻取糸1aに、プレスロール4が当接していた。プレスロール4は、L字形のプレスロールアーム5に保持され、プレスロールアーム5の基端は、プレスロール4に対して平行なプレスロールシャフト6に回転自在に取り付けられていた。プレスロールアーム5の途中には、フリクションバー7の先端部が枢支され、フリクションバー7の基端部は、ディスクブレーキ8に適度な強さで保持されており、巻取糸1aの巻き径の増大にともない、プレスロール4が巻取糸1aに対して加圧するところの、いわゆる消極式加圧機構を構成していた。また、ガイドロール3には、ガイドロール3の回転数を検出する回転数検出センサ9が近接して取り付けられていた。
【0003】
このような経糸整経機は、プレスロール4の位置をディスクブレーキ8の摩擦力により保持し、巻取糸1aの巻径の増大に伴い、巻取糸1aの表面に対して加圧するとともに、ディスクブレーキ8の摩擦力に対して巻取糸1aの押圧力によりプレスロール4の位置を徐々に後退させていた。そして回転数検出センサ9で、ガイドロール3の回転数を検出し、これをもとに経糸1の測長を行なっていた。
【0004】
また、図14に示すように、プレスロール装置としてプレスロール4をエアシリンダ11により巻取糸1aに常時押し付けるところの、いわゆる積極式加圧機構を用いるものもあった。これは、プレスロール4を保持するプレスロールアーム5に、エアシリンダアーム10がプレスロールシャフト6を介して所定角度に連結固定され、エアシリンダアーム10の先端にはエアシリンダ11が設けられていた。また、プレスロールアーム5にプレスロール4の回転数を検出する回転数検出センサ9が取り付けられていた。
【0005】
このようなプレスロール装置は、エアシリンダ11によりプレスロール4を一定の加圧力で巻取糸1aに押しつけていた。そして回転数検出センサ9で、プレスロール4の回転数を検出し、これを基に経糸1の測長を行なっていた。
【0006】
さらに、図13と異なって、図15に示すように、回転数検出センサ9はプレスロールアーム5に取り付けられ、プレスロール4の回転数から経糸1を測長するとともに、プレスロール4はディスクブレーキ8により巻取糸1aに対する加圧力を加えているものもあった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の技術においては、経糸1の測長信号を得る手段として図13に示すようにガイドロール3によるものと、図14、図15に示すようにプレスロール4によるものの2種類があった。ここで、ガイドロール3による経糸1の測長の問題点は、ガイドロール3は経糸1によって接触回転するが、経糸1の速度や張力の変動等があると経糸1の走行にガイドロール3が追従できず、経糸1がガイドロール3とスリップし、測長不良が発生することであった。特に、低張力の巻取り時や、スタート直後の加速時はスリップが顕著に現れていた。
【0008】
一方、プレスロール4による経糸1の測長の場合、図14に示すようなエアシリンダ11により積極的に加圧されると、常時十分な摩擦回転力を得ることができ、測長不良が発生しない。しかし、図14に示すエアシリンダ11による積極式加圧機構は、プレスロール4が巻取糸1aに常時加圧接触するため、巻取糸1aの局部的な硬軟に合わせてプレスロール4が動き、巻取糸1aの断面が多角形となるいわゆる多角形巻きの問題が発生し易いという問題もあった。また、プレスロール4、ワーパースビーム2及び巻取糸1aの偏心や真円度不良により、巻取糸1aに接するプレスロール4は回転にともない振動が発生し、プレスロールは巻取糸1aに均等に接しなくなり、これによっても多角形巻となる。
【0009】
他方、図15に示すようにプレスロール4に対して、ディスクブレーキ8の摩擦力による消極式加圧機構により加圧力を与える場合、巻径の増大にともない、プレスロール4と巻取糸1a間の加圧力が増大し、巻取糸1aからプレスロール4に加わる押圧力が所定の力以上になると、プレスロール4及びフリクションバー 7が瞬間的に後退する。この機構の場合、プレスロール4は一時的には定点に位置し、巻取糸1aは、一定の位置にあるプレスロール4で加圧接触されるので、多角形巻が発生しない。しかし、この消極的加圧機構は、巻径の増大によりプレスロール4及びフリクションバー7が後退する際、過剰に後退する場合があり、プレスロール4と巻取糸1a間に隙間Dが発生することがあった。このため回転不良が生じ、測長不良が発生していた。なお、巻径が増大するにつれてこの隙間は解消されるが、それまでプレスロール4の回転不良が発生し、上述のようにプレスロール4の回転数から経糸1の測長を行なった場合に測長不良が発生していた。
【0010】
この発明は、上記従来の技術の問題点に鑑みてなされたもので、経糸をワーパースビームに真円に近い形状で巻き取り、多角形巻を防止するとともに、プレスロールの回転数を確実に検出して正確に経糸の測長を行なうことができるプレスロール装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この発明は、ワーパースビームの巻取糸表面に当接するプレスロールと、上記プレスロールが回転自在に取り付けられている保持部材と、上記プレスロールが上記巻取糸に当接する位置で上記保持部材を保持する摩擦保持機構と、上記保持部材を介して、上記プレスロールを上記巻取糸表面側に押圧する加圧機構が設けられ、上記保持部材と上記摩擦保持機構が所定の位置で係合し、その係合部には上記プレスロールが上記巻取糸側へ移動可能とする遊びが設けられているプレスロール装置である。
【0012】
また、上記プレスロールに対して平行に設けられ回動自在に軸支されたプレスロールシャフトを設け、上記保持部材は、上記プレスロールシャフトに固定され先端部には上記プレスロールが回転自在に取り付けられているプレスロールアームからなり、上記摩擦保持機構の一部が上記プレスロールアームに係合し、上記加圧機構は、上記プレスロールシャフトに一端が固定され上記プレスロールアームを介して上記プレスロールを上記巻取糸側に押圧するものである。
【0013】
また、上記保持部材は、直線運動自在に設けられ先端部に上記プレスロールが回転自在に取り付けられているプレスロールアームからなり、上記摩擦保持機構の一部が上記プレスロールアームに係合し、上記加圧機構は、上記プレスロールアームを介して上記プレスロールを上記巻取糸側に押圧するものである。
【0014】
また、上記保持部材と上記摩擦保持機構の係合部は、上記保持部材と上記摩擦保持機構の一方の部材に、上記プレスロールが上記巻取糸側へ移動する方向に長く形成されている長穴が設けられ、他方の部材に上記長穴に嵌合されるピンが形成されているプレスロール装置である。または、上記保持部材と上記摩擦保持機構の係合部は、上記保持部材と上記摩擦保持機構の所定の部材同士が当接してなり、この当接部は、上記プレスロールが上記巻取糸側へ移動可能に形成されているプレスロール装置である。さらに、上記保持部材と上記摩擦保持機構の係合部には、上記保持部材と上記摩擦保持機構の相対的位置関係を、互いに引きつける方向に付勢する復帰機構が設けられているプレスロール装置である。
【0015】
またこの発明は、ワーパースビームの巻取糸表面に当接するプレスロールと、上記プレスロールが回転自在に取り付けられている保持部材と、上記プレスロールが上記巻取糸に当接する位置で上記保持部材を保持する摩擦保持機構と、上記摩擦保持機構の摩擦保持を制御する摩擦保持解除指令手段からなり、この摩擦保持解除指令手段は、上記巻取糸の巻径増大にともない上記プレスロールが上記巻取糸に押されて後退する前に、上記摩擦保持機構の作動の一時的な解除をおこなうとともに、その後の摩擦保持再開を繰り返し行なうプレスロール装置である。
【0016】
さらに、上記保持部材を介して上記プレスロールを上記巻取糸に押圧する加圧機構が設けられ、上記加圧機構は、少なくとも上記摩擦保持機構の作動の一時的な解除時に上記プレスロールを上記巻取糸に接触させるように作動するプレスロール装置である。
【0017】
またこの発明は、ワーパースビームの巻取糸表面に当接するプレスロールと、上記プレスロールが回転自在に取り付けられている保持部材と、上記プレスロールが上記巻取糸に当接する位置で上記保持部材を保持する摩擦保持機構と、上記摩擦保持機構の摩擦保持を制御する摩擦保持解除指令手段と、上記保持部材を介して上記プレスロールを上記巻取糸に押圧する加圧機構が設けられ、上記摩擦保持解除指令手段は、上記巻取糸と上記プレスロール間の隙間発生検出部を含むとともに上記摩擦保持機構の作動の一時的な解除を行い、上記加圧機構は、少なくとも上記摩擦保持機構の作動の一時的な解除時に上記プレスロールを上記巻取糸に接触させるように作動するプレスロール装置である。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。図1〜図4はこの発明の第一実施形態を示すもので、この実施形態のプレスロール装置20は図示しない整経機の一部に設けられ、図示しないクリールから引き出された経糸1が、ガイドロール3にガイドされ、ワーパースビーム2に巻き取られている。ワーパースビーム2に巻き取られた巻取糸1aの表面には、プレスロール22が押しつけられている。プレスロール22の両端部は、プレスロール22の保持部材であるL字形のプレスロールアーム24の先端部に回転自在に取り付けられ、プレスロールアーム24のこの端部にはさらにプレスロール22の回転数を検出する回転数検出センサ26が取り付けられている。また、プレスロールアーム24の基端部は、プレスロール22の長手方向に対して平行に設けられている回転自在なプレスロールシャフト28に固定されている。
【0019】
プレスロールアーム24の中間付近には、プレスロール22の反対側に延出するフリクションバー30の先端部が係合している。プレスロールアーム24には、図2に示すようにプレスロールアームピン32が側方に突出して設けられ、フリクションバー30の先端部にはフリクションバー30の長手方向に長い長穴34が形成され、長穴34にプレスロールアームピン32が差し込まれ、長穴34内を遊び量Wを有して摺動可能に取り付けられている。長穴34の内壁面にはフリクションバー30の先端部分に貫通する透孔36が形成され、透孔36内には有底筒状の係合部当接ピン38が摺動可能に設けられている。そして、フリクションバー30の先端面は、板部材40がボルト42で固定され係合部当接ピン38が抜け落ちないようにしている。さらに、係合部当接ピン38の内側にはコイル状の係合部当接バネ44が嵌挿され、係合部当接バネ44の端部が板部材40に当接して、係合部当接ピン38をプレスロールアームピン32側に付勢している。そして、図3に示すように、係合部当接バネ44に抗して長穴34に沿ってプレスロールアームピン32がフリクションバー30の先端側へ移動可能に設けられている。フリクションバー30の他端部は、摩擦保持機構の一部をなすディスクブレーキ46に一定の力で保持され、ディスクブレーキ46は整経機のフレームに固定されている。
【0020】
そして、プレスロールシャフト28には、一対のプレスロールアーム24の間にエアシリンダアーム48の一端部が固定され、エアシリンダ50は常時作動し、その力は係合部においてディスクブレーキ46の摩擦保持力による力より弱く作用し、しかも、巻取糸1aを適宜の圧力で押圧可能な付勢力に調節されている。さらにこのエアシリンダ50による付勢力は、係合部において係合部当接バネ44の付勢力よりも大きい。これにより、フリクションバー30を動かすことなくプレスロールアーム24とプレスロール22を、ワーパースビーム2の巻取糸1aに押しつけ可能となっている。
【0021】
次に、このプレスロール装置20の動作作用について説明する。まず、経糸1をワーパースビーム2に巻付けワーパースビーム2を回転させて、経糸1をガイドロール3でガイドしながら巻き取る。このときワーパースビーム2の巻取糸1aの表面にプレスロール22がエアシリンダ50の付勢力で押圧され当接させられている。このプレスロール22は、プレスロールアーム24を介してフリクションバー30により巻取糸1aの巻取表面に当接した位置で保持される。この保持は、ディスクブレーキ46を作動させて、フリクションバー30を摩擦保持することによりなされている。
【0022】
そして、ワーパースビーム2への経糸1の巻取が進行し、巻取糸1aの巻径の増大とともに、プレスロール22が巻取糸1aから受ける押圧力が増大し、プレスロールアーム24とフリクションバー30の係合部において、ディスクブレーキ46がフリクションバー30を保持している摩擦保持力以上に大きくなると、フリクションバー30がスリップして後退し、従ってプレスロール22も後退する。
【0023】
さらに詳しく説明すると、ディスクブレーキ46によりフリクションバー30を保持している間は、図2に示すようにプレスロールアーム24のブレスロールアームピン32が、フリクションバー30の長穴34の図面上の左側の内壁に当接し、巻取糸1aからの押圧力により、フリクションバー30を図面左方向に付勢している。そして、プレスロール22が受ける押圧力が増大し、ディスクブレーキ46によりフリクションバー30を摩擦保持しきれなくなると、フリクションバー30が後退しプレスロール22も後退する。このとき、ディスクブレーキ46の摩擦保持力が静止摩擦から、より摩擦力の小さい動摩擦に移行するため、プレスロール22の後退量が巻取糸1aの巻径の増大分より大きく後退してしまう場合がある。
【0024】
この場合、プレスロール22と巻取糸1aの間に隙間が発生するが、図3に示すように、プレスロール22は、エアシリンダ50によってワーパースビーム2側に付勢されているので、長穴34による係合部での遊び量Wにより、係合部当接バネ44が圧縮されプレスロール22は速やかに巻取糸1a側に移動し、巻取糸1aを押しつける。このときの移動量Lは、図3に示すように上記遊び量Wの範囲内で生じるように設定されている。そして再び巻取糸1aの巻径の増大に伴って、プレスロール22が押圧され、プレスロールアームピン32が、フリクションバー30の長穴34の左側内壁に当接し、その作用力がフリクションバー30の摩擦保持力以上となるまで、フリクションバー30はディスクブレーキ46により元の位置に保持されている。以上の動作を繰り返し、プレスロール22は常に巻取糸1a表面に当接し、巻取糸1aがほぼ真円となるように整え、多角形巻きに巻かれるのを防止する。
【0025】
ここで、プレスロールアームピン32が嵌合したフリクションバー30の長穴34の遊び量は、発生が予想されるプレスロール22と巻取糸1aの隙間(実験的に求めたもので、本実施形態では2mm)以上を解消できる十分な遊びに設定されている。また、長穴34の遊び量は、プレスロールシャフト28からどれだけ離れた位置にあるかによっても異なるもので、発生が予想されるプレスロール22と巻取糸1aの隙間を、解消可能な量である。また、係合部当接バネ44は、スタート時の係合状態への復帰機能として作用するもので、ワーパースビーム2のドッフィング時、ディスクブレーキ46が開放されエアシリンダ50の付勢力によりプレスロール22がワーパースビーム2の糸巻面に当接された時に、係合部当接バネ44によりフリクションバー30とプレスロールアームピン32が図2の状態で当接するようにしている。そして、経糸1の巻き始めからディスクブレーキ46による摩擦保持力が作用するようにして、多角形巻きを防止している。
【0026】
この実施形態のプレスロール装置20によれば、摩擦保持機構により、プレスロール22が一時的に固定された位置で巻取糸1aに当接するため、多角形巻きを防止し確実に真円に近い形状に巻き取ることができる。そして、巻取糸1aの巻径の増大にともなって、プレスロール22が移動するとともに、その移動量が行き過ぎた場合にも、常に巻取糸1a表面にプレスロール22が当接することから、プレスロール22は確実にワーパースビーム2の回転に追従し、プレスロール22の回転数を検出して確実に経糸1の測長を行なうことができる。
【0027】
なお、プレスロールアームピン32と、フリクションバー30の長穴34の遊びは上記以外でも良く、発生が予想されるプレスロールと巻取糸との隙間を解消できる量より少なくても良い。この場合、発生した隙間は、エアシリンダの加圧力により全てなくすることはできないが、従来技術の場合より、プレスロールの回転不良は改善される。
【0028】
次にこの発明の第二実施形態について図5に基づいて説明する。ここで、上述の実施の形態と同様の部材は同一の符号を付して説明を省略する。このプレスロール装置52は、プレスロールアーム24の中間付近に、フリクションバー30の先端部30aが当接される当接部である係合凹部54が形成されている。そして係合凹部54の底部54aにフリクションバー30の端部30aが当接し、フリクションバー30とプレスロールアーム24を連結し互いに引き寄せる引っ張りバネである係合部当接バネ56が取り付けられている。
【0029】
次に、このプレスロール装置52の動作作用について説明する。まず巻取糸1aの巻径の増大とともに、プレスロール22が受ける押圧力が増大し、ディスクブレーキ46がフリクションバー30に与える摩擦保持力以上に大きくなると、プレスロール22及びフリクションバー30が後退する。この移動の際にプレスロール22と巻取糸1aの間に隙間が発生した場合、プレスロールアーム24に対してフリクションバー30は、係合凹部54に当接しているだけなので、係合部当接バネ56に逆らってプレスロールアーム24をエアシリンダ50によって押し出し、速やかにプレスロール22が巻取糸1aに押しつけられる。このとき、プレスロールアーム24の係合凹部54の底部54aと、フリクションバー30の端部30aの間に隙間が生じるが、エアシリンダ50が常時作動しているので、プレスロール22は巻取糸1aから離れることはない。
【0030】
そして、巻取糸1aの巻径の増大とともにプレスロール22は図面上で左側に移動し、フリクションバー30の端部30aとプレスロールアーム24の係合凹部54の底部54aが当接し、ディスクブレーキ46による巻取糸1aの加圧力が増大する。そして、以上の動作を繰り返し、プレスロール22は常に巻取糸1a表面に当接し、巻取糸1aが真円となるように整え、多角形巻きになるのを防止する。
【0031】
この実施形態の場合も、エアシリンダ50は常時作動し、係合凹部54においては、ディスクブレーキ46の摩擦保持力より弱い力であって、巻取糸1aを適宜の圧力で押圧可能な付勢力に調節されている。
【0032】
この実施形態のプレスロール装置52によれば、上記実施形態と同様の効果を有し、そして構造が簡単で部品点数が少ないため、組立が簡単でコストが安価である。
【0033】
次にこの発明の第三実施形態について図6、図7に基づいて説明する。ここで、上述の実施の形態と同様の部材は同一の符号を付して説明を省略する。このプレスロール装置58は、プレスロールアーム24の中間付近に、プレスロール22とは反対側に延出するフリクションバー30の先端部が軸支されている。フリクションバー30の他端部は、摩擦保持機構であるディスクブレーキ46に一定の力で摩擦保持されている。このフリクションバー30の中間付近には、ロードセル等の加圧力検出器60が設けられている。そしてこの実施形態には、図7に示すように加圧力設定器70、加圧力検出器60、比較器72からなる摩擦保持解除指令手段74が設けられている。
【0034】
次に、このプレスロール装置58の動作作用について説明する。ディスクブレーキ46の作動により、フリクションバー30には摩擦保持力が作用する。フリクションバー30に作用する摩擦保持力により、巻取糸1aの巻径の増大に伴い、巻取糸1aとプレスロール22間に加圧力が発生する。前記加圧力に関連する力は、フリクションバー30に押圧力として作用し、その値は加圧力検出器60で検出される。フリクションバー30に作用する前記押圧力が前記摩擦保持力より大きくなると、フリクションバー30は後退し、プレスロール22は後退することになる。そこで本実施形態では、フリクションバー30に作用する前記押圧力が前記摩擦保持力より大きくなる前に、ディスクブレーキ46の作動を解除し、プレスロール22への十分に大きくなっていない押圧力により、プレスロール22を後退させるものである。このため、加圧力設定器70には、前記摩擦保持力よりも小さな値が設定されている。なお、加圧力設定器70の設定値を大きな値とすることにより、巻取糸1aを硬く巻くことが可能であるが、ディスクブレーキ46の作動の解除時に、プレスロール22が大きく後退し、巻取糸1a間に隙間が発生する恐れがあるので、いくらか小さめの値に設定する。
【0035】
そして、加圧力検出器60により検出された加圧力を比較器72において加圧力設定器70の設定値と比較し、この設定値と一致した時に、ディスクブレーキ駆動回路76に一時解除信号が伝えられる。そしてディスクブレーキ46は短時間だけ摩擦保持を解除し、フリクションバー30が巻取糸1aの押圧力によりわずかに後退し、再びディスクブレーキ46を作動させる。なお、ディスクブレーキ46が摩擦保持を一時的解除する方法を採ったが、摩擦保持を一時的に弱める方法でも良い。これを繰り返し、小刻みにプレスロール22を後退させ、巻取糸1aとプレスロール22との間に隙間が発生するのを防止する。なお、エアシリンダ50は、ワーパースビーム2を整経機に設置する際のプレスロール22の仕掛け装置として機能するもので、整経機稼動中は作用しない。
【0036】
この実施形態のプレスロール装置58によれば、大きな後退が生じないようにして、小刻みにプレスロール22を後退させるため、プレスロール22にかかる加圧力が所定値以上に大きくならず、プレスロール22が大きく後退し巻取糸1aとの間に隙間が生じることがない。これにより多角形巻を防止し確実に真円に近い形状に巻き取ることができる。そしてプレスロール22は確実にワーパースビーム2の回転に追従し、プレスロール22の回転を検出して確実に経糸1に測長を行なうことができる。
【0037】
次にこの発明の第四実施形態について説明する。この実施形態のプレスロール装置は、上記第三実施形態と構造が同一であるため図6、図7を使用して説明する。この実施形態には、ディスクブレーキ46によりプレスロール22を巻取糸1aに当接させているとともに、エアシリンダ50を常時作動させている。
【0038】
このプレスロール装置の動作作用について説明する。まず、巻取糸1aの巻径の増大とともにプレスロール22が受ける加圧力が増大しフリクションバー30に伝わり、ディスクブレーキ46の摩擦保持力より大きくなると、フリクションバー30が後退する。このとき、フリクションバー30が大きく後退しプレスロール22と巻取糸1aの間に隙間が生じると、エアシリンダ50が常時作動しているので、加圧力検出器60にかかる力は、プレスロール22からの加圧力とは逆方向の加圧力となり、逆方向の力として検知される。従って、加圧力設定器70にこの逆方向の加圧力を設定しておくことにより、摩擦保持解除指令手段74は隙間発生検出部を含むことになり、その加圧力が検出されると、プレスロール22と巻取糸1a間に隙間が発生したことが検出され、摩擦保持解除指令手段74は、ディスクブレーキ駆動回路76を介してディスクブレーキ46の作動を一時的に解除する。これによって、ディスクブレーキ46からフリクションバー30は開放され、プレスロール22はエアシリンダ50により巻取糸1a側に移動し当接する。そして、再びディスクブレーキ46が作動しフリクションバー30を摩擦力により保持する。
【0039】
この実施形態の場合、エアシリンダ50は常時作動し、ディスクブレーキ46の摩擦保持力より弱い力であって、巻取糸1aを適宜の圧力で押圧可能な付勢力に調節されている。
【0040】
この実施形態のプレスロール装置によれば、プレスロール22が過剰に後退しても、直ちににエアシリンダ50により押し戻されるため、プレスロール22と巻取糸1aの間に隙間が瞬間的にしか生じることなく、多角形巻を防止し確実に真円に近い状態に巻き取ることができる。そしてプレスロール22は確実にワーパースビーム2の回転に追従し、プレスロール22の回転を検出して確実に経糸1に測長を行なう。
【0041】
なお、第三実施形態のプレスロール装置の変形例として、プレスロールの加圧機構としてエアシリンダ50を常時作動させるものがある。その場合、まず巻取糸1aの巻径の増大とともにプレスロール22が受ける押圧力はフリクションバー30に伝わり、ロードセル46に検出される。加圧力設定器70には、デスクブレーキ46の作動による摩擦保持力よりも小さい加圧力が設定され、比較器72において、検出された加圧力が上記設定値になったとき、ディスクブレーキ駆動回路76に一時解除信号が伝えられる。そしてディスクブレーキ46は短時間だけ摩擦保持力が解除され、フリクションバー30は巻取糸1aの押圧力により後退する。同時に、エアシリンダ50によりプレスロール22は巻取糸1aに押しつけられるため、第3実施形態と比較し、摩擦保持力の解除時、プレスロール22が大きく後退し、巻取糸1aとプレスロール22との間に隙間が生じても、隙間は瞬時に解消される。そして、再びディスクブレーキ46が作動しフリクションバー30が摩擦力により保持される。
【0042】
この場合もプレスロールが加圧機構として、エアシリンダ50が常時作動し、ディスクブレーキ46の摩擦保持力より弱い力であって、巻取糸1aを適宜の圧力で押圧可能な付勢力に調節されている。
【0043】
次にこの発明の第五実施形態について説明する。この実施形態のプレスロール装置62は、図6に示す実施形態に類似したものである。ディスクブレーキ46の作動により、フリクションバー30には摩擦保持力が作用する。フリクションバー30に作用する摩擦保持力により、巻取糸1aの巻径の増大に伴って巻取糸1aとプレスロール22間に加圧力が発生する。前記加圧力に関連する力は、フリクションバー30に押圧力として作用する。フリクションバー30に作用する前記押圧力が前記摩擦保持力より大きくなると、フリクションバー30は後退し、プレスロール22は後退することになるが、この実施形態ではその前にディスクブレーキ46の作動を解除し、プレスロール22を後退させるものである。
【0044】
この実施形態においては、図8に示すように、プレスロールアーム24の先端に、巻取糸1aとプレスロール22間に発生する加圧力に関連する力を検出するロードセル等の加圧検出器64が取り付けられており、フリクションバー30に作用する押圧力が、ディスクブレーキ46の作動による摩擦保持力を上回らないように、加圧力設定器70の設定値が設定されている。フリクションバー30に作用する前記押圧力が前記摩擦保持力より大きくなると、フリクションバー30は後退し、プレスロール22は後退することになるが、これにより、その前にディスクブレーキ46の作動を解除し、プレスロール22を後退させるものである。なお、エアシリンダ50は、ワーパースビーム2を整経機に仕掛ける際の装置として機能させるものであり、稼働中はプレスロール22の加圧機構としての作動は行わない。この加圧力検出器64は、プレスロール22の軸22aと、ボールベアリング間に設けられ、プレスレスロール軸22aにかかる加圧力を検出するものである。
【0045】
この実施形態のプレスロール装置62によっても、上記第三実施形態とほぼ同様の効果を有するものである。さらに、プレスロール軸22aで巻取糸1aからの押圧力による加圧力を検知しているので、より正確に検知可能であり、より細かな制御を可能にする。
【0046】
次にこの発明の第六実施形態について説明する。この実施形態においては、上記第五実施形態の構成に対し、プレスロール22の加圧機構としてエアシリンダ50を有すると共に、摩擦保持解除指令手段74は、隙間発生検知部を含み、プレスロール22と巻取糸1a間での隙間の発生を検知するものである。隙間の発生の検知は、漸増していた加圧力が、急激に低下することにより検知される。従って、加圧力設定器70には、低い値が設定されている。隙間の発生が検知され、ディスクブレーキ46の作動の一時的な解除の後、加圧力検出器60の検出値が加圧力設定器70に設定された値を超えた後に、比較器72の作動が再開され、設定された加圧力よりも低い値を検出することにより、隙間の発生を検知するものである。隙間の発生を検知した場合、摩擦保持機構であるディスクブレーキ46の作動を一時的に解除することにより、プレスロール22の加圧機構としてエアシリンダ50を動かし、プレスロール22と巻取糸1a間での隙間を解消するものである。そして、この実施形態のプレスロール装置62は、上記第四実施形態とほぼ同様の動作で、同様の作用効果を有するものである。
【0047】
なお、この第五実施形態の変形例として、第三実施形態の変形例のように、プレスロール22の加圧機構としてエアシリンダ50を常時作動させるものがある。摩擦保持機構であるディスクブレーキ46の作動の解除時に、エアシリンダ50によりプレスロール22は巻取糸1aに押しつけられるため、第五実施形態と比較し、摩擦保持力の解除時、プレスロール22が大きく後退し、巻取糸1aとプレスロール22との間に隙間が生じても、隙間は瞬時に解消される。
【0048】
次にこの発明の第七実施形態について説明する。この実施形態のプレスロール装置において、摩擦保持解除指令手段84は、プレスロール22と巻取糸1a間での隙間の発生を検知する隙間発生検知部を含み、隙間の発生を検知した場合、摩擦保持機構であるディスクブレーキ46の作動を一時的に解除することにより、プレスロール22の加圧機構としてエアシリンダ50を動かし、プレスロール22と巻取糸1a間での隙間を解消するものである。図9に示すように、プレスロール22に設けられたプレスロール回転数検出器78、プレスロール22の回転数の変動値の幅を設定する変動値設定器80、比較器72からなる摩擦保持解除指令手段84が設けられている。さらに、この実施形態では、図6と同様の構成で、フリクションバー30に加圧力検出器60を設けない構成であり、プレスロール加圧機構としてエアシリンダ50は常時作動させる。
【0049】
次にこのプレスロール装置の動作作用について説明する。まず、巻取糸1aの巻径の増大とともに、プレスロール22が受ける加圧力が増大し、ディスクブレーキ46によるフリクションバー30の摩擦保持力以上に大きくなると、プレスロール22は後退する。このとき、フリクションバー30が後退する際に後退する距離が過剰でプレスロール22と巻取糸1aの間に隙間が発生した場合、プレスロール22の回転不良が発生し、プレスロール回転数検出器78で回転数の低下が検出される。そして変動値設定器80には、プレスロール回転数の変動値の設定値が設定され、比較器72において、検出されたプレスロール回転数が設定値以上変動した場合、ディスクブレーキ駆動回路76に一時解除信号が伝えられる。これにより、ディスクブレーキ46からフリクションバー30が開放され、プレスロール22はエアシリンダ50により巻取糸1aに押しつけられる。この後、再びディスクブレーキ46を作動させる。従って、プレスロール22と巻取糸1aの間に隙間が生じることなく接触状態を維持し、しかもディスクブレーキ46の摩擦保持力で、プレスロール22は保持される。
【0050】
また、この実施形態のプレスロール装置は、整経機のスタート時の加速時及び停止時の減速時にも、ディスクブレーキ駆動回路76に一時解除信号が伝えられる。これにより、加減速時には、ディスクブレーキ46の作動を停止させ、プレスロール22と巻取糸1aを確実に接触させる。
【0051】
この実施形態のプレスロール装置によれば、上記各実施形態と同様に巻取糸1aを、多角形巻きを防止し確実に真円に近い形状に巻き取ることができ、またプレスロール22はワーパービーム2の回転に追従し、プレスロール22の回転を検出して正確に経糸1の測長を行なうことができる。
【0052】
次にこの発明の第八実施形態について説明する。この実施形態のプレスロール装置は、図10に示すようにワーパースビーム回転検出器86、カウンタ設定器88、カウンタ90からなる摩擦保持解除手段94が設けられている。さらに、この実施形態では、図6と同様の構成で、フリクションバー30に加圧力検出器60を設けない構成である。
【0053】
ディスクブレーキ46の作動により、フリクションバー30には、摩擦保持力が作用し、摩擦保持される。ワーパースビーム2の回転に伴い、巻取糸1aの巻径が増大し、フリクションバー30に作用する摩擦保持力により、巻取糸1aとプレスロール22間に加圧力が発生する。前記加圧力に関連する力は、フリクションバー30に押圧力として作用する。巻取糸1aの巻径の増加量がある値に達する毎に、フリクションバー30に作用する前記押圧力が、ディスクブレーキ46による摩擦保持力を上回り、フリクションバー30は後退し、プレスロール22は後退することになるが、これにより、その前にディスクブレーキ46の作動を解除し、プレスロール22を後退させるものである。本実施形態の動作作用はワーパースビーム2の回転回数をワーパースビーム回転検出器86により検知し、ワーパースビーム2の一回転毎に1パルスをカウンタ90の出力する。カウンタ90がカウンタ設定器88の設定値に達する毎に、巻径の増加量が所値に達する。この時、ディスクブレーキ46による摩擦保持力を一時的に解除して、プレスロール22を後退させるものである。
【0054】
このワーパースビーム2の回転回数の設定は、例えば大きな加圧力でフリクションバー30が大きく後退する前の所定の小さい加圧力となるまでのワーパースビーム回転回数を設定値として設け、カウンタ90において検知されたワーパースビーム回転回数が設定値になったとき、ディスクブレーキ駆動回路76に一時解除信号を伝える。これにより、ディスクブレーキ46は短時間だけ摩擦保持力が解除され、フリクションバー30がわずかに後退し、押圧力が開放された後、再びディスクブレーキ46が作動する。そして、これを繰り返し、小刻みにプレスロール22を後退させ、巻取糸1aとプレスロール22間で大きい隙間の発生を防止する。ここでは、エアシリンダ50は、整経機に設置する際のプレスロール仕掛け装置として機能するもので、整経機稼動中は作用しない。
【0055】
次にこの発明の第九実施形態について説明する。この実施形態のプレスロール装置は、上記第八実施形態と同様の構成で、プレスロール加圧機構としてエアシリンダ50は常時作動させるものである。
【0056】
この実施形態の動作作用は、上記実施形態と同様に、ワーパースビーム2の回転回数をワーパースビーム回転検出器86により検知し、カウンタ設定器88には所定の回転回数の設定値が設けられている。そして、カウンタ90が設定値になったとき、ディスクブレーキ駆動回路76に一時解除信号が伝えられる。これにより、ディスクブレーキ46は短時間だけ摩擦保持力を解除し、フリクションバー30がわずかに後退する。プレスロール22は後退し、巻取糸1aとプレスロール22間の加圧力は解消されるが、同時に、エアシリンダ50によりプレスロール22は巻取糸1aに押しつけられるため、第八実施形態と比較し、摩擦保持力の解除時、プレスロール22が大きく後退し、巻取糸1aとプレスロール22との間に隙間が生じても、隙間は瞬時に解消される。そして再びディスクブレーキ46が作動しフリクションバー30が摩擦力により保持される。
【0057】
次にこの発明の第十実施形態について説明する。この実施形態のプレスロール装置は、図11に示すようにタイマ設定器96とタイマ98からなる摩擦保持解除指令手段100が設けられている。ディスクブレーキ46の作動により、フリクションバー30には、摩擦保持力が作用し、摩擦保持される。スタート後、巻取糸1aの巻径が増大し、フリクションバー30に作用する摩擦保持力により、巻取糸1aとプレスロール22間に加圧力が発生する。前記加圧力に関連する力は、フリクションバー30に押圧力として作用する。時間が経過し、巻取糸1aの巻径が増大すると、フリクションバー30に作用する押圧力が、ディスクブレーキ46による摩擦保持力を上回り、フリクションバー30は後退し、プレスロール22は後退することになるが、本実施形態の動作作用は、その前にディスクブレーキ46の作動を一時的に解除し、プレスロール22を後退させるものである。タイマー設定器96には、スタート後、フリクションバー30に作用する前記押圧力が、ディスクブレーキ46による摩擦保持力を越えるよりも短い時間が設定されている。タイマー設定器96に設定された時間に達する毎に、タイマー98はディスクブレーキ駆動回路76を介して、ディスクブレーキ46の作動を一時的に解除して、プレスロール22を後退させるものである。タイマー設定器96に設定される時間は、スタート直後の巻取糸の糸層の増大が最も速い磁器を基に設定されている。即ち、巻取糸1aの増径に伴い発生するフリクションバー30に作用する押圧力が、ディスクブレーキ46による摩擦保持力を上回りプレスロール22が後退するまでのスタートからの時間よりも短い時間が設定されている。
【0058】
そして、再びディスクブレーキ46を作動させる。これを繰り返し、小刻みにプレスロール22を後退させ、大きい隙間の発生を防止する。ここで、エアシリンダ50は、整経機に設置する際のプレスロール仕掛け装置として機能するもので、整経機稼動中は作用しない。なお、スタート時は、巻取糸1aの糸層の増大が速いので、時間を短く設定し、時間とともに糸層の増大が遅くなるので、間隔を次第に長く設定する設定方法を採っても良い。
【0059】
次にこの発明の第十一実施形態について説明する。この実施形態のプレスロール装置は、上記第十実施形態と同様の構成で、プレスロール加圧機構としてエアシリンダ50を常時作動させるものである。
【0060】
この実施形態の動作作用は、まずタイマ設定器96に、大きな加圧力でフリクションバー30が大きく後退する押圧力が生じるまでの巻取時間より短い時間の設定値を設ける。そしてタイマ98で時間を測定し設定値と同じ値となったとき、ディスクブレーキ46が短時間だけ摩擦保持力を解除し、フリクションバー30をわずかに後退させる。プレスロール22は後退し、巻取糸1aとプレスロール22間の加圧力は解消されるが、同時に、エアシリンダ50によりプレスロール22は巻取糸1aに押しつけられるため、第十実施形態と比較し、摩擦保持力の解除時、プレスロール22が大きく後退し、巻取糸1aとプレスロール22との間に隙間が生じても、隙間は瞬時に解消される。
【0061】
なお、プレスロールシャフト28を中心として揺動運動自在に設けられ、プレスロール22を巻取糸1aに当接させるプレスロールアーム24に変えて、直線運動自在に設けられ、プレスロール22を巻取糸1aに当接させるプレスロールアーム24を用いても良い。この構造について、次の第十二実施形態に示す。プレスロールアーム24は、図12に示すように、アームガイド60により案内され、ワーパースビーム2の軸に直交する方向に直線運動自在に設けられている。プレスロール22が軸支された端部とは反対側の他端部には、加圧機構としてエアシリンダ50のスライド軸が連結されているとともに、さらに第一実施形態と全く同様の係合状態で、摩擦保持機構の一部としてのフリクションバー30が係合されている。プレスロール22が直線運動をして巻取糸1aに当接する点以外の動作作用、及び効果に関しては、第一実施形態と全く同様である。
【0062】
なお、この発明のプレスロール装置は、上記各実施形態に限定されるものではなく、加圧力検出器、回転検出器等の取付け位置等適宜設定可能である。
【0063】
【発明の効果】
この発明のプレスロール装置は、ワーパースビームの多角形巻を防止するとともに、測長不良を起こさず正確に経糸を測長することができる。特に、従来測長不良が発生していた稼動条件でも測長不良の発生がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第一実施形態のプレスロール装置の正面図である。
【図2】この実施形態のプレスロール装置のプレスロールアームとフリクションバー係合部の部分拡大断面図である。
【図3】この実施形態のプレスロール装置のプレスロールアームとフリクションバー係合部の部分拡大断面図である。
【図4】この実施形態のプレスロール装置の斜視図である。
【図5】この発明の第二実施形態のプレスロール装置の正面図である。
【図6】この発明の第三実施形態、第四実施形態、第三実施形態の変形例のプレスロールの正面図である。
【図7】この発明の第三実施形態、第四実施形態、第三実施形態の変形例、第五実施形態、第六実施形態、第五実施形態の変形例のプレスロール装置の摩擦保持機構制御を示すブロック線図である。
【図8】この発明の第五実施形態、第六実施形態、第五実施形態の変形例のプレスロール装置の正面図である。
【図9】この発明の第七実施形態のプレスロール装置の摩擦保機構制御を示すブロック線図である。
【図10】この発明の第八実施形態、第九実施形態のプレスロール装置の摩擦保機構制御を示すブロック線図である。
【図11】この発明の第十実施形態、第十一実施形態のプレスロール装置の摩擦保機構制御を示すブロック線図である。
【図12】この発明の第十二実施形態のプレスロール装置の正面図である。
【図13】従来の技術の、消極式加圧機構でガイドロールに回転数検出センサが取り付けられたプレスロール装置の正面図である。
【図14】従来の技術の、積極式加圧機構でプレスロールアームに回転数検出センサが取り付けられたプレスロール装置の正面図である。
【図15】従来の技術の、消極式加圧機構でプレスロールアームに回転数検出センサが取り付けられたプレスロール装置の正面図である。
【符号の説明】
1 経糸
1a 巻取糸
20 プレスロール装置
22 プレスロール
24 プレスロールアーム
26 回転数検出センサ
30 フリクションバー
32 プレスロールアームピン
34 長穴
60 アームガイド
Claims (9)
- ワーパースビームの巻取糸表面に当接するプレスロールと、上記プレスロールが回転自在に取り付けられている保持部材と、上記プレスロールが上記巻取糸に当接する位置で上記保持部材を保持する摩擦保持機構と、上記保持部材を介して上記プレスロールを上記巻取糸表面側に押圧する加圧機構が設けられ、上記保持部材と上記摩擦保持機構が所定の位置で係合し、その係合部には上記プレスロールが上記巻取糸側へ移動可能とする遊びが設けられていることを特徴とするプレスロール装置。
- 上記プレスロールに対して平行に設けられ回動自在に軸支されたプレスロールシャフトを設け、上記保持部材は、上記プレスロールシャフトに固定され先端部には上記プレスロールが回転自在に取り付けられているプレスロールアームからなり、上記摩擦保持機構の一部が上記プレスロールアームに係合し、上記加圧機構は、上記プレスロールシャフトに一端が固定され上記プレスロールアームを介して上記プレスロールを上記巻取糸側に押圧することを特徴とする請求項1記載のプレスロール装置。
- 上記保持部材は、直線運動自在に設けられ先端部に上記プレスロールが回転自在に取り付けられているプレスロールアームからなり、上記摩擦保持機構の一部が上記プレスロールアームに係合し、上記加圧機構は、上記プレスロールアームを介して上記プレスロールを上記巻取糸側に押圧することを特徴とする請求項1記載のプレスロール装置。
- 上記保持部材と上記摩擦保持機構の係合部は、上記保持部材と上記摩擦保持機構の一方の部材に、上記プレスロールが上記巻取糸側へ移動する方向に長く形成されている長穴が設けられ、他方の部材に上記長穴に嵌合されるピンが形成されていることを特徴とする請求項1,2または3記載のプレスロール装置。
- 上記保持部材と上記摩擦保持機構の係合部は、上記保持部材と上記摩擦保持機構の所定の部材同士が当接してなり、この当接部は、上記プレスロールが上記巻取糸側へ移動可能に形成されていることを特徴とする請求項1,2または3記載のプレスロール装置。
- 上記保持部材と上記摩擦保持機構の係合部には、上記保持部材と上記摩擦保持機構の相対的位置関係を、互いに引きつける方向に付勢する復帰機構が設けられていることを特徴とする請求項1,2または3記載のプレスロール装置。
- ワーパースビームの巻取糸表面に当接するプレスロールと、上記プレスロールが回転自在に取り付けられている保持部材と、上記プレスロールが上記巻取糸に当接する位置で上記保持部材を保持する摩擦保持機構と、上記摩擦保持機構の摩擦保持を制御する摩擦保持解除指令手段からなり、この摩擦保持解除指令手段は、上記巻取糸の巻径増大にともない上記プレスロールが上記巻取糸に押されて後退する前に、上記摩擦保持機構の作動の一時的な解除をおこなうとともに、その後の摩擦保持再開を繰り返し行なうことを特徴とするプレスロール装置。
- 上記保持部材を介して上記プレスロールを上記巻取糸に押圧する加圧機構が設けられ、上記加圧機構は、少なくとも上記摩擦保持機構の作動の一時的な解除時に上記プレスロールを上記巻取糸に接触させるように作動することを特徴とする請求項7記載のプレスロール装置。
- ワーパースビームの巻取糸表面に当接するプレスロールと、上記プレスロールが回転自在に取り付けられている保持部材と、上記プレスロールが上記巻取糸に当接する位置で上記保持部材を保持する摩擦保持機構と、上記摩擦保持機構の摩擦保持を制御する摩擦保持解除指令手段と、上記保持部材を介して上記プレスロールを上記巻取糸に押圧する加圧機構が設けられ、上記摩擦保持解除指令手段は、上記巻取糸と上記プレスロール間の隙間発生検出部を含むとともに上記摩擦保持機構の作動の一時的な解除を行い、上記加圧機構は、少なくとも上記摩擦保持機構の作動の一時的な解除時に上記プレスロールを上記巻取糸に接触させるように作動することをことを特徴とするプレスロール装置。
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