以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
(1)本実施の形態によるオンエアーシステムの構成
図1において、1は全体としてテレビジョン放送局等に設置される本実施の形態によるオンエアーシステムを示し、取材現場から衛星通信回線等を介して転送され、又は図示しないビデオテープレコーダにより取材テープから再生された140〔Mbps〕程度の解像度を有するHDCAM(ソニー株式会社 登録商標)フォーマットの映像音声データ(以下、これを高解像度映像音声データと呼ぶ)D1をルータ2を介して素材サーバ3及びダウンコンバータ4に入力する。
素材サーバ3は、複数のRAID(Redundant
Arrays of Independent Disks)から構成される大容量のAVサーバでなり、パーソナルコンピュータにより構成されるシステム制御部5の制御のもとに、ルータ2を介して供給される一連の高解像度映像音声データD1をファイル化して記憶する。
またダウンコンバータ4は、供給される高解像度映像音声データD1を8〔Mbps〕程度の解像度にダウンコンバートすると共に、これをMPEG(Motion Picture Experts Group)フォーマットで圧縮符号化し、かくして得られた低解像度の映像音声データ(以下、これを低解像度映像音声データと呼ぶ)D2をプロキシサーバ6に送出する。
プロキシサーバ6は、素材サーバ3と同様に、複数のRAIDから構成されるAVサーバでなり、システム制御部5の制御のもとに、ダウンコンバータ4から供給される一連の低解像度映像音声データD2をファイル化して記憶する。このようにしてこのオンエアーシステム1では、素材サーバ3に収録したクリップと同じ内容の低解像度のクリップをプロキシサーバ6に収録する。
そしてこのプロキシサーバ6に格納された各クリップの低解像度映像音声データD2は、イーサネット(登録商標)7を介してプロキシサーバ6と接続された各プロキシ編集端末装置81〜8n及び各編集端末装置91〜9nを用いて読み出すことができ、これを利用して素材サーバ3に蓄積されたクリップの中からどのクリップとどのクリップとをどのような順番で繋げて加工編集された映像音声(以下、これを編集映像音声と呼ぶ)を生成するかといったカット編集のみの編集内容を規定した編集リストをプロキシ編集端末装置81〜8nや各編集端末装置91〜9nにおいて作成することができる。
実際上、プロキシ編集端末装置81〜8nは、編集リスト作成のための専用のソフトウェアが起動された編集リストの作成モード時、オペレータによりプロキシサーバ6に収録されているクリップの中から1つのクリップが選択されてその再生命令が入力されると、イーサネット(登録商標)7を介してシステム制御部5にアクセスし、当該システム制御部5を介してプロキシサーバ6を制御することにより、当該プロキシサーバ6にそのクリップの低解像度映像音声データD2を読み出させる。
そしてプロキシ編集端末装置81〜8nは、このようにしてプロキシサーバ6から読み出された低解像度映像音声データD2を復号化し、得られたベースバンドの映像音声データに基づく映像をディスプレイに表示する。これによりオペレータは、このディスプレイに表示された映像を目視確認しながら、カット編集のみの編集リストを作成することができる。なお、以下においては、このようなカット編集のみの編集リストをEDL(Edit Decision List)と呼ぶ。
さらにこのようにして作成された編集リストのデータである編集リストデータは、オペレータの操作によりそのプロキシ編集端末装置81〜8nからイーサネット(登録商標)7を介して所望の編集端末装置91〜9nに転送することができる。そしてこの転送された編集リストデータは、この後この編集端末装置91〜9nによって記憶管理される。
一方、編集端末装置91〜9nは、高解像度映像音声データD1に対して映像特殊効果処理をリアルタイムで施し得るビデオボードが搭載されたノンリニア編集装置でなり、専用のソフトウェアが起動された編集リストの作成モード時、オペレータによりプロキシサーバ6に収録されているクリップの中から1つのクリップが選択されてその再生命令が入力されると、システム制御部5を介してプロキシサーバ6を制御することにより、プロキシ編集端末装置81〜8nと同様にして、当該クリップの低解像度の映像をディスプレイに表示させる。
これによりオペレータは、この映像を目視確認しながら映像特殊効果や音声ミキシングの設定等を含めた最終的な編集リストを、新規に又はプロキシ編集端末装置81〜8nを用いて作成された編集リストを利用して、作成することができる。
なお編集端末装置91〜9nには、それぞれビデオテープレコーダ111〜11n及びハードディスク装置等のローカルストレージ121〜12nが接続されており、かくしてビデオテープ等に記録された映像音声素材をビデオテープレコーダ111〜11nを介してクリップとしてローカルストレージ121〜12nに取り込み、これを編集に利用することもできるようになされている。
また編集端末装置91〜9nは、編集リストの作成過程において、1つのクリップのうちの所望の映像音声部分のイン点及びアウト点が指定されてタイムライン上に並べられるごとに、イーサネット(登録商標)7を介してシステム制御部5にアクセスし、当該システム制御部5を介して素材サーバ3を制御することにより、当該タイムライン上に並べられたその映像音声部分の高解像度映像音声データD1を順次読み出させる。
そしてこの高解像度映像音声データD1は、システム制御部5の制御のもとに、この後ゲートウェイ13を介して所定フォーマットにフォーマット変換された後、ファイバチャネルスイッチャ14を介して例えば180ギガバイト程度の記憶容量を有する半導体メモリからなる対応するデータI/Oキャッシュ部151〜15nに与えられて記憶保持される。
かくして編集端末装置91〜9nは、この後オペレータにより編集リストの高解像度映像による再生(プレビュー)命令が入力されると、対応するデータI/Oキャッシュ部151〜15nから必要な高解像度映像音声データD1を読み出し、当該高解像度映像音声データD1に基づく編集映像を生成してディスプレイに表示させる。
そして編集端末装置91〜9nは、やがてオペレータによる編集リストの作成作業が終了し、この後この編集リストの実行命令が入力されると、当該編集リストに従ってデータI/Oキャッシュ部151〜15nから対応する高解像度映像音声データD1を順次読み出し、この高解像度映像音声データD1に対して必要に応じて特殊効果処理や音声ミキシング処理を施しながら、かくして得られた編集映像音声のデータ(以下、これを編集映像音声データと呼ぶ)D3を素材サーバ3に送出する。この結果この編集映像音声データD3がシステム制御部5の制御のもとに、ファイル化されて素材サーバ3に収録される。
さらにこの素材サーバ3に収録された編集映像音声データD3は、この後オペレータ操作により図示しないオンエアーサーバに転送され、この後番組作成者等により作成されたいわゆるプレイリストに従ってオンエアーサーバから読み出されて放送される。
このようにしてこのオンエアーシステム1においては、編集から当該編集により得られた編集映像音声のオンエアーまでの一連の処理を効率良く行い得るようになされている。
(2)編集端末装置91〜9nの構成
ここで編集端末装置91〜9nは、図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)20、ROM(Read Only Memory)21及びRAM(Random
Access Memory)22と、各種ソフトウェアが格納されたハードディスク装置23と、各種映像データ処理機能及び音声データ処理機能を有するデータ処理部24と、高解像度映像音声データD1に対して指定された映像特殊効果処理や音声ミキシング処理を施す映像特殊効果及び音声ミキシング処理部25と、各種インターフェース部26〜28とがCPUバス29を介して接続されることにより構成され、インターフェース部26を介してイーサネット(登録商標)7に接続されている。
またインターフェース部27にはマウス30及びキーボード31等の入力装置が接続されると共に、インターフェース部28にはビデオテープレコーダ111〜11n及びローカルストレージ121〜12nが接続され、データ処理部24にはディスプレイ32及びスピーカ33が接続されている。
そしてCPU20は、必要時、ハードディスク装置23内に格納された画面データを読み出し、これをデータ処理部に与えることにより、後述のような各種のウインド及びダイアログ等をディスプレイに表示させる。
またCPU20は、必要時、インターフェース部26及びイーサネット7(登録商標)を通じてシステム制御部5(図1)にコマンドを送出することにより、当該システム制御部5を介して素材サーバ3(図1)やプロキシサーバ6(図1)、FCスイッチャ14(図1)、データI/Oキャッシュ部151〜15n(図1)等を所望状態に制御する。
そしてCPU20は、例えばこの結果としてプロキシサーバ6からイーサネット(登録商標)7を介して転送される、オペレータにより指定されたクリップの低解像度映像音声データD2をインターフェース部26を介して取り込み、これをデータ処理部24に与えることにより、当該低解像度映像音声データD2に基づく映像を対応するウインド又はダイアログ内の所定位置に表示させる。
さらにCPU20は、必要時には映像特殊効果及び音声ミキシング処理部25を制御することにより、データI/Oキャッシュ部151〜15nから対応する高解像度映像音声データD1を読み出させ、当該高解像度映像音声データD1に対して必要に応じて映像特殊効果処理や音声ミキシング処理を実行させる。
そしてこの結果として得られた編集映像音声データD3がデータ処理部24に与えられることにより、当該編集映像音声データD3に基づく映像特殊効果処理により得られた編集映像がディスプレイ32に表示されると共に、音声ミキシング処理により得られた編集音声がスピーカ33から出力される。
またCPU20は、このとき必要に応じて映像特殊効果及び音声ミキシング処理部25を制御することにより、かかる編集映像音声データD3を素材サーバ3に送出させる一方、システム制御部5を介して素材サーバ3を制御することにより、この編集映像音声データD3を記憶させ、これによりこの編集映像音声データD3を素材サーバ3に登録する。
(3)編集端末装置91〜9nにおける編集リストの作成手順
次にこの編集端末装置91〜9nにおける編集リストの作成手順について説明する。
この編集端末装置91〜9nでは、素材サーバ3等に収録された所望するクリップの所望の映像音声部分を指定し、これらをタイムライン上に順次並べるようにしてカット映像の送出順序を設定すると共に、映像特殊効果処理及び音声ミキシング処理の設定やタイトルの挿入などを行うようにして編集リストを作成する。
そしてこのようにして作成された編集リストにおける各カットのイン点及びアウト点のタイムコード、カットの並び順、編集リスト名、作成者及び作成日時等の情報(EDL情報)や、この編集リストにおいて設定されている映像特殊効果及び音声ミキシングの内容に関する情報、並びに編集リストを作成した際の作業環境に関する各種情報などが1つのファイル内に格納されて『プロジェクト』として管理される。
このため編集リストを新たに作成するに際しては新規にプロジェクトを作成する必要があり、この場合にオペレータは、まず対応するソフトウェアを起動することにより、図3に示すようなプロジェクトマネージャウインド40をディスプレイ32(図2)に表示させるようにする。
ここで、このプロジェクトマネージャウインド40は、プロジェクトを管理及び閲覧するためのウインドであり、ツリー表示部41、クリップ表示部42及びプロジェクト一覧表示部43から構成される。
このときプロジェクトマネージャウインド40のツリー表示部41には、その編集端末装置91〜9n内及び後述のようにプロジェクトのファイル(以下、これをプロジェクトファイルと呼ぶ)を一元管理するプロジェクトファイルサーバ10内に存在する全てのプロジェクトファイルについて、これらプロジェクトファイルの保存場所がツリー形式で表示される。
またクリップ表示部42には、ツリー表示部41で選択されたプロジェクトに属する各クリップのサムネイル画像がアイコン(以下、これをクリップアイコンと呼ぶ)44として一覧表示され、さらにクリップ一覧表示部43には、ツリー表示部41に表示された各プロジェクトについて、保存ドライブ名、プロジェクト名、更新日時等の管理情報がリスト形式でテキスト表示される。
そして新規のプロジェクトを作成する場合、オペレータは、このプロジェクトマネージャウインド40の上部に表示されたボタン群45のうちの新規作成ボタン45Aをクリックすることにより、図4に示すニュープロジェクトダイアログ50を表示させ、このニュープロジェクトダイアログ50のプロジェクト名入力ボックス51内に所望するプロジェクト名を入力し、さらに属性設定部52においてこのプロジェクトに関する各種属性を設定した後、OKボタン53をクリックするようにする。
かくしてこの新規のプロジェクトがその編集端末装置91〜9n及びプロジェクトファイルサーバ10に新規に登録されると共に、当該プロジェクト内に新規のフォルダ及びビンが自動的に作成され、この結果がプロジェクトマネージャウインド40(図3)のツリー表示部41及びプロジェクト一覧表示部43に反映される。
またこのときディスプレイ32(図2)には、システム制御部5が管理している素材サーバ3及びプロキシサーバ6に収録されている各クリップについてのクリップ名、収録年月日、映像フォーマット、素材長及びクリップIDなどの管理情報等に基づいて、図5に示すクリップエクスプローラ(Clip Explorer)ウインド60及びこれと同じ構成を有するサーバサイトエクスプローラ(Server Site Explorer)ウインド61が表示される。
ここで、クリップエクスプローラウインド60は、現在開かれているプロジェクトに属するクリップを表示及び管理するためのウインドであり、ツリー表示部62及びクリップ表示部63から構成される。
そしてこのクリップエクスプローラウインド60のツリー表示部62には、システム内に存在する全てのプロジェクト及びその内容物(フォルダ、ビン等)がツリー形式で表示され、クリップ表示部63には、ツリー表示部62で選択されたビンに属する全てのクリップのクリップアイコン64が一覧表示される。なお、新規プロジェクトが作成された直後の初期状態ではそのプロジェクトに属するクリップが存在しないため、クリップエクスプローラウインド60のクリップ表示部63にはクリップアイコン64が表示されない。
またサーバサイトエクスプローラウインド61は、素材サーバ3及びプロキシサーバ6に収録されているクリップの一覧を表示するためのウインドであり、クリップエクスプローラウインド60と同様にツリー表示部62及びクリップ表示部63から構成される。
そしてサーバサイトエクスプローラウインド61のツリー表示部62には、素材サーバ3及びプロキシサーバ6内の全てのフォルダ、ファイル等がツリー形式で表示され、クップ表示部63には、ツリー表示部62において選択されたフォルダ等に格納されている全てのクリップのクリップアイコン64が表示される。
そしてオペレータは、新規の編集リストを作成する場合、上述のようにして新規のプロジェクトを作成後、クリップエクスローラウインド60の上部に表示されたボタン群65のうち、新規シーケンス作成ボタン65Aをクリックするようにする。この結果、これから作成される編集リストに対応したクリップアイコン64NSがクリップエクスプローラウインド60のクリップ表示部63内に表示され、これと併せて図6に示すようなタイムラインエディタウインド70がディスプレイ32(図2)に表示される。
このタイムラインエディタウインド70は、クリップの映像を目視確認しながら所望部分をカットとして切り出す操作を行うためのソースビューワ部71と、このようにして切り出された各カットをどのように並べるか、またその際カットの繋ぎ目においてどのような特殊効果を施すかといった編集内容を設定するためのタイムライン部72と、タイムライン部72において設定された編集内容を高解像度映像により確認するためのマスタービューワ部73とから構成される。
そしてオペレータは、サーバサイトエクスプローラウインド61(図5)のクリップ表示部63(図5)に表示された各クリップアイコン64(図5)の中から所望するクリップのクリップアイコン64をドラッグアンドドロップによりタイムラインエディタウインド70のソースビューワ部71内に移動させることで、そのクリップを編集に利用するクリップとして選択することができ、この操作を繰り返すことにより複数のクリップをまとめて選択することができる。
またタイムラインエディタウインド70では、ソースビューワ部71の上側に表示されたクリップ選択メニュー表示ボタン74をクリックすることによって、上述のようにして選択したクリップの一覧をメニュー表示させることができ、さらにこのメニューの中から所望するクリップを編集対象のクリップとして選択することができる。
なおこのとき選択されたクリップの例えば先頭フレームの映像がソースビューワ部71に表示されると共に、このクリップの名前がクリップリストボックス75内に表示され、かつ当該クリップにおけるソースビューワ部71内に表示されたフレームのタイムコード及び当該クリップの素材長がタイムコード表示部76内に表示される。
そしてタイムラインエディタウインド70では、このようにして編集対象として選択したクリップのプロキシサーバ6(図1)に収録されている低解像度映像音声データD2(図1)に基づく映像を、ソースビューワ部71の下側に表示されたコマンドボタン群77の中から対応するコマンドボタンをクリックすることによって、通常再生、コマ送り再生又はコマ戻し再生等させることができる。
実際上、CPU20(図2)は、かかるコマンドボタン群77の中から通常再生用、コマ送り再生用又はコマ送り逆再生用等のコマンドボタンがクリックされると、これに応じてシステム制御部5(図1)を介してプロキシサーバ6を制御することにより、当該クリップにおける対応する映像音声部分の低解像度映像音声データD2を、当該クリックされたコマンドボタン72に応じた再生モードで読み出させる。この結果この低解像度映像音声データD2に基づく低解像度の通常再生映像や、コマ送り再生映像又はコマ送り逆再生映像等がソースビューワ部71に表示される。
かくしてオペレータは、このソースビューワ部71に表示されたクリップの再生映像を目視確認しながら、所望の映像が表示された状態でコマンドボタン77のうちのマークインボタン77INやマークアウトボタン77OUTをクリックすることにより、このクリップの映像音声の中からカットとして利用しようとする映像音声部分の開始点(イン点)や終了点(アウト点)を指定することができる。
一方、オペレータは、このようにして範囲を指定した各クリップのカットとして利用しようとする映像音声部分を用いて、以下の手順により編集リストを作成することができる。
まず上述のようにクリップのうちのカットとして利用しようとする映像音声部分の範囲を指定後、タイムライン部72内に表示されたプレイライン78を、当該タイムライン部72の下部に表示されたタイムスケール79を指標としてマウス操作により所望位置に移動させ、この後ソースビューワ部71の下部に表示されたコマンドボタン群77のうちのオーバーライトボタン77O又はスプライスインボタン77Sをクリックするようにする。
この結果、図7に示すように、オーバーライトボタン77Oがクリックされたときには上書き、スプライスインボタン77Sがクリックされたときには挿入するようにして、タイムライン部72のビデオトラック80V上に、そのときのプレイライン78の位置を先頭位置とする当該映像音声部分の素材長に応じた長さの着色領域81Vが表示される。
またこのときその映像音声部分に音声が付随している場合には、ビデオトラック80Vの下側に設けられた複数のオーディオトラック80A1〜80A4のうちの該当するチャンネル数分のオーディオトラック80A1〜80A4上に、それぞれそのときのプレイライン78の位置を先頭位置とするビデオトラック80Vの対応する着色領域81Vと同じ長さの着色領域81A1〜81A4が表示される。
なおこのときCPU20は、かかるオペレータの操作に応じたコマンドをシステム制御部5に通知する。この結果、システム制御部5の制御のもとに、素材サーバ3(図1)から対応するクリップにおける当該映像音声部分の高解像度映像音声データD1がイン点側及びアウト点側にそれぞれ数秒程度の余裕をもたせて読み出され、これがゲートウェイ13(図1)、FCスイッチャ14(図1)を介してその編集端末装置91〜9n用のデータI/Oキャッシュ部151〜15nに与えられて記憶される。
さらに編集映像音声の再生時に映像音声部分の映像に付随する音声以外の音声を出力させたいときには、クリップ選択メニュー表示ボタン74をクリックし、このとき表示されたクリップの一覧の中から予め登録しておいたその音声のクリップを選択した後、タイムライン部72のプレイライン78を所望する位置に移動させ、この後所望するオーディオトラック80A1〜80A4を指定した上で上述のオーバーライトボタン77O又はスプライスインボタン77Sをクリックするようにする。
そしてこの場合にも、その指定されたオーディオトラック80A1〜80A4上にそのときのプレイライン78の位置を先頭位置とする当該クリップの素材長に対応する長さの着色領域81A1〜81A4が表示されると共に、このクリップが素材サーバ3に収録されている場合には、その音声データが素材サーバ3から読み出されてデータI/Oキャッシュ部151〜15nに記憶されることとなる。
そしてオペレータは、所望する各クリップについて、上述のようなカットとして利用しようとする映像音声部分の範囲の指定(カットの決定)と、当該映像音声部分のタイムライン部72への貼り付け(ビデオトラック80V及び又はオーディオトラック80A1〜80A4に着色領域81V、81A1〜81A4を表示させること)という操作を繰り返し行い、図8に示すように、タイムスケール79の始め(「00:00.00:00」)から所望する時間分だけ当該タイムスケール79上において連続するように、ビデオトラック80V上と、オーディオトラック80A1〜80A4上とにそれぞれ着色領域81V、81A1〜81A4を順次表示させるようにする。
ここでこのようにタイムライン部72のビデオトラック80V上やオーディオトラック80A1〜80A4上に着色領域81V、81A1〜81A4が表示されることは、編集映像音声の再生時にタイムスケール79で表された時間にその着色領域81V、81A1〜81A4と対応する映像音声部分の対応する箇所の映像が表示され、又は音声が出力されることを意味する。従って、このような作業により編集映像音声として表示又は出力される映像音声の順番及び内容を規定した編集リストを作成することができる。
なお、タイムライン部72に表示させるビデオトラック80Vやオーディオトラック80A1〜80A4の本数は自由に設定することができる。そして複数本のビデオトラック80Vやオーディオトラック80A1〜80A4が表示された状態において、これらビデオトラック80V又はオーディオトラック80A1〜80A4にそれぞれカットやクリップが貼り付けられている場合には、各ビデオトラック80Vにおけるタイムスケール79上で同じ位置の各映像を重ね合わせた映像が編集映像として得られ、各オーディオトラック80A1〜80A4におけるタイムスケール79上で同じ位置の各音声を重ね合わせた音声が編集音声として得られることとなる。
さらにこのようにして編集リストを作成する際、例えば連続する第1のカットの映像から第2のカットの映像への切り換わり時に特殊効果処理を施したいときには、以下の手順により所望する映像特殊効果処理の設定を行うことができる。
すなわち、まず先行する第1のカットと、後行する第2のカットとをタイムスケール79上で連続するようにビデオトラック80Vに貼り付け、この後タイムライン部72の上部に表示されたボタン群82の中からFXエクスプローラボタン82FXをクリックするようにする。この結果、例えば図9に示すようなFXエクスプローラウインド90がディスプレイ32(図2)に表示される。
このFXエクスプローラウインド90は、ツリー表示部91及びアイコン表示部92から構成され、ツリー表示部91には、この編集端末装置91〜9nが実行できる各種映像特殊効果がツリー形式で表示されると共に、アイコン表示部92には、これら映像特殊効果の内容がアイコン形式で表示される。
続いて、このFXエクスプローラウインド90のアイコン表示部92内に表示されたアイコン(以下、これを特殊効果アイコンと呼ぶ)93の中から所望する映像特殊効果処理の特殊効果アイコン93をドラッグアンドドロップにより、タイムラインエディタウインド70のビデオトラック80Vにおける上述の第1及び第2のカットの繋ぎ目に貼り付ける。
これにより編集映像の生成時において、第1のカットの映像から第2のカットの映像に切り替わる際に上述のようにしてビデオトラック80Vに貼り付けられた特殊効果アイコンに対応する映像特殊効果処理を実行すべき旨の設定が行われたこととなる。
なお、このように特殊効果アイコン93をタイムラインエディタウインド70のビデオトラック80Vに貼り付ける操作を行った場合、図8に示すように、その貼り付け位置に当該特殊効果アイコン93に応じたマーク94が表示される。
また編集リストを作成する際、いずれかのオーディオトラック80A1〜80A4に貼り付けられたカットやクリップの音声に対して音声ミキシング処理を施したい場合には、以下の手順により所望の音声ミキシング処理を設定することができる。
すなわち、まずタイムラインエディタウインド70のタイムライン部72に表示されたプレイライン78を、オーディオトラック80A1〜80A4に貼り付けられたカットやクリップのうちの音声ミキシング処理したいカット又はクリップと対応する着色領域81A1〜81A4上に移動させた後、当該タイムライン部72の上部に表示されたボタン群82の中からオーディオミキサーボタン82MIXをクリックする。
この結果、図10に示すように、ボリューム101やレベルメータ102及び各種設定ボタン103A〜103F等を有するミキシング部104が、タイムラインエディタウインド70のタイムライン部72の各オーディオトラック80A1〜80A4にそれぞれ対応させて複数設けられたオーディオミキサーウインド100が表示される。
そしてこの後、このオーディオミキサーウインド100内に表示された、タイムラインエディタウインド70のタイムライン部72の所望するオーディオトラック80A1〜80A4と対応付けられたボリューム101や設定ボタン103A〜103F等をレベルメータ102を目視確認しながら操作する。
これにより編集音声の出力時において、そのオーディオトラック80A1〜80A4に貼り付けられた映像音声部分の再生時に上述のようにして設定された内容で音声データを音声ミキシング処理すべき旨の設定が行われたこととなる。
さらにタイムラインエディタウインド70では、上述のようにして編集リストを作成し終えた後又は編集リストの作成中に、タイムライン部72内のプレイライン78をマウス操作により所望位置に移動させ、この後マスタービューワ部73の下側に表示されたコマンドボタン群110の中からプレビューボタン110PVをクリックすることにより、そのときのプレイライン78の位置と対応する映像音声部分を開始点として、高解像度の編集映像をマスタービューワ部73内に通常再生表示させることができる。
実際上、CPU20は、かかるプレビューボタン110PVがクリックされると、映像特殊効果及び音声ミキシング処理部25(図2)を制御することにより、このときデータI/Oキャッシュ部151〜15nが記憶保持している対応する映像音声部分の高解像度映像音声データD1を読み出させ、当該高解像度映像音声データD1に対して必要に応じて映像特殊効果処理や音声ミキシング処理を施させる。
この結果、かかる映像特殊効果処理や音声ミキシング処理によって得られた高解像度の編集映像音声データD3が生成され、これがデータ処理部24(図2)に与えられることにより、当該編集映像音声データD3に基づく編集映像がタイムラインエディタウインド70のマスタービューワ部73内に再生表示されると共に、編集音声がスピーカ33(図2)から出力される。
これによりオペレータは、このタイムラインエディタウインド70のマスタービューワ部73内に表示された編集映像に基づいて随時編集内容を目視確認(プレビュー)しながら編集リストを作成し、又は作成し終えた編集リストの内容を確認することができる。
そしてこのようにして編集リストを作成後、クリップエクスプローラウインド60(図5)のクリップ表示部63内に表示された当該編集リストに対応したクリップアイコン64NS(図5)をドラッグアンドドロップによりサーバサイトエクスプローラウインド61(図5)のクリップ表示部63内に移動させることにより、この編集リストに基づく編集結果を素材サーバ3(図1)に登録することができる。
実際上、このときCPU20は、作成された編集リストに基づいて映像特殊効果及び音声ミキシング処理部25(図2)を制御することにより、データI/Oキャッシュ部151〜15nに記憶保持された対応する高解像度映像音声データD1を利用して当該編集リストに応じた編集映像音声の編集映像音声データD3を生成させ、これを素材サーバ3に送出させる。この結果この編集映像音声データD3が上述のシーケンスクリップのファイル内に格納されて素材サーバ3に登録される。
またこれと併せてこの編集リストのデータがシステム制御部5を介して素材サーバ3に与えられて当該シーケンスクリップのファイル内に格納されると共に、当該編集リストを含むプロジェクトファイルのデータがイーサネット7(登録商標)を介してプロジェクトファイルサーバ10に与えられ、それまで当該プロジェクトファイルサーバ10が記憶管理していたそのプロジェクトファイルのデータがその内容に更新される。
このようにしてこの編集端末装置91〜9nでは、オペレータがタイムラインエディタウインド70を用いて所望の編集リストを作成でき、さらにこの編集リストに応じた編集映像音声をオペレータの操作に応じて生成し、これを素材サーバ3に登録することができるようになされている。
なおこのオンエアーシステム1の場合、タイムラインエディタウインド70を用いて編集リストを作成後又は作成途中において、プロジェクトマネージャウインド40(図3)のツリー表示部41に表示されたその編集リストが属するプロジェクトを選択し、この後マウス30(図2)の右クリックしたときに表示されるリストの中から『送る』を選択することにより、このプロジェクトファイルをイーサネット(登録商標)7を介してプロジェクトファイルサーバ10(図1)に転送させ、それまで当該プロジェクトファイルサーバ10が記憶管理していたそのプロジェクトファイルのデータをその内容に更新させることができるようになされている。
このようにこのオンエアーシステム1では、各編集端末装置91〜9nにおいて作成されたプロジェクトファイルをプロジェクトファイルサーバ10において一括管理することで、ある編集端末装置91〜9nにおいて作成され又は作成途中のプロジェクトファイルを他の編集端末装置91〜9nで閲覧し又は作成の続きを行い得るようになされ、これによりプロジェクトファイルをシステム全体として共有し得るようになされている。
(4)マッチフレーム機能
次に、この編集端末装置91〜9nに搭載されたマッチフレーム機能について説明する。
この編集端末装置91〜9nでは、図6〜図8について上述したタイムラインエディタウインド70を用いた編集リストの作成時、タイムライン部72のビデオトラック80Vに貼り付けられた映像音声部分の所望箇所を指定することによって、その映像音声素材におけるその箇所の低解像度映像を、その後の編集リスト作成作業に利用可能な状態にソースビューワ部71内に表示させる機能(以下、これをマッチフレーム機能と呼ぶ)が搭載されている。
実際上この編集端末装置91〜9nでは、タイムラインエディタウインド70のタイムライン部72のビデオトラック80Vに表示された所望の着色領域81V上の所望位置にプレイライン78を移動させた後、マスタービューワ部73の下部に設けられたコマンドボタン群110のうちのマッチフレームボタン110MFをクリックすることによって、当該着色領域81Vと対応するクリップのそのときプレイライン78が位置する箇所と対応するタイムコードの低解像度のフレーム映像をソースビューワ部71内に表示させることができるようになされている。
またこのときソースビューワ部71のクリップリストボックス75内にはそのとき検索されたクリップの名前が表示されると共に、タイムコード表示部76内にはそのクリップにおけるそのフレーム映像のタイムコードが表示される。
そしてオペレータは、このタイムラインエディタウインド70のソースビューワ部71にフレーム映像が表示されたクリップについて、当該ソースビューワ部71の下部に設けられたコマンドボタン群77のうちの再生ボタン77Pをクリック操作することにより、ソースビューワ部71内に表示された映像を通常再生、コマ送り再生又はコマ戻し再生等させることができる。
かくしてオペレータは、かかるソースビューワ部71に表示されたそのクリップの再生映像を目視確認しながら、例えば当該フレーム映像の次のフレームから所望する長さの映像音声部分を、イン点及びアウト点を設定するようにしてカットとして切り出し、これをタイムライン部72のビデオトラック80Vにおけるマッチフレームの検索に利用した着色領域81Vの直後に貼り付けるような操作を行うことにより、いわゆる同ポジ編集を規定した編集リストを容易に作成することができる。
(5)マッチフレーム機能に関するCPU20の処理
ここで実際上、このようなマッチフレーム機能は、図11に示すマッチフレーム処理手順RTに従ったCPU20の制御のもとに実現されている。
実際上CPU20は、タイムラインエディタウインド70におけるマスタービューワ部71内のマッチフレームボタン110MFがクリックされることにより対応するクリップの対応する映像音声部分の検索命令が入力されると、このマッチフレーム処理手順RTをステップSP0において開始し、続くステップSP1において、そのときタイムライン部72内のプレイライン78が重ねて表示されているビデオトラック80V上の着色領域81Vに対応するクリップのクリップIDと、当該クリップにおけるプレイライン78が位置するタイムコードとを検出する。
続いてCPU20は、ステップSP2に進んで、ステップSP1において検出したそのクリップのクリップID及びタイムコードを対応するコマンドと共にイーサネット7(登録商標)を介してシステム制御部5に通知する。
このときシステム制御部5は、通知されたクリップIDと、そのとき自己が管理している素材サーバ3及びプロキシサーバ6に収録されている各クリップについての管理情報(クリップの名前、収録年月日、映像フォーマット、素材長及びクリップID等)とに基づいて対応するクリップを検索し、当該検索結果に基づいてプロキシサーバ6を制御することにより当該クリップにおけるそのタイムコードのフレーム映像の低解像度映像音声データD2を読み出させる。この結果この低解像度映像音声データD2がイーサネット7(登録商標)を介してその編集端末装置91〜9nに与えられる。
かくしてCPU20は、続くステップSP3において、このプロシキサーバ6から与えられた低解像度映像音声データD2を、インターフェース部26を介して取り込ませてデータ処理部24(図2)に与えることにより、当該低解像度映像音声データD2に基づくフレーム映像をタイムラインエディタウインド70のソースビューワ部71内に表示させる。そしてCPU20は、この後ステップSP4に進んでこのマッチフレーム処理手順RTを終了する。
このようにしてCPU20は、タイムライン部72上で選択されたクリップのそのときのプレイライン78の位置に応じたフレーム映像をタイムラインエディタウインド70のソースビューワ部71内に、その後の編集リスト作成作業に利用可能な状態に表示させる。
(6)本実施の形態の動作及び効果
以上の構成において、このオンエアーシステム1では、編集端末装置91〜9nを用いた編集リストの作成時、タイムラインエディタウインド70のタイムライン部72のビデオトラック80Vに表示された所望の着色領域81V上の所望位置にプレイライン78を移動させた後、マッチフレームボタン110MFをクリックすると、当該着色領域81Vと対応するクリップのそのときプレイライン78が位置する箇所に対応するタイムコードの低解像度のフレーム映像がソースビューワ部72内に表示される。
従って、このオンエアーシステム1では、各編集端末装置91〜9nにおいて、プロキシサーバ6に格納された各プロキシ編集端末装置81〜8n及び各編集端末装置91〜9nで共有しているクリップについて、マッチフレーム機能を利用して瞬時に検索してこれをタイムラインエディタウインド70のソースビューワ部71内に表示させることができ、その分例えば同ポジ編集の設定等を含めた編集リストの作成作業を容易化させることができる。
以上の構成によれば、編集端末装置91〜9nを用いた編集リストの作成時、タイムラインエディタウインド70のタイムライン部72のビデオトラック80Vに表示された所望の着色領域81V上の所望位置にプレイライン78を移動させた後、マッチフレームボタン110MFがクリックされたときに、当該着色領域81Vと対応するクリップのそのときプレイライン78が位置する箇所に対応するタイムコードの低解像度のフレーム映像をソースビューワ部71内に表示するようにしたことにより、例えば同ポジ編集の設定等を含めた編集リストの作成作業を容易化させることができ、かくして編集作業の作業効率を格段的に向上させることができる。
(7)他の実施の形態
なお上述の実施の形態においては、本発明を図1のように構成されたオンエアーシステムに適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、映像音声の編集処理を要するこの他種々のシステムに広く適用することができる。
また上述の実施の形態においては、被編集素材が映像音声素材である場合について述べたが、本発明はこれに限らず、被編集素材が例えば映像のみの音声を含まない映像素材である場合にも適用することができる。
さらに上述の実施の形態においては、登録されたクリップの低解像度映像音声データD2を蓄積する第1の蓄積手段としてのプロキシサーバ6と、そのクリップの高解像度映像音声データD1を蓄積する第2の蓄積手段としての素材サーバ3とを、複数のRAIDから構成されるAVサーバにより構成するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、これら第1及び又は第2の蓄積手段を例えば大容量の半導体メモリ等により構成するようにしても良い。
さらに上述の実施の形態においては、作成された編集リストに従って高解像度映像音声データD1を加工編集処理することにより編集映像音声を生成する編集手段を、編集端末装置91〜9n及びこれとイーサネット(登録商標)7を介して接続されたシステム制御部5により構成するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、本発明に関するシステム制御部5の機能を全て編集端末装置91〜9nにもたせるようにしても良い。
さらに上述の実施の形態においては、編集リストに登録された映像音声部分の検索命令の入力方法として、タイムラインエディタウインド70のタイムライン部72のビデオトラック80Vに表示された所望の着色領域81V上の所望位置にプレイライン78を移動させた後、マスタービューワ部73の下部に表示されたコマンドボタン群110のうちのマッチフレームボタン110MFをクリックする方法を適用するようにした場合について述べたが、当該検索命令の入力方法としてはこの他種々の入力方法を広く適用することができる。
さらに上述の実施の形態においては、かかる検索結果として、対応するクリップのそのときプレイライン78が位置する箇所と対応するタイムコードの低解像度のフレーム映像をソースビューワ部71内に表示させることのみ行う場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えばこれと併せてサーバサイトエクスプローラウインド61(図3)のクリップ表示部63内において検索されたクリップと対応するクリップアイコン64を点滅表示させるなど、何らかの方法により強調表示させるようにしても良い。このようにすることによって、検索されたクリップがどのクリップであるかをオペレータに有効に伝えることができる。