JP3906826B2 - ハイブリッド4輪駆動車の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、前輪及び後輪の一方を内燃機関と第1電動機とにより駆動可能とし、他方を第2電動機により駆動可能としたハイブリッド4輪駆動車の制御装置に関し、特に、4輪駆動による車両後進時における航続距離を延長させるための技術に関する。
前輪及び後輪の一方を内燃機関と第1電動機とにより駆動可能とし、他方を第2電動機により駆動可能としたハイブリッド4輪駆動車の制御装置が知られている。例えば、特許文献1に記載された4輪駆動車の制御装置がそれである。この4輪駆動車の制御装置によれば、車両の走行状態に応じて選択される出力トルク領域に基づいて第2電動機の作動が制御されることから、車両の走行性能が可及的に向上させられる。
特開2001−186603号公報
しかし、前記従来の技術では、4輪駆動による車両後進時において、比較的長時間の後進走行や、登坂時等において後進走行を繰り返すことによりバッテリの蓄電量SOCが低下し、十分な4輪駆動性能が得られなくなる可能性があった。すなわち、4輪駆動による車両後進時における航続距離には限界があり、その航続距離を延長させるための技術が求められていた。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、4輪駆動による車両後進時における航続距離を可及的に延長させられるハイブリッド4輪駆動車の制御装置を提供することにある。
斯かる目的を達成するために、本発明の要旨とするところは、前輪及び後輪の一方を内燃機関と第1電動機とにより駆動可能とし、他方を第2電動機により駆動可能としたハイブリッド4輪駆動車の制御装置であって、車輪が車両の走行路との間でスリップするか否かを判定するスリップ判定手段と、車両後進時において、前記スリップ判定手段の判定が否定され、外気温が所定温度以上であり、アクセル開度が所定値未満であり、且つ前記第2電動機の回転速度が所定値以上である場合には、その第2電動機の出力トルクを制限する第2電動機作動制御手段とを、含むことを特徴とするものである。
このようにすれば、車輪が車両の走行路との間でスリップするか否かを判定するスリップ判定手段と、車両後進時において、前記スリップ判定手段の判定が否定され、外気温が所定温度以上であり、アクセル開度が所定値未満であり、且つ前記第2電動機の回転速度が所定値以上である場合には、その第2電動機の出力トルクを制限する第2電動機作動制御手段とを、含むことから、車両後進時における走行路の路面状態や運転者の車両発進意思に応じて十分な4輪駆動性能を確保しつつ第2電動機による消費電力が削減され、4輪駆動による車両後進時における航続距離を可及的に延長させられるハイブリッド4輪駆動車の制御装置を提供することができる。
ここで、好適には、前記第2電動機作動制御手段は、車両後進時において、前記スリップ判定手段の判定が否定され、外気温が所定温度以上であり、アクセル開度が所定値未満であり、且つ前記第2電動機の回転速度が所定値以上である場合には、その第2電動機の出力トルクを車両前進時よりも低減させるものである。このようにすれば、実用的な態様で4輪駆動による車両後進時における航続距離を可及的に延長させられるという利点がある。
また、好適には、前記第1電動機は、車両後進時には発電できないものである。このようにすれば、4輪駆動による車両後進時において前記第1電動機によりバッテリから電力が持ち出される場合であっても航続距離を可及的に延長させられるという利点がある。
以下、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施例であるハイブリッド4輪駆動車の制御装置が適用された動力伝達装置10の構成を説明する骨子図である。このハイブリッド4輪駆動車両は、エンジン12及びモータジェネレータ(以下、MGと称する)14を駆動力源とする主駆動装置16にて前輪系を駆動し、リアモータジェネレータ(以下、RMGと称する)18を駆動力源とする副駆動装置20にて後輪系を駆動する形式の前後輪駆動車両である。
上記主駆動装置16は、空気及び燃料の混合気の燃焼により駆動力を発生させる内燃機関であるエンジン12と、電気エネルギにより駆動力を発生させる電気モータ及び機械動力を受けて電気エネルギを発生させる発電機として選択的に機能する第1電動機であるMG14と、ダブルピニオン型の遊星歯車装置22と、変速比が連続的に変化させられる無段変速機24とを備えている。上記エンジン12は、その吸気配管の吸入空気量を制御するスロットル弁の開度θTHを変化させるためにそのスロットル弁を駆動するスロットルアクチュエータ26を備えている。
上記遊星歯車装置22は、機械的に力を合成し或いは分配する合成分配機構であり、共通の軸心まわりに独立して回転可能に設けられた3つの回転要素、すなわち上記エンジン12にダンパ装置28を介して連結されたサンギヤ30と、第1クラッチC1を介して上記無段変速機24の入力軸32に連結され且つ前記MG14の出力軸に連結されたキャリア34と、第2クラッチC2を介して上記無段変速機24の入力軸32に連結され且つブレーキB1を介して非回転部材であるハウジング36に連結されるリングギヤ38とを備えている。上記キャリア34は、上記サンギヤ30及びリングギヤ38と噛み合い且つ相互に噛み合う1対のピニオン(遊星歯車)40及び42を、それらピニオン40及び42が自転可能に支持している。上記第1クラッチC1、第2クラッチC2、及びブレーキB1は、何れも互いに重ねられた複数枚の摩擦板が油圧アクチュエータによって押圧されることにより係合させられたり、その押圧解除により解放されたりする油圧式摩擦係合装置である。
前記遊星歯車装置22とそのキャリア34に連結された前記MG14は、前記エンジン12の作動状態すなわち上記サンギヤ30の回転状態においてそのMG14の回転駆動トルクである反力が逐次大きくなるように駆動させられることにより、上記リングギヤ38の回転数を滑らかに増加させて車両の滑らかな発進加速を可能とする電気トルコン(ETC)装置を構成している。このとき、前記遊星歯車装置22のギヤ比ρ(サンギヤ30の歯数/リングギヤ38の歯数)が例えば一般的な値である0.5であるとすると、リングギヤ38のトルク:キャリア34のトルク:サンギヤ30のトルク=1/ρ:(1−ρ)/ρ:1の関係から、前記エンジン12のトルクが1/ρ倍例えば2倍に増幅されて前記無段変速機24へ伝達されるので、トルク増幅モードと称される。
前記無段変速機24は、前記入力軸32及び出力軸44にそれぞれ設けられた有効径が可変の1対の可変プーリ46及び48と、それら1対の可変プーリ46及び48に巻き掛けられた無端環状の伝動ベルト50とを備えている。それら1対の可変プーリ46及び48は、前記入力軸32及び出力軸44にそれぞれ固定された固定回転体52及び54と、その固定回転体52及び54との間にV溝を形成するように前記入力軸32及び出力軸44に対して軸心方向に移動可能且つ軸心まわりに相対回転不能に取付られた可動回転体56及び58と、それら可動回転体56及び58に推力を付与して上記可変プーリ46及び48の掛かり径すなわち有効径を変化させることにより変速比γ(=入力軸回転速度/出力軸回転速度)を変更する1対の油圧シリンダ60及び62とを備えている。
前記無段変速機24の出力軸44から出力されたトルクは、減速装置64、差動歯車装置66、及び1対の車軸68を介して1対の前輪70へ伝達されるようになっている。また、前記副駆動装置20は、電気エネルギにより駆動力を発生させる電気モータ及び機械動力を受けて電気エネルギを発生させる発電機として選択的に機能する第2電動機であるRMG18を備え、そのRMG18から出力されたトルクは、減速装置72、差動歯車装置74、及び1対の車軸76を介して1対の後輪78へ伝達されるようになっている。なお、本実施例では、上記一対の前輪70の舵角を変更する操舵装置が省略されている。
図2は、前記動力伝達装置10に設けられた制御装置の構成を説明する図である。この図2に示すエンジン制御装置100、変速制御装置102、ハイブリッド制御装置104、蓄電制御装置106、ブレーキ制御装置108は、何れもCPU、RAM、ROM、及び入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータであり、そのCPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って入力信号を処理して種々の制御を実行する。また、これらの制御装置は、相互に通信可能に接続されており、所定の制御装置から必要な信号が要求されると、他の制御装置からその所定の制御装置へ適宜送信されるようになっている。
上記エンジン制御装置100は、前記エンジン12の駆動制御を実行する。例えば、燃料噴射量制御のために図示しない燃料噴射弁を制御し、点火時期制御のために図示しないイグナイタを制御し、トラクション制御ではスリップ中の前記一対の前輪70が路面をグリップするように前記エンジン12の出力を一時的に低下させるために前記スロットルアクチュエータ26を制御する。
前記変速制御装置102は、例えば、前記無段変速機24の伝動ベルト50の張力が必要かつ十分な値となるように予め設定された関係から、実際の変速比γ及び伝達トルクすなわち前記エンジン12及びMG14の出力トルクT及びTMGに基づいてベルト張力圧を調圧する調圧弁を制御し、前記伝動ベルト50の張力を最適な値とすると共に、前記エンジン12が最小燃費率曲線或いは最適曲線に沿って作動するように予め記憶された関係から、実際の車速V及びエンジン負荷例えばアクセル開度θとして表されるスロットル弁開度θTH或いはアクセルペダル操作量ACCに基づいて目標変速比γを決定し、実際の変速比γがその目標変速比γと一致するように前記無段変速機24の変速比γを制御する。
また、前記エンジン制御装置100及び変速制御装置102は、例えば、図3に示す最良燃費運転線に沿って前記エンジン12の作動点すなわち運転点が移動するように、前記スロットルアクチュエータ26や燃料噴射量を制御すると共に、前記無段変速機24の変速比γを変更する。また、前記ハイブリッド制御装置104からの指令に応じて、前記エンジン12の出力トルクT又は回転数Nを変更するために前記スロットルアクチュエータ26や変速比γを変更し、そのエンジン12の運転点を移動させる。
前記ハイブリッド制御装置104は、電池或いはコンデンサ等から成る蓄電装置(バッテリ)110から前記MG14へ供給される駆動電流或いはそのMG14から蓄電装置110へ出力される発電電流を制御するインバータ112を制御するためのMG制御装置114と、上記蓄電装置110から前記RMG18へ供給される駆動電流或いはそのRMG18から上記蓄電装置110へ出力される発電電流を制御するインバータ116を制御するためのRMG制御装置118とを含み、シフトポジションセンサ120から供給される図示しないシフトレバーの操作位置PSHを表す信号、アクセル開度θ(アクセルペダル122の操作量ACC)を表す信号、車速V、及び上記蓄電装置110の蓄電量SOCに基づいて、例えば図4に示す複数の運転モードのうちから何れか1つの選択を行うと共に、アクセル開度θ、ブレーキペダル124の操作量Bに基づいて、前記MG14或いはRMG18の発電に必要なトルクにより回生制動力を発生させるトルク回生制動モード又は前記エンジン12の回転抵抗トルクにより制動力を発生させるエンジンブレーキモードを選択する。また、アクセル開度θを表す信号、外気温センサ126から供給される外気温TOAを表す信号、及び前記RMG18の回転速度NRMG 等に基づいて、4輪駆動による車両後進時におけるそのRMG18の出力トルク制御を実行する。
前記ハイブリッド制御装置104による運転モード選択制御では、シフトポジションがBレンジ或いはDレンジである場合、例えば比較的低負荷の発進或いは定速走行ではモータ走行モードが選択され、第1クラッチC1が係合させられ且つ第2クラッチC2及びブレーキB1が共に解放されることにより、専ら前記MG14により車両が駆動される。なお、このモータ走行モードにおいて、前記蓄電装置110の蓄電量SOCが予め設定された下限値を下回り不足状態となった場合や、駆動力をさらに必要とするために前記エンジン12を始動させる場合には、後述のETCモード或いは直結モードへ切り換えられて、それまでの走行を維持しながら前記MG14或いはRMG18が駆動され、そのMG14或いはRMG18により前記蓄電装置110が充電される。
また、比較的中負荷走行又は高負荷走行では直結モードが選択され、第1クラッチC1及び第2クラッチC2が共に係合させられ且つブレーキB1が解放されることにより前記遊星歯車装置22が一体的に回転させられ、専ら前記エンジン12により又はそのエンジン12及びMG14により車両が駆動されたり、或いは専ら前記エンジン12により車両が駆動されると同時に前記MG14により前記蓄電装置110の充電が行われる。この直結モードでは、サンギヤ30の回転数即ちエンジン回転数Nと、キャリヤ34の回転数すなわち前記MG14の回転数NMGと、リングギヤ38の回転数即ち前記無段変速機24の入力軸32の回転速度NINとは同じ値であるから、二次元平面内において3本の回転数軸(縦軸)すなわちサンギヤ回転数軸S、リングギヤ回転数軸R、及びキャリヤ回転数軸Cと変速比軸(横軸)とから描かれる図5の共線図では、例えば、1点鎖線に示されるものとなる。なお、この図5において、上記サンギヤ回転数軸Sとキャリヤ回転数軸Cとの間隔を1として、リングギヤ回転数Rとキャリヤ回転数軸Cとの間隔は、前記遊星歯車装置22のギヤ比ρに対応している。
また、例えば発進加速走行では、ETCモードすなわちトルク増幅モードが選択され、第2クラッチC2が係合させられ且つ第1クラッチC1及びブレーキB1が共に解放された状態で前記MG14の発電量(回生量)すなわちそのMG14の反力(MG14を回転させる駆動トルク)が徐々に増加させられることにより、前記エンジン12が所定の回転数Nに維持された状態で車両が滑らかに発進させられる。このように前記エンジン12によって車両及び前記MG14が駆動される場合には、そのエンジン12のトルクが1/ρ倍例えばρ=0.5とすると、そのトルクが2倍に増幅されて前記無段変速機24へ伝達される。すなわち、前記MG14の回転数NMGが図5のA点(負の回転速度すなわち発電状態)である場合には、前記無段変速機24の入力軸回転数NINは零であるため車両は停止しているが、図5の破線に示すように、そのMG14の発電量が増加させられてその回転数NMGがその正側のB点へ変化させられることにともなって前記無段変速機24の入力軸回転数NINが増加させられて、車両が発進させられるのである。
シフトポジションがNレンジ或いはPレンジである場合、基本的にはニュートラルモード1又は2が選択され、第1クラッチC1、第2クラッチC2、及びブレーキB1が共に解放され、前記遊星歯車装置22において動力伝達経路が解放される。この状態において、前記蓄電装置110の蓄電量SOCが予め設定された下限値を下回り不足状態となった場合等においては、充電・エンジン始動モードとされ、ブレーキB1が係合させられた状態で、前記MG14により前記エンジン12が始動させられる。
シフトポジションがRレンジである場合、例えば軽負荷後進走行ではモータ走行モードが選択され、第1クラッチC1が係合させられると共に第2クラッチC2及びブレーキB1が共に解放されることにより、専ら前記MG14により車両が後進走行させられる。しかし、例えば中負荷或いは高負荷後進走行ではフリクション走行モードが選択され、第1クラッチC1が係合させられ且つ第2クラッチC2が解放されると共に、ブレーキB1がスリップ係合させられる。これにより、車両を後進させる駆動力として前記MG14の出力トルクに前記エンジン12の出力トルクが加えられる。なお、車両後進時には前記蓄電装置110の充電すなわち前記MG14又はRMG18による発電は実行されない。
また、前記ハイブリッド制御装置104は、前記一対の前輪70の駆動力による車両発進時や急加速時において、車両の駆動力を一時的に高めるために、所定の駆動力配分比に従って前記RMG18を作動させ、前記一対の後輪78からも駆動力を発生させる高μ路アシスト制御や、凍結路、圧雪路のような低摩擦係数路(低μ路)における発進走行時において、車両の発進能力を高めるために、前記RMG18により前記一対の後輪78を駆動すると同時に、例えば前記無段変速機24の変速比γを低下させて前記一対の前輪70の駆動力を低下させる低μ路アシスト制御といった4輪駆動制御を実行する。
前記蓄電制御装置106は、前記蓄電装置110の蓄電量SOCが予め設定された下限値SOCを下回った場合には、前記MG14或いはRMG18により発電された電気エネルギにより前記蓄電装置110を充電或いは蓄電する一方、蓄電量SOCが予め設定された上限値SOCを上まわった場合には、そのMG14或いはRMG18からの電気エネルギにより充電することを禁止する。また、この蓄電に際して、前記蓄電装置110の温度Tの関数である電力或いは電気エネルギの受入制限値WINと持出制限値WOUT との間の範囲を、実際の電力見込み値P(=発電電力PMG+消費電力PRMG )が越えた場合には、その受け入れ或いは持ち出しを禁止する。
前記ブレーキ制御装置108は、例えばTRC制御、ABS制御、VSC制御等を実行し、低μ路等における発進走行時、制動時、旋回時の車両の安定性を高めたり或いは牽引力を高めるために、油圧ブレーキ制御回路128を介して各車輪すなわち前記一対の前輪70及び後輪78にそれぞれ設けられたホイールブレーキ130を制御する。例えば、TRC制御では各車輪に設けられた図示しない車輪回転速度センサからの信号に基づいて、車輪車速(車輪回転速度に基づいて換算される車体速度)例えば右前輪車輪車速VFR、左前輪車輪車速VFL、右後輪車輪車速VRR、左後輪車輪車速VRL、前輪車速V(={VFR+VRL}/2)、後輪車速V(={VRR+VRL}/2)、及び車体車速V(VFR、VFL、VRR、VRLのうちの最も遅い速度)を算出する一方で、前輪車速Vと後輪車速Vとの差であるスリップ速度ΔVが予め設定された制御開始判断基準値ΔVを越えると前記一対の前輪70にスリップ判定をし、且つスリップ率R(={ΔV/V}×100%)が予め設定された目標スリップ率RS1内に入るように前記スロットルアクチュエータ26及びホイールブレーキ130等を用いて前記一対の前輪70の駆動力を低下させる。また、ABS制御では、制動操作時において、各車輪のスリップ率が所定の目標スリップ範囲内になるように、前記ホイールブレーキ130を用いて各車輪の制動力を維持し、車両の方向安定性を高める。また、VSC制御では、車両の旋回走行時において、図示しない舵角センサからの舵角、ヨーレートセンサからのヨーレート、2軸Gセンサからの前後加速度及び左右(横)加速度等に基づいて車両のオーバステア傾向或いはアンダーステア傾向を判定し、そのオーバステア或いはアンダーステアを抑制するように、前記スロットルアクチュエータ26及び前記ホイールブレーキ130を制御する。
図6は、4輪駆動時における前記ハイブリッド制御装置104等の制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。この図6に示すシフトポジション判定手段150は、前記シフトポジションセンサ120から供給される図示しないシフトレバーの操作位置PSHを表す信号からシフトポジションがRレンジであるか否かを判定する。すなわち、車両後進時であるか否かを判定する。スリップ判定手段152は、車輪が車両の走行路との間でスリップするか否かを判定する。例えば、前述したTRC制御と同様に前記一対の前輪70が車両の走行路との間でスリップするか否かを判定する。すなわち、車両の走行路が車輪との間でスリップが発生し易い低摩擦係数路面すなわち低μ路であるか否かを判定する。外気温判定手段154は、前記外気温センサ126から供給される外気温TOAを表す信号からその外気温TOAが所定温度T(例えば、5℃)未満であるか否かを判定する。アクセル開度判定手段156は、アクセルペダル操作量ACC又はスロットル弁開度θTHに対応するアクセル開度θが所定値θ(例えば、75%)以上であるか否かを判定する。第2電動機回転速度判定手段158は、前記RMG18の回転速度NRMG の絶対値が所定値N(例えば、−200rpm)未満であるか否かを判定する。
第2電動機作動制御手段160は、4輪駆動時において上記シフトポジションセンサ120の判定が肯定される場合、すなわち車両後進時に前記RMG18の出力トルクTRMG を制限する。好適には、車両後進時における前記RMG18の出力トルクTRMG を車両前進時(通常時)よりも所定値TCUだけ低減させ、例えば、−50Nm程度となるように制限する。また、好適には、前記一対の後輪78に比較的大きな駆動力が求められる場合、すなわち上記スリップ判定手段152、外気温判定手段154、アクセル開度判定手段156、及び第2電動機回転速度判定手段158のうち少なくとも1つの判定が肯定される場合には前記RMG18の出力トルクTRMG を特に制限せず、通常のトルク制御を実行する。
図7は、4輪駆動時における前記ハイブリッド制御装置104等による前記RMG18の出力トルク制御作動の要部を説明するフローチャートであり、数msec乃至数十msec程度の極めて短いサイクルタイムで繰り返し実行されるものである。
先ず、前記シフトポジション判定手段150に対応するステップ(以下、ステップを省略する)S1において、シフトポジションがRレンジであるか否かが判断される。このS1の判断が否定される場合には、S7において、前記RMG18の出力トルクTRMG は特に制限されない通常のトルク制御が実行された後、本ルーチンが終了させられるが、S1の判断が肯定される場合には、前記スリップ判定手段152に対応するS2において、車輪が車両の走行路との間でスリップする(所定時間内にスリップ履歴がある)か否かが判断される。このS2の判断が肯定される場合には、S7において、上述した通常のトルク制御が実行された後、本ルーチンが終了させられるが、S2の判断が否定される場合には、前記外気温判定手段154に対応するS3において、外気温TOAが所定温度T未満であるか否かが判断される。このS3の判断が肯定される場合には、S7において、上述した通常のトルク制御が実行された後、本ルーチンが終了させられるが、S3の判断が否定される場合には、前記アクセル開度判定手段156に対応するS4において、アクセル開度θが所定値θ以上であるか否かが判断される。このS4の判断が肯定される場合には、S7において、上述した通常のトルク制御が実行された後、本ルーチンが終了させられるが、S4の判断が否定される場合には、前記第2電動機回転速度判定手段158に対応するS5において、前記RMG18の回転速度NRMG が所定値N未満であるか否かが判断される。このS5の判断が肯定される場合には、S7において、上述した通常のトルク制御が実行された後、本ルーチンが終了させられるが、S5の判断が否定される場合には、S6において、前記RMG18の出力トルクTRMG が車両前進時(通常時)よりも所定値TCUだけ低減させられた後、本ルーチンが終了させられる。以上の制御において、S6及びS7が前記第2電動機作動制御手段160に対応する。
このように、本実施例によれば、車両後進時に第2電動機である前記RMG18の出力トルクTRMG を制限する第2電動機作動制御手段160(S6及びS7)を含むことから、そのRMG18による消費電力が削減され、4輪駆動による車両後進時における航続距離を可及的に延長させられるハイブリッド4輪駆動車の制御装置を提供することができる。
また、前記第2電動機作動制御手段160は、車両後進時における前記RMG18の出力トルクTRMG を車両前進時よりも所定値TCUだけ低減させるものであるため、実用的な態様で4輪駆動による車両後進時における航続距離を可及的に延長させられるという利点がある。
また、第1電動機である前記MG14は、車両後進時には発電できないものであるため、4輪駆動による車両後進時において前記MG14により前記蓄電装置110から電力が持ち出される場合であっても航続距離を可及的に延長させられるという利点がある。
また、車輪が車両の走行路との間でスリップするか否かを判定するスリップ判定手段152(S2)を含み、前記第2電動機作動制御手段160は、そのスリップ判定手段152の判定が肯定される場合には前記RMG18の出力トルクTRMG を制限しないものであるため、低μ路において十分な4輪駆動性能を確保できるという利点がある。
また、前記第2電動機作動制御手段160は、外気温TOAが所定温度T未満である場合には前記RMG18の出力トルクTRMG を制限しないものであるため、外気温TOAが比較的低く路面の凍結が予想される場合において十分な4輪駆動性能を確保できるという利点がある。
また、前記第2電動機作動制御手段160は、アクセル開度θが所定値θ以上である場合には前記RMG18の出力トルクTRMG を制限しないものであるため、運転者の車両発進意思がある場合には十分な4輪駆動性能を確保できるという利点がある。
また、前記第2電動機作動制御手段160は、前記RMG18の回転速度NRMG が所定値N未満である場合にはそのRMG18の出力トルクTRMG を制限しないものであるため、車両発進時において十分な4輪駆動性能を確保でき、前記一対の前輪70のスリップによる車両発進不可を回避できるという利点がある。
以上、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、更に別の態様においても実施される。
例えば、前述の実施例において、前記一対の前輪70を前記エンジン12及びMG14を備えた主駆動装置16が駆動し、前記一対の後輪78を前記RMG18を備えた副駆動装置20が駆動する型式の動力伝達装置10について説明したが、前記一対の後輪78を主駆動装置16が駆動し、前記一対の前輪70を副駆動装置20が駆動する型式の動力伝達装置に本発明が適用されても構わない。
また、前述の実施例において、第2電動機である前記RMG18は、電気エネルギにより駆動力を発生させる電気モータ及び機械動力を受けて電気エネルギを発生させる発電機として選択的に機能するモータジェネレータであったが、専ら電気エネルギにより駆動力を発生させる電気モータとしてのみ機能する電動機であっても構わない。
また、前述の実施例において、前記動力伝達装置10は、その動力伝達経路に無段変速機24を備えたものであったが、遊星歯車式或いは常時噛合型平行2軸式の有段変速機を備えたものであっても構わない。
また、前述の実施例では、前記ハイブリッド制御装置104により図6及び図7に示す前記RMG18の出力トルク制御が実行されていたが、他の制御装置により斯かる制御が実行されるものであっても構わない。
その他、一々例示はしないが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が加えられて実施されるものである。
本発明の一実施例であるハイブリッド4輪駆動車の駆動装置が適用された動力伝達装置の構成を説明する骨子図である。 図1の動力伝達装置に設けられた制御装置の構成を説明する図である。 図3の制御装置により制御されるエンジンの運転点の目標である最良燃費率曲線を示す図である。 図3のハイブリッド制御装置により選択される制御モードを示す図表である。 図3のハイブリッド制御装置により制御されるETCモードにおける遊星歯車装置の作動を説明する共線図である。 図3のハイブリッド制御装置等の制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。 図3のハイブリッド制御装置等による4輪駆動時におけるRMGの出力トルク制御作動の要部を説明するフローチャートである。
符号の説明
12:エンジン(内燃機関)
14:モータジェネレータ(第1電動機)
18:リアモータジェネレータ(第2電動機)
70:前輪(車輪)
78:後輪(車輪)
152:スリップ判定手段
160:第2電動機作動制御手段

Claims (3)

  1. 前輪及び後輪の一方を内燃機関と第1電動機とにより駆動可能とし、他方を第2電動機により駆動可能としたハイブリッド4輪駆動車の制御装置であって、
    車輪が車両の走行路との間でスリップするか否かを判定するスリップ判定手段と、
    車両後進時において、前記スリップ判定手段の判定が否定され、外気温が所定温度以上であり、アクセル開度が所定値未満であり、且つ前記第2電動機の回転速度が所定値以上である場合には、該第2電動機の出力トルクを制限する第2電動機作動制御手段
    を、含むことを特徴とするハイブリッド4輪駆動車の制御装置。
  2. 前記第2電動機作動制御手段は、車両後進時において、前記スリップ判定手段の判定が否定され、外気温が所定温度以上であり、アクセル開度が所定値未満であり、且つ前記第2電動機の回転速度が所定値以上である場合には、該第2電動機の出力トルクを車両前進時よりも低減させるものである請求項1のハイブリッド4輪駆動車の制御装置。
  3. 前記第1電動機は、車両後進時には発電できないものである請求項1又は2のハイブリッド4輪駆動車の制御装置。
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